JPH0715856Y2 - ロータリー除雪車 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、車両本体の前端に除雪装置を装備したロータ
リ除雪車、特にその除雪装置を車両本体に対して左右屈
折及び左右傾斜させる機構を備えたロータリ除雪車に関
する。

従来の技術 降雪地域においてロータリ除雪車に要求される性能はそ
の地域、時期、目的によって多種多様にわたっている。
今、除雪後の道路状況について考えると一般に除雪後に
は降雪以前の道路状況を再現できるのが望ましい。例え
ば車道におけるわだち不陸及び路側における傾斜堆積雪
は平坦路に、また交差点近辺及び障害物の多い歩道、屈
曲路等ではその道路形状に沿った除雪を行う事が必要で
ある。

これらの要求を満足させるため傾斜堆積雪に対しては除
雪装置の左右傾斜装置を、又屈曲路等に対しては除雪装
置の左右屈折装置を除雪車に備えることが必要とされて
いるが、従来の除雪車では除雪装置の左右屈折装置の回
転中心としては垂直方向に延びる軸を有する円柱が使用
され、左右傾斜装置の回転中心としては、前後方向に延
びる軸を有する円柱が使用されていたので、左右屈折装
置と左右傾斜装置を同時に装備した場合、車輌の大型
化、構造の複雑化及び製造原価の増加を余儀なくされ実
際には屈折又は傾斜装置のどちらか一方のみを装備した
性能的に満足できないものが多いのが実情である。

考案が解決しようとする課題 本考案は、上述の実情にかんがみ、構造の簡素化、低価
格等を考慮した屈折、傾斜装置を装備し、除雪性能を向
上させたロータリ除雪車を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段 上記の課題を解決するために、本考案のロータリ除雪車
は、車両本体の前端に昇降手段を介して除雪装置を装備
し、該除雪装置を車両本体に対して左右屈折及び左右傾
斜させる機構を有するロータリ除雪車において、車両本
体と除雪装置との間に中間枠が設けられ、該中間枠は、
互いに平行な左右１対の上側リンクと互いに平行な左右
１対の下側リンクとで車両本体に連結され、 上記中間枠と除雪装置とは、単一の球関節である上部連
結手段と、上記球関節の下方において上記中間枠に装着
され上記球関節の球の中心を通る垂直線上に設けられた
軸と、該軸に嵌挿され回転可能な軸受と、上記除雪装置
に装着され上記軸受を除雪装置の左右方向に摺動可能に
保持する案内板とで構成された下部連結手段とにより連
結され、 車両の進行方向に平行な垂直面内で、車両本体前端付近
の上部と上記下側リンクの中間枠側端部付近との間に斜
方向に架設され、上記中間枠及び除雪装置を車両本体に
対して昇降させる昇降用液圧シリンダと、 上記球関節の球の中心を通る水平面内で上記球関節より
はなれた直線上に延設され、上記中間枠と上記除雪装置
に両端が結合され、上記除雪装置を車両本体に対して左
右屈折させる屈折用液圧シリンダと、 上記球関節の球の中心を通り、かつ車両の進行方向に直
交する垂直面内で上記球関節よりはなれた直線上にほぼ
水平に延設され、上記中間枠と上記除雪装置に両端が結
合され、上記除雪装置を車両本体に対して左右傾斜させ
る傾斜用液圧シリンダと、 を具備することを特徴とする。

作用 本考案のロータリ除雪車では、屈折用液圧シリンダを伸
縮させることにより上部連結手段である単一の球関節
と、その下方において、球関節の球の中心を通る垂直線
上に設けられた軸とを支点として、除雪装置を水平方向
に旋回させ、除雪装置を車両本体に対して左右屈折させ
ている。また、傾斜用液圧シリンダを伸縮させることに
より下部連結手段の案内板と軸受とを摺動させ、上部連
結手段の球関節を支点として除雪装置を振り子状に揺動
させ、除雪装置を車両本体に対して左右傾斜させてい
る。なお、傾斜用液圧シリンダを所定の長さに保持する
ことにより、除雪装置を水平に保つことができ、屈折用
液圧シリンダを所定の長さに保持することにより、除雪
装置を車両本体に対して真っ直ぐに保つことができる。
さらに、中間枠と車両本体との間に設けたそれぞれ１対
の上側リンクと下側リンク及び、車両本体、中間枠によ
り形成される左右一対の開リンクは、上側と下側リンク
とが平行に設けられ、かつその長さが概ね等しい場合に
は、従来除雪車の除雪装置昇降手段として広く用いられ
ている平行四辺形リンクとなり、車両の進行方向に平行
な垂直面内で、車両本体前端付近の上部と上記下側リン
クの中間枠側端部付近との間に斜方向に架設された液圧
シリンダにより除雪装置は中間枠を介して昇降が可能と
なる。さらに、上記の上側リンクを液圧シリンダにより
構成した場合は、これを伸縮させることにより、除雪装
置は中間枠と一体的に中間枠と下側リンクとの連結点を
中心として前後に傾斜させることが可能となる。これら
の機能が相まって、除雪装置の車輌本体に対する種々の
方向の傾斜姿勢及び相対高さを採ることが可能となり、
屈折路における除雪不可能領域の減少及び傾斜堆積雪の
平坦化等、除雪性能の向上が図れるとともに、部品点数
及び製造原価の低減、装置の小型化を達成することがで
きる。

実施例 以下に、本考案の実施例を、図面を参照して詳細に説明
する。

第１図乃至第５図は、本考案によるロータリ除雪車の車
輌本体と除雪装置との結合部の構成を示す図である。

除雪装置１は、中間枠５を介して、車輌本体２の前部に
取付けられている。中間枠５は、左右１対の前後傾斜用
液圧シリンダ４と、左右１対の昇降用アーム３とにより
車両本体２に連結されている。前後傾斜用液圧シリンダ
４は、両端を車両本体２の上部と中間枠５の上部とにピ
ン結合された上側リンクであり、昇降用アーム３は、両
端を車両本体２の下部と中間枠５の下部とにピン結合さ
れた下側リンクである。そして、第１図に示すように、
車両本体２の前端付近の上部と昇降用アーム３の中間枠
側端部付近との間に斜方向に架設された昇降用液圧シリ
ンダ９により昇降可能となっている。なお、本実施例に
おいては、左右１対の昇降用アーム３のそれぞれの中間
枠側端部付近を部材にて連結し、この連結部材の中央部
近くに昇降用液圧シリンダ９の下端を結合させている。
そして、この結合点を通る車両本体２の進行方向に平行
な垂直面内で、昇降用液圧シリンダ９の上端を車両本体
２に結合させている。従って、昇降用液圧シリンダ９
は、第２図に示すように、車両本体２の幅方向の中央部
近くに、車両本体２の進行方向に平行に架設されてい
る。

除雪装置１は、中間枠５に上部の単一の球体６及び左右
屈折用シリンダ７、下部の案内ピン10、軸受12、案内板
11及び左右傾斜シリンダ８を介して連結されている。案
内ピン10は円柱形状であり、球体６の中心を通る垂直線
Ｖを軸心とし、軸受12は案内ピン10の軸心まわりに回転
可能な円筒形状とされている。また左右屈折用シリンダ
７及び左右傾斜シリンダ８はその取付ピン部に球面軸受
を有する構造とし運転室内にて全て油圧にて制御され
る。

先ず、除雪装置の左右屈折装置については、左右傾斜シ
リンダ８を所定の長さに保持して除雪装置１を水平に保
った状態で、左右屈折用シリンダ７を伸縮させることに
より球体６と案内ピン10の中心を通る垂直線Ｖを回転中
心として球体６及びこれに一体の除雪装置１、この除雪
装置１に装着され軸受12を保持する案内板11が回転し、
第２図中に鎖線で示す如く、除雪装置１の車輌本体２に
対する左右屈折運動が可能となる。また除雪装置１の左
右傾斜運動については左右屈折用シリンダ７を所定の長
さに保持して除雪装置１を車両本体２に対して真っ直ぐ
に保った状態で、傾斜シリンダ８を伸縮させることによ
り除雪装置１に固定された案内板11が、その案内溝11a
に嵌合する軸受12に案内されて左右に摺動する。このと
き除雪装置１は、その上部で球体６を介して中間枠５に
連結されているので、球体６の中心を通り除雪装置１の
前後方向軸線に平行な水平線Ｈを回転中心として振り子
状に揺動し、除雪装置１の車輌本体２に対する揺動及び
左右傾斜運動が可能となる。尚、除雪作業時の除雪装置
に対する反作用により除雪装置左右屈折時には傾斜動
作、除雪装置傾斜時には屈折動作を行なおうとする力が
働らくが、除雪動作中は傾斜シリンダ、屈折シリンダが
伸縮しない事により各シリンダはトラス構造のリンクの
役目を果たして抵抗し、不要な運動を抑制している。

また回転中心が球体である関係上、除雪装置には、その
自重による前傾モーメントが生ずるが、案内板11の案内
溝11aを通して案内ピン10にこれを負荷させる事により
前傾を抑制することができる。この実施例では、屈折、
傾斜運動の場合の案内機構として、円柱状の案内ピン10
と、これが嵌合する円筒状の軸受を有する機構を示した
が、この案内ピン及び軸受に代えて、上部にある球体６
の中心を通り除雪装置２の垂直軸線に平行な直線上に中
心を持つ別の球体及びこれに摺動可能な球形内面を有す
る角柱状の軸受を前記と同様な案内溝の中に設ける構造
とする等、公知の種々の構成を採用することができる。

さらに、この実施例のロータリ除雪車では、中間枠５の
上部を車両本体２に支持する上側リンクとして左右１対
の前後傾斜用液圧シリンダ４が使用されているので、こ
の液圧シリンダを下側リンクである昇降アーム３と概ね
同じ長さに保持した場合は、これらの部材、車両本体及
び中間枠５は平行四辺形リンクを構成し、昇降用シリン
ダ９により従前どおり除雪装置１を昇降させることがで
きる他、除雪装置１を上昇させた状態で、前後傾斜用液
圧シリンダ４を伸縮させることにより、除雪装置１を中
間枠５と一体的に前後方向に傾斜させることができる。

考案の効果 以上の如く、本考案のロータリ除雪車では、除雪装置を
車輌本体に対して任意に左右屈折、左右傾斜させること
ができるので狭あいな道路における機動性及び屈曲路に
おける除雪作業性が向上する事により従来では数度の切
り返しが必要な場所でも一度で済み除雪作業が容易で速
やかになり、道路とりわけ歩道の幅員が確保され歩行者
が車道を歩くことを余儀なくされる等の危険行為の防止
に役立つ。

また交差点等のカーブの部分の除雪も容易に行なえ除雪
作業時間の短縮にも効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるロータリ除雪車の実施例における
除雪装置と車輌本体との結合部の構成を示す側面図、第
２図は左右屈折時の除雪装置の位置を記入したその平面
図、第３図は第２図におけるIII−III線による断面図、
第４図は第１図におけるIV−IV線による断面図、第５図
は第１図におけるＶ−Ｖ線による断面図である。 １……ロータリ除雪装置 ２……フロントフレーム（車輌本体） ３……昇降アーム ４……前後傾用シリンダ ５……中間枠 ６……球体支持 ７……左右屈折シリンダ ８……左右傾斜用シリンダ ９……昇降用シリンダ 10……案内ピン 11……案内板 12……軸受 10,11,12……下部連結手段

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車両本体の前端に昇降手段を介して除雪装
   置を装備し、該除雪装置を車両本体に対して左右屈折及
   び左右傾斜させる機構を有するロータリ除雪車におい
   て、 車両本体と除雪装置との間に中間枠が設けられ、 該中間枠は、互いに平行な左右１対の上側リンクと互い
   に平行な左右１対の下側リンクとで車両本体に連結さ
   れ、 上記中間枠と除雪装置とは、単一の球関節である上部連
   結手段と、上記球関節の下方において上記中間枠に装着
   され上記球関節の球の中心を通る垂直線上に設けられた
   軸と、該軸に嵌挿され回転可能な軸受と、上記除雪装置
   に装着され上記軸受を除雪装置の左右方向に摺動可能に
   保持する案内板とで構成された下部連結手段とにより連
   結され、 車両の進行方向に平行な垂直面内で、車両本体前端付近
   の上部と上記下側リンクの中間枠側端部付近との間に斜
   方向に架設され、上記中間枠及び除雪装置を車両本体に
   対して昇降させる昇降用液圧シリンダと、 上記球関節の球の中心を通る水平面内で上記球関節より
   はなれた直線上に延設され、上記中間枠と上記除雪装置
   に両端が結合され、上記除雪装置を車両本体に対して左
   右屈折させる屈折用液圧シリンダと、 上記球関節の球の中心を通り、かつ車両の進行方向に直
   交する垂直面内で上記球関節よりはなれた直線上にほぼ
   水平に延設され、上記中間枠と上記除雪装置に両端が結
   合され、上記除雪装置を車両本体に対して左右傾斜させ
   る傾斜用液圧シリンダと、 を具備することを特徴とするロータリ除雪車。
2. 【請求項２】上記１対の上側リンクが夫々液圧シリンダ
   により構成されていることを特徴とする請求項１に記載
   のロータリ除雪車。