JP3612788B2 - 加熱炉のヒータ温度制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、Si、Geなどの半導体材料、GaAs、InP、CdTeなどの化合物半導体材料、酸化物、金属やセラミックスを加熱する装置に関する。原料多結晶から単結晶を育成する結晶成長炉や、単体原料から化合物を合成する合成炉、あるいは結晶を熱処理する炉、ヒ−タを用いて対象物を加熱する炉などが含まれる。
【0002】
但し、ヒ−タの形状配置が回転対称であって、ヒ−タ周りの温度分布が回転対称であるものが望ましい。回転対称というのは、ある軸回りに三次元円筒座標系を定義した時に温度分布T(r,Θ,z)が、ほぼT(r,z)によって表現する事ができるものを言う。つまりZ軸回りの温度分布が一様なのである。従って、温度分布は、rとzの二つのパラメータによってほぼ規定される。
【0003】
これはかなり特殊な条件のように見えよう。しかし円筒状のヒ−タや円錐状のヒ−タを使って、円筒、円錐の対象物を加熱すると、このような回転対称の温度分布が形成される。結晶成長炉や、熱処理炉においては極ふつうに用いられる。
【0004】
【従来の技術】
加熱炉において、ヒ−タの温度や、対象物の温度、あるいは雰囲気の温度を知ることは極めて重要である。これらの部位の温度が所定の温度から外れていれば予期した成果が得られない。高温部の温度は熱電対によって測定する。これは対象に接触した状態で温度計測するので正確である。ヒ−タの面に熱電対を接触させてヒータの温度を測定したり、るつぼの底に熱電対の先端を接触させて対象物の温度を測定する。対象が雰囲気である場合は、その部位に熱電対の先端を露出して設置する。
【0005】
対象が熱容量の大きい固体または液体の場合は、対象に接触させて温度計測できる。しかし対象が雰囲気の場合、熱電対を空間に単に露呈して温度計測する方法にはいくつかの難点がある、と本発明者は考える。空間の温度を測定する方法に関して従来例を説明する。
【0006】
[特開昭61ー286296号] これはGaAs等の化合物半導体単結晶を引き上げるLEC法において、磁場を原料融液に印加して結晶引き上げするものである。るつぼ底部に第1の熱電対が、ヒ−タ底部に第2の熱電対が設置される。るつぼとヒ−タの間に、雰囲気温度を知るための一つの熱電対が設けられる。第3の熱電対である。この熱電対の先端は露呈している。るつぼからも、ヒ−タからも離隔している。
【0007】
[特公平5ー71555号] これはGaAsなど化合物半導体単結晶をLEC法によって引き上げる方法の改良である。円筒形のヒ−タによってるつぼを加熱するが、るつぼの周りの温度揺らぎが大きくて不都合であるという。だからこれはるつぼ周りの温度揺らぎを減らすことを目的にしている。
【0008】
るつぼとヒ−タの間に軸方向に長い円筒形の温度安定材を設ける。安定材により、るつぼに対してヒ−タが隠れるような長い安定材である。ヒ−タの輻射熱は一旦安定材に吸収され、安定材の温度を上げて輻射となって、るつぼを間接加熱する。この安定材の中に、4つの熱電対の先端を異なる高さに埋め込んでいる。熱容量の大きい安定材が直接の輻射を遮り再輻射してるつぼを加熱するので、ヒ−タ電流の空間的、時間的揺らぎがあっても、るつぼ周りの温度分布が安定する。本発明に関連して注意すべきことは、熱電対の先端が固体の内部に埋め込まれているということである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ヒ−タとるつぼの間の空間温度を知るために、特開昭61−286296号は裸の熱電対をこの位置に設置している。このような構造では熱電対が露出しているため、チャンバ内の対流や、ちょっとした熱電対位置の変動などにより、温度検出値が変化する。実際に雰囲気温度が変わっていないのであるが、温度表示値のみが変わる。正確な雰囲気温度が分からないので、温度制御の再現性が悪かった。
【0010】
特公平5−71555号は熱電対を露呈させない。ヒ−タとるつぼの間に、熱電対が埋め込まれた軸方向に長い円筒状の安定材を設けている。これは熱電対を熱容量の大きい円筒部材によって包むので、温度が平均化されて揺らぎがなくなる。こういう利点がある。しかし欠点がある。円筒形の安定材は、円周方向に温度分布を均一化する。このため熱伝導の良い材料を使って安定材を作る。反面、安定材の熱伝導が高すぎるから軸方向にも熱分布が消滅してしまう。安定材そのものが、積極的に作用してるつぼの温度分布を小さくしている。つまり4つの熱電対が異なる部位に埋め込まれても、T1=T2=T3=T4というふうになってしまう。
【0011】
反面これは、軸方向の温度制御性が悪いということである。もとより特公平5−71555は、ヒ−タ温度を一旦安定材によって平均化させてからるつぼに輻射するものであって、安定材を熱分布の再構築に用いている。しかし多くの場合、温度センサ自体が、対象物に影響を及ぼすのは望ましくない。センサの存在により温度分布が乱されないものが良いという場合の方が多い。
【0012】
ヒ−タの形成する回転対称の空間の温度分布を正確に測定できる装置を提案する事が本発明の第1の目的である。
ヒ−タ周りの回転対称の温度分布を乱すことなく計測できる装置を提供する事が本発明の第2の目的である。
ヒ−タ周りの回転対称の温度分布を計り、ヒ−タ、対象物の温度を正しく制御する装置を提供する事が本発明の第3の目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の温度制御装置は、中央部に置かれた対象物を加熱する回転対称性のあるヒ−タが作る空間の温度分布を計測するための装置であって、熱電対の先端を埋め込んだ軸方向、半径方向に短いリングを対称中心に関して対称になるように設置している。リングの表面輻射率が0.3以上であることが望ましい。
【0014】
被加熱物体は、原料融液、成長中の単結晶、成長の終わった結晶など様々である。温度検出用のリングは、SiO 、SiN、AlN、Al その他のセラミックス、或いはカーボンのような導体を用いることができる。導体の場合は、熱電対の先端を絶縁する必要がある。炉は、結晶成長炉や、熱処理炉などであって回転対称性のあるものである。
【0015】
ヒ−タは、カーボンヒ−タや金属ヒ−タなどの抵抗加熱ヒ−タ、あるいは誘導加熱ヒ−タである。回転対称の温度分布を形成する必要があるので、ヒ−タは、円筒状、円錐状、リング状のものである事が必要である。
雰囲気は不活性ガス、窒素ガス、あるいは真空であっても良い。熱電対を埋め込んだ計測用のリングは、ヒ−タの内部にあっても良いし、外部にあっても良い。表面輻射率が高いと輻射熱をよく吸収するので、温度変化に早く追随できる。ここでは0.3以上が望ましい。もちろん0.4以上ならもっと良い。
【0016】
リングは長手方向、半径方向には短くなければならない。これには二つの理由がある。リングが軸方向、半径方向に長いと、長手方向の温度分布を消滅させるからである。温度センサの存在温度分布に影響を与えてはいけない。もう一つは空間の温度は長手方向(Z軸方向)と半径方向に変動し、この変動分を検出する必要があるからである。
【0017】
【作用】
被加熱物体は、円筒状又は円錐状の抵抗加熱ヒ−タからの輻射、或いは誘導加熱ヒ−タが被加熱物体自体に生ずる渦電流損失により加熱される。これによって形成される温度分布は回転対称である。つまりT(r,Θ,z)=T(r,z)というふうに表現される。
【0018】
本発明は、ヒ−タに対して同心位置で回転対称の、例えば円筒状または円錐状のリングを設ける。リングには熱電対の先端が埋め込まれている。回転対称のリングにはヒ−タからの輻射熱が当たる。これはもちろん被加熱物体への熱量に比例する。輻射熱によりリングが加熱され温度が上昇する。この温度を熱電対が計測する。被加熱物体の温度をこれから求めることができる。リング温度と、被加熱物体の温度が比例する。これらの量の間の比例定数を予め決定しておけば、リング温度から被加熱物体の温度を正確に測定できる。
【0019】
リングによって輻射を受けているので、次の利点がある。
従来法(特開昭61−286296)のように熱電対を空間中に露出している場合は、熱電対先端の熱容量が小さいので、対流変化や僅かの輻射変動によって熱電対の示度が著しく変化してしまう。時間的揺らぎが大きいのである。時間的揺らぎは、露出した熱電対の先端だけのものである。被加熱物体の温度がそのように激しく変動しているわけではない。
【0020】
本発明はリングによって輻射を受け、これが熱伝導によってリングを均一温度にする。この温度を熱電対によって検出しているので、時間的な変動が少なくなる。対流変動、輻射の変化など時間的に早い熱変動は、被加熱物体の内部では現実には起こらない。被加熱物体の熱容量が十分に大きいからである。リングによって熱を温度に変換するのは、被加熱物体の内部で起こる熱運動をより正確に反映していると言える。これは温度の細かく激しい時間変動をリングの熱容量によって平均化しているということである。
さらにリングの内部に先端が埋没しているから、熱電対先端の位置が少しぐらいずれても温度示度に変化はない。
【0021】
もう一つの重要な平均作用がある。これは幾何学的な平均化作用ということができる。ヒ−タが回転対称に配置され、被加熱物体の形状も回転対称である。すると被加熱物体の温度分布は回転対称である筈である。しかし空間的な温度分布は対流変動や輻射の時間的異方性の影響を受けて、必ずしも回転対称ではない。時間平均すれば、円筒対称になるが、時間的には様々の要因によって異方的な温度示度の変動が起こる。
【0022】
例えば3つの熱電対T1,T2,T3を、同じ高さz、同じ半径rの位置に120度の中心角をなすように配置して、空間温度を測定したとする。温度をT(t,r,z,0°)、T(t,r,z,120°)、T(t,r,z,240°)によって表現する。これらは時間平均はほぼ等しいが、しかし時間的な変動があって、時々刻々の値は食い違う。正確にT(t,r,z)の値を知るには、3つの熱電対を設置して平均値を取らないといけないということになる。
【0023】
本発明の場合は、円環状のリングに熱電対を埋設している。リングの熱伝導が優越するから、円周方向でリングの温度は一様になる。本発明では熱伝導によって均一化した温度を測定する。このために揺らぎのない温度を測定できる。時々刻々変動する温度示度は、その空間部位の温度としては正しいものである。しかし熱容量の大きい被加熱物体の温度を反映するものではない。であるから、擾乱部分を除いた温度計測の方が被加熱物体の状態をより正確に反映するのである。
【0024】
空間の複数の部位の温度を求めるには、複数のリングを用いる。これらのリングに一つの熱電対を埋め込んで、その位置(z,r)での温度を求める。こうするとヒ−タ毎の独立性が保障されるので、ヒ−タ間で干渉が起こらない。
温度の測定自体にこのような方法を使うこともできる。しかし本発明は被加熱物体の加熱状態の制御を目的とする。そこで熱電対測定値をフィードバックしてヒ−タパワーを制御する。温度計測がより正確になるから、被加熱物体の温度制御の再現性が高揚する。
【0025】
さらにリングの表面の輻射率が0.3以上の材料を選ぶのが望ましい。輻射率は放射率とも言う。これは同じ温度の黒体が出す単位面積当たりエネルギーに対するこの物体の単位面積当たりの放射エネルギーの比である。ある温度の物体から放出するエネルギーと、吸収するエネルギーは等しい。吸収率という言葉もある。これは同じ温度の黒体が吸収する単位面積当たりのエネルギーに対するある物体が吸収する単位面積当たりのエネルギーの比である。であるから吸収率と輻射率は等しい。黒体というのは全輻射を吸収するものである(輻射率=1)。実際には黒体は存在せず理想的な概念にすぎない。
【0026】
輻射率が低いと吸収も少ないから、ヒ−タからの輻射熱を効率よく吸収することができない。すると被加熱物体の温度変動をも正確に捕捉することができない。輻射率の高い方が、ヒ−タ輻射をよく吸収して熱変動をより忠実に追跡することができる。それ故、本発明では輻射率が0.3以上の物体をリングに用いるのが好ましい。0.4以上であっても良い。
【0027】
輻射率が高い方が検出の精度が良い。ヒ−タと被加熱物体の間にリングがある場合は、輻射率に上限がある。あまりに輻射率が高いと、吸収が大きくなりすぎて被加熱物体がリングの陰になり、被加熱物体の上に温度分布ができてしまう恐れがある。上限は0.8程度である。しかしリングがヒ−タの外側にある時はこのような制限がない。リング輻射率の上限は1である。
【0028】
輻射率は温度の関数である。ここでは使用温度において輻射率が0.3以上であるという意味である。
リングの半径方向の幅Wや、軸方向の厚みDなどは目的によって適宜決定する必要がある。軸方向にあまりに長いと、リングの存在が熱分布に影響する。断面積が大きいと単位長さ当たりの熱容量が大きくなり、ヒ−タパワ−の早い変動に追随できなくなる。ヒ−タの温度変動の最大速さ(dT/dt)や温度計測の許容誤差ΔTにより、またリングの比熱c、熱伝導率κにより、幅Wと厚みDの範囲が決められる。
【0029】
リングの中心に熱電対の先端が埋め込まれているとする。外側から半径方向にW/2の距離に温度計測点がある。温度変化が外側からここまでに熱伝導によって到達する時間は、W c/4κによって与えられる。この時のヒ−タの内外の温度差は、ヒ−タ温度変動の速さ(dT/dt)をこれに掛けて、(dT/dt)(W c/4κ)なる。これが許容誤差ΔT以下であればよいので、(dT/dt)(W c/4κ)<ΔTとなる。この条件から、幅Wの上限は、W<{(4κΔT)/c(dT/dt)}1/2 によって与えられる。
【0030】
リングの厚みDは幅Wと少し事情が違う。高さ方向の温度の差を正確に検出するためにDの大きさが制限される。しかしヒ−タは円筒対称に配置されるから、温度の分布は主に半径方向に発生する。高さ方向の温度分布は小さい。軸方向(高さ方向)の温度勾配を(dT/dz)として、高さ方向の温度計測の許容誤差をΔTzとすると、(dT/dz)D/2<ΔTzである。これから厚みDの範囲は、D<2ΔTz/(dT/dz)によって与えられる。
リングの幅W、厚みDの下限は、熱電対を支持するための十分な機械的強度があるということで決定される。
【0031】
【実施例】
[実施例1] 図1の構造のLEC装置でGaAs結晶を育成した。GaAs単結晶1は種結晶に続いて引き上げられる。種結晶2は、上軸6の下端に取り付けられている。るつぼ10は、PBNのるつぼである。これは内径150mmである。カーボンのサセプタ3の内部にるつぼ10が支持される。るつぼ10の中には、GaAs原料融液4と液体封止材であるB 5が収容される。
【0032】
サセプタ3の下底には、下軸7があって、これを回転昇降自在に支持している。るつぼの周りや結晶の周りには、ヒ−タA、B、Cが設けられる。分割ヒ−タをここで用いるのは温度勾配を微妙に制御するためである。しかし本発明の目的はヒ−タの構造の改良ではない。ヒ−タが1つ或いは2つ、4つの装置にも本発明は同様に適用することができる。
ヒ−タの外側には、円筒状或いは円盤状の保温材9が設けられる。カ−ボンやセラミックス等の耐熱性のある材料を用いる。これらの全体がチャンバ8の内部に収容されている。
【0033】
以上の構成は、LEC装置の構造である。以下に本発明に特有の構成を述べる。分割ヒ−タA、B、Cの外側に温度検出用のリング14、15、16が設置される。これはヒ−タA、B、Cから外側に放射された熱を吸収する。リングはアルミナ、カーボンなどの耐熱性の絶縁物または導電体を用いる。導電体の場合は、熱電対の先端を絶縁する必要がある。熱伝導性は高い方が良い。リングの材質にはアルミナを用いた。リング14、15、16の内部に一つずつ熱電対28、30、29を埋め込んでいる。
【0034】
上軸にGaAsの種結晶を取り付ける。るつぼ内に、GaAs10kg、B 300gをチャ−ジする。容器を閉じて、真空に引く。ヒ−タに通電して温度を上げる。窒素ガスを導入して液体封止材に圧力をかける。これは解離した砒素(As)が液体封止材から漏れるのを防ぐためである。
【0035】
るつぼ全体を1238℃(GaAsの融点)に加熱して原料を融解した後、シ−ディングして結晶成長を行なった。上軸、下軸ともに回転させる。図に示すように、種結晶に引き続いて単結晶が育成してゆく。ここでは3インチ径の単結晶を引き上げた。成長の間、熱電対28、30、29によって温度を測定し、この結果に基づいてヒ−タのパワーを制御する。このような装置によって、10本の単結晶を引き上げた。
【0036】
この結果、育成中のヒ−タ制御熱電対の温度変動は±0.2℃以下であった。毎回のシ−ディング(種付け)温度が±2℃以内に制御できた。再現性に優れた結晶育成ができた。育成した結晶は3インチ径で、10本育成し、単結晶歩留まりは平均60%であった。十分に満足できる高い歩留まりである。
【0037】
[比較例1] 一方、図1と同じ構造で、制御熱電対先端をリングに埋め込まず、露出したままにして同じような結晶成長を行った。この場合、育成中のヒ−タ制御熱電対の温度変動は±2℃であった。温度変動が大きすぎる。本発明はこれに比べて温度変動を約1/10に減らすことができる。毎回のシ−ディング温度は±15℃であった。これも揺らぎが大きすぎる。本発明はこれの約1/7程度の揺らぎにすぎない。露呈した熱電対を使って制御する方法に依ると、このように再現性の悪い結晶育成となった。結晶は3インチ径で、10本育成し、単結晶歩留まりは平均40%となった。
【0038】
[実施例2] 図2の構造のLEC装置で、GaAs結晶を育成した。LEC装置の概略は図1のものと同一である。ただし温度計測のためのリングの位置が違う。図1ではヒ−タの外側にリングがあった。
ここではヒ−タの内側にリングがある。この方がより直接にヒ−タパワ−を検出する事ができる。リングの材質にはカ−ボンを用いた。導電性であるから、熱電対とリングの間は電気的に絶縁してある。
【0039】
るつぼは内径200mmのPBN製である。図1と同様に、カ−ボンサセプタ内にセットされた。
るつぼ内には、GaAs15kg、B 500gをチャ−ジした。炉を閉じて、るつぼ全体を1238℃に加熱して原料を融解した。この後、シ−ディングして4インチ径のGaAs単結晶成長を行なった。
【0040】
結晶育成中のヒ−タ制御熱電対の温度変動は±0.15℃以下であった。15回の成長において、毎回のシ−ディング温度のばらつきは±1℃以内であった。非常に再現性がよい結晶育成できた。育成した結晶は4インチ径で、15本育成し、単結晶歩留まりは平均65%以上であった。
【0041】
[比較例2] 特公平5−71555号と同じ構造の装置を作り、温度制御性を調べた。軸方向に長い熱伝導率の高い円筒(安定材)を炉の内部に設置する。安定材の中に4つの熱電対を埋め込んだ。4つの熱電対により安定材の温度を計り、これによってヒ−タのパワーを制御して、結晶成長を行った。他の条件は図2と同じである。
育成中のヒ−タ制御熱電対の温度変動は±0.3℃と安定していた。しかし安定材を介したヒ−タ間の干渉のために、毎回のシ−ディング温度のばらつきは±10℃であった。再現性の悪い結晶育成である。
【0042】
[比較例3] さらに図2と同構造で、白金をリングに用いたものによって同じ結晶成長を行った。白金は表面輻射率が0.3以下である。結晶育成を15回行った。シ−ディング温度のばらつきが±5℃と大きかった。再現性が悪い。これはリングが熱を反射しやすいために、埋め込んだ熱電対がヒータからの加熱を十分感知できず、正しく原料融液の温度を反映しないからである。単結晶歩留まりは40%以下であった。満足できる結果ではない。リングは輻射率の大きいものがよいということが分かる。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、ヒ−タに対して同心のリングに埋め込まれた熱電対によってリングの温度を測定する。リング温度はヒ−タからのパワ−に比例するので、被加熱物体の加熱量を正確に検出することができる。この熱電対によってヒ−タパワーを調整すると、加熱条件の再現性を向上することができる。
【0044】
熱電対先端部が少し移動しても、リング内に入っていれば温度は殆ど変化しない。場所のずれによる温度の揺らぎがない。
ヒ−タに円周方向の発熱量の不均一性があっても被加熱物体の温度は円周方向に一様である。特に被加熱物体を回転する時は円周方向の一様性が高い。この場合、単独の熱電対によって温度計測すると、同一円周上にあっても温度示度が違う。しかし本発明はリングにより円周方向に熱吸収を均熱化する。ヒ−タの円周方向位置(Φ)によらず、r,zによって決まる値となる。温度の空間的揺らぎを捨象することができる。
【0045】
ヒ−タの製作や劣化によるばらつきも減る。温度制御の安定性と再現性が向上する。
リング全体の平均温度を検出することになるので、熱電対を露出した場合に比べて、雰囲気の対流による温度変動も低減できる。
複数の熱電対を使用する時は、ヒ−タ毎に分離したリングに熱電対を埋め込む。ヒ−タ間の独立性が高く、ヒ−タ間の干渉がない。
【0046】
リング表面の輻射率が0.3以上になるような材質を選ぶと、ヒ−タからリングに流入する熱量が増加する。これによって更に温度再現性が向上する。
図2の構造のようにリングがヒ−タと加熱物体の間にあれば、ヒ−タから加熱物体への輻射の一部がそのままリングに入る。更に温度再現性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るヒ−タ温度制御装置を備えた化合物半導体の引き上げ装置の概略断面図。
【図2】本発明の他の実施例に係るヒ−タ温度制御装置を備えた化合物半導体単結晶の引き上げ装置の概略断面図。
1 単結晶
2 種結晶
3 サセプタ
4 原料融液
5 液体封止材(B
6 上軸
7 下軸
8 チャンバ
9 保温材
10 るつぼ
11 るつぼ下底の温度を計測する熱電対
14 リング
15 リング
16 リング
28 熱電対
29 熱電対
30 熱電対

Claims (3)

  1. 被加熱物体を加熱するための回転対称性のあるヒータと、回転中心に対して対称の位置にあって被加熱物体とヒータから離隔して設けられ高さ方向厚みDがD<2ΔTz/(dT/dz)を満たす(ΔTzは高さ方向の温度計測の許容誤差、(dT/dz)は高さ方向の温度勾配)一つまたは複数のリングと、リングの内部に先端部が埋め込まれた熱電対とを含み、熱電対の温度測定結果に基づいてヒータパワーを制御する事を特徴とする加熱炉のヒータ温度制御装置。
  2. リングの表面輻射率が0.3以上であることを特徴とする請求項1に記載の加熱炉のヒータ温度制御装置。
  3. リングがヒータと被加熱物体との間にあることを特徴とする請求項1に記載の加熱炉のヒータ温度制御装置。
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