JP2001220285A - シリコン単結晶の温度勾配測定方法、温度センサーおよびこれを用いた育成方法 - Google Patents

シリコン単結晶の温度勾配測定方法、温度センサーおよびこれを用いた育成方法

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JP2001220285A
JP2001220285A JP2000030666A JP2000030666A JP2001220285A JP 2001220285 A JP2001220285 A JP 2001220285A JP 2000030666 A JP2000030666 A JP 2000030666A JP 2000030666 A JP2000030666 A JP 2000030666A JP 2001220285 A JP2001220285 A JP 2001220285A
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Masahiko Okui
正彦 奥井
Manabu Nishimoto
学 西本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】CZ法にてGrown-in欠陥をできるだけ少なくし
た、高品質シリコン単結晶を安定して製造するための、
引き上げ中単結晶の温度計測方法、計測手段およびそれ
らを用いた育成方法の提供。 【解決手段】引き上げる単結晶の表面近くで、融液面か
ら高さ120mmまでの範囲に、高さ位置の異なる2ヶの温
度センサー8を置き、単結晶表面からの輻射熱を計測
し、単結晶表面の垂直方向温度勾配を推測するが、この
センサーは単結晶表面からの受熱に黒鉛片を置き、黒鉛
片に非金属保護管を介して熱電対を接触させ、その周囲
を断熱材で覆った構造とする。この温度センサーを用
い、単結晶表面の垂直方向温度勾配を測定することによ
って、引き上げ条件を制御するシリコン単結晶の育成方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、半導体材料として
使用されるシリコン単結晶、より詳しくはチョクラルス
キー法(以下CZ法という)によるウェーハ用シリコン
単結晶を育成する際の、温度測定方法、温度センサーお
よびそれを用いて引き上げ条件を制御する育成方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】半導体材料のシリコンウェーハに用いる
シリコン単結晶の製造に、最も広く採用されている方法
がCZ法による単結晶の引き上げ育成方法である。CZ
法は、石英るつぼ内の溶融したシリコンに種結晶を浸け
て引き上げ、単結晶を成長させるものであるが、このシ
リコン単結晶の引き上げ育成技術の進歩により、欠陥の
少ない、無転位の大型単結晶が製造されるようになって
きている。半導体デバイスは、単結晶から得られたウェ
ーハを基板とし、数百のプロセスを経過して製品化され
る。その過程で基板には数多くの物理的処理、化学的処
理、さらには熱的処理が施され、中には1000℃以上での
高温処理など過酷な熱的環境での処理も含まれる。この
ようなデバイスの特性や品質に対し、単結晶の成長過程
にてその原因が導入されており、デバイスの製造過程で
顕在化してその性能を低下させる結果となるウェーハの
微小欠陥、とくにGrown-in欠陥が問題になる。
【0003】これら微少欠陥の代表的なものの分布は、
例えば図1のように観察される。これは、成長直後の単
結晶からウェーハを切り出し、硝酸銅水溶液に浸けてC
uを付着させ、熱処理後、X線トポグラフ法により微小
欠陥分布の観察をおこなった結果を模式的に示した図で
ある。すなわち、このウェーハは、外径の約2/3の位置
に、リング状に分布した酸化誘起積層欠陥―以下OSF
(Oxidation induced Stacking Fault)という―が現れた
ものであるが、そのリングの内側部分には赤外線散乱体
欠陥(COPあるいはFPDともいわれるがいずれも同
じSiが欠損した状態の欠陥)が見出される。また、リ
ング状OSFに接してすぐ外側には酸素析出促進領域が
あり、ここでは酸素析出物が現れやすい。そしてウェー
ハの周辺部は転位クラスター欠陥の発生しやすい部分と
なっている。この赤外線散乱体欠陥および転位クラスタ
ー欠陥がGrown-in欠陥といわれるものである。
【0004】上記の欠陥の発生位置は、通常単結晶引き
上げの際の引き上げ速度に大きく影響される。健全な単
結晶を得る引き上げ速度の範囲内にて、引き上げ速度を
変え成長させた単結晶について、結晶中心の引き上げ軸
に沿って縦方向に切断された面での各種の欠陥の分布を
調べると、図2(a)のような結果が得られる。単結晶引
き上げ軸に対し垂直に切り出した円盤状のウェーハ面で
見る場合、ショルダー部を形成させ所要の単結晶径とし
た後、引き上げ速度を下げていくと、結晶周辺部からリ
ング状OSFが現れる。周辺部に現れたこのリング状O
SFは、引き上げ速度の低下にともない、その径が次第
に小さくなり、やがては無くなって、ウェーハ全面がリ
ング状OSFの外側部分に相当するものになってしま
う。すなわち図1は、図2(a)における単結晶のAの引
き上げ軸に垂直な断面、またはその引き上げ速度で育成
した単結晶のウェーハを示したもので、リング状OSF
発生の位置を基準にすれば、引き上げ速度の速い場合は
リング状OSFの内側領域に相当する高速育成単結晶と
なり、遅い場合は外側領域の低速育成単結晶となる。
【0005】シリコン単結晶の転位は、その上に形成さ
れるデバイスの特性を劣化させる原因になることはよく
知られている。また、OSFはリーク電流増大など電気
特性を劣化させるが、リング状OSFにはこれが高密度
に存在する。そこで、現在通常のLSI用には、リング
状OSFが単結晶の最外周に分布するような、比較的高
速の引き上げ速度で単結晶が育成されている。それによ
って、ウェーハの大部分をリング状OSFの内側部分、
すなわち高速育成単結晶として、転位クラスターを回避
する。これは、リング状OSFの内側部分は、デバイス
の製造過程にて発生する重金属汚染に対するゲッタリン
グ作用が、外側部分よりも大きいことにもよっている。
【0006】近年LSIの集積度増大にともない、ゲー
ト酸化膜が薄膜化されて、デバイス製造工程での温度が
低温化してきた。このため、高温処理で発生しやすいO
SFが低減され、結晶の低酸素化もあってリング状OS
FなどのOSFは、デバイス特性を劣化させる因子とし
ての問題が少なくなってきた。しかし、高速育成単結晶
中に主として存在する赤外線散乱体欠陥の存在は、薄膜
化したゲート酸化膜の耐圧特性を大きく劣化させること
が明らかになっており、とくにデバイスのパターンが微
細化してくると、その影響が大きくなって高集積度化へ
の対応が困難になるとされている。
【0007】図1に示した欠陥分布において、リング状
OSFのすぐ外側には酸素析出が生じやすい領域、すな
わち酸素析出促進領域があり、その外側の最も外周に近
い部分には、転位クラスターなどの欠陥の発生しやすい
領域がある。そして酸素析出促進領域のすぐ外側に、転
位クラスター欠陥が検出されない無欠陥領域が存在す
る。また、リング状OSFの内側にも、リングに接して
赤外線散乱体の検出できない無欠陥領域がわずかに存在
している。
【0008】この無欠陥領域、酸素析出促進領域および
リング状OSFにはGrown-in欠陥が検出されないので、
これらの領域を拡大できれば、欠陥のきわめて少ないウ
ェーハ、ないしは単結晶の得られる可能性がある。たと
えば、特開平8-330316号公報には、単結晶育成時の引き
上げ速度をV(mm/min)、融点から1300℃までの温度
範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配をG(℃
/mm)とするとき、結晶中心部より外周から30mmまでの
内部位置ではV/Gを0.20〜0.22とし、結晶外周に向か
ってこれを漸次増加させるように温度勾配を制御して、
転位クラスターを生成させることなく、リング状OSF
の外側部分の無欠陥領域のみをウェーハ全面さらには単
結晶全体に広げる方法の発明が提示されている。この場
合、るつぼとヒーターの位置、育成単結晶の周囲に設置
されたカーボンからなる半円錐形状の熱輻射体の位置、
あるいはヒーター周囲の断熱体構造、等の種々条件を総
合伝熱計算によって検討し、上記条件の温度条件になる
ように設定し育成をおこなうとしている。
【0009】また、特開平11-79889号公報には、単結晶
育成中の固液界面の形状が単結晶の周辺5mmを除き、固
液界面の平均位置に対し±5mm以内となるようにして引
き上げること、そして1420℃から1350℃まで、または融
点から1400℃までの引き上げ軸方向の結晶内温度勾配を
結晶中心部分ではGc、結晶周辺部分ではGeとしたと
き、この二つの温度勾配の差ΔG(=Ge−Gc)が5
℃/cm以内であるように炉内温度を制御することによる
育成方法の発明が開示されている。要するに、育成中の
固液界面をできるだけ平坦に保ち、かつ単結晶内部の固
液界面からの温度勾配をできるだけ均一な状態に保つと
いう育成方法である。
【0010】このような状態は、引き上げ直後の単結晶
の冷却方法を種々制御することにより得られる。すなわ
ち、これらの考え方は、図2(a)に示される、引き上げ
速度が変化した場合のV字形のリング状OSFやその下
側に現れる各種欠陥の分布状態を、図2(b)に示される
ようにV型の開いた平坦に近い形状に近づけ、たとえば
図2(b)のB位置に相当する引き上げ速度で単結晶を育
成させたとすれば、単結晶全体を無欠陥領域とすること
ができるとするものである。
【0011】リング状OSFの発生を図2(b)に示され
る平坦に近い状態にするためには、シリコン溶融液の液
面直上にシリコン単結晶を囲繞するように固液界面断熱
材を設置するなど、装置上の工夫の他、単結晶育成中の
温度分布の状態を、総合伝熱解析ソフトにより推測調査
している。しかし、このようなソフトは、与えられた条
件下での温度分布は推測できるが、単結晶周辺における
特定の温度分布状態を実現するための、具体的な制御方
法を提供するものではなく、その精度も十分なものでは
ない。このため、実際の引き上げをおこなった場合の温
度分布の推測結果と、得られた単結晶の欠陥分布調査結
果との対比による、設定条件の修正を繰り返していく必
要があるが、十分安定して再現させることは容易ではな
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、CZ
法にて転位クラスターや赤外線散乱体のようなGrown-in
欠陥をできるだけ少なくしたウェーハを採取できる、大
径長尺の高品質単結晶を安定して製造するための、引き
上げ中単結晶の温度計測方法、計測手段およびそれらを
用いた育成方法の提供にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】単結晶の育成において、
引き上げ速度によるリング状OSFの発生を、図2(a)
に示されるV字状形態から、図2(b)に示される平坦に
近い状態にするには幾つかの手段が考えられる。この状
態を実現できるもっとも影響の大きい条件は、凝固直後
の高温域における単結晶内部の引き上げ軸方向温度勾配
である。とくに凝固点から1250℃までの温度範囲におい
て、引き上げ軸方向温度勾配を単結晶中心部よりも周辺
部の方が小さくなるようにすれば、図2(b)のような状
態を得ることができる。しかしながら、このようにして
引き上げ直後の冷却条件を制御して図2(b)の状態を実
現させ、これにより推測される無欠陥領域が得られる引
き上げ速度にて育成をおこなっても、単結晶全体を無欠
陥領域とすることは必ずしも容易ではない。
【0014】これは、高温域での垂直方向温度勾配推定
の精度が十分でなく、また無欠陥領域の得られる引き上
げ速度や条件の範囲が広くないので、ある条件では最適
であっても、単結晶が長くなったり、育成中の融液面の
変動があったりすると、最適の条件からずれてしまうた
めと思われた。したがって、育成中の高温域における単
結晶の温度は、できるだけ正確に知る必要があると考え
られた。
【0015】育成中のるつぼ、融液、または単結晶周辺
の温度を実測する方法として、たとえば特開平5-132391
号公報には、単結晶の固液界面の形状を推測するため、
単結晶の側面近くに融液面から高さの異なる3位置に熱
電対を配置計測し、それにより温度環境を制御する発明
が提示されている。この場合、結晶成長速度が小さいた
め、熱電対先端の測温位置の温度は、熱平衡状態にある
としているが、その熱電対先端の周囲温度の他に、結晶
表面ばかりでなく、融液面やるつぼ壁面からの熱輻射の
影響も受け、単結晶に関する温度情報が必ずしも十分に
は得られないと推測される。
【0016】凝固直後から1250℃までの、高温域におけ
る育成中単結晶の垂直方向温度勾配を精度よく検出する
には、融液やるつぼなどからの熱輻射の影響をできるだ
け少なくした測温が必要である。そこで、この測温部す
なわちセンサーについて種々検討した。それらの中で良
好と考えられたものの例を図3に示す。(a)はそのセン
サーの断面図、(b)または(c)は正面から見た図であ
る。(b)は4角形、(c)は円形にした例で、この形状に
とくに限定するものではない。基本的には単結晶側面か
らの熱輻射により黒鉛を加熱し、その温度を熱電対にて
検出するものである。黒鉛は輻射熱の吸収にすぐれ、熱
伝導がよく、しかも比熱が小さいので、周囲からの輻射
を断熱材で遮蔽しておけば、被測定面からの輻射に応じ
て温度が変化する。
【0017】このようなセンサーを、たとえば図4の模
式的に示した単結晶引き上げ装置において8として示し
たように、引き上げる単結晶の表面近くで、一つは融液
表面にできるだけ近い位置と、もう一つは単結晶の温度
が1250℃までの垂直方向における高さの異なる位置との
2ヶ所に配置する。そして、その2つのセンサーの検出
温度から、単結晶の垂直方向温度勾配を計測してみた。
その結果、2つのセンサーから検出される温度の差は、
引き上げ中の単結晶の表面近傍の温度勾配を示す指標に
用い得ることがわかった。
【0018】このように2つのセンサーを用い、それか
ら得られる信号により単結晶の垂直方向の温度勾配を推
測し、それに基づいて引き上げ速度を制御すれば、単結
晶の長さのより多くの部分を、Grown-in欠陥のない無欠
陥領域として育成できることが明らかになったのであ
る。すなわち本発明の要旨は次のとおりである。(1) 融
液からの引き上げによるシリコン単結晶の製造におい
て、引き上げる単結晶の表面近くで、融液面から高さ12
0mmまでの範囲に、高さ位置の異なる2ヶの温度センサ
ーを置き、単結晶表面からの輻射熱を計測することを特
徴とする、単結晶表面の垂直方向温度勾配の測定方法。
(2) 上記(1)の方法にて得られたシリコン単結晶表面の
垂直方向温度勾配の測定結果に基づき、引き上げ速度を
制御することを特徴とするシリコン単結晶の育成方法。
(3) シリコン単結晶表面からの輻射熱を受熱する黒鉛片
を備え、受熱面以外は断熱材で覆ったその黒鉛片に、非
金属保護管を介して熱電対を接触させた構造であること
を特徴とする、引き上げ中シリコン単結晶の表面温度計
測に用いる温度センサー。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の温度計測は、引き上げ中
のシリコン単結晶の主として表面から輻射される熱を、
高さ位置の異なる2ヶ所にて温度センサーで感知し、そ
れによって得られた温度の差から、シリコン単結晶周辺
部の垂直方向温度勾配を推測するものである。
【0020】この温度センサーは、たとえば図3に示し
たような構造のものを用いる。ここで図3(a)は断面を
示すものであり、図3(b)または(c)は、受熱面側から
見たものである。引き上げ中のシリコン単結晶の表面に
対面して黒鉛片10の受熱面14を向け、その反対側に
熱電対12を保護管13を介して接触させてあり、黒鉛
片10は受熱面14以外の面から直接熱輻射を受けない
よう、断熱材11で周囲を覆う構造とする。黒鉛片の受
熱面は隣接する断熱材と同一面である必要はなく、たと
えば図3(d)に示すように、受熱面14を周囲の断熱材
11などよりも奥におけば、目的とする単結晶表面以外
からの輻射の影響を軽減できる。
【0021】黒鉛片10はシリコン引き上げ用の装置内
部品に用いられる高密度高純度黒鉛製とし、その受熱面
14の形状は図3(b)または(c)に例示するごとく角や
丸とすればよく、とくには限定しない。黒鉛片10の受
熱面面積は19〜230mm2すなわち5mmφから15mm角程度あ
ればよく、その厚さは3〜12mm程度あればよい。この黒
鉛片10をシリコン単結晶表面からの輻射熱で加熱し、
その温度を熱電対12で検出するので、小さすぎると温
度が不安定になり、大きすぎると周辺にこのセンサーを
挿入した影響が及び、いずれも好ましくない。
【0022】熱電対12は1400℃以上の使用に耐えるJI
S-C1602のB、R、Sなどの種類を用いる。太さは通常
の直径0.5mmのものでよく、さらに細くしたものは黒鉛
加熱への影響が少なく好ましい。保護管13や図には示
していないが絶縁管は、石英ガラス製でもよいが、JIS-
R1401またはR1402などに示される、1400℃以上の使用に
耐える非金属磁器製のものを用いるのが望ましい。断熱
材11は黒鉛布、カーボンフェルト、セラミックファイ
バーなど、Siに対する汚染のおそれのないものを用い
ればよく、薄い部分でも2mm以上の厚さのあることが好
ましい。センサーは高温のシリコン融液上に近づけるの
で、その表面を覆う断熱材からの不純物の離脱は極力防
止しなければならない。このため、たとえば図3(d)中
に示したように、断熱材11の外表面を黒鉛材15で覆
い、さらにその上にSiC膜16をコーティングするこ
とが望ましい。
【0023】単結晶引き上げ装置内の温度センサーは、
黒鉛片の受熱面が単結晶表面から20〜60mmにある位置に
置くことが好ましい。そして融液面に近い高温側のセン
サーは、受熱面の中心または熱電対の先端位置が融液面
より15〜40mmの高さ、低温側の融液面より遠いセンサー
は、高温側センサーより30mm以上高く、融液面より120m
m以下の位置とするのがよい。これは、高温側センサー
はできるだけ融液面に近い位置に置かれることが好まし
いが、近づきすぎると融液温度の影響を受け、二つのセ
ンサーの融液面からの高さ位置の差が30mmを下回るよう
になると、温度差の検出精度が悪くなるからである。ま
た、低温側センサーの位置を120mm以下とするのは、融
液面から120mmを超える位置では単結晶の温度が1250℃
を下回り、温度勾配に基づくGrown-in欠陥の多少には、
影響のない部分となってしまうからである。
【0024】つぎに、本発明の効果を実際の例で説明す
る。図4に模式図を示した単結晶育成のできる装置を用
い、るつぼへのシリコン装入量を120kgとし、直径8イ
ンチの単結晶の引き上げをおこなった。まず、引き上げ
後の冷却条件、単結晶の回転、るつぼの回転、加熱電力
等を調整した上で、引き上げ速度を徐々に変化させる育
成方法にて単結晶を製造し、縦割り断面での欠陥の分布
を調査し、リング状OSFおよびその近傍に生じる酸素
析出促進領域や無欠陥領域が、図2(b)に示すような平
坦に近い状態になっていることを確認した。この場合、
ウェーハが全面無欠陥領域となる引き上げ速度は、0.36
0mm/min近傍にあることがわかった。
【0025】この図4の装置に、図3(a)および(c)に
示した円筒形状の温度センサー8を取り付けた。このセ
ンサーは、受熱用黒鉛片10の大きさが直径6mm、厚さ4
mmで、これに0.3mmのR級熱電対12を石英の保護管1
3を介して接触させ、黒鉛片の周囲を5mmの厚さの断熱
用カーボン布で覆い、さらに保護管周囲の空間もこの断
熱布で充填したものである。温度センサーは、高温側用
を受熱面が単結晶表面から40mm離れた融液面から25mmの
位置、低温側用を同じく単結晶面から40mm離れた融液面
からの高さが90mmの位置になるように設置した。
【0026】あらかじめボディ長が170mm、295mm、420m
m、670mmおよび820mmの5本の単結晶を別途用意してお
き、それぞれ中心部および外周表面から5mm内部に入っ
た周辺部に結晶引き上げ軸と平行に5mmの穴をあけ、R
級熱電対を入れた石英製保護管を挿入した。上記の単結
晶育成装置を用い、るつぼ内融液量と単結晶量の合計が
120kgになるようにしてシリコンを溶融し、シードチャ
ック6に上記単結晶を取り付け、下部を融液に浸けて十
分なじませ、それから引き上げを開始した。その場合引
き上げ開始時点で、熱電対先端が融液面よりも10mm下の
融液中にある状態とし、それから引き上げをおこなっ
た。この状態から各単結晶とも0.360mm/minの速度にて
80mm引き上げた時に、あらかじめ挿入してあった熱電対
にてその温度を測定した。この温度と融液温度との差か
ら平均温度勾配が求まる。
【0027】図5に単結晶の周辺部に挿入した熱電対に
て測定された温度による、単結晶長さに対する融液面か
ら70mmまでの間における平均温度勾配の測定結果を示
す。これから明らかなように、凝固直後の高温域におけ
る単結晶の垂直方向温度勾配は、引き上げられている単
結晶の長さによって変化し、単結晶の長さが短い間は大
きく、長くなると小さくなり、その変化の傾向は長くな
るほど緩やかになっている。このことは、単結晶の育成
条件を工夫し、引き上げ速度を変化させることにより、
図2(b)に示したリング状OSFなどが平坦に近い状態
となる引き上げ速度を見出して、その速度で引き上げ育
成をおこなった場合、単結晶の成長とともに結晶内部の
温度勾配が変化するので、単結晶全長を無欠陥領域する
ことが困難になるのではないかと推定された。
【0028】この単結晶に埋め込んだ熱電対による測温
と同時に、引き上げる単結晶の表面近くに設置した、上
記温度センサー8により温度の検出をおこなった。垂直
方向に65mm離して置かれた二つの温度センサーの検出温
度の差から、この間の温度勾配を求め、埋め込み熱電対
による温度勾配との対比をおこなってみると、図6に示
す結果が得られた。温度センサーにて検出される温度
と、埋め込み熱電対による温度とは、その値は一致はし
ないが、育成中の単結晶の温度勾配については、このよ
うな温度センサーにより、十分検出が可能であることが
明らかである。
【0029】そこで次に、熱電対を挿入して測定したも
のとそれぞれ同一の、長さの異なる5本の単結晶を用意
し、上記同様80mmの引き上げをおこなう間に引き上げ速
度をわずかずつ変え、ウェーハ面が全面無欠陥領域とな
る最適引き上げ速度を調査した。その際に、前述の場合
と同様に温度センサーを配置して、温度勾配を検出し
た。その結果、温度センサーによる温度勾配と最適引き
上げ速度とは、図7のような関係のあることが見出され
た。この最適引き上げ速度においては、中心部の熱電対
挿入による温度計測結果をあわせて見てみると、中心部
の垂直方向温度勾配よりも周辺部の垂直方向温度勾配の
方が小さくなっていることが確認された。
【0030】以上の結果に基づき、図4に示した温度セ
ンサー8を配置し、それによって得られる単結晶凝固直
後の温度勾配の推測値から、引き上げ速度を調整しつつ
単結晶の育成をおこなった。すなわち温度勾配が大きい
場合は引き上げ速度を大きくし、温度勾配が小さくなれ
ば引き上げ速度を小さくするというように、温度勾配か
ら常に最適引き上げ速度で育成されるよう、引き上げ速
度のわずかな修正をおこないつつ育成させた。その結
果、修正をおこなわずに育成した場合には、Grown-in欠
陥のない部分が200〜900mmの単結晶の長さ範囲で40%程
度であったのに対し、温度勾配から引き上げ速度を修正
する方法を適用することにより、90%以上とすることが
できた。
【0031】
【発明の効果】本発明は、シリコン単結晶引き上げの凝
固直後の高温における垂直方向温度勾配について、比較
的単純な構造の温度センサーを融液面からの高さの異な
る位置に置いて計測する。この検出した温度勾配によっ
て引き上げ条件を修正することにより、単結晶中のGrow
n-in欠陥のない部分を大幅に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコンウェーハで観察される典型的な欠陥分
布の例を模式的に示した図である。
【図2】単結晶引き上げ時の、引き上げ速度と結晶欠陥
の発生位置との関係を、模式的に説明した図である。
【図3】引き上げ中単結晶の、垂直方向温度勾配を推測
するための温度センサーの構造を示す図である。
【図4】単結晶育成装置の断面と温度勾配計測用センサ
ーの配置位置を模式的に示した図である。
【図5】単結晶の引き上げ長さと、そのときの融液面か
ら70mmの位置までの間の平均温度勾配との関係を示す図
である。
【図6】単結晶の融液面から70mmの位置までの間の平均
温度勾配の実測値と、温度センサーにて検出された温度
勾配との関係を示す図である。
【図7】温度センサーによる温度勾配と、無欠陥領域の
ウェーハが得られる最適引き上げ速度との関係を示す図
である。
【符号の説明】 1.ルツボ 2. ルツボ支持軸 3.ヒーター 4.シリコン溶融液 5.引き上げ軸 6.シードチャック 7.単結晶 8.温度センサー 9.熱遮蔽材 10.黒鉛片 11.断熱材 12.熱電対 13.保護管 14.受熱面 15.黒鉛材 16.表面コーティング
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01K 7/02 G01K 7/02 C H01L 21/208 H01L 21/208 P Fターム(参考) 2F056 KC03 KC06 2G066 AC01 AC02 BA08 CA01 CA14 4G077 AA02 BA04 CF10 EH06 EH09 PF51 PF53 5F053 AA12 AA50 BB58 BB60 DD01 FF04 GG01 HH04 PP03 RR03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】融液からの引き上げによるシリコン単結晶
    の製造において、引き上げる単結晶の表面近くで、融液
    面から高さ120mmまでの範囲に、高さ位置の異なる2ヶ
    の温度センサーを置き、単結晶表面からの輻射熱を計測
    することを特徴とする、単結晶表面の垂直方向温度勾配
    の測定方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法にて得られたシリコ
    ン単結晶表面の垂直方向温度勾配の測定結果に基づき、
    引き上げ速度を制御することを特徴とするシリコン単結
    晶の育成方法。
  3. 【請求項3】シリコン単結晶表面からの輻射熱を受熱す
    る黒鉛片を備え、受熱面以外は断熱材で覆ったその黒鉛
    片に、非金属保護管を介して熱電対を接触させた構造で
    あることを特徴とする、引き上げ中シリコン単結晶の表
    面温度計測に用いる温度センサー。
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