JP3589077B2 - シリコン単結晶の製造方法ならびにこの方法で製造された単結晶およびシリコンウエーハ - Google Patents

シリコン単結晶の製造方法ならびにこの方法で製造された単結晶およびシリコンウエーハ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、横磁場を印加するチョクラルスキー法(Horizontal Magnetic−field−applied Czochralski Method、HMCZ法)により、シリコン単結晶棒を成長させるシリコン単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造に用いられるシリコン単結晶の製造方法として、石英ルツボ内のシリコン融液から結晶を成長させつつ引上げるチョクラルスキー法(CZ法)が広く行われている。CZ法では、ルツボの側面から加熱を行うために融液中に自然対流が発生する。また、高品質のシリコン単結晶を得るために、結晶の回転数やルツボの回転数を調整するので、シリコン融液内には強制対流も生じて複雑な流れとなる。かかる融液内対流の制御にはシリコンメルトに静磁場を印加する方法が有効であるといわれている(「磁場応用CZシリコン結晶成長とその特性」、集積回路シンポジウム、1980.11参照)。
このような方法は、横磁場型のHMCZ法として広く知られ、メルト表面の縦(垂直)磁場成分については、これを0とするか、あるいは横磁場成分に対して非常に小さい比率として製造が行われてきた。これは、HMCZ法では上下の融液対流を抑制し、単結晶の育成を容易にすることが大きな目的であるからである。
【0003】
ところで近年の高集積化された半導体素子の製造では、基板であるシリコンウエーハ中に混入された、格子間酸素原子が様々な形で利用されており、素子作製プロセスでの熱応力に耐えるための機械強度の向上や、素子作製プロセスで過剰に混入した格子間酸素原子が析出して形成される微小欠陥(Bulk Micro Defect)による重金属不純物のゲッタリングサイトとしての利用等が挙げられる。従って、近年の高品質シリコン単結晶においては、格子間酸素濃度の制御やその均一性が重要となっている。
【0004】
しかし、上記のようなHMCZ法による引上げ方法では、石英ルツボ内のシリコン融液対流が抑制されており、結晶製造は容易であるが、結晶品質として格子間酸素濃度の微小変動が生じ、単結晶の製品収率が低下する場合があった。すなわち、結晶の成長方向長さにおいて数百ミクロン〜数ミリ程度で振幅が1ppma程度の格子間酸素濃度の変動が生じ、この部分から作られるシリコンウエーハの面内方向の酸素濃度分布を著しく悪化させた。これらについては特開平9−188590号公報等の改善方法が開示されているが、必ずしも十分な効果を挙げることはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、横磁場を印加するCZ法において、成長単結晶の成長方向の格子間酸素濃度の均一性が高いシリコン単結晶棒を高生産性、高歩留りで育成できるシリコン単結晶の製造方法を提供することを主たる目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、石英ルツボ内のシリコン融液から単結晶を引上げるに際し、該石英ルツボ内の融液に結晶成長軸と垂直方向の磁場を印加しながら単結晶棒を成長させるシリコン単結晶の製造方法において、ルツボ内のシリコン融液表面に発生する高温部と低温部の内、いずれか一方が常に結晶成長の固液界面に位置するようにして結晶成長を行うことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
【0007】
このように、ルツボ内のシリコン融液表面に発生する高温部と低温部の内、いずれか一方が常に結晶成長の固液界面に位置するようにして結晶成長を行うことによって、結晶成長中に生じる成長方向の酸素濃度の変動を抑制することができると共に、結晶の径方向面内の格子間酸素濃度の均一性を向上させることができる。
【0008】
そしてこの場合前記高温部、低温部のいずれか一方が常にシリコン融液表面の中心部に位置する状態で結晶成長するようにすることができる。
このようにすれば、結晶成長が容易であると共に、結晶成長固液界面に高温部あるいは低温部が位置することができ、この状態を長時間安定して保持出来るので、より一層結晶成長方向の格子間酸素濃度の変動を抑制することができ、格子間酸素濃度の均一性の高い単結晶の生産性と歩留りの向上を図ることができる。
【0009】
さらにこの場合前記融液表面の高温部、低温部の検出を放射温度計、熱電対またはCCDカメラで行うことができる。
このように融液表面の温度分布を放射温度計、熱電対またはCCDカメラで測定して高温部または低温部の位置と範囲を検出、確認するようにすれば、高温部、低温部を容易に検出して常に融液表面の中心部に位置させることができ、温度分布の変動防止に有効であり、単結晶成長方向の格子間酸素濃度の均一性を向上させることができる。
【0010】
そして、前記のシリコン単結晶の製造方法において、前記放射温度計、熱電対またはCCDカメラによる融液表面の温度分布のモニタを、結晶成長中常時連続して行い、融液表面に発生する高温部と低温部の内、いずれか一方が常に結晶成長の固液界面に位置するようにして結晶成長を行うことが望ましい。
【0011】
次に、本発明は前記のシリコン単結晶の製造方法において、前記放射温度計、熱電対またはCCDカメラによる融液表面の温度分布のモニタを、予め結晶成長実験を行って、融液表面に発生する高温部と低温部の内、いずれか一方が常に結晶成長の固液界面に位置する条件を求め、結晶成長操業に適用することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
【0012】
融液表面に発生する高温部と低温部の内、いずれか一方を常に結晶成長の固液界面に位置させる条件としては、融液内部の温度分布、融液の対流方向・位置・速度、成長結晶回転速度、ルツボ回転速度、炉内温度分布、炉内雰囲気ガス流量・流速・吹き出し位置、横磁場強度・磁場中心位置、各炉の特性等の要因が複雑に絡み合っているので、予め結晶成長実験を行って要因を絞り込むことになる。そして実際の操業においては、その絞り込んだ要因に放射温度計、熱電対またはCCDカメラの検出結果をフィードバックして融液表面の温度分布の安定化を図り、これを結晶成長中保持することによって成長結晶中の格子間酸素濃度の変動を抑制することができる。
【0013】
さらに、本発明は前記に記載の方法により製造されたシリコン単結晶であり、結晶中の成長方向格子間酸素濃度の均一性の極めて高いシリコン単結晶である。
【0014】
そして、本発明は前記に記載の方法により製造されたシリコン単結晶から得られるシリコン単結晶ウエーハであり、格子間酸素濃度の面内径方向分布の微少変動を著しく低減したシリコン単結晶ウエーハとすることができる。
【0015】
さらに本発明は、石英ルツボ内のシリコン融液から引上げる単結晶の結晶成長軸方向の長さ40mmの任意の区間において、格子間酸素濃度の変動幅が0.5ppma以下であることを特徴とする水平磁場型チョクラルスキー法で製造されたシリコン単結晶であり、格子間酸素濃度の結晶成長軸方向の微少変動を著しく低減したシリコン単結晶とすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者等は、横磁場を印加するCZ法によるシリコン単結晶の成長に際し、従来のHMCZ法で引上げた場合に単結晶成長軸方向の格子間酸素濃度の均一性が十分でない場合があり、その原因を調査、究明した所、融液表面に発生する高温部または低温部が深く関係していることを見出し、詳細に条件を詰めて本発明を完成させた。
【0017】
先ず、HMCZ法における融液(以下、メルトということがある)の温度分布を測定し、対流を観察した。
本発明者等の調査、実験によると、融液表面温度の測定と、表面対流の観察から、HMCZ法においては、融液表面にある特定の温度分布が生じることが判った。また、その温度分布に対応するようなメルト対流も観察された。その様子は、例えば図2に示したように、石英ルツボ4のほぼ対向するルツボの周辺の2箇所で上昇流が生じ、ルツボの中心線付近に向かって融液3が流れ込むというものである。この際、融液表面における上昇流の部分が高温部となり、融液の流れ込む部分が低温部となる。
【0018】
上昇流の生じる場所は、図1および図5に示した磁場強度分布に見られるように、ルツボ周辺部の内で、電磁石コイル2a、2bから最も離れた部分である場合が多く、電磁石コイルから離れた位置では磁場強度が弱くなり、対流抑制効果が減少し、そのため図2に示したような位置で生じる上昇流が、上記のような特徴的なメルト対流の要因であると推定している。
【0019】
このようなメルトの対流と結晶中の格子間酸素濃度の関係について、発明者等が実験、調査した結果、低温部であるメルトの流れ込み部分から結晶成長を行うと、結晶中の格子間酸素濃度が上昇することが判った。この原因は未確定であるが、温度が低い程、メルト中への酸素の固溶度が増す、あるいは、温度が高い程、メルトからの酸素の蒸発が多くなるといったことが原因として推定される。
【0020】
問題はこの温度分布が常に一定しているわけではなく、結晶の引上げ条件の変化によって、低温部の流れ込みの位置が変化することにある。
例えば、1本の結晶成長中であっても、メルトの量が変化したり、メルトに対する加熱分布が変化したり、磁場との相対位置が変化したりすることによって、その温度分布が変化する。そこで、例えば、それまで高温部で結晶を成長していたところに、低温部が結晶下を通過するようなことがあると、そこで結晶中に取り込まれる格子間酸素濃度がその部分だけ上昇し、酸素濃度変動の問題が生じることになる。このようなHMCZ法のメルトにおける温度分布の偏りは、HMCZ法の宿命ともいえる問題であり、これを無くすことは非常に難しいと考えられる。
【0021】
しかし逆にこの温度分布の偏りを利用してこれを安定して維持できるならば、酸素濃度の変動を抑制できるのではないかと発想し、調査、実験を重ねた結果、HMCZ法におけるメルト表面に生じる温度分布の高温部と低温部の内、高温部または低温部のいずれか一方が常に成長する結晶の下に位置する様な状態で結晶成長を行うことで、成長中に生じる格子間酸素濃度のバラツキを抑制することが可能であることが判ってきた。残る問題は、いかにメルトの温度分布、言い換えれば、対流のパターンをある一定の範囲内に維持するかということである。
【0022】
この場合、融液表面の高温部、低温部の検出を放射温度計、熱電対またはCCDカメラで行うのが極めて有効であり、結晶成長中常時連続して融液表面の温度分布のモニタを行うことが望ましい。ここで、CCDカメラによる温度の検出とは、融液表面から発射される放射エネルギーの二次元分布を撮影し、信号電荷を温度に変換して融液表面の二次元温度分布を得るというものである。
そして、予め結晶成長実験を行って、融液表面に発生する高温部と低温部の内、いずれか一方が常に結晶成長の固液界面に位置する条件を求め、結晶成長操業に適用することになる。
【0023】
融液表面に発生する高温部と低温部の内、いずれか一方を常に結晶成長の固液界面に位置させる条件としては、融液内部の温度分布、融液の対流方向・位置・速度、成長結晶回転速度、ルツボ回転速度、炉内温度分布、炉内雰囲気ガス流量・流速・吹き出し位置、横磁場強度・磁場中心位置、各炉の特性等の要因が複雑に絡み合っているので、予め結晶成長実験を行って要因を絞り込むことになる。そして実際の結晶成長操業においては、その絞り込んだ要因を制御しつつ結晶を引上げればよいが、この場合、放射温度計、熱電対またはCCDカメラの検出結果をフィードバックして融液表面の温度分布の安定化を図り、これを結晶成長中保持することによって成長結晶中の格子間酸素濃度の変動を抑制するようにするのが好ましい。
【0024】
これらの要因の内、具体的に絞り込んだ例として、融液表面の低温部を成長する結晶の下に常に位置するようにするためには、炉内の温度分布や、雰囲気ガス(アルゴン)流れの成長結晶軸対称性のよい状態において、ルツボの回転速度をある範囲内に維持することで可能となることが判ってきた。このルツボの回転速度は、結晶の成長条件によって異なるので、経験的に求める必要がある。ルツボの回転速度が速くなると、その回転によって、融液表面の温度分布がルツボの回転方向に回転し、あるところで、また元の位置に戻るような振動現象を繰り返すので、温度分布が周期的に乱れて良くない。ルツボ回転速度が遅い場合には、低温部がルツボの中心線上付近にあっても、平行移動し易く良くない。この平行移動の原因はよくわからないが、炉内の環境のわずかな非軸対称性を反映するのではないかと思われる。
【0025】
さらには、ルツボ壁部分での上昇流が強いほど、中心に安定した流れ込み部が出来る傾向があるので、磁場成分の湾曲を大きくして、コイルと直交する側の磁場強度を弱くすることでも温度分布の安定化に効果がある。この値についても、加熱分布や、炉内の構造による温度分布や、メルト深さに対する磁場中心の位置によって変化するので、経験的に求める必要がある。
他に、磁場強度を非常に強くすることも考えられるが、装置のコストが嵩む、漏洩磁場の問題などがあり、工業的には適さない。
【0026】
逆に、高温部を成長結晶下に常に位置するようにするには、炉内の温度分布や、雰囲気ガス流れを非軸対称にすることで、ルツボ壁での上昇流の強さに差異が生じ、結果的に流れ込みの場所を、電磁石コイルの中心軸から偏らせることが出来る。具体的に、炉内温度分布を変更するには、融液面上に配置する断熱筒等の配置に偏りを設けたり、雰囲気ガスの整流筒の配置に偏りを設けてガスの流れを非軸対称にしたりするのが比較的容易な方法である。
【0027】
次に、本発明で使用する横磁場を印加するCZ法による単結晶引上げ装置の構成例を図1により説明する。図1に示すように、この単結晶引上げ装置は、チャンバー1と、チャンバー1中に設けられた石英ルツボ4と、石英ルツボ4の周囲に配置された黒鉛抵抗加熱ヒータ7と、石英ルツボ4を回転させるルツボ回転軸13及びその回転機構(図示せず)と、シリコンの種結晶14を保持する種保持具15と、種保持具を引上げるワイヤー16と、ワイヤーを回転又は巻き取る巻取機構(図示せず)を備えて構成されている。石英ルツボ4はシリコン融液(湯)3を収容し、その外側には黒鉛サセプター(ルツボ)5が設けられている。また、加熱ヒータ7の外側周囲には断熱材8が配置されている。そして、チャンバー1の水平方向の外側に、横磁場用電磁石2a、2bをルツボ回転軸13に対して左右対称に設置し、磁場装置制御盤9により磁場強度を制御している。ここで発生する磁力線10は水平磁場成分11と垂直磁場成分12から成っている。
【0028】
加えて本発明において、ルツボ内のシリコン融液表面に発生する高温部と低温部の内、いずれか一方が常に結晶成長の固液界面に位置するようにして結晶成長を行うための付加装置の例としては、炉内温度分布を調整するために成長結晶周りに配置する断熱筒17、炉内雰囲気ガスの結晶表面への当たり方を調整するために成長結晶周りに配置する雰囲気ガス整流筒18等が挙げられる。
【0029】
次に、上記の横磁場を印加するCZ法の単結晶引上げ装置による単結晶育成方法について説明する。
まず、電磁石2a、2bの磁場中心位置を不図示の電磁石昇降機構により所定の位置に設定する。次に、石英ルツボ4内でシリコンの高純度多結晶原料を融点(約1420°C)以上に加熱して融解する。そして、横磁場を印加し、ワイヤー16を繰り出すことにより融液3の表面略中心部に種結晶14の先端を接触又は浸漬させる。その後、ルツボ回転軸13を適宜の方向に回転させるとともに、ワイヤー16を回転させながら巻き取り種結晶14を引上げることにより、シリコン単結晶6の育成が開始される。以後、引上げ速度と温度を適切に調節することにより略円柱形状の単結晶棒を得ることができる。
【0030】
次に、これら温度分布改善要因の例を挙げてその効果を確認した。
(テスト1)
図1に示したHMCZ法によるシリコン単結晶製造装置を用いて、直径24インチサイズの石英ルツボに多結晶シリコンを150kg投入し、該多結晶シリコンを抵抗加熱の黒鉛ヒーターにより溶解した。磁場装置制御盤の出力を調整して石英ルツボ内に形成されたシリコンメルトにほぼ水平方向に磁場を4000Gauss印加し、該シリコンメルトに面方位{100}を有する種結晶を浸漬させ、種絞り工程を経て直径200mmのシリコン単結晶を育成した。この時、シリコンメルト表面の温度分布が、結晶成長全長にわたって、低温部がほぼ中心に固定されるように、ルツボ回転速度を1.0rpmとし、成長結晶の周囲に雰囲気ガス(アルゴンガス)の整流筒を設け、結晶周囲に均一にガスが当たるようにした。また、融液表面の温度分布のモニタは放射温度計、熱電対またはCCDカメラで連続して行った。
【0031】
以上の条件で引き上げた単結晶棒において、結晶中に取り込まれた格子間酸素濃度の均一性評価を行った。引き上げたシリコン単結晶を結晶の中心部から成長軸に平行な{001}面を有する厚さ2mmのウェーハを切り出し、両面を研磨して、μ−FTIR(Fourier Transform InfraredSpectroscopy)にて格子間酸素濃度を300μm間隔で結晶直胴部中央で長さ40mmにわたって測定した。測定のスポット径は、成長方向×直径方向:100μm×200μm=0.02mm である。結晶の外周から径方向に10mm入った位置で成長方向に行った。周辺を測る理由は、メルトの酸素濃度の変化に対して、感度が高いからである。
【0032】
格子間酸素濃度の測定結果を図3(b)に示す。
図3(b)から、雰囲気ガスの結晶への当たり方が均一で、ルツボ回転を1.0rpm程度まで上昇させると、融液表面の低温部は安定してメルトの中心付近に存在しており、格子間酸素濃度の変動は著しく小さくなっていることが判る。
図4は、単結晶棒の(a)は肩部から10cm内側寄りの直胴部、(b)は直胴部中央[図3(b)に同じ]、(c)はテール部から5cm内側の直胴部、における測定結果を示した。図4から結晶全長にわたって格子間酸素濃度の均一性が改善されたことが判る。
【0033】
(テスト2)
上記テスト1の結晶成長条件の内、ルツボの回転速度を0.3rpmとした以外はテスト1と同条件で結晶を引上げた。
その結果を図3の(a)に示す。
図3(a)に示したように、雰囲気ガスの結晶表面への当たり方が均一でも、ルツボ回転が低速の場合には、ときどき酸素濃度の低い部分が生じ、大きくバラツイているのが判る。これは、通常は低温部が中心に存在していて、それが周期的に結晶の下から外側に向かって移動し、また元に戻るというメルトの動きが生じるためと考えられる。
【0034】
(テスト3)
上記テスト1の結晶成長条件の内、雰囲気ガス整流筒のガスの吹き出し側の一部に切り欠きを設けた以外はテスト1と同条件で結晶を引上げた。
その結果を図3の(d)に示す。この場合は、雰囲気ガスの結晶への当たり方が不均一で、炉内温度分布に偏りが生じるが、結晶下に高温部が発生し、ルツボ回転を1.0rpm程度まで上昇させると、高温部は安定してメルトの中心付近に存在することになり、格子間酸素濃度の変動は極めて小さくなった。
【0035】
(テスト4)
上記テスト1の結晶成長条件の内、ルツボの回転速度を0.3rpmとし、雰囲気ガス整流筒のガスの吹き出し側の一部に切り欠きを設けた以外はテスト1と同条件で結晶を引上げた。
その結果を図3(c)に示す。図3(c)では、テスト2(図3(a))とは逆に、時々酸素濃度の高い部分が生じた。これは、雰囲気ガスの流れを非軸対称にしたことによって、メルト表面の温度分布に偏りが生じ、通常は高温部が中心に存在し、低温部は中心からずれてルツボ周辺に存在するが、この低温部が時々メルト中央に向かって移動して結晶の下を通過し、また元に戻るというメルトの動きが生じるためと考えられる。
【0036】
以上のように、上記で説明した製造方法と装置によって製造されたシリコン単結晶において、本発明の横磁場を印加するCZ法の適切な条件下に成長させれば、ルツボ内の融液表面における高温部と低温部の内、いずれか一方が常に成長結晶の固液界面に位置するようにし、融液表面の中心部に位置する状態で結晶成長を行うと、成長結晶中の軸方向の格子間酸素濃度のバラツキは著しく小さく、ウエーハの面内酸素濃度の均一性は極めて高いものとなると共に、シリコン単結晶の生産性と歩留りの向上を図ることができる。
【0037】
また、従来のHMCZ法では、石英ルツボ内のシリコン融液対流が抑制されてはいたが、時々対流に変動が生じ、それにより結晶成長方向において格子間酸素濃度の微少変動が存在していた。この結晶部分から作られるシリコンウエーハは、面内酸素濃度分布が著しく悪化し、製品歩留りが低下していた。そこで、面内の酸素濃度分布が良好なシリコンウエーハを得るためには、結晶成長界面での酸素濃度を均一とすれば、成長界面の高さは約20〜30mmであり、結晶成長方向において、任意の40mm区間での酸素濃度の微少変動が0.5ppma以下で製造された結晶であればよい。
【0038】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0039】
例えば、上記実施形態においては、本発明の方法につき、ルツボ内のシリコン融液表面に発生する高温部と低温部の内、いずれか一方が常に融液表面の中心に来るようにして結晶成長させたが、偏心した軸上で成長させても良い。また、雰囲気ガスの結晶表面への当たり方を調整するのに、切り欠きを設けた雰囲気ガス整流筒を用いたが、該整流筒を偏心させてもよく、十分効果を挙げることができる。
【0040】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の横磁場印加チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法によれば、成長結晶中の成長軸方向の格子間酸素濃度のバラツキを抑え、ウエーハ面内格子間酸素濃度の微小変動を著しく低減することができるので、高い収率で高品質シリコン単結晶を工業的に安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】HMCZ法シリコン単結晶製造装置の概略説明図である。
【図2】HMCZ法によるシリコン融液の対流の様子の一例を示した説明図である。
【図3】シリコン単結晶中の成長軸方向の格子間酸素濃度の変動を示した図である(結晶の周辺から10mm入った位置の測定値)。
(a)メルトの低温部上で成長し、時々、低温部が結晶下から外側にずれた場合、
(b)メルトの低温部上でのみ成長した場合、
(c)メルトの高温部上で成長し、時々、低温部が結晶下を通過した場合、
(d)メルトの高温部上でのみ成長した場合。
【図4】テスト1におけるシリコン単結晶中の成長軸方向の格子間酸素濃度の変動を示した図である(結晶の周辺から10mm入った位置の測定値)。
(a)単結晶棒の肩部から10cm内側寄りよりの直胴部、
(b)単結晶棒の直胴部中央[図3(b)と同じ]、
(c)単結晶棒のテール部から5cm内側の直胴部。
【図5】HMCZ法シリコン単結晶製造装置における水平面磁場強度分布図である。
【符号の説明】
1…チャンバー、2a、2b…横磁場用電磁石、3…シリコン融液、
4…石英ルツボ、5…黒鉛サセプター、6…シリコン単結晶、
7…黒鉛抵抗加熱ヒーター、8…断熱材、9…磁場装置制御盤、
10…磁力線、11…水平磁場成分、12…垂直磁場成分、
13…ルツボ回転軸、14…種結晶、15…種保持具、16…ワイヤー、
17…断熱筒、18…雰囲気ガス整流筒。

Claims (5)

  1. 石英ルツボ内のシリコン融液から単結晶を引上げるに際し、該石英ルツボ内の融液に結晶成長軸と垂直方向の磁場を印加しながら単結晶棒を成長させるシリコン単結晶の製造方法において、ルツボ内のシリコン融液表面に発生する、メルト対流で上昇流の部分となる高温部とメルト対流で融液の流れ込む部分となる低温部の内、いずれか一方が常に結晶成長の固液界面に位置するようにして結晶成長を行うことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記高温部、低温部のいずれか一方が常にシリコン融液表面の中心部に位置する状態で結晶成長することを特徴とする請求項1に記載したシリコン単結晶の製造方法。
  3. 前記融液表面の高温部、低温部の検出を、放射温度計、熱電対またはCCDカメラで行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載したシリコン単結晶の製造方法。
  4. 請求項3のシリコン単結晶の製造方法において、前記放射温度計、熱電対またはCCDカメラによる融液表面の温度分布のモニタを、結晶成長中常時連続して行い、融液表面に発生する高温部と低温部の内、いずれか一方が常に結晶成長の固液界面に位置するようにして結晶成長を行うことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  5. 請求項3のシリコン単結晶の製造方法において、前記放射温度計、熱電対またはCCDカメラによる融液表面の温度分布のモニタを、予め結晶成長実験を行って、融液表面に発生する高温部と低温部の内、いずれか一方が常に結晶成長の固液界面に位置する条件を求め、結晶成長操業に適用することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
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