JP2609712B2 - 単結晶の製造方法およびそのための測温治具 - Google Patents

単結晶の製造方法およびそのための測温治具

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JP2609712B2 JP63313209A JP31320988A JP2609712B2 JP 2609712 B2 JP2609712 B2 JP 2609712B2 JP 63313209 A JP63313209 A JP 63313209A JP 31320988 A JP31320988 A JP 31320988A JP 2609712 B2 JP2609712 B2 JP 2609712B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はLEC法(液体封止引上げ法)を用いた化合物
半導体単結晶製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
化合物半導体単結晶は、電子デバイス基板用として重
要で、その需要も増加しており、大型の化合物半導体単
結晶の製造法が課題となっている。すなわち大口径の単
結晶を歩留り良く得ることが要求され、最も重要視され
ているのは引上げ装置の熱バランスである。引上げ使用
回数が多くなってくると、熱バランスがくずれ単結晶が
育成できなくなるという問題がある。この原因として、
ヒーター温度プロファイル特性の変化により同一の操業
条件では、結晶育成中の炉内熱環境が変化していること
が考えられる。ここで、操業条件とは結晶引上げ開始時
における、ヒーター上端から原料融液と液体封止剤の界
面までの距離及び結晶引上げ中のルツボ押上げ速度であ
る。また、炉内熱環境とは原料融液と液体封止剤の界面
近傍における、引上げ方向及びそれに直角方向の温度勾
配を言う。
現在、熱環境を一定に維持するために、引上げ使用回
数が一定限度を越えた場合はヒーターを交換している
が、新らしいヒーターを使用しても熱的条件を一定に保
つのは微妙な調整作業を要している。
この発明はヒーターの温度プロファイルを簡単な装置
で測定し、そのプロファイル特性の単結晶育成に及ぼす
影響を明らかにして、任意の温度プロファイルに対し
て、単結晶を育成しやすい操業条件を推測し、単結晶の
取得率向上に役立てることを目的とする。
GaAs等の化合物半導体単結晶の製造は第3図に示すよ
うに、黒鉛ルツボ内に石英ルツボあるいはPBN(熱分解
窒化硼素)ルツボを内装した装置を用い、その中に半導
体原料を収容して、それの外部にセットされた抵抗加熱
用黒鉛ヒーターにより原料を溶融し、その融液に種結晶
を浸して、それを引上げることにより行なわれる。そし
て、結晶引上げ中、最も劣化しやすいのは、ヒーターで
あり、通常20〜30回の引上げではヒータを交換してい
る。
〔発明が解決すべき課題〕
従来、ヒーターの温度プロファイルを測定するには引
上装置内にヒーターとルツボを装着して加熱し、このル
ツボ内にセラミック保護管内に封入した熱電対を挿入し
て温度測定する方法が採用されていた。この場合、温度
プロファイルを正確に測定するには、熱電対をルツボ内
で広範囲に移動させたり、多数個の熱電対を挿入して同
時に測温する方法がとられている。このような方法によ
る場合は測定が非常に煩雑であり、しかも正確さに欠け
る問題がある。精度が上がらない原因として考えられる
のは、ルツボ内のガス対流の影響が大きいことと、溶体
やホットゾーンからの熱輻射を受けるためと考えられ
る。このような従来方法では誤差の要因を排除してヒー
ターの真の発熱による温度分布を測定することは困難で
ある。精度の低い測定に基づいたのでは、たとえヒータ
ーを更新しても適正な温度プロファイルは得られず、歩
留り良い単結晶の引上げはできない。
〔課題を解決するための手段〕
前記で述べた、ヒーターを交換した時に生ずる、炉内
熱環境の変化は、ヒーターの温度プロファイル特性が異
なっている為に生ずると仮定した。そして、そのヒータ
ーを用いた引上げ装置で、原料融液と液体封止剤が存在
している状態での炉内温度分布測定を正確かつ迅速に行
ない、ヒーター温度プロファイル特性の炉内熱環境に及
ぼす影響を実験的に検討し、今日の発明に至った。
まず、本発明の熱電対用の測定治具について説明す
る。測定治具の詳細を第1図に示す。第1図は治具の構
造を示す断面図である。治具の先端は鏡面仕上げしたス
テンレス製の中空球11からなっており、中空球11の一端
13aには固定用の支持棒12が溶接で固定してある。中空
球11の表面には支持棒12に対して直角方向の位置に熱入
射孔13が設けてある。熱電対15は支持棒12に沿って固定
治具17によって固定され、溶接部11a近傍に設けられた
熱電対挿入孔16を通して中空球11内へ挿入され、先端の
熱接点14が中空球11の中心Oに位置するようにセットさ
れる。
中空球11は肉厚2〜5mmのステンレス鋼で作り、2分
割構造とする。球の直径は30〜50mmあれば良い。中空球
表面はバフ研磨によって三角印4個以上の鏡面に仕上げ
る。これにより反射率は0.97まで高められ、目的とする
方向以外の熱輻射はほとんど影響ないものとなる。
熱入射孔13は直径3〜5mmの細孔とし、支持棒12に対
して直角方向で、かつ中空球の中心に向って設ける。こ
れによりヒーターから発した熱線のうち、一定方向の熱
線による熱量のみを測定し、反射熱線の影響を排除する
ことができる。入射孔から出ていく熱線は無視できる。
中空球内部も鏡面仕上げとし、入射熱線が全反射して
球の中心部Oに集中し、熱電対の熱接点14を加熱するよ
うに配置する。
支持棒12の他端には適当な把持部12aを設け、測定に
際して上下動、回転動を可能にする。さらに熱電対ター
ミナル(図示せず)をとりつけたりしても良い。
次に本発明の治具を用いてヒーターの温度プロファイ
ルを測定する方法について説明する。
〔実 施 例〕
まず、測定するヒーター7を第2図に示す様にカーボ
ン製のホットゾーン6に組み込み、真空加熱容器2内で
加熱する。加熱方法はパワーコントロールで、約5kWの
パワーをかける。ヒーター温度プロファイルは、CA熱電
対4を第1図に示したような測定治具5にセットし測定
する。熱入射孔13を一定方向に向け、測定治具を円筒状
ヒーターの中心軸に沿って上下させ、熱起電力を測定す
る。熱入射孔13の方向を変えて測定する。このような測
定を何度かくり返してヒーターの発熱温度分布を測定す
る。
以上の様な方法で測定すると、ヒーターの温度プロフ
ァイルは第4図に示す結果となる。詳細に検討した結果
測定の再現性は1.6℃以内で精度が良いことがわかっ
た。以上のデーターより、ヒーター温度プロファイルの
単結晶育成に及ぼす影響を定量的に検討するパラメータ
ーを定める。
炉内温度分布測定から実験的に求めた事実として、原
料融液と液体封止剤の界面近傍での成長方向の温度勾配
が均一であると単結晶を育成しやすいという事実があ
る。伝熱学的には、原料融液と液体封止剤の界面近傍の
加熱が均一であれば、その部分における成長方向の温度
勾配は界面内で均一となる。そこで、第4図により原料
融液と液体封止剤との界面近傍の加熱の均一性を示すパ
ラメーターとしてD/Hを設定する。すなわち、ヒーター
温度プロファイルにおいて、測定の再現性を考慮し、最
高温度から1.6℃以内にある温度領域のヒーター長さを
Hとする。また、プロファイルにおいて最高温度位置に
対する原料融液と液体封止剤との界面の距離をDとす
る。そして、パラメーターとしてD/Hを設定する。測定
の結果D/Hが小さくなると、単結晶は育成されやすく、
逆に大きくなると単結晶は育成されにくくなる。
本発明の測定法による、ヒーター温度プロファイルの
測定結果を第5図(a),(b),(c)に示す。第5
図(a),(b)は引上げ開始前のもの、第5図(c)
は20回引上げを行った後のものである。(c)では最高
温度帯近傍に曲線の滑らかさが欠ける部分が認められ、
劣化しはじめていることがわかる。次にヒーターAを用
いて結晶の引上げを行ない、引上げ中のデーターより、
単結晶が多結晶化した時の対ヒーター上端から原料融液
と液体封止剤の界面までの距離及び温度プロファイルよ
り、パラメーターD/Hを計算した。育成した結晶長
(Lcr)に対する単結晶長さ(Lscr)の比、Lscr/Lcr
先に計算したパラメーターD/Hで整理したのが第6図で
ある。第6図より、結晶育成中、パラメーターD/Hが大
きくなると、単結晶は育成しにくいことがわかる。D/H
は1以下とするのが良いことが判かる。
すなわち、任意のヒーターに対して、温度プロファイ
ルを測定し、そのプロファイル特性において、パラメー
ターD/Hが小さくなる様に操業条件を設定すれば、単結
晶の育成は容易になる。
1以下に維持する具体的な方法は、まずDを小さくす
ること。すなわち融液と封止剤との界面をなるべくヒー
ターの最高温度位置に近づけること。次にHを大きくす
ること。
すなわちヒーターの等発熱量帯域が広くなるようなヒ
ーター設計を行うことである。第5図からヒーターのH
は少くとも20mm以上とる必要がある。このようなヒータ
ーを使用し、かつ融液と封止剤との界面位置を調整する
ことによってD/Hを1以下に維持すれば、単結晶取得率
は飛躍的に向上させることができる。
〔作用〕
本発明による測温用治具を使用すると、微細な熱入射
孔より熱電対に向けて入射する熱線のみとらえて測定す
るので、反射や対流の影響を排除でき、真のヒーター発
熱によるエネルギーに近いものを測定することとなり、
精度が向上する。
また、本発明の方法による場合は、最高温度帯を正確
に把握できるので、最適引上げ条件の維持が容易にな
る。
〔効果〕
ヒーターの温度プロファイルを測定し、パラメーター
D/Hを使用することによって、任意のヒーター温度プロ
ファイルに対して、単結晶を育成しやすい操業条件を推
測できる。
すなわち、本発明はヒーターの温度プロファイルを装
置を複雑にすることなく測定し、測定したプロファイル
特性に対して単結晶を育成しやすい操業条件を推定する
方法である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の測温治具の構造を説明する図、第2図
は本発明の測温治具を使用して引上げ装置の温度分布を
示す図である。 第3図はLEC法による結晶引上げ方法を説明するための
図である。 第4図は本発明の測温治具を使用して測定したヒーター
の温度プロファイルの一例を示す図、第5図は同じくヒ
ーターの温度プロファイルの例を示す図である。 第6図はパラメーターD/Hと単結晶取得率の関係を示す
図である。 1……融液、2……液体封止剤 4……ルツボ、5……測温治具 6……ホットゾーン、7……ヒーター 11……中空球、12……支持棒 13……熱入射孔、14……熱電対の熱接点 15……熱電対

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体封止引上げ法(LEC法)にて単結晶を
    引き上げるに際し、ヒーターの最高温度から1.6℃以内
    にある温度領域のヒーター長さをH(mm)とし、ヒータ
    ーの最高温度位置と原料融液と液体封止剤との界面位置
    との距離をD(mm)としたとき、D/Hをパラメーターに
    とり H≧20,D/H1.0 なる関係を維持するように原料融液と液体封止剤との界
    面位置を制御しつつ引上げることを特徴とする、単結晶
    の製造方法。
  2. 【請求項2】表面を鏡面仕上げしたステンレス製の中空
    球の表面に熱入射孔を設け、該中空球の中心に熱電対の
    温接点を配置し、熱入射孔と直角方向に支持棒を取付け
    懸架可能な構造としたことを特徴とする測温用治具。
JP63313209A 1988-12-12 1988-12-12 単結晶の製造方法およびそのための測温治具 Expired - Lifetime JP2609712B2 (ja)

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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52134898A (en) * 1976-05-07 1977-11-11 Sumitomo Electric Ind Ltd Gap single crystal with low dislocation density
JPS6090897A (ja) * 1983-10-25 1985-05-22 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 化合物半導体単結晶の製造方法および製造装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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