JP3611726B2 - 電力制御装置 - Google Patents

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    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、電子写真方式の複写機、プリンターまたはファクシミリのような画像形成装置等に備えられた熱定着装置に使用されるヒータ等の負荷に対して電力の供給を制御する電力制御装置に関し、詳しくは、負荷に流れる突入電流による一時的な電源電圧の低下(電圧降下)や、位相制御による電力供給のために生じる電流波形の高調波歪み(ハーモニクス)の発生や、導電ノイズ(コンダクションノイズ)の発生を考慮した電力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子写真方式の複写機、プリンターまたはファクシミリ等の画像形成装置においては、原稿の画像情報の濃度に応じて画像信号を電気信号に変換し、レーザ光などを用いて感光体上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像を現像により現像剤像としてから用紙に転写し、用紙上の現像剤像を熱定着装置のヒータからの熱により加熱溶融し、用紙に定着させている。このような、熱により定着を行う定着装置にあっては、熱定着装置のヒータ(以後定着ヒータと呼称する)が負荷として設けられている。定着ヒータにおいては、ハロゲンランプ等のヒータランプ、発熱抵抗等が熱源として用いられており、これらの定着ヒータは定着すべき用紙を狭持搬送する定着ローラ対に内蔵されている。また、これらの定着ヒータは、定着ローラ対の一方または両方に、1つまたは複数内蔵されており、数百W程度から千数百W程度のワット数のものが使用されている。また、非常に高速で画像形成を行う高速機においては、さらに大容量のものが使用されている。さらに、定着ローラの表面に接触して配置された温度センサの検出結果に応じて、定着ヒータのオン・オフ信号を生成し、定着ヒータに対して供給する電力を制御して、定着ローラ対が所定の温度に保たれている。
【0003】
このように、電力を供給する制御対象として温度に対して正特性の大きな負荷を有する場合には、電力の供給を開始した直後、負荷に大きな電流(以後突入電流と呼称する)が流れる。負荷に流れる突入電流の様子およびそのときの電源の電圧の低下の様子を、定着装置のハロゲンヒータを例にとって、図7を用いて説明する。
【0004】
曲線aに示すように、ヒータ信号がオン状態になると、ハロゲンヒータに商用電源から電力供給が開始される。ハロゲンヒータの抵抗値は、温度に対して正の特性を有している、すなわち、ハロゲンヒータ自身の温度が高いほど大になるので、それまで電流が供給されていなかった場合、ハロゲンヒータの抵抗値は極めて小さくなっている。一般的に、このような低温度時の抵抗値は、赤熱時の1/10程度である。この低抵抗状態にあるハロゲンヒータに対して電力が供給されるため、曲線cのごとく供給開始直後に突入電流I(最初の電流の半波波形のピーク値)が流れる。
【0005】
そして、ハロゲンヒータに電流が流れてハロゲンヒータが発熱し、温度が上昇するため、ハロゲンヒータの抵抗値が上昇する。この抵抗値の上昇に従って、ハロゲンヒータに流れる電流は低下して、定常時電流Iに収束し、定常状態になる。この突入電流Iの定常時電流Iに対する比I/Iは、約数倍から約10倍程度である。同図の場合、電源電圧波形のほぼゼロクロス点でハロゲンヒータの点灯を開始しているので、突入電流はやや小さめに抑えられている。
【0006】
一方、このように突入電流が流れると、画像形成装置に電力を供給している商用電源のコンセント周囲あるいは他の屋内配線には、同図の曲線bに示すように自身のインピーダンスにより電圧降下△Vが発生する。同図の曲線bは電圧降下が起こった時の電圧波形の包絡線を示している。その後、ハロゲンヒータに流れる電流が定常状態に収束するにつれて、電圧降下は小さな値△Vに収束する。ハロゲンヒータヘの電力の供給が絶たれると、電圧が元の電圧レベルVまで回復する。
【0007】
特に、上述の突入電流によって生じる電圧降下は瞬間的に大きなものであるので、周囲の機器や照明機器に対しても影響を与えることがある。例えば、照明機器に供給している電圧が低下すると、照明機器に対する明るさのちらつき現象(フリッカー)を発生することがある。昨今にあっては、この現象を低減するために、電源に対して大きな電力を消費する装置に対して、フリッカー試験と称する試験により規制がなされるようになってきた。このフリッカー試験は、装置中の負荷により電源側の電圧が所定値以下にならないことを試験するものである。画像形成装置に関しては、フリッカー試験は、コピーモード(このモードにおけるフリッカー試験はショートフリッカー試験と呼称される)と待機モード(このモードにおけるフリッカー試験はロングフリッカー試験と呼称される)のようにモード別に設けられており、それぞれのモードに対応して設けられた規制値で試験される。
【0008】
また、このように問題のある電圧降下を少なくするため、特開平6−242644号公報に開示されているように、位相制御という、負荷に通電する際の導通角を徐々に大きく変えて電力を供給する制御方法が知られている。しかしながら、位相制御を行って上述のハロゲンヒータ等の負荷に対して電力を供給する場合、電圧波形のゼロクロス点以外のところで電力の供給が開始されて、急激に大きな電圧が負荷に印加されるので、電流波形に歪みが生じるとともに、広い周波数帯にわたって導電ノイズ(コンダクションノイズ)を輻射することになる。この電流波形の歪みは、位相制御により内部の負荷に電力を供給する機器が接続されている商用電源のコンセント周囲あるいは他の屋内配線に接続されている他の機器に悪影響を与える。また、輻射された導電ノイズは、周辺にある電子機器の誤動作等を引き起こす問題点を有している。
【0009】
このような問題が生じるので、ハーモニクス試験(HarmonicsTest)と呼称される試験により規制がなされるようになってきた。このハーモニクス試験は、図8に示すような電流波形に生じた歪みが元の波形に対してどの程度歪んでいるのかを試験するものである。実際には、電流波形をフーリエ解析した際の高調波の各次毎の係数が、所定の規制値内に収まるか否かを試験するものであり、2次の項から40次の項までを検査する。このハーモニクス試験は、画像形成装置に関して、通常の画像形成を行うコピーモードにおいて所定の規制値内に抑えることが安全規格上要求されるようになってきている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような規制をクリアするために、様々な対策がとられている。例えば、特開平6−242644号公報には、双方向サイリスタ(トライアックとも呼称する)を使用したソフトスタート回路により、導通角を徐々に大きく制御して、突入電流の発生を抑制する技術が開示されている。この技術を用いる場合、電圧降下には非常に有効であるが、従来と同様の位相制御を行っているので、電流波形の歪みが大になり、導電ノイズを大量に生じる。この導電ノイズが他の装置に対して影響しないように、電源ラインに高価なノイズフィルターを設ける必要があり、コストが上昇するという問題があった。また、電流波形の歪みは解消されないままであった。
【0011】
上述した電圧降下、電流波形の歪みおよび導電ノイズに対して、位相制御の期間の長短が一般的にどのように影響するかを、表1および図9を使用して以下に説明する。
【0012】
【表1】
Figure 0003611726
【0013】
今、負荷に電力を供給する際に、通電開始から所定の期間Tph(図9参照)だけ、電圧波形のゼロクロス点から所定の期間(遅延時間)後にオンしてゼロクロス点でオフする、位相制御を行う。そして、その後、連続的にフル通電する、ゼロクロス制御に移行するものとする。
【0014】
この場合、表1からわかるように、電圧降下に関しては、位相制御期間が長くなればなるほど、電圧降下の程度が小さくなり、位相制御期間が短ければそれだけ電圧降下の程度が大になる。これに反して、電流波形の歪みおよび導電ノイズに関しては、位相制御期間が長くなればなるほど、レベルが大になり、位相制御期間が短ければそれだけレベルが低下することがわかる。
【0015】
本発は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、画像形成装置等に使用されるヒータランプ等の大容量の負荷に対して電力を供給する場合に、大きな電流波形の歪みや導電ノイズを生じることなく効率的に電圧降下を低減できる電力制御装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1記載の電力制御装置は、交流電源から温度に対する抵抗特性が正である負荷へ供給する少なくとも1つの極性を有する供給電圧を、通電開始時に、供給電圧波形の半波に対する通電時間を設定する位相制御にて制御して、上記負荷を流れる負荷電流を調節するスイッチング手段を有する電力制御装置において、上記スイッチング手段が、通電時間T1だけ、電圧を供給し、次いで、上記通電時間T1よりも長い通電時間T2だけ、電圧を供給し、次いで、通電時間T2よりも短い通電時間T3だけ、電圧を供給する第1制御パターンを有するように、上記供給電圧波形の位相制御を行うことを特徴としている。
【0017】
上記の構成により、高価なノイズフィルターやその他なんら特別のハードウエアを加えることなく、大きな電流波形の歪みや導電ノイズを生じることなく効率的に電圧降下を低減することができる。また、電圧降下をテストする2種類のフリッカー試験(ショートフリッカー試験とロングフリッカー試験)に対して同一の制御方式で制御することができる。
【0018】
また、請求項2記載の電力制御装置は、請求項1記載の構成において、上記スイッチング手段が、上記第1制御パターンにて制御を行い、次いで、ゼロクロス制御を行うことを特徴としている。
【0019】
上記の構成により、供給電圧降下抑制・供給電流波形歪み防止・導電ノイズ低減をより効果的に行うことができる。
【0020】
また、請求項3記載の電力制御装置は、交流電源から温度に対する抵抗特性が正である負荷へ供給する少なくとも1つの極性を有する供給電圧を、通電開始時に、供給電圧波形の半波に対する通電時間を設定する位相制御にて制御して、上記負荷を流れる負荷電流を調節するスイッチング手段を有する電力制御装置において、上記スイッチング手段が、通電時間をほぼ一定に保って通電し、それにより得られる負荷電流の、ピーク値の減衰率が飽和する前に通電時間を増加させ、当該増加後の通電時間をほぼ一定に保って通電するという第2制御パターンを、少なくとも1回行うように、上記供給電圧波形の位相制御を行うことを特徴としている。
【0021】
上記の構成により、高価なノイズフィルターやその他なんら特別のハードウエアを加えることなく、大きな電流波形の歪みや導電ノイズを生じることなく効率的に電圧降下を低減することができる。また、電圧降下をテストする2種類のフリッカー試験(ショートフリッカー試験とロングフリッカー試験)に対して同一の制御方式で制御することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図6、図10ないし図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施の形態では、本発明を画像形成装置の1種であるデジタル複写機に適用した場合を例にとって説明する。
【0023】
まず、画像形成装置の各部に関して大まかに説明する。この画像形成装置はデジタル複写機である。図2に示すように、該デジタル複写機30は、大まかに分けると、スキャナー部31と、画像処理部(図示せず)と、記録部32とから構成されている。スキャナー部31は、原稿画像を読み取って原稿画像に対応した電気信号に変換し、画像データとして画像処理部に送信する。画像処理部は、送信された画像データに所定の画像処置を施す。画像処理を施された画像データは、記録部32内のレーザー書き込み装置により、記録部32内の電子写真式の作像装置の中に設けられた感光体上に照射されて、原稿画像に対応した静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像装置により現像されて現像剤像となったあとに、用紙に転写される。現像剤像を支持した用紙は、作像部内の用紙搬送方向下流側に配置された定着装置に搬送されて、用紙に定着される。
【0024】
次に、定着装置の詳細に関して図3を用いて説明する。図3に示すように、定着装置40には、上側定着ローラ41および下側定着ローラ42が配置されており、両ローラは加圧手段43により互いに圧接されている。上下の定着ローラ41・42は、駆動手段(図示せず)により回転可能になっており、用紙を挟持搬送可能になっている。上側定着ローラ41の内部には定着ヒータ44が内蔵されている。また、上側定着ローラ41の外周面には定着サーミスタ45およ定着剥離爪46が接触して配置されている。上側定着ローラ41と離間して温度ヒューズ47が配置されている。
【0025】
次に、図1を用いて、本発明に係る電力制御装置の構成を説明する。同図は、デジタル複写機30における電力制御装置としての定着ヒータ制御回路の要部の構成を示している。同図において、定着ヒータ制御回路は、交流電源接続プラグ101、電力供給ユニット102、制御基板103および定着ユニット104に大別される。電力供給ユニット102には、電源トランス105、ゼロクロス検出回路106、双方向サイリスタ(トライアックとも呼称する)107が内蔵されている。制御基板103には、入出力装置(I/O)108,入出力装置(I/O)109,CPU(中央演算処理部)110,ROM(リードオンリーメモリ)111,RAM(ランダムアクセスメモリ)112,A/D変換器113、および増幅器114が内蔵されている。交流電源に交流電源接続プラグ101が接続されると、一次側の電力が電源トランス105により二次側の電力に変換されて所定の電力が電気部品に供給されるようになっている。また定着ユニット104には、温度ヒューズ117、定着ヒータ118、および定着サーミスタ119が内蔵されている。
【0026】
上述のごとく、定着ヒータ118は、上側定着ローラの内部に配置されており、上下両定着ローラに熱を供給する。また、定着サーミスタ119は、定着ローラの表面温度を検出して、A/D変換器113を介して、CPU110に、温度に対応した信号を送るようになっている。定着ヒータ118と双方向サイリスタ107とは、交流電源に対して直列に接続されている。双方向サイリスタ107は、入出力装置108を介して、CPU110からの信号を受け取って、電源から定着ヒータ118への電力の供給と遮断とを行っている。ゼロクロス検出回路106は、交流電源により印加される電圧のゼロクロス点を検出し、入出力装置108を介して、CPU110に信号を送っている。温度ヒューズ117は、定着サーミスタ119や双方向サイリスタ107が故障して、定着ヒータ118に電力が供給され続けたときに、発火等を防ぐために、定着ヒータ118に直列に接続されている。
【0027】
上記電力供給ユニット102および制御基板103によってスイッチング手段が構成されている。
【0028】
次いで、上述のハードウエアを制御して、定着ヒータ118に電力を供給する方法に関して、デジタル複写機への電源がオフされた状態(メインスイッチがオフの状態)から、メインスイッチをオンしてデジタル複写機を起動する場合を例にとって説明する。また、このデジタル複写機は、230V、50Hzの仕様とする。
【0029】
CPU110は、ROM111内に記憶されている制御プログラムに基づいてデジタル複写機全体の動作を管理しており、スイッチング手段もCPU110の指令により動作する。以下に、CPU110によるスイッチング手段の制御に関して説明する。
【0030】
ROM111内には、スイッチング手段を制御するための制御プログラムが記憶されており、CPU110は適時ROM111の内容を呼び出してスイッチング手段の制御を行う。また、ROM111内には、スイッング手段の動作を制御するための制御用データも記憶されている。この制御用データも適時読み出されて、スイッチング手段の制御に使用される。
【0031】
次に、電源がオフの状態のデジタル複写機のメインスイッチをオンしたあとの動作に関して説明する。なお、ここで、位相制御とは、電圧波形の半波ごとに通電時間を設定することである。また、フル通電とは、供給電圧の遅延時間を0に設定し、半波分の時間をすべて通電時間に設定することである。また、ゼロクロス制御とは、常にフル通電する制御である。
【0032】
まず、デジタル複写機のメインスイッチがオンされると、デジタル複写機の制御回路に電力が供給されて、制御回路によりデジタル複写機が制御可能となる。CPU110は、デジタル複写機を使用可能な状態にするために、機構の駆動手段を作動させて作像部の前処理プロセスを行うとともに、定着ヒータ118に給電して定着ローラを所定の温度にする。
【0033】
先述したように、特開平6−242644号公報に記載のような定着ローラへの通電制御を行うと、電圧降下、電流波形歪み、導電ノイズ発生に関して問題が生じるので、上記公報に記載のような従来の位相制御とは異なる位相制御を行う。この位相制御を、電圧降下のリスクがもはや重大でなくなる時点まで行う。その後、ゼロクロス制御に移行する。このようにして、定着ローラが所定の温度になるまで定着ヒータ118を加熱する。
【0034】
次いで、このときのCPU110による定着ヒータ118への通電制御に関して、表2および表3、図4および図5を用いて説明する。図4は、CPU110からのソフトウエア制御による定着ヒータ電流の制御の様子を示すタイムチャートである。表2およびその続きである表3は、ROM111に格納されている、双方向サイリスタ107のオンオフを制御して定着ヒータ118への通電時間を制御するための制御用のデータを表している。図5は、位相制御期間中のCPU110の動作のフローである。なお、説明の便宜上、これらの図・表に記載のように半波を区間に分ける。
【0035】
【表2】
Figure 0003611726
【0036】
【表3】
Figure 0003611726
【0037】
図4および図5に示すように、CPU110は、ヒータ作動信号があると、ゼロクロス検出回路106から出されるゼロクロス点を示すゼロクロス信号を起点にして、所定の期間遅らせて定着ヒータ118に電力を供給する信号(ヒータON)を出して、定着ヒータ118に通電する。CPU110は、検出されたゼロクロス点とROMデータとに基づいて、電圧波形の各半波における通電開始までの遅延時間を制御する。これにより、電圧波形の各半波における通電時間が以下のように制御される。
【0038】
すなわち、図5に示すように、電源をオンにし、CPU110がデジタル複写機のプログラム制御を行っているときに、交流電源電圧波形に対応したゼロクロス信号が割り込むと、制御モードに応じた制御プログラムがスタートする。この制御プログラムはROM111に制御モード毎に記憶されている。そして、ゼロクロス信号がプログラムに割り込むと、波数カウンター値Cを初期化し(S11)、この瞬間から電源電圧のゼロクロスタイミング毎にカウントが行われる(S12)。あらかじめROM111に記憶されている位相制御波数値Mと上記波数カウンター値Cとを比較する(S13、S14)。交流電源の半波毎に、波数カウンター値Cに応じてROMデータとしての遅延時間Tdが読み出され(S15)、この遅延時間Tdに対応した、同じくROMデータとしての制御信号S1が出力される(S16)。本事例では、M=29である。このようにして、遅延時間Tdが、ROM111に記憶されたプログラムに応じて任意に決定され、位相制御が実行される。この位相制御は、電圧降下のリスクがもはや重大でなくなるまで、各々の半波サイクルにおいて行われる。そして遅延制御パターンが終了すると、定着ヒータ118の交流電圧が連続オンに切り替えられる。
【0039】
ところで、説明の便宜上、定着ヒータ118への通電開始点以後の電圧波形の各半波を、順次、第1半波、第2半波、…、第29半波、…、とする。本事例の場合、電源電圧の周波数は50Hzの仕様なので、電圧波形の半波サイクルは10msであり、通電開始までの遅延時間は、0ms(半波の全期間通電)から10ms(半波の通電はゼロ)の範囲で制御される。本事例の位相制御は、第1半波から第29半波に対して行われている。すなわち、位相制御期間は290msであり、以後は、ゼロクロス制御に切り替えている。
【0040】
以下に、本発明の電力制御方法を実際に適用した事例を挙げて、この位相制御期間の詳細に関して、図4に示す通電タイムチャートおよび図6に示す電流波形図により説明する。
【0041】
第1半波から第3半波まで(区間A)は、通電時間を短い値から徐々に長くしている。また、第4半波と第5半波(区間B)とは、通電を中断している。このようにしたのは、第1半波から第5半波までの期間は、定着ヒータの抵抗値が非常に低いために、半波における通電時間をあまり長くすると大きな突入電流が流れるので、これを防ぐために、第5半波より後の通電時間に比較して短い通電時間を選んで徐々に加熱するためである。ただし、この初期に、あまりに短い通電時間、例えば本事例の場合であれば1ms程度の通電時間で加熱すると、位相制御を行う回数が増大する。つまり、位相制御期間が長くなり、ハーモニクス試験や導電ノイズ試験に不利になる。したがって、電流波形の歪みや導電ノイズに対するマージンの程度に応じて調節すればよい。また、第4半波と第5半波とでは通電を行わない。このようにしたのは、第3半波までの通電で電流のピーク値がかなり大きいので、これらの半波で通電を行うと、電流波形のピーク値がさらに大になり、大きな電圧降下を引き起こしてしまうリスクが大であったので、これを避けるためである。この通電の開始の初期段階においては、大きな電圧降下を引き起こさないような電流ピーク値を得るのに最適な通電時間は、負荷である定着ヒータのワット数や、通電時の温度、電源電圧、電源周波数等により異なるので、これらの条件に応じて、上記のように通電時間を調整すればよい。
【0042】
なお、本事例では、第3半波での通電時間を3msとしたために、第4半波および第5半波の通電時間をゼロにしているが、大きな電圧降下が生じるリスクが無い場合であれば、通電しない半波区間(第4半波および第5半波の区間B)をなくして、以下に説明するように、ほぼ同一の通電時間(ここでは3ms)で電流波形ピーク値が減衰するような制御に移行してもよい。このように、通電しない区間を無くす場合には、この事例の条件を元にして比較すると、▲1▼第3半波の通電時間および▲2▼その後に行うほぼ同一の通電時間で電流波形ピーク値が減衰するような制御の通電時間を、それぞれ、いくらか短くする(例えば2.7ms)必要がある。
【0043】
次いで、第6半波から第10半波までの間(区間C)は、定着ヒータの抵抗値は初期よりも大であるものの、まだ比較的小さい。このため、あまり長い通電時間にすると、電流波形のピーク値が大きくなり、電圧降下量が大きくなる。そこで、図6に示す電流波形のうちで、下側極性の半波波形に対する通電時間を2ms、上側極性の半波波形に対する通電時間を3msといったように、第11半波以降の通電時間に比べて比較的短い通電時間としている。下側極性の半波の通電時間が上側極性の半波の通電時間より短い(1msだけ短い)のは、次の二つの理由による。第1の理由として、第4半波および第5半波での通電時間をゼロとしたために生じる加熱の遅れを取り戻すために、第6半波でなるべく長い通電時間(3ms)で定着ヒータを加熱して抵抗値を大にするためである。第2の理由として、さほど定着ヒータの抵抗値が大でない状態なので、長い通電時間とした上側極性の半波と同じかそれより長い通電時間とすると、電流波形のピーク値が、大きな電圧降下を引き起こすほどの大きい値になるので、電圧降下が大になりすぎないように抑制するためである。
【0044】
また、第6半波から第10半波の区間では、同一極性側の半波の通電時間は同一にしてある。このようにするのは、電流波形のピーク値が減衰するまで待つためである(電流波形のピーク値の減衰曲線aおよびbを参照)。この区間において通電時間をほぼ同一にしたこの事例とは違って、あとの半波になるほど通電時間を短くすると、位相制御の回数が増えるので、電流波形の歪みや導電ノイズに不利になる。逆に、あとの半波になるほど通電時間を長くすると、通電時間を不用意に大きくした場合には、電流波形のピーク値が大になり、大きな電圧降下を引き起こす。
【0045】
この第6半波から第10半波までの区間では、最初の第6半波の通電時間を3msと、初期の通電時間にしては長い値にしたため、第6半波の電流波形のピーク値が大きくなった。そこで、第7半波の電流波形のピーク値を抑えるために下側極性の半波の通電時間を1msだけ短くしている。しかし、第6半波と第7半波との電流波形のピーク値がともにあまり大きくならないように、第6半波と第7半波との通電時間を、もっと互いに接近した値または同一にしてもよい。これは、ここでは通電時間は上述のようにそれぞれ3ms、2msだが、これらをそれぞれ例えば、2.5ms、2.4ms(あるいは2.5ms)にするということである。
【0046】
次いで、第11半波から第24半波までの区間(区間D・E)は、第10半波までの通電時間に比べて比較的長い通電時間であり、この区間全体として、通電時間を徐々に長くして、第24半波で1/2半波の期間(この事例では5ms)に近い値にしている。以下に、この区間の詳細について説明する。
【0047】
第11半波から第15半波までの区間(区間D)では、前の区間(第6半波から第10半波までの区間)の下側極性の最後の半波(第9半波)の電流波形のピーク値が十分小さくなっているので、第11半波から第15半波での下側極性の3つの半波(第11、第13、第15)に関しては、前の区間の同一極性側の半波の通電時間よりも2msだけ長くして、通電時間を4msとしている。一方、第11半波から第15半波までの区間の上側極性の二つの半波(第12、第14)に関しては、前の区間の上側極性の半波の通電時間と同一にしている(3ms)。第11半波の電流波形のピーク値がかなり大きいので、もし、第12半波の通電時間を4msにすれば、第12半波の電流のピーク値が非常に大になり、電圧降下が大になる。そのためここでは、上側極性の半波の通電時間は、第6半波から第10半波までの通電時間と同じ3msにしてある。このようにすることにより、通電時間が4msの下側極性の半波(第11、第13、第15)の電流波形のピーク値が大にならないようにしつつ、加熱を行っている。
【0048】
次に、第16半波から第24半波までの区間(区間E)では、通電時間3msの上側極性の半波(第6、第8、第10、第12、第14)の電流波形のピーク値が大幅に減衰して(減衰曲線a参照)、第14半波では、上側極性の次の半波(第16)の通電時間を変更しても良い程度にまで電流波形のピーク値が小さくなっている。そこで、第16半波では、第11半波と同様に通電時間を第14半波より1msだけ長くして、通電時間を4msにしている。
【0049】
この第16半波の電流波形のピーク値が第15半波の電流波形のピーク値とほぼ同等になっており、これらの半波の電流波形のピーク値がさほど大きくないので、第17半波から第22半波に関しては、通電時間を0.3msだけ長くして通電時間を4.3msにしている。なお、通電時間をあまり長くすると、通電開始点が半波の中央域に近くなり、単位時間当たりの電圧波形の時間積分値が大となる。そのため、第16半波の場合と同じように通電時間を1ms増大すると、やはり電流波形のピーク値が大になる。そこでここでは、通電時間の増加を上記のように0.3msとしている。
【0050】
第23半波および第24半波は、0.1msだけ通電時間を増大して、4.4msにしている。
【0051】
このように、第6半波から第24半波までの間では、位相制御を行う期間(Tph)を短くする方法として、同一極性側の半波の通電時間をほぼ一定として、同一極性側の半波の電流波形のピーク値が減衰するのを待つ。その後、同一極性側の通電時間を長くしている。図6でいえば、第6半波、第8半波、第10半波、第12半波および第14半波の各半波の電流波形のピーク値の減衰曲線aのように、上側極性の半波の電流波形のピーク値が減衰したあとに、同一極性側の第16半波の通電時間を第14半波の通電時間より長くして、第16半波の電流波形のピーク値を第14半波の電流波形のピーク値より大にしている。また、同様に、図6中の下側極性の半波に関しても、第7半波と第9半波との電流波形のピーク値の減衰曲線bのように、下側極性の半波の電流波形のピーク値が減衰したあとに、同一極性側の第11半波の通電時間を第9半波の通電時間より長くして、第11半波の電流波形のピーク値を第9半波の電流波形のピーク値より大にしている。
【0052】
また、この事例では、第6半波から第9半波までの区間では、一方の極性側の半波の電流波形のピーク値の減衰曲線(減衰曲線b)の時間軸に対する位置、すなわち曲線と横軸との距離を、他方の極性側の半波の電流波形のピーク値の減衰曲線(減衰曲線a)の時間軸に対する位置すなわち曲線と横軸との距離よりも近くしている。これにより電流波形のピーク値が大きくなりすぎないようにすることができるので好ましい。ただし必ずしもこのような位置関係にしなくてもよく、位置関係は、実際の装置の種々の条件に応じて選択すればよい。
【0053】
また、本事例では、同一極性側の半波電流波形のピーク値が、ターゲット電圧降下量(電圧降下の最大許容値)を生じない程度となるような、ほぼ一定の通電時間を選び、この同一極性側の半波電流波形のピーク値が、通電時間を長くしてもよい程度にまで減衰するまで、このほぼ一定の通電時間で位相制御している。したがって、電圧降下をターゲットより小さくできる。また、本事例では、上記のように同一極性側の半波電流波形のピーク値が、ターゲット電圧降下量を生じない程度となるような、ほぼ一定の通電時間を選ぶとともに、半波電流波形のピーク値の時間に対する減衰率が大きいところを使用して、減衰率の小さいところは使用しないようにしている。減衰率が大きいとは、電流波形のピーク値が単位時間あたり大きく減衰するということである。すなわち、減衰率がある程度小さくなると、通電時間を長くして減衰曲線を一新し、再び減衰率が大きくなるようにしている。その結果、負荷である定着ヒータの抵抗値が所定値以上になるのが早くなるので、位相制御の期間を短縮できる。したがって、電流波形の歪みおよび導電ノイズを効果的に低減できる。このように、電圧降下をターゲットより小さくすることができるとともに、電流波形の歪みおよび導電ノイズを効果的に低減することができる。
【0054】
以上のように、第24半波までの区間では、通電時間を電源電圧の1/4周期に近づける。電源電圧の1/4周期とはすなわち、半波の1/2の期間に相当し、本事例では5msである。それとともに、ほぼ一定の通電時間とした同一極性側半波電流波形のピーク値の減衰曲線の減衰率の大きいところを使用する。
【0055】
次に、第25半波から第29半波までの区間(区間F)について説明する。第1半波から第24半波までの位相制御の期間は、240msと比較的短い。このため、この時点でゼロクロス制御に移行して連続半波においてフル通電するほどには、定着ヒータの抵抗値が十分上昇していない。そこで、前の半波(第24半波)の通電時間より長い通電時間とすることとし、ここでは、第25半波で通電時間を10msとする。すなわち、半波の全期間、通電する。また、第26半波および第27半波では、この第25半波の通電時間より短い通電時間(4.4ms)にしている。さらに、第28半波では第25半波と同一の通電時間(10ms)とし、第29半波では通電時間を4.4msと、前の第28半波より短くしている。その後、第30半波からは、ゼロクロス制御に移行している。
【0056】
このようにしたのは、上述のように、第25半波からゼロクロス制御を行うには定着ヒータの抵抗値が十分上昇していないためである。これを解決するため、第25半波では定着ヒータを加熱する熱量を大にして、定着ヒータの抵抗値の上昇を早めている。
【0057】
また、上記のように第26・第27半波では、通電時間を、第25半波の通電時間より短く設定している。このように、第25半波と比べて同一またはそれに近い通電時間を持つ半波が連続しないようにし、これにより、電圧降下の増加を抑制している。つまり、電圧降下は、単位時間あたりに流れる電流の大きさに依存するため、通電時間の長い半波を連続させると、電圧降下はそれだけ大になる。そのため、ここでは上記のように、通電時間の長い半波が連続しないようにしているのである。
【0058】
第28・第29半波では、上記のように、第25ないし第27半波と同様な制御を行って定着ヒータを加熱している。このようにして定着ヒータの抵抗値を十分上昇させた後に、第30半波からゼロクロス制御に移行している。これは、第27半波の通電が済んだ時点では定着ヒータの抵抗値がまだ十分高くなっていなかったので、第28半波以降において、第25ないし第27半波で行った制御を繰り返しているのである。
【0059】
この第25半波から第29半波までの5つの半波の区間では、上述のように、より早期にゼロクロス制御に移行できるように、通電時間が比較的長い半波(半波あたりの電力が大きい)と通電時間が比較的短い半波(半波あたりの電力が小さい)とを組み合わせて追加熱を行っている。もし、このような制御の代わりに、第24半波までの通電制御と同様に、ほぼ一定の通電時間で位相制御したときの半波の電流波形ピーク値の減衰曲線の減衰が大のところを使用するような制御を行えば、定着ヒータの抵抗値が十分高くなっていないので、第24半波とゼロクロス制御との間に、5つよりも多い半波が必要になり、位相制御の回数が増大し、電流波形の歪みおよび導電ノイズに対して不利になってしまう。
【0060】
なお、上記のように、この第25半波から第29半波までの5つの半波の区間では、連続する半波の電流波形のピーク値の大小が電圧降下の大小に影響するが、これはこの区間に限らず全区間に当てはまることである。ただし、ほかの区間では、(1) 通電時間が様々であるため、電流波形を時間軸方向に積分した値が様々である、(2) また、定着ヒータの抵抗値が、定着ヒータの温度に応じて変化していくという事情がある。このため、特に、すでに説明したような制御パターンに沿うような通電時間を選択する必要があるという点が重要である。すなわち、電圧降下が大きくならないように、温度に対して正特性を有する負荷の大きさに応じて、先述の制御パターンとなるような通電時間を選択する必要がある。
【0061】
図6の第6半波から第26半波までの区間で、電流波形ピーク値の減衰曲線の時間に対して比較的減衰率の大きい部分(減衰曲線a、b、cおよびd)を何度か使用して、電圧降下量が大きくならないようにしつつ、負荷を加熱しているが、この減衰曲線をどのように選ぶかについて、以下に図10ないし図12を用いてさらに詳しく説明する。
【0062】
図10は、通電開始時点から一定の通電時間で位相制御した場合の電流波形ピーク値の各減衰曲線を図示している。減衰曲線a、b、cおよびdはそれぞれ、半波に対して異なる通電時間t、t、t、t(ただしt<t<t<t)で通電した場合について示すものである。tは、フル通電時の通電時間である。図10に示すように、短い通電時間の減衰曲線ほど通電開始時の電流値が小さく、時間経過に対する電流値の減衰量が小さい。逆に、長い通電時間の減衰曲線ほど通電開始時の電流値が大きく、時間経過に対する電流値の減衰量が大きい。このように通電開始時点から一定の通電時間で位相制御して通電した場合には、負荷で発生する熱と外部への放熱との熱バランスが平衡状態になると、減衰は飽和して、電流値は所定のほぼ一定の値を維持するようになる。なお、図10に示した例では通電時間の短い場合ほど電流の飽和値が小さい値となっているが、通電時間が異なる場合の飽和時の電流値の大小関係は負荷の種類や電源電圧等により変わる。
【0063】
負荷に通電を開始した初期から長い通電時間とすると、抵抗値が低いために大きい電流が流れる。そのため、短い通電時間とする必要がある。しかし、あまり長く同一の通電時間で通電すると、減衰曲線の減衰率の小さいところを使用して位相制御を行うことになるので、位相制御に要する時間が長くなる。したがって、位相制御の時間を短くしつつ、電圧降下が大きくならないように通電を制御する必要がある。
【0064】
図11に、上述のような一定通電時間で位相制御した場合の電流波形ピーク値の減衰曲線を、より短い通電時間のものからより長い通電時間のものへと順次使用して通電を制御した場合の状態を示す。また、図12に、その細部を示す。
【0065】
まず、通電開始時には、短い通電時間tで位相制御を開始する(減衰曲線a・a′)。
【0066】
次いで、通電時間tで位相制御した際の電流波形ピーク値の時間に対する減衰率があまり小さくならないうちに、通電時間をtへと増大させる(減衰曲線b・b′)。この切り替えタイミングは、通電時間tで加熱されて所定の温度になった負荷に対して、通電時間をtに変更しても電圧降下量が大きくならないように選ぶ必要がある。すなわち、通電時間tとしたときに電圧降下量が規制値を超える場合は、通電時間をtからtに変えるタイミングを遅らせる必要がある。逆に、通電時間tとしたときに電圧降下量が規制値に対してあまりに大きなマージンを持つ場合は、通電時間をtからtに変えるタイミングを早める必要がある。
【0067】
ここで、減衰曲線bは、図10に示したような、最初から通電時間をtとした際の減衰曲線bよりも、時間軸の正方向に一定量シフトしている。これは、図11の例では、通電時間がtからtに変わった時点までは通電時間tで負荷を加熱しているので、図10に示したような、最初から通電時間tで負荷を加熱した場合に比べて負荷の温度があまり上昇していないためである。
【0068】
通電時間tで位相制御を継続し、次いで、通電時間tで位相制御を行う(減衰曲線c・c′)。通電時間がtからtに変わる時点も、通電時間がtからtに変わる時点と同様にして設定すればよい。通電時間tの減衰曲線cも同じく、減衰曲線cよりも、時間軸の正方向に一定量シフトしている。これは、通電時間がtからtに変わった時点までは、通電時間tとtとで負荷を加熱しているので、最初から通電時間tで負荷を加熱した場合に比べて負荷の温度があまり上昇していないためである。
【0069】
次いで、減衰曲線dで示される、フル通電(通電時間t)の半波を1つ入れる。その後、通電時間tで通電する。このときの電流波形ピーク値は、減衰曲線c′に乗っている。この減衰曲線c′は、減衰曲線c′よりも、時間軸の負方向に若干シフトしている。これは、上記のようにフル通電の半波を1つ入れたので、負荷の温度が上昇し、フル通電の代わりに通電時間tで通電した場合の負荷の温度より上昇しているためである。
【0070】
次いで、減衰曲線d・d′で示される、ゼロクロス制御(通電時間t)に移行する。この移行タイミングは、負荷が、フル通電を行っても電圧降下量が規制値を超えないような温度になったときにすればよい。この減衰曲線d・d′は、減衰曲線d・d′よりも、時間軸の正方向に若干シフトしている。これは、上記のように、フル通電(通電時間t)の半波を1つ入れた後でフル通電の代わりにそれより短い通電時間tで負荷を加熱したので、ずっとフル通電で負荷を加熱した場合に比べて負荷の温度があまり上昇していないためである。
【0071】
通電時間tでの制御(減衰曲線c・c′やc・c′)からゼロクロス制御への移行は、ゼロクロス制御(通電時間t)での減衰曲線の変化率の小さいところで行う。このゼロクロス制御での減衰曲線の変化率の小さいところとは、ゼロクロス制御を行っても、言い換えれば、連続的なフル通電であっても、電圧降下量が規制値を超えないところである。通電時間を変更するところとしては、このようなところを選べばよい。
【0072】
以上のように、一定の通電時間とした場合の電流波形ピーク値の減衰曲線を、通電時間の小さいものから順に、しかも、時間に対する減衰率の比較的大きいところを使用して、負荷を加熱することで、位相制御に要する時間を短くしつつ、電圧降下量を所定値より小さく抑えることができる。
【0073】
以上説明したように、本発明は、位相制御の期間を短くして、電圧降下、電流波形歪み、および導電ノイズを低減する。その際に重要となる特徴点は以下の通りである。
【0074】
第1の特徴として、負荷のそのときの温度によって変わる、大きな電圧降下を生じないような通電時間を選び、この通電時間とほぼ同一の通電時間で何回か位相制御する。そしてそのとき、半波の電流波形のピーク値の減衰率が大きいところだけを使用する。そして、半波の電流波形のピーク値がその通電前と比べて十分小さくなったら、通電時間をさらに長くして、同様に、半波の電流波形のピーク値の減衰率が大きいところだけを使用して、半波の電流波形のピーク値がその通電前と比べて十分小さくなるまで位相制御する。こうすることで、半波の電流波形のピーク値の減衰率が小さい領域を使用せずに負荷を加熱できるので、位相制御期間を短縮することができる。それゆえ、電圧降下を効果的に低減できるとともに、電流波形歪みおよび導電ノイズを効果的に低減できる。
【0075】
第2の特徴として、単位時間当たりの電流値が大にならないように、大きな電流値の半波電流波形が連続しないように、負荷を加熱する。そのために、小さい電流値の半波電流波形の間に大きい電流値の半波電流波形がくるようにする。それゆえ、電圧降下を効果的に低減できるとともに、電流波形歪みおよび導電ノイズを効果的に低減できる。実際には、短い通電時間T1の後に長い通電時間T2の半波を配置し、その後に短い通電時間T3の半波を配置する。このような配置は、通電時間の切り替え時に行うと効果が高い。例えば、図6で、第2半波から第4半波の関係、第5半波から第7半波の関係、第10半波から第12半波の関係、第24半波から第27半波の関係、および、第27半波から第29半波の関係がこれに当たる。
【0076】
この短い通電時間T1、長い通電時間T2、短い通電時間T3の半波を順次配置する場合に、これらの半波の通電の後、ほぼ同一の通電時間での通電を行うのであるが、このような後続の通電によって電圧降下量が規制値を超えないように、上記後続の通電時間を選ぶ必要がある。
【0077】
すなわち、上記第2の特徴を持った制御を行う際に、上記負荷に対して、通電開始時から、極性ごとに通電時間が一定であるような位相制御R1にて通電した場合の負荷電流波形のうち、電圧降下量が所定値以下である部分を波形パターンP1とするとき、上記負荷に対し、上記第2の特徴を持った制御で通電し、その後、通電時間が極性ごとに上記位相制御R1の通電時間と同一であって、得られる負荷電流波形が上記波形パターンP1に含まれるような第3制御パターンにて通電を行う。上記所定値とは、実際には電圧降下の規制値である。
【0078】
なお、上記の例では、上述の負荷電流のピーク値の減衰率を引き上げるような第1の特徴を持った制御とともに、上述の通電時間を増加および減少させるような第2の特徴を持った制御も行っているが、これらを併用せず、第1の特徴を持った制御だけであっても、また第2の特徴を持った制御だけであっても、供給電圧降下抑制・供給電流波形歪み防止・導電ノイズ低減の効果を得ることができる。
【0079】
また、上記例では、上記第2の特徴を持った制御を行い、次いで、ゼロクロス制御を行っている。これにより、供給電圧降下抑制・供給電流波形歪み防止・導電ノイズ低減をより効果的に行うことができる。しかしながら、これに限定されず、上記第2の特徴を持った制御を行うのはゼロクロス制御の直前でなくてもよい。
【0080】
また、上記例では、上記第2の特徴を持った制御を行う際に、上記通電時間T2での電圧供給がほぼフル通電半波であり、通電時間T1とT3とが等しくなっている。これにより、供給電圧降下抑制・供給電流波形歪み防止・導電ノイズ低減をより効果的に行うことができる。しかしながら、これに限定されず、通電時間T1とT3とが等しくなくてもよい。また、通電時間T2での電圧供給は、ほぼフル通電半波やちょうどフル通電半波でなくてもよい。
【0081】
また、上記例では、上記第2の特徴を持った制御をゼロクロス制御の前で複数回(2回)繰り返している。これにより、上記位相制御からゼロクロス制御への移行の調整が簡単にできる。そして、供給電圧降下抑制・供給電流波形歪み防止・導電ノイズ低減をより効果的に行うことができる。しかしながら、これに限定されず、一回でもよい。
【0082】
また、上記例では、位相制御により通電時間が増加して上記供給電圧波形の周期の1/4に近づくと、上記第2の特徴を持った制御を行っている。これにより、供給電圧降下抑制・供給電流波形歪み防止・導電ノイズ低減をより効果的に行うことができる。しかしながら、これに限定されず、上記第2の特徴を持った制御を行うのはこのような状況でなくてもよい。
【0083】
また、上記例では、上記第1の特徴を持った制御において、上記負荷電流の減衰率が所定のしきい値以下になると、通電時間を増加させている。そして、トータルの位相制御回数が、上記供給電圧の電圧降下をその目標値以下にするのに最小限必要な位相制御回数以上となり、かつ、供給電流波形の歪みおよび導電ノイズをそれぞれの目標値以下にできる最大の位相制御回数以下となるように、上記負荷電流の減衰率のしきい値を設定している。これにより、供給電圧降下抑制・供給電流波形歪み防止・導電ノイズ低減をより効果的に行うことができる。しかしながら、これに限定されない。
【0084】
また、上記例では、上記第1の特徴を持った制御において、上記負荷電流のピーク値の減衰が飽和する直前に通電時間を増加させている。これにより、供給電圧降下抑制・供給電流波形歪み防止・導電ノイズ低減をより効果的に行うことができる。しかしながら、これに限定されない。
【0085】
また、上記例では、上記第1の特徴を持った制御において、上記通電時間増加前の上記極性についての最後の半波における負荷電流のピーク値の減衰率よりも、上記通電時間増加後の上記極性についての最初の半波における負荷電流のピーク値の減衰率のほうが大きくなるようにしている。これにより、供給電圧降下抑制・供給電流波形歪み防止・導電ノイズ低減をより効果的に行うことができる。しかしながら、これに限定されない。
【0086】
また、上記例では、上記第1の特徴を持った制御において、各極性の電圧についての通電時間がそれぞれ一定な区間を有している。またさらに、その区間内で、一方の極性の電圧についての通電時間が、他方の極性の電圧についての通電時間より短くなっている。これにより、供給電圧降下抑制・供給電流波形歪み防止・導電ノイズ低減をより効果的に行うことができる。しかしながら、これらに限定されない。
【0087】
また、上記例では、上記供給電圧波形が第1極性および、それとは異なる第2極性からなっている。しかしながら、これに限定されない。例えば、上記供給電圧波形が3相交流等であって、上記供給電圧波形が1つの極性からなっていてもよい。
【0088】
また、通電時間の設定は、上記例のようにゼロクロス点からの遅延時間を制御してもよいし、これとは別に、ゼロクロス点からの位相遅れ角を制御してもよい。
【0089】
また、上記例では、通電開始の初期に、半波の1/2程度に相当する通電時間以下の範囲内で、通電時間を増加して位相制御し、その後、上記第1の特徴を持った制御にて、ほぼ一定の通電時間で、上記負荷電流のピーク値が所定値以下に減衰するまで通電する制御を行う。上記所定値とは、実際には、後続の、通電時間の増加した電流波形のピーク値の減衰曲線を用いても、電圧降下量が規制値を超えないような値である。
【0090】
本発明を適用した改良パターンの位相制御を実施したものと、従来の、常に一定の通電時間で通電する単調位相制御を実施したものとで、フリッカー試験、ハーモニクス試験、および導電ノイズ試験に対する結果を表4に示す。表中、「△」は、リミットぎりぎりであることを示し、「◎」はリミット以内であり十分余裕があることを示す。
【0091】
【表4】
Figure 0003611726
【0092】
表4からわかるように、フリッカー試験については、改良パターンは、ロングもショートも、従来の単調位相制御によって得られるレベルと遜色なく、テストをパスしている。また、ハーモニクス試験については、単調位相制御では、ハーモニクスのリミットに対するマージンが無いという結果であり、装置のバラツキのせいでテストにパスしない場合もあった。これに対し、改良パターンは、リミットに対して十分なマージンを持っており、非常に良好である。また、改良パターンは、導電ノイズも効果的に低減している。
【0093】
以上のように、本発明に係る電力制御装置は、交流電源から温度に対する抵抗特性が正である負荷へ供給する少なくとも1つの極性を有する供給電圧を、通電開始時に、供給電圧波形の半波に対する通電時間を設定する位相制御にて制御して、上記負荷を流れる負荷電流を調節するスイッチング手段を有する電力制御装置において、上記スイッチング手段が、通電時間T1だけ、電圧を供給し、次いで、上記通電時間T1よりも長い通電時間T2だけ、電圧を供給し、次いで、通電時間T2よりも短い通電時間T3だけ、電圧を供給する第1制御パターンを有するように、上記供給電圧波形の位相制御を行うことを特徴としている。
【0094】
また、好ましくは、上記スイッチング手段が、上記第1制御パターンで位相制御を行い、次いでゼロクロス制御を行う。また、好ましくは、上記通電時間T1とT3とが等しい。また、上記通電時間T2での電圧供給がほぼフル通電半波またはフル通電半波である。また、好ましくは、上記第1制御パターンを複数回繰り返す。また、好ましくは、位相制御により通電時間が増加して上記供給電圧波形の周期の1/4近傍に達すると、上記第1制御パターンで位相制御を行う。
【0095】
また、上記供給電圧波形が第1極性およびそれと異なる第2極性からなり、好ましくは、上記スイッチング手段が、通電時間T1だけ、第1極性の電圧を供給し、次いで、上記通電時間T1よりも長い通電時間T2だけ、上記第1極性と異なる第2極性の電圧を供給し、次いで、上記通電時間T2よりも短い通電時間T3だけ、上記第1極性の電圧を供給するような第1制御パターンを有するように、上記供給電圧波形の位相制御を行う。あるいは、上記供給電圧波形が1つの極性からなり、また、上記供給電圧波形が3相交流である。
【0096】
また、好ましくは、上記負荷に対して、通電開始時から、極性ごとに通電時間が一定であるような位相制御R1にて通電した場合の負荷電流波形のうち、電圧降下量が所定値以下である部分を波形パターンP1とするとき、上記負荷に対し、上記第1制御パターンにて通電し、その後、通電時間が極性ごとに上記位相制御R1の通電時間と同一であって、得られる負荷電流波形が上記波形パターンP1に含まれるような第3制御パターンにて通電を行う。
【0097】
また、本発明に係る電力制御装置は、交流電源から温度に対する抵抗特性が正である負荷へ供給する少なくとも1つの極性を有する供給電圧を、通電開始時に、供給電圧波形の半波に対する通電時間を設定する位相制御にて制御して、上記負荷を流れる負荷電流を調節するスイッチング手段を有する電力制御装置において、上記スイッチング手段が、通電時間をほぼ一定に保って通電し、それにより得られる負荷電流の、ピーク値の減衰率が飽和する前に通電時間を増加させ、当該増加後の通電時間をほぼ一定に保って通電するという第2制御パターンを、少なくとも1回行うように、上記供給電圧波形の位相制御を行うことを特徴としている。
【0098】
また、好ましくは、上記負荷電流の減衰率が所定のしきい値以下になると、通電時間を増加させる。また、トータルの位相制御回数が、上記供給電圧の電圧降下をその目標値以下にするのに最小限必要な位相制御回数以上となり、かつ、供給電流波形の歪みおよび導電ノイズをそれぞれの目標値以下にできる最大の位相制御回数以下となるように、上記負荷電流の減衰率のしきい値を設定して位相制御を行う。また、好ましくは、上記負荷電流のピーク値の減衰が飽和する直前に通電時間を増加させる。
【0099】
また、好ましくは、上記第2制御パターンにより、上記通電時間増加前の上記極性についての最後の半波における負荷電流のピーク値の減衰率よりも、上記通電時間増加後の上記極性についての最初の半波における負荷電流のピーク値の減衰率のほうが大きくなるように、上記供給電圧波形の位相制御を行う。
【0100】
また、好ましくは、上記第2制御パターンの位相制御を行い、次いで、上記第2制御パターンの最後の電圧における半波の通電時間T1よりも長い通電時間T2だけ、電圧を供給し、次いで、通電時間T2よりも短い通電時間T3だけ、電圧を供給する第1制御パターンを有するように、上記供給電圧波形の位相制御を行う。また、好ましくは、上記第2制御パターンの位相制御により通電時間が増加して上記供給電圧波形の周期の1/4近傍に達すると、上記第1制御パターンで位相制御を行う。
【0101】
また、上記供給電圧波形が第1極性およびそれと異なる第2極性からなり、好ましくは、各極性の電圧についての通電時間がそれぞれ一定であるような区間を有する。また、上記区間内では、一方の極性の電圧についての通電時間が、他方の極性の電圧についての通電時間より短い。あるいは、上記供給電圧波形が1つの極性からなり、また、上記供給電圧波形が3相交流である。
【0102】
また、好ましくは、上記第2制御パターンの位相制御を行い、次いで、上記第2制御パターンの最後の第1極性の電圧における半波の通電時間T1よりも長い通電時間T2だけ、第2極性の電圧を供給し、次いで、通電時間T2よりも短い通電時間T3だけ、第1極性の電圧を供給する。
【0103】
また、上記スイッチング手段が、上記第2制御パターンとして、上記供給電圧の少なくとも1つの極性について、その極性での通電時間をほぼ一定に保って通電し、それにより得られる負荷電流の、ピーク値の減衰率が飽和する前にその極性での通電時間を増加させ、その極性について、当該増加後の通電時間をほぼ一定に保って通電する。
【0104】
また、好ましくは、上記スイッチング手段が、通電開始の初期に、半波の1/2程度に相当する通電時間以下の範囲内で、通電時間を増加して位相制御し、その後、上記第2制御パターンにて、ほぼ一定の通電時間で、上記負荷電流のピーク値が所定値以下に減衰するまで通電する制御を行う。
【0105】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の電力制御装置は、交流電源から温度に対する抵抗特性が正である負荷へ供給する少なくとも1つの極性を有する供給電圧を、通電開始時に、供給電圧波形の半波に対する通電時間を設定する位相制御にて制御して、上記負荷を流れる負荷電流を調節するスイッチング手段を有する電力制御装置において、上記スイッチング手段が、通電時間T1だけ、電圧を供給し、次いで、上記通電時間T1よりも長い通電時間T2だけ、電圧を供給し、次いで、通電時間T2よりも短い通電時間T3だけ、電圧を供給する第1制御パターンを有するように、上記供給電圧波形の位相制御を行う構成である。
【0106】
それゆえ、高価なノイズフィルターやその他なんら特別のハードウエアを加えることなく、大きな電流波形の歪みや導電ノイズを生じることなく効率的に電圧降下を低減することができるという効果を奏する。
【0107】
また、電圧降下をテストする2種類のフリッカー試験(ショートフリッカー試験とロングフリッカー試験)に対して同一の制御方式で制御することができるという効果を奏する。
【0108】
請求項2記載の電力制御装置は、請求項1記載の構成において、上記スイッチング手段が、上記第1制御パターンにて制御を行い、次いで、ゼロクロス制御を行う構成である。
【0109】
それゆえ、請求項1記載の構成による効果に加えて、供給電圧降下抑制・供給電流波形歪み防止・導電ノイズ低減をより効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0110】
また、請求項3記載の電力制御装置は、交流電源から温度に対する抵抗特性が正である負荷へ供給する少なくとも1つの極性を有する供給電圧を、通電開始時に、供給電圧波形の半波に対する通電時間を設定する位相制御にて制御して、上記負荷を流れる負荷電流を調節するスイッチング手段を有する電力制御装置において、上記スイッチング手段が、通電時間をほぼ一定に保って通電し、それにより得られる負荷電流の、ピーク値の減衰率が飽和する前に通電時間を増加させ、当該増加後の通電時間をほぼ一定に保って通電するという第2制御パターンを、少なくとも1回行うように、上記供給電圧波形の位相制御を行う構成である。
【0111】
それゆえ、高価なノイズフィルターやその他なんら特別のハードウエアを加えることなく、大きな電流波形の歪みや導電ノイズを生じることなく効率的に電圧降下を低減することができるという効果を奏する。
【0112】
また、電圧降下をテストする2種類のフリッカー試験(ショートフリッカー試験とロングフリッカー試験)に対して同一の制御方式で制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における定着ヒータ制御回路の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成装置の各部を示す説明図である。
【図3】定着装置の各部を示す説明図である。
【図4】位相制御の様子を示すタイムチャートである。
【図5】図1のROMに記憶された位相制御波数値に基づいて位相制御期間を設定する処理を示すフローチャートである。
【図6】位相制御を行ったときの電流波形を示すグラフである。
【図7】電圧降下の様子と電流波形とを示す説明図である。
【図8】電流波形の歪みを示す説明図である。
【図9】位相制御を行った場合の電圧降下の様子と電流波形とを示す説明図である。
【図10】位相制御を行った場合の電流波形を示す説明図である。
【図11】位相制御を行った場合の電流波形を示す説明図である。
【図12】位相制御を行った場合の電流波形を示す説明図である。
【符号の説明】
30 デジタル複写機
31 スキャナー部
32 記録部
40 定着装置
41 上側定着ローラ
42 下側定着ローラ
43 加圧手段
44 定着ヒータ
45 定着サーミスタ
46 定着剥離爪
47 温度ヒューズ
101 交流電源接続プラグ
102 電力供給ユニット(スイッチング手段)
103 制御基板(スイッチング手段)
104 定着ユニット
105 電源トランス
106 ゼロクロス検出回路
107 双方向サイリスタ
108 入出力装置
109 入出力装置
110 CPU
111 ROM
112 RAM
113 A/D変換器
114 増幅器
117 温度ヒューズ
118 定着ヒータ
119 定着サーミスタ

Claims (3)

  1. 交流電源から温度に対する抵抗特性が正である負荷へ供給する少なくとも1つの極性を有する供給電圧を、通電開始時に、供給電圧波形の半波に対する通電時間を設定する位相制御にて制御して、上記負荷を流れる負荷電流を調節するスイッチング手段を有する電力制御装置において、
    上記スイッチング手段が、
    通電時間T1だけ、電圧を供給し、
    次いで、上記通電時間T1よりも長い通電時間T2だけ、電圧を供給し、
    次いで、通電時間T2よりも短い通電時間T3だけ、電圧を供給する第1制御パターンを有するように、上記供給電圧波形の位相制御を行うことを特徴とする電力制御装置。
  2. 上記スイッチング手段が、上記第1制御パターンにて制御を行い、次いで、ゼロクロス制御を行うことを特徴とする請求項1記載の電力制御装置。
  3. 交流電源から温度に対する抵抗特性が正である負荷へ供給する少なくとも1つの極性を有する供給電圧を、通電開始時に、供給電圧波形の半波に対する通電時間を設定する位相制御にて制御して、上記負荷を流れる負荷電流を調節するスイッチング手段を有する電力制御装置において、
    上記スイッチング手段が、
    通電時間をほぼ一定に保って通電し、それにより得られる負荷電流の、ピーク値の減衰率が飽和する前に通電時間を増加させ、当該増加後の通電時間をほぼ一定に保って通電するという第2制御パターンを、少なくとも1回行うように、上記供給電圧波形の位相制御を行うことを特徴とする電力制御装置。
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