JP3608849B2 - マイクロホンのハンガースイッチ構造 - Google Patents

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毅典 和田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロントケースと、該フロントケースの背面側に固定された回路基板と、該回路基板の背面を覆うようにフロントケースの背面側に取り付けられたリアケースと、該リアケースの背面側に配置され、回路基板の背面の第1接点と導通するハンガープレートと、該ハンガープレートの背面に対向するフランジ部が形成され、回路基板の背面の第2接点と導通するハンガーノブとを備えたマイクロホンのハンガースイッチ構造に関する。
【0002】
更に詳しくは、ハンガーノブを導電性のマイクロホンハンガーに掛止すると、該マイクロホンハンガーを介して、ハンガープレートとハンガーノブとの導通がなされるように構成したマイクロホンのハンガースイッチ構造に関する。
【0003】
【従来の技術】
この種のマイクロホンのハンガースイッチ構造では、回路基板の背面の第1接点とハンガープレートとの電気的接続を、一端が第1接点に半田付けされ、他端がハンガープレート(若しくはこれと一体の端子)に半田付けされたビニール被覆銅線等のリード線を用いて行っていた。又、回路基板の背面の第2接点とハンガーノブとの電気的接続についても、一端が第2接点に半田付けされ、他端がハンガーノブ(若しくはこれと一体の端子)に半田付けされたリード線を用いて行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来構造においては、マイクロホンの組立作業時に、リード線を半田付けするという工程が必要になり、組立の作業性が悪いという問題がある。更に、メンテナンス作業時には、リアケースをフロントケースから外す必要があるが、従来構造では、半田付けされたリード線の存在により、半田部分を溶解して剥がさない限りリアケースとフロントケースとの完全な分離を行えず、メンテナンスの作業性が悪いという問題もある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、組立時及びメンテナンス時の作業性がよいマイクロホンのハンガースイッチ構造を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、フロントケースと、該フロントケースの背面側に固定された回路基板と、該回路基板の背面を覆うように前記フロントケースの背面側に取り付けられたリアケースと、該リアケースの背面側に配置され、前記回路基板の背面の第1接点と導通するハンガープレートと、該ハンガープレートの背面に対向するフランジ部が形成され、前記回路基板の背面の第2接点と導通するハンガーノブとを備えたマイクロホンのハンガースイッチ構造であって、前記ハンガーノブを導電性のマイクロホンハンガーに掛止すると、該マイクロホンハンガーを介して、前記ハンガープレートと前記ハンガーノブとの導通がなされるように構成したマイクロホンのハンガースイッチ構造において、前側部分に直線部が形成され後側部分に螺旋部が形成され、前記直線部の前端が前記回路基板の背面の第1接点を押圧するように、前記螺旋部が前後方向に圧縮され且つその後端が前記ハンガープレートの前面に当接された導電性のスプリングピンと、一端側が前記ハンガーノブに導通するように固定され、他端側が前記回路基板の背面の第2接点を押圧する導電性の板ばねと、を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
ここで、導電性のスプリングピン或いは導電性の板ばねとは、スプリングピンや板ばね全体が導電性材料で構成されているものだけでなく、表面だけが導電性金属膜で覆われているものをも含む。
【0008】
本発明のハンガースイッチ構造において、フロントケースにリアケースを取り付けた状態では、スプリングピンの直線部の前端が回路基板の背面の第1接点を押圧し、板ばねが前記回路基板の背面の第2接点を押圧するため、回路基板の第1接点にハンガープレートが導通し、ハンガーノブが回路基板の第2接点と導通している。そこで、ハンガーノブを導電性のマイクロホンハンガーに掛止すると、このマイクロホンハンガーを介して、ハンガープレートとハンガーノブとの導通がなされる。
【0009】
本発明では、回路基板の背面の第1接点とハンガープレートとの電気的接続を、第1接点を押圧するスプリングピンで行い、回路基板の背面の第2接点とハンガーノブとの電気的接続を、第2接点を押圧する板ばねで行っているため、マイクロホンの組立作業時に、リード線を半田付けするという工程が不要になり、組立の作業性が向上する。更に、メンテナンス作業時に、リアケースをフロントケースから完全に分離でき、メンテナンスの作業性も向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は図2の切断線I−Iにおける主要部の断面図、図2は本発明の実施の一形態を示す正面図、図3は図2に示した実施の一形態の右側面図、図4は図2に示した実施の一形態の背面図である。
【0011】
又、図5は図1に示した実施の一形態におけるリアケース周辺部を背面側から見た分解斜視図、図6は図1に示した実施の一形態におけるフロントケース周辺部を背面側から見た分解斜視図である。
【0012】
これらの図において、1はマイク使用者の口と対向するフロントケースで、該フロントケース1の背面側には、図6に示したように、回路基板2が4本のビス3を用いて固定されている。又、フロントケース1の集音孔(図示せず)の背面側には、ナイロンワッシャ4,スクリーン5及びパッキン6を介してECMユニット(音の検出部)7が配置されている。このECMユニット7の端子はECMホルダ8の中央穴を貫通して回路基板2に半田付けされている。
【0013】
フロントケース1の背面側には、3本のビス11を用いて、リアケース10が回路基板2の背面を覆うように取り付けられている。該リアケース10の背面側には、導電性の板でなるハンガープレート12が配置されている。ハンガープレート12の中央には、円形の貫通孔12aが穿設されている。
【0014】
リアケース10におけるハンガープレート12との対向位置には、段付きの貫通孔10aが穿設された円筒部10cが形成され、貫通孔12aとの対向位置には、段付きの貫通孔10bが穿設された円筒部10dが形成されている。
【0015】
ハンガープレート12の貫通孔12a及びリアケース10の貫通孔10bには、ハンガープレート12を背面側から押さえるように、フランジ付き円筒形をした絶縁材料でなるカラー13が差し込まれ、更に、このカラー13の貫通孔及びリアケース10の貫通孔10bに、カラー13を背面側から押さえるように、ハンガーノブ14の軸部14aが差し込まれている。
【0016】
このカラー13の存在により、ハンガープレート12とハンガーノブ14との直接接触による導通を避けることができる。尚、ハンガーノブ14のフランジ部14bは、リアケース10の背面から離間した位置にあり、ハンガープレート12の背面と対向している。
【0017】
ハンガーノブ14の軸部14a先端には、半径方向にスリットが形成されており、このスリットとリアケース10の貫通孔10bの段部に形成された突起(図示せず)とが係合することにより、ハンガーノブ14の回転を規制している。そして、軸部14aのスリットとリアケース10の貫通孔10b内の前述の突起とが係合した状態のまま、ハンガーノブ14の軸部14a先端には、リアケース10の内側から、リアケース10,板ばね15及びスプリングワッシャ16を挟むようにして、ビス17がねじ込まれている。
【0018】
このビス17により、ハンガープレート12及びハンガーノブ14はリアケース10に確実に固定される。本形態例では、板ばね15及びビス17は導電性材料でなり、且つ板ばね15には、くの字状に折曲された接点押圧用のアーム15aが形成されている。このため、板ばね15(アーム15a)とハンガーノブ14とは電気的に常時導通していることになる。又、本形態例では、板ばね15の回転を規制するために、図7に示すように、段付きの貫通孔10bが穿設された円筒部10dには、板ばね15のアーム15aを両側から挟むことによってその回転を規制する突起10eを設けられている。
【0019】
一方、リアケース10の貫通孔10aには、図1及び図5に示すように、スプリングピン18が挿入されている。スプリングピン18の前側部分(図5及び後述の図8では、前側部分が下方に位置するように作図されている)には直線部18aが形成され、後側部分には螺旋部18bが形成されている。本形態例では、図8に詳細に示したように、このスプリングピン18は導電性材料でなる一本のワイヤから形成されている。
【0020】
スプリングピン18の直線部18aはリアケース10の貫通孔10aの小径部分に前後方向に移動自在に挿通されている。一方、螺旋部18bはリアケース10の貫通孔10aの大径部分に前後方向に圧縮状態で挿入され、その後端はハンガープレート12の前面に当接している。このため、スプリングピン18とハンガープレート12とは電気的に常時導通していることになる。
【0021】
フロントケース1及びリアケース10の側部には、特に図6に示すように、送受信を切り替えるPTTノブ25が揺動可能に設けられている。このPTTノブ25は、スプリング26により、外方に常時付勢されている。このため、PTTスイッチ27は、通常は押圧されておらず、PTTノブ25を押圧した場合にのみ、パッキン28を介して押圧されるようになっている。
【0022】
回路基板2には、所定の回路が形成されており、これらの回路は、コネクタ30,プラグ31及びケーブル32を介して外部装置に接続されている。
この回路基板2の背面には、ハンガースイッチ用の回路の一部を構成する第1接点2aと第2接点2bとが半田皮膜等で形成されており、フロントケース1にリアケース10を取り付けた状態では、スプリングピン18の直線部18aの前端が第1接点2aを押圧し、板ばね15のアーム15aが第2接点2bを押圧するようになっている。このため、回路基板2の第1接点2aとハンガープレート12とが導通し、回路基板2の第2接点2bとハンガーノブ14とが導通している。
【0023】
そこで、ハンガーノブ14を導電性のマイクロホンハンガーに掛止すると、このマイクロホンハンガーを介して、ハンガープレート12とハンガーノブ14との導通がなされることになる。
【0024】
図9はマイクロホンハンガーの一例を示す図である。このマイクロホンハンガー40は、ハンガー本体41の上端に支持ばね42を円筒状のリベット43を用いて固定したものである。ハンガー本体41には、ハンガーノブ14の軸部14aが上方から挿入されるための切欠41aが形成されている。
【0025】
この切欠41aにハンガーノブ14が挿入される(図2に挿入状態を2点鎖線で示した)と、ハンガーノブ14のフランジ部14bとハンガープレート12の間隙にハンガー本体41が嵌合され、又、ハンガーノブ14の背面の凹み14cには、支持ばね42の突起42aが嵌合することになる。この例では、ハンガー本体41及び支持ばね42共、導電性材料で構成されている。
【0026】
従って、ハンガーノブ14をこのマイクロホンハンガー40に掛止すると、該マイクロホンハンガー40を介して、ハンガープレート12とハンガーノブ14との導通がなされ、回路基板2の第1接点2aと第2接点2bとが導通することになる。
【0027】
上記構成によれば、回路基板2の背面の第1接点2aとハンガープレート12との電気的接続を、第1接点2aを押圧するスプリングピン18で行い、回路基板2の背面の第2接点2bとハンガーノブ14との電気的接続を、第2接点2bを押圧する板ばね15で行っている。このため、マイクロホンの組立作業時に、回路基板2の背面の第1接点2aとハンガープレート12との電気的接続や、第2接点2bとハンガーノブ14との電気的接続を図るために、リード線を半田付けするという工程は不要になり、組立の作業性が向上する。更に、リード線が存在しないため、メンテナンス作業時に、リアケース10をフロントケース1から完全に分離でき、メンテナンスの作業性も向上する。
【0028】
尚、本発明は上記実施の形態例に限ることなく、種々の変形が可能である。例えば、スプリングピン18としては、必ずしも1本のワイヤから形成したものを用いる必要はなく、直線部18aと螺旋部18bとを別部材で作り、両者を溶接したものを用いてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、回路基板の背面の第1接点とハンガープレートとの電気的接続を、第1接点を押圧するスプリングピンで行い、回路基板の背面の第2接点とハンガーノブとの電気的接続を、第2接点を押圧する板ばねで行っているため、マイクロホンの組立作業時に、リード線を半田付けするという工程が不要になり、組立の作業性が向上する。更に、メンテナンス作業時に、リアケースをフロントケースから完全に分離でき、メンテナンスの作業性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2の切断線I−Iにおける主要部の断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態を示す正面図である。
【図3】図2に示した実施の一形態の右側面図である。
【図4】図2に示した実施の一形態の背面図である。
【図5】図2に示した実施の一形態におけるリアケース周辺部を背面側から見た分解斜視図である。
【図6】図2に示した実施の一形態におけるフロントケース周辺部を背面側から見た分解斜視図である。
【図7】図2に示した実施の一形態における板ばね周辺部を前面側から見た斜視図である。
【図8】図5中のスプリングピンの詳細図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図9】マイクロホンハンガーの一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)におけるBーB断面図である。
【符号の説明】
1:フロントケース
2:回路基板
2a:第1接点
2b:第2接点
3:ビス
7:ECMユニット
10:リアケース
10a,10b:貫通孔
12:ハンガープレート
12a:貫通孔
13:カラー
14:ハンガーノブ
14a:軸部
14b:フランジ部
15:板ばね
15a:アーム
17:ビス
18:スプリングピン
18a:直線部
18b:螺旋部
25:PTTノブ
27:PTTスイッチ
40:マイクロホンハンガー
41:ハンガー本体
42:支持ばね

Claims (1)

  1. フロントケースと、該フロントケースの背面側に固定された回路基板と、該回路基板の背面を覆うように前記フロントケースの背面側に取り付けられたリアケースと、該リアケースの背面側に配置され、前記回路基板の背面の第1接点と導通するハンガープレートと、該ハンガープレートの背面に対向するフランジ部が形成され、前記回路基板の背面の第2接点と導通するハンガーノブとを備えたマイクロホンのハンガースイッチ構造であって、
    前記ハンガーノブを導電性のマイクロホンハンガーに掛止すると、該マイクロホンハンガーを介して、前記ハンガープレートと前記ハンガーノブとの導通がなされるように構成したマイクロホンのハンガースイッチ構造において、
    前側部分に直線部が形成され後側部分に螺旋部が形成され、前記直線部の前端が前記回路基板の背面の第1接点を押圧するように、前記螺旋部が前後方向に圧縮され且つその後端が前記ハンガープレートの前面に当接された導電性のスプリングピンと、
    一端側が前記ハンガーノブに導通するように固定され、他端側が前記回路基板の背面の第2接点を押圧する導電性の板ばねと、
    を設けたことを特徴とするマイクロホンのハンガースイッチ構造。
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