JP3606673B2 - 薄切補助部材の貼り付け方法及びそのための装置 - Google Patents

薄切補助部材の貼り付け方法及びそのための装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、理科学試料分析や生体試料の顕微鏡観察等の医療分析において用いられるミクロトーム(固形試料またはカッタナイフを希望切断厚さに対応する量だけ移動させた後、カッタナイフによって固形試料を切断し、薄切片を作製する装置)に係り、切断工程の前に薄切片となる固形試料面に薄切補助部材(テープ)を密着固定した後、薄切りを行い、薄切補助部材と密着固定した薄切片を作製する装置(薄切片作製装置)において、特に、固形試料面に薄切補助部材を密着固定する方法及びそのための装置、薄切りされた薄切片を薄切補助部材に密着固定する方法及びそのための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄切片の作製(切り出し)作業は、作業者がミクロトームを用いて行っている(例えば、特開平6−265452号参照)。固形試料には主として生体試料をパラフィン包埋したものが用いられ、これを切断し、薄切片を作製する。この薄切片の作製工程において、重要かつ困難な作業に、切断中及び切断工程終了後の薄切片のハンドリングがある。
【0003】
図11はかかる従来の薄切片のハンドリング工程を示す斜視図である。
【0004】
まず、図11(a)に示すように、固形試料または切断刃を希望切断厚さに対応する量だけ移動させる、いわゆる送り工程が行われる。つまり、切断刃1を固形試料2の方向Aへ送り、固形試料2の薄切りを開始する。
【0005】
次に、図11(b)に示すように、作業者は片手で切断刃1を移動をさせつつ、もう一方の手でこのとき生成される薄切片4の切れ始めに、水分を含ませた非常に細い筆などの治具3(他に紙製の小さい短冊に水分を含ませたものや、先端を鋭利に削った木製の鉛筆状の治具などが使用される)の先端部を接触させる。
【0006】
次に、図11(c)に示すように、そのまま切断刃1を移動させる速度と同じ速度で、薄切片4に接触させた治具3を動かしながら切断を終了させることにより、切断終了時には、一端が治具3に接触した状態の薄切片4を取り出すことができる。そして、取り出した薄切片4をガラス製のプレパラートに乗せる(一般的には取り出した薄切片4の皺や縮みを延ばす目的で一度水面に浮かべた後、プレパラートで掬い取るのであるが、どちらにしても薄切片4を、ある定まった場所へ移動させる工程が存在することに変わりはない)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の薄切片の作製方法では、次に示すような問題があった。
【0008】
作業者は片手で切断刃1を、もう一方の手で薄切片4取り出し用の治具3を同時に操作しなければならず、この状況下で非常に薄い切片4の切れ始めの一定の場所に、これもまた非常に小さな治具3の先端部を正確に接触させるには、高度な技術、熟練度かつ集中力を必要とする。このとき治具3先端部の薄切片4への押しつけ力が大きすぎると薄切片4が破れたり、皺になったりするという不具合が生じる。
【0009】
また、切断刃1は固形試料2の切断を開始したら常に一定の速度で移動させなければならないため〔切断刃1の移動速度(切断速度)を変化させると薄切片4の厚さむらや形状(皺、縮み)のバラツキの原因となる〕、この治具3の先端部を薄切片4の切り始めに接触させるという作業は、切断刃1を停止させることなく行わなければならない。
【0010】
仮に、薄切片4の切れ始めにうまく治具3の先端部を接触させることに成功しても、両方の手の移動速度が同じでなければ薄切片4が破れてしまう。
【0011】
最後に、取り出した薄切片4をプレパラート上など他の場所に移動させる際も慎重に行わなければ、風や衝撃により薄切片4が破れる恐れがある。
【0012】
これらの一連の高度な技術を身につけること、かつ連続したものでは数百枚にも及ぶ切り出しの作業の間中、終始集中力を維持することは非常に困難である。
【0013】
本発明は、上記問題点を解決するために、薄切片の切り出しの際に薄切片に生じる皺、縮み、破れなどの不具合の発生を抑え、熟練者でなくとも容易に安定した品質の薄切片の切り出しを行うことができる薄切補助部材の貼り付け方法及びそのための装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕薄切補助部材の貼り付け方法において、薄切補助部材をアクチュエータを有する押し付けヘッドとこれに対向する固形試料との間にセットする工程と、前記押し付けヘッドによって前記薄切補助部材を前記固形試料に機械的に押し付けると共に、前記薄切補助部材と前記固形試料面をそれぞれ互いに異なる極性の電荷に帯電させて静電気力により貼り付ける工程と、カッタナイフにより前記固形試料が前記薄切補助部材に貼り付けられた状態で薄切りする工程とを施すようにしたものである。
【0015】
〕上記〔〕記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記薄切補助部材に導電層または半導体層を形成し、この導電層または半導体層へ電圧源から導線を介して電荷を印加するようにしたものである。
【0016】
〕上記〔〕記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記薄切補助部材に電荷を散布することにより電荷を付与するようにしたものである。
【0017】
〕上記〔〕記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記薄切補助部材の表面を摩擦部材で擦ることにより電荷を付与するようにしたものである。
【0018】
〕上記〔1〕記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記固形試料面に電荷を付与するようにしたものである。
【0019】
〕上記〔〕記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記固形試料面に電圧源から電荷を付与するようにしたものである。
【0020】
〕上記〔〕記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記固形試料面に電荷を散布することにより電荷を付与するようにしたものである。
【0021】
〕薄切補助部材に固形試料の薄切片を取り出す薄切片作製装置において、固形試料と、この固形試料に対向して配置されるアクチュエータを有する押し付けヘッドと、前記固形試料と押し付けヘッド間にセットされる薄切補助部材と、前記固形試料の薄切りを行うカッタナイフと、前記固形試料面に薄切補助部材を固定するために、前記薄切補助部材と前記固形試料面をそれぞれ互いに異なる極性の電荷に帯電するように印加される電荷付与手段とを具備するようにしたものである。
【0022】
〕上記〔〕記載の薄切片作製装置において、前記薄切補助部材は絶縁層上に導体層又は半導体層を形成し、該導体層又は半導体層に接続される導線を有するようにしたものである。
【0023】
10〕上記〔〕記載の薄切片作製装置において、前記薄切補助部材は絶縁層間に導体層又は半導体層を形成する3層構造を有し、この導体層又は半導体層に接続される導線を有するようにしたものである。
【0024】
11〕上記〔〕記載の薄切片作製装置において、前記薄切補助部材は絶縁層上に半導体層を介して導体層又は半導体層を形成する3層構造を有し、この導体層又は半導体層に接続される導線を有するようにしたものである。
【0025】
12〕上記〔〕記載の薄切片作製装置において、前記薄切補助部材は絶縁層上に界面活性剤又は帯電防止剤を塗り乾燥させた層を形成し、この界面活性剤又は帯電防止剤を塗り乾燥させた層に接続される導線を有するようにしたものである。
【0026】
13〕上記〔〕記載の薄切片作製装置において、前記電荷付与手段は、前記薄切補助部材に接続される電圧源である。
【0027】
14〕上記〔〕記載の薄切片作製装置において、前記電荷付与手段は、前記固形試料に接続される電圧源である。
【0028】
15〕上記〔〕記載の薄切片作製装置において、前記電荷付与手段は、前記薄切補助部材上に電荷を散布する手段を具備するようにしたものである。
【0029】
16〕上記〔〕記載の薄切片作製装置において、前記電荷付与手段は、前記薄固形試料面に電荷を散布する手段を具備するようにしたものである。
【0030】
17〕上記〔〕記載の薄切片作製装置において、前記電荷付与手段は、前記薄切補助部材の表面を擦る摩擦部材を具備するようにしたものである。
【0031】
上記のように構成したので、
(A)固形試料表面に薄切補助部材を的確に貼り付け、固形試料を円滑に薄切りすることができる。また、薄切り後は、薄切補助部材に薄切りされた固形試料を剥がれないように確実に固定しておくことができる。
【0032】
(B)切断の際に薄切片に生じる皺、縮み、破れなどの不具合及び、切断後の薄切片を取り出し、スライドガラスなど他の場所に移動させる際に生じる薄切片の破れ等の不具合を抑え、熟練者でなくとも容易に安定した品質の薄切片の切り出しを行うことができる。
【0033】
(C)また、薄切補助部材の貼り付け装置によれば、薄切片作製作業の自動化を推進することができ、顕微鏡観察などに用いられる試料の作製及び検査効率を飛躍的に向上させることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
図1は本発明の第1実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
【0036】
ここでは、固形試料面に薄切補助部材を貼り付け、固形試料を薄切り後、薄切補助部材上に固形試料の薄切片を取り出すようにしている。
【0037】
まず、図1(a)に示すように、薄切補助部材101は直動するアクチュエータ102に取り付けられた押し付けヘッド103とこれに対向する固形試料104との間にセットされる。
【0038】
次に、図1(b)に示すように、薄切補助部材101はアクチュエータ102に取り付けられた押し付けヘッド103によって、固形試料104に押し付けられる。
【0039】
その後、図1(c)に示すように、押し付けヘッド103退避するが、薄切補助部材101は固形試料104に貼り付いた状態で残る。
【0040】
その後、図1(d)に示すように、カッタナイフ105が動きだし、固形試料104を薄切りする。薄切りされた薄切片106は薄切補助部材101上に取り出される。
【0041】
この実施例では、この薄切補助部材101を固形試料104面に貼り付けるときに、例えば、図1(c)に示すように、薄切補助部材101を正電荷107で帯電させ、一方、固形試料104面を負電荷108で帯電させ、これらの静電気による吸引力を用いて、薄切補助部材101を固形試料104面に貼り付けるようにしている。
【0042】
また、この実施例では、図1(d)に示すように、固形試料104をカッタナイフ105で薄切り後、引き続き存在する薄切補助部材101上の正電荷107と薄切片106の負電荷108の、それらの静電気の吸引力を用いて、薄切補助部材101上に固形試料104の薄切片106を貼り付けることができる。
【0043】
次に、本発明の実施例を示す薄切補助部材について説明する。
【0044】
図2は本発明の第1実施例を示す薄切補助部材の構成図であり、図2(a)ははその薄切補助部材の平面図、図2(b)はその薄切補助部材の断面図である。
【0045】
この薄切補助部材としては、絶縁層201上に導体層あるいは半導体層202を有する構造となっている。また、導体層あるいは半導体層202には、導体層あるいは半導体層202に電荷を供給するための導線203が接続されている。絶縁層201の材質としては、例えば、ポリイミドフィルムなどが考えられる。また、導体層の材質としては、例えば、銀ペースト、導電性塗料、銅箔などが考えられる。
【0046】
図3は本発明の第2実施例を示す薄切補助部材の断面図である。
【0047】
この実施例では、薄切補助部材の構造が、導体層あるいは半導体層301を二つの絶縁層302,303で挟み込んだ3層構造になっている。導体層あるいは半導体層301には、導体層あるいは半導体層301に電荷を供給するための導線304が接続されている。
【0048】
このように、導体層あるいは半導体層301を二つの絶縁層302、303で挟み込むことにより、感電などに対する薄切補助部材の安全性を高めることができる。
【0049】
図4は本発明の第3実施例を示す薄切補助部材の断面図である。
【0050】
この実施例では、薄切補助部材の構造が、絶縁層401上に半導体層402があり、さらに、その上に導体層403を有する構造となっている。導体層403には、半導体層402に電荷を供給するための導線404が接続されている。この薄切補助部材では、もし、なんらかの原因で絶縁層401が破壊されて、電気的短絡状態になっても、半導体層402があるため、急激に大電流が流れることはない。
【0051】
また、上記した以外に、例えば、絶縁層間に半導体層を介して導体層又は半導体層を形成した4層構造になった薄切補助部材などを用いることもできる。
【0052】
図5は本発明の第4実施例を示す薄切補助部材の断面図である。
【0053】
この実施例では、薄切補助部材の構造が、絶縁層501上に界面活性剤又は帯電防止剤を塗り乾燥させた層502を有する構造となっている。また、その層502には、層502に電荷を供給するための導線503が接続されている。
【0054】
このように絶縁層501の表面に界面活性剤又は帯電防止剤を塗ることで、絶縁層501の表面抵抗率を下げることができ、導体層あるいは半導体層を形成することができる。
【0055】
図6は本発明の第2実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
【0056】
(1)まず、図6(a)に示すように、薄切補助部材601が導体層あるいは半導体層602と絶縁層603の少なくとも2層構造になっており(図2参照)、導体層(半導体層)602に電圧供給源607により、電圧を印加し(グランドに落とした場合でも、それは0Vの電圧を印加している)、絶縁層603を介して固形試料604の表面に接触する。このとき、電圧供給源607より供給される薄切補助部材601の導体層(半導体層)602表面の正電荷605及び、なんらかの方法で固形試料604面に発生あるいは供給された負電荷606の、これらの静電気の吸引力により薄切補助部材601を固形試料604面に貼り付けることができる。
【0057】
なお、固形試料604の表面に電荷を発生または供給する方法には、各種の方法が考えられる。
【0058】
(2)次に、図6(b)に示すように、固形試料604をカッタナイフ608で薄切り後、引き続き存在する、電圧供給源607より供給された薄切補助部材601の導体層(半導体層)602表面の正電荷605と固形試料604の薄切片609の負電荷606の、これらの静電気の吸引力を用いて、薄切補助部材601上に固形試料604の薄切片609を貼り付けることができる。
【0059】
図7は本発明の第3実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
【0060】
(1)まず、図7(a)に示すように、固形試料702は導電体あるいは半導体になっている。例えば、固形試料の材質は一般にパラフィンであるが、パラフィンが溶融している状態でカーボンブラックのような導電性粉末を混ぜ、凝固することで、固形試料を導電体あるいは半導体にすることができる。そこで、固形試料702に電圧供給源706により電圧を印加し(グランドに落とした場合でも、それは0Vの電圧を印加している)、薄切補助部材701を固形試料702表面に接触させる。このとき、電圧供給源706より供給される固形試料702の表面の負電荷704及び、なんらかの方法で薄切補助部材701に発生あるいは供給された正電荷703の、これらの静電気の吸引力により薄切補助部材701を固形試料702表面に貼り付けることができる。
【0061】
薄切補助部材701に電荷を発生または供給する方法には、例えば、各実施例に示す各種の方法が考えられる。
【0062】
(2)次に、図7(b)に示すように、固形試料702をカッタナイフ705で薄切り後、引き続き存在する、薄切補助部材701の正電荷703と固形試料702の薄切片707の負電荷704の、これらの静電気の吸引力を用いて、薄切補助部材701上に固形試料702の薄切片707を貼り付けることができる。
【0063】
図8は本発明の第4実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
【0064】
(1)まず、図8(a)に示すように、絶縁体の薄切補助部材801を接地された金属板804上に置き、帯電器802により薄切補助部材801表面に正電荷803を散布すると、金属板804上にある薄切補助部材801表面に正電荷803が付着し帯電する。
【0065】
(2)次に、図8(b)に示すように、薄切補助部材801の帯電した部分を固形試料805表面に接触させる。このとき、帯電器802により薄切補助部材801表面に付着、帯電した正電荷808及び、なんらかの方法で固形試料805面に発生あるいは供給された負電荷807の、これらの静電気の吸引力により薄切補助部材801を固形試料805面に貼り付けることができる。
【0066】
なお、固形試料805面に電荷を発生又は供給する方法には、各種の方法が考えられる。
【0067】
(3)次に、図8(c)のように、固形試料805をカッタナイフ806で薄切り後、引き続き存在する、薄切補助部材801表面に付着、帯電した正電荷808と固形試料805の薄切片809の負電荷807の、これらの静電気の吸引力を用いて、薄切補助部材801に固形試料805の薄切片809を貼り付けることができる。
【0068】
図9は本発明の第5実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
【0069】
(1)まず、図9(a)に示すように、絶縁体の固形試料902を接地された金属ブロック903上にセットし、帯電器904により固形試料902表面に負電荷905を散布する。
【0070】
(2)すると、図9(b)に示すように、金属ブロック903上にセットされた固形試料902表面に負電荷907が付着し、帯電する。この固形試料902表面に薄切補助部材901を接触させる。このとき、帯電器904により固形試料902表面に付着、帯電した負電荷907及び、なんらかの方法で薄切補助部材901に発生あるいは供給された正電荷908の、これらの静電気の吸引力により薄切補助部材901を固形試料902表面に貼り付けることができる。
【0071】
なお、薄切補助部材901に電荷を発生または供給する方法には、各種の方法が考えられる。
【0072】
(3)次に、図9(c)に示すように、固形試料902をカッタナイフ906で薄切り後、引き続き存在する、薄切補助部材901の正電荷908と固形試料902の薄切片909の負電荷907の、これらの静電気の吸引力を用いて、薄切補助部材901に固形試料902の薄切片909を貼り付けることができる。
【0073】
図10は本発明の第6実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
(1)まず、図10(a)のように、薄切補助部材1001の表面を摩擦棒1002によって擦ると摩擦電気が生じる。摩擦によって薄切補助部材1001表面に生じる電荷は、擦り合わせる物質の種類によって異なり、摩擦電気系列に従う。例えば、薄切補助部材1001が樹脂製で、摩擦棒1002の摩擦ヘッド1003が綿布製であれば、薄切補助部材1001の表面には負電荷1004が生じ、帯電する。
【0074】
(2)次に、図10(b)に示すように、薄切補助部材1001の表面を摩擦棒1002によって擦ることで帯電した薄切補助部材1001を固形試料1005面に接触させる。このとき、摩擦棒1002で擦ることによって帯電した薄切補助部材1001表面の負電荷1004及び、なんらかの方法で固形試料1005表面に発生あるいは供給された正電荷1006の、これらの静電気の吸引力により薄切補助部材1001を固形試料1005面に貼り付けることができる。
【0075】
なお、固形試料1005面に電荷を発生または供給する方法には、各種の方法が考えられる。
【0076】
(3)次に、図10(c)に示すように、固形試料1005をカッタナイフ1007で薄切り後、引き続き存在する、薄切補助部材1001表面に帯電した負電荷1004と固形試料1005の薄切片1008の正電荷1006の、これらの静電気の吸引力を用いて、薄切補助部材1001に固形試料1005の薄切片1008を貼り付けることができる。
【0077】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0078】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0079】
(1)本発明によれば、固形試料表面に薄切補助部材を的確に貼り付け、固形試料を円滑に薄切りすることができる。また、薄切り後は、薄切補助部材に薄切りされた固形試料を剥がれないように確実に固定しておくことができる。
【0080】
(2)また、従来技術では、(a)作業者は片手でカッタナイフを、もう一方の手で薄切片取り出し用の治具を同時に操作しなければならず、この状況下で非常に薄い接片の切れ始めの一定の場所に小さな治具の先端を正確に接触させるには高度な技術と集中力が必要であるため熟練を必要とする。(b)治具先端の薄切片への押しつけ力が大きすぎると、薄切片が破れたり皺になったりするという不具合が生じる。(c)カッタナイフは固形試料の切断を開始したら常に一定の速度で移動させなければならないため、治具先端を薄切片の切り始めに接触させるという作業は、カッタナイフを停止させることなく行わなければならない。仮に、薄切片の切れ始めにうまく治具の先端を接触させることに成功しても、両方の手の移動速度が同じでなければ薄切片が破れてしまう。(d)取り出した薄切片をスライドガラス上など他の場所に移動させる際にも慎重に行わなければ、風や衝撃により薄切片が破れる恐れがある。(e)固形試料の切断中及び切断工程終了後の薄切片のハンドリングは、高度な技術を身につけること、かつ連続したものでは数百枚にも及ぶ切り出し作業の間中、集中力を維持することが必要であり、作業者にとって非常に困難な作業であった。
【0081】
このような問題点を大幅に改善することができ、切断の際に薄切片に生じる皺、縮み、破れなどの不具合及び、切断後の薄切片を取り出し、スライドガラスなど他の場所に移動させる際に生じる薄切片の破れ等の不具合を抑え、熟練者でなくとも容易に安定した品質の薄切片の切り出しを行うことができる。
【0082】
(3)また、薄切補助部材の貼り付け装置によれば、薄切片作製作業の自動化を推進することができ、顕微鏡観察などに用いられる試料の作製及び検査効率を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す薄切補助部材の構成図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す薄切補助部材の断面図である。
【図4】本発明の第3実施例を示す薄切補助部材の断面図である。
【図5】本発明の第4実施例を示す薄切補助部材の断面図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
【図7】本発明の第3実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
【図8】本発明の第4実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
【図9】本発明の第5実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
【図10】本発明の第6実施例を示す薄切補助部材の貼り付け工程図である。
【図11】従来の薄切片のハンドリング工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
101,601,701,801,901,1001 薄切補助部材
102 直動するアクチュエータ
103 押し付けヘッド
104,604,702,805,902,1005 固形試料
105,608,705,806,906,1007 カッタナイフ
106,609,707,809,909,1008 薄切片
107,605,703,803,808,908,1006 正電荷
108,606,704,807,905,907,1004 負電荷
201,302,303,401,501,603 絶縁層
202,301,602 導体層あるいは半導体層
203,304,404,503 導線
402 半導体層
403 導体層
502 界面活性剤又は帯電防止剤を塗り乾燥させた層
607,706 電圧供給源
802,904 帯電器
804 接地された金属板
903 金属ブロック
1002 摩擦棒
1003 摩擦ヘッド

Claims (17)

  1. (a)薄切補助部材をアクチュエータを有する押し付けヘッドとこれに対向する固形試料との間にセットする工程と、
    (b)前記押し付けヘッドによって前記薄切補助部材を前記固形試料に機械的に押し付けると共に、前記薄切補助部材と前記固形試料面をそれぞれ互いに異なる極性の電荷に帯電させて静電気力により貼り付ける工程と、
    )カッタナイフにより前記固形試料が前記薄切補助部材に貼り付けられた状態で薄切りする工程とを施すことを特徴とする薄切補助部材の貼り付け方法。
  2. 請求項記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記薄切補助部材に導電層または半導体層を形成し、該導電層または半導体層へ電圧源から導線を介して電荷を印加することを特徴とする薄切補助部材の貼り付け方法。
  3. 請求項記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記薄切補助部材に電荷を散布することにより電荷を付与することを特徴とする薄切補助部材の貼り付け方法。
  4. 請求項記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記薄切補助部材の表面を摩擦部材で擦ることにより電荷を付与することを特徴とする薄切補助部材の貼り付け方法。
  5. 請求項1記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記固形試料面に電荷を付与することを特徴とする薄切補助部材の貼り付け方法。
  6. 請求項記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記固形試料面に電圧源から電荷を付与することを特徴とする薄切補助部材の貼り付け方法。
  7. 請求項記載の薄切補助部材の貼り付け方法において、前記固形試料面に電荷を散布することにより電荷を付与することを特徴とする薄切補助部材の貼り付け方法。
  8. 薄切補助部材に固形試料の薄切片を取り出す薄切片作製装置において、
    (a)固形試料と、
    (b)該固形試料に対向して配置されるアクチュエータを有する押し付けヘッドと、
    (c)前記固形試料と押し付けヘッド間にセットされる薄切補助部材と、
    (d)前記固形試料の薄切りを行うカッタナイフと、
    (e)前記固形試料面に薄切補助部材を固定するために、前記薄切補助部材と前記固形試料面をそれぞれ互いに異なる電荷に帯電させるように印加される電荷付与手段とを具備することを特徴とする薄切片作製装置。
  9. 請求項記載の薄切片作製装置において、前記薄切補助部材は絶縁層上に導体層又は半導体層を形成し、該導体層又は半導体層に接続される導線を有することを特徴とする薄切片作製装置。
  10. 請求項記載の薄切片作製装置において、前記薄切補助部材は絶縁層間に導体層又は半導体層を形成する3層構造を有し、該導体層又は半導体層に接続される導線を有することを特徴とする薄切片作製装置。
  11. 請求項記載の薄切片作製装置において、前記薄切補助部材は絶縁層上に半導体層を介して導体層又は半導体層を形成する3層構造を有し、該導体層又は半導体層に接続される導線を有することを特徴とする薄切片作製装置。
  12. 請求項記載の薄切片作製装置において、前記薄切補助部材は絶縁層上に界面活性剤又は帯電防止剤を塗り乾燥させた層を形成し、該界面活性剤又は帯電防止剤を塗り乾燥させた層に接続される導線を有することを特徴とする薄切片作製装置。
  13. 請求項記載の薄切片作製装置において、前記電荷付与手段は、前記薄切補助部材に接続される電圧源であることを特徴とする薄切片作製装置。
  14. 請求項記載の薄切片作製装置において、前記電荷付与手段は、前記固形試料に接続される電圧源であることを特徴とする薄切片作製装置。
  15. 請求項記載の薄切片作製装置において、前記電荷付与手段は、前記薄切補助部材上に電荷を散布する手段を具備することを特徴とする薄切片作製装置。
  16. 請求項記載の薄切片作製装置において、前記電荷付与手段は、前記薄固形試料面に電荷を散布する手段を具備することを特徴とする薄切片作製装置。
  17. 請求項記載の薄切片作製装置において、前記電荷付与手段は、前記薄切補助部材の表面を擦る摩擦部材を具備することを特徴とする薄切片作製装置。
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