JP3605815B2 - コイル巻取搬送巻戻装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間圧延設備において、圧延材の巻取機と巻戻機と巻取機から巻戻機へコイルを移動する装置に係わり、特にコイルの保熱を考慮したコイル巻取搬送巻戻装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
粗圧延後に仕上圧延を行う熱間圧延設備では、図5(A)に模式的に示すように、粗圧延機で30〜50mm厚のバーまで圧延し、次いで仕上圧延機で更に数mm厚のストリップまで圧延する。この場合、粗圧延完了後、仕上圧延が完了するまでの時間が長く、バーの後端が先端に比較して低温になり、均一な仕上加工が困難になる問題点があった。
【0003】
そこで、図5(B)に模式的に示すように、粗圧延後のバーをコイル状に巻取り、それを巻戻しながら仕上圧延する方法が既に開示されている(特公昭51−26317号)。この方法により、バー全体の冷却を防止し、かつ粗圧延における後端から仕上圧延するので、バーの先後端の温度差をほぼ同一にすることができる。
【0004】
しかし、この場合でも、幅方向中央部に比較して、コイル端部は冷えやすく、そのため幅方向の温度の均一化が困難な問題点があった。そこで、この問題を解決するために、コイルの端面を加熱する方法(特開平7−51726号)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
コイルの巻取りと巻戻しを並行して行い、時間のかかる仕上げ圧延を連続的に行うようにするため、巻取り位置と巻戻し位置とを離しコイルをその間移動する。コイル移動装置として、従来コイルの中心穴にマンドレルやC型のクランプ等を挿入しアームを回動したり、吊り上げたりして移動する装置が用いられていた。しかしこのようなコイル移動装置を用いるとコイル端面を加熱するパネルヒータの設置が困難となり、設置した場合もコイル移動装置との干渉を避けるため開口が多くなり加熱効率が悪かった。また巻取り位置で巻取ったコイルの終端をコイル表面から引き離すコイルの口開きを行うため、巻取りピッチが遅く生産性が悪かった。
【0006】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、コイルを移動してもコイル端面を支障なく加熱でき、またコイルの口開きをコイル巻戻し位置で行うコイル巻取搬送巻戻装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、圧延材の搬送ロールと並行して設けられコイルを搭載して圧延ライン方向に搬送するコイル搬送装置と、このコイル搬送装置の上流端に設けられ圧延材を芯なしでコイル状に巻き取る巻取機と、前記コイル搬送装置の下流端に設けられ前記巻取機で巻き取ったコイルを巻き戻す巻戻機と、前記巻取機から前記巻戻機にわたって設けられコイルを加熱する加熱装置と、を備え、前記コイル搬送装置は圧延材の板幅中央部に設けられ、前記搬送ロールはこのコイル搬送装置を挟んで圧延材の板幅方向両側に設けられた分離ロールであり、前記巻取機と前記巻戻機とはコイルを回転するロールを有し、このロールは前記分離ロールと兼用されている。
【0008】
圧延ラインに沿って中央にコイル搬送装置が設けられ、これを挟んで両側に圧延材の搬送ロールが分離して設けられている。圧延材はこの両分離ロールに跨がるようになる。かかる構成によりコイル搬送装置はコイルの幅より狭いため、コイル端面を確実に加熱できる加熱装置を設けることができる。
【0009】
請求項2の発明では、前記コイル搬送装置は、圧延ライン方向に設けられたビームと、このビームを上下動させる上下動駆動装置と、コイルを搭載し前記ビーム上を移動するコイル搬送台車と、このコイル搬送台車を圧延ライン方向に移動する台車搬送装置と、を備える。
【0010】
コイル搬送台車を移動するコイルの下へ移動し、上下動駆動装置でビームを上方に揚げ、分離ロールに乗っていたコイルをコイル搬送台車に移す。次に台車搬送装置で圧延ライン方向に移動し巻戻機などの目的位置でビームを降下することによりコイルを目的位置の分離ロールに載せることができる。
【0011】
請求項3の発明では、前記コイル搬送台車は複数台設けられ、1台は巻取機のコイルを下流側のコイル待機位置へ移動し、1台はコイル待機位置のコイルを巻戻機の位置に移動する。
【0012】
巻取機と巻戻機の間に巻戻し待機用のコイルを置く場合、コイル搬送台車の1台を巻取機の下に置き、1台を巻戻機の直前のコイル待機位置に置くことにより、巻取機のコイルをコイル待機位置へ、コイル待機位置のコイルを巻戻機へ同時に移動することができる。
【0013】
請求項4の発明では、前記巻戻機は、コイルの巻取端をコイル表面から引き離すコイル口開き装置を備える。
【0014】
コイルを巻戻すにはコイル端をコイル表面から引き離すコイル口開け装置が必要である。従来は巻取機に設けられていたため、巻取機の巻取りピッチが遅く生産性が悪かったが、巻戻機に設けることにより解消される。
【0015】
請求項5の発明によれば、前記加熱装置は、コイルの両側に設けられコイル端面を加熱するヒートパネルを備える。
【0016】
加熱装置としては、巻取機から巻戻機までを覆う加熱炉でもよいが、最も冷え易いコイル端面を加熱するように配置したヒートパネルが効果的である。この場合両側面のパネルを結ぶ頂部パネルを設けると保温性が良くなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付して使用する。
図1は、本発明によるコイル巻取搬送巻戻装置の実施形態を示す全体側面図である。図2は図1のX−X断面図である。コイル巻取搬送巻戻装置は、搬送ロール2により送られてくる圧延材1を芯なしでコイル3に巻取る巻取機4と、コイル3を巻戻す巻戻機5と、上流端に巻取機4、下流端に巻戻機5、その中間にコイル待機位置を有し、コイル3を巻取機4から巻戻機5へ移送するコイル移送装置6と、巻取機4から巻戻機5までにわたって設けられコイル3を加熱するヒートパネル7とを備えている。
【0018】
搬送ロール2は圧延ラインを構成し圧延材1を搬送する。コイル搬送装置6は圧延材1の板幅方向中央部に設けられ、搬送ロール2は、コイル搬送装置6の設置範囲では、コイル搬送装置6を挟んで両側に分離した分離ロール2aとなっている。分離ロール2aは内側を支持アーム9で軸支され外側を軸箱10で回転自在に支持されている。
【0019】
巻取機4は、圧延材1の先端に巻き癖を付ける3つの曲げロール4a、圧延材1をコイル状に巻くように案内する案内ロール4b、巻取るコイル3の端面が同一面となるように圧延材1を案内する案内板4c等を備える。案内ロール4bは分離ロール2aを用いており、コイル3を巻くため駆動モータ11により軸箱10で減速して回転駆動される。
【0020】
巻戻機5は、コイル3を巻取り方向と逆方向に回転して巻戻す巻戻ロール5aと、コイル端をコイル表面から引き離すコイル口開け機5bを備える。巻戻ロール5aも案内ロール4bと同様分離ロール2aを用いており、コイル3を巻戻すため駆動モータ11により軸箱10で減速して回転駆動される。
【0021】
コイル搬送装置6は、圧延ラインに沿ってその中心に設けられたビーム6aと、コイル3を搭載しビーム6a上を移動するコイル搬送台車6bを備えている。ビーム6a下部には図示しない固定部材に設けられた回転軸6d回りを回動する回動アーム6cが設けられ、この回動アーム6cを回動することによりビーム6aを上下動する上下動用シリンダ6eが一端を図示しない固定部材に回動自在に取り付けられ他端のロッド側を回動アーム6cに回動自在に取り付けられている。回動アーム6cはビーム6aの上流端と下流端に設けられ、連結ロッド6fで結ばれリンク機構を構成し、ビーム6aを水平に上下動させる。
【0022】
コイル搬送台車6bは上面がV字型をしており、コイル3を安定して支持することができる。本実施形態ではコイル待機位置を1個所とした場合について説明する。巻取機4の位置をA、巻戻機5の位置をB、AとBの中央のコイル待機位置をCとする。コイル搬送台車6bの数はコイル待機位置の数より1個多くする。本実施形態ではコイル待機位置は1個なのでコイル搬送台車6bは2台とし、この2台は連結材6hで結合されている。下流側のコイル搬送台車6bには圧延ライン方向にコイル搬送台車6bを往復動させる搬送用シリンダ6gが一端を図示しない固定部材に回動自在に取り付けられ他端のロッド側をコイル搬送台車6bに回動自在に取り付けられている。
【0023】
巻取機4の中心から巻戻機5の後端まで、コイルの両端面を覆うようにヒートパネル7が設けられ、両ヒートパネル7は保温材を設けた頂部パネル8で結合されている。巻取機4のコイル端面の前方はガイド板4cがあるためヒートパネル7を設ける範囲が少なくなっている。ヒートパネル7はガスバーナや電気ヒータなどの加熱装置をパネル状に配置したものである。
【0024】
次に動作について説明する。図3は巻取機4ではコイル3の巻取りが終了し、コイル待機位置にはコイル3があり、巻戻機5ではコイル3の巻戻しが終了した状態を示す。この状態からAのコイル3をBへ、Bのコイル3をCへ搬送し、巻取機4は巻取りを開始し、巻戻機5は巻戻しを開始するものとする。
【0025】
先ず図1に示すように、搬送用シリンダ6gを作動してコイル搬送台車6bを巻取機4の位置Aとコイル待機位置Bに移動する。次に、図3に示すように上下動用シリンダ6eを作動してビーム6aを上方へ押上げてゆく。コイル3の荷重が案内ロール4bや分離ロール2aからコイル搬送台車6bに移った時点でビーム6aの上昇を停止し、コイル搬送台車6bを図4に示すようにBとCの位置に移動する。次に、上下用シリンダ6eを操作してビーム6aを降下させ、コイル3を分離ロール2aや巻戻ロール5aに移す。この状態で巻取機4はコイル3の巻取りを開始し、巻戻機5はコイル口開き機5bでコイル3の終端をコイル3の表面から引き離し、巻戻しを開始する。以下、巻戻しが終了する度に上記の動作を繰り返す。なお、ヒートパネル7はコイル3がA,B,Cの何れかにある間は加熱を行い、コイル3が均一に所定の温度を保持するよう加熱する。
【0026】
上記実施形態ではコイル待機位置Bを設けた場合を説明したが、コイル待機位置Bを設けず巻取機4より直接巻戻機5の位置に移動してもよい。この場合、コイル搬送台車6bは1台でよく、ビーム6aの長さもそれに応じて短くなる。なお、コイル待機位置を2個所とする場合はコイル搬送台車6bを3台とする。しかし1台でも時間をかけて繰り返し動作することによりコイル3の移送は可能である。
【0027】
【発明の効果】
上述したように、本発明はコイルを巻取機から巻戻機へ搬送するコイル搬送装置を圧延材板幅の中央部に設けることによりコイルの端面にパネルヒータを設けることができ、コイルを均一な温度に加熱し保持することができる。これにより高品質の製品を生産できるとともに、仕上げミルのモータやエッジヒータなど次工程の設備費を低減することができる。またコイルの巻取りピッチを短縮でき生産効率が上がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す全体側面図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】コイルをコイル搬送台車に搭載する説明図である。
【図4】コイルを搬送ロールに移す説明図である。
【図5】従来の熱間圧延設備の説明図である。
【符号の説明】
1 圧延材
2 搬送ロール
2a 分離ロール
3 コイル
4 巻取機
4a 曲げロール
4b 案内ロール
4c ガイド板
5 巻戻機
5a 巻戻ロール
5b コイル口開け機
6 コイル搬送装置
6a ビーム
6b コイル搬送台車
6c 回動アーム
6d 回転軸
6e 上下動用シリンダ
6f 連結ロッド
6g 搬送用シリンダ
6h 連結材
7 ヒートパネル
8 頂部パネル
9 支持アーム
10 軸箱
11 駆動モータ
Claims (5)
- 圧延材の搬送ロールと並行して設けられコイルを搭載して圧延ライン方向に搬送するコイル搬送装置と、このコイル搬送装置の上流端に設けられ圧延材を芯なしでコイル状に巻き取る巻取機と、前記コイル搬送装置の下流端に設けられ前記巻取機で巻き取ったコイルを巻き戻す巻戻機と、前記巻取機から前記巻戻機にわたって設けられコイルを加熱する加熱装置と、を備え、
前記コイル搬送装置は圧延材の板幅中央部に設けられ、前記搬送ロールはコイル搬送装置設置範囲ではこのコイル搬送装置を挟んで圧延材の板幅方向両側に設けられた分離ロールであり、前記巻取機と前記巻戻機とはコイルを回転するロールを有し、このロールは前記分離ロールと兼用されていることを特徴とするコイル巻取搬送巻戻装置。 - 前記コイル搬送装置は、圧延ライン方向に設けられたビームと、このビームを上下動させる上下動駆動装置と、コイルを搭載し前記ビーム上を移動するコイル搬送台車と、このコイル搬送台車を圧延ライン方向に移動する台車搬送装置と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のコイル巻取搬送巻戻装置。
- 前記コイル搬送台車は複数台設けられ、1台は巻取機のコイルを下流側のコイル待機位置へ移動し、1台はコイル待機位置のコイルを巻戻機の位置に移動することを特徴とする請求項2に記載のコイル巻取搬送巻戻装置。
- 前記巻戻機は、コイルの巻取端をコイル表面から引き離すコイル口開き装置を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のコイル巻取搬送巻戻装置。
- 前記加熱装置は、コイルの両側に設けられコイル端面を加熱するヒートパネルを備えることを特徴とする請求項1に記載のコイル巻取搬送巻戻装置。
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