JP3700902B2 - コイル巻取搬送巻戻装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間圧延設備において、圧延材の巻取機と巻戻機と巻取機から巻戻機へコイルを移動する装置に係わり、特にコイルの保熱を考慮したコイル巻取搬送巻戻装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
粗圧延後に仕上圧延を行う熱間圧延設備では、図4(A)に模式的に示すように、粗圧延機で30〜50mm厚のバー(圧延材)まで圧延し、次いで仕上圧延機で更に数mm厚のストリップまで圧延する。この場合、粗圧延完了後、仕上圧延が完了するまでの時間が長く、バーの後端が先端に比較して低温になり、均一な仕上加工が困難になるという問題点があった。
【0003】
そこで、図4(B)に模式的に示すように、粗圧延後のバーをコイル状に巻取り、それを巻戻しながら仕上圧延する方法が既に開示されている(特公昭51−26317号)。この方法により、バー全体の冷却を防止し、かつ粗圧延における後端から仕上圧延するので、バーの先後端の温度差をほぼ同一にすることができる。
【0004】
しかし、この場合でも、幅方向中央部に比較して、コイル端部は冷えやすく、そのため幅方向の温度の均一化が困難になるという問題点があった。そこで、この問題を解決するために、コイルの端面を加熱する方法(特開平7−51726号)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
コイルの巻取りと巻戻しを並行して行い、時間のかかる仕上げ圧延を連続的に行うようにするため、巻取り位置と巻戻し位置とを離しコイルをその間移動する。コイル移動装置として、従来コイルの中心穴にマンドレルやC型のクランプ等を挿入しアームを回動したり、吊り上げたりして移動する装置が用いられていた。しかしこのようなコイル移動装置を用いるとコイル端面を加熱するパネルヒータの設置が困難となり、設置した場合もコイル移動装置との干渉を避けるため開口部が多くなり加熱効率が悪かった。
【0006】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、コイルの巻取り、巻戻し、移動中もコイル幅端面およびコイル内面を支障なく加熱できるコイル巻取搬送巻戻装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、コイルを搭載して圧延ライン方向に搬送するコイル搬送装置と、このコイル搬送装置の上流端に設けられ圧延材を芯なしでコイル状に巻き取る巻取機と、前記コイル搬送装置の下流端に設けられ前記巻取機で巻き取ったコイルを巻き戻す巻戻機と、前記巻取機から前記巻戻機にわたってコイルの両側に設けられコイルを加熱する加熱装置と、を備え、前記コイル搬送装置は、ほぼ圧延ラインのレベルに設けらた昇降可能な複数のロールを有し、前記巻取機と前記巻戻機とはコイルを回転する2本のロールを有している。
【0008】
巻取機で巻き取られたコイルはコイル搬送装置でコイル巻戻機に送られ、巻戻機から巻き出されて行く。巻取機から巻戻機までのコイルの通過路の両側にはコイル加熱装置が設けられ、コイルの巻取中から移動中や巻戻中のコイルの端面およびコイルの中心穴の内面を加熱装置により加熱することができる。
【0009】
請求項2の発明では、前記コイル搬送装置は、2本または3本のロールでコイルを乗せ、進行方向のロールを下げ、後方のロールを上げて行くことにより移動する。
【0010】
コイルを2〜3本のロールに乗せ、進行方向のロール下げ、後方のロールを上げてゆくとコイルは転がるようにして前方へ移動する。
【0011】
請求項3の発明では、前記巻取機の下流側ロールは前記コイル搬送装置の上流端ロールと兼用されている。
【0012】
巻取機は2本のロールの上にコイルを乗せ、コイルの巻き径に応じて一方のロールを上下させて巻取を行なうので、下流側のロールを上下動可能なコイル搬送装置の上流端ロールを用いることにより、装置がコンパクトになりコストも低減する。
【0013】
請求項4の発明では、前記巻戻機の上流側ロールは前記コイル搬送装置の下流端ロールと兼用されている。
【0014】
巻戻機は2本のロールにコイルを乗せ、下流側より圧延材を引き出すことにより巻戻しを行なうが、上流側のロールをコイル搬送装置の下流端ロールを用いることにより装置がコンパクトになりコストも低減する。
【0015】
請求項5の発明では、前記加熱装置は、コイルの両側に設けられコイル端面を加熱するヒートパネルを備える。
【0016】
巻取機と巻戻機およびコイル搬送装置にコイルが乗っているとき、コイルの両側には何の装置もないので、巻取機と巻戻機およびコイル搬送装置の両側にヒートパネルを設けることができる。このヒートパネルにより、コイル巻取り中、移動中、巻戻中およびそれらの動作の待機中常にコイル端面およびコイル中心穴内周面を十分に加熱することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部材には同一の符号を付して使用する。
図1は、本発明のコイル巻取搬送巻戻装置の実施形態を示す縦断面図である。図2は図1のX−X断面図である。コイル巻取搬送巻戻装置は、搬送ロール2により送られてくる圧延材1を芯なしでコイル3に巻取る巻取機4と、コイル3を巻戻す巻戻機5と、上流端に巻取機4、下流端に巻戻機5が接続し、コイル3を巻取機4から巻戻機5へ搬送するコイル搬送装置6と、巻取機4から巻戻機5までにわたって、コイル3の両幅端部を加熱するヒートパネル7とを備えている。搬送ロール2は圧延ラインを構成し圧延材1を搬送する。
【0018】
巻取機4は、圧延材1の先端に巻き癖を付ける3本のロールよりなる曲げロール4a、圧延材1をコイル状に巻くように案内する2本のロールよりなる案内ロール4b、巻取るコイル3の端面が同一面となるように圧延材1を案内するガイド板4c等を備える。案内ロール4bの下流側のロールはコイル搬送装置6の上流端のロールと兼用されている。
【0019】
巻戻機5は、コイル3を巻取り方向と逆方向に回転して巻戻す2本のロールよりなる巻戻ロール5aと、コイル端をコイル表面から引き離すコイル口開け機5bを備える。巻戻ロール5aの上流側のロールはコイル搬送装置6の下流端のロールと兼用されている。
【0020】
コイル搬送装置6は、圧延ラインに設けられたロールと同様のロールを有し、このロールを昇降する昇降ロールユニットN1〜N4よりなる。本実施形態では昇降ロールユニットを4個とし、巻取機4と巻戻機5を接近させ、巻き取ったコイルを巻戻し位置に移動し巻戻しを行なうようにしているが、巻取機4と巻戻機5の間にコイルを待機させる場合はコイル移送距離を長くする。この場合は昇降ロールユニットの数を待機させるコイルの数に応じて多くする。
【0021】
昇降ロールユニットN1〜N4は、図2に示すように、コイル3を搬送するロール6aと、このロール6aの両端を昇降させる2本のシリンダ6bと、このロール6aを回転する回転駆動装置6cを有する。
【0022】
巻取機4の案内ロール4bと昇降ロールユニットN1のほぼ中心から巻戻機5の後端まで、コイル3の両端面を覆うように2枚のヒートパネル7が設けられている。図2では2枚のヒートパネル7はコイル3の両側にそれぞれ独立に設けているが、上端を伸ばし両上端上に頂板を設けることにより保温効率を良くしてもよい。なお、巻取機4側はガイド板4cがあるためヒートパネル7を設ける範囲が少なくなっている。ヒートパネル7にはヒートユニット7a,7bが内面に一面に取付けられている。ヒートユニット7a,7bにはガスバーナや電気ヒータなどの加熱装置が複数配置されており、図示しないガス供給装置や電源からガスや電気が供給される。
【0023】
次に動作について説明する。巻取機4では、圧延材1を曲げロール4aでコイル状の巻き癖を付け、案内ロール4bと昇降ロールユニットN1で図1に示すように左回りに圧延材1を案内して回転させながらコイル3を生成するように巻き付けてゆく。コイル3の径に応じて下流側の昇降ロールユニットN1を降下させて行くことにより、コイル3がガイド板4cからはみ出さず、均一にコイル3の両幅端部に効率よく当たるようにヒートユニット7a,7bで加熱している。
【0024】
巻戻機5では、まずコイル3を回転させコイル口開け機5bのくちばし状先端近傍に圧延材1の後端がくるように設定した後、くちばし状先端により圧延材1の後端をコイル3より引き離し、巻戻しロール5aと昇降ロールユニットN4とを回転してコイル3を図1で示すように右回りに回転させて巻戻し、搬送ロール2により送り出す。
【0025】
次にコイル搬送装置6の動作を図3により説明する。図3はコイル3が巻取機4で巻き取った位置から巻戻機5で巻戻す位置まで移動する状態を▲1▼〜▲9▼の状態に分けて示したものである。なお図中で斜線で示すロールは昇降動作を行ったロールを示す。▲1▼ではロールN1が降下することによりコイル3は左(巻戻機5側)へ移動する。▲2▼ではロールN1を更に降下させ、ロールN2を降下させることによりコイル3は更に左へ移動する。▲3▼ではロールN1はそのままでロールN2をさらに降下させることによりコイル3を左へ移動する。▲4▼ではロールN1を元のレベルに復帰しロールN2をやや下げた位置まで上昇することによりコイル3を左へ移動する。
【0026】
▲5▼ではロールN2とロールN3を少し降下させることによりコイル3を左へ移動する。▲6▼ではロールN3をさらに降下させロールN2と同じレベルにすることによりコイル3を左へ移動する。▲7▼ではロールN2を元のレベルに復帰し、ロールN3とN4とを同じレベルまで降下させコイル3を左へ移動する。▲8▼ではロールN3を上昇させ、ロールN4を同じ位置としておくことによりコイル3を左へ移動する。▲9▼ではロールN3とN4を元のレベルに復帰することによりコイル3を巻戻機5の位置に移動する。
【0027】
【発明の効果】
上述したように、本発明はマンドレルを使用しないコイルの巻取機と巻戻機を用いその間にコイル搬送装置を設け、巻取機から巻戻機にわたり両側にヒートパネルを設けているので、巻取り、移動、巻戻し、待機中の何れの状態においてもコイルの両幅端面およびコイルの中心穴の内面を確実に効率よく加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す全体縦断面図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】コイル搬送装置の動作説明図である。
【図4】従来の熱間圧延設備の説明図である。
【符号の説明】
1 圧延材
2 搬送ロール
3 コイル
4 巻取機
4a 曲げロール
4b 案内ロール
4c ガイド板
5 巻戻機
5a 巻戻ロール
5b コイル口開け機
6 コイル搬送装置
6a ロール
6b シリンダ
6c 回転駆動装置
7 ヒートパネル
7a,7b ヒートユニット
N1〜N4 昇降ロールユニット
Claims (5)
- コイルを搭載して圧延ライン方向に搬送するコイル搬送装置と、このコイル搬送装置の上流端に設けられ圧延材を芯なしでコイル状に巻き取る巻取機と、前記コイル搬送装置の下流端に設けられ前記巻取機で巻き取ったコイルを巻き戻す巻戻機と、前記巻取機から前記巻戻機にわたってコイルの両側に設けられコイルを加熱する加熱装置と、を備え、
前記コイル搬送装置は、ほぼ圧延ラインのレベルに設けらた昇降可能な複数のロールを有し、前記巻取機と前記巻戻機とはコイルを回転する2本のロールを有していることを特徴とするコイル巻取搬送巻戻装置。 - 前記コイル搬送装置は、2本または3本のロールでコイルを乗せ、進行方向のロール下げ、後方のロールを上げてゆくことにより移動することを特徴とする請求項1に記載のコイル巻取搬送巻戻装置。
- 前記巻取機の下流側ロールは前記コイル搬送装置の上流端ロールと兼用されていることを特徴とする請求項1に記載のコイル巻取搬送巻戻装置。
- 前記巻戻機の上流側ロールは前記コイル搬送装置の下流端ロールと兼用されていることを特徴とする請求項1に記載のコイル巻取搬送巻戻装置。
- 前記加熱装置は、コイルの両側に設けられコイル端面を加熱するヒートパネルを備えることを特徴とする請求項1に記載のコイル巻取搬送巻戻装置。
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