JP3605037B2 - 外囲器及びこれを用いる画像形成装置 - Google Patents
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Description
本願発明は、内部を気密に維持できる外囲器、及びそれを用いた画像形成装置、及び外囲器の製造方法に関する。
背景技術
従来、内部を真空(減圧状態)に維持することを可能にする外囲器において、フェースプレート(蛍光体基板)とリアプレート(電子放出基板)と外枠の接合部分に、接合材としてフリット(低融点ガラス)が用いられている。
すなわち、接合材として、接合部分にフリットの層を形成し、次いで焼成することにより、接合部分が気密に封着され、内部を真空維持可能な外囲器が構成される。このフリットを用いたガラスの封着は、大気中(常圧)において、およそ400〜500℃での焼成が必要である。
また、一般に電子を利用した画像形成装置においては、ガラス部材であるフェースプレート、リアプレートおよび外枠からなる真空(減圧)雰囲気を維持する外囲器、電子を放出させるための電子源とその駆動回路、電子の衝突により発光する蛍光体等を有する画像形成部材、電子を画像形成部材に向けて加速するための加速電極とその高圧電源等が必要である。
図19は、特開平8−83578号公報に開示された電子放出素子を用いた画像形成装置の斜視図である。図20は、この画像形成装置のB−B’断面図である。
図20に示す様に、フリット1704,1705を介して、リアプレート(電子放出素子基板)1701およびフェースプレート1702は外枠1703との接合部分において、それぞれ接合(又は封着)されている。図中、1701は青板ガラスからなるリアプレート、1702は青板ガラスからなるフェースプレート、1703は青板ガラスからなる外枠、1706は上配線、1707は素子電極(上配線側)、1708は電子放出部を含む導電性薄膜、1709は蛍光体、1710はメタルバックである。なお、下配線および素子電極(下配線側)は図示していない。
また、特開平9−082245号公報に開示されているように、薄型画像形成装置の様に扁平な外囲器を用いる画像形成装置においては、ゲッタを真空維持のために設置されることがある。
本願発明は、好ましい外囲器を実現すること、及び好ましい画像形成装置を実現すること、及び好ましい外囲器の製造方法を実現することを課題とする。
発明の開示
本願に係る外囲器の発明の一つは以下のように構成される。
すなわち、本発明の外囲器は、フェースプレートとリアプレートと外枠とを含み、該外枠が上記フェースプレートと上記リアプレートの間に挟まれるように組み合わせて構成され、内部空間が外部に対して気密に維持された外囲器であって、融点が400℃以下の金属シール材により、上記フェースプレートと上記外枠、及び上記リアプレートと上記外枠が気密に接合された接合部を有しており、更に、該接合部は、上記金属シール材により気密に維持される内部空間外に設けられ、上記フェースプレートと上記外枠、上記リアプレートと上記外枠、及び上記フェースプレートと上記リアプレートを接着している接着材により補強されている外囲器である。
ここで、内部空間を外部に対して気密に維持するという意味は、内部空間を外部に対して許容できる範囲に独立に保つということである。例えば内部空間が減圧状態であれば、外部からの物質の侵入を許容できる範囲に抑制することであり、内部空間に所定の物質を有する場合は、外部からの物質の侵入を許容できる範囲に抑制し、また内部空間の所定物質の外部への漏出を許容できる範囲に抑制することである。
また、前記金属シール材は接着機能を持たなくても良いが、ある程度の接着機能を持っていることが好ましい。
上記発明では、金属シール材の機能を好適に発揮することができる。特に単体でシール機能と接着機能を有する材料では製造上の条件が厳しくなるが、金属シール材と接着材とを用いることにより好ましい条件で、好ましい特性を有する外囲器が実現できる。
また、上記発明において、前記接着材は、前記金属シール材により気密に維持される内部空間外に設けられている。特に金属シール材から放出される物質よりも接着材から放出される物質が内部空間にとって望ましくない物質である場合や、接着材から放出される内部空間にとって望ましくない物質による内部空間への影響がシール材から放出される内部空間にとって望ましくない物質による内部空間への影響よりも大きい場合は、この構成が好適である。
また、外囲器の各発明において、前記金属シール材は、In、Sn、Pb、Au、Bi、Cd、Znの中から選択される材料を含むと好適である。
また、上記各発明において、前記部材の前記金属シール材と接する位置に表面処理材を設けても良い。該表面処理材により金属シール材との濡れ性を向上し、より確実にシールを行うことが可能となる。
また本願は、上記各発明の外囲器と、該外囲器の内部に設けられた電子源と画像形成部材とを有する画像形成装置の発明を含んでいる。
また本願は、上記発明の画像形成装置を具備するテレビジョン放送表示装置の発明を含んでいる。
また本願が含む外囲器の製造方法の発明の一つは以下のように構成される。
すなわち、本願の外囲器の製造方法は、その工程として、フェースプレートとリアプレートと外枠とを含み、該外枠が上記フェースプレートと上記リアプレートの間に挟まれるように組み合わせて構成され、内部空間が外部に対して気密に維持された外囲器の製造方法であって、融点が400℃以下の金属シール材により、上記フェースプレートと上記外枠、及び上記リアプレートと上記外枠を気密に接合する第1工程と、上記金属シール材により気密に維持された内部空間外において、上記フェースプレートと上記外枠、上記リアプレートと上記外枠、及び上記フェースプレートと上記リアプレートを接着材により接着される。
発明を実施するための最良の形態
まず、本発明の参考例、比較例、実施例を説明する前に、本発明の前提となっている形態について説明する。
本発明の前提となっている形態では、材料等の条件を以下のようにしている。
1.真空中ベーク(高真空形成)工程における耐熱性が必要である。
2.シール性が必要である。すなわち、高真空維持(真空リーク極小、ガス透過極小)が可能であることが必要である。但し、真空維持が必要な個所のみでこの条件が満たされればよい。
3.ガラス部材との接着性が必要である。
4.初期の高真空を維持するために、ガス放出量が低いことが必要である。
5.最高熱処理温度がフリット接着(封着)工程のおよそ400℃よりも低温であることが必要である。
6.成型性:任意の外枠形状に適合させやすく、接着温度付近で流動化しないことが必要である。
上記の条件を満たす接合部のシール機能を有するシール材としては、In、Al、Cu、Au、Ag、Pt、Ti、Ni等の金属あるいは合金、および表面にIn、Al、Cu、Au、Ag、Pt、Ti、Ni等の金属あるいは合金をコーティングした有機接着材や無機接着材等の材料等から選択することができ、接着機能を有する接着材としては、本発明の接着材として、ポリフェニル化合物を有する高分子系熱可塑性の接着材、ポリベンゾイミダゾール樹脂を主成分とする接着材、ポリイミド樹脂を主成分とする接着材等の有機接着材、アルミナ、シリカ、ジルコニア、カーボンを主成分とする無機接着材等があげられる。
本発明のシール材としてはIn、接着材としてはジルコニアとシリカを主成分とする無機接着材が最も好ましいものの一つとして用いられる。シール材としてInワイヤーを用いると、Inワイヤーを任意の形状に成型し、160℃以上で加熱することによりInを軟化させ、圧着し、降温過程でシールした後、アルミナを主成分とするペースト状の接着材をディスペンサ等でシール材周辺に塗布し、100℃以下で水分を蒸発させてから150℃程度で接着することで上記1〜6の条件を満たすことができる。Inとアルミナを主成分とする無機接着材を用いた接合材は他の接合部に比べ、特に最高熱処理温度が低い点が好ましい。
また、シール材としてジルコニアとシリカを主成分とするペースト状の無機接着材をディスペンサ等で任意の形状に成型し、100℃以下で水分を蒸発させた無機接着材表面上にInを電子ビーム(EB)蒸着やスパッタリング等によりコーティング膜を形成した後、160℃以上で加熱することによりInを軟化させ、圧着し、降温過程でシールした後、アルミナを主成分とするペースト状の接着材をディスペンサ等でシール材周辺に塗布し、100℃以下で水分を蒸発させてから150℃程度で接着することで上記1〜6の条件を満たすことができる。
さらに、シール材としてはAl、接着材としてはポリエーテルケトンを主成分とする高分子系熱可塑性の有機接着材が用いられる。シール材であるAl、接着材であるポリエーテルケトンを主成分とする高分子系熱可塑性のシート状の有機接着材を任意の形状に成型し、330℃以上まで加熱することにより接着材を軟化させ、圧着し、シールさせ、降温過程で接着材を硬化することによって接着させ、上記の条件を満たすことができる。
上記のシール機能を有するシール材と接着機能を有する接着材の少なくとも2つの部材を用いた接合部は、最高熱処理温度が400℃以下の接着工程であるので、製造工程における電力消費を低減し、輝度低下や寿命短縮の少ない、さらに表示品位が高く、ゲッタ効果も充分な画像形成装置をはじめとする外囲器を提供することができる。
また、接合部とガラス基板との密着性の向上のために、予め接合面へシール材と同様の金属または合金を真空蒸着あるいは同様の金属または合金を含んだ塗布材をスクリーン印刷、ディッピング、スプレー、ディスペンサ等の公知のコーティング法でコーティングしておいても有効である。
本発明の外囲器は、画像形成装置に使用することが可能であり、好ましくは外囲器のフェースプレートには蛍光体および電子加速電極が形成され、リアプレートには電子源が形成されている画像形成装置に用いられる。この電子源に用いる電子放出素子としては、表面伝導型の電子放出素子が最も好適に用いられるが、MIM(金属/絶縁体/金属構造)、FE(電解放出)等の冷陰極を用いた高真空を必要とする画像形成装置にも本発明は好ましく適用できる。
以下、図面を参照して、本発明の前提となっている形態の表面伝導型の電子放出素子を用いた画像形成装置について説明する。
図1は、本発明の前提となっている形態の画像形成装置の斜視図である。1は電子源で、複数の電子放出素子を基板上に配置し、適当な配線を施したものである。2はリアプレート、3は外枠、4はフェースプレート、9は接着材,14はシール材である。
図2は、図1のC−C’断面図である。図2に示すように、シール機能を有するシール材14と接着機能を有する接着材9を介して、リアプレート2及びフェースプレート4は、外枠3との接合部において、それぞれ接合されている。
なお、あらかじめ外枠とフェースプレート、または外枠とリアプレートを一体化したものを用いる場合において、フェースプレートとリアプレートとの接合に本発明が好適に用いられることは言うまでもない。
フェースプレート4は、ガラス基板6の上に蛍光膜7、メタルバック8が形成されてなり、この部分は画像表示領域となる。蛍光膜7は白黒画像の場合には、蛍光体のみからなるが、カラー画像を表示する場合には、赤、緑、青の3原色の蛍光体によりピクセルが形成され、その間を黒色部材で分離した構造とする。黒色部材はその形状により、ブラックストライプ、ブラックマトリクスなどと呼ばれる。
メタルバック8はAlなどの薄膜により構成される。メタルバック8は、蛍光体から発生した光のうち、電子源1の方に進む光をガラス基体6の方向に反射して輝度を向上させるとともに、外囲器5内に残留したガスが、電子線により電離され生成したイオンの衝撃によって、蛍光体が損傷を受けるのを防止する働きもある。またフェースプレート4の画像表示領域に導電性を与えて、電荷が蓄積されるのを防ぎ、電子源1に対してアノード電極の役割を果たすものである。
図3(a)は、蛍光体13がストライプ状に並べられた場合で、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体13が順に形成され、その間が黒色部材12によって分離されている。この場合、黒色部材12の部分はブラックストライプと呼ばれる。
図3(b)は蛍光体13のドットが格子状に並び、その間を黒色部材12によって分離したものである。この場合には、黒色部材12はブラックマトリクスと呼ばれる。蛍光体13の各色の配置方法は数種あり、これに応じてドットの並び型は、図示した三角格子のほか、正方格子などを採用する場合もある。
ガラス基体6上への黒色部材12と蛍光体13のパターニング法としては、スラリー法や印刷法などが使用できる。蛍光膜7を形成した後、さらにAlなどの金属を形成し、メタルバック8とする。
図4は、マトリクス配線で接続された2次元電子源の平面図である。又、図5は、図4のA−A’断面図である。
72はX方向配線(上配線)、73はY方向配線(下配線)で、電子放出素子78にそれぞれ接続されている。Y方向配線73は絶縁性基体71上に設置され、さらにその上に絶縁層74が形成され、その上にX方向配線72、電子放出素子78が形成され、Y方向配線73と電子放出素子78はコンタクトホール77を介して接続される。
上記各種配線は、スパッタ法、真空蒸着法、メッキ法などの各種薄膜堆積法と、フォトリソグラフィー技術の組み合わせ、あるいは印刷法などにより形成されるが、特に、印刷法を用いた場合、大面積に低コストで形成できるので好ましい。 フェースプレート4と、外枠3、リアプレート2と、電子源1やその他の構造体と組み合わせ、外枠3と、フェースプレート4、リアプレート2を接合する。接合は、シール機能を有するシール材14を任意の形状に成型し、400℃以下の加熱処理で接着材を軟化させ、圧着し、降温過程で硬化・シールし、接着材によって接着することにより行う(封着工程)。電子源1などの内部構造体の固定も同様に行う。この時の接着時の酸素濃度と温度は可能な範囲で下げることが望ましい。
この後、外囲器5の内部を一度排気し、続いて排気と加熱脱ガス(ベーキング工程)により、外囲器5の内部に十分な真空を確保し、さらに図示しない真空度排気管をバーナーで加熱して封じ切り、気密容器を形成する。
こうして作成した画像形成装置(気密容器)は、製造工程における電力消費を低減し、輝度低下や寿命短縮の少ない、さらに表示品位が高く、ゲッタ効果も充分なので、外囲器内の真空度が良好に維持されるので、電子放出素子からの電子放出量が安定する。
図6は、上述した画像形成装置により、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路のブロック図である。図6において、81は画像形成装置、82は走査回路、83は制御回路、84はシフトレジスタである。85はラインメモリ、86は同期信号分離回路、87は変調信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源である。
画像形成装置81は、端子Doxl乃至Doxm、端子Doyl乃至Doyn、及び高圧端子Hvを介して外部の電気回路と接続している。端子Doxl乃至Doxmには、画像形成装置内に設けられている電子源、即ち、M行N列の行列状にマトリクス配線された表面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動する為の走査信号が印加される。
端子Doyl乃至Doynには、上記走査信号により選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各素子の出力電子ビームを制御する為の変調信号が印加される。高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば10kVの直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型電子放出素子から放出される電子ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧である。
走査回路82について説明する。同回路は、内部にM個のスイッチング素子を備えたものである。これらのスイッチング素子は、図中、SlないしSmで模式的に示してある。各スイッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧又は0V(グランドレベル)のいずれか一方を選択し、画像形成装置81の端子DoxlないしDoxmと電気的に接続される。Sl乃至Smの各スイッチング素子は、制御回路83が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するものであり、例えばFETのようなスイッチング素子を組み合わせることにより構成することができる。
直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝導型電子放出素子の特性に基づき、走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう設定されている。
制御回路83は、外部より入力する画像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動作を整合させる機能を有する。制御回路83は、同期信号分離回路86より送られる同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscanおよびTsftおよびTmryの各制御信号を発生する。
同期信号分離回路86は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号分離回路86により分離された同期信号は、垂直同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上Tsync信号として図示した。上記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号としている。このDATA信号はシフトレジスタ84に入力される。
シフトレジスタ84は、時系列的にシリアルに入力される上記DATA信号を、画像の1ライン毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、上記制御回路83より送られる制御信号Tsftに基づいて動作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ84のシフトクロックであるということもできる。)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出素子N素子分の駆動データに相当)のデータは、Idl乃至IdnのN個の並列信号として上記シフトレジスタ84より出力される。
ラインメモリ85は、画像1ライン分のデータを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であり、制御回路83より送られる制御信号Tmryに従って適宜Idl乃至Idnの内容を記憶する。記憶された内容は、I′dl乃至I′dnとして出力され、変調信号発生器87に入力される。
変調信号発生器87は、画像データI′dl乃至I′dnの各々に応じて表面伝導型電子放出素子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その出力信号は、端子Doyl乃至Doynを通じて表示パネル81内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
本発明を適用可能な電子放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有している。即ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vthがあり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。このことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、例えば電子放出しきい値以下の電圧を印加しても電子放出は生じないが、電子放出しきい値以上の電圧を印加する場合には電子ビームが出力される。その際、パルスの波高値Vmを変化させることにより出力電子ビームの強度を制御することが可能である。また、パルスの幅Pwを変化させることにより出力される電子ビームの電荷の総量を制御する事が可能である。
従って、入力信号に応じて、電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際しては、変調信号発生器87として、一定長さの電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いることができる。
パルス幅変調方式を実施するに際しては、変調信号発生器87として、一定の波高値の電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いることができる。シフトレジスタ84やラインメモリ85は、デジタル信号式のものをもアナログ信号式のものをも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
デジタル信号を用いる場合には、同期信号分離回路86の出力信号DATAをデジタル信号化する必要があるが、これには86の出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ85の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号発生器87に用いられる回路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器87には、例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器87には、例えば高速の発振器および発振器の出力する波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と上記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せた回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
アナログ信号を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器87には、例えばオペアンプなどを用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VOC)を採用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
このような構成をとり得る本発明の画像形成装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Doxl乃至Doxm、Doyl乃至Doynを介して電圧を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子Hvを介してメタルバック8、又は透明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速された電子は、蛍光膜7に衝突し、発光が生じて画像が形成される。
ここで述べた画像形成装置の構成は、本発明を適用可能な画像形成装置の一例であり、発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号については、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限られるものではなく、PAL,SECAM方式など他、これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式をはじめとする商品位TV)方式をも採用できる。本発明の画像形成装置は、テレビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光プリンターとしての画像形成装置等としても用いることができる。
以上、本発明の前提となっている形態について説明した。従来においては、画像形成装置をはじめとする外囲器の接合部分に、接合部としてフリット接着(封着)が用いられた場合には、およそ400℃での大気中での焼成が必要であったが、本発明の前提となっている形態によって、従来技術の問題点が、以下の通り、解消している。
(1)フリット接着工程では、通常、仮焼成工程を行った後、封着工程を行うという2度の焼成工程が必要とされるために、より低温で1工程で行える接着工程に比べて、温度が高く、より多くの時間を要するために、電力コストが高くなってしまうという従来技術の問題点が解消している。
(2)表面伝導型電子放出素子を用いた画像形成装置では、予めフォーミング・活性化を行った後、フリット接着(封着)を行うと、接着温度が高温であるほど熱による特性劣化すなわち電子放出電流の低下による輝度低下や寿命短縮が起きてしまう場合があるという従来技術の問題点が解消している。
(3)ゲッタを用いた場合に、400℃程度の高温になると、ゲッタ材の酸化等が進行しゲッタリング効果が、低下してしまう場合があるという従来技術の問題点が解消している。
すなわち、本発明は、フリット接着(封着)工程に必要なおよそ400℃を下回る接着工程を実現し、製造工程における電力消費を低減する。又、本発明の製造方法によって製造された外囲器は、十分なゲッタ効果を奏する。更に、この外囲器を備えた画像形成装置においては、輝度低下や寿命短縮がより小さく、さらには表示品位が高い。
以下、参考例、比較例、好ましい実施例を挙げて、本発明を更に詳述するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
[参考例1]
本参考例の画像形成装置は、図1に模式的に示された前提となってる形態の装置と同様の構成を有し、1は電子源で、複数の電子放出素子を基板上に配置し、適当な配線を施したものである。2はリアプレート、3は外枠、4はフェースプレートである。図1のC−C’断面図である図2に示したように、9は接着材、14はシール材で、リアプレート2及びフェースプレート4は、外枠3との接合部において、それぞれ接合されている。
また、本参考例の画像形成装置は、基板上に、複数(240行×720列)の表面伝導型電子放出素子が、単純マトリクス配線された電子源1を備えている。
図7は、電子源1の一部平面図である。又、図8は、図7のB−B’断面図である。図7、図8で、同じ記号を付したものは同じものである。ここで101は電子源基板、102は図1のDoxmに対応するX方向配線(上配線)、103は図1のDoynに対応するY方向配線(下配線)、108は電子放出部を含む導電性膜、105,106は素子電極、104は層間絶縁層、107は素子電極105と下配線103と電気的接続のためのコンタクトホールである。
図9は、本参考例の画像形成装置の製造工程図である。
工程−a
基板1を洗剤、純水および有機溶剤を用いて十分に洗浄した。この上に厚さ0.5μmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成し、電子源基板1とした。この上にフォトレジスト(AZ1370 ヘキスト製)をスピンナーにより回転塗布、ベークした後、フォトマスク像を露光、現像して、下配線103のレジストパターンを形成した。さらに、真空蒸着により、厚さ5nmのCr、厚さ600nmのAuを順次積層した後、Au/Cr堆積膜をリフトオフにより不要の部分を除去して、所望の形状の下配線103を形成した(図9(a))。
工程−b
次に、厚さ1.0μmのシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜104をRFスパッタ法により堆積する(図9(b))。
工程−c
上記工程bで堆積したシリコン酸化膜にコンタクトホール107を形成するためのフォトレジストパターンを作り、これをマスクとして層間絶縁層104をエッチングしてコンタクトホール107を形成する。エッチングはCF4とH2ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によった(図9(c))。
工程−d
コンタクトホール107部分以外にフォトレジストを塗布するようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ5nmのTi、厚さ500nmのAuを順次堆積した。リフトオフにより不要の部分を除去することにより、コンタクトホール107を埋め込んだ(図9(d))。
工程−e
その後、素子電極105と素子電極間ギャップGとなるべきパターンをフォトレジスト(RD−2000N−41 日立化成製)で形成し、真空蒸着法により、厚さ5nmのTi、厚さ100nmのNiを順次堆積した。フォトレジストパターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜をリフトオフし、素子電極間隔Gは3μm、素子電極の幅は300μmとし、素子電極105,106を形成した(図9(e))。
工程−f
素子電極105,106の上に上記線102のフォトレジストパターンを形成した後、厚さ5nmのTi、厚さ500nmのAuを順次、真空蒸着により堆積し、リフトオフにより不要の部分を除去して、所望の形状の幅400μmの上配線102を形成した(図9(f))。
工程−g
膜厚100nmのCr膜1019を真空蒸着により堆積・パターニングし、その上にPdアミン錯体の溶液(ccp4230奥野製薬製)をスピンナーにより回転塗布、300℃で10分間の加熱焼成処理をした。また、こうして形成された、主元素としてPdよりなる微粒子からなる電子放出部形成用の導電性膜108の膜厚は8.5nm、シート抵抗値は3.9×104Ω/□であった。
ここで、微粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜である。その微細構造は、微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あるいは重なり合った状態(島状も含む)も含む。又、その粒径とは、上記状態で粒子形状が認識可能な微粒子についての径をいう(図9(g))。
工程−h
Cr膜1019及び焼成後の電子放出部形成用の導電性膜108を酸エッチャントによりエッチングして所望のパターンを形成した(図9(h))。以上の工程により電子源基板101上に、たとえば240行×720列のように複数の電子放出部形成用の導電性膜108が、上配線102と下配線103よりなる単純マトリクスに、接続されたものとした。
工程−i
次に、図1に示すフェースプレート4を、以下のように作成した。ガラス基体6を洗剤、純水および有機溶剤を用いて十分に洗浄した。この上に、スパッタ法によりITOを0.1μm堆積し、透明電極1011を形成した。続いて、印刷法により蛍光膜7を塗布し、通常「フィルミング」と呼ばれる表面の平滑化処理を施して、蛍光体部を形成した。なお、蛍光膜7はストライプ状の蛍光体(R,G,B)13と、黒色部材(ブラックストライプ)12とが交互に配列された図6の(a)に示される蛍光膜とした。更に、蛍光膜7の上に、Al薄膜よりなるメタルバック8をスパッタリング法により0.1μmの厚さに形成した。
工程−j
次に、図1に示す外囲器5を、以下のように作成した。
前述の工程により作成された電子源1をリアプレート2に固定した後、外枠3、上記フェースプレート4、および電子源1を組み合わせ、電子源1の下配線103及び上配線102を行選択用端子10及び信号入力端子11と各々接続し、電子源1とフェースプレート4の位置を厳密に調整し、接着して外囲器5を形成した。
接合は、Inワイヤーをシール材14とし、Inワイヤーを任意の形状に成型し、160℃以上で加熱することによりInを軟化させ、圧着し、降温過程でシールした後、接着材9として、ジルコニアとシリカを主成分とするペースト状の接着材(製品名3715:スリーボンド製)を外枠の形状にディスペンサでシール材周辺に塗布し、100℃以下で水分を蒸発させてから150℃程度で接着を行った。電子源1などの内部構造体の固定も同様に行う。また、リアプレート2とフェースプレート4を配置する際には、同時に画像表示領域外にBaを主成分とする蒸発型ゲッタのリング状ゲッタ16配置した。
図10は、これ以後の工程にて用いられた真空装置の概念図である。
画像形成装置121は、排気管122を介して真空容器123に接続され、該真空容器123には、排気装置125が接続されており、その間にゲートバルブ124が設けられている。真空容器123には、圧力計126、四重極質量分析器(Q−mass)127が取り付けられており、内部の圧力及び、残留ガスの各分圧をモニタできるようになっている。外囲器5内の圧力や分圧を直接測定することは困難なので、真空容器123の圧力と分圧を測定し、この値を外囲器5内のものとみなす。
排気装置125はソープションポンプとイオンポンプからなる超高真空用排気装置である。真空容器123には、複数のガス導入装置が接続されており、物質源129に蓄えられた物質を導入することができる。導入物質はその種類に応じて、ボンベまたはアンプルに充填されており、ガス導入量制御手段128によって導入量が制御できる。ガス導入量制御手段128は、導入物質の種類、流量、必要な制御精度などに応じて、ニードルバルブ、マスフローコントローラーなどが用いられる。本参考例では、ガラスアンプルに入れたベンゾニトリルを物質源129として用い、ガス導入量制御手段128として、スローリークバルブを使用した。以上の真空処理装置を用いて以後の工程を行った。
工程−k
外囲器5の内部を排気し、圧力を1×10-3Pa以下にし、電子源基板101上に配列された前述の複数の電子放出部形成用の導電性膜108(図9(k))に、電子放出部を形成するための以下の処理(フォーミングと呼ぶ)を行った。 図11に示すように、Y方向配線103を共通結線してグランドに接続する。131は制御装置で、パルス発生器132とライン選択装置134を制御する。133は電流計である。ライン選択装置134により、X方向配線102から1ラインを選択し、これにパルス電圧を印加する。
フォーミング処理はX方向の素子行に対し、1行(300素子)毎に行った。 図12は、印加したパルスの波形図である。印加したパルスにおける角三角波パルスの波高値を時間軸上で徐々に上昇させた。パルス幅T1=1msec、パルス間隔T2=10msecとした。また、三角波パルスの間に、波高値0.1Vの矩形波パルスを挿入し、電流を測ることにより各行の抵抗値を測定した。抵抗値が3.3kΩ(1素子当たり1MΩ)を越えたところで、その行のフォーミングを終了し、次の行の処理に移った。これをすべての行について行い、すべての上記導電性膜(電子放出部形成用の導電性膜108)のフォーミングを完了し、各導電性膜に電子放出部を形成して、複数の表面伝導型電子放出素子が、単純マトリクスに配線された電子源1を作成した。
工程−1
真空容器123内に、ベンゾニトリルを導入し、圧力が1.3×10-3Paとなるように調整し、素子電流Ifを測定しながら上記電子源1にパルスを印加して、各電子放出素子の活性化処理を行った。
図13は、パルス発生器132により生成したパルスの波形図である。図13に示すように活性化処理のためのパルスは、矩形波であり、波高値は14V、パルス幅T1=100μsec、パルス間隔は167μsecである。ライン選択装置134により、167μsec毎に選択ラインをDx1からDx100まで順次切り替え、この結果、各素子行にはT1=100μsec、T2=16.7msecの矩形波が行毎に位相を少しずつシフトされて印加されることになる。
電流計133は、矩形波パルスのオン状態(電圧が14Vになっている時)での電流値の平均を検知するモードで使用し、この値が600mA(1素子当たり2mA)となったところで、活性化処理を終了し、外囲器5内を排気した。
工程−m
気を続けながら、図示しない加熱装置により、画像形成装置121及び真空容器123の全体を300℃に、10時間保持した。この処理により、外囲器5及び真空容器123の内壁などに吸着されていたと思われるベンゾニトリル及びその分解物が除去された。これはQ−mass127による観察で確認された。
工程−n
力が1.3×10-5Pa以下となったことを確認してから、排気管をバーナーで加熱して封じ切る。続いて、画像表示領域外に設置されたリング状の蒸発型ゲッタ16高周波加熱でフラッシュさせた。
以上により本参考例の画像形成装置を作成した。
[参考例2]
図14は本参考例の画像形成装置の断面図である。本参考例は、参考例1の工程の工程−jの接合部として、以下の接合部を用い、フェースプレート4と外枠3を先にフリットで接合した以外は参考例1の工程と同様に行った。
接合部のシール材として、ジルコニアとシリカを主成分とするペースト状の無機接着材(株)スリーボンド 製品名3715をディスペンサ等で任意の形状に成型し、100℃以下で水分を蒸発させた無機接着材表面上にInをEBやスパッタ等の公知の真空蒸着法によりコーティング膜15を形成したものを用いた。次に、シール材を160℃以上で加熱することによりInであるコーティング膜15を軟化させ、圧着し、降温過程でシールした後、接着材9として、ジルコニアとシリカを主成分とするペースト状の接着材:(株)スリーボンド 製品名3715を外枠の形状にディスペンサでシール材14周辺に塗布し、100℃以下で水分を蒸発させてから150℃程度で接着を行った。
工程−j以外は参考例1と同様に画像形成装置を作成した。
[参考例3]
図15は、本参考例の画像形成装置の断面図である。本参考例は、リアプレート2とフェースプレート4と外枠3のシール材と接触する部分にEBやスパッタ等の公知の真空蒸着法により表面処理材となる表面処理層12としてインジウム(In)を蒸着し、参考例1の工程の工程−jの接合部として、以下の接合部を用いた以外は参考例1の工程と同様に行った。
本参考例の接合部として、シール材としてはAl、接着材としてはポリエーテルケトンを主成分とする高分子系熱可塑性の有機接着材が用いられる。シール材であるAl、接着材であるポリエーテルケトンを主成分とする高分子系熱可塑性のシート状の有機接着材を任意の形状に成型し、330℃以上まで加熱することにより接着材を軟化させ、圧着し、シールさせ、降温過程で接着材を硬化することによって接着させ、上記1〜6の条件を満たすことができる。
工程−j以外は参考例1と同様に画像形成装置を作成した。
[参考例4]
本参考例は、参考例1の工程の工程−jの接合部として、以下の接合部を用いた以外は参考例1の工程と同様に行った。
本参考例の接合部として、シール材としてはIn、接着材としてはポリスルホンを主成分とする高分子系熱可塑性のペースト状の接着材9,14:テクノアルファ(株)製品名 ステイスティック301が用いられる。Inワイヤーをシール材14とし、Inワイヤーを任意の形状に成型し、160℃以上で加熱することによりInを軟化させ、圧着し、降温過程でシールした後、接着材9として、ポリスルホンを主成分とする高分子系熱可塑性のペースト状の接着材9:テクノアルファ(株)製品名 ステイスティック301を用い、ディスペンサ塗布法で任意の形状にガラス部材にコーティングし、脱泡し、150℃で溶剤を蒸発させたのち、加熱処理温度が300℃以上まで加熱し、圧着し、降温過程で接着材を硬化することによって接着させ、上記1〜6の条件を満たすことができる。
工程−j以外は参考例1と同様に画像形成装置を作成した。
[参考例5]
本参考例は、接着工程前にフォーミング・活性化を行った点が参考例1と異なる。本参考例では、参考例1の工程の工程−hを行なった後、工程−k、lを行い、その後工程−j、jを行い、次に工程−m、nを行った。
以上により本参考例の画像形成装置を作成した。
[比較例1]
参考例1と類似の画像形成装置を作成した。但し、本比較例においては、接着材としてフリットを用い、接着温度が410℃で形成する工程を行った。
以上で述べた参考例1から参考例5および比較例1の画像形成装置の比較評価を行った。評価は単純マトリクス駆動を行い、画像形成装置を全面発光させ、輝度の経時変化を測定した。その結果、初期の輝度は夫々異なるが、輝度の経時変化は同等であった。
以上説明したように、接合部として少なくとも一方の上記接合部がシール機能を有するシール材と接着機能を有する接着材の少なくとも2つの部材を用いた接着工程は、熱処理温度が330℃以下の1回の接着工程であるので、電力コストを下げ、画像形成装置をはじめとする外囲器を提供することができた。
特に、参考例5では、通電フォーミングおよび活性化処理は外囲器接着前に行っているため、従来は、フォーミング・活性化を行った後、410℃のフリット接着を行うと熱による特性劣化すなわち電子放出電流の低下による輝度低下や寿命短縮が起きてしまう場合があったのに対し、輝度低下や寿命短縮は、ほとんど見られなかった。また、通電フォーミングおよび活性化処理は外囲器接着前に真空チャンバー内で行っているために、ガス導入が外囲器接着後に比べて容易であることおよび万一通電フォーミングおよび活性化処理に不具合があった場合でも、外囲器としてではなく、リアプレート単体が無駄になるだけで済む利点を有する。 [参考例6]
本参考例の画像形成装置の斜視図を図16に示し、そのC−C’断面図を図17に示す。
本参考例は、リング状ゲッタの代りにリボン状ゲッタを配置し、抵抗加熱でフラッシュした点と画像形成装置内に非蒸発型ゲッタを設置した点が参考例1と異なる。本参考例では、ゲッタ工程−hの後、工程−xを行った後、工程−i−nを行った以外は、参考例1と同様に画像形成装置を作成した。
但し、本参考例の工程−mにおいては、画像形成装置の加熱/排気保持により、内部からのガスの除去が行われるだけでなく、ゲッタの活性化処理も兼ねて行われる。
工程−x
メタルマスクを用いて画像表示領域内の上記線102上に、スパッタリング法によりZr−V−Fe合金よりなるゲッタ層17を形成する。使用したスパッタリングターゲットの組成は、Zr;70%、V;25%、Fe;5%(重量比)である。(図8(x))。
以上により、ゲッタ17を備えた電子源1を形成した。
[比較例2]
参考例6と類似の画像形成装置を作成した。但し、本比較例においては、接着材としてフリットを用い、接着温度が420℃で形成する工程を行った。
参考例6と比較例2の画像形成装置の比較評価を行った。評価は単純マトリクス駆動を行い、画像形成装置を全面発光させ、輝度の経時変化を測定した。その結果、初期の輝度は夫々異なるが、参考例6の画像形成装置では、ゲッタが充分に機能し、長時間動作させた場合でも、輝度の低下はほとんど見られなかった。一方、比較例2では、相対的に輝度は徐々に低下した。その低下の度合いはゲッタの配置していない比較例1とほぼ同等だった。
[実施例]
図18は、本発明の特徴を示す実施例の画像形成装置の断面図である。
本実施例は、参考例1の工程−jに関するもので、ほかの工程は参考例1と同様である。すなわち、下記の点以外は前提となっている形態の画像形成装置と共通している。
接合部のシール材14は、インジウム(In)ワイヤーやInシートを任意の形状に成型し、160℃以上で加熱することによりInを軟化させ、リアプレート2と外枠3、及び、フェースプレート4と外枠3をそれぞれシールする。その後、接着材9をInのシール材14の外周、及び外枠3を覆うように、リアプレート2とフェースプレート4の間に充填することにより形成される。
以上、本発明の実施例について説明した。
以上説明した参考例、実施例においては、いずれの場合も400℃以下で、外枠3を介して、リアプレート2とフェースプレート3を接着することが可能である。ここに用いられるシール材としては、融点400℃以下の材料が好ましい。たとえば、In、Sn、Pb等の金属、Pb基、Sn基、In基、Au基からなる所謂はんだ材料、Bi系、Sn−PB系、Sn−Zn系 Cd−Zn系、Zn−Al系の低中温はんだ材料、Cd系、Sn系の高温はんだ材料等の各種合金等がある。
以上説明した参考例、実施例においては、接合部として、少なくとも一方の上記接合部がシール機能を有するシール材と接着機能を有する接着材の少なくとも2つの部材を用いることにより、製造工程における電力消費を低減し、輝度低下や寿命短縮、ゲッタの機能の劣化は、ほとんど見られない外囲器を提供することができる。またこの外囲器を画像形成装置に適用した場合には、輝度低下や寿命短縮が少なく、さらに表示品位が高く、ゲッタの機能も充分である。
なお、本発明は、電子源と画像形成部材の間に、制御電極などの電極構造体を有しない画像形成装置において特に有効であるが、制御電極などを有する画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
産業上の利用可能性
本願に係る発明によれば、好適な外囲器を得ることが出来、また好適の画像形成装置を得ることが出来、また好適な外囲器の製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の前提となっている形態の画像形成装置の斜視図である。
図2は、図1のC−C’断面図である。
図3は、蛍光体の配列図である。
図4は、マトリクス接続の電子源の平面図である。
図5は、図4のA−A’断面図である。
図6は、テレビジョン表示のための駆回路のブロック図である。
図7は、電子源の一部の平面図である。
図8は、図7のB−B’断面図である。
図9は、参考例1の画像形成装置の製造工程図である。
図10は、フォーミング工程及び活性化工程において用いる真空装置の模式図である。
図11は、画像形成装置の、フォーミング、活性化工程のための結線方法を示す模式図である。
図12は、フォーミング工程において印加されるパルスの波形図である。
図13は、活性化工程において印加されるパルスの波形図である。
図14は、参考例2の画像形成装置の断面図である。
図15は、参考例3の画像形成装置の断面図である。
図16は、参考例6の画像形成装置の斜視図である。
図17は、図16のC−C’断面図である。
図18は、実施例の画像形成装置の断面図である。
図19は、従来の画像形成装置の斜視図である。
図20は、図19のB−B’断面図である。
Claims (8)
- フェースプレートとリアプレートと外枠とを含み、該外枠が上記フェースプレートと上記リアプレートの間に挟まれるように組み合わせて構成され、内部空間が外部に対して気密に維持された外囲器であって、融点が400℃以下の金属シール材により、上記フェースプレートと上記外枠、及び上記リアプレートと上記外枠が気密に接合された接合部を有しており、更に、該接合部は、上記金属シール材により気密に維持される内部空間外に設けられ、上記フェースプレートと上記外枠、上記リアプレートと上記外枠、及び上記フェースプレートと上記リアプレートを接着している接着材により補強されていることを特徴とする外囲器。
- 上記金属シール材は、In、Sn、Pb、Au、Bi、Cd、Znの中から選択される材料を含むことを特徴とする請求項1に記載された外囲器。
- 上記フェースプレート、リアプレート及び外枠の上記金属シール材と接する位置に表面処理材を有することを特徴とする請求項1または2に記載された外囲器。
- 請求項1乃至3のいずれか一つに記載された外囲器と、該外囲器の内部に設けられた、電子源と画像形成部材とを有することを特徴とする画像形成装置。
- テレビジョン放送表示装置であって、請求項4に記載された画像形成装置を具備することを特徴とするテレビジョン放送表示装置。
- フェースプレートとリアプレートと外枠とを含み、該外枠が上記フェースプレートと上記リアプレートの間に挟まれるように組み合わせて構成され、内部空間が外部に対して気密に維持された外囲器の製造方法であって、融点が400℃以下の金属シール材により、上記フェースプレートと上記外枠、及び上記リアプレートと上記外枠を気密に接合する第1工程と、上記金属シール材により気密に維持された内部空間外において、上記フェースプレートと上記外枠、上記リアプレートと上記外枠、及び上記フェースプレートと上記リアプレートを接着材により接着し、上記気密な接合を補強する第2工程とを含むことを特徴とする外囲器の製造方法。
- 上記金属シール材は、In、Sn、Pb、Au、Bi、Cd、Znの中から選択される材料を含むことを特徴とする請求項6に記載された外囲器の製造方法。
- 外囲器と、該外囲器の内部に設けられた、電子源と画像形成部材とを有する画像形成装置の製造方法であって、前記外囲器が請求項6または7に記載された製造方法により製造されることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
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