JP3604183B2 - 車両用内装部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両用内装部材に関する。更に詳しくは、車両の衝突時に乗員の胸部を的確に保護でき、製造コストの低い車両用内装部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両に対し、正面からの衝突のみならず、側面からの衝突(以下、「側突」という。)についても高い安全性が求められている。この方策の1つとして、図19に示すアームレスト81の様に、側突時に乗員が直接当たる車両用内装部材(以下、「内装部材」という。)に、十分な衝撃吸収能力を持たせようとする試みがなされている。
例えば、▲1▼図20に示す様に、外殻部831の裏面側に樹脂発泡体からなるパット層832を配置した内装部材Eが提案されている(特開平4−293640号、特開平5−514号公報等)。また、▲2▼図21に示す様に、外殻部851の裏面側に、略格子状のリブ構造部852を配置した内装部材Fも従来より広く用いられている。
【0003】
ところが、上記▲1▼の内装部材Eは、外殻部831の(予備)賦形、パット層832の発泡成形等の種々の工程を経て作製されるため、製造サイクルが長く、生産性が悪く、製造コストが高くなるという問題を抱えている。
一方、上記▲2▼の内装部材Fでは、外殻部851及びリブ構造部852を一体的に成形することが可能であり、また、これらを別体で作製しても両者の組付けは比較的容易である。従って、この種の内装部材Fは、効率良く、しかも、低コストで製造することが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の内装部材Fでは、以下の理由により、乗員の胸部の保護を図ることが困難である。即ち、上記内装部材Fに、衝撃吸収試験を行えば、図22の変位応力曲線(変形量−応力曲線)Kが得られる。この曲線Kによれば、初期の立ち上がりに続き、高い初期応力Sを示し、側突の初期の段階に、乗員へ大きな衝撃が加わることを示している。そして、乗員の胸部を取り囲む肋骨は、脆いために、この衝撃により砕かれる恐れがあるからである。
従って、乗員の胸部の保護に適し、しかも安価に製造できる内装部材の出現が従来より望まれていた。
【0005】
本発明は上記観点に鑑みてなされたものであり、乗員の胸部を的確に保護することができ、しかも製造コストの低い内装部材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記内装部材Fに適宜、改良を加えることにより、胸部の保護に適する内装部材が得られないかと鋭意、研究を重ねた。その結果、本出願人が既に、腰部の保護を目的に提案した図23に示す内装部材(特願平5−63025号)Gが利用できないかと考えた。この内装部材Gは、同図に示す様に、リブ構造部96を構成するリブ片部961の先端側をなだらかな序変形状としたものである。この内装部材Gについて、衝撃吸収試験を行えば、図22の変位応力曲線Kが得られる。そして、この曲線Kによれば、初期応力Sが腰部を支える骨盤にダメージを与えない程度にまで低減される。しかも、初期段階を過ぎれば、応力が略一定の平坦な部分Tに至り、腰部の保護を目的とする内装部材の変位応力曲線の理想曲線Kに近似した曲線となる。
【0007】
しかしながら、肋骨は、骨盤よりも脆いため、この様に低減された初期応力Sによっても砕かれる恐れがある。従って、胸部を的確に保護するためには、側突の初期の段階に、ある程度の大きさの衝撃力が速やかに加わってしまうことを回避することが望ましい。即ち、図22の理想曲線(直線)Kの様に、リブ構造部の変位に応じ、応力が略連続的に上昇することが好ましい。
そして、本発明者は、この様な衝撃特性を備えた内装部材を得るために、更に、鋭意、研究を重ねた結果、本各発明を完成するに至ったのである。
【0008】
即ち、本第1発明の内装部材は、車両用ドア部本体(3)の室内側の側面(31)に、該室内側の側面(31)より室内方向に突出した状態で配置される外殻部(1)と、該外殻部(1)及び該室内側の側面(31)に挟まれた空間のうちで、少なくとも乗員の胸部に対応する箇所において、車幅方向に沿ったリブ片部(211〜213、221〜225)を適宜、交叉状態にして構成される略格子状のリブ構造部(2)と、を備えた車両用内装部材(D)であり、
該リブ構造部(2)を構成する各単位格子部(R等)の各側壁部(212k、223k、213k 222k等)は、上記車両用ドア部本体(3)から遠ざかるに従い空間幅が序々に狭くなる略V字状若しくは略台形状の平面形状を有する切り欠き空間(P)により、車幅方向に沿って略二分割されていると共に、上記リブ構造部(2)の車幅方向に沿う衝撃入力による該車幅方向に対する50%変形時の発生応力が2〜10kgf/cmであり
上記リブ片部(211〜213、221〜225)の肉厚が、上記車両用ドア部本体(3)から遠ざかるに従って大きいことを特徴とする。
【0009】
上記「車両用ドア部本体(以下、「ドア部本体」という。)」は、車両用ドア部のうちで、本発明の内装部材に相当する部分を除いた部分である。
上記外殻部は、上記内装部材の意匠面側に配置され、且つ、外形を規定するものである。例えば、ドア部本体のインナーパネルの略全体を覆うドアトリム、乗員の胸部に対応する箇所に配置されるドアトリムアッパー等を例示することができる。また、その材質は、特に問わず、例えば、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)等の樹脂材料により構成されるものを例示することができる。
【0010】
上記リブ構造部は、上記外殻部と一体になっても、別体であってもよい。但し、両者が一体の場合には、外殻部及びリブ片部(リブ構造部)を射出成形等により同時に作製できるため、製造効率の一層の向上を図ることができる。また、両者が別体の場合には、リブ構造部を外殻部に組付けた後に、ドア部本体に取着するものでも、ドア部本体にリブ構造部を取着した後、そこに外殻部を被せるものでもよい。更に、リブ構造部は、ドア部本体と一体になっていてもよい。
また、リブ構造部の材質も、特に問わず、例えば、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)等の樹脂材料により構成されるものを例示することができる。但し、本発明の目的をより確実に達成するためには、本第4発明に示す様に、各リブ片部(リブ構造部)の曲げ弾性率を7000〜32000kgf/cmとすることが好ましい。
【0011】
更に、上記リブ構造部は、外殻部の車体外板側(裏面側)の面全体のうちで、側突時に乗員の胸部が当接する箇所のみに配置してもよいし、それよりも広範囲に配置してもよい。但し、後者の場合に、外殻部が腰部等、乗員の他の部位の当接する箇所に至るものの場合には、当接する各部位に応じた他のリブ構造部を配置することが好ましい。例えば、胸部が当接する箇所には、本発明のリブ構造部を配置し、腰部が当接する箇所には、図23に示す様な腰部の保護に適するリブ構造部96を配置するのが好ましい。
尚、上記外殻部の裏面及び上記リブ構造部の間、上記リブ構造部及びドア部本体の室内側の側面の間に、クッション材等の他部材を、該リブ構造部と一体若しくは別体で配置することもできる。
【0012】
また、上記「単位格子部」は、リブ構造部を構成する1単位である。例えば、図1乃至3に示す様に、1の方向に並ぶリブ片部212、213と、他の方向に並ぶリブ片部222、223とを交叉した状態にし、各リブ片部のこの様な交叉状態になることにより、区画される部分212k、213k、222k、223kを側壁部とした単位格子部Rを例示できる。但し、リブ構造部を構成する全ての単位格子部が、この様に四つの側壁部で構成される必要はない。例えば、同図に示す様に、側方側に配置される単位格子部Rが3つの側壁部213k、222k、223k等のみで構成され、隅側に配置される単位格子部R等が2つの側壁部213k、225k等のみで構成されていてもよい。また、リブ構造部を構成することになる単位格子部の数も、本発明の目的を達成できる範囲で種々選択することができる。
【0013】
これらの側壁部を、上記「切り欠き空間」で略2分割するのは、各側壁部、ひいては、リブ片部(リブ構造部)の側突時における変形を胸部の保護に適したものにするためである。即ち、この切り欠き空間の空間幅を、ドア部本体から遠ざかるに従い序々に狭くすれば、この2分割した各側壁部の横断面積はドア部本体から遠ざかる程、大きくなる。そして、側突時に、各側壁部の横断面積が小さく、変形のより容易な車両の外寄りの部分(ドア部本体寄りの部分)より座屈変形を始めさせ、序々に車両内寄りの部分(ドア部本体から、より離れた部分)に向かい変形が進行して行く様な状態にし、本発明の目的の達成を図るのである。
【0014】
上記単位格子部の上記車幅方向に沿った深さ(以下、「リブ深さ」という。)は、本第3発明に示す様に、30〜100mmとすることが好ましい。リブ構造部が、衝撃吸収構造として有効に作用するためには少なくとも30mm程度のリブ深さを備えることが必要となる。その一方で、リブ深さが100mmを越えれば、リブ片部が必要以上に座屈し易い状態になり、衝撃吸収を十分に行わないうちに、座屈変形を終了する恐れがあるからである。
尚、各単位格子部の大きさ、深さ等は、リブ構造部全体を通じて一定である必要はない。例えば、内装部材に外形に併せて変化させることもできる。
【0015】
上記「50%変形時の発生応力」は、内装部材若しくは所定の試験片に車幅方向に沿った衝撃入力を加え、リブ構造部が、この入力の方向(車幅方向)に沿って50%変形(変位)したときに生ずる応力を示している(以下、「50%発生応力」という。)。そして、内装部材の衝撃吸収能力を十分なものとするためには、この応力の範囲を上記の如く、「2〜10kgf/cm」とすることが必要になる。この応力が10kgf/cmを越える場合には、人骨を砕く程の大きな衝撃力を乗員へ伝えてしまう。また、2kgf/cm未満の場合には、リブ構造部が、衝撃に対して終始、低いレベルの発生応力を示し、衝撃吸収量が不十分になると考えられるからである。
【0016】
本第2発明では、上記各単位格子部の横手幅(A)及び長手幅(B)を、いずれも20〜60mmとし、これらの積(M)を、400〜2400mmとすると共に、上記切り欠き空間の空間幅を、車両外寄り端部で3〜20mm、車両内寄り端部で0〜15mmとしている。これは、各単位格子部、切り欠き空間の大きさ、形状等のバランスをとり、本第1発明の目的をより確実に達成しようとするものである。
【0017】
上記横手幅(A)及び長手幅(B)を、20〜60mmとするのが好ましいのは、以下の理由による。即ち、これらの一方が、20mm未満の場合には、隣接するリブ片部(側壁部)同志の間隔が狭くなり、各リブ片部の座屈変形が、近隣の他のリブ片部との接触により邪魔をされる恐れがある。一方、60mmを越える場合には、各側壁部に、上記切り欠き空間が設けられていることと相まって、各リブ片部(側壁部)が、必要以上に座屈変形し易い状態になる。このため、側突時に、リブ構造部が瞬く間に座屈変形を完了してしまい、十分な衝撃吸収能力を発揮できない恐れがあるからである。
【0018】
また、上記積(M)を、400〜2400mmとするのが好ましいのは、横手幅(A)及び長手幅(B)が、いずれも50mm程度となる大型の単位格子部では、必要以上に座屈変形し易い状態になる恐れがあるからである。
更に、上記「空間幅」を以上の範囲で定めるのが好ましいのは、以下の理由による。即ち、車両外寄り端部での空間幅が3mm未満であれば、上記切り欠き空間を設けた効果はそれ程、期待できないと共に、この空間を挟んで2分割された側壁部の各部分が互いに変形を邪魔し合うおそれがある。また、車両外寄り端部での空間幅が20mmを越えたり、車両内寄り端部での空間幅が15mmを越えば、切り欠き空間の大きさが過大になる。その結果、切り欠き空間を挟んで略二分割された側壁部の各部分の大きさが不十分となり、これらの部分によって十分な衝撃吸収を行えない恐れがあるからである。
【0019】
各リブ片部の肉厚は、0.5〜3mm程度とすることが本発明の目的をより確実に達成する上で好ましい。各リブ片部を肉厚0.5mm未満の薄手のものにしつつ、リブ深さを十分(40〜80mm程度)なものにすることは、技術的に困難である。一方、3mmを越える厚手のものとなる場合には、上記横手幅(A)及び長手幅(B)を、120mmを越えるものとしなければ、極めて座屈変形を生じ難い状態となる。そして、この様に単位格子部のサイズが大きくなれば、衝撃吸収を十分に行えないばかりか、側突の際、単位格子部に乗員の胸部がはまり込む等の不具合を生じかねないからである。
本発明では、各リブ片部の肉厚は、図18に示す様に、車両ドア部より遠ざかるに従い大きい。そして、この様な肉厚の変化があれば、上記切り欠き空間のサイズをやや小さ目にしても、側壁部の横断面積に、車幅方向に沿い十分な変化をもたせることができる。
【0020】
【作用】
本第1発明の内装部材は、外殻部と、その裏面側に配置されたリブ構造部と、を備えている。そして、側突時の衝撃力をこのリブ構造部で的確に吸収し、乗員の胸部を保護することを主目的としている。
このリブ構造部は、車幅方向に沿ったリブ片部を交叉状態にして構成される略格子状のものである。即ち、各リブ片部の交叉状態となりながら区画された部分を各側壁部として構成される単位格子部を一単位とするものである。
【0021】
そして、各側壁部は、切り欠き空間により、車幅方向に沿って略二分割されている。しかも、この空間は、空間幅がドア部本体から遠ざかるに従い序々に狭くなる略V字状若しくは略台形状の平面形状を備えている。
この結果、各側壁部の横断面積は、車幅方向に沿って段階的に変化することになり、各側壁部は車両の外寄りに位置する部分程、変形し易く、車両の内寄りに位置する部分程、変形し難い状態にある。従って、側突時に、外殻部が乗員の胸部を押圧すれば、先ず、各側壁部、ひいては各リブ片部の変形容易な車両の外寄りの部分が変形して衝撃を吸収する。このため、側突の初期に、乗員に大きな衝撃を一度に与えることはない。
【0022】
そして、この側突の初期段階を経過した後、各側壁部の変形は、車両内寄りの部分に序々伝わっていく。その際、各側壁部は、車両内寄りの部分程、横断面積が大きく、衝撃吸収能力が高いため、時間の経過と共に、衝撃吸収量を序々に増加させていく。従って、本発明の内装部材は、上記図22の理想曲線Kに略沿った衝撃吸収性能を示すことが可能となる。
また、本発明では、上記リブ構造部の50%発生応力を、胸部の保護を目的とする内装部材として好ましい範囲に定める。従って、乗員の胸部の保護の万全が図られる。
更に、本発明では、各リブ片部の肉厚は、図18に示す様に、車両ドア部より遠ざかるに従い大きい構成である。従って、上記切り欠き空間のサイズをやや小さ目にしても、側壁部の横断面積に、車幅方向に沿い十分な変化をもたせることができる。
【0023】
本第2発明では、各単位格子部の横手幅(A)、長手幅(B)及びこれらの積(M)を規制する。これに加えて、空間幅を車両の外寄り及び内寄りの両端部で一定の範囲に規制している。
本発明によれば、上記各数値を規制するという客観的、合理的、且つ簡単な手段により、本第1発明の目的をより、確実に達成できる内装部材を得ることができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
(1)内装部材の概要
本実施例では、図1〜4に示す様な内装部材(試験品)を作製した。この試験品は、ドア部本体3の室内側の側面31のうち、乗員の胸部に略対応する箇所に取着されるドアトリムアッパーD(図19の符号82に相当するもの)である。このドアトリムアッパーDは、外殻部1と、リブ構造部2と、補助板部51、52とを備えている。また、これらは、ポリプロピレン等の樹脂材料を射出成形し、一体で作製されている。但し、図5に示す様に、これらを別体で作製することもできる。この場合には、同図(a)に示す様に、リブ構造部2a及び補助板部51a、52a(これらは一体でも、別体でもよい。)を外殻部1aに組付けた後に、ドア部本体3aの側面31aに取着するものであってもよい。また、同図(b)に示す様に、リブ構造部2b等をドア部本体3bの側面31bに取着した後に、外殻部1bを被せるものであってもよい。更に、後者の場合には、リブ構造部1b等が、ドア部本体3bと一体になっていてもよい。
【0025】
上記外殻部1は、図1及び4に示す様に、ドアトリムアッパーDの形状を規定するものあり、略箱状の外形を備えている。そして、その開口部寄りの端縁側11を上記側面31に取着して、車両の室内方向へ膨らんだ状態で配置されることになる。尚、ドアトリムアッパーDに、パワーウィンドの操作スイッチ、ドアグリップ、ドアノブを一体に組み込む場合には、外殻部1の所定位置にそれらの組付け用凹部、穴部を形成することもできる。
上記リブ構造部2は、上記外殻部1の意匠面の裏面側より、車幅方向に沿って配置されている。尚、上記図5(a)に示す様に、リブ構造部2aの外殻部1a寄りの箇所に、同外殻部1aの意匠面に略対応した外形の鋏板部(平均厚み;約2.5mm)28aを配置してもよい。そして、この場合には、リブ構造部2aを、この鋏板部28aの上面側より、車幅方向に向かって配置することができる。また、同図(b)に示す様に、ドア部本体3bの側面31bに略対応した外形の鋏板部(平均厚み;約2.5mm)29bを配置し、リブ構造部2bを、この板部29bより、車幅方向に向かって配置してもよい。
【0026】
また、上記リブ構造部2は、図1〜3に示す様に、外殻部1の長手方向に向かう縦側リブ片部211〜213と、横手方向に向かう横側リブ片部221〜225とを交叉状態にして構成される格子状のものである。そして、交叉し合うリブ片部(211及び221等)同志は、その交叉箇所で一体となっている。尚、このリブ構造部2は、側突時に腰部に当接する箇所のみに配置しても、それよりも広範囲に配置してもよい。また、上記スイッチ、ドアポケット等を配置する関係上、リブ片部211、221等の除かれた箇所が存在してもよい。
【0027】
また、このリブ構造部2は、複数の単位格子部R〜R等を上下、左右に連続的に並べたものである。
そして、リブ構造部2の中央寄りに位置する各単位格子部R等は、4つのリブ片部(212、213、222及び223等)の交叉状態になりながら、区画された各部分を各側壁部212k、213k、222k及び223k等として構成されている。
一方、側方寄りに位置する各単位格子部R等は、3つの側壁部213k、222k、223k等により構成され、隅寄りに位置する各単位格子部R等は、2つの各側壁部213k、225kにより構成されている。但し、これらの単位格子部R、Rも、外殻部1の側面(12若しくは13)、補助板部51、52等を併せて考えれば、いずれも四方を壁体で囲まれた状態になっている。
【0028】
そして、各側壁部212k、222k、213k等は、いずれも、空間幅がドア部本体3から遠ざかるに従い序々に狭くなる切り欠き空間Pにより略二分割されている。但し、試験品NO.1〜5、8、10〜13では、切り欠き空間Pの平面形状は図2に示す様な略V字状となっており、試験品NO.6、7、9、14及び15では、図3に示す様な略台形状となっている。また、本実施例では、各試験品毎に、各切り欠き空間Pの形状、大きさを統一している。但し、一の内装部品に、形状、大きさの異なる切り欠き空間Pを混在させてもよい。
更に、各単位格子部R等は、隣接する他の単位格子部R、Rと側壁部223k、213k等を共有している。尚、本実施例では、リブ構造部2の中央寄り、側方寄り及び隅寄りの各部分に配置された各単位格子部R、R、R等が、該各部分毎に、略同一の形状・大きさに揃えられているが、外郭部1の形状、上記スイッチの形状等との関係で、これらの形状・大きさを変化させることもできる。
【0029】
また、上記補助板部51、52は、外殻部2と同様な厚みを有するリブ状のものである。これらの補助板部51、52は、外殻部1の上下側の各側面12、13と共に、上記リブ構造部2の側方側の周囲を覆う外周壁として作用している。但し、この様な補助板部51、52を、必ずしも配置する必要はない。その場合には、補助板部51、52の代わりに、上記各リブ片部221等と同様リブ片部を配置することもできる。
そして、本実施例では、表1に示す様に、上記単位格子部R等の横手幅(A)、長手幅(B)、切り欠き空間Pの車両内寄り端部での空間幅(a)、同空間の車両外寄り端部での空間幅(b)のうちの少なくともいずれかが異なる15種類の試験品を作製した。尚、各試験品とも、リブ深さが60mmであり、これらを構成するポリプロピレンの曲げ弾性率は14500kgf/cmである。
【0030】
【表1】
Figure 0003604183
【0031】
(2)衝撃吸収性能の評価
本実施例では、上記各試験品の衝撃吸収性能を評価するために、図6に示す様な外形を備え、且つ、上記横手幅(A)、長手幅(B)、空間幅(a)及び空間幅(b)が各試験品に対応した15種類の試験用サンプル(サンプルNO.1〜15)を用意した。
これらのサンプルは、図6に示す様に、上記各試験品に対応したリブ構造部2と、このリブ構造部2の全周囲のうちで、車両外寄りを除く周囲の部分を取り囲む略箱状の外周壁部6とを備えている。また、これらのサンプルも、試験品と同様な樹脂材料を射出成形して作製した一体成形品である。更に、各サンプルの外形寸法は、いずれも、約□120mm×60mmとなっており、外周壁部6の厚みは、上記外殻部1及び上記補助板部51、52と同様な厚み(約2.5mm)となっている。
【0032】
そして、20.6kgの衝突子を、上記各サンプルの車両外寄りの部分に向かって、衝突スピード6m/sで衝突させる衝撃吸収試験を行った。この試験により得られた各サンプルの「50%発生応力」を、上記表1に併記する。
この結果によれば、横手幅(A)及び長手幅(B)を、いずれも20〜60mm、とし、これらの積(M)を400〜2400とし、更に、空間幅(a)が0〜15mmで、空間幅(b)が3〜20mmであるサンプルNO.2〜10においては、50%発生応力が2.04〜10kgf/cmの好ましい範囲を示している。
【0033】
次に、上記衝撃吸収試験により得られたサンプルNO.3〜9及び12〜15に関する変位応力曲線を図7〜17に示す。
これによれば、各サンプルの変位応力曲線(変形量−応力曲線)は、上記切り欠き空間Pの作用で、初期の立ち上がり部分より、序々に応力を増加させており、図22の理想曲線(直線)Kに近い外形を示している。
そして、これらの曲線と、上記50%発生応力の評価とから総合的に判断すれば、サンプルNO.2〜10(実施例)によれば、側突時に乗員の胸部を有効に保護できることが判る。従って、試験品NO.2〜10のドアトリムアッパーDは、側突時に乗員を的確に保護できる。
【0034】
更に、本実施例では、図18に示す様なリブ構造部2wを有する。このリブ構造部2wでは、リブ片部211w等の肉厚を、ドア部本体から遠ざかるに従って序々に大きくなる様に変化させている。この場合には、上記切り欠き空間Pのサイズをやや小さ目にしても、側壁部の横断面積に、十分な変化をもたせることができる。
【0035】
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、本実施例では、ドアトリムアッパーDについて述べたが、ドア部本体の室内側の側面全体を略覆うドアトリム等の様な他の内装部材についても、適用することができる。また、本実施例のリブ構造部2は、新たな衝撃吸収用内装材として従来の内装部材と別個に設けることもでき、車両の室内構造に幅広く対応できる。
【0036】
【発明の効果】
以上の様に、本各発明の内装部材では、乗員の胸部を的確に保護できる。また、本第2発明によれば、各数値(横手幅、肉厚等)の規制するという客観的、且つ、簡単な手段により、効率良く、しかも、低コストにて、高性能な内装部材が得られる。更に、本各発明の内装部材は、外郭部及びリブ構造部を一体にて、射出成形することができ、この場合には一層、製造効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のドアトリムアッパーの斜視図である。
【図2】実施例のリブ構造部の一の態様を説明する一部斜視図である。
【図3】実施例のリブ構造部の他の態様を説明する一部斜視図である。
【図4】実施例のドアトリムアッパーの縦断面図である。
【図5】実施例のドアトリムアッパーの変形例に係わる縦断面図である。
【図6】実施例の試験用サンプルの斜視図である。
【図7】サンプルNO.3に衝撃吸収試験を行って得られた変位応力曲線を示す概略図である。
【図8】サンプルNO.4に衝撃吸収試験を行って得られた変位応力曲線を示す概略図である。
【図9】サンプルNO.5に衝撃吸収試験を行って得られた変位応力曲線を示す概略図である。
【図10】サンプルNO.6に衝撃吸収試験を行って得られた変位応力曲線を示す概略図である。
【図11】サンプルNO.7に衝撃吸収試験を行って得られた変位応力曲線を示す概略図である。
【図12】サンプルNO.8に衝撃吸収試験を行って得られた変位応力曲線を示す概略図である。
【図13】サンプルNO.9に衝撃吸収試験を行って得られた変位応力曲線を示す概略図である。
【図14】サンプルNO.12に衝撃吸収試験を行って得られた変位応力曲線を示す概略図である。
【図15】サンプルNO.13に衝撃吸収試験を行って得られた変位応力曲線を示す概略図である。
【図16】サンプルNO.14に衝撃吸収試験を行って得られた変位応力曲線を示す概略図である。
【図17】サンプルNO.15に衝撃吸収試験を行って得られた変位応力曲線を示す概略図である。
【図18】実施例に係わるリブ構造部を説明する一部縦断面図である。
【図19】車両内部の概略図である。
【図20】従来例に係わる内装部材の縦断面図である。
【図21】従来例に係わる内装部材の斜視図である。
【図22】各種内装部材に衝撃吸収試験を行って得られる各変位応力曲線(変形量−応力曲線)を示す概略図である。
【図23】本出願人が腰部の保護を目的に出願した内装部材の斜視図である。
【符号の説明】
D;ドアトリムアッパー、1;外殻部、2;リブ構造部、211〜213;縦側リブ片部、221〜225;横側リブ片部、212k1 、213k1 、222k1 、223k1 、222k3 、223k3 、213k7 、225k7 ;側壁部、R1 〜R7 ;単位格子部、28a、29b;鋏板部、3;ドア部本体、51、52;補助板部。

Claims (4)

  1. 車両用ドア部本体(3)の室内側の側面(31)に、該室内側の側面(31)より室内方向に突出した状態で配置される外殻部(1)と、
    該外殻部(1)及び該室内側の側面(31)に挟まれた空間のうちで、少なくとも乗員の胸部に対応する箇所において、車幅方向に沿ったリブ片部(211〜213、221〜225)を適宜、交叉状態にして構成される略格子状のリブ構造部(2)と、を備えた車両用内装部材(D)であり、
    該リブ構造部(2)を構成する各単位格子部(R等)の各側壁部(212k、223k、213k 222k等)は、上記車両用ドア部本体(3)から遠ざかるに従い空間幅が序々に狭くなる略V字状若しくは略台形状の平面形状を有する切り欠き空間(P)により、車幅方向に沿って略二分割されていると共に、上記リブ構造部(2)の車幅方向に沿う衝撃入力による該車幅方向に対する50%変形時の発生応力が2〜10kgf/cmであり
    上記リブ片部(211〜213、221〜225)の肉厚が、上記車両用ドア部本体(3)から遠ざかるに従って大きいことを特徴とする車両用内装部材。
  2. 上記各単位格子部の上記車幅方向に略直交する横手幅(A)及び長手幅(B)が、いずれも20〜60mmで、該横手幅(A)及び長手幅(B)の積(M)が、400〜2400mmであると共に、
    上記切り欠き空間の空間幅が、車両外寄り端部で3〜20mm、車両内寄り端部で0〜15mmである請求項1記載の車両用内装部材。
  3. 上記各単位格子部の上記車幅方向に沿った深さが30〜100mmである請求項1又は2記載の車両用内装部材。
  4. 上記リブ片部が、曲げ弾性率7000〜32000kgf/cmの樹脂材料で構成される請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用内装部材。
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