JP5598693B2 - 車両用衝撃吸収体構造 - Google Patents

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本発明は、車両のドアパネルと該ドアパネルの車室側を覆うドアトリムとの間に設置されて、前記車両の側突による衝撃を吸収するようになした車両用衝撃吸収体構造に関する。
従来のこの種の車両用衝撃吸収体構造体構造としては、発泡樹脂を所定形状を有する塊体に成形した衝撃吸収体が知られている。
しかしながら、発泡樹脂の塊体から構成する衝撃吸収体は、衝撃荷重吸収精度を常時安定させて製作するのが難しく、ドアトリム側にしっかりと装着するために取付けブラケットの形成位置をどこにするかについて設計上難しく、しかも、ドアトリム側にしっかりと設置可能な位置に取付けブラケットを形成したとしても、車両における種々の側突態様によっては、変形箇所或いは変形形状が異なることになって、常時安定した衝撃荷重吸収が行われるとは限らない。
そこで、この点を改良すべく、図6に示すような従来技術が知られている(類似するものとして、特許文献1或いは特許文献2参照)。
特開2004−338627号公報 特開平8−142234号公報
図6によれば、衝撃吸収体aは、車両例えば自動車のドアパネルbとドアパネルbの車室側を覆うことにより美装するドアトリムcとの間に設置されており、一面が開口する箱状に形成されて、開口面dをドアトリムc側に対向させた状態で、互いに対向する両側壁e、fにそれぞれ一体に形成した取付けブラケットgを、ドアトリムcの裏面側に突設したボス部hを溶着等により加締め付けることによって、ドアトリムcに装着されており、車両における種々の側突態様による変形箇所或いは変形形状が異なることによって、衝撃荷重の吸収機能が変化しないように意図していた。
しかしながら、図6に示すように構成した衝撃吸収体aは、側突により発生した衝撃荷重に対して、非常に変形しやすく、乗員の保護を理想的な目標衝撃荷重吸収波形を得ることによって行うためには、設計が非常に難しく、また、目標衝撃荷重波形を得るためには、設計的に衝撃吸収体aの壁厚寸法を大きくする対策や材質的に高度の材料を使用する対策等を行うことになるが、このような対策は、反面、側突により発生した衝撃荷重の吸収後に発生する衝撃吸収体aの反力が大きくなってしまうことも考慮しなければならない。
そこで、本発明は、かかる点に鑑み、車両における側突事故に対する衝撃を、乗員の保護の観点から理想的な衝撃荷重吸収波形を設計的に簡単に得ることによって、確実に吸収することができるようにすると共に、側突によって発生した衝撃荷重の吸収後に発生する反力を極力抑制できるようにした車両用衝撃吸収体構造を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用衝撃吸収体構造は、車両のドアパネルと該ドアパネルの車室側を覆うドアトリムとの間に設置される衝撃吸収本体を、一面が開口する箱状に形成するとともに、前記衝撃吸収本体の開口面を前記ドアトリム側に対向させた状態で前記ドアトリムの裏面側に装着し、且つ、前記衝撃吸収本体の底部壁に、先端部が前記ドアトリムに対して所定幅離間した状態で配置され且つ前記衝撃吸収体の側壁部のいずれにも接続しないように一対の平板状リブ片を互いに交差させて形成することによって前記衝撃吸収本体の開口面側から見て十字状を呈するように構成した単一の衝撃吸収リブを起立突設し、且つ、前記一対の平板状リブ片が互いに交差する交差部の角度を衝撃荷重吸収波形のコントロール可能なR形状に形成して、前記衝撃吸収リブが前記車両の側突時に前記衝撃吸収本体の変形が進む過程において前記ドアトリムに当接変形することによって、前記車両の側突による衝撃を前記衝撃吸収本体と共に吸収するように構成したことを特徴とするものである。
かかる構成により、本発明は、一面が開口する箱状に形成された衝撃吸収本体を、その底壁部に衝撃吸収リブを起立突設するとともに、衝撃吸収リブの先端部がドアトリムに対して所定間隙離間して配置されていることから、側突初期においては衝撃吸収本体のみが変形して衝撃を吸収し、更に側突が進行するに従って衝撃吸収本体のみでなく、衝撃吸収リブがドアトリムに当接して変形することで衝撃吸収機能を果たすことになることから、側突による衝撃荷重の吸収効率を格段と高める中で、車両における側突事故に対する衝撃荷重を乗員の保護の観点から確実に吸収することができると共に、衝撃吸収リブが座屈することによって衝撃吸収体の反力が上がり過ぎないように抑制することができることになり、理想的な衝撃荷重吸収波形を得ることができる。
かかる構成により、十字状を呈する衝撃吸収リブは、衝撃吸収本体がある程度衝撃荷重を充分吸収した後には、座屈することになって、乗員が受ける反力が上がりすぎないようにコントロールすることになって、理想的な衝撃荷重吸収波形を得ることができる。
かかる構成により、交差部の角部がR形状に形成されているために、更なる側突に対する衝撃荷重吸収波形を設計上簡単にコントロールすることができる。
かかる構成において、本発明における車両用衝撃吸収体構造は、一面が開口する箱状に形成された衝撃吸収本体を、その底壁部に衝撃吸収リブを起立突設するとともに、衝撃吸収リブの先端部がドアパネルに対して所定間隙離間して配置されていることから、側突初期においては衝撃吸収本体のみが変形して衝撃を吸収し、更に側突が進行するに従って、衝撃吸収本体のみでなく、衝撃吸収リブが車体パネルに当接して変形することにより衝撃吸収機能を果たして、側突による衝撃荷重を吸収できることになることから、車両における側突事故に対する衝撃を乗員の保護の観点から確実に吸収することができると共に、衝撃吸収リブが座屈することによって衝撃吸収体の反力が上がり過ぎないように抑制することができることになり、理想的な衝撃荷重吸収波形を得ることができる。
本発明に係る一実施例の衝撃吸収体構造を採用した自動車用ドアーを車室側から描画した斜視図である。 図1におけるA−A断面図である。 図1における衝撃吸収体構造の斜視図である。 自動車の側突による衝撃荷重を衝撃吸収体構造により吸収する過程を描画した衝撃荷重吸収波形図である。 本発明に係る他の実施の形態による衝撃吸収体構造を描画した斜視図である。 従来における衝撃吸収体構造を採用した自動車用ドアーの要部縦断面図である。
以下、図を用いて、本発明を実施するための実施例について説明する。
図1は本発明に係る一実施例を採用した自動車用ドアーを車室側から描画した斜視図、図2は図1におけるA−A断面図、図3は図1における衝撃吸収本体の斜視図である。
先ず、図1において、車両例えば自動車のドアー1は、自動車の外観の一部を形取るドアパネル2とドアパネル2の車室側を覆おうことにより美装するドアトリム3とを有して構成している。
ドアトリム3の車室側である表面側には、アームレスト4を突出形成するとともにドアインサイドロックハンドル5やスピーカグリル6を配設してある。
また、ドアトリム3とドアパネル2との間には、衝撃吸収本体7が配設されている。
衝撃吸収本体7は、例えば、ポリプロピレン樹脂等の材料により構成されており、図3に示すように、一面が開口する箱状に形成されて構成しており、4つの側壁部7a、7b、7c、7dの内、3つの側壁部7a、7b、7cにおける開口面7e側先端部外側に、外方に突出する取付けブラケット部8をそれぞれ突出形成しており、また、底壁部7fには、衝撃吸収リブ9が開口面7e側に延在するように起立突設されている。
衝撃吸収リブ9は、一対の平板状リブ片9a、9bを互いに交差させて形成することによって、開口面7e側から見て単一の十字状を呈するように構成されており、また、側壁部7a、7b、7c及び7dのいずれにも接続しないように形成されている。


また、平板状リブ片9a、9bが互いに交差する交差部の角部9cは、略直角に形成されている。
このように構成する衝撃吸収本体7は、図2に示すように、開口面7eをドアトリム3の裏面側に対向させた状態で、取付けブラケット部8にそれぞれ形成した取付け孔8aに、ドアトリム3の裏面側に立設した取付けボス3aの先細り状部3a―1を挿通した後、先細り状部3a―1を高周波振動等により溶融し取付けブラケット部8に加締めつけることによって、ドアトリム3の裏面に装着されている。
この時、衝撃吸収リブ9の先端部は、ドアパネル2に対して所定幅Hだけ離間した状態に配置されている。
上記のように構成したことにより、一面が開口する箱状に形成された衝撃吸収本体7を、その底壁部7fに衝撃吸収リブ9を起立突設するとともに、衝撃吸収リブ9の先端部がドアパネル2に対して所定幅Hだけ離間して配置されていることから、側突初期においては衝撃吸収本体7のみが変形して衝撃を吸収し、更に側突が進行するに従って、衝撃吸収本体7のみでなく、衝撃吸収リブ9がドアパネル2に当接して変形することにより衝撃吸収機能を果たすことになることから、側突による衝撃荷重の吸収効率を格段に高める中で、自動車における側突事項に対する衝撃荷重を乗員の保護の観点から確実に吸収することができるとともに、衝撃荷重吸収後は衝撃吸収リブ9の高さ或いは肉厚等を適宜設計的に選定することによって衝撃吸収リブ9が座屈するように簡単に構成できることから、衝撃吸収本体7の変形後の乗員への反力を抑制することができ、結果的に理想的な衝撃荷重吸収波形を得ることができる。
そして、衝撃吸収リブ9の形状の設計は、各平板状リブ片9a、9bの幅寸法L、厚さ寸法T及び衝撃吸収リブ9の先端部とドアパネルとが離間する所定幅Hを適宜選択することにより行うことができ、例えば、衝撃吸収リブ9による衝撃吸収作用を早期に確保したい場合には、所定幅Hを小さくすることになり、また、衝撃吸収本体7及び衝撃吸収リブ9による全体の衝撃吸収荷重を多く確保したい場合には、やはり所定幅Hを小さく設定するとともに、各平板状リブ片9a、9bの幅寸法L及び又は厚さ寸法Tを大きく設定すればよいことになる。
更に、図2に示すように、衝撃吸収リブ9の形状を、先細り状に形成することによって、衝撃荷重の吸収機能のチューニングをするようにしてもよい。
また、十字状を呈する衝撃吸収リブ9は、衝撃吸収本体7がある程度衝撃荷重を吸収した後、座屈することにより衝撃荷重を衝撃吸収本体7の変形とともに吸収するために、側突初期から衝撃吸収が終了するまで衝撃荷重を効率よく吸収することができ、自動車の側突によりドアパネル2の変形がより進んでしまった際に乗員が受ける反力が上がりすぎないようにコントロールできることになって、理想的な衝撃荷重吸収波形を得ることができる。
図4は、本発明に係る衝撃吸収体構造を従来のものと比較して描画した自動車の側突による衝撃荷重を衝撃吸収体構造により吸収する過程を描画した衝撃荷重吸収波形図である。
これによれば、横軸に側突時における乗員のドアパネル2への侵入量をとり、縦軸に衝撃吸収体により吸収された衝撃荷重をとった場合、衝撃吸収リブ9を有さない従来の衝撃吸収構造体の波形(波線視)と衝撃吸収リブ9を有する本発明に係る衝撃吸収構造体(実線視)とを比較すると、斜線で示したエリア分本発明による衝撃吸収体構造の衝撃荷重の吸収効率を高めた状態で乗員を確実に保護していることになり、しかる後、側突による衝撃荷重の吸収後は、乗員が受ける反力が上がりすぎないように抑制コントロールしていることがわかり、理想的な衝撃吸収波形を得ることができる。
図5は本発明に係る衝撃吸収本体7の変形例を示している。
図5によれば、衝撃吸収リブ9を構成する平板状リブ片9a、9bが互いに交差する交差部の角部9cをR形状に形成した点、上記の実施の形態と異なる構成である。
かかる構成によれば、交差部の角部9cがR形状に形成されているために、更なる側突に対する衝撃荷重吸収波形を設計上簡単にコントロールすることができることになる。
以上説明したように、本発明は、一面が開口する箱状に形成された衝撃吸収本体を、その底壁部に衝撃吸収リブを起立突設するとともに、衝撃吸収リブの先端部がドアトリムに対して所定間隙離間して配置されていることから、側突初期においては衝撃吸収本体のみが変形して衝撃を吸収し、更に側突が進行するに従って衝撃吸収本体のみでなく、衝撃吸収リブがドアトリムに当接して変形することで衝撃吸収機能を果たすことになることから、側突による衝撃荷重の吸収効率を格段と高める中で、車両における側突事故に対する衝撃を乗員の保護の観点から確実に吸収することができると共に、衝撃吸収リブが座屈することによって衝撃吸収体の反力が上がり過ぎないように抑制することができることになり、理想的な衝撃荷重吸収波形を得ることができるために、車両のドアパネルと該ドアパネルの車室側を覆うドアトリムとの間に設置されて、前記車両の側突による衝撃を吸収するようになした車両用衝撃吸収体構造等に好適である。
1 ドアー
2 ドアパネル
3 ドアトリム
7 衝撃吸収本体
7e 開口面
7f 底壁部
9 衝撃吸収リブ
9a、9b 平板状リブ片
9c 角部
H 所定幅

Claims (1)

  1. 車両のドアパネルと該ドアパネルの車室側を覆うドアトリムとの間に設置される衝撃吸収本体を、一面が開口する箱状に形成するとともに、前記衝撃吸収本体の開口面を前記ドアトリム側に対向させた状態で前記ドアトリムの裏面側に装着し、且つ、前記衝撃吸収本体の底部壁に、先端部が前記ドアトリムに対して所定幅離間した状態で配置され且つ前記衝撃吸収体の側壁部のいずれにも接続しないように一対の平板状リブ片を互いに交差させて形成することによって前記衝撃吸収本体の開口面側から見て十字状を呈するように構成した単一の衝撃吸収リブを起立突設し、且つ、前記一対の平板状リブ片が互いに交差する交差部の角度を衝撃荷重吸収波形のコントロール可能なR形状に形成して、前記衝撃吸収リブが前記車両の側突時に前記衝撃吸収本体の変形が進む過程において前記ドアトリムに当接変形することによって、前記車両の側突による衝撃を前記衝撃吸収本体と共に吸収するように構成したことを特徴とする車両用衝撃吸収体構造。
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