JP3603082B2 - 波長多重伝送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高密度の波長多重伝送を行なうに際に用いて好適な、波長多重伝送装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
近年、伝送装置に対する大容量化への要求は、情報化社会のより一層の進歩に伴い、ますます高まっている。特に、エレクトロニクスの高速化(電気信号での伝送速度の高速化)も10Gb/sを超えると困難になりつつあり、光信号レベルでの高速化、特に、波長多重方式を適用する信号伝送により、大容量化を図ることが大いに期待されてきている。
【0004】
波長多重方式としては、光ファイバの最も低損失な波長である1.55μm帯における、狭帯域な波長多重が有望視されており、すでに実用化されている。さらに、この波長帯は、エルビウムをドープした光ファイバによる光増幅器の適用波長帯と合致し、波長多重もしくは波長分離を行うために設けられる合/分波器の損失もこの光増幅器により補うことができるので、従来にない多数の波長多重を行なうことも可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のごとき波長多重方式を採用する伝送装置においては、複数の送信光の波長を、1.55μm帯において狭帯域且つ高密度に伝送光信号(送信光)の波長配置を行なう際に、様々な原因により伝送光信号の波長にわずかな変動が生じるが、このように送信光にわずかな波長変動が生じた場合においても、当該チャンネルの信号が不通となる場合があるほか、近傍する他チャンネルの波長の光信号に影響が波及して、他チャンネルへのクロストークをひき起こす場合もある。
【0006】
このような場合には、波長変動の生じたチャンネルばかりでなく、クロストークの発生したチャンネルにおいても通信エラーが発生することも考えられる。
従って、上述の高密度の波長多重や、波長分離を行なう伝送装置においては、送信光源の波長安定化を図るのはもちろんのこと、万一、波長ずれを生じた場合においても、他チャンネルに対してクロストークを引き起こすことを防止する必要があるという課題がある。
【0007】
また、光信号の送信装置においては、温度の安定性を確保するために、光源の温度安定化回路等を設けたものがあるが、この光源の環境温度をモニタするサーミスタの安定性が十分でない場合、経時劣化で変動を生じる可能性があることに配慮する必要がある課題があり、他方、光波長を出力する送信光源自体の経時劣化にも配慮する必要がある課題もある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、送信光源の波長が変動することをを検出し、他チャンネルに対してクロストークを引き起こすことを防止できるようにした、波長多重伝送装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明の波長多重伝送装置は、互いに異なる波長を有する光信号を出力する複数の光信号出力部と、複数の光信号出力部から出力された光信号を波長多重して送出する波長多重部とをそなえてなる波長多重伝送装置であって、各光信号出力部に送信光源と波長フィルタとをそなえて構成される。
【0010】
ここで、送信光源は、電気信号により駆動されて所定波長の光信号を出力するものであり、波長フィルタは、送信光源から出力された光信号の波長ドリフトを防止すべく、送信光源で出力すべき所定波長の光信号のみを通過し送出しうるものである。
さらに、波長フィルタから送出される光信号のレベルを監視し、レベルが予め設定された第1のしきい値レベルよりも小さくなった場合に、異常を検出する第1異常検出部をそなえて構成する。
【0011】
この場合においては、送信光源から出力される光信号の出力レベルの異常を検出する第2異常検出部と第1異常検出部にて異常が検出されるとともに第2異常検出部において正常が検出された場合に、送信光源から出力される光信号の波長異常を検出する第3異常検出部とをそなえて構成する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
(1)第1実施形態の説明
図27は本発明の第1実施形態にかかる波長多重伝送装置100Aを示すブロック図であり、この図27に示す波長多重伝送装置100Aは、複数の光信号出力部100をそなえるとともに、波長多重部50をそなえて構成され各光信号出力部100は、互いに異なる光波長を出力する光源1を設けており、波長多重部50により複数の異なる光波長(例えば、1.55μm帯)を高密度に多重して、例えば、600MHz程度以上の伝送速度で多重信号を送出しうるようになっている。
【0024】
光信号出力部100は、詳細には図1に示すように、光源1と波長フィルタ2とをそなえて構成される。
なお、図27の構成は、1台の装置ばかりではなく、いくつかの装置の復号構成でも良い。
ここで、光源1は、電気信号により駆動されて所定波長の光信号を出力する送信光源であり、半導体レーザ(Laser diode)等により構成される。
【0025】
波長フィルタ2は、光源1 から出力された光信号の波長ドリフトを防止すべく、光源1で出力すべき所定波長の光信号のみを通過し送出しうるものであり、例えば、図2に示すように、誘電体多層膜2−1およびレンズ2−2a,2−2bをそなえて構成されている。
この誘電体多層膜2−1は、屈折率の異なる誘電体薄膜を交互に数層から十数層重ねて構成(ガラス基盤として構成)され、媒質の屈折率等により光源1からファイバ2−3aおよびレンズ2−2aを介して入射された光信号について、所定波長帯の光のみを通過させるように構成することができる。
【0026】
ここで、図3は、波長フィルタ2における光波長に対する光信号の損失特性を示す図であるが、この図3に示すように、波長フィルタ2を通過した光信号の損失値は、波長がずれるほど大きくなる。換言すれば、波長フィルタ2は、その通過損失が最も少ない波長を、上述の光源1から送出すべき光波長となるように調整されるようになっており、これにより、光源1から出力すべき光波長のみを通過させることができるのである。
【0027】
上述の構成により、第1実施形態にかかる波長多重伝送装置100Aにおける各光信号出力部100では、所望の電気的信号により駆動されて光信号を出力する。
各光信号出力部100の光源1から出力された光信号は、ファイバ2−3aを通じて波長フィルタ2へ出力される。すなわち、ファイバ2−3aからの光信号は、レンズ2−2aによりコリメートされて誘電体多層膜2−1へ入力される。誘電体多層膜2−1へ入力された光信号のうちで、所定の光波長成分のみが、誘電体多層膜2−1内のガラス基盤を通過し、レンズ2−2bを介して、ファイバ2−3bに出射されるが、所定の光波長以外の光波長については、誘電体多層膜2−1内のガラス基盤を通過せずファイバ2−3bへは出射されない。
【0028】
このように、本発明の第1実施形態にかかる波長多重伝送装置100Aによれば、各光信号出力部100において、光源1から発せられた光信号が、所定の正常範囲から外れた場合は、出力に直列に接続された波長フィルタにより減衰されて送信器出力としては出力されないため、各光信号出力部100では、すくなくとも本来出力すべき光波長以外の波長を有する光信号を出力することがなくなり、他チャンネルへのクロストークを防止することができる。
【0029】
なお、上述の波長フィルタ2は、固定波長型のものでも、或いは、所定波長にロックされた可変波長型のものでもよく、並びに、送信光源も、固定波長型に限らず可変波長型の光源を用いることにしても構わない。
(2)第2実施形態の説明
第2実施形態にかかる波長多重伝送装置100Aにおいても、前述の第1実施形態の場合と同様、波長多重部50により複数の異なる光波長(1.55μm帯)を高密度に多重し、例えば、600MHz程度以上の伝達速度で多重信号を出力しうるものである(図27参照)が、前述の第1実施形態の場合と異なる複数の光信号出力部200をそなえている。
【0030】
図4は、第2実施形態にかかる光信号出力部200を示す図であり、この図2に示す光信号出力部200は、前述の第1実施形態におけるものに比してカプラ3(CPL)と検出器4(DET)をそなえて構成される点が異なり、その他(符号1,2参照)の構成は同様である。
尚、(1)で用いたものと同じものについては、その説明を省略する。
【0031】
カプラ3は光を分岐するものであり、図5(a),(b)にその一例を示す。すなわち、カプラ3は、2本の光ファイバが融着されてなるもので、一方の入力ポート3−1,3−2から入射される光信号を分岐して、2つの出力ポート3−3,3−4から出射することができるようになっている。
検出器4は、第1異常検出部としてのものであり、波長フィルタ2から送出される光信号のレベルを監視するものである。
【0032】
ここで、図6は、本発明の第2実施形態に係る検出器4を示す図であり、この図6に示すように、検出器4はフォトダイオード(photo diode ;以下「PD」と言う。)4−1と比較器4−2をそなえて構成される。カプラ3で分岐された光信号は、検出器4に入力されて、この検出器内のPD4−1にり、電気信号に変換がなされる。比較器4−2は、この変換された電流値と所定の基準値とを比較するものであり、オペアンプ等が用いられる。
【0033】
ここで、比較器4−2で比較される所定の基準値としては、例えば光源1からの光信号が光信号出力部200からの正常な光信号として許容できる光信号の最小レベル値が用いられる。
また、図7は、比較器4−2に入力される光信号のレベル値(パワー値)と波長との関係を示す図であり、この図7に示すように、カプラ3からの光信号が、設定された本来所定波長で出力されるべき光信号である場合には、比較器4−2に入力される基準値よりも、カプラ3からの光信号レベルが高くなる。
【0034】
一方、本来の波長からのずれが大きくなるにつれて、波長フィルタ2の作用により比較器4−2への光信号の入力レベル値は低くなっており、波長ずれの程度が許容範囲よりもおおきくなると、光信号レベルは基準値より低く、即ち、光信号出力部200からの正常な光信号として許容できる範囲から外れ警報情報として出力するようになっている。
【0035】
上述の構成により、光源1から送出された光信号は、波長フィルタ2により減衰され、カプラ3で分岐されて、分岐された一方の光信号は、検出器4へ送られる。他方の光信号は、光信号を多重する部分に送られる。
検出器4では、光信号がPD4−1により変換されて、その電気信号を基に、比較器4−2が波長フィルタ2等を介して送られてくる光源1からの光信号を監視する。
【0036】
即ち、比較器4−2は、予め設定された基準値と受光した光信号レベルを比較し、この基準値より光信号レベルが低いときは、その光源異常である旨〔警報(アラーム)等〕を出力する。
上述の如く、検出器4は、波長フィルタ2から送出される光信号のレベルを監視し、レベルが比較器4−2の参照値よりも下まわる場合に異常を検出することから、第1異常検出部の機能を発揮する。
【0037】
このように、本発明の第2実施形態にかかる波長多重伝送装置100Aによれば、波長フィルタ1から送出される光信号を検出器4のPD4−1を介して電気変換されたものを予め定められた基準値と比較する比較器4−2により、光源異常を検出することができるので、他チャンネルへのクロストークを防止しながら、異常に対する適切な処置を迅速に行なうことができる利点がある。
(3)第3実施形態の説明
第3実施形態にかかる波長多重伝送装置100Aにおいても、前述の第1実施形態の場合と同様、波長多重部50により複数の異なる光波長(1.55μm帯)を高密度に多重し、例えば、600MHz程度以上の伝達速度で多重信号を出力しうるものである(図27参照)が、前述の第1実施形態の場合と異なる複数の光信号出力部300をそなえている。
【0038】
図8は、本発明の第3実施形態にかかる光信号出力部300を示す図であり、この図8に示すように、光信号出力部300は、前述の第2実施形態におけるものに比してカプラ3−1と検出器4′とAND回路5をそなえて構成される点が異なり、その他(符号1,2,3,4参照)の構成は同様である。
なお、(1),(2)で用いたものと同じものについては、その説明を省略する。
【0039】
カプラ3−1は、カプラ3−2と同様に、光源1からの出力に直列に配置されており、カプラ3と同様に光信号を分岐するものである。
検出器4′は、第2異常検出部として機能するものであり、光源1からの光信号の出力レベルが所定のレベルに至っているか否かを検出するようになっており、基本的に前述の図6に示す検出器4と同様の構成を有している。
【0040】
これにより、検出器4′では、カプラ3−1からの所望の光信号が検出された際には、正常である旨をAND回路5へ出力するようになっている。
AND回路5は、検出器4,4′からの信号を基に、光波長のずれが生じているか否かを検出するものである。具体的には、検出器4からの検出結果が異常(入力される光信号のレベルが基準値を下まわっている)であり、検出器4′からの検出結果が正常(入力される光信号のレベルが基準値を超えている)の場合には、光源1から出力される光信号の波長にズレが生じている旨を警報情報として出力するようになっている。
【0041】
上述の構成により、第3実施形態にかかる波長多重伝送装置100Aの各光信号出力部300では、カプラ3−1で分岐された光源1からの光信号が、検出器4′で分岐されて、所望の光出力レベルに至っているか否かを検出器4′で判定される。
一方、カプラ3−1を通過した光信号は、波長フィルタ2を通過してカプラ3で分岐された光信号は、検出器4′に送られて、この検出器4′は所定の基準値に光源1からの光信号レベル値が至っているか否かを判定し、その判定結果の情報をAND回路5へ出力する。
【0042】
AND回路5は、検出器4からの検出結果と検出器4′からの検出結果とに基づいて光源1の光信号が正常であるか否かを検出する。検出器4′で光源1の光信号レベル値が所定の基準値を超えて正常である旨の信号を受けるとともに、検出器4から波長フィルタ2を介して送られてきた光信号が所定レベル値を下まわり異常である旨の信号をAND回路5が受けると波長異常であることを検出し、その旨を出力する。
【0043】
上述の如く、AND回路5は、第1異常検出部としての検出器4において異常が検出されるとともに第2異常検出部としての検出器4′において正常が検出された場合に、送信光源から出力される光信号の波長異常を検出する第3異常検出部としての機能を発揮する。
このように、本発明の第3実施形態の波長多重伝送装置100Aによれば、光信号出力部300が、検出器4,4′およびAND回路5をそなえたことにより光源1自体の光出力が正常であるか否か、および、波長フィルタ2を通過した光信号が所望の光出力としてあるか否かを検出する二重の判断を行なって、単なる光源異常のみならず、波長ずれについても検出することができ、延いては、光源異常に対する原因が波長異常であることを即座に認識できる利点がある。
【0044】
なお、検出器4′において光源1からの光波長が所望のレベルに至っていないと判定した際においては、波長異常の旨の情報の代わりに、光源異常検出情報をAND回路5は、出力するようにしてもよい。
このようにしても、検出器4′が予め設定された基準値と光源1からの光出力レベルを比較することで光源異常を検出することができる。
(3a)第3実施形態の変形例の説明
第3実施形態の変形例にかかる波長多重伝送装置350Aにおいても、前述の第1実施形態の場合と同様、波長多重部50により複数の異なる光波長(1.55μm帯)を高密度に多重し、例えば、600MHz程度以上の伝達速度で多重信号を出力しうるものである(図27参照)が、前述の第1実施形態の場合と異なる複数の光信号出力部350をそなえている。
【0045】
図9は、第3実施形態の変形例にかかる光信号出力部350を示す図であり、この図9に示すように、光信号出力部350は、前述の第3実施形態におけるものに比してカプラ3−1をそなえず、また、カプラ3−1で分岐された光信号を監視する検出器4′とは異なり、光源1のバック光をモニタする検出器4″をそなえて構成される点が異なり、その他(符号2,3,4,5参照)の構成は同様である。
【0046】
尚、(1)〜(3)で用いたものと同じものについては、その説明を省略する。
ここで、検出器4″は、第2異常検出部として機能するものであり、光源1からのバック光を監視し、捕らえたバック(後方)光を予め設定された基準値と比較して、光源1からの光波長が所望の出力レベルで送出されているか否か判定するものであり、前述の検出器4と基本的に同様の構成を有する。
【0047】
上述の構成により、第3実施形態の変形例にかかる波長多重伝送装置350Aの各光信号出力部350では、検出器4″で、光源1からのバック(後方)光のレベルを監視することにより、光波長の出力レベルが正常であるか否かの判定がなされるとともに、波長フィルタ2によりファイバを通じて伝送する光信号のうちで所望の光波長を有する光信号のみが通過されて、カプラ3を介して分岐された光波長の出力レベルを検出器4で所定の基準値と比較する。
【0048】
検出器4″では、光源1のバック光を監視し、基準値との比較の結果、光源1からの光波長の出力値が所望の基準値超えているときは、正常である旨の信号をAND回路5に出力する。
AND回路5は、検出器4と検出器4″とから受信した信号に基づき、光源1からの光波長に波長ずれが生じているか否かを判定する。ここで、AND回路5では、検出器4″からの信号が正常で、検出器4からの信号が異常であるときは、波長異常が生じている旨の信号を出力する。従って、AND回路5は第3異常検出部としての機能を発揮する。
【0049】
このように、本発明の第3実施形態の変形例にかかる波長多重伝送装置350Aによれば、光信号出力部350が、検出器4,4″およびAND回路5をそなえたことにより光源1自体の光出力が正常であるか否か、および、波長フィルタ2を通過した光信号が所望の光出力としてあるか否かを検出する二重の判断を行って、単なる光源異常のみならず、波長ずれについても検出することができ、延いては、光源異常に対する原因が波長異常であることを即座に認識でき、且つ、その異常に対する処置を即座に講ずることができ得る。
【0050】
なお、検出器4″において光源1からの光波長が所望のレベルに至っていないと判定した際においては、波長異常の旨の情報の代わりに、光源異常検出情報をAND回路5は、出力するようにしてもよい。
また、上述の第3実施形態の場合に比して、主信号系にカプラ3−1を設ける必要がなくなり、光信号の損失を抑制することができる。
(4)第4実施形態の説明
第4実施形態にかかる波長多重伝送装置400Aにおいても、前述の第1実施形態の場合と同様、波長多重部50により複数の異なる光波長(1.55μm帯)を高密度に多重し、例えば、600MHz程度以上の伝達速度で多重信号を出力しうるものである(図27参照)が、前述の第1実施形態の場合と異なる複数の光信号出力部400をそなえている。
【0051】
図10は、本発明の第4実施形態にかかる光信号出力部400を示す図であり、この図10に示すように、光信号出力部400は、光源モジュール(LD module,「LD MOD」と略す。)6,自動温度調整(Automatic Temperature Control,以下「ATC」と言う。)回路7,周囲温度監視回路8,自動電流制御(Automatic Current Control,以下「ACC」と言う。)回路9および検出器10をそなえて構成される。
【0052】
ここで、光源モジュール6は、所定波長の光信号を出力する送信光源としてLD(Laser diode,以下「LD」と言う。)6−0,温度検出部としてサーミスタ(以下「TH」と言う。)6−1および加熱/冷却部として熱電制御(Thermoelectric Control, 以下「TEC」と言う。)6−2が1つの筐体内にパッケージングされて構成されるもので、LD6−0は所定波長の光信号を出力する送信光源であり、TH6−1はLD6−0近傍の環境温度を検出するものであり、TEC6−2はLD6−0の環境温度を可変にしうるものである。
【0053】
ここで、図11は、TEC6−2の一例である熱電冷却素子(thermoelectric cooling element) としてのペルチェ素子を示す図である。以下、TEC6−2をペルチェ素子として、実施形態の説明を進める。この図11に示すように、ペルチェ素子6−2においては、2つの金属の接合部を通って電流が流れたとき、熱が発生し、或いは吸収される現象が起こる。また、図12に示すように、ペルチェ素子6−2において、ある方向に電流が流れて熱が発生したとき、電流の向きを逆にすると熱が吸収されるようになっている。
【0054】
また、ATC回路7は、TH6−1において検出された温度情報に基づいて制御信号をTEC6−2に出力することにより、環境温度が予め設定された基準温度に安定するようにTEC6−2を制御するものである。
ここで、図13は、ATC回路7を示すブロック図であり、この図13に示すように、ATC回路7は、主として比較器7−0と抵抗およびトランジスタにより構成される電流制御回路7−1とをそなえて構成されている。
【0055】
比較器7−0は、TH6−1からの温度情報と予め設定されている基準値とを比較するもので、比較結果をトランジスタ7−1を介してペルチェ素子6−2および検出器10に送出するようになっている。そして、ペルチェ素子6−2では、比較結果がトラジスタ7−1を介して印加される電流値により、熱の吸収/放出が行なわれるようになる。
【0056】
このように、ATC回路7は、TH6−1において検出された温度情報に基づいて電流値による制御信号をTEC6−2に出力することで、環境温度が予め設定された基準温度に安定するようにTEC6−2を制御する温度制御部としての機能を発揮するものである。
周囲温度検出器として機能する周囲温度監視回路8は光源モジュール6の周囲温度を検出するものである。なお、光源外部の周囲環境温度監視回路8であれば、サイズ面での制限はるかに緩く、安定性のよい、例えば、白金抵抗温度計などが使用できるので、比較的信頼性の高い温度検出が可能である。
【0057】
ACC回路9は、LD6−0に供給される駆動電流を一定に制御するものであり、例えば、後述するように、比較器9−1およびトランジスタ等9−2をそなえて構成される。なお、上述のACC回路9の代わりに、主信号系の光パワーを監視し、この光パワーを安定化させるように制御するAPC(Automatic Power Control) 回路を用いることもできる。
【0058】
検出器10は、ATC回路7からのTEC6−2に対する制御信号と、周囲温度監視回路8において検出された周囲温度情報とに基づいて、光源モジュール6における異常を検出するものである。
ここで、図14は、第4実施形態にかかる検出器10を示すブロック図であり、この図14に示すように、検出器10は、加算器10−1,比較器10−2,10−3およびOR回路10−4をそなえて構成される。
【0059】
ここで、加算器10−1は、ATC回路7からのペルチェ電流モニタ情報(ペルチェ素子6−2に送られる電流値情報)と周囲温度監視回路8にて検出された温度情報とにより、LD6−0の周囲温度(LDモジュール6内のLD6−0近傍の環境温度)とLDモジュール6の周囲温度との差分を算出するものである。ここで、図15は、ペルチェ電流モニタと周囲温度との関係を示す図であり、この図15に示すように、LDモジュール6の周囲温度(ケース温度)の変化に対するペルチェ素子6−2に与えられる電流値(ペルチェ電流モニタ)の範囲が2本の点線A,B内である。その2本の点線A,B内を外れるところは、光信号を駆動する電流値が異常であることを意味する。
【0060】
換言すると、周囲環境監視回路8からの光源環境温度(Ta)と、LD6−0温度(TH)を安定化するのに必要な温度安定化回路としてのATC回路7の消費電流(ペルチェ電流値)との関係は、予め知られているので、正常範囲を逸脱した場合には、それを検出して、光源温度異常とする。延いては、光源波長異常と見做すことができる。
【0061】
従って、検出器10では、ペルチェ電流モニタ値が、この2本の点線A,B内にあるか否を2つの比較器10−2,10−3での値の比較により判定することができるようになっている。
ここで、比較器10−2はペルチェ電流モニタとしての電圧情報と周囲温度監視回路8からのケース温度を示す電圧情報との差分値と、予め設定された上限許容値とを比較するものである。換言すれば、この比較器10−2により、ペルチェ電流モニタ値が図15に示す点線Aのレベルを超えているか否かを判定できるようになっている。
【0062】
また、比較器10−3は、上述の差分値と予め設定された下限許容値(マイナス情報)とを比較するものであり、この比較器10−3により、ペルチェ電流モニタ値が図15に示す点線Bのレベルを下まわるか否かを判定できるようになっている。
さらに、比較器10−2は、加算器10−1からの差分値が所定の基準値よりも大きいことを検出すると正常範囲を外れる旨の情報をOR回路10−4へ出力するようになっており、比較器10−3は、所定の基準値(マイナス情報)よりも小さいことを検出すると正常範囲を外れる旨の情報をOR回路10−4へ出力するようになっている。
【0063】
OR回路10−4は、比較器10−2,10−3のうちの少なくとも一方からの異常である旨の信号を入力されると、波長異常を検出してその旨を出力するようになっている。
上述の如く、検出器10は、ATC回路7からTEC6−2に対する制御信号と、周囲環境温度監視回路8にて検出された周囲温度情報とに基づいて、光源モジュール6における異常を検出する第4異常検出部として機能するものである。
【0064】
ところで、この電流値の差分等が生じる要因としては、TH6−1の抵抗の劣化等により温度検出値の誤差が生じることにある。この場合には、ATC回路7によるLD6−0の周囲温度の制御が、LD6−0において所望の波長の光信号を出力しうるような制御系から外れることになるので、この温度検出値の誤差により、間接的に波長異常を検出することができるのである。
【0065】
上述の構成により、第4実施形態にかかる波長多重伝送装置400のATC回路7では、TH6−1において検出された温度情報に基づきLD6−0の環境温度を一定にすべく、ペルチェ素子6−2に流れる電流を制御する。
また、検出器10では、ATC回路7から入力されたペルチュ素子6−2に対する温度制御情報とともに、周囲環境監視回路8にて検出されたLDモジュール6の周囲温度情報を基に、LD6−0温度の制御量に対して光信号が正常として許容される範囲であるか否かを判定する。許容範囲を外れる場合は、環境温度におけるLD6−0から光波長のずれが生じていることを検出する。
【0066】
このように、本発明の第4実施形態の波長多重伝送装置400Aによれば、光信号出力部400が、ATC回路7,周囲環境温度監視回路8および検出器10をそなえたことにより、予め知られているLD6−0の環境温度とATC6−0で消費する電流との関係に配慮して、周囲環境温度監視回路8による周囲温度の監視とLD6−0の波長安定化のためにそなえられているATC回路7,TH6−1を監視とにより異常を検出することで、既存の波長安定化制御機構からの制御情報を用いながら間接的に波長異常を検出することができるとともに、波長異常検出した旨が出力されるため、波長異常に対して即座に対処を講ずることができ得る。
(5)第5実施形態の説明
第5実施形態にかかる波長多重伝送装置500Aにおいても、前述の第1実施形態の場合と同様、波長多重部50により複数の異なる光波長(1.55μm帯)を高密度に多重し、例えば、600MHz程度以上の伝達速度で多重信号を出力しうるものである(図27参照)が、前述の第1実施形態の場合と異なる複数の光信号出力部500をそなえている。
【0067】
図16は、本発明の第5実施形態にかかる光信号送信部500を示す図であり、この図16に示すように、光信号送信部500は、前述の第5実施形態におけるものに比して周囲温度監視回路8および検出器10の代わりに検出器11をそなえて構成される点が異なり、その他(符号6,6−0,6−1,6−2,7,9参照)の構成は同様である。
【0068】
尚、(4)で用いたものと同じものについては、その説明を省略する。
検出器11は、ACC回路9からの電流情報を基に波長ずれが生じているか否かを検出するものである。
ここで、図17は、第5実施形態にかかるACC回路9と検出器11とを示すブロック図であり、この図17に示すように、ACC回路9は比較器9−1とトランジスタ9−2とをそなえて構成されている。
【0069】
また、比較器9−1は、LD6−0が所定の光波長を出力するための駆動電流値を基準値として、トランジスタ9−2を介してLD6−0への駆動電流を制御するものである。換言すると、ACC回路9は、LD6−0を駆動する電気信号のレベルが基準レベルに安定するように、LD6−0の駆動する電気信号を制御する駆動信号制御部として機能するものである。
【0070】
一方、検出器11は、比較器11−1,11−2およびOR回路11−3をそなえて構成され、ACC回路9からの駆動電流が所望のレベル、駆動電流値が正常な範囲内にあるか否かを判定するようになっている。
ここで、比較器11−1は、比較する際の基準値として正常な駆動電流値と許容できる最大電流値を基準とするもので、この基準値より大きいか否かを判定するものである。また、比較器11−2は、比較する際の基準値として正常な駆動電流値と許容できる最小電流値を基準とするものである。
【0071】
OR回路11−3は、比較器11−1から基準値より大きい旨の信号、或いは、比較器11−2から基準値より小さい旨の信号を受けると、波長異常の検出信号を出力するようになっている。
上述の構成により、第5実施形態にかかる波長多重伝送装置500Aの各光信号出力部500では、光源1は、ACC回路9の電流制御のもとで流れる電気信号により駆動されて、光波長を一定のレベルで出力する。一方、検出器11では、駆動電流情報に基づき駆動電流値が正常な範囲レベルにあるか否かを予め設定された基準値を用いて判定する。
【0072】
具体的には、OR回路11−3において、比較器11−1からの駆動電流値が正常範囲における最大の駆動電流値より大きい旨の情報、また、比較器11−2で駆動電流値が正常範囲における最小の駆動電流値より小さい旨の情報の何れか一方の情報を受けると、波長異常の検出信号を出力する。
上述の如く、検出器11は、比較器11−1,11−2,OR回路11−3をそなえることで、ACC回路9にて制御されるLD6−0を駆動する電流値情報に基づいて、LD6−0から出力される光信号の異常を検出する第5異常検出部としての機能を発揮する。
【0073】
このように、本発明の第5実施形態にかかる波長多重伝送装置500によれば、光信号出力部500が、ACC回路9および検出器11をそなえたことにより光源1の駆動電流と出力波長とが1対1の関係にあることに基づいて、LD6−0の駆動電流を監視することを通じ、初期起動時を除き、LD6−0の経時劣化等で駆動電流が所定値よりずれた場合に、LD6−0の波長異常として検出することができるとともに、波長異常検出した旨が出力されるため、波長異常に対して即座に対処を講ずることができ得る。
(6)第6実施形態の説明
第6実施形態にかかる波長多重伝送装置600Aにおいても、前述の第1実施形態の場合と同様、波長多重部50により複数の異なる光波長(1.55μm帯)を高密度に多重し、例えば、600MHz程度以上の伝達速度で多重信号を出力しうるものである(図27参照)が、前述の第1実施形態の場合と異なる複数の光信号出力部600をそなえている。
【0074】
図18は、本発明の第6実施形態にかかる光信号出力部600を示す図であり、この図18に示すように、光信号出力部600は、前述の第4実施形態におけるもの(符号400参照)に、前述の第5実施形態にかかる検出器11とOR回路12としての機能を追加して構成される点が異なり、その他(符号6,6−0,6−1,6−2,7,8,9,10,11参照)の構成は同様である。
【0075】
尚、(4),(5)で用いたものと同じものについては、その説明を省略する。
OR回路12は、検出器10,11からの波長異常検出の通知をいずれか一方から受けると、波長異常検出を出力するものである。
即ち、OR回路12は、第5異常検出部としての検出器11或いは第4異常検出器としての検出器10において異常が検出された場合に、LD6−0から出力される光信号の波長異常を検出する第6異常検出部として機能するものである。
【0076】
上述の構成により、第6実施形態にかかる波長多重伝送装置600Aの各光信号出力部600では、OR回路12は、検出器10からの抵抗の経時劣化等による温度安定化制御の異常を検出した旨の信号を受けると、波長異常検出を出力する。一方、OR回路12は、検出器11からのLD6−0の経時劣化等による駆動電流異常を検出した旨の信号を受けると、波長異常検出を出力する。
【0077】
このように、本発明の第6実施形態にかかる波長多重伝送装置600Aによれば、各光信号出力部600が、検出器10,11とOR回路12とをそなえたことによりTH6−1の経時劣化にともなう温度影響による光信号の波長ずれを検出することができるともに、LD6−0の経時劣化等にともになう駆動電流値が正常範囲を逸脱したかを判別することで光信号の波長ずれを検出することができるとともに、波長ずれに対して即座に対処を講ずることができる。
(7)第7実施形態の説明
第7実施形態にかかる波長多重伝送装置700Aにおいても、前述の第1実施形態の場合と同様、波長多重部50により複数の異なる光波長(1.55μm帯)を高密度に多重し、例えば、600MHz程度以上の伝達速度で多重信号を出力しうるものである(図27参照)が、前述の第1実施形態の場合と異なる複数の光信号出力部700をそなえている。
【0078】
図19は、本発明の第7実施形態にかかる光信号出力部700を示す図であり、この図19に示すように、光信号出力部700は、前述の第6実施形態におけるものに比して、シャットダウン制御部(shut down control ,以下「CONT」と言う。)13をそなえて構成される点が異なり、その他(符号6,6−0,6−1,6−2,7,8,9,10,11,12参照)の構成は同様である。
【0079】
尚、(4)〜(6)で用いたものと同じものについては、その説明を省略する。
CONT13は、OR回路12にて波長異常を検出した際に、LD6−0の光信号の出力が行なわれないように、駆動電流のLD6−0への導通を断状態となるように、ACC回路9を制御するものである。
【0080】
ここで、図20は、CONT13の機能を説明するための図であり、この図20に示すように、CONT13は、図17に示す比較器9−1における基準値をLD電流基準REF(参照値)からアースREFに切り替えるように制御するようになっている。
上述の構成により、本発明の第7実施形態にかかる波長多重伝送装置700Aの各光信号出力部700では、CONT13はOR回路12からの波長異常検出の情報を受け取ると、光源モジュール6かまたはLD6−0の異常を検出したことにより、異常が生じている光信号出力部700から波長多重部50に対して出力される光信号を断状態に切り換える。
【0081】
ACC回路9は、比較器9−1での基準値がアース電位になることからLD6−0から光信号が出力されなくなる。
このように、本発明の第7実施形態にかかる光信号出力部700をそなえた波長多重伝送装置100Aによれば、波長異常を検出した際に、波長多重伝送装置100Aから波長がずれた光信号を出力しないようシャットダウン制御がCONT13により行なわれるため、光信号の波長ずれを検出することができるとともに、波長ずれに対して即座に対処を講じて他チャンネルへのクロストークを防止することができる。
(7a)第7実施形態の変形例の説明
第7実施形態の変形例にかかる波長多重伝送装置750Aにおいても、前述の第1実施形態の場合と同様、波長多重部50により複数の異なる光波長(1.55μm帯)を高密度に多重し、例えば、600MHz程度以上の伝達速度で多重信号を出力しうるものである(図27参照)が、前述の第1実施形態の場合と異なる複数の光信号出力部750をそなえている。
【0082】
図21は、第7実施形態の変形例にかかる光信号出力部750を示す図であり、この図21に示すように、光信号出力部750は、先述の第7実施形態におけるものに比して、光スイッチ(optical switch) 15と、CONT13の代わりにCONT14をそなえて構成される点が異なり、その他(符号6,6−0,6−1,6−2,7,8,9,10,11,12参照)の構成は同様である。
【0083】
尚、(4)〜(7a)で用いたものと同じものについては、その説明を省略する。
光スイッチ15は、光信号の伝送方向を変えたり、光出力レベルを減衰させる減衰器(transducer)としてのものである。なお、上述の光スイッチ15としての機能は、アッテネータ(attenuator)により実現させることもできる。
【0084】
CONT14は、CONT13と同じように、波長異常を検出した際に、LD6−0からの波長ずれが生じた光信号を受信側に到達させないようにするものであり、CONT13がLD6−0の駆動電流を断状態にすることに対して、CONT14は主信号系の光信号自身を断状態とするものである。
ここで、CONT14は、LD6−0から出力された光信号を途中で断状態とするために、LD6−0の出力と直列に配置された光スイッチ15を制御するようになっている。
【0085】
上述の構成により、第7実施形態の変形例にかかる波長多重伝送装置750Aの各光信号出力部750では、CONT14は、光源モジュール6かまたはLD6−0の異常が検出された旨の情報をOR回路12から受けると、光信号出力部750から出力される光信号を断状態となるように光スイッチ15を制御する。光スイッチ15では、CONT14からの制御により、LD6−0からの光信号を他の経路にスイッチして、主信号系の経路から外しその光信号を、或いは、アッテネータ内の減衰制御により受信出来ない程度に信号の出力レベルを減衰したりする。
【0086】
このように、本発明の第7実施形態の変形例にかかる光信号出力部750をそなえた波長多重伝送装置100Aによれば、CONT14をそなえたことにより、波長異常を検出した際に、波長多重伝送装置100AからLD6−0からの波長がずれた光信号が受信側に到達しないように光スイッチ15にシャットダウン制御が施されることから、光信号の波長ずれを検出することができるとともに、波長ずれに対して即座に対処を講じて他チャンネルへのクロストークを防止することができる。
(8)第8実施形態の説明
第8実施形態にかかる波長分離受信装置800は、前述の第1実施形態の場合等で複数の光信号出力部100から出力された互いに異なる波長を波長多重部50で多重して出力する波長多重伝送装置100等に対する装置であり、高密度に多重された信号、例えば、600MHz程度以上の伝達速度で多重信号を入力するものである。
【0087】
図22は、第8実施形態にかかる波長分離受信装置800を示すブロック図であり、この図22に示すように、波長分離受信装置800は、WDM分波器16,光/電気変換器(Optical receiver, 以下「OR」と言う。)17−1〜17−n(nは自然数),エラー検出部18a,波長ずれ検出部18bをそなえて構成される。
【0088】
WDM分波器16は、送られてきた多重信号を各波長毎に分波するものであり、OR17−1〜17−nは、分波された各光信号(波長λ1 〜λn ;以下、λ1 〜λn は光信号を示す。)を、波長毎に電気信号に変換するものであり、複数の異なる波長数だけそなえられている。
ここで、図23はOR17−1〜17−nを示すブロック図であり、この図23に示すように、各OR17−1〜17−nは、受光素子としてPD17−00,等価増幅処理を施すアンプ17−01,比較器17−A,タイミング成分抽出部17−02,フィルタ17−03,クロック増幅処理を施すアンプ17−04、また、比較器17−Aの代わりに比較器17−Bをそなえて構成される。
【0089】
各比較器17−Aは、それぞれ受信した光信号λ1 〜λn の信号振幅を監視するものであり、予め設定された基準値レベルと受信光信号λ1 〜λn の出力レベルとを比較するものである。
一方、各比較器17−Bは、タイミング成分を監視するものであり、予め設定された基準タイミングとそれぞれ受信した入力信号λ1 〜λn から抽出したタイミングとを比較するものである。
【0090】
エラー検出部18aは、受信した信号が所定のフォーマット形式に従ったデータを含むものであるか判断するものである。
波長ずれ検出部18bは、入力断アラームとエラー検出情報とを受けて、波長異常を検出するもので、例えばOR回路で構成される。
上述の構成により、第8実施形態にかかる波長分離受信装置800では、WDM分波器16は波長多重を複数の互いに異なる波長毎に分離する。なお、以下、WDM分波器16にて多重信号より分波された光信号λm (mは自然数)がλm+1 側へずれた場合を想定して、動作の説明をする。
【0091】
WDM分波器16により多重信号から分波された光信号λm は、OR17−mのPD17−00で電気信号に変換され、アンプ17−01が、電気信号を等価増幅する。
比較器17−Aは、信号振幅を監視するうえで、所定の基準値レベルにアンプ17−01からの電気信号レベルが至らない場合は、入力断アラームを出力する。
【0092】
また、比較器17−Bは、タイミング成分を監視するうえで、抽出したタイミング成分が所定の基準タイミングとずれるような場合に、入力断アラームを出力する。
ここで、比較器17−A或いは比較器17−Bの何れか一方を選択して使用することにより、入力断の検出を行なうことができる。
【0093】
このように、各OR17−1〜17−nは、それぞれWDM分波器16により分離された波長の異なる光信号をPD17−00で受光し電気信号に変換した情報を監視して、断状態か否かを判定する断状態検出部としての比較器17−A(或いは17−B)をそなえる受光部としての機能を発揮する。
また、光信号λm が光信号λm+1 側へずれると、OR17−(m+1)で電気変換された情報データは、光信号λm+1 の情報データに光信号λm の情報データがエラー検出部18aにおいて、重なることになる。この場合には受信信号としての所定のフォーマット形式であるデータ情報、例えば、フレームデータを確認できず、エラー(Err)が検出される。
【0094】
これにより、エラー検出部18aでは、OR17−(n+1) において電気信号に変換された信号に含まれるデータについて、所定フォーマット形式を基準としてエラーを検出するエラー検出部の機能を発揮する。
また、波長ずれ検出部18bは、OR17−nからの入力断アラームと隣接チャンネルのエラー検出部18aからのエラー検出信号とにより、波長ずれを検出する。
【0095】
したがって、波長ずれ検出部18bは、第1送信側波長異常検出部としての機能を発揮する。
尚、光信号λ1 ,λn が、それぞれ波長範囲外の方向に波長がずれた場合は、入力断アラームの発出のみとなる。この場合は、送信器のアラーム情報等を含めた判断が必要となる。
【0096】
このように、本発明の第8実施形態にかかる波長分離受信装置800によれば、OR17−1〜17−m,エラー検出部18aおよび波長ずれ検出部18bをそなえたことにより、OR17−1〜17−nにて光信号λ1 〜λm を電気に変換した情報を基に、入力断アラームの送出とともに、エラーの検出を行なって波長異常を検出することができるとともに、異常に対して即座に処置を講ずることができ得る。
(9)第9実施形態の説明
第9実施形態にかかる波長分離受信装置900は、前述の第8実施形態の場合と同様に、前述の第1実施形態の場合等で複数の光信号出力部100から出力された互いに異なる波長を波長多重部50で多重して出力する波長多重伝送装置100等に対する装置であり、高密度に多重された信号、例えば、600MHz程度以上の伝達速度で多重信号を入力するものである。
【0097】
図24は、本発明の第9実施形態にかかる波長分離受信装置900を示すブロック図であり、この図24に示すように、波長分離受信装置900は、WDM分波器19,OR20−1〜20−nをそなえて構成されている。
また、図24に示すように、WDM分波器19は、フィルタ(以下、「FIL」と言う。)19a−1〜19a−n,フィルタ(FIL)制御部19b−1〜19b−n,パワー分岐部19cおよびカプラ19d−1〜19d−nをそなえて構成される。
【0098】
ここで、各FIL19a−1〜19a−nは、予め設定された所定の波長(λ1 〜λn のいずれか1波長)を抽出するような、透過光波長帯域が可変なものであり、後述のFIL制御部19b−1〜19b−nの制御を受けて、受信光信号の波長の変動に追随して抽出するものである。
パワー分岐部19cは、送信側(波長多重伝送装置100A)からの多重信号をFIL19a−1〜19a−mの数だけ光パワーを分岐するものである。パワー分岐部19cでパワー分岐された光信号は光波長λ1 〜λn を含んで各FIL19a−1〜19a−nに入射されるようになっている。
【0099】
各FIL制御部19b−1〜19b−nは、フィルタ制御部として機能するものであり、それぞれFIL19a−1〜19a−nが所定の光波長を抽出することができるようにFIL19a−1〜19a−nに電圧制御を施すものである。ここで、図25は本発明の第9実施形態にかかるFIL制御部19b−mを示すブロック図であり、この図25に示すように、FIL制御部19b−mは、制御部19b−m1,差分検出器19b−m2,比較器19b−m3,比較器19b−m4,OR回路19b−m5およびPD19b−m6をそなえて構成される。なお、他のFIL制御部19b−1〜19b−(m−1),FIL制御部19b−(m+1)〜19b−nについても、図25と同様の構成を有している。
【0100】
以下、光信号にて出力された光信号の波長λm が波長λm+1 側にずれた場合の異常検出機構について、説明する。
制御部19b−m1は、FIL19a−mに印加する電圧を制御するものであり、制御するに際して、FIL19a−mからの出力信号をカプラ19d−mを介してPD19b−m6により電気変換された波長情報を用いるようになっている。
【0101】
差分検出器19b−m2は、制御部19b−m1からのFIL19a−mに印加する電圧の情報と所定の基準値との差分を算出するものである。ここで、所定の基準値としては、FIL19a−mから抽出される波長をλm とするための電圧値を用いることができる。
比較器19b−m3と比較器19b−m4は、所定の基準電圧値からのずれが正常の範囲、換言すると制御電圧値と所定の基準電圧値との差分が、正常な制御電圧として許容されるズレの範囲に入るか否かの比較を行なうものである。
【0102】
ここで、許容されるズレの範囲として、正常な制御電圧として許容される上限の値(+値)が、比較器19b−m3の基準値となる。一方、許容されるズレの範囲として、正常な制御電圧として許容される下限の値(−値)が、比較器19b−m4の基準値となる。差分検出器19b−m2での算出値がプラスなら比較器19b−m3での比較が主となる。
【0103】
比較器19b−m3は、所定の基準値より大きいとの判定をするときは、その旨をOR回路19b−m5に出力するようになっており、一方比較器19b−m4は、所定の基準値より小さいと判定するときは、その旨をOR回路19b−m5に出力するようになっている。
図24に示す各OR20−1〜20−nは、それぞれFIL19a−1〜19a−nにて分離された各光波長λ1 〜λn を光信号を電気信号に変換するものである。
【0104】
上述の構成により、第9実施形態にかかる波長分離受信装置900のFIL制御部19b−mでは、差分検出器19b−m2は、制御部19b−m1からの制御電圧値を基に差分値を算出する。この差分値を基に比較器19b−m3,19b−m4は、FIL19a−mに印加される電圧値が所定の光波長λm を抽出するに許容される範囲にあるか否かを判定する。そして、OR回路19b−m5は、比較器19b−m3(或いは、19b−m4)からの制御電圧値が許容範囲を外れる旨の信号を受けると、波長異常検出の信号を出力する。
【0105】
したがって、FIL制御部19b−mは、制御部19b−m1から出力される制御信号に基づいて、送信側における波長多重が行なわれた光信号の波長のうちで、異常が発生している波長を検出する第2送信側波長異常検出部としての機能を発揮する。
エラー検出部18a′(図示しない)は、OR20−mにて受信した信号が所定のフォーマット形式に従ったデータ、例えば、通信技術におけるプロトコルに従ったデータ伝送でのデータ形式〔データフレーム〕等)に適合しているものが否かを判定し、エラーを検出し得る。このエラー検出は、波長λm+1 側でも同様に検出し得る。
【0106】
このように、本発明の第9実施形態にかかる波長分離受信装置900によれば、FIL制御部19b−mをそなえることにより、所定の光波長λm を抽出する際にFIL19a−mに印加される電圧値情報を基に、波長ずれを検出することができるとともに、異常に対する処置を即座に講ずることができる。
なお、上記のように可変波長型のフィルタを用いる場合に、可変波長範囲がチャンネル間隔に対して狭い場合は、実質的に固定波長型のフィルタの場合と等価になり、前述の(8)のものと同様に波長ずれを検出することができる。
(9a)第9実施形態の変形例の説明
ところで、上述の第9実施形態にかかる波長分離受信装置900において、波長異常を検出した際に、送信側にその異常情報を転送する転送部22−2を設けることができる。
【0107】
ここで、図26は、波長多重信号を伝送するシステム21を示すブロック図であり、この図26に示すように、伝送システム21は受信装置(前述の波長分離受信装置900の機能をそなえるもの)22,送信装置23,上り回線24−aおよび下り回線24−bをそなえて構成されている。
また、受信装置22では、波長多重信号を受信する受信回路22−1としてWDM分波器19,転送部22−2をそなえて構成される。
【0108】
WDM分波器19のFIL制御部19b−nは、制御電圧の情報を基づき波長ずれを検出した際には、その旨を転送部22−2に出力するようになっている。転送部22−2は、所定の光出力部からの光信号の波長がずれている情報を送信装置23に伝えるものである。
ここで、転送部22−2は、波長異常情報を送信装置23への伝送データにおけるオーバーヘッドビットやあるいは別の波長信号として波長多重により伝送するものである。
【0109】
また、送信装置23は、前述の(1)(或いは(2)〜(7)の何れか)の光信号出力部100(或いは100〜700等の何れか),アテネータ15,受信回路23−1をそなえて構成される。なお、アテネータ15と同様の機能である光スイッチをそなえることとしてもよい。
受信装置23−1は、受信装置22からの出力された信号上に、波長異常情報があるか否かを監視するものである。ここで、受信装置22からの出力信号が波長多重信号であるなら、受信回路22−1と同様に、WDM分波器19を用いることができ、複数の異なる波長毎に分離された信号上のデータに、波長異常情報が含まれているか否かをも監視する機能を有するものである。波長異常情報は、所定の1波長或いは複数の異なる波長の信号中に含めて送られてくるようになっている。
【0110】
上述の構成により、第9実施形態の変形例にかかる受信装置22の転送部22−2は、送信装置23からのデータが伝送される上り回線24−aとは逆の下り回線を用いて、波長異常情報を主信号におけるオーバーヘッドビット等に挿入して、送信側へ送る。
波長異常情報を受信回路23−1で検出するとその旨は、アテネータ等15に出力され、アテネータ等15は、光信号出力部からの光信号の出力をシャットダウン(遮断)する。
【0111】
このように、本発明の第9実施形態の変形例にかかる受信装置22によれば、転送部22−2をそなえることで受信側で波長異常を検出した場合において送信側にその異常情報を転送することができるため、他チャンネルへのクロストークを防止することができるとともに、異常に対する処置を即座に講ずることができ得る。
【0112】
ならびに、上記の波長異常情報への送信側へ転送する転送部22−2は、前述(8)の波長分離受信装置800で波長異常を検出した際においても、同様に用いることができる。
(10)その他
(1)〜(9a)で本発明の実施形態に関して詳述してきたが、これらに限定されず本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0113】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明の波長多重伝送装置によれば、各光信号出力部において、送信光源が電気信号により駆動されて所定の光信号を出力して、波長フィルタが送信光源から出力された光信号の波長ドリフトを防止すべく、送信光源から出力されるべき所定の波長のみを通過し送出しうるようになっているので、所定の正常範囲から外れた光波長を波長フィルタが減衰させて、波長多重信号として伝送されないことで、他チャンネルへのクロストークを防止することができる利点がある。
【0121】
また、各光信号出力部において、第1異常検出部が、波長フィルタから送出される光信号のレベルを監視しているので、光信号のレベルが予め設定された第1のしきい値レベルよりも小さくなったかを判断することにより、光源波長の異常を検出することができる利点がある。
さらに、各光信号出力部において、第2異常検出部が送信光源から出力される光信号の出力レベルの異常を検出し、第3異常検出部が第1異常検出部と第2異常検出部の検出結果を監視するようになっているので、光源異常を検出するばかりか、波長ずれを検出することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる光信号出力部を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる波長フィルタを示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる波長フィルタの損失特性を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる光信号出力部を示すブロック図である。
【図5】(a),(b)は、いずれも本発明の第2実施形態にかかるカプラを示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる検出器を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる比較器に入力される光信号のレベル値と波長との関係を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる光信号出力部を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3実施形態の変形例にかかる光信号出力部を示すブロック図である。
【図10】本発明の第4実施形態にかかる光信号出力部を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4実施形態にかかるペルチェ素子を示す図である。
【図12】本発明の第4実施形態にかかるペルチェ素子の特性を説明するための図である。
【図13】本発明の第4実施形態にかかるATCを示すブロック図である。
【図14】本発明の第4実施形態にかかる検出器を示すブロック図である。
【図15】本発明の第4実施形態における検出器の動作を説明すべくペルチェ電流モニタと周囲温度との関係を示す図である。
【図16】本発明の第5実施形態にかかる光信号出力部を示すブロック図である。
【図17】本発明の第5実施形態にかかるACCと検出器とを示すブロック図である。
【図18】本発明の第6実施形態にかかる光信号出力部を示すブロック図である。
【図19】本発明の第7実施形態にかかる光信号出力部を示すブロック図である。
【図20】本発明の第7実施形態にかかるCONTの機能を説明するための図である。
【図21】本発明の第7実施形態の変形例にかかる光信号出力部を示すブロック図である。
【図22】本発明の第8実施形態にかかる波長分離受信装置を示すブロック図である。
【図23】本発明の第8実施形態にかかるOR(オプチカル レシーバー)を示すブロック図である。
【図24】本発明の第9実施形態にかかる波長分離受信装置を示すブロック図である。
【図25】本発明の第9実施形態にかかるフィルタ制御部を示すブロック図である。
【図26】本発明の第9実施形態の変形例にかかる伝送システムを示すブロック図である。
【図27】本発明の第1実施形態にかかる波長多重伝送装置を示すブッロク図である。
【符号の説明】
1 光源
2 波長フィルタ
2−1 誘電体多層膜
2−2a,2−2b レンズ
2−3a,2−3b ファイバ
3,3−1 カプラ
4,4′,4″,10,11 検出器
4−1,17−00 受光素子
4−2 比較器
5 AND回路
6 光源モジュール
6−0 LD
6−1 TH
6−2 TEC
7 ATC
7−0,9−1,10−2,10−3,11−1,11−2,17−A,17−B,19b−13〜19b−n3,19b−14〜19b−n4 比較器
7−1,9−2 トランジスタ
8 周囲環境監視回路
9 ACC
10−1 加算器
10−4,11−3,12,19b−15〜19b−n5 OR回路
13,14 CONT
15 光スイッチ/アテネータ
16,19 WDM分波器
17−1〜17−n,20−1〜20−n OR(オプチカル レシーバー)
17−01,17−04 アンプ
17−02 タイミング成分抽出部
17−03 フィルタ
18a エラー検出部
18b 波長ずれ検出部
19a−1〜19a−n 可変波長フィルタ
19b−1〜19b−n FIL制御部
19b−11〜19b−n1 制御部
19b−12〜19b−n2 差分検出器
19c パワー分岐部
21 伝送システム
22 受信装置
22−1,23−1 受信回路
23 送信装置
24−a 上り回線
24−b 下り回線
50 多重部 100,200,300,350,400,500,600,700,750光信号出力部
100A,200A,300A,350A,400A,500A,600A,700A,750A 波長多重伝送装置
800,900 波長分離受信装置
Claims (1)
- 互いに異なる波長を有する光信号を出力する複数の光信号出力部と、該複数の光信号出力部から出力された光信号を波長多重して送出する波長多重部とをそなえてなる波長多重伝送装置であって、
各光信号出力部が、
電気信号により駆動されて所定波長の光信号を出力する送信光源と、
該送信光源から出力された光信号の波長ドリフトを防止すべく、上記送信光源で出力すべき上記所定波長の光信号のみを通過し送出しうる波長フィルタとをそなえ、
かつ、
該波長フィルタから送出される光信号のレベルを監視し、上記レベルが予め設定された第1のしきい値レベルよりも小さくなった場合に、異常を検出する第1異常検出部と、
該送信光源から出力される光信号の出力レベルの異常を検出する第2異常検出部と、
該第1異常検出部にて異常が検出されるとともに該第2異常検出部において正常が検出された場合に、該送信光源から出力される光信号の波長異常を検出する第3異常検出部とをそなえて構成されたことを特徴とする、波長多重伝送装置。
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