JP3602407B2 - 炊飯器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の炊飯器は、おいしいご飯を炊飯するために、強い火力が要求される。そのため、本体の内部には加熱手段に大電流が通電され、約180℃から190℃と非常に高温になる。この場合、本体内に配設した制御基板の電子部品が熱によって誤動作したり、電気的に損傷するうえ、樹脂からなる本体の外装体も熱によって劣化するという問題がある。
【0003】
この問題を解決するため、実用新案登録第2573960号では、略楕円筒状に形成した本体の楕円長径方向の一方に冷却ファンと吸気口を設けるとともに、他方に排気口を設け、吸気口と排気口との間の楕円弧に略沿うように高温となる電子部品を配設した炊飯器が提供されている。
【0004】
また、特開平5−337043号では、内釜と該内釜を収容する内容器との間に空間を設け、この空間に空気を循環させる第1のファンを設けるとともに、吸気口から本体の外部の空気を取り入れ、排気口から排気する第2のファンを設けた炊飯器が提供されている。
【0005】
さらに、特開平6−217874号では、前記各従来例のように冷却機構を設けた炊飯器において、吸気口や排気口から本体内に害虫が入り込むことを防止するために、これら吸気口および排気口にフィルタを配設した炊飯器が提供されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各従来例の炊飯器は、吸気口を本体の底における水平面に設け、ファンによって吸気口から外気を吸い込んで上向きに送風し、その風を上方のモータおよび支持枠に当てるようにしているため、下部領域には風が流れ難い。即ち、単に吸気口の近傍にファンを配設し、吸気口の対向する側に排気口を設けただけであり、これらの間に配置される構成部品およびその形状を考慮して空気の流通経路を設計したものではないため、効率的な冷却効果を得ることができない。
【0007】
そこで、本発明では、炊飯器の本体内において冷却を必要とする電子部品および領域に効率的に送風可能な炊飯器を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の炊飯器は、炊飯鍋を収容する保護枠を備えた本体と、該本体に開閉可能に取り付けられ、前記炊飯鍋を密閉する蓋体と、前記炊飯鍋を加熱する加熱手段等の負荷部品を備えた炊飯器において、前記本体を構成する外装体の底部材に外部と連通した吸気口を設け、該吸気口との対向位置に前記負荷部品を制御する制御基板を配設するとともに、これら吸気口と制御基板との間にファンを配設し、前記底部材の吸気口と反対側に排気口を設けるとともに、該排気口の周囲に排気ダクトを設け、かつ、前記底部材および保護枠に、前記排気ダクトの両側に位置するガイド壁部をそれぞれ設け、前記ファンによる風を、前記制御基板に直接当てるとともに、この制御基板により両側および下側に分流させ、該分流した風を前記ガイド壁部によって前記排気ダクトの開口に集束させ、前記排気ダクトを通して排気口から排気する構成としている。
【0009】
前記炊飯器によれば、吸気口の対向位置に制御基板を配設するとともに、これらの間にファンを配設し、このファンから供給される風を制御基板に直接当てるようにしているため、制御基板に実装した電子部品を確実に強制冷却することができる。これにより、制御基板に当たった風はその両側および下側に分流され、本体内には幅方向全体に渡って空気が流通する経路が形成される。その結果、加熱手段等の高温となる負荷部品を確実に強制冷却することができる。また、前記吸気口と反対側に排気口を設け、該排気口の周囲に排気ダクトを設けているため、電子部品や負荷部品を冷却した風は、前記排気ダクトによって効率的に吸い込まれ、該排気ダクトを介して排気口から排気される。さらに、底部材および保護枠に、前記排気ダクトの両側に位置するガイド壁部をそれぞれ設けているため、ファンから供給される風をより確実に排気ダクトに導き、空気の流通経路を形成することができ、更に高い冷却効果を得ることができる。
【0010】
前記炊飯器では、前記保護枠に形成するガイド壁部は、前記底部材に設けたガイド壁部の内側に位置し、その下部が底部材のガイド壁部の上部と高さ方向に重なり合うように設けられていることが好ましい。
【0011】
さらに、前記排気口は、多数のスリットと、各スリットから臨む内部を遮蔽する遮蔽部とからなる構成とし、薄いシート状の物や細長い線状の物、そして、害虫等が本体内に侵入できないようにすることが好ましい。
【0012】
さらにまた、前記排気口を、底部材の正面下部に位置させることが好ましい。
または、前記排気口を、底部材の側面下部に位置させてもよい。
このようにすれば、排気口をユーザが簡単に目視できないため、外観が悪くなることを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の炊飯器1を示す。この炊飯器1は、炊飯鍋2と、該炊飯鍋2を収容して誘導加熱する本体3と、該本体3に回動可能に取り付けられる蓋体31とからなる。
【0014】
前記炊飯鍋2は、熱伝導率が高いアルミ等からなる鍋母材の外面に、後述する誘導加熱コイル24への高周波電流の通電時に生じる渦電流によって電磁誘導加熱される強磁性材料をコーティングや接合等を施して設けたものである。
【0015】
前記本体3は、胴部材4と該胴部材4の底を閉鎖する底部材5とからなる外装体を備え、この外装体の内部に前記炊飯鍋2を収容する保護枠17が配設されている。そして、この外装体と保護枠17の間には、冷却手段であるファン23と、加熱手段である誘導加熱コイル24と、フェライトコア25と、炊飯鍋用温度センサ27と、マイコン30を実装した制御基板28とが配設されている。
【0016】
前記胴部材4は、上下を開口した略楕円筒状の樹脂ケースであり、内部に後述する保護枠17を一体的に取り付け、上端開口に蓋体31を回動可能に取り付けるとともに、下端開口に底部材5を取り付ける周知の構造のものである。
【0017】
前記底部材5は、図1から図3に示すように、前記胴体の下端開口の形状に一致する有底箱形状の樹脂ケースからなる。この底部材5には、略正方形状の4隅に位置するように、後述する保護枠17を下方から保持するための支持柱部6が突設されている。また、この底部材5の中央には、円環形状のアルミニウム板からなる防磁板7が配設されている。
【0018】
本実施形態の底部材5には、背面部5aに多数のスリットを並設してなる吸気口8が設けられている。この吸気口8の内部側には、該吸気口8と後述する保護枠17の取付部22との間に位置するファン取付部9が設けられている。また、前記吸気口8と反対の正面側には、外観的に目視が困難な底部材5の正面下部に位置するように排気口10が形成されている。この排気口10は、図4に示すように、多数のスリット11と、各スリット11から臨む内部を遮蔽する遮蔽部12とからなり、薄いシート状の物や細長い線状の物、そして、害虫等が本体3内に侵入できない構成としている。この排気口10の周囲には、前記吸気口8との対向面を開口して流入口14とした排気ダクト13が設けられている。この排気ダクト13の両側には、後述する保護枠17の下部領域を囲繞するように、該排気ダクト13の両側から前側に位置する一対の支持柱部6にかけて円弧状のガイド壁部15が設けられている。なお、図中、16は、電源コードを着脱可能に接続する電源プラグの取付孔である。
【0019】
前記保護枠17は、図1および図2に示すように、前記炊飯鍋2を着脱可能に収容するもので、非導電性材料によって略受け皿形状に形成したものである。この保護枠17には、前記底部材5の支持柱部6と対応する位置に外方に突出するように受部18が設けられている。また、保護枠17の前側部には、炊飯鍋用温度センサ27の検出部を貫通させる貫通孔19が設けられ、この貫通孔19の外面側には取付枠20が設けられている。さらに、この保護枠17の外側面には、フェライトコア25を取り付けるための取付構造が設けられている。なお、この取付構造は従来と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0020】
本実施形態の保護枠17の正面側には、前記底部材5の排気ダクト13の両側に位置する円弧状のガイド壁部21が設けられている。このガイド壁部21は、前記底部材5に設けたガイド壁部15の内側に位置し、その下部がガイド壁部15の上部と高さ方向に重なり合うように設けられている。また、本実施形態の保護枠17の背面側には、前記ファン取付部9と対向する位置に制御基板28の取付部22が設けられている。
【0021】
前記ファン23は、前記吸気口8と制御基板28との間に位置するように、前記底部材5のファン取付部9に装着され、前記吸気口8から外気を強制的に吸い込み、対向位置に配設される制御基板28に直接的に当てるものである。
【0022】
前記誘導加熱コイル24は、高周波電流が通電されることにより電磁波を発生し、前記保護枠17を介して炊飯鍋2を電磁誘導加熱するものである。この誘導加熱コイル24は、前記保護枠17の下面に配設され、後述するフェライトコア25のホルダ26によって該ホルダ26と保護枠17との間に位置決めされる。
【0023】
前記フェライトコア25は、前記保護枠17の外面形状に沿った略J字形棒状をなし、前記誘導加熱コイル24から発生する電磁波を集中的に集めて炊飯鍋2を局部加熱するものである。このフェライトコア25は、非導電性材料(合成樹脂)からなるホルダ26内にインサート成型され、このホルダ26によって前記誘導加熱コイル24の下方に120度間隔をあけて放射状に配設される。
【0024】
前記炊飯鍋用温度センサ27は、前記保護枠17の取付枠20に配設され、その先端の検出部を貫通孔19に貫通させて炊飯鍋2の外側面に接触させ、該炊飯鍋2の温度を検出し、マイコン30に出力するものである。
【0025】
前記制御基板28は、電気回路を構成する多数の電子部品29およびマイコン30が実装され、炊飯器1を構成する前記ファン23や誘導加熱コイル24の動作を記憶されたプログラムに従って制御し、ユーザが希望する炊飯制御を実行するものである。ここで、多数の電子部品29のうち、特定の電子部品29およびマイコン30は、動作時に発熱するものである。
【0026】
前記蓋体31は、上板と下板からなる外装体の底面に、前記炊飯鍋2の上端開口を密閉する内蓋を配設した周知のものである。
【0027】
前記構成の炊飯器1では、ユーザが図示しない表示パネルに配設されたスイッチの操作部を操作して希望の炊飯モードで炊飯動作を実行すると、前記ファン23を動作させて本体3の内部を冷却する。
【0028】
これにより、本体3内では、ファン23が吸気口8から外気を吸い込み、その風を対向する制御基板28に直交する方向から供給する。そして、制御基板28に直接当たった風は、本体3の上側部が胴部材4の図示しない天板部によって閉鎖されているため、図3中、太線で示すように、制御基板28の両側および下側に分流し、本体3の内壁側および誘導加熱コイル24を配設した保護枠17の下側に流れる。
【0029】
即ち、ファン23から送風される強制冷却用の風は、制御基板28に当たった後、発熱する負荷部品が位置する本体3の下部領域において、幅方向全体にかけて背面側から正面側に向けて流れる。そして、この間に発熱した誘導加熱コイル24やフェライトコア25等の負荷部品の熱を吸着する。
【0030】
本体3内において、排気口10を設けた正面側に流れた風は、底部材5および保護枠17に設けたガイド壁部15,21により集束され、排気ダクト13の広く開口した流入口14に導かれる。そして、この流入口14に集束された空気は、排気ダクト13内を通って排気口10から外部に排気される。
【0031】
このように、本発明の炊飯器1では、ファン23から出力する強制冷却用の風を、制御基板28に当てることにより本体3内における下部領域に流通させ、かつ、正面側に流れた風をガイド壁部15,21によって排気ダクト13に集束させて排気口10から排気するため、効率的な空気の流通経路を形成することができる。その結果、効率的で高い冷却効果を得ることができる。
【0032】
また、本実施形態では、強制冷却用の風によって、先に制御基板28を冷却し、その後に誘導加熱コイル24等の負荷部品を冷却する。即ち、おいしいご飯を炊き上げるために最も重要な制御基板28に実装された電子部品29およびマイコン30を確実に強制冷却し、熱によって誤動作することを確実に防止する。その後、制御基板28を強制冷却することによって若干温度上昇した空気により、自身では誤動作する恐れのない負荷部品を冷却するため、設計通りの炊飯制御を実行できるとともに、電子部品29の電気的に損傷や、樹脂からなる本体3の劣化を確実に防止できる。ここで、本体3内において、最も温度が上昇する誘導加熱コイル24の周囲は、冷却機構を設けていない場合には約約180℃から190℃まで昇温するが、前記構成の炊飯器1では、約130℃から140℃まで低下させることができる。
【0033】
なお、本発明の炊飯器1は前記構成に限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、底部材5および保護枠17の両方に排気ダクト13の両側に位置するガイド壁部15,21を設けたが、このガイド壁部15,21は必ずしも設ける必要はない。そして、形成する場合には、いずれか一方にのみ設けてもよい。
【0034】
また、前記実施形態では、吸気口8を底部材5の背面側に設けるとともに、排気口10を正面下部に設けたが、炊飯器1の外観形状等の設計に応じ、吸気口8および排気口10を底部材5の側面下部にそれぞれ設けてもよく、このようにしても前記と同様の作用、効果を得ることができる。
【0035】
さらに、前記実施形態では、誘導加熱方式の炊飯器1に適用したが、ヒータ加熱方式の炊飯器1に適用しても同様の作用、効果を得ることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の炊飯器では、吸気口から吸い込んだ外気を制御基板に直接当てるため、制御基板に実装した電子部品を確実に強制冷却することができる。そして、この制御基板により、強制冷却用の風を両側および下側に分流し、本体の内部全域にわたって流通させ、吸気口との反対側の排気口の周囲に設けた排気ダクトへの流通経路を形成することができる。その結果、強制冷却用の風(空気)を効率的に流通させ、温度上昇する負荷部品や本体内部の空気を確実に冷却することができる。
【0037】
また、前記排気ダクトの両側に位置するように、底部材および保護枠にガイド壁部を設けているため、ファンから供給される風をより確実に排気ダクトに導き、より確実な空気の流通経路を形成することができる。その結果、更に高い冷却効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炊飯器を示す断面図である。
【図2】図1の底部材と保護枠とを示す分解斜視図である。
【図3】底部材の平面図である。
【図4】底部材の排気ダクトを示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
1…炊飯器、2…炊飯鍋、3…本体、4…胴部材、5…底部材、8…吸気口、10…排気口、13…排気ダクト、14…流入口、15…ガイド壁部、17…保護枠、21…ガイド壁部、22…取付部、23…ファン、24…誘導加熱コイル、25…フェライトコア、27…炊飯鍋用温度センサ、28…制御基板、29…電子部品、30…マイコン、31…蓋体。

Claims (5)

  1. 炊飯鍋を収容する保護枠を備えた本体と、該本体に開閉可能に取り付けられ、前記炊飯鍋を密閉する蓋体と、前記炊飯鍋を加熱する加熱手段等の負荷部品を備えた炊飯器において、
    前記本体を構成する外装体の底部材に外部と連通した吸気口を設け、該吸気口との対向位置に前記負荷部品を制御する制御基板を配設するとともに、これら吸気口と制御基板との間にファンを配設し、
    前記底部材の吸気口と反対側に排気口を設けるとともに、該排気口の周囲に排気ダクトを設け、かつ、
    前記底部材および保護枠に、前記排気ダクトの両側に位置するガイド壁部をそれぞれ設け、
    前記ファンによる風を、前記制御基板に直接当てるとともに、この制御基板により両側および下側に分流させ、該分流した風を前記ガイド壁部によって前記排気ダクトの開口に集束させ、前記排気ダクトを通して排気口から排気するようにしたことを特徴とする炊飯器。
  2. 前記保護枠に形成するガイド壁部は、前記底部材に設けたガイド壁部の内側に位置し、その下部が底部材のガイド壁部の上部と高さ方向に重なり合うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
  3. 前記排気口は、多数のスリットと、各スリットから臨む内部を遮蔽する遮蔽部とからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炊飯器。
  4. 前記排気口を、底部材の正面下部に位置させたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の炊飯器。
  5. 前記排気口を、底部材の側面下部に位置させたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の炊飯器。
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