JP3600930B2 - ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子および型内発泡成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は圧縮強度等の機械的物性に優れた発泡成形体を製造しうるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子およびこの予備発泡粒子を用いて成形してなる機械的物性に優れた型内発泡成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
予備発泡粒子を型内に充填し、蒸気等の加熱媒体により加熱融着させて得られる型内発泡成形体において、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体は、ポリスチレン系樹脂型内発泡成形体と比較して、耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、圧縮後の回復等に優れている。さらにポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体と比較して、耐熱性、圧縮強度に優れており、緩衝材、自動車部材、建築資材、断熱材等に広く用いられている。一方、自動車バンパー芯材、自動車側突パッド等のような用途では、上記ポリプロピレン系樹脂の一般特性に加えて、さらに優れた剛性(高い圧縮強度)が要求される。
【0003】
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の圧縮強度を改良しようとした場合、型内発泡成形体の発泡倍率を下げるか、コモノマー含量の少ない基材樹脂を用いるのが一般的である。
しかし、型内発泡成形体の発泡倍率を下げることは、重量の増加をまねき、昨今の軽量化要求に逆行するものである。
一方、基材樹脂としてコモノマー含量の少ないポリプロピレン系樹脂を用いると、基材樹脂の融点が高くなるため、例えば、予備発泡粒子を蒸気で加熱融着させて型内発泡成形体とするためには、より高圧(高温)の蒸気を使用しなければならず、エネルギーコスト面で不利になるばかりでなく、成形金型の耐圧性能や成型機の型締圧を向上させる必要があり、設備の大型化、コストアップをまねく。
【0004】
かかる問題を解決するために、▲1▼1−ブテン含量が3〜12重量%であって、結晶潜熱が17〜25cal/gのプロピレン−1−ブテンランダム共重合体を基材樹脂とする嵩密度0.015〜0.09g/cmである予備発泡粒子(特公平7−68402号)、▲2▼融点が153℃以下で、かつビカット軟化点が132℃以上であるプロピレン系ランダム共重合体を基材樹脂とする予備発泡粒子(特開平5−32815号)、▲3▼引張降伏点強度が250〜300kg/cmであり、かつ有機アルミニウム系造核剤を含有するポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする予備発泡粒子(特開平5−179049号)、▲4▼融点(X)〔℃〕、引張弾性率(XTM)〔kg/cm〕、ブテン成分含有率(W)〔重量%〕、エチレン成分含有率(W)〔重量%〕としたとき、205X−XTM≦17800かつ355X−XTM≦39000かつ1≦W+W≦12かつW≦2かつW≧1を満足するプロピレン系ランダム共重合体を基材樹脂とする型内発泡成形体(特開平7−258455号)が提案されている。
しかし、上記▲1▼〜▲4▼では、圧縮強度の改良効果はいまだ十分ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、予備発泡粒子の加熱融着が従来の金型および成型機(いずれも耐圧5.0kg/cm−G)で実施でき、かつ得られた型内発泡成形体が軽量性を損なうことなく高い圧縮強度を有するポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子および型内発泡成形体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究の結果、特定の融点およびMIの範囲を有し、かつ半結晶化時間が特定値以下であるプロピレン系ランダム共重合体を使用することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
融点が149〜157℃、MIが1〜20g/10分であり、かつ半結晶化時間が45秒以下であるエチレン−プロピレンランダム共重合体を基材樹脂とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子(請求項1)、
融点が149〜157℃、MIが1〜20g/10分であり、かつ半結晶化時間が55秒以下であるエチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体を基材樹脂とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子(請求項2)、
融点が149〜157℃、MIが1〜20g/10分であり、かつ半結晶化時間が60秒以下であるプロピレン−1−ブテンランダム共重合体を基材樹脂とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子(請求項3)、
示差走査熱量計によって40℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線において、基材樹脂が本来有していた結晶状態に基づく吸熱ピークの融解熱量(α)〔J/g〕、このピークより高温側に現れる吸熱ピークの融解熱量(β)〔J/g〕が下記条件式(1)を満足する請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子(請求項4)、
【数2】
Figure 0003600930
および、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の少なくとも1種類を用いて成形されてなる密度0.012〜0.090g/cmの型内発泡成形体(請求項5)、
を要旨とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記のように本発明では、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の基材樹脂として、
融点が149〜157℃好ましくは150〜155℃、MI=1〜20g/10分好ましくは3〜15g/10分であって、かつ半結晶化時間が45秒以下好ましくは40秒以下であるエチレン−プロピレンランダム共重合体、
融点が149〜157℃好ましくは150〜155℃、MI=1〜20g/10分好ましくは3〜15g/10分であって、かつ半結晶化時間が55秒以下好ましくは50秒以下であるエチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、
および、
融点が149〜157℃好ましくは150〜155℃、MI=1〜20g/10分好ましくは3〜15g/10分であって、かつ半結晶化時間が60秒以下好ましくは55秒以下であるプロピレン−1−ブテンランダム共重合体
が使用しうる。
これらプロピレン系樹脂は、高立体規則性アイソタクティックポリプロピレンを与える触媒で重合されたものが好ましい。例えば、三酸化チタン、塩化マグネシウム、エチルアルミニウムセスキクロリドやトリメチルアルミニウム等の有機金属化合物、ピリジンや安息香酸メチル等の電子供与体からなる触媒で重合されたものが好ましい。
これらのプロピレン系樹脂は単独で用いても良く、二種以上混合使用してもよい。
【0008】
基材樹脂の融点が149℃未満の場合、他の条件を満足しても十分に高い圧縮強度を有する型内発泡成形体が得られない。また融点が157℃より高くなると従来の金型および成型機(いずれも耐圧5.0kg/cm−G)では十分に融着した型内発泡成形体が得られない。
【0009】
基材樹脂のMIが1g/10分未満の場合、樹脂粒子より予備発泡粒子とする予備発泡工程における発泡効率が低く好ましくない。また、MIが20g/10分を超えると予備発泡粒子の割れが発生しやすくなくため好ましくない。
【0010】
基材樹脂の半結晶化時間は、エチレン−プロピレンランダム共重合体で半結晶化時間が45秒を超える場合、エチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体で半結晶化時間が55秒を超える場合、およびプロピレン−1−ブテンランダム共重合体で半結晶化時間が60秒を超える場合は十分に高い圧縮強度を有する型内発泡成形体が得られない。
【0011】
通常、発泡成形体の圧縮強度の評価方法としては、50%圧縮時の圧縮応力が用いられるが、50%圧縮時には型内発泡成形体内の樹脂部は弾性変形域を越えた変形を受けている。弾性変形域を越えた変形を受けると非晶領域だけでなく、結晶領域の変形或いは破壊が起こると言われており、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の圧縮強度は、基材樹脂の結晶化度に加えて結晶の変形し難さ、言い換えれば結晶の剛性が大きく影響すると考えることができる。
基材樹脂分子鎖の立体規則性が高い、コモノマー成分の分布が均一であるといった場合に結晶化時間は短くなる。このため、半結晶化時間が短い場合、結晶化度が高くなるだけでなく、結晶内の欠陥が減少してより剛性の高い結晶が生成する。このため半結晶化時間が短い場合、高い圧縮強度を与えると推測される。
また、基材樹脂の融点が低くなると、同等の結晶化度を有していても型内発泡成形体の圧縮強度は低くなる。これは、基材樹脂の融点が低い場合、結晶中に欠陥が多く存在するために結晶の剛性が低くなるために、圧縮強度が低下するものと推測される。
【0012】
ここで基材樹脂の融点とは、示差走査熱量計によって試料4〜10mgを40℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後40℃まで10℃/分の速度で冷却し、再度200℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線における吸熱ピークのピーク温度をいう。
【0013】
また基材樹脂のMI値とは、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kg、ダイス径2.095±0.005mmで測定した値である。
【0014】
さらに基材樹脂の半結晶化時間とは、実質的に結晶核剤を含まない基材樹脂の0.1〜0.2mm厚のフィルムをカバーグラスにはさんだ状態で230℃に加熱し10分間保持した後、115.0±0.1℃に保ったシリコーンオイル中に投下し、透過光量の時間変化を測定した時、投下直後の透過光量(時間=0)と結晶化終了後の透過光量の差の1/2の透過光量となるまでの時間(単位:秒)をいい、例えばコタキ製作所製の半結晶化時間測定器MK−801型等を用いて測定できる。
【0015】
結晶核剤とは、不均一核生成を促し、樹脂の結晶化温度を高める化合物であり、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、アジピン酸、ポリシクロペンテン、有機酸アルミニウム塩類である安息香酸アルミニウムやヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸)アルミニウム、ソルビトール誘導体であるビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトールやビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、有機リン酸塩類であるリン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムやリン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウムといったものが挙げられる。これら結晶核剤は結晶化速度を増大させる(結晶化時間を短くする)が、型内発泡成形体の圧縮強度改良効果は小さい。
一般に、これら結晶核剤は不均一核を生成し、結晶化速度を増大させる。つまり、結晶核量を増加させる、或いは基材樹脂分子鎖が折りたたまれて結晶核を生成する(均一核生成)誘導期間を省くことにより、見掛け上、結晶化速度を増大させ(半結晶化時間を短くし、)結晶化度を高くする。しかし、基材樹脂分子鎖の一次構造に違いはなく、結晶自体の剛性の向上は望めない。また、生成する結晶は結晶核剤を添加していない場合に比べてより微細なものになる。そのため、結晶核剤の添加により半結晶化時間が短くなった場合は、結晶化度とほぼ比例関係にある弾性変形域での樹脂物性である引張弾性率や曲げ弾性率等は向上するが、型内発泡成形体の圧縮強度改良効果は小さいと推測される。
【0016】
さらに本発明の予備発泡粒子は、示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線(ただし、試料4〜10mgを40℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温した時のDSC曲線)において、基材樹脂が本来有していた結晶状態に基づく吸熱ピーク(以下、低温ピークと称す。)の融解熱量α(J/g)、低温ピークより高温側に現れる吸熱ピーク(以下、高温ピークと称す。)の融解熱量β(J/g)が0.25≦β/(α+β)≦0.60を満たす、好ましくは0.30≦β/(α+β)≦0.50を満たすことが好ましい。β/(α+β)が0.25未満となると基材樹脂の持つ能力を十分に引き出すことができず十分に高い圧縮強度を有する型内発泡成形体を得られない場合がある。また、β/(α+β)が0.60を超えると成形圧が上昇し、従来の金型および成型機(いずれも耐圧5.0kg/cm−G)では、十分に加熱融着した型内発泡成形体が得られない場合がある。
β/(α+β)が大きくなるほど圧縮強度は高くなる傾向にある。高温ピーク結晶は発泡までの加熱処理により低温ピーク結晶が厚化することにより生成したものである。一般に結晶の厚化は結晶内分子鎖の再配列をともない、厚化後の結晶内の欠陥はより少なくなっていることから、剛性のより高い高温ピーク結晶が多くなる、つまりβ/(α+β)が大きくなると圧縮強度が高くなると推測される。
【0017】
ここで、αおよびβの求め方を図1を用いて説明する。低温ピークに最も近い極小点Aより低温ピークの始まる側に引いた接線とDSC曲線との接点をB、極小点Aより高温ピークの終わる側に引いた接線とDSC曲線との接点をCとする。低温ピーク融解熱量αは線分ABとDSC曲線の囲む面積、高温ピーク融解熱量βは線分ACとDSC曲線の囲む面積より求められる。
【0018】
本発明の予備発泡粒子の基材樹脂としてのポリプロピレン系樹脂中には、シリカ、タルク、カオリン、ゼオライト等の無機フィラー、熱安定剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、顔料を添加することができる。これらの添加量は、発泡粒子のセル径の微細化、不均一化が起こらないように3重量%以下、好ましくは1重量%以下とするほうがよい。
【0019】
これらのポリプロピレン系樹脂は、あらかじめ押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて溶融し、円柱状、楕円柱状、球状、立方体状、直方体状等のような所望の粒子形状で、その粒子の粒重量が0.2〜10mg、好ましくは0.5〜6mgになるように成形加工される。
【0020】
ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を製造する方法に特に限定はなく公知の方法で行えばよいが、例えば、耐圧容器内で基材樹脂のポリプロピレン系樹脂を攪拌しながら水中に分散させ、次いで揮発性発泡剤を供給し、加圧下で所定の発泡温度に加熱した後、該水分散物を耐圧容器内より低圧雰囲気下(通常は大気圧下)に放出する方法が利用されうる。
【0021】
揮発性発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、メチルクロライド、メチレンクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらの発泡剤は単独で用いてもよく、また、二種類以上併用してもよい。また、その使用量に限定はなく、所望の発泡粒子の発泡倍率に応じて適宜使用すれば良く、通常その使用量はポリプロピレン系樹脂100重量部に対して5〜50重量部である。
【0022】
前記水分散物の調製に際しては、分散剤として、例えば第三リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の無機系懸濁剤と、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、n−パラフィンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダ等の懸濁助剤が併用される。これらの中でも第三リン酸カルシウムとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの併用が好ましい。
懸濁剤や懸濁助剤の使用量は、その種類や、用いるポリプロピレン系樹脂の種類と使用量によって異なるが、通常、水100重量部に対して懸濁剤0.2〜3重量部、懸濁助剤0.001〜0.1重量部である。
また、ポリプロピレン系樹脂は、水中での分散性を良好なものにするために、通常、水100重量部に対して20〜100重量部使用するのが好ましい。
【0023】
耐圧容器内に調製されたポリプロピレン系樹脂水分散物に、ガス状あるいは液状の発泡剤が供給され、所定の発泡温度に加熱され、一定時間、通常5〜180分間、好ましくは10〜60分間保持されるとともに、耐圧容器内の圧力は上昇し、発泡剤がポリプロピレン系樹脂に含浸される。この後、所定の発泡圧力になるまで発泡剤が追加供給され、一定時間、通常5〜180分間、好ましくは10〜60分間保持される。かくして、加圧下で加熱されたポリプロピレン系樹脂水分散物を、2〜10mmφの開口オリフィスを通して低圧雰囲気下(通常は大気圧下)に放出することによりポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造することができる。
【0024】
発泡温度は用いるポリプロピレン系樹脂の融点をT℃としたとき、ほぼ(T−20)℃〜(T+5)℃の範囲から決定される。また、発泡圧力は所望の発泡倍率により選択されるが、概ね10〜50kg/cm−Gである。
【0025】
ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の発泡倍率は、通常の場合、3〜60倍、好ましくは5〜40倍の範囲である。この予備発泡粒子の発泡倍率の測定法は下記のとおりである。
十分に乾燥させた発泡粒子の重量(W)〔g〕、エタノール浸漬体積(V)〔cm〕を測定する。これらと基材樹脂密度(d)〔g/cm〕から下式により計算する。
発泡倍率=(V/W)×d
【0026】
本発明の発泡成形体は、上記のようにして得た発泡粒子を用いて型内発泡成形により得られる。発泡粒子を型内発泡成形体にするには、例えば、イ)発泡粒子を無機ガスで加圧処理して粒子内に無機ガスを含浸させ所定の粒子内圧を付与した後、金型に充填し、蒸気等で加熱融着させる方法(特公昭51−22951号)、ロ)発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し粒子の回復力を利用して、蒸気等で加熱融着させる方法(特公昭53−33996号)等の方法が利用しうる。
型内発泡成形体の密度は、0.012〜0.090g/cmの範囲とする。密度が0.012g/cm未満の型内発泡成形体を得ようとした場合、成形時に収縮、変形が起こりやすく、不良品の割合が高くなり生産性が低くなるので好ましくない。型内発泡成形体の密度が0.090g/cmを超えると型内発泡成形体の特徴である軽量性が損なわれるため好ましくない。
【0027】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、これらは何ら本発明を限定するものではない。
【0028】
実施例1〜9及び比較例1〜8
表1に示す融点、MI、及び半結晶化時間をもつプロピレン系ランダム共重合体のペレット(1粒重量約1.8mg)100重量部に対して、水300重量部、第三リン酸カルシウム2.0重量部、n−パラフィンスルホン酸ソーダ0.05重量部、イソブタン9〜12重量部を耐圧容器内に仕込み、攪拌しながら表1記載の発泡温度まで昇温し、20分間保持した後、イソブタンを追加圧入することにより容器内圧を表1記載の発泡圧力に調整し、10分間保持した。その後、イソブタンを圧入しながら温度と容器内圧力を一定に保持しつつ、耐圧容器下部のバブルを開いて水分散物を開口径4mmφのオリフィス板を通して大気圧下に放出して発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の発泡倍率を表1に示す。次に、得られた発泡粒子に空気を含浸させた後、270×290×60mmのブロック金型に充填し、表1に示す水蒸気圧(成形圧力)で加熱することにより成形体を得た。得られた成形体の物性として、成形体の融着率、表面外観、剛性(圧縮強度)を下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0029】
融着率:
成形体の表面にナイフで約5mmの深さのクラックを入れた後、このクラックに沿って成形体を割り、破断面を観測し、粒子の全個数に対する材料破壊した粒子数の割合を求めた。
◎:融着率80%以上
○:融着率60〜80%未満
△:融着率30〜60%未満
×:融着率30%未満
通常、成形体として満足すべき融着率の水準は60%以上である。
【0030】
表面外観:
次の尺度で成形体表面を評価した。
○:表面に凹凸がなく、各粒子間隙もほとんどない。
△:表面に凹凸はないが、各粒子間隙がやや目立つ。
×:表面に凹凸があり、各粒子間隙が極めて大きい。
【0031】
剛性(圧縮強度):
NDS−Z0504に準拠し、50mm×50mm×25mmのテストピースサンプルを10mm/分で圧縮し、50%圧縮時の圧縮応力(20℃)を求めた。
【0032】
【表1】
Figure 0003600930

【図面の簡単な説明】
【図1】発泡粒子についての示差走査熱量計によるDSC曲線であって、基材樹脂が本来有していた結晶状態に基づく吸熱ピーク(低温ピーク)の融解熱量α(J/g)と低温ピークより高温側に現れる吸熱ピーク(高温ピーク)の融解熱量β(J/g)とを求め方を示すものである。

Claims (5)

  1. 融点が149〜157℃、MIが1〜20g/10分であって、かつ半結晶化時間が45秒以下であるエチレン−プロピレンランダム共重合体を基材樹脂とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
  2. 融点が149〜157℃、MIが1〜20g/10分であって、かつ半結晶化時間が55秒以下であるエチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体を基材樹脂とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
  3. 融点が149〜157℃、MIが1〜20g/10分であって、かつ半結晶化時間が60秒以下であるプロピレン−1−ブテンランダム共重合体を基材樹脂とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
  4. 示差走査熱量計によって40℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線において、基材樹脂が本来有していた結晶状態に基づく吸熱ピークの融解熱量(α)〔J/g〕、このピークより高温側に現れる吸熱ピークの融解熱量(β)〔J/g〕が下記条件式(1)を満足する請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
    Figure 0003600930
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の少なくとも1種類を用いて成形されてなる密度0.012〜0.090g/cmの型内発泡成形体。
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