JP3599020B2 - 軒樋の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根材が載置される野地板とこの野地板の軒先部の近傍に下方より鼻板を接続した屋根部に配置する軒樋の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建物の軒先部には軒樋が配置されるものである。まず、建物の軒先部について説明すると、軒先部は図13に示すように、瓦等の屋根材が載置固定される野地板と、野地板の軒先部側端部の近傍に下方より接続される鼻板と、鼻板の下端部に外側端部が接続される軒天井とで主体が構成される。そして、屋根材又は野地板の軒先部側端部の下方に軒樋が配置される。軒樋は、鼻板の上端部付近に軒樋本体支持具を取り付けると共にこの軒樋本体支持具に軒樋本体を取り付けて構成される。
【0003】
このように鼻板に軒樋が取り付けられて形成された軒先部は、下方より見上げると、軒樋と鼻板とが明確に別々に見えて軒先部に一体感がなく、見栄えが悪いという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軒樋と鼻板とが一体感を有して見栄えの良い軒樋の取付構造を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る軒樋の取付構造は、軒先部に配置される軒樋の取付構造であって、鼻板52に軒樋本体支持具1を取り付けると共に該軒樋本体支持具1に軒樋本体2を取り付け、鼻板52の前記軒樋本体支持具1を取り付けた部位の下方にカバー支持具3を取り付けると共に、該カバー支持具3に前記軒樋本体2の外面と鼻板52の下端部とに両端部がそれぞれほぼ連続するカバー部材4を取り付けるものにおいて、軒樋本体2の外面下端部に軒樋側端部が位置すると共に鼻板52の下端部に鼻板52側端部が位置し、軒樋側端部と鼻板52側端部との間に鼻板52側端部から軒樋側端部へ向かう方向にいく程上方に位置する傾斜面部を形成することを特徴とするものである。このような構成とすることで、軒樋本体2とカバー部材4とを一体的に形成することができると共に、カバー部材4と鼻板52とを一体的に形成することができて、下方より見上げる者に軒樋と鼻板52とこれらの間に介在して見えるカバー部材4の全てを一体的に見せることができて、簡単な構成で見る者に強い一体感を与えて見栄えの良い軒樋とすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0008】
まず、建物の軒先部について説明する。建物は、二階建てのように多層階からなるもので、その屋根部の外側端部に軒先部が形成される。軒先部は、図1に示すように、瓦等の屋根材54が載置固定される野地板51と、野地板51の軒先部側端部の近傍に下方より接続される鼻板52と、鼻板52の下端部に外側端部が接続される軒天井53とで主体が構成される。また、屋根材54又は野地板51の軒先部側端部の下方には、屋根材54を流下して屋根材54又は野地板51の軒先部側端部より落下する雨水を受ける軒樋が配置される。
【0009】
軒樋は、軒樋本体2とこの軒樋本体2を軒先部に配設するための軒樋本体支持具1とからなる。
【0010】
軒樋本体2は、図4に示すように、両側の側片である外側片21及び内側片22と底片23とからなる断面が上方に開口した略コ字状のものである。外側片21は本実施形態では、上縦片24と、上縦片24の下端部より内側に連設される中横片25と、中横片25の内側端部より内側斜め下方に連設される下傾斜片26とからなるもので、上縦片24の上端部は内側に折り曲げられると共にその更に先端側で下方に折り曲げられ、先端(即ち下端)には外側(即ち上縦片24本体側)に向けて耳部27aが突設される。また、内側片22の上端にも外側に向けて耳部27bが突設される。これら耳部27a,27bは、断面略ロ字状をしたもので、後述する軒樋本体支持具1に係止される係止部となるものであり、このような軒樋本体2は、屋根材54又は野地板51の軒先部側端部の下方に軒樋本体支持具1によって配置される。
【0011】
軒樋本体支持具1は、図5に示すように、鼻板52に取付けられる取付部11と、取付部11より外側に延設される延設部12と、軒樋本体2を係止するための係止部とで主体が構成される。取付部11は、正面視略正方形状をしたもので、四隅には固着孔14が穿孔してあり、固着孔14にビス等の固着具15を挿通して鼻板52に螺着することで軒樋本体支持具1を鼻板52に取付けるものである。延設部12は、前記取付部11から外側に向かって延設されるもので、本実施形態では複数の棒状又は板状の部材を連結して構成してあるが、特に限定されないものである。そして、延設部12の外側上端部から上方に向けて、外係止片16が突設してある。外係止片16は、上端部を内側に折り曲げて外係止部13bが形成してあり、この外係止部13bにて上記軒樋本体2の外側片21の上縦片24に設けた耳部27aの下面を載置係止するものである。また、取付部11の下部には、内係止部13aが内側に向けて突設してあり、外係止部13bと同様に、内係止部13aにて上記軒樋本体2の内側片22に設けた耳部7bの下面を載置係止するものである。
【0012】
また、軒樋本体支持具1には、本実施形態においては、延設部12の外側下端部より下方に向けて押え片17が突設してあり、押え片17の下端部が上記軒樋本体2の外側片21の中横片25の上面に当接するものである。更に軒樋本体支持具1には、延設部12より内係止部13aに向けて抜止め弾性片が突設してあり、上記軒樋本体2の内側片22の耳部27bを軒樋本体支持具1の内係止部13aに係止する際に、抜止め弾性片を撓ませて耳部27bを挿入することで、耳部27bの係止が外れないようにするものである。
【0013】
このような軒樋本体2及び軒樋本体支持具1は、軒樋本体支持具1の取付部11を鼻板52に固定して取付け、この軒樋本体支持具1の係止部に軒樋本体2の耳部27a,27bを係止して取り付けることで、屋根材54又は野地板51の軒先部側端部の下方に配置するものである。そして、このように配置した軒樋本体2の下側には、カバー部材4を配置するものである。
【0014】
カバー部材4は、図2に示すように、主体となるカバー部41と、カバー耳部42とで構成される。カバー部41は、カバー上縦片43と、カバー上縦片43の下端部より内側斜め下方に連設されるカバー傾斜片44と、カバー傾斜片44の下端部より内側方に連設されるカバー下横片45とで構成される。カバー上縦片43は、配設された時にその上端部(軒樋側端部という)が軒樋本体2の下傾斜片26に連続するように配置されるものであり、カバー下横片45は、配設された時にその鼻板52側端部が鼻板52の下端部とほぼ連続するように配置されるものである。また、カバー傾斜片44は、下から見上げた際に軒樋本体2の下傾斜片26と同じ様な感じに見える傾斜面部となるものである。そして、カバー上縦片43とカバー下横片45とにはそれぞれ、カバー耳部42であるカバー外耳部46とカバー内耳部47とが形成される。
【0015】
カバー外耳部46は、カバー上縦片43の上端部を内側に折り曲げてその先端に下方に向けて突設してあり、カバー内耳部47は、カバー下横片45の内側端部を上方に折り曲げると共にその更に先端(即ち上端)側で内側に折り曲げ、先端に下方に向けて突設してある。これらカバー耳部42は、断面略ロ字状をしたもので、カバー支持具3に係止される係止部となるものであり、このようなカバー部材4は、軒樋本体2の下側に前記カバー支持具3によって配置される。
【0016】
カバー支持具3は、図3に示すように、鼻板52に取付られる取着部31と、取着部31より外側に延設される延出部32と、カバー部材4を係止して保持するための保持部33とで主体が構成される。取着部31は、正面視略長方形状をしたもので、四隅には固着孔34が穿孔してあり、固着孔34にビス等の固着具35を挿通して鼻板52に螺着することでカバー支持具3を鼻板52に取付けるものである。延出部32は、前記取着部31から外側に向かって延設されるもので、本実施形態では二本の棒状又は板状の部材を連結して構成してあるが、特に限定されないものである。そして、延出部32の外側端部には、保持部33が設けてある。保持部33の外面は、カバー部材4のカバー部41の内面に沿った形状をしたもので、保持部33をカバー部41の内面に沿って当接させて、保持部33の両端部をそれぞれカバー部材4のカバー部41とカバー耳部42との間に挿入係止することで、カバー部材4をカバー支持具3に取り付けるものである。
【0017】
また、カバー部材4は、長手方向の両端部で隣接するカバー部材4と接合するのであるが、この接合には内継手式のカバー連結具6を用いるものである。
【0018】
カバー連結具6は、図9に示すように、カバー部材4のカバー部41の内面に沿った形状をしたもので、上記カバー支持具3の保持部33とほぼ同形状をしたものである。このカバー連結具6をそれぞれ端部を突き合わせたカバー部材4の両方の内面に亘って嵌め込むことで、隣接するカバー部材4同士を長手方向に接続することが可能となるものである。
【0019】
このようにして取付けたカバー部材4は、カバー部41の上端部が軒樋本体2の外側片21の下傾斜片26の下端部とほぼ連続すると共に、カバー下横片45の内側端部が鼻板52の下端部とほぼ連続するものであり、このようにすることで、カバー部材4が下側に配置された軒樋本体2を下方より見上げた際、カバー部材4の軒樋側端部と軒樋本体2とがほぼ連続するように配置してあるため軒樋本体2とカバー部材4とが一体的に見えると共に、カバー部材4の鼻板52側端部と鼻板52の下端部とがほぼ連続するように配置してあるためカバー部材4と鼻板52とが一体的に見えるもので、軒樋と鼻板52とこれらの間に介在して見えるカバー部材4の全てを一体的に見せることができて、見る者に一体感を与えて見栄えを良くすることができる。
【0020】
次に、軒樋本体支持具1とカバー支持具3の他例について説明する。
【0021】
図7に示すように、軒樋本体支持具1とカバー支持具3とには、互いに位置決めする位置決め部7が形成してある。これは、本実施形態では、軒樋本体支持具1の取付部11の下端部に下方に向けて凸部7aを突設し、カバー支持具3の取着部31の上端部に前記凸部7aが嵌合される凹部7bを形成し、軒樋本体支持具1の凸部7aとカバー支持具3の凹部7bとを凹凸嵌合することで、軒樋本体支持具1に対するカバー支持具3の取付位置、及びカバー支持具3に対する軒樋本体支持具1の取付位置を位置決めすることが可能となる。このようにすることで、軒樋本体支持具1とカバー支持具3との相対的な距離を一定にすることができ、軒樋本体2とカバー部材4との間に隙間が形成されてしまったりするのを防止できる。
【0022】
またこの時、図10乃至図12に示すように、カバー支持具3は、カバー連結具6を兼用するものであってもよい。このものにあっては、カバー支持具3のカバー部41の保持部33の幅を広く形成してこの部分をカバー連結具6として使用するものである。このカバー連結具6を兼用したカバー支持具3は、隣接するカバー部材4同士の突き合わせ端部に配置されるように鼻板52に取付け、上述した単独のカバー連結具6にてカバー部材4を連結するのと同様に、カバー支持具3の保持部33をそれぞれ端部が突き合わされたカバー部材4の両方に亘って嵌め込むことで、隣接するカバー部材4同士を長手方向に接続することが可能となるものである。
【0023】
このようにすることで、カバー支持具3とカバー連結具6とを別部材にすることによって部材点数が増加してしまうのを防止することが可能となる。
【0024】
またこの時、軒樋本体支持具1の凸部7aとカバー支持具3の凹部7bとにそれぞれ保持手段8を設けてもよい。これは、図8に示すように、凸部7aに先端部に両側に突出する突起部8aを形成し、凹部7bに前記凸部7aの突起部と係合する突起部8bを形成するものである。このようにすることで、凸部7aと凹部7bとを凹凸嵌合して軒樋本体支持具1とカバー支持具3とを取付けた際に、凸部7aに設けた突起部8aと凹部7bに設けた突起部8bとが係合されて抜止めされるものである。
【0025】
また図6に、軒樋を上下長さの短い鼻板52に設けるにあたって、軒樋本体支持具1及び軒樋本体2のみで構成した軒樋を鼻板52に取り付けたものを示す。これは、鼻板52に軒樋本体支持具1を取り付けてこれに軒樋本体2を取り付けた際、軒樋本体2の下端部と鼻板52の下端部とがほぼ同レベルとなって、カバー支持具3及びカバー部材4を設けることなく軒樋と鼻板52とを一体的に形成することができて、下方より見上げる者に一体感を与えて見栄えの良い軒樋とすることができる。
【0026】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、軒先部に配置される軒樋の取付構造であって、鼻板に軒樋本体支持具を取り付けると共に該軒樋本体支持具に軒樋本体を取り付け、鼻板の前記軒樋本体支持具を取り付けた部位の下方にカバー支持具を取り付けると共に、該カバー支持具に前記軒樋本体の外面と鼻板の下端部とに両端部がそれぞれほぼ連続するカバー部材を取り付けるものにおいて、軒樋本体の外面下端部に軒樋側端部が位置すると共に鼻板の下端部に鼻板側端部が位置し、軒樋側端部と鼻板側端部との間に鼻板側端部から軒樋側端部へ向かう方向にいく程上方に位置する傾斜面部を形成したので、軒樋本体とカバー部材とを一体的に形成することができると共に、カバー部材と鼻板とを一体的に形成することができて、下方より見上げる者に軒樋と鼻板とこれらの間に介在して見えるカバー部材の全てを一体的に見せることができて、簡単な構成で見る者に強い一体感を与えて見栄えの良い軒樋とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の側断面図である。
【図2】同上の実施形態におけるカバー部材の側断面図を示す。
【図3】同上の実施形態におけるカバー支持具の側断面図を示し、(a)は側断面図であり、(b)は平面図であり、(c)は背面図である。
【図4】同上の実施形態における軒樋本体の側断面図を示す。
【図5】同上の実施形態における軒樋本体支持具の側断面図を示し、(a)は側断面図であり、(b)は平面図であり、(c)は背面図である。
【図6】上下長さの短い鼻板に軒樋本体及び軒樋本体支持具を取り付けた軒先部の側断面図である。
【図7】位置決め部としての凸部を設けた軒樋本体支持具と位置決め部としての凹部を設けたカバー支持具の斜視図である。
【図8】同上の実施形態において、保持手段としての突起部を凸部に設けた軒樋本体支持具と保持手段としての突起部を凹部に設けたカバー支持具の斜視図である。
【図9】カバー連結具及び該カバー連結具を取り付けるカバー部材と軒樋との斜視図を示す。
【図10】カバー連結具を兼用したカバー支持具の斜視図を示す。
【図11】同上のカバー連結具を兼用したカバー支持具によるカバー部材の連結の説明図である。
【図12】同上のカバー連結具を兼用したカバー支持具の軒先部への設置の説明図である。
【図13】従来の軒樋の説明図である。
【符号の説明】
1 軒樋本体支持具
2 軒樋本体
3 カバー支持具
4 カバー部材
52 鼻板
Claims (1)
- 軒先部に配置される軒樋の取付構造であって、鼻板に軒樋本体支持具を取り付けると共に該軒樋本体支持具に軒樋本体を取り付け、鼻板の前記軒樋本体支持具を取り付けた部位の下方にカバー支持具を取り付けると共に、該カバー支持具に前記軒樋本体の外面と鼻板の下端部とに両端部がそれぞれほぼ連続するカバー部材を取り付けるものにおいて、軒樋本体の外面下端部に軒樋側端部が位置すると共に鼻板の下端部に鼻板側端部が位置し、軒樋側端部と鼻板側端部との間に鼻板側端部から軒樋側端部へ向かう方向にいく程上方に位置する傾斜面部を形成して成ることを特徴とする軒樋の取付構造。
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