JP3595762B2 - シート給送装置及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート給送装置及びこれを備えた画像形成装置に関し、特に先行シートに後続シートの一部を重ねて給送するようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアナログ式の画像形成装置、例えば複写機においては、連続して複写を行う場合、1枚の原稿を読み取った後も、原稿を露光するための光学装置を連続複写枚分往復させなければならず、そのために画像を形成するシートとシートの間隔、つまり紙間が必然的に決まっており、所定の紙間を持ってシート搬送を行うようにしていた。
【0003】
しかしながら近年、画像形成装置がデジタル化されるに従い、原稿の読み取り及びその画像形成がデジタル化されることにより、原稿を1度読み取った後、その画像情報は電気的に符号化され、メモリに貯える事ができるようになっている。
【0004】
そして、画像形成時は、メモリ内の情報を読み出してレーザ光、LEDアレイ等の露光装置によって感光体上に原稿の画像情報に対応する画像を形成するため複数枚の複写においても光学装置などのメカニカルな動きが不要となる。これにより、シートとシートの間隔(紙間)を詰めることができるようになり、短い時間の中で多くのシートを処理することができるようになっている。
【0005】
ここで、このように短い時間の中で多くのシートを処理することができるようにすれば、画像形成のプロセス速度、つまり電子写真画像形成方式における感光体の周速度を上げることなく、実質的な画像形成枚数の増加が図られるようになる。なお、画像形成装置において、シートを極力遅い速度で給送した方が、またプロセス速度を極力遅くして画像形成した方が、画質、耐久性、シート給送の安定性、装置の騒音、装置の消費電力等、様々な面において有利に作用する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の画像形成装置においては、プロセス速度を変えること無く、生産性を更に向上させることが求められている。そして、生産性を上げるため、従来、ゼロに近づくように詰めていた紙間をマイナスにする、即ち重送状態(つまりシートとシートが重なった状態)を形成しながら、シートを給送することのできるシート給送装置が望まれている。
【0007】
ここで、このようなシート給送装置に特に求められることは、先行するシートと次のシートとの重なり量が安定していることと、重ね状態を形成する際に先行するシートの後端と、後続する次のシートの先端が安定して重ねた状態を形成することができるということである。
【0008】
そこで、本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、簡単な構成及び制御で安定した重なり量及び重なり状態を形成しながらシートを給送することのできるシート給送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シートを給送するシート給送手段と、前記シート給送手段により給送されたシートが搬送方向を変えながら通過する湾曲したシート搬送通路と、前記シート給送手段により給送されたシートの先端が前記シート搬送通路と最初に当接する部分に前記シート給送手段によるシート給送方向に窪んだ状態で形成された凹部と、前記凹部により前記シート搬送通路に形成される空間部と、を備え、前記空間部において、給送されたシート先端が前記凹部に当接した後、搬送方向を変えた前記シートの後端部に、次のシートの先端部を重ねるように前記シート給送手段によって前記次のシートを給送することを特徴とするものである。
【0010】
また本発明は、前記湾曲したシート搬送通路を対向するガイド部材により形成すると共に、前記対向するガイド部材の、前記シート給送手段により給送されたシートの先端が最初に当接する部分に前記凹部を形成したことを特徴とするものである。
【0011】
また本発明は、前記空間部にて前記先行シートの後端部と前記次のシートの先端部とが重なるよう、前記先行シート及び前記次のシートを送り出す前記シート給送手段の給送速度を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
また本発明は、前記制御手段は前記先行シートを第1給送速度にて給送し、前記次のシートを、前記空間部にて前記先行シートの後端部と前記次のシートの先端部とが重なるまで前記第1給送速度よりも速い第2給送速度にて給送するよう前記シート給送手段を制御することを特徴とするものである。
【0013】
また本発明は、前記制御手段は、前記空間部にて前記先行シートの後端部と前記次のシートの先端部とが重なった後は、前記次のシートを前記第1給送速度にて給送するよう前記シート給送手段を制御することを特徴とするものである。
【0014】
また本発明は、前記制御手段は前記先行シートの後端部が前記空間部に到達した後、前記次のシートの先端が前記空間部に到達するまで前記先行シートの給送を停止するよう制御することを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、前記シート給送手段により給送されたシートを前記凹部に案内する案内部材を備え、前記先行シートの後端部の前記凹部への移動を早めるよう前記案内部材を移動可能としたことを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。同図において、27は画像形成装置であり、この画像形成装置27はブック原稿及びシート原稿等の画像情報を読み取る画像読取り手段たるスキャナ部38を画像形成装置本体(以下、装置本体という)27Aの上部に配設し、原稿圧板32及び原稿排紙トレイ34を一体に備えた自動原稿給送部33を装置本体上面に開閉可能に配設している。
【0018】
ここで、このスキャナ部38は走査系光源30c、原稿ガラス31a、ミラー台30a、レンズや受光素子を備えた光電変換素子30及び画像処理部IP等を備えている。
【0019】
そして、ブック原稿及びシート原稿等の画像情報を読み取る場合には、原稿ガラス31a上に不図示の本やシートからなる原稿を原稿面下向きに載置した後、原稿圧板32により原稿背面を押圧して静止状態でセットし、後述する図3に示す操作パネル上の読取り開始キーを押すと、ミラー台30aが原稿台ガラス31aの下部を矢印30b方向に走査して原稿面の画像情報を読み取るようになっている。なお、走査系光源30cからの光によって受光素子30で読み取られた原稿の画像情報は画像処理部IPによって処理された後、電気的に符号化されてメモリM内に貯えられるようになっている。
【0020】
一方、同図において、7はスキャナ部38の下方に設けられた画像形成部であり、この画像形成部7は画像形成手段としての感光ドラム9と、感光ドラム9の表面に均一な帯電を施す帯電器9bと、帯電器9bによって帯電された感光ドラム9の表面に所定のタイミングで、メモリMからの画像情報に対応したレーザ光を照射して感光ドラム9上に静電潜像を形成するレーザスキャナ35と、レーザスキャナ35からのレーザ光によって感光ドラム9上に形成された静電潜像を現像して感光ドラム9上にトナー像を形成する現像器7aと、感光ドラム9上のトナー像をシートSに転写するための転写帯電器8と、感光ドラム9上の残留トナーを除去するためのクリーナ9cとを備えている。
【0021】
なお、この画像形成部7の下流側には、トナー像が転写されたシートSを搬送するための搬送部41と、搬送部41によって搬送されたシート上のトナー像を永久画像としてシートSに定着させるための定着器42が設けられている。
【0022】
一方、画像形成部7の下方には、シート支持手段としてのシートカセット29a,29bが装着されており、このシートカセット29a,29b内に積載されたシートSは、シート給送装置28a,28b及び搬送ローラ55により画像形成部7へと給送されるようになっている。
【0023】
そして、このように画像形成部7に給送されたシートSは、転写帯電器8により感光ドラム9上のトナー像が転写され、この後、搬送部41によって定着器42に搬送され、定着器42によりトナー像が永久画像として定着されるようになっている。なお、このようにトナー像が定着された後、このシートSは排出ローラ43により装置本体27Aから排紙トレイ44に排出されるようになっている。
【0024】
ところで、図2は、シートカセット29aに積載されたシートSを給送するシート給送装置28aの構成を示すものである。なお、シートカセット29bに積載されたシートSを給送するシート給送装置28bも同様に構成されている。
【0025】
同図において、10はピックアップローラであり、所望のタイミングでシートカセット29aに積載されたシートSのうちの最上位シートS1に接離可能に構成されている。また、12はフィードローラ、11は所定の戻し力でシートSを給送方向とは逆方向に戻す方向の駆動が伝達可能となっているリタードローラであり、このリタードローラ対11,12によってシートSを1枚ずつ分離して給送することができるように構成されている。
【0026】
そして、このようなピックアップローラ10及びリタードローラ対11,12により、シートカセット29aに積載された多数のシートSを連続的に1枚ずつ分離して画像形成部7へ給送することができるようになっている。なお、本発明の実施形態において、シート給送手段はピックアップローラ10、フィードローラ12、リタードローラ11を有するものであるが、本願発明はこの構成に限定されるものではなく、リタードローラ対11、12の代わりに分離爪などを有する構成であってもよい。
【0027】
また、ピックアップローラ10、リタードローラ11、フィードローラ12は図3に示す駆動手段であるステッピングモータM1により第1給送速度である画像形成速度V1又は画像形成速度V1よりも早い第2給送速度(以下、重ね合わせ速度という)V2の少なくとも2速でシートSを給送可能なように構成されている。
【0028】
一方、リタードローラ対11,12のシート給送方向下流には、シートSの先端ならびに後端を検知するための、シート検知センサ72が配置されている。ここで、このシート検知センサ72からの検知信号は、図3に示すように制御手段である制御装置60に入力されるようになっており、制御装置60は、このシート検知センサ72からの検知信号に基づいてステッピングモータM1の回転速度を制御し、シートSの給送速度を制御するようにしている。
【0029】
即ち、給送されたシートS1の後端がシート検知センサ72を通過したことをシート検知センサ72からの検知信号により検知すると、ステッピングモータM1の回転速度を増加させて次のシートS2を、重ね合わせ速度V2で給送するようにしている。そして、このように次のシートS2を、重ね合わせ速度V2で給送することにより、先行しているシートS1の後端部と次のシートS2の先端部とが重なるようにしている。
【0030】
なお、本実施の形態では、シートを1枚に分離する方式としてリタード分離方式を採用しているわけであるが、本実施の形態に示したシートの重ね方法を用いることで、リタードローラ対11,12をシートが通過する際は、1枚づつ給送させ、リタードローラ対11,12を紙間を空けて通過した後のシートを重ねるように構成したため、シートを1枚に分離する動作に不具合は生じない。
【0031】
ところで、図2において、51、53はシート給送装置28aにより給送されたシートSを、向きを変えて画像形成部7へ導くためのガイド手段を構成したシート搬送通路Rを形成する対向した第1及び第2搬送ガイドであり、シートカセット29aから離れた位置にある第2搬送ガイド53には、シート給送方向に向けて窪んだ凹部53aが形成されている。また、同図において、52はシート給送装置28aにより給送されたシートSを、第2搬送ガイド53の凹部53aに向かうようにガイド(案内)する案内部材である下ガイド部材である。
【0032】
そして、このように第2搬送ガイド53に凹部53aを形成すると共に、シートSをガイドする下ガイド部材52を設けることにより、シート給送装置28aにより給送されたシートS1は第2搬送ガイド53の凹部53aに当接し、さらにこの後、凹部53aに沿って画像形成部7に向かうようになる。
【0033】
ここで、このように凹部53aに沿って画像形成部7に向かうようになると、シートS1は撓みながら給送されるようになり、やがて後端が下ガイド部材52の先端を通過すると、シートS1の剛性によりシートS1の後端は凹部53aの点bに向って移動するようになる。この結果、シートS1は撓みのない状態で画像形成部7に向かうようになる。
【0034】
したがって、この後、次のシートS2を重ね合わせ速度V2で給送すると、第1搬送ガイド51と、第2搬送ガイド53の凹部53aとで形成される空間部33において、先行シートS1の後端部に次のシートS2の先端部が重なるようになる。
【0035】
なお、同図において、71は空間部33のシート給送方向下流に設けられたシート搬送手段である搬送ローラ対であり、この搬送ローラ対71は、図3に示す駆動手段である駆動モータM2により駆動され、シートを画像形成速度V1で搬送するようになっている。
【0036】
次に、このように構成されたシート給送装置28aのシート給送動作について説明する。
【0037】
図4は、シート給送装置28aのシート給送におけるダイアグラムであり、同図において、縦軸は距離、横軸は時間を示しており、シートの給送速度はダイアグラム上では傾きとして表現できる。
【0038】
まず操作パネル61(図3参照)の読取り開始キーが押されると、制御装置60は所定のタイミングでステッピングモータM1を駆動してピックアップローラ10及びフィードローラ12を回転させ、画像形成速度V1にて1枚目のシートS1の給送を行う。
【0039】
そして、このように画像形成速度V1にて送り出された1枚目のシートS1は下ガイド52によりガイドされ、先端が図5の(a)に示すように下ガイド52の先端を通過し、やがて第2搬送ガイド53のa部に到達し、この後、同図の(b)に示すように第2搬送ガイド53に案内されて、搬送ローラ71へと送り込まれる。
【0040】
一方、このように先端が搬送ローラ71へと送り込まれた後、シートS1の給送がさらに継続され、やがて1枚目のシートS1の後端がシート検知センサ72を通過すると、これを検知したシート検知センサ72は検知信号を制御装置60に入力するようになる。なお、この後、シートS1の後端は、下ガイド52の先端を通過し、シートS1の剛性によって、第2搬送ガイド53のb位置へ移動し、その後、第2搬送ガイド53に沿う様にして給送される。
【0041】
一方、シート検知センサ72から後端検知信号が入力されると、制御装置60はステッピングモータM1の回転数を増加し、図6の(a)に示すようにピックアップローラ10及びフィードローラ12により、2枚目のシートS2を重ね合わせ速度V2にて給送する。
【0042】
ここで、このように2枚目のシートS2を、重ね合わせ速度V2で給送すると同図の(b)に示すように空間部33において、1枚目のシートS1の後端部に2枚目のシートS2の先端部が重なるようになる。
【0043】
そして、このように1枚目のシートS1の後端部と2枚目のシートS2の先端部が重なるようにすることにより、重送状態を形成することができるようになる。
【0044】
なお、このように1枚目のシートS1の後端部に2枚目のシートS2の先端部が重なった後、多少の重送状態を維持するよう図4に示すように所定時間t1後に2枚目のシートS2の給送速度を画像形成速度V1に減速する。ここで、この所定時間t1は重ね量をX、シートカセット29aのシート先端位置からシート検センサ72までの距離をL1とすると、次式で表すことができる。
【0045】
t1=(L1+X)/(V2−V1) ・・・(式1)
【0046】
このように2枚目のシートS2の給送を開始してから所定時間t1後に2枚目のシートS2の給送速度を画像形成速度V1に減速することにより、また以下同様に3枚目のシートS3、4枚目のシートS4の給送動作を行うようにすれば、所望の重なり量Xを持って、安定してシートを画像形成部7に給送することができる。これにより、プロセス速度を変えること無く、単位時間内に画像形成部7を通過するシート枚数を増加させ、生産性を向上させることができる。
【0047】
ところで、このように空間部33において、先行したシートS1の後端を後続するシートS2の先端が安定して重ねるための条件としては、先行するシートS1の後端が図2においてaで示す位置、即ち給送されたシートSの先端が第2搬送ガイド53に最初に当接する位置に到達する前に、シートS2の先端をシートS1の後端に重ねなければならない。
【0048】
従って、シート後端が下ガイド52先端を通過し、第2搬送ガイド53に最初に当接する位置をb、ab間の距離をL2、シートカセット29a先端からa位置までの距離をL3とすると、後続シートS2の先端が先行シートS1の後端に安定して重ねるための条件は、
L3/V2<L2/V1 ・・・(式2)
となる。
【0049】
したがって、上記式2を満足するように第2搬送ガイド53や下ガイド52の形状及び重ね合わせ速度V2を選択すれば、先行シート後端のエッジと後続シート先端エッジとが衝突することなく、安定して所望の重なり量Xを持った状態を形成しつつシートを画像形成部7に向けて給送することができる。
【0050】
なお、本実施の形態においては、後続シートS2の給送開始タイミングを、先行シートS1の後端をシート検知センサ72が検知したタイミングとしたが、本発明はこれに限らず、シートカセット29a内に収容されているシートのサイズがシートサイズ検知手段等によって、予め判別できている場合はタイマを用い、先行シートの給送を開始した後、タイマからの計時情報に基づき後続シートの給送開始タイミングを決定するようにしても良い。
【0051】
そして、このような制御を行うようにすれば、先行シート後端がシート検知センサ72に到達する前に後続シートの給送を開始させることができるようになり、後続シートの給送開始を早めることができる。これによって、後続シート先端からa位置までの距離L3を実質的に短縮することができ、これにより重ね合わせ速度V2と画像形成速度V1との差を小さくすることができるようになる。この結果、速度制御がより簡単になり、安定した重ね状態を形成することができるようになる。
【0052】
また、後続シートの変速タイミングに関しては、後続シートの給送を開始してから所定時間t1後とする場合について説明したが、本発明はこれに限らず、後続シートの先端をシート検知センサ72が検知してから所定時間後としても良い。
【0053】
なお、本発明ではシートの重なる向きを画像形成部7において後続するシートS2が先行するシートS1に対して感光ドラム9と対向する位置となるように、つまり、転写位置においてシートS2の先端と感光ドラム9との間にシートS1の後端が挟持されている状態となるようにシート給送装置28で向きを変えている。これは本発明の実施の形態の複写機がシート給送方向をUターンさせて画像形成部7にシートを搬送させる搬送経路を有する装置となっているからである。
【0054】
転写位置においてシートS2の先端と感光ドラム9との間にシートS1の後端が挟持されている状態とする理由については、転写後のシートの分離という課題が存在することが挙げられる。
【0055】
シートは転写帯電器8によって感光ドラム9に接触することでトナー像が転写されるわけであるが、シート先端を感光ドラム9から剥がす処理を行なわなければシートは感光ドラム9に巻きついてしまう。そこで、通常はシートを剥がすための分離帯電器や分離爪等を設置し、シート先端を感光ドラム9から剥がしていた。
【0056】
しかし本発明のように、シートを重ねた状態で転写部に搬送する装置において、上述したように転写位置においてシートS2の先端と感光ドラム9との間にシートS1の後端が挟持されている位置関係とし、先行するシートS1が感光ドラム9から剥がれさえすれば、シートS2はシートS1の後端が剥がれた際の作用を受けて自然と感光ドラム9から剥離させることが可能となる。よって従来の分離機構を必要としなくなるため、装置のコストダウンや感光ドラム9の長寿命化に大きく貢献することができる。
【0057】
なお、シートの重ねる向きは、画像形成部におけるシート搬送方向とシート給送方向との関係によって決定される。つまり、シート給送方向と画像形成部におけるシート搬送方向が同一方向または、シート給送方向に対して垂直方向であれば、先行するシートS1と次のシートS2の重なる向きを変えずに送り出せばよい。換言すれば、シートカセットに支持されている順序で上から送りだせば転写位置において、シートS2の先端と感光ドラム9との間にシートS1の後端が挟持されている位置関係とすることができる。
【0058】
ところで、これまでの説明において、2枚のシートを重ねるよう異なる2つのシート給送速度によりシートを給送する場合について述べてきたが、本発明はこれに限らず、2枚目のシートを給送する際、1枚目のシートを停止させることによっても2枚のシートを重ねることができる。
【0059】
次に、このような本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0060】
図7は、本実施の形態に係るシート給送装置の構成を示す図であり、同図において図5と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0061】
同図において、71Aは搬送ローラ対であり、この搬送ローラ対71Aは制御装置60により制御される不図示のクラッチにより選択的に画像形成速度V1にて回転するようになっている。
【0062】
そして、このような構成のシート給送装置においては、図7の(a)で示すように1枚目のシートS1を画像形成速度V1で給送し、やがて、このシートS1の後端が同図の(b)に示すように下ガイド52の先端を通過し、シートS1のコシによって第2搬送ガイド53のb位置へ移動し、その後、第2搬送ガイド53にならうようにして給送される。
【0063】
一方、このシートS1の後端を検知したシート検知センサ72から後端検知信号が入力されると、制御装置60はクラッチを制御して搬送ローラ対71の回転を停止させると共に、図8の(a)に示すようにピックアップローラ10及びフィードローラ12により、2枚目のシートS2を画像形成速度V1にて給送する。
【0064】
そして、このように2枚目のシートS2を画像形成速度V1で給送すると、2枚目のシートS2と、先行している1枚目のシートS1の向きは異なり、また1枚目のシートS1は停止しているので空間部33において、同図の(b)に示すように1枚目のシートS1の後端部に2枚目のシートS2の先端部が重なるようになる。なお、このように所望の重なり量が形成されたタイミングで1枚目のシートS1の給送を再開させることにより、所望の重なり量Xを持ってシートS1,S2を安定して給送することができる。
【0065】
このように、先行シートS1の後端がa〜b間に位置したタイミングで先行シートS1を一旦停止させると共に後続シートS2の給送を画像形成速度V1で開始させ、さらに所望の重なり量が形成されたタイミングで先行シートS1の給送を再開させるようにしても先行シートS1の後端と後続シートS2の先端が衝突することなく、安定して所望の重なり量Xを持った状態を形成し、シートS1,S2を給送することができる。
【0066】
また、このように構成することによりピックアップローラ10、フィードローラ対11の給送速度は画像形成速度V1のみでよく、さらに構成及び制御を簡略化させることができる。
【0067】
ところで、これまでの説明において、下ガイド52は固定されたものとして述べてきたが、本発明はこれに限らず下ガイド52を移動可能に構成しても良い。
【0068】
図9は、このような本発明の第3の実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図である。なお、同図において、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0069】
同図において、52Aは下ガイドであり、この下ガイド52Aは、先行したシート先端が給送方向下流側の搬送ローラ対71に挟持された後、既述した制御装置60により制御される不図示のソレノイド等により、所定のタイミングで同図の破線で示すように凹部53aの方向に移動するようになっている。
【0070】
そして、このように下ガイド52Aを移動させることにより、先行シートの後端部の凹部53aへの移動のタイミングを早めることができるので、先行シートの後端が最初に第2搬送ガイド53に当接する位置bを、より給送方向上流側の位置b’ヘシフトさせることができる。これにより、ab’間の距離L2を増加させることができ、より一層安定したシート重ねを達成することができる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のように、シート搬送通路に空間部を形成すると共に、この空間部において先行シートの後端部に、次に給送されたシートの先端部を重ねるようにすることにより、簡単な構成及び制御で安定した重なり量及び重なり状態を形成しながらシートを給送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の構成を示す図。
【図2】上記シート給送装置の構成を説明する図。
【図3】上記シート給送装置の制御ブロック図。
【図4】上記シート給送装置のダイアグラム。
【図5】上記シート給送装置のシート給送動作の一部を示す図。
【図6】上記シート給送装置のシート給送動作の他の部分を示す図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置のシート給送動作の一部を示す図。
【図8】上記シート給送装置のシート給送動作の他の部分を示す図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るシート給送装置の構成を示す図。
【符号の説明】
7 画像形成部(画像形成手段)
10 ピックアップローラ(シート給送手段)
12 フィードローラ(シート給送手段)
27 画像形成装置
28a,28b シート給送装置
29a,29b シートカセット(シート支持手段)
33 空間部
51 第1搬送ガイド(ガイド部)
52 下ガイド部材
53 第2搬送ガイド(ガイド部)
53a 凹部
60 制御装置(制御手段)
71,71A 搬送ローラ対
72 シート検知センサ
M1 ステッピングモータ
R シート搬送通路
S シート
Claims (11)
- シートを給送するシート給送手段と、
前記シート給送手段により給送されたシートが搬送方向を変えながら通過する湾曲したシート搬送通路と、
前記シート給送手段により給送されたシートの先端が前記シート搬送通路と最初に当接する部分に前記シート給送手段によるシート給送方向に窪んだ状態で形成された凹部と、
前記凹部により前記シート搬送通路に形成される空間部と、
を備え、
前記空間部において、給送されたシート先端が前記凹部に当接した後、搬送方向を変えた前記シートの後端部に、次のシートの先端部を重ねるように前記シート給送手段によって前記次のシートを給送することを特徴とするシート給送装置。 - 前記湾曲したシート搬送通路を対向するガイド部材により形成すると共に、前記対向するガイド部材の、前記シート給送手段により給送されたシートの先端が最初に当接する部分に前記凹部を形成したことを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
- 前記空間部にて前記先行シートの後端部と前記次のシートの先端部とが重なるよう、前記先行シート及び前記次のシートを送り出す前記シート給送手段の給送速度を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のシート給送装置。
- 前記制御手段は前記先行シートを第1給送速度にて給送し、前記次のシートを、前記空間部にて前記先行シートの後端部と前記次のシートの先端部とが重なるまで前記第1給送速度よりも速い第2給送速度にて給送するよう前記シート給送手段を制御することを特徴とする請求項3記載のシート給送装置。
- 前記制御手段は、前記空間部にて前記先行シートの後端部と前記次のシートの先端部とが重なった後は、前記次のシートを前記第1給送速度にて給送するよう前記シート給送手段を制御することを特徴とする請求項4記載のシート給送装置。
- 前記制御手段は前記先行シートの後端部が前記空間部に到達した後、前記次のシートの先端が前記空間部に到達するまで前記先行シートの給送を停止するよう制御することを特徴とする請求項3記載のシート給送装置。
- 前記シート給送手段により給送されたシートを前記凹部に案内する案内部材を備え、
前記先行シートの後端部の前記凹部への移動を早めるよう前記案内部材を移動可能としたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のシート給送装置。 - シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部にシートを給送するシート給送装置とを備えた画像形成装置において、
前記シート給送装置は請求項1乃至7のいずれかに記載のものであることを特徴とする画像形成装置。 - シートを複数枚支持可能なシート支持手段と、
前記シート支持手段に支持されたシートを送り出すシート給送手段と、
前記シート給送手段によって給送されたシートをガイドするガイド部と、
前記シート給送手段によって送り出され、前記ガイド部によってガイドされて搬送されたシートに画像を形成する画像形成手段と、を有する画像形成装置において、
前記ガイド部の、前記シート給送手段によって給送されたシートの先端が当接する位置にシート給送方向に窪んだ凹部を形成し、前記シート給送手段は、前記ガイド部の前記凹部に当接して搬送方向を変えた先行するシートの後端に対して、次のシートの先端を重ねるように送り出すことが可能であり、前記画像形成手段の位置において、前記先行するシートの後端に重なった前記次のシートの先端は、前記先行するシートの後端に対して前記画像形成手段の反対側に位置することを特徴とする画像形成装置。 - 前記画像形成手段は、感光体に形成された静電潜像に基づいて形成されたトナー像をシート面に転写させる電子写真方式を用いることを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
- 前記先行シートの後端部と前記次のシートの先端部とが重なるよう、前記先行シート及び前記次のシートを送り出す前記シート給送手段の給送速度を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
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