JP3595697B2 - 油圧ブースタ装置の作動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、往復作動型の油圧ブースタにより作られる高圧作動油圧を単動油圧アクチュエータに供給して単動油圧アクチュエータを作動させる油圧ブースタ装置において、その作動制御を行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から用いられている油圧ブースタ装置としては、図5に示すものがある。なお、この装置の機械的な構成は本発明の油圧ブースタ装置の構成と共通するため、共通構成については本発明の実施形態に用いる番号と同一の番号を付して説明する。この油圧ブースタ装置は、作動油を供給する油圧ポンプPと、装置の作動を制御する切換バルブ40と、ブースタ機構30とを有してなり、単動アクチュエータ機構を有したクランプ工具80への超高圧作動油の給排を制御して、このクランプ工具80の作動制御を行う。
【0003】
クランプ工具80を使用するときには、切換バルブ40の左ソレノイド41を励磁してこれを右動させ、油圧ポンプPから吐出されてレギュレータバルブ45により調圧された低圧作動油をブースタ機構30の左シリンダ室32に供給させる。これにより複動ピストン31はその右端に位置するブースタピストン31aとともに右動し、ブースタシリンダ室34から超高圧作動油をクランプ工具80の作動シリンダ室81に供給する。これにより作動ピストン82が右動されて移動クランプ84が固定クランプ85に近づく方向に移動し、対象物のクランプを開始する。
【0004】
複動ピストン31が右ストロークエンドまで移動するとこれに繋がる複動制御バルブ38が切り替わり、油圧ポンプPからの作動油が右シリンダ室33にも供給される。ここで右シリンダ室33の受圧面積は左シリンダ室32の受圧面積より大きく(ピストンロッド部の径の差により受圧面積が異なるため)、この差により複動ピストン31は今度は左動される。このとき、ブースタピストン31aも一緒に左動され、チェックバルブ35a,35b,50の作用により作動シリンダ室81に超高圧を閉じこめたまま、ブースタシリンダ室34に作動油が供給される。
【0005】
複動ピストン31が左ストロークエンドまで移動すると複動制御バルブ38が切り替わり、作動油が左シリンダ室32に供給されたまま、右シリンダ室33は複動制御バルブ38を介してドレンに繋がる。このため、複動ピストン31は右動される。以下、このようにして複動ピストン31が連続的に往復動されて、クランプ工具80によりクランプ作動がなされる。
【0006】
このようなクランプ作動において、作動シリンダ室81内の油圧が所定高圧に達してクランプ力が所定値に達すると、リリーフバルブ55が開放され、この所定高圧を受けて圧力スイッチ57が作動し、切換バルブ40の右ソレノイド42が励磁される(同時に左ソレノイド41は消磁される)。これにより切換バルブ40は左動され、油圧ポンプPからの作動油はパイロット油路51を介してパイロット式ドレンバルブ50に作用してこれを開放し、作動シリンダ室81の作動油がこのドレンバルブ50からドレン油路53を通ってドレンに放出される。このため移動クランプ84は戻しスプリング83の力を受けて左動され、元の位置に戻される。このように移動クランプ84が元の位置に戻った時点で切換バルブ40は中立に戻されて、作業が完了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ドレンバルブ50を介して作動シリンダ室81の作動油を放出させるのは戻しスプリング83の力のみであり、作動油の放出にある程度の時間が必要である。しかも、この時間はドレン油路53を流れる放出作動油の流れ抵抗(管路抵抗)の影響を受けて変動する。なお、この流れ抵抗は放出作動油温や、ドレン油路の揚程等に応じて変動する。このため、ドレンバルブ50を開放してから移動クランプ84が元の位置に戻るまでの時間が変動し、切換バルブ40を中立位置に戻す時間の設定が難しいという問題がある。
【0008】
例えば、油温が比較的高い場合のように流れ抵抗が小さな状態で移動クランプ84が元の位置に戻る時間に基づいて中立位置に戻すまでの時間設定を行うと、油温が低くて流れ抵抗が大きな場合にはこの設定時間が短すぎて移動クランプ84が戻りきらないうちに切換バルブ40が中立位置に切り換えられるという問題が発生する。
【0009】
一方、油温が低温の状態で移動クランプ84が元の位置に戻る時間に基づいて時間設定を行うと、油温が高いときには移動クランプ84が元の位置に戻った後もしばらくは切換バルブ40は戻し位置に保持され、ドレンバルブ50にパイロット圧を供給し続けることになる。このため、切換バルブ40のソレノイド42への通電時間が不必要に長くなって無駄な電力消費が発生し、パイロット圧の供給時間も不必要に長くなってこのパイロット圧を発生するために無駄なエネルギー消費が発生するという問題がある。特に、油圧ブースタ装置をバッテリからの電力により駆動する構成の場合に、このような無駄なエネルギー消費はバッテリの電力消費を増大させるという問題に繋がるおそれがある。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑み、単動油圧アクチュエータに作動油を供給してこれを作動させた後、ドレンバルブを開放して作動油を排出させて単動油圧アクチュエータを元に戻す作動を行わせるときに、単動油圧アクチュエータの戻りに正確に対応して切換バルブを中立位置に切り換えることができるような構成の油圧ブースタ装置の作動制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明においては、一次側供給路から供給される低圧作動油圧を増幅して二次側供給路に高圧作動油圧を発生させる油圧ブースタ(例えば、実施形態のブースタ機構30)と、一次側供給路に低圧作動油圧を供給する油圧供給源(例えば、実施形態の油圧ポンプP)と、二次側供給路に接続された作動油室内に高圧作動油圧を供給させてピストンを押圧作動させるとともに付勢部材により押圧作動方向と逆方向にピストンを付勢する構成の単動油圧アクチュエータと、パイロットポートに低圧作動油圧を受けたときに開放されて二次側供給路をドレンに連通させるドレンバルブ(例えば、実施形態のパイロットチェックバルブから構成され)と、油圧供給源、一次側供給路、ドレンバルブのパイロットポートおよびドレン間の接続切換を行う切換バルブと、二次側供給路内の油圧を検出する油圧検出手段と、二次側供給路内の作動油温を検出する油温検出手段とを有して油圧ブースタ装置が構成される。切換バルブは、油圧供給源を一次側供給路に接続させるとともにパイロットポートをドレンに連通させる作動位置と、油圧供給源をパイロットポートに接続させるとともに一次側供給路を閉塞もしくはドレンに連通させる戻し位置と、油圧供給源からの低圧作動油圧供給を遮断する中立位置とに切換可能である。そして、切換バルブを作動位置に切り換えて油圧ブースタから二次側供給路を介して作動油室に高圧作動油圧を供給して単動油圧アクチュエータを作動させたときに、油圧検出手段により検出された油圧が所定高圧に達したときに切換バルブを戻し位置に切り換え、その後、油温検出手段により検出された作動油温に対応して設定されたドレン時間の経過後に切換バルブを中立位置に切り換える制御を行う。
【0012】
このような構成の油圧ブースタ装置の作動制御装置を用いれば、切換バルブを作動位置に切り換えると油圧供給源から一次側供給路を介して油圧ブースタに低圧作動油圧が供給され、油圧ブースタから二次側供給路を介して単動油圧アクチュエータの作動油室に高圧作動油圧が供給され、単動油圧アクチュエータの作動が開始される。そして、二次側供給路の油圧すなわち作動油室の油圧が所定高圧に達したとき(このとき単動油圧アクチュエータの作動力が所定値に達する)、これが油圧検出手段により検出されて切換バルブが戻し位置に切り換えられる。これに応じて、低圧作動油圧がドレンバルブのパイロットポートに供給されてドレンバルブが開放され、二次側供給路の作動油すなわち作動油室内の作動油がドレン側に排出される。
【0013】
この排出は単動油圧アクチュエータの付勢部材の付勢によりなされるが、この排出により単動油圧アクチュエータのピストンが元の位置(作動開始位置)に戻る時間(ドレン時間)は、このように排出(ドレン)される作動油の油温(具体的には、油温に応じて変化する作動油の粘度)に応じて異なる。このため、作動油温に対応して適切となるドレン時間が予め設定されており、油温検出手段により検出された二次側供給路内の作動油温に対応するドレン時間を設定し、この設定ドレン時間が経過したときに切換バルブは中立位置に戻される。
【0014】
このように本発明の装置では油温に応じてドレン時間を設定しているので、どのような油温の場合でも単動油圧アクチュエータが作動開始位置に戻るに必要で且つほぼ最小の時間経過の後に切換バルブが中立位置に戻される。このため、単動油圧アクチュエータが作動開始位置に戻る前に切換バルブが中立位置に戻されるという問題は無くなり、さらに、作動開始位置に戻ると直ぐに切換バルブが中立位置に戻されて無駄なエネルギー消費が防止される。
【0015】
なお、二次側供給路からドレンバルブを介してドレンに至るドレン油路と、このドレン油路の揚程を検出する揚程検出手段とを設け、ドレン時間を揚程検出手段により検出された揚程に応じて補正するのが好ましい。ドレン油路の揚程が異なると作動油の排出時間も変化するため、具体的には、揚程が大きいほど(二次側供給油路および作動油室がドレンタンクより高所にあり、両者の高さの差すなわち揚程が大きいほど)排出時間は短くなるように変化するため、このような揚程の影響を加味してドレン時間を設定すれば、切換バルブを中立位置に切り換えるタイミング(ドレン時間)をより適切に設定ことができる。
【0016】
本発明に係る油圧ブースタ装置の作動制御装置を、油圧ブースタと、一次側供給路に低圧作動油圧を供給する油圧供給源と、単動油圧アクチュエータと、二次側供給路をドレンに連通させるドレンバルブと、切換バルブと、二次側供給路内の油圧を検出する油圧検出手段とを有して構成しても良い。この場合、切換バルブは作動位置、戻し位置および中立位置とに切換可能であり、切換バルブを作動位置に切り換えて油圧ブースタから二次側供給路を介して作動油室に高圧作動油圧を供給して単動油圧アクチュエータを作動させたときに、油圧検出手段により検出された油圧が所定高圧に達したときに切換バルブを戻し位置に切り換え、その後、所定のドレン時間の経過後に切換バルブを中立位置に切り換える制御を行う。この装置ではさらに、油圧供給源が、バッテリから電力供給を受けて駆動される電動モータと、この電動モータにより駆動される油圧ポンプとから構成され、切換バルブが中立位置にあるときにはバッテリによる前記電動モータへの電力供給を停止させる。これにより、バッテリの電力消費を抑制し、バッテリ充電までの時間間隔を長くして、充電回数を低減することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、図2に本発明に係る油圧ブースタ装置の作動制御装置を備えた高所作業車10を示している。この高所作業車10は、車体11の上に旋回自在な旋回台12を有し、旋回台12に起伏自在にブーム13が取り付けられ、このブーム13の先端に作業者が搭乗する作業台17が取り付けられて構成されている。車体11には、旋回台12を水平旋回駆動するための旋回用油圧モータ14と、ブーム13を起伏作動させるための起伏用油圧シリンダ15と、ブーム13を伸縮作動させるための伸縮用油圧シリンダ16とが設けられている。
【0018】
また、作業台17には操作ボックス26内に油圧ブースタ装置が搭載され、この油圧ブースタ装置から供給される高圧作動油圧を受けて作動されるクランプ装置80が取り付けられている。この油圧ブースタ装置は、車体11に搭載された油圧ポンプPから供給される油圧により作動され、油圧ポンプPは電動モータMにより駆動される。電動モータMは車体11の下部に搭載されたバッテリ70から供給される電力を受けて駆動される。なお、クランプ装置80は作業台17に着脱可能であり、クランプ装置80に変えて別の工具に交換することが可能となっている。
【0019】
本発明に係る油圧ブースタ装置の作動制御装置を図1に示しており、図5に示した従来の装置と同一構成部分には同一番号を付している。なおこの装置において、請求の範囲の単動油圧アクチュエータを用いてクランプ装置80が構成されており、このクランプ装置80への超高圧作動油の給排制御が油圧ブースタ装置により行われる。この油圧ブースタ装置は、作動油を供給する油圧ポンプPと、油圧ブースタ装置の作動を制御する(作動モードと戻しモードと中立モードとの切換を行う)切換バルブ40と、ブースタ機構30とを基本構成とし、これにドレンバルブ50、リリーフバルブ55、圧力スイッチ57、複数のチェックバルブ31〜34等が図示のように配設されて構成される。
【0020】
上述のように油圧ポンプPは電動モータMにより駆動されるが、電動モータMはバッテリ70からモータコントローラ71を介して供給される電力を受けて駆動される。油圧ポンプPはタンクT内の作動油を吸引吐出して油路4を通って切換バルブ40に供給する。なお、この供給作動油圧はレギュレータバルブ45により調圧され、低圧作動油圧を有する。切換バルブ40は左右のソレノイド41,42が選択的に励磁されて作動され、左ソレノイド41に押されて右動された作動位置と、右ソレノイド42に押されて左動した戻し位置と、両ソレノイド41,42がオフとなって中央に位置した中立位置(図1の位置)とに位置する。
【0021】
ブースタ機構30は、左右シリンダ室32,33への作動油の供給を受けて往復動される複動ピストン31と、この複動ピストン31に一体に繋がったブースタピストン31aと、複動ピストン31に連結されてこれと連動する複動制御バルブ38とから構成される。なお、ブースタピストン31aはブースタシリンダ室34内で往復作動される。左シリンダ室32は一次側供給路1を介して切換バルブ40と繋がり、右シリンダ室33は油路5bを介して複動制御バルブ38に図示のように繋がる。
【0022】
ブースタシリンダ室34は第1チェックバルブ35aを有する二次側供給路2を介してクランプ装置80の作動シリンダ室(作動油室)81に繋がり、さらに、第2チェックバルブ35bを有する油路5dを介して一次側供給1にも繋がる。二次側供給路2にはドレンバルブ50を介してドレン油路3が繋がっており、ドレン油路3はタンクTに繋がる。ドレンバルブ50はパイロットポート51aを有し、このパイロットポート51aには切換バルブ40に繋がったパイロット油路51が繋がる。パイロット油路51を介してパイロットポート51aに低圧作動油圧が作用するとドレンバルブ50は開放されて二次側供給路2をドレン油路3に連通させる。二次側供給路2にはさらに、この供給路2内の作動油温を検出する油温センサ72(油温検出手段)が繋がれ、リリーフバルブ55と圧力スイッチ57(油圧検出手段)とが直列に繋がれている。
【0023】
クランプ装置80は、図5に示した従来のものと同一であり、同一部分に同一番号を付して説明する。この装置は先端に固定クランプ85を一体に有したシリンダチューブ内に作動ピストン82が挿入されて構成される。作動ピストン82が対向するボトム側油室により作動シリンダ室(作動油室)81が形成され、作動ピストン82のロッドの先端に取り付けられた移動クランプ84が固定クランプ85と対向する。そして、ロッド側油室内に戻しスプリング83が配設されている。
【0024】
このような構成の油圧ブースタ装置に、切換バルブ40の作動を制御するコントローラ60を有して作動制御装置が構成される。作動制御関連要素を抜き出して作動制御装置の構成を図3に示しており、これと図1の構成から分かるように、コントローラ60には、上述した油温センサ72および圧力スイッチ57からの検出信号が入力され、さらに、操作スイッチ75からの操作信号および揚程検出器73からの検出信号が入力される。なお、揚程検出器73はブームの起伏角を検出する起伏角センサ73aとブームの伸長量を検出する伸縮センサ73bとから構成され、両センサ73a,73bからの検出信号を受けたコントローラ60は、作業台17の高さ位置(より具体的には、ドレン油路3の垂直長さすなわち揚程)を算出する。
【0025】
コントローラ60はこれら入力信号に基づいて、切換バルブ40の左右ソレノイド41,42の通電励磁制御と、モータコントローラ71による電力供給制御とを行うのであるが、この制御内容について以下に説明する。
【0026】
クランプ装置80によるクランプ作業を行うときには、作業者はクランプ装置80の固定クランプ85と移動クランプ84との間にクランプ対象物を位置させた後、操作スイッチ75をオン操作する。これにより操作スイッチ75からコントローラ60にオン信号が送られ、これを受けたコントローラ60から切換バルブ40に励磁信号を送って左ソレノイド41を励磁させて切換バルブ40を右動させて中立位置から作動位置に切り換える。なお、この作動位置の状態で行われる作動を作動モードと称する。このとき同時に、コントローラ60からモータコントローラ71にオン信号が送られてこのモータコントローラ71が閉作動され、バッテリ70から電動モータMに電力を供給させる。
【0027】
この結果、油圧ポンプPが駆動されて油路4に作動油が供給され、この作動油が更に切換バルブ40を通って一次側供給路1からブースタ機構30の左シリンダ室32に供給される。この油圧はレギュレータバルブ45により調圧された低圧作動油圧であり、この油圧を受けて複動ピストン31はブースタピストン31aとともに右動され、右シリンダ室33の作動油を油路5b,5cおよび複動制御バルブ38を介してドレンに排出させ、一方、ブースタシリンダ室34の作動油を二次側供給路2に供給する。これにより二次側供給路2からクランプ工具80の作動シリンダ室81に作動油が供給され、作動ピストン82が右動されて移動クランプ84が固定クランプ85に近づく方向に移動し、対象物のクランプを開始する。このとき、ブースタシリンダ室34の径が左シリンダ室32より小さく、一次側供給路1の低圧作動油圧より高圧の作動油圧が供給可能である。
【0028】
複動ピストン31が右ストロークエンドまで移動するとこれに繋がる複動制御バルブ38が切り替わり、油圧ポンプPからの低圧作動油が右シリンダ室33にも供給される。ここで右シリンダ室33の受圧面積は左シリンダ室32の受圧面積より大きく、この差により複動ピストン31は今度は左動される。このとき、ブースタピストン31aも一緒に左動され、チェックバルブ35a,35b,50の作用により作動シリンダ室81に超高圧を閉じこめたまま、ブースタシリンダ室34に作動油が供給される。
【0029】
複動ピストン31が左ストロークエンドまで移動すると複動制御バルブ38が切り替わり、作動油が左シリンダ室32に供給されたまま、右シリンダ室33は複動制御バルブ38を介してドレンに繋がる。このため、複動ピストン31は右動される。以下、このようにして複動ピストン31が連続的に往復動されて、クランプ工具80によりクランプ作動がなされる。
【0030】
このようなクランプ作動において、作動シリンダ室81内の油圧が所定高圧に達してクランプ力が所定値に達すると、リリーフバルブ55が開放され、この所定高圧を受けて圧力スイッチ57が作動する。この作動により圧力スイッチ57から高圧検出信号がコントローラ60に送られる。
【0031】
コントローラ60はこの高圧検出信号を受けると、切換バルブ40の左ソレノイド41を消磁するとともに右ソレノイド42を励磁させて切換バルブ40を左動させ、戻し位置に位置せしめる。この戻し位置での以下の作動を戻しモードと称する。戻しモードでは、油圧ポンプPからの作動油はパイロット油路51を介してパイロット式ドレンバルブ50に作用してこれを開放し、作動シリンダ室81の作動油がこのドレンバルブ50からドレン油路53を通ってドレンに放出される。なお、一次側供給路1はドレンに連通され、ブースタ機構30の作動は停止する。このため移動クランプ84は戻しスプリング83の力を受けて左動され、元の位置に戻される。
【0032】
このようにして移動クランプ84が元の位置(図1において戻しスプリング83の付勢により完全に左動した位置)に戻った時点で、コントローラ60は、右ソレノイド42を消磁して切換バルブ40を中立位置に移動させる。同時に、モータコントローラ71にオフ信号を送ってこれを開放(オフに)し、クランプ作業が完了する。
【0033】
以上のようにしてクランプ作業が行われるのであるが、戻しモードにおいて、コントローラ60により切換バルブ40を中立にするとともにモータコントローラ71をオフにするタイミングは、油温センサ72により検出された作動油温と、揚程検出器73により検出されたドレン油路3の垂直長さ(揚程)に応じて可変設定される。具体的には、図4に示すように、戻しモードが開始されてから中立に戻すまでの時間を設定するとともにコントローラ60のメモリ61に記憶されており、検出された油温および揚程に対応する時間をメモリ61から読み出し、この時間の経過時に中立に戻す作動を行わせる。なお、図4において破線が油温30°Cの場合、実線が油温70°Cの場合を示す。
【0034】
図4に示す時間設定は、一例であり、各高所作業車において実際にクランプ作業を行ったときに、戻しモードにおいて移動クランプ84を元の位置に戻すために要した時間を予め測定して設定される。このため、油温および揚程が変化してもそのときの油温および揚程に対応した時間が設定され、移動クランプ84の戻りに正確に対応して中立位置への切換がなされる。なお、ここでは油温および揚程の両方に基づいて時間設定を行っているが、いずれか一方のみにより時間設定を行うことも可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、切換バルブを作動位置に切り換えて油圧ブースタから単動油圧アクチュエータの作動油室に高圧作動油圧が供給し、この単動油圧アクチュエータの作動が開始した後、作動油室の油圧が所定高圧に達して切換バルブが戻し位置に切り換えられたときに、油温検出手段により検出された油温に対応するドレン時間が経過したときに切換バルブが中立位置に戻されるように構成されているため、どのような油温の場合でも単動油圧アクチュエータが作動開始位置に戻るに必要で且つほぼ最小の時間経過の後に切換バルブを中立位置に戻すことが可能となる。これにより、単動油圧アクチュエータが作動開始位置に戻る前に切換バルブが中立位置に戻されるという問題を無くし、さらに、作動開始位置に戻ると直ぐに切換バルブが中立位置に戻されて無駄なエネルギー消費を防止することができる。
【0036】
なお、二次側供給路からドレンバルブを介してドレンに至るドレン油路と、このドレン油路の揚程を検出する揚程検出手段とを設け、ドレン時間を揚程検出手段により検出された揚程に応じて補正するのが好ましい。ドレン油路の揚程が異なると作動油の排出時間も変化するため、このような揚程の影響を加味してドレン時間を設定すれば、切換バルブを中立位置に切り換えるタイミング(ドレン時間)をより適切に設定ことができる。
【0037】
また、本発明に係る油圧ブースタ装置の作動制御装置を、油圧ブースタと、一次側供給路に低圧作動油圧を供給する油圧供給源と、単動油圧アクチュエータと、二次側供給路をドレンに連通させるドレンバルブと、切換バルブと、二次側供給路内の油圧を検出する油圧検出手段とを有して構成しても良い。この場合にも、切換バルブを作動位置に切り換えて油圧ブースタから二次側供給路を介して作動油室に高圧作動油圧を供給して単動油圧アクチュエータを作動させたときに、油圧検出手段により検出された油圧が所定高圧に達したときに切換バルブを戻し位置に切り換え、その後、所定のドレン時間の経過後に切換バルブを中立位置に切り換える制御を行うが、この装置ではさらに、油圧供給源が、バッテリから電力供給を受けて駆動される電動モータと、この電動モータにより駆動される油圧ポンプとから構成され、切換バルブが中立位置にあるときにはバッテリによる前記電動モータへの電力供給を停止させるように構成される。これにより、バッテリの電力消費を抑制し、バッテリ充電までの時間間隔を長くして、充電回数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る油圧ブースタ装置およびその作動制御装置の構成を示す回路図である。
【図2】上記油圧ブースタ装置を搭載した高所作業車を示す斜視図である。
【図3】上記作動制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】油温と揚程に対するドレン時間の関係を示すグラフである。
【図5】従来の油圧ブースタ装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 一次側供給路
2 二次側供給路
3 ドレン油路
10 高所作業車
26 操作ボックス
30 ブースタ機構
40 切換バルブ
50 ドレンバルブ
57 圧力スイッチ
60 コントローラ
70 バッテリ
71 モータコントローラ
72 油温センサ
73 揚程検出器
75 操作スイッチ
80 クランプ装置
M 電動モータ
P 油圧ポンプ
Claims (3)
- 一次側供給路から供給される低圧作動油圧を増幅して二次側供給路に高圧作動油圧を発生させる油圧ブースタと、
前記一次側供給路に低圧作動油圧を供給する油圧供給源と、
前記二次側供給路に接続された作動油室、この作動油室内に前記高圧作動油圧が供給されて押圧作動されるピストンおよびこのピストンを前記押圧作動方向と逆方向に付勢する付勢部材を有してなる単動油圧アクチュエータと、
パイロットポートに前記低圧作動油圧を受けて開放され、前記二次側供給路をドレンに連通させるドレンバルブと、
前記油圧供給源を前記一次側供給路に接続させるとともに前記パイロットポートをドレンに連通させる作動位置と、前記油圧供給源を前記パイロットポートに接続させるとともに前記一次側供給路を閉塞もしくはドレンに連通させる戻し位置と、前記油圧供給源からの低圧作動油圧供給を遮断する中立位置とに切換可能な切換バルブと、
前記二次側供給路内の油圧を検出する油圧検出手段と、
前記二次側供給路内の作動油温を検出する油温検出手段とを有し、
前記切換バルブを前記作動位置に切り換えて前記油圧ブースタから前記二次側供給路を介して前記作動油室に前記高圧作動油圧を供給して前記単動油圧アクチュエータを作動させたときにおいて、前記油圧検出手段により検出された油圧が所定高圧に達したときに前記切換バルブを前記戻し位置に切り換え、前記油温検出手段により検出された作動油温に対応して設定されたドレン時間の経過後に前記切換バルブを前記中立位置に切り換える制御を行うことを特徴とする油圧ブースタ装置の作動制御装置。 - 前記二次側供給路から前記ドレンバルブを介してドレンに至るドレン油路と、このドレン油路の揚程を検出する揚程検出手段とを有し、前記ドレン時間を前記揚程検出手段により検出された揚程に応じて補正することを特徴とする請求項1に記載の油圧ブースタ装置の作動制御装置。
- 一次側供給路から供給される低圧作動油圧を増幅して二次側供給路に高圧作動油圧を発生させる油圧ブースタと、
前記一次側供給路に低圧作動油圧を供給する油圧供給源と、
前記二次側供給路に接続された作動油室、この作動油室内に前記高圧作動油圧が供給されて押圧作動されるピストンおよびこのピストンを前記押圧作動方向と逆方向に付勢する付勢部材を有してなる単動油圧アクチュエータと、
パイロットポートに前記低圧作動油圧を受けて開放され、前記二次側供給路をドレンに連通させるドレンバルブと、
前記油圧供給源を前記一次側供給路に接続させるとともに前記パイロットポートをドレンに連通させる作動位置と、前記油圧供給源を前記パイロットポートに接続させるとともに前記一次側供給路を閉塞もしくはドレンに連通させる戻し位置と、前記油圧供給源からの低圧作動油圧供給を遮断する中立位置とに切換可能な切換バルブと、
前記二次側供給路内の油圧を検出する油圧検出手段とを有し、
前記切換バルブを前記作動位置に切り換えて前記油圧ブースタから前記二次側供給路を介して前記作動油室に前記高圧作動油圧を供給して前記単動油圧アクチュエータを作動させたときにおいて、前記油圧検出手段により検出された油圧が所定高圧に達したときに前記切換バルブを前記戻し位置に切り換え、所定のドレン時間の経過後に前記切換バルブを前記中立位置に切り換える制御を行うように構成され、
前記油圧供給源が、バッテリから電力供給を受けて駆動される電動モータと、この電動モータにより駆動される油圧ポンプとからなり、前記切換バルブが前記中立位置にあるときには前記バッテリによる前記電動モータへの電力供給を停止させることを特徴とする油圧ブースタ装置の作動制御装置。
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