JP3775982B2 - 流体圧シリンダ装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、高速駆動と高出力駆動(高圧駆動)とを行うことのできる流体圧シリンダ装置に関し、例えば、金型の型締め装置、圧入装置、カシメ機、刻印装置などに利用される。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プレス装置の金型の型締めなどのために油圧シリンダが用いられる。1つの油圧シリンダで駆動するとすると、金型がワークに当たるまでの間において、油圧シリンダは高速で金型を移動させ、金型がワークに当たった後は、高出力で金型をワークに押し付ける。
【0003】
その場合に、油圧シリンダに圧油を供給するための動力は、金型の移動時に必要な吐出量Qと、金型を押しつけるために必要な高出力Pとの両方を満足する必要がある。
【0004】
例えば、最大速度を500mm/sec、最大推力を3tonとした場合には、汎用のモータを使うと、14.7KW(W=F・V[N][m/sec]=29.4[KN]×500×l0-3=14700N‐m/sec=14.7KW)もの大きな動力が必要となる。
【0005】
しかし、金型がワークに当たるまでの間においては金型を移動させるだけの僅かな出力でよく、金型でワークを押し付けるときには高出力が必要であるが移動量は僅かである。そこで、そのような駆動のために、高速用と高出力用との2つの油圧シリンダを用いると次のようになる。
【0006】
高速用として、ユニット圧力が10Mpa、内径がφ32(断面積が8cm2)の油圧シリンダを選定すると、吐出量が24リットル/minのポンプを用いることとなり、4KWの少ない動力でよいことになる。この場合に、型締め用(高出力用)の油圧シリンダは、30KN/10Mpa=30cm2 が必要であるので、内径をφ63とする必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この場合には、大小2つの油圧シリンダを用いるので、装置構造が複雑となり、設置スペースも増大する。
【0008】
そこで、例えば双方向ポンプを用い、双方向ポンプによって1つの油圧シリンダを駆動し、回路を切り換えて高速駆動と高出力駆動とを行うことが考えられる。
【0009】
図5は回路を切り換えて高速駆動と高出力駆動とを行う油圧シリンダ装置80の回路を示す図である。
図5において、油圧シリンダ装置80は、油圧シリンダ81、双方向ポンプ82、バルブ83、アキュムレータ84、バルブ85、アキュムレータ86、コントローラ87、およびモータMなどからなる。
【0010】
油圧シリンダ81は、シリンダチューブ、ピストン、ピストンに連結されてカバーを貫通するロッドなどを有する。ロッドには中空部が設けられ、そこに高速用シリンダ室ACが形成されている。通常、ロッドの径はシリンダチューブに比べてかなり小さいので、高速用シリンダ室ACの有効受圧面積は小さい。ピストンの左側には、高出力用シリンダ室BCが形成されている。
【0011】
また、ピストンの右側には復動側シリンダ室CCが形成されている。復動側シリンダ室CCは、ロッドの外周に形成されるものであり、その有効受圧面積は高速用シリンダ室ACよりもかなり大きい。
【0012】
油圧シリンダ81が往動するときには、双方向ポンプ82から吐出される圧油が、高速駆動の場合にはバルブ83がオンして高速用シリンダ室ACに流入し、高出力駆動の場合にはバルブ83がオフして高速用シリンダ室ACおよび高出力用シリンダ室BCの両方に流入する。
【0013】
アキュムレータ84は、油圧シリンダ81の復動時には、バルブ83がオンして高出力用シリンダ室BCから排出される圧油を蓄え、油圧シリンダ81の往動時には、高速駆動の場合にはバルブ83がオンして蓄えた圧油を高出力用シリンダ室BCに供給し、高出力駆動の場合にはバルブ83がオフして双方向ポンプ82の吸入側に圧油を供給する。
【0014】
また、アキュムレータ86は、往動時の高速駆動の場合に、バルブ85がオンして高速用シリンダ室ACと復動側シリンダ室CCとの有効受圧面積の差に応じて余った圧油を蓄え、復動時に、バルブ85がオフして蓄えた圧油を双方向ポンプ82の吸入側に供給する。
【0015】
しかし、この油圧シリンダ装置80では、高速用シリンダ室ACと復動側シリンダ室CCとの容積差分の油量を調整するために、バルブ85およびアキュムレータ86からなる油量調整機構YTが必要であり、それだけ回路構成が複雑となる。
【0016】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、1つの流体圧シリンダによって高速駆動と高出力駆動を行うことができ、しかも必要な動力が少なく且つ小型であり、油量調整機構を簡素化しまたは省略して回路構成を簡単化することのできる流体圧シリンダ装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る装置は、流体圧シリンダと、前記流体圧シリンダを往復駆動するために流体を給排する2つの給排ポートを有した双方向ポンプと、前記双方向ポンプを正方向および逆方向のいずれかに選択的に回転駆動するモータと、を有しており、前記流体圧シリンダは、シリンダチューブと、前記シリンダチューブ内を摺動するピストンと、前記シリンダチューブの両端面を閉塞するカバーと、前記ピストンに連結されて一方の前記カバーを貫通するロッドと、を有し、前記流体圧シリンダの往動側のシリンダ室は、復動側のシリンダ室である復動側シリンダ室とほぼ同じ有効受圧面積を有する高速用シリンダ室と、残りの有効受圧面積を有する高出力用シリンダ室とに区分されており、前記双方向ポンプから供給される流体を、選択的に前記高出力用シリンダ室に供給するように切り換えるためのバルブが設けられており、前記バルブは、前記高速用シリンダ室に供給する流体の圧力が所定以上になったときに前記双方向ポンプから供給される流体を前記高出力用シリンダ室に供給するように構成されてなる。
【0018】
好ましくは、前記高速用シリンダ室は、前記ロッドの内部に設けられる。
【0019】
また、前記双方向ポンプから前記高出力用シリンダ室に流体が供給されているときには前記復動側シリンダ室に接続され、前記双方向ポンプから前記高出力用シリンダ室に流体が供給されていないときには前記高出力用シリンダ室に接続されるアキュムレータが設けられてなる。
【0020】
また、前記ロッドの内部には、当該ロッドのストローク位置を検出するための位置検出センサが設けられる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る油圧シリンダ装置1の回路を示す図、図2は油圧シリンダ11の実施形態を示す断面正面図である。
【0022】
図1において、油圧シリンダ装置1は、油圧シリンダ11、ポンプ12、シーケンスバルブ13、アキュムレータ14、およびコントローラ15などからなる。
【0023】
図2に示すように、油圧シリンダ11は、シリンダチューブ31、シリンダチューブ31内を摺動するピストン32、シリンダチューブ31の両端面をそれぞれ閉塞するカバー34,35、ピストン32に連結されて一方のカバー34を密に貫通して摺動するロッド33、カバー34,35を互いに締結するタイボルト36,36…などからなる。
【0024】
ロッド33には、軸心に沿って孔41が設けられ、孔41の内部に高速用シリンダ室AAが形成される。カバー35には、ピストン32を密に貫通して摺動する送油管37が設けられる。送油管37の内側には、一端がカバー35に固定された固定側センサ38aと一端がロッド33に固定された可動側センサ38bとからなり、ロッド33のストローク位置を計測するための位置センサ38(38a,38b)が設けられる。位置センサ38の検出信号SGLは、コネクタCNを介してコントローラ15に送られる。
【0025】
ピストン32、カバー35、シリンダチューブ31、および送油管37で囲まれる空間には、高出力用シリンダ室BAが形成される。これら、高速用シリンダ室AAおよび高出力用シリンダ室BAは、油圧シリンダ11の往動側のシリンダ室が区分されて形成されたものと考えればよい。
【0026】
他方、ピストン32、カバー34、シリンダチューブ31、およびロッド33で囲まれる空間には、復動側シリンダ室CAが形成される。復動側シリンダ室CAと高速用シリンダ室AAとは、有効受圧面積が互いに同一となっている。したがって、ピストン32が移動するとき、これらの一方の室から出る油量と他方の室に入る油量とは同じである。
【0027】
なお、高速用シリンダ室AAには、カバー35に設けられた図示しないポートPTAが連通し、高出力用シリンダ室BAには、カバー35に設けられたポートPTBが連通し、復動側シリンダ室CAには、カバー34に設けられたポートPTCが連通する。
【0028】
ポンプ12は、正逆の両方向に回転可能な双方向ポンプであり、油圧シリンダ11の往動側のポートPTA,PTB、および復動側のポートPTCに対して油圧を給排する2つの給排ポートPA,PBを備える。ポンプ12の給排ポートPAの側の回路の圧力は、圧力センサによって検出され、その検出信号SGPはコントローラ15に送られる。
【0029】
モータMは、ポンプ12を正方向および逆方向のいずれかに選択的に回転駆動する。モータMとして、直流サーボモータまたは交流サーボモータなどが用いられる。
【0030】
シーケンスバルブ13は、調整バネを調整することによって所定の動作圧となるように設定されており、ポンプ12から供給される圧油を、パイロット圧に応じて選択的に高出力用シリンダ室BAに供給するように切り換える。すなわち、パイロット圧が所定圧以下の状態では、ポンプ12の給排ポートPAからの圧油は、高速用シリンダ室AAのみに供給され、高出力用シリンダ室BAには供給されない。その状態では、高出力用シリンダ室BAはアキュムレータ14に接続される。
【0031】
シーケンスバルブ13のパイロット圧が所定圧以上になると、シーケンスバルブ13が切り換わり、ポンプ12の給排ポートPAからの圧油は高出力用シリンダ室BAにも供給される。その状態では、アキュムレータ14はポンプ12の給排ポートPBの側に接続される。
【0032】
コントローラ15は、位置センサ38および圧力センサから出力される検出信号、図示しない設定信号および指令信号などに基づいて、油圧シリンダ11が所定の動作を行うように、または所定の位置決めを行うように、モータMの回転方向および回転速度などを制御する。
【0033】
これら、油圧シリンダ11、ポンプ12、シーケンスバルブ13、およびアキュムレータ14などは、ボルトなどによって互いに連結され、油圧シリンダ装置1の全体が1つのユニットとして一体に構成されている。
【0034】
なお、各部の接続のために配管部材が設けられているが、このような配管部材を設けることなく、それに代わる流路を形成したマニホールドを設け、またはそのような流路を油圧シリンダ11の中に組み込むことも可能である。その際に、シーケンスバルブ13およびアキュムレータ14をマニホールドに一体的に組み込んでもよい。
【0035】
次に、油圧シリンダ装置1の動作および作用について説明する。
モータMによってポンプ12が駆動され、給排ポートPAから圧油が出力されると、その圧油はポートPTAから高速用シリンダ室AAに入る。これによって、ピストン32が往動し、例えばロッド33の先端に取り付けられた金型を移動させる。金型が容易に移動し、負荷が軽い場合には、ポートPTAの圧力は低くなり、シーケンスバルブ13のパイロット圧は所定圧以下となるので、圧油は高出力用シリンダ室BAには供給されない。
【0036】
つまり、油圧シリンダ11は、高速用シリンダ室AAに供給される圧油のみで作動する。したがって、油圧シリンダ11の出力は小さいが、ピストン32は高速で移動する。
【0037】
ピストン32の移動によって、復動側シリンダ室CA内の圧油がポートPTCから排出され、排出された圧油がポンプ12によってポートPTAから高速用シリンダ室AA内に送られる。つまり、高速用シリンダ室AAと復動側シリンダ室CAとの有効受圧面積が等しいので、上に述べたような油量調整機構YTなどを設けなくとも、油量に過不足が生じず、正常に作動する。
【0038】
ピストン32の移動にともなって高出力用シリンダ室BA内に圧油を供給する必要があるが、そのためには、アキュムレータ14に蓄えられていた圧油が供給される。
【0039】
金型がワークに当接するに至ってロッド33の負荷が増大すると、ポートPTAの圧力が高くなり、パイロット圧が所定圧以上となってシーケンスバルブ13が切り換わる。これによって、ポンプ12の給排ポートPAからの圧油は高出力用シリンダ室BAにも流入する。そうすると、油圧シリンダ11の出力が大きくなり、金型による型締めを行うことができる。
【0040】
その際に、ピストン32が移動するとそれに応じた油量を高出力用シリンダ室BAにも供給する必要がある。しかし、復動側シリンダ室CAから排出される油量だけでは不足するので、アキュムレータ14に蓄えられた圧油がポンプ12を介して高出力用シリンダ室BAに供給される。
【0041】
モータMが逆転し、ポンプ12が逆方向に回転駆動されると、今度は給排ポートPBから圧油が出力される。そのときは、シーケンスバルブ13のパイロット圧はゼロになるので、アキュムレータ14は高出力用シリンダ室BAに接続される。
【0042】
ポンプ12の給排ポートPBから出力される圧油は復動側シリンダ室CAに入り、ピストン32を復動させる。復動側シリンダ室CAの有効受圧面積は小さいので、ピストン32は高速で移動する。
【0043】
そのとき、高速用シリンダ室AA内の圧油は、ポンプ12を介して復動側シリンダ室CA内に送られる。これら高速用シリンダ室AAと復動側シリンダ室CAとの有効受圧面積が等しいので、油量に過不足が生じず、正常に作動する。高出力用シリンダ室BAからは多量の圧油が排出されるが、排出された圧油はアキュムレータ14に蓄えられる。
【0044】
上に述べた油圧シリンダ装置1によると、1つの油圧シリンダ11によって、高速駆動と高出力駆動とを切り換えて行うことができる。その切り換え動作が、シーケンスバルブ13によって自動的に行われる。
【0045】
したがって、油圧シリンダ11によって、例えば金型がワークに当たるまでの間において高速で金型を移動させ、金型がワークに当たった後は高出力で金型をワークに押し付けることができる。
【0046】
しかも、高速用シリンダ室AAと復動側シリンダ室CAとの有効受圧面積を互いに等しくしたことによって、油量調整機構が不要となり、回路構成が簡単となる。
【0047】
位置センサ38の検出信号に基づき、コントローラ15によって油圧シリンダ11の位置決め制御を高精度に行うことができる。コントローラ15は、モータMを駆動するだけでよいので、制御が容易である。
【0048】
ポンプ12によって直接に油圧シリンダ11を駆動するので、油タンクが不要であり、油圧シリンダ装置1の全体を小型化することができる。したがって、油圧シリンダ装置1によると、省スペース化および省エネ化を図ることができ、装置をコンパクトに構成することができる。
【0049】
次に、他の実施形態の油圧シリンダ11Bについて説明する。
図3は油圧シリンダ11Bの他の実施形態を示す断面正面図である。
図3に示す油圧シリンダ11Bは、基本的な構成は上の油圧シリンダ11と同じであるが、センサ58の構成が異なっている。
【0050】
すなわち、送油管37の内周面には、ロッド33に取り付けられた保護パイプ51が摺動可能に挿入されている。保護パイプ51の根元には、内周面と外周面とを連通するための孔が設けられている。保護パイプ51の先端部には、リング状の永久磁石52が取り付けられており、永久磁石52の中心部を、一端がカバー35に取り付けられた位置センサ58が貫通して移動する。
【0051】
したがって、ロッド33の移動とともに永久磁石52が移動し、位置センサ58に対して相対移動する。ここに用いられる位置センサ58は磁歪センサであり、永久磁石52の相対位置に応じた検出信号SGLを出力する。
【0052】
このように、ロッド33に保護パイプ51を取り付け、その先端にリング状の永久磁石52を取り付けることにより、永久磁石52と位置センサ58との間隙を小さくして検出感度を高めることができる。しかも、高速用シリンダ室AAの有効受圧面積を充分に大きくとることができる。
【0053】
ところで、上に述べたように、油圧シリンダ装置1では、高速用シリンダ室AAと復動側シリンダ室CAとの有効受圧面積を等しくしたので、油量調整機構を要しない。しかし、有効受圧面積を完全に等しくするのは容易ではない。また、実質的に等しくした場合でも、ポンプ12の内部漏れなどによって吸入油量と排出油量とに差が生じることがある。したがって、上に述べた油圧シリンダ装置1において、そのような不平衡分を補うための簡便な補給装置を設けるのが望ましい。
【0054】
次に、そのような補給装置HKを設けた油圧シリンダ装置の他の実施形態について説明する。
図4は本発明に係る他の実施形態の油圧シリンダ装置1Cの回路を示す図である。
【0055】
図4において、図1に示す油圧シリンダ装置1と同じ機能を有する要素については同じ符号を付し、説明を省略または簡略化する。
図4において、シーケンスバルブ13Cは、上のシーケンスバルブ13とポート数が異なるが、その作用は同様である。シーケンスバルブ13Cのパイロット回路には、リリーフバルブ16aおよびチェックバルブ16bが設けられ、また、給排ポートPBからシーケンスバルブ13Cのポートに至る回路にはチェックバルブ16cが設けられている。
【0056】
また、給排ポートPA,PBの間には、パイロットチェック弁17,18およびタンク19からなる補給装置HK1が設けられている。
パイロットチェック弁17,18は、2つの給排ポートPA,PBとタンク19との間において、タンク19からそれぞれの給排ポートPA,PBに向かう方向に自由流となるようにそれぞれ接続され、それぞれ他方の給排ポートPB,PAの圧力によって開く。
【0057】
タンク19は、油圧シリンダ11の高速用シリンダ室AAと高出力用シリンダ室BAとの有効受圧面積の誤差による油量の過不足、回路の温度などによる容積変化分、および漏れによるロス分などを補う圧油を収容する。
【0058】
次に、油圧シリンダ装置1Cの動作および作用について説明する。
モータMによってポンプ12が駆動され、給排ポートPAから圧油が出力されると、その圧油はポートPTAから高速用シリンダ室AAに入る。これによって、ピストン32が高速で移動する。
【0059】
ポートPTAの圧力が高くなり、パイロット圧が所定圧以上となると、まず、シーケンスバルブ13Cが切り換わる。これによって、アキュムレータ14の接続が、ポートPTBからチェックバルブ16cの側へ切り換わる。
【0060】
パイロット圧がさらに高くなると、リリーフバルブ16aが作動し、パイロット回路の圧油がポートPTBから高出力用シリンダ室BAに流れ込む。これによって、高出力駆動が行われる。
【0061】
また、いずれかの給排ポートPA,PBの側の圧油の不足分は、タンク19からパイロットチェック弁17または18を介して他方の給排ポートPB,PAに吸入される。
【0062】
いずれかの給排ポートPA,PBの側の圧油の過剰分は、いずれかのパイロットチェック弁17または18を介してタンク19に戻る。なお、このときに、他方の側の圧力により、パイロット流路を介してそのパイロットチェック弁17または18が開く。
【0063】
上の実施形態において、パイロットチェック弁17,18を用いて補給装置HK1を構成したが、上に述べたような機能を有したものであれば、種々のチェック弁、リリーフ弁、および切り換え弁などを組み合わせて構成することが可能である。
【0064】
上の実施形態において、油圧シリンダ11の上にポンプ12を連結して併置形としてもよい。また、油圧シリンダ11の端面にポンプユニット12を連結した一直線形としてもよい。カバー35内にポンプを形成してもよい。油圧シリンダ11のシリンダチューブ31を二重構造として、そこにタンクを形成してもよい。シーケンスバルブ13に代えて、パイロット圧で動作する切り換えバルブ、電気的に切り換える電磁式切り換えバルブなどを用いてもよい。
【0065】
その他、油圧シリンダ装置1,1Cの全体または各部の構成、形状、寸法、および回路などは、本発明の趣旨に沿って上述した以外の種々のものとすることができる。
【0066】
油圧シリンダ装置1,1Cは、圧入のためのワークの移動および圧入、金型の移動および型締めなどの他、カシメ、粉末成型など、種々の用途に適用することができる。
【0067】
【発明の効果】
本発明によると、1つの流体圧シリンダによって高速駆動と高出力駆動を行うことができ、しかも必要な動力が少なく且つ小型であり、油量調整機構を簡素化しまたは省略して回路構成を簡単化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る油圧シリンダ装置の回路を示す図である。
【図2】油圧シリンダの実施形態を示す断面正面図である。
【図3】油圧シリンダの他の実施形態を示す断面正面図である。
【図4】本発明に係る他の実施形態の油圧シリンダ装置の回路を示す図である。
【図5】回路を切り換えて高速駆動と高出力駆動とを行う油圧シリンダ装置の回路の例を示す図である。
【符号の説明】
1,1C 油圧シリンダ装置
11,11B 油圧シリンダ(流体圧シリンダ)
12 ポンプ(双方向ポンプ)
13,13C シーケンスバルブ(バルブ)
14 アキュムレータ
31 シリンダチューブ
32 ピストン
33 ロッド
34,35 カバー
38,58 位置センサ(位置検出センサ)
AA 高速用シリンダ室(往動側のシリンダ室)
BA 高出力用シリンダ室(往動側のシリンダ室)
CA 復動側シリンダ室
PA,PB 給排ポート
M モータ
Claims (4)
- 流体圧シリンダと、
前記流体圧シリンダを往復駆動するために流体を給排する2つの給排ポートを有した双方向ポンプと、
前記双方向ポンプを正方向および逆方向のいずれかに選択的に回転駆動するモータと、を有しており、
前記流体圧シリンダは、
シリンダチューブと、
前記シリンダチューブ内を摺動するピストンと、
前記シリンダチューブの両端面を閉塞するカバーと、
前記ピストンに連結されて一方の前記カバーを貫通するロッドと、を有し、
前記流体圧シリンダの往動側のシリンダ室は、復動側のシリンダ室である復動側シリンダ室とほぼ同じ有効受圧面積を有する高速用シリンダ室と、残りの有効受圧面積を有する高出力用シリンダ室とに区分されており、
前記双方向ポンプから供給される流体を、選択的に前記高出力用シリンダ室に供給するように切り換えるためのバルブが設けられており、
前記バルブは、前記高速用シリンダ室に供給する流体の圧力が所定以上になったときに前記双方向ポンプから供給される流体を前記高出力用シリンダ室に供給するように構成されている、
ことを特徴とする流体圧シリンダ装置。 - 前記高速用シリンダ室は、前記ロッドの内部に設けられている、
請求項1記載の流体圧シリンダ装置。 - 前記双方向ポンプから前記高出力用シリンダ室に流体が供給されているときには前記復動側シリンダ室に接続され、前記双方向ポンプから前記高出力用シリンダ室に流体が供給されていないときには前記高出力用シリンダ室に接続されるアキュムレータが設けられてなる、
請求項1または2記載の流体圧シリンダ装置。 - 前記ロッドの内部には、当該ロッドのストローク位置を検出するための位置検出センサが設けられてなる、
請求項2記載の流体圧シリンダ装置。
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