JP3593967B2 - 無端金属ベルトの品質検査方法および品質検査装置 - Google Patents

無端金属ベルトの品質検査方法および品質検査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、板片状の多数のエレメントを互いに対面させて環状に配置し、それらのエレメントに金属バンドであるフープを通して各エレメントを環状に結束して構成した無端金属ベルトの品質を検査する方法およびその品質検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の無端金属ベルトはベルト式無段変速機に使用されている。その構造を簡単に説明すると、図11において、符号1はエレメントを示し、この多数のエレメント1が互いに板厚方向に環状に並べて配置され、その左右のサドル部に環状の金属帯であるフープ2を通して各エレメント1が結束され、図12に示す全体として無端の金属ベルト3を構成している。
【0003】
エレメント1の形状の一例を図13に示してあり、幅方向の両側の側面は、シーブ4におけるテーパ状のシーブ面5に接触する対シーブ摩擦面6であって、シーブ面5と一致するテーパ面とされている。その対シーブ摩擦面6を備えた基体部分7の幅方向での中心部に、図13での上側に延びた首部8が形成され、その首部8が、左右に広がった頂部9に繋がっている。その左右に広がった頂部9と基体部分7との間にスリットが形成されており、この左右2つのスリットの部分にフープ2が通されている。そして、基体部分7におけるフープ2が接触する面がサドル面10となっている。
【0004】
このサドル面10の高さは、基体部分7を横切るピッチ線Pからの寸法で表される。また、エレメント1の幅は、ピッチ線P上の寸法で表される。なお、前記頂部9のうち首部8の延長位置には、一方の面側に凸となり、他方の面側では凹となったディンプル・ホール11が形成されており、互いに隣接するエレメント1のディンプル・ホール11が互いに嵌合するようになっている。
【0005】
上記無端金属ベルト3は、一対のシーブ4の間に挟み付けられて使用される。その場合、シーブ面5および対シーブ摩擦面6がテーパ面であるために、各エレメント1には、シーブ4による挟圧力により半径方向での外側に荷重が作用するが、各エレメント1がフープ2によって結束されているので、フープ2の張力により半径方向での外側への移動が規制される。その結果、シーブ面5と対シーブ摩擦面6との間に摩擦力が生じ、あるいは油膜のせん断力が生じてシーブ4と無端金属ベルト3の間でトルクが伝達される。
【0006】
上記のようにエレメント1を半径方向で外側に押圧する荷重は、シーブ4が無端金属ベルト3を挟み付けることにより生じるので、エレメント1の幅寸法に誤差があれば、半径方向での外側に向けた荷重が大小に異なり、また半径方向での位置にも狂いが生じる。これに対して、各エレメント1はフープ2によって結束されていると同時に、隣接するエレメント1同士が、前述したディンプル・ホール11によって連結されているので、幅寸法の誤差が半径方向に向けた圧縮力あるいは引っ張り力として作用する。
【0007】
例えば図14に示すように、3枚並んだエレメント1のうち中央のエレメント1が、幅寸法の狂いによって半径方向で内側に陥没した状態になると、その中央部のエレメント1の首部8には、矢印で示すように引っ張り力が作用し、これに対して左右のエレメント1の首部8には、矢印で示すように圧縮力が作用する。あるいは図15に示すように、3枚並んだエレメント1のうち中央のエレメント1が、幅寸法の狂いによって半径方向で外側に突出した状態になると、その中央部のエレメント1の首部8には、矢印で示すように圧縮力が作用し、これに対して左右のエレメント1の首部8には、矢印で示すように引っ張り力が作用する。
【0008】
このように各エレメント1の寸法の誤差もしくは狂いにより各エレメント1に圧縮力や引っ張り力が作用し、またそれに伴ってフープ2の張力の変動などが生じる。そして、無端金属ベルト3を走行させると、このような複雑な荷重が繰り返し生じ、これが原因となってエレメント1やフープ2に変形などの異常が生じ、その耐久性が低下することがある。
【0009】
したがって無端金属ベルト3の品質管理として、耐久性に関係する品質素性の良否を判断する必要があり、これは、従来一般には、無端金属ベルトの製造ロットごとにサンプルを抜き取って品質検査することによりおこなっていた。すなわち抜き取ったベルトを分解して全てのエレメントについて、検査項目として挙げられている形状精度の3次元測定もしくは専用ゲージでの測定などをおこない、その測定結果に基づいて、そのベルトの製造ロットの母集団についての品質の良否の判定をおこなっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した無端金属ベルトにおけるエレメントは、一般的には、ファインブランキング型によって打ち抜いた後、熱処理したものが使用され、したがってその製造過程で生じる形状もしくは寸法の精度のバラツキを持ったものとなっている。したがって製造ロットごとに形状・寸法の精度のバラツキに一定の傾向があり、その点では製造ロットごとの抜き取り検査によってある程度の品質の検査をおこなうことができる。
【0011】
しかしながら、1本の無端金属ベルトには数百のエレメントが使用され、しかもそれらのエレメントは、全く同一のファインブランキング型や熱処理工程を経たものではなく、工程の異なるものがミックスされたものである。さらに、本発明の発明者等の知見によれば、無端金属ベルトの耐久性には、前述したように、個々のエレメントの寸法精度のみならず、隣接するエレメントとの寸法偏差、特にサドル高さとして現れる幅寸法の偏差が大きく影響する。
【0012】
そのため、個々の無端金属ベルトには、そのエレメントの製造工程ごとの精度のバラツキが反映されているだけではなく、製造工程の異なるエレメントのミックスの仕方や配列の仕方が反映されてその耐久性に影響を与えている。したがって製造ロットごとの抜き取り検査では、これらの組み立て工程での影響もしくは精度のバラツキを見出すことはできない。
【0013】
この発明は、上記の事情を背景としてなされたものであり、無端金属ベルトの全数検査を容易かつ正確におこなうことのできる方法および装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この発明は、上記の目的を達成するために、互いに隣接するエレメントの幅寸法の誤差すなわち隣接差異を測定して品質素性の良否を判定するように構成したことを特徴とする発明である。具体的には、請求項1の発明は、幅方向の両側面をシーブ面に接触させる複数のエレメントを、その板厚方向に並べて環状のフープに通すことにより構成された無端金属ベルトの品質検査方法において、前記フープに通されて環状に配列されている互いに隣接するエレメントの幅寸法の差異を求め、その差異が予め定めた値以上であり、かつ幅寸法が大・小・大の順序となるようにエレメントが配列されていることが判定された場合に前記無端金属ベルトの不良を判定することを特徴とする品質検査方法である。
【0015】
したがって請求項1の方法では、所定のエレメントを挟み付けている前後両側のエレメントとの幅寸法の差異が求められ、前後両側のエレメントの幅寸法が所定値以上に大きい場合に、その無端金属ベルトが不良とされる。その結果、無端金属ベルトの使用中にその半径方向に向けて生じる引っ張り力や圧縮力に影響する要因に基づいて品質素性の良否の判定をおこなうことになるので、品質検査精度が向上し、正確に品質素性の検査をおこなうことができる。
【0018】
また、請求項2の発明は、請求項1の方法において、前記エレメントの一方の側面が基準面に接触した状態に前記無端金属ベルトを前記基準面上に配置し、かつその無端金属ベルトを真円状態として、前記エレメントの幅寸法の差異を測定することを特徴とする品質検査方法である。
【0019】
したがって請求項2の発明では、無端金属ベルトを基準面上に真円状態に配置するので、その無端金属ベルトを構成している複数のエレメントの幅方向の位置もしくは高さに、前記基準面上での位置が影響しない。そのため、隣接するエレメントの幅寸法の差異を正確に求めることができる。
【0020】
さらに、請求項3の発明は、請求項1もしくは2の方法において、前記無端金属ベルトの不良が判定された場合に、その無端金属ベルトにおける隣接するエレメントの幅寸法の差異が小さくなるようにエレメントの並び替えをおこなった後、再度、前記隣接するエレメントの幅寸法の差異を求め、その差異に基づいて前記無端金属ベルトの品質素性の良否を判定することを特徴とする品質検査方法である。
【0021】
したがって請求項3の発明によれば、エレメント自体に不良がなく、その相対位置関係が原因となって無端金属ベルトの不良が判定された場合に、エレメントの相対位置を変えるべくその並び替えをおこなうことにより、無端金属ベルトの不良要因が解消され、その結果、無端金属ベルトの良品判定率すなわち合格率を高めることができ、ひいては無端金属ベルトの生産性を向上させることができる。
【0022】
一方、請求項4の発明は、幅方向の両側面をシーブ面に接触させる複数のエレメントを、その板厚方向で互いに対面させて環状に配列し、かつそれらのエレメントのサドル部に環状のフープを外嵌させることにより構成された無端金属ベルトに用いられ、エレメントがフープにより結束されて無端金属ベルトに構成された状態でその無端金属ベルトの品質検査をおこなう無端金属ベルトの品質検査装置において、前記エレメントの一方の側面を接触させる測定用シーブ面を有する基準面盤と、前記エレメントの一方の側面を前記測定用シーブ面に接触させ、かつ前記サドル部を前記フープの内周面に密着させるように前記無端金属ベルトの内周面を半径方向で外側に押圧する押圧張り出し部材と、この押圧張り出し部材によって前記無端金属ベルトを半径方向で外側に押圧した状態で、前記エレメントの前記測定用シーブ面からの高さを測定する変位測定センサとを備えていることを特徴とする品質検査装置である。
【0023】
したがって請求項4の発明では、無端金属ベルトが基準面盤の上に配置され、かつその各エレメントの一方の側面がその測定用シーブ面に密着するように、押圧張り出し部材によって半径方向で外側に押圧される。そして、その状態で各エレメントにおける他方の側面の前記測定用シーブ面からの高さが変位測定センサによって測定される。そのため、各シーブの幅寸法や隣接するエレメントの幅寸法の差異を連続的に測定することが可能になり、品質検査が容易になる。
【0024】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記押圧張り出し部材の押圧部が、弾性部材によって構成されていることを特徴とする品質検査装置である。
【0025】
したがって請求項5の発明では、弾性部材が弾性を有していることにより、無端金属ベルトの全周に亘って均等に半径方向で外側に押圧され、その結果、各エレメントの一方の側面を測定用シーブ面に接触させることができるので、エレメントの幅寸法もしくは隣接するエレメントの幅寸法の差異を正確に測定することができる。
【0026】
さらに、請求項6の発明は、請求項4もしくは5の発明において、前記測定用シーブ面と同一軸線上に配置されるとともにその測定用シーブ面と対を成すシーブ面状の押圧面を有し、前記基準面盤上に配置された前記無端金属ベルトのエレメントにおける他方の側面をその押圧面により押圧して前記無端金属ベルトを真円状態とするガイド部材を更に備えていることを特徴とする品質検査装置である。
【0027】
したがって請求項6の発明では、無端金属ベルトのエレメントを測定用シーブ面とガイド部材とによって挟みつけることにより、無端金属ベルトの測定用シーブ面上での姿勢が真円状態に是正される。その結果、各エレメントの幅寸法もしくは隣接するエレメントの幅寸法の差異を正確に測定することができる。
【0028】
そして、請求項7の発明は、請求項4なし6のいずれかの発明において、前記変位測定センサによる測定結果を表すマークを、その測定結果を生じた前記エレメントに付するマーカを更に備えていることを特徴とする品質検査装置である。
【0029】
したがって請求項7の発明では、各エレメントの測定用シーブ面からの高さの測定結果が、エレメントにマーキングされる。そのマークは、高さの絶対値もしくはその大小、隣接するエレメントとの比較に基づくマーク、さらには所定の基準に基づいて付されるマークなどを含み、そのため、そのマークに基づいて無端金属ベルトにおける不良箇所を容易に特定することが可能になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明に係る品質検査装置について説明すると、図1はその一例を示す概略的な断面図であって、前述した図11および図12に示す無端金属ベルト3の品質素性を検査するように構成された装置である。すなわち基台20のほぼ中心部に固定軸21が立設されており、その固定軸21に基準面盤22が回転自在に嵌合させられている。
【0031】
この基準面盤22は、固定軸21に嵌合している円筒状のボス部23を備えており、そのボス部23の下端部に、半径方向に突出したフランジ部24が一体に形成されている。そのフランジ部24の外周側の上面は、外周端側で次第に薄肉となるテーパ面に形成されている。そのテーパ形状は、検査対象である無端金属ベルト3が使用時に巻掛けられるシーブ(図示せず)におけるシーブ面と同様のテーパ形状であり、したがってこのテーパ形状の部分が無端金属ベルト3の寸法測定のための基準面あるいは測定用シーブ面25となっている。
【0032】
上記の基台20の上面と基準面盤22の下面との間に、基準面盤22を回転自在に支持しているスラストベアリング26が配置されている。また、基準面盤22の下面におけるスラストベアリング26より外周側には、外歯歯車であるリングギヤ27が取り付けられており、そのリングギヤ27に駆動ギヤ28が噛合している。この駆動ギヤ28は、前記基台20に取り付けたベルト回転モータ29の出力軸に取り付けられたものであり、したがってこのベルト回転モータ29によって基準面盤22を回転させるようになっている。すなわち、このベルト回転モータ29および駆動ギヤ28ならびにリングギヤ27が、基準面盤22を回転させる回転駆動機構を構成している。
【0033】
前記基準面盤22におけるボス部23に厚肉のリング部材30が、密着した状態で嵌合されている。このリング部材30の外径は、無端金属ベルト3を円形にした場合の内径程度、より正確には無端金属ベルト3の内径より僅かに小さい外径に設定されている。このリング部材30の外周面において軸線方向での中心部より上側に偏った位置(前記測定用シーブ面25から遠ざかる方向に偏った位置)に、全周に亘る凹溝31が形成されており、その凹溝31の内部に弾性部材としての中空のOリング32が気密性を維持した状態に嵌合されている。
【0034】
さらに、その凹溝31の底部には、リング部材30および前記ボス部23ならびに固定軸21を貫通して固定軸21の軸心部分に到る通気路33が開口して設けられている。そして、その通気路33に連通したエアー供給路34が、固定軸21の中心軸線に沿って形成され、そのエアー供給路34は固定軸21の下端部に開口し、ここから図示しない適宜のエアー源に連通されている。
【0035】
前記固定軸21の上端部に、前記測定用シーブ面25との間に無端金属ベルト3(より正確には、エレメント1)を挟み込むためのガイド部材35が着脱自在に取り付けられている。そのガイド部材35は円盤状の部材であって、下面の外周部に、押圧面36が形成されている。この押圧面36は、前記測定用シーブ面25と対を成すシーブ面状のテーパ面であって、ガイド部材35が前記固定軸21に嵌合させられた状態で、前記測定用シーブ面25と中心軸線を共有するテーパ面(シーブ面)を形成するようになっている。
【0036】
一方、前記固定軸21の上端部(先端部)にネジ軸37が一体に立設されており、そのネジ軸37に取り付けたナット部材38とガイド部材35との間に、弾性を有する座金(スプリングワッシャ)39を介在させることにより、ガイド部材35を図1の下方向に向けて加圧するようになっている。
【0037】
前記基台20の上面で前記基準面盤22の外周側に支柱40が立設されている。この支柱40の上端部に、リトラクタブル機構41を介して変位測定センサ42が取り付けられている。この変位測定センサ42は測定対象部位までの距離を非接触で測定するセンサであって、一例として光学センサであり、アンプ43および演算部44ならびにインジケーター45を備えたコントローラ46に電気的に接続されている。そしてこの変位測定センサ42は、前記測定用シーブ面25上に正規の姿勢でセットされたエレメント1の幅寸法あるいは隣接するエレメント1の幅寸法の差異を測定するために、各エレメント1の一方の側面にそのピッチ線P上で対向する位置に設置されるように、前記リトラクタブル機構41によって保持されている。
【0038】
なお、エレメント1の幅寸法は、変位測定センサ42の前記測定用シーブ面25からの高さを予め演算部44に入力しておくことにより、変位測定センサ42とエレメント1の一方の側面との距離の測定値を、そのプリセットされた高さから減算することにより求めることができる。また、幅寸法の差異は、先に得られた測定値から次に得られた測定値を減算することにより求められる。
【0039】
つぎに上記の装置の作用すなわちこの発明の品質検査方法の一例を説明する。先ず、予め製造された無端金属ベルト3を前記基準面盤22の測定用シーブ面25上にセットする。すなわち、フープ2に張力を与えていない状態で、各エレメント1の側面が、測定用シーブ面25に面接触するように、出来るだけ測定用シーブ面25と同心円状に無端金属ベルト3を円形にし、測定用シーブ面25の上に載せる。その場合、前記変位測定センサ42を測定用シーブ面25の上方から退避させておくことは勿論である。
【0040】
無端金属ベルト3を測定用シーブ面25の上に載せた後、前記ガイド部材35を固定軸21の上端部に嵌合させ、さらにその上にスプリングワッシャ39を載せ、これらをナット部材38によって締め付ける。この状態では、ガイド部材35における押圧面36が、図示しない無段変速機におけるシーブのシーブ面と同様の面を形成しているから、エレメント1の図での上側の側面がその押圧面36に接触し、測定用シーブ面25との間にエレメント1が挟み付けられる。その場合、測定用シーブ面25と押圧面36とがテーパ面であるから、エレメント1には、幅方向に向けた挟圧力と併せて、無端金属ベルト3の半径方向で外側に向けた押圧力が作用する。したがって無端金属ベルト3が測定用シーブ面25および押圧面36に倣って姿勢を矯正し、真円状態となる。
【0041】
上記のようにガイド部材35によって無端金属ベルト3に挟圧力を作用させた状態で、前記エアー供給路34および通気路33を介して前記凹溝31の内部に加圧エアーを供給する。この凹溝31にはOリング32が気密性を維持する状態で嵌合されているので、凹溝31の内部にエアー圧が作用することにより、Oリング32がその半径を増大させるように弾性変形し、凹溝31の外側に張り出してくる。その結果、無端金属ベルト3における各エレメント1が、その底部側(無端金属ベルト3の内周側)から半径方向で外側に押圧される。
【0042】
その場合、押圧張り出し部材であるOリング32が、エレメント1の幅方向での中心部から図1での上側に偏って配置されているので、エレメント1には、これを半径方向で外側に向けて押圧する荷重と、幅方向における図1での下方向に向けて押圧する荷重が作用する。このような荷重が、測定用シーブ面25と押圧面36とで挟み付けられている各エレメント1に作用するので、各エレメント1は半径方向での外側への僅かな移動と、図1での下側の側面を測定用シーブ面25に密着させる姿勢の矯正とをおこない、その結果、無端金属ベルト3が真円状態の正規の姿勢で測定用シーブ面25の上にセットされる。この状態を図1の左半分に示してある。
【0043】
なお、押圧張り出し部材であるOリング32による押圧力によって、エレメント1を半径方向で外側に押圧すると同時に、測定用シーブ面25に向けて押圧するようにするためには、エレメント1の下面、すなわち無端金属ベルト3として組み付けた状態での内周側の面に、押圧張り出し部材が当接する傾斜面を形成しておくことが好ましい。その傾斜面の形状の一例を図2および前述した図13に示してある。すなわちここに示す傾斜面12は、幅方向での中心部から左右に偏った位置に形成した凹円弧状の面の一部である。したがってOリング32が張り出すことにより、エレメント1が半径方向での外側に押圧されて、そのサドル面10にフープ2が密着し、また幅方向では測定用シーブ面25側に押圧されて、その側面が測定用シーブ面25に密着する。
【0044】
つぎに、前記ナット部材38をネジ軸37から抜き取ってスプリングワッシャ39およびガイド部材35を取り外す。また、変位測定センサ42をエレメント1の図1での上側の側面にピッチ線P上で対向する位置に移動させて固定する。この状態では、無端金属ベルト3に対する挟圧力が作用しないが、Oリング32が上述したように、二方向にエレメント1を押圧しているので、無端金属ベルト3は、エレメント1を測定用シーブ面25に密着させた状態で真円に近い形状に保持される。
【0045】
この状態でベルト回転モータ29を駆動すると、基準面盤22と共に無端金属ベルト3が回転し、そのエレメント1が変位測定センサ42の下側を次々に通過する。そして、その間に、各エレメント1の幅寸法が変位測定センサ42によって測定され、1回転することにより、無端金属ベルト3を構成している全てのエレメント1の幅寸法が測定される。こうして幅寸法の測定が終了した後、ベルト回転モータ29を停止して基準面盤22の回転を止め、かつエアーによる加圧を解除して無端金属ベルト3の拘束を解除し、無端金属ベルト3を基準面盤22から取り外す。
【0046】
一方、コントローラ46では、測定結果に基づいて演算し、無端金属ベルト3についての良品・不良品の判定をおこなう。具体的には、図3にフローチャートで示すように、エレメント幅の測定(ステップS1)を上記のようにしておこなった後、その測定値に基づいてエレメント幅隣接差異ΔWを演算する(ステップS2)。ここで、エレメント幅隣接差異ΔWとは、図4に示すように、互いに板厚方向で対向させて環状に配列した多数のエレメント1のうち、互いに隣り合っているエレメント1同士の幅寸法Wの差異である。
【0047】
こうして求められたエレメント幅隣接差異ΔWが、予め設定されている判定しきい値δ未満か否かが判断される(ステップS3)。そして、そのステップS3で肯定的に判断されれば、エレメント幅隣接差異ΔWが判定しきい値δ以上の箇所がないことになるので、良品判定される(ステップS4)。これとは反対に、ステップS3で否定的に判断された場合には、無端金属ベルト3のいずれかの箇所のエレメント幅隣接差異ΔWが判定しきい値δ以上に大きいことになり、その結果、不良品判定がなされる(ステップS5)。
【0048】
前述したように、隣接するエレメント1同士の幅寸法が大きく相違していると、一方のエレメント1の首部8に大きい圧縮力が作用し、かつ他方のエレメント1の首部8に大きい引っ張り力が作用し、これが原因で無端金属ベルト3の耐久性が低下する。これに対して上記の品質検査装置およびこれを用いた品質検査方法では、このような圧縮力や引っ張り力が生じる可能性のある無端金属ベルト3を不良品として排除することができる。しかも、基準面盤22に無端金属ベルト3をセットした状態で回転させることにより、全てのエレメント1について検査することができ、さらには分解して検査するものではないから、いわゆるインラインでの全数検査が可能である。したがって不良品を確実に排除することができる。
【0049】
なお、本発明の発明者等の知見によれば、基準を超えた大きい幅寸法のエレメントと基準以下の小さい幅寸法のエレメントとが、「大・小・大」の順序に並んでいる場合に無端金属ベルト3の耐久性が大きく損なわれる。したがってこのような不良の検出は、以下のようにしておこなえばよい。
【0050】
図5において、先ず、前記変位測定センサ42によってエレメント1の幅寸法Wを測定し(ステップS11)、その測定結果に基づいて隣接するエレメント1の幅寸法の差異ΔWを演算する(ステップS12)。そしてその幅寸法の差異ΔWが規格以下か否か(ΔW≦γ)が判断される(ステップS13)。エレメント1の幅寸法の隣接差異ΔWが規格内に収まっていてステップS13で肯定的に判断された場合には、その無端金属ベルト3について良品判定がおこなわれる(ステップS14)。
【0051】
これに対して幅寸法の隣接差異ΔWが規格を外れていることによりステップS13で否定的に判断された場合には、規格を外れている隣接差異ΔWが連続しているか否かが判断される(ステップS15)。規格を外れている隣接差異ΔWが連続する一般的な例は、連続する3枚のエレメント1のうち中央の1枚の幅寸法がその前後(もしくは左右)のものに比較して小さい場合(図6の(A)の例)、および中央の1枚の幅寸法がその前後(もしくは左右)のものに比較して大きい場合(図6の(B)の例)である。これらの場合には、ステップS15で肯定的に判断される。これに対して、例えば幅寸法Wが測定順序に次第に大きくなった後、規格を超える隣接差異ΔWをもって幅寸法Wが小さくなり、その後、規格内の隣接差異ΔWをもって幅寸法が次第に増大するような場合には、規格を超える隣接差異ΔWが連続しないので、ステップS15で否定的に判断される。そして、規格を超える隣接差異ΔWが連続していないことによりステップS15で否定的に判断された場合には、その無端金属ベルト3について良品判定がおこなわれる(ステップS14)。
【0052】
これとは反対に、規格を超える隣接差異ΔWが連続していることによりステップS15で肯定的に判断された場合には、幅寸法Wが「大・小・大」の順序になっているか否かが判断される(ステップS16)。隣接差異ΔWで言えば、「−ΔW(<−γ)・+ΔW(>+γ)」の順になっているか否かが判断される。図6の(A)に示す例がこれに該当し、その場合には、ステップS16で肯定的に判断されてその無端金属ベルト3について不良品判定がおこなわれる(ステップS17)。これに対して例えば図6の(B)に示すように、隣接差異ΔWが規格を超えているものの、幅寸法Wが「小・大・小」の順序に並んでいる場合には、ステップS16で否定的に判断され、その場合には、良品判定がおこなわれる(ステップS14)。
【0053】
図14を参照して説明したように、3枚並んだエレメント1のうち、中央のエレメント1の幅寸法がその左右のものより小さい場合には、中央のエレメント1における首部8に引っ張り力が作用し、その耐久性に支障をきたす可能性が高くなる。したがって図5に示す品質検査方法では、このような不良のある無端金属ベルト3を不良品として排除することになる。これに対して図15を参照して説明したように、3枚並んだエレメント1のうち中央のエレメント1の幅寸法がその前後(もしくは左右)のものより大きい場合には、前後(もしくは左右)のエレメント1における首部8に引っ張り力が作用するが、その荷重が2枚のエレメント1に分散されるために、耐久性に支障をきたす可能性が低い。そのため、図5に示す品質検査方法ではこのような幅寸法の狂いのある無端金属ベルト3を良品として判定する。
【0054】
上述したようにこの発明による検査方法あるいは検査装置では、隣接するエレメントの幅寸法の差異に基づいて無端金属ベルトの良否を判定するから、エレメント自体に不良がなくても、その配列が原因となって無端金属ベルトが不良品と判定されることがある。このような無端金属ベルトは、そのエレメントの配列を変更することにより不良判定の原因が取り除かれる。そこでこの発明では、不良判定された無端金属ベルトについて以下の方法を施す。
【0055】
前述したように無端金属ベルトの不良判定の一例は、図7の(A)に示すように、隣接するエレメント1の幅の差異すなわち隣接差異ΔWが所定の判定しきい値δより大きくなっている場合である。より具体的には、エレメント1が符号aから符号iを付してあるように配列して組み付けられており、そのうちの符号bから符号eまでのエレメント1の幅が次第に増大し、かつ符号fのエレメント1の幅が、符号bのエレメント1の幅よりも小さく、この符号fのエレメント1から符号hのエレメント1に掛けて次第に幅が増大している場合、符号eのエレメント1と符号fのエレメント1との間で隣接差異ΔWが所定のしきい値δを超えている。このような無端金属ベルト3は、隣接差異ΔWの測定結果に基づいて不良品と判定される。
【0056】
この不良判定された無端金属ベルト3について、エレメント1の並び替えをおこなう。その一例は、図7(B)のとおりであって、符号bのエレメント1と符号eのエレメント1とを互いに入れ替え、エレメント1の配列を、符号a,e,c,d,b,f,g,h,iの順にする。こうすることにより、幅の最も大きい符号eのエレメント1が、符号fのエレメント1よりも幅の大きい符号aのエレメント1と符号cのエレメント1との間に位置し、かつ幅が最も小さい符号fのエレメント1が、符号fのエレメント1よりも幅の小さい符号bのエレメント1と符号gのエレメント1との間に位置することになるので、隣接差異ΔWがしきい値δを超える箇所が解消される。
【0057】
このようにしてエレメント1の配列を隣接するエレメント1の幅の差異が小さくなるように変更する並び替えをおこなった後、再度、前述したエレメント幅の測定およびその隣接差異の検出、ならびにその検出結果に基づく良否判定をおこなう。そして、隣接差異がしきい値δを超えている箇所があることにより、不良判定がおこなわれた場合には、再度、エレメント1の並び替えをおこなう。このような作業を複数回おこなっても良品判定がなされない場合には、廃棄処理することとすればよい。
【0058】
無端金属ベルトの不良判定の他の例は、図8の(A)に示すように、所定のエレメント1の幅がこれに隣接する左右のエレメント1の幅より小さく、その隣接幅ΔWが、共に規格γを超えている場合である。より具体的には、符号aから符号iを付してあるようにエレメント1が配列して組み付けられており、そのうちの符号bから符号eまでのエレメント1の幅が次第に増大し、かつ符号fのエレメント1の幅が、符号aのエレメント1および符号bのエレメント1の幅よりも小さく、この符号fのエレメント1に隣接する符号gのエレメント1の幅が符号eのエレメント1程度に大きく、この符号gのエレメント1から符号iのエレメント1に掛けて次第に幅が減少している場合、符号e,f,gのエレメント1の箇所で、幅が「大・小・大」の順に変化し、その隣接差異が規格γを超えている。このような無端金属ベルト3は、隣接差異ΔWの測定結果に基づいて不良品と判定される。
【0059】
この不良判定された無端金属ベルト3について、エレメント1の並び替えをおこなう。その一例は、図8(B)のとおりであって、幅の小さい符号fのエレメント1を、これに近似した幅を持つ符号aのエレメント1と符号bのエレメント1との間に移動し、エレメント1の配列を、符号a,f,b,c,d,e,g,h,iの順にする。こうすることにより、幅の最も大きいエレメント1同士(符号eと符号gのエレメント1)が互いに隣接し、かつ幅の小さい符号fのエレメント1がこれに近い幅のエレメント1の間(符号aのエレメント1と符号bのエレメント1との間)に配置され、その結果、隣接差異ΔWが規格γを超え、かつ幅の変化が「大・小・大」となる箇所が解消される。
【0060】
このようにして隣接するエレメント1の幅の差異が小さくなるようにエレメント1の配列を変更する並び替えをおこなった後、再度、前述したエレメント幅の測定およびその隣接差異の検出、ならびにその検出結果に基づく良否判定をおこなう。そして、隣接差異が規格γを超え、かつ幅の変化が「大・小・大」となっている箇所があることにより、不良判定がおこなわれた場合には、再度、エレメント1の並び替えをおこなう。このような作業を複数回おこなっても良品判定がなされない場合には、廃棄処理することとすればよい。
【0061】
上述した方法をフローチャートで示せば、図9のとおりである。すなわち、先ず、エレメント幅Wの測定をおこない(ステップS21)、その測定値の基づいて隣接差異ΔWを演算する(ステップS22)。そして、その演算結果に基づいて無端金属ベルト3の良否の判定をおこなう(ステップS23)。このステップS23での良否の判定は、図3もしくは図5を参照して説明した方法でおこなえばよい。このステップS23で良品判定された場合には、この図9に示すルーチンを終了し、これとは反対に不良品判定された場合には、エレメント1の並び替えをおこなう(ステップS24)。その例は、上記の図7あるいは図8を参照して説明したとおりである。そして、再度、ステップS21に戻り、エレメント幅Wの測定ないし良否判定(ステップS23)の工程をおこなう。
【0062】
このように不良の原因となっているエレメント1の並び替えをおこなうことにより、多くの場合、その不良の原因が解消されるので、その無端金属ベルト3については良品判定が成立する。その結果、生産される無端金属ベルト3の全体に対する良品の判定率すなわち品質検査の合格率が高くなり、廃棄される部品数が減少して歩留まりを向上させることができる。
【0063】
上述したエレメント1の並び替えをおこなう場合、配列を変えるべきエレメント1を事前に検出もしくは特定する必要がある。そのための装置の一例を図10に示してある。ここに示す装置は、前述した図1に示す装置を改良したものであって、変位測定センサ42にリンクしてマーカ47が設けられている。このマーカ47は、要は、所定のエレメント1にマークを付するものであって、例えばペイントをスポット的に噴射するペイントマーカが採用されている。
【0064】
そして、このマーカ47は、変位測定センサ42に対する予め決められた相対位置に配置されており、具体的には、図10に示す例では、変位測定センサ42に対し、測定進行方向での後方側(無端金属ベルト3の周回方向での前方側)で、かつエレメント1の所定枚数分(例えば2枚分)の間隔を空けた位置に配置され、変位測定センサ42と同一のブラケット48によって保持されている。さらにこのマーカ47は、変位測定センサ42の測定結果に基づいて電気的に制御されるように構成されている。具体的には、無端金属ベルト3の不良判定の原因となる隣接差異ΔWが演算された場合、その隣接差異ΔWを生じさせているエレメント1にマーキングするように構成されている。
【0065】
図10に示す例に則して説明すれば、符号fで示すエレメント1の幅が小さいことにより、これが原因で隣接差異ΔWが大きく、無端金属ベルト3の不良判定がおこなわれている場合、図10(A)に示すように、変位測定センサ42がその符号fのエレメント1の幅(高さ)を検出して隣接差異ΔWの演算をおこなった後、図10(B)に示すように、エレメント1の2枚分、無端金属ベルト3が周回方向に移動した時点で、マーカ47に信号が出力されてその符号fのエレメント1にマーキングを施すようになっている。
【0066】
したがって、図10に示す構成の装置によれば、無端金属ベルト3の不良品判定の原因となる箇所が、そのエレメント1の幅寸法の測定時に検出され、かつ表示が付されるので、不良箇所あるいはそれを解消するために並び替えるエレメント1を容易に特定することができる。
【0067】
なお、この発明は上述した具体例に限定されないのであって、無端金属ベルトを構成するエレメントの形状は図11あるいは図13に示す形状以外の形状であってもよい。また、上記の例では、エレメント幅の隣接差異に基づいて良否の判定をおこなうように構成したが、これと併せてエレメント幅が基準範囲内か否かに基づいて良否の判定をおこなうこととしてもよい。さらに、エレメント幅の隣接差異に基づいて無端金属ベルトの良否の判定をおこなう場合、エレメント幅の測定部位は、ピッチ線を外れた箇所で幅寸法を測定することとしてもよい。その幅寸法の測定には、上述した非接触式のセンサに替えて、接触式センサを用いることとしてもよい。そして、上記の具体例では、無端金属ベルトを構成しているエレメントの全てについて幅寸法を測定し、また隣接差異を求めることとしたが、この発明では、無端金属ベルトを構成するエレメントの内の一部のエレメントについて幅寸法を測定し、また隣接差異を求め、その結果に基づいて良否の判定をおこなうこととしてもよい。
【0068】
さらにまた、この発明におけるマーカは、要は、変位測定センサに対して所定の位置関係が配置されていればよいのであって、被検体である無端金属ベルトとの相対移動方向で変位測定センサと同位置に設けてあってもよく、あるいはその保持の手段は、変位測定センサとは異なる手段であってもよい。また、そのマーキングは、要は、不良箇所を特定するためにおこなうのであるから、不良個所にマークを付して他の箇所と区別する替わりに、不良箇所以外にマークを付して不良箇所を特定するようにしてもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、所定のエレメントを挟み付けている前後両側のエレメントとの幅寸法の差異が求められ、前後両側のエレメントの幅寸法が所定値以上に大きい場合に、その無端金属ベルトが不良とされるので、無端金属ベルトの使用中にその半径方向に向けて生じる引っ張り力や圧縮力に影響する要因に基づいて品質素性の良否の判定をおこなうことになり、その結果、より正確な品質検査をおこなうことができる。
【0071】
また、請求項2の発明によれば、無端金属ベルトを基準面上に真円状態に配置するので、その無端金属ベルトを構成している複数のエレメントの幅方向の位置もしくは高さに対する前記基準面上での位置の影響を排除でき、そのため、隣接するエレメントの幅寸法の差異を正確に求め、精度のよい隣接差異の測定をおこなうことができる。
【0072】
さらに、請求項3の発明によれば、エレメント自体に不良がなく、その相対位置関係が原因となって無端金属ベルトの不良が判定された場合に、エレメントの相対位置を変えるべくその並び替えをおこなうことにより、無端金属ベルトの不良要因が解消されるので、無端金属ベルトの良品判定率すなわち合格率を高めることができ、ひいては無端金属ベルトの生産性を向上させることができる。
【0073】
一方、請求項4の発明によれば、無端金属ベルトを構成している各エレメントの一方の側面を測定用シーブ面に密着させ、かつその状態を押圧張り出し部材によって半径方向で外側に向けた荷重をかけることにより維持するので、エレメントの幅寸法やその隣接差異を正確に測定でき、ひいては無端金属ベルトの耐久性に関係する品質を保証することが可能になる。
【0074】
また、請求項5の発明によれば、無端金属ベルトの全周に亘って均等に半径方向で外側に押圧でき、その結果、各エレメントの一方の側面を測定用シーブ面に接触させることができるので、エレメントの幅寸法もしくは隣接するエレメントの幅寸法の差異を正確に測定することができる。
【0075】
さらに、請求項6の発明によれば、無端金属ベルトのエレメントを測定用シーブ面とガイド部材とによって挟みつけることにより、無端金属ベルトの測定用シーブ面上での姿勢を真円状態に保持して測定誤差を抑制でき、その結果、各エレメントの幅寸法もしくは隣接するエレメントの幅寸法の差異を正確に測定することができる。
【0076】
そして、請求項7の発明によれば、各エレメントの測定用シーブ面からの高さの測定結果が、エレメントにマーキングされるので、そのマークに基づいて無端金属ベルトにおける不良箇所を容易に特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る品質検査装置の一例を示す概略的に断面図である。
【図2】その押圧張り出し部材であるOリングでエレメントを押圧している状態を示す部分図である。
【図3】図1に示す装置を使用したこの発明の品質検査方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】エレメント幅の隣接差異を説明するための図である。
【図5】図1に示す装置を使用したこの発明の品質検査方法の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図6】規格を超えたエレメント幅の隣接差異が連続して生じている例を示す図である。
【図7】隣接差異の不具合箇所を解消するためのエレメントの並び替えの一例を説明するための図である。
【図8】隣接差異の不具合箇所を解消するためのエレメントの並び替えの他の例を説明するための図である。
【図9】不良箇所の解消のためのエレメントの並び替えの手順を説明するフローチャートである。
【図10】この発明に係る装置におけるマーカの一例を示す部分的な模式図である。
【図11】無端金属ベルトの一例を説明するための部分斜視図である。
【図12】その無端金属ベルトの全体的に構成を示す斜視図である。
【図13】そのエレメントを示す正面図である。
【図14】規格を超えたエレメント幅の隣接差異が生じている一例における荷重の発生状態を説明するための図である。
【図15】規格を超えたエレメント幅の隣接差異が生じている他の例における荷重の発生状態を説明するための図である。
【符号の説明】
1…エレメント1、 2…フープ、 3…無端金属ベルト、 4…シーブ、 5…シーブ面、 6…対シーブ摩擦面、 10…サドル面、 22…基準面盤、25…測定用シーブ面、 32…Oリング、 35…ガイド部材、 36…押圧面、 42…変位測定センサ、 47…マーカ。

Claims (7)

  1. 幅方向の両側面をシーブ面に接触させる複数のエレメントを、その板厚方向に並べて環状のフープに通すことにより構成された無端金属ベルトの品質検査方法において、
    前記フープに通されて環状に配列されている互いに隣接するエレメントの幅寸法の差異を求め、その差異が予め定めた値以上であり、かつ幅寸法が大・小・大の順序となるようにエレメントが配列されていることが判定された場合に前記無端金属ベルトの不良を判定することを特徴とする無端金属ベルトの品質検査方法。
  2. 記エレメントの一方の側面が基準面に接触した状態に前記無端金属ベルトを前記基準面上に配置し、かつその無端金属ベルトを真円状態として、前記エレメントの幅寸法の差異を測定することを特徴とする請求項1に記載の無端金属ベルトの品質検査方法。
  3. 記無端金属ベルトの不良が判定された場合に、その無端金属ベルトにおける隣接するエレメントの幅寸法の差異が小さくなるようにエレメントの並び替えをおこなった後、再度、前記隣接するエレメントの幅寸法の差異を求め、その差異に基づいて前記無端金属ベルトの品質素性の良否を判定することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の無端金属ベルトの品質検査方法。
  4. 幅方向の両側面をシーブ面に接触させる複数のエレメントを、その板厚方向で互いに対面させて環状に配列し、かつそれらのエレメントのサドル部に環状のフープを外嵌させることにより構成された無端金属ベルトに用いられ、エレメントがフープにより結束されて無端金属ベルトに構成された状態でその無端金属ベルトの品質検査をおこなう無端金属ベルトの品質検査装置において、
    前記エレメントの一方の側面を接触させる測定用シーブ面を有する基準面盤と、
    前記エレメントの一方の側面を前記測定用シーブ面に接触させ、かつ前記サドル部を前記フープの内周面に密着させるように前記無端金属ベルトの内周面を半径方向で外側に押圧する押圧張り出し部材と、
    この押圧張り出し部材によって前記無端金属ベルトを半径方向で外側に押圧した状態で、前記エレメントの前記測定用シーブ面からの高さを測定する変位測定センサと
    を備えていることを特徴とする無端金属ベルトの品質検査装置。
  5. 前記押圧張り出し部材の押圧部が、弾性部材によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載の無端金属ベルトの品質検査装置。
  6. 記測定用シーブ面と同一軸線上に配置されるとともにその測定用シーブ面と対を成すシーブ面状の押圧面を有し、前記基準面盤上に配置された前記無端金属ベルトのエレメントにおける他方の側面を前記押圧面で押圧して前記無端金属ベルトを真円状態とするガイド部材を更に備えていることを特徴とする請求項4もしくは5に記載の無端金属ベルトの品質検査装置。
  7. 記変位測定センサによる測定結果を表すマークを、その測定結果を生じた前記エレメントに付するマーカを更に備えていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の無端金属ベルトの品質検査装置。
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