JP3593846B2 - 繊維布帛の仕上げ加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工ムラのない均一性に優れた繊維布帛の仕上げ加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、繊維布帛の仕上げ加工においては、処理液に浸漬した後、パッディング、乾燥、必要に応じて熱処理を行うのが一般的である。この際、タフタや羽二重など布帛表面がフラットであり、パッディング時の絞り率が小さい布帛は、パッディング後ガイドロールに接触することにより布帛表面に付着している仕上げ加工剤がこすられてムラ付きしやすいのが現状である。また、黒や紺といった濃色に染色された布帛については仕上げ加工のムラが目立ちやすく、特に深色効果のある低屈折率化合物、例えばシリコン化合物やフッ素系化合物を付与する場合、染色に匹敵する均一性が要求されるが、均一加工は難しく、加工欠点が発生しやすいという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するため、パッディングした後、ガイドロールに接触させることなく、ノンタッチで乾燥する加工マシンの開発等が行われているが、樹脂成分のマイグレーションの問題などもあり、根本的な解決には至っていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ムラがなく、均一に繊維用仕上げ処理剤を繊維布帛に付与することのできる仕上げ加工方法を提供することを目的とする。
【0005】
【問題を解決するための手段】
本発明繊維布帛の仕上げ加工方法の一態様は、アルカリイオン水と繊維用仕上げ処理剤を含むpHが10〜13である処理液に繊維布帛を浸漬した後、パッディング、乾燥して、前記繊維用仕上げ処理剤を前記繊維布帛に付与することを特徴とする繊維布帛の仕上げ加工方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明における繊維布帛とは、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合成繊維、羊毛、絹、木綿、麻等の天然繊維のいずれでもよく、勿論これらが混紡または交編織されていてもよく、不織布であっても差し支えない。
【0008】
これらのうち、特に、タフタや羽二重など、布帛表面がフラットであり、かつ、布帛の目付けが150g/m2以下である薄地の布帛を用いるのが、特に顕著に効果を発揮できて好ましい。
【0009】
本発明は、アルカリイオン水と繊維用仕上げ処理剤を含む、pHが10〜13である処理液を用いるものである。
【0010】
アルカリイオン水を用いないと、繊維束内部への繊維用仕上げ処理剤の浸透性が劣って、均一性が改善されない。
【0011】
ここで、アルカリイオン水とは、飲料水を電気分解した後、隔膜処理により電子を過剰にしたもののことをいい、実質的に金属塩を含まず、pHが10〜13の範囲のものが好ましい。
【0012】
本発明で用いる繊維用仕上げ処理剤とは、特に限定されるものではなく、風合い加工剤、柔軟仕上げ剤、帯電防止剤、防炎剤、抗菌防臭加工剤、消臭剤など染色後、仕上げ加工の際に使用される加工剤のことをいう。
【0013】
また、繊維用仕上げ処理剤の耐久性を向上させるためアミノプラスト樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などを併用してもよい。
【0014】
繊維用処理剤のうち、とりわけ深色効果の出やすいシリコン系化合物および/またはフッ素系化合物を加工剤として用いる際に、本発明は、特に顕著に効果を発揮でき好ましい。
【0015】
ここで、シリコン系化合物とは、一般に撥水剤あるいは柔軟剤として使用されているシリコン系撥水剤を適宜選択して使用することができるが、たとえばジメチルポリシロキサンやジメチルポリシロキサン分子末端や側端に水酸基、アミノ基、水素、エポキシ基、ポリエーテル基などを導入することによって変性したポリシロキサン化合物などのオイルあるいはエマルジョンなどを用いることができる。
【0016】
また、フッ素系化合物とは、炭素数が3から21であるポリフルオロ基またはポリフルオロアルキル基を有するビニル単量体のみの単独重合により製造されるものや、前記ビニル単量体とポリフルオロ基やポリフルオロアルキル基を有しない他のビニル単量体との共重合により製造されるものを用いることができる。
【0017】
処理液を調液する際、上記仕上げ加工剤をアルカリイオン水のみで希釈するのが好ましいが、処理液のpHが10〜13の範囲であれば水道水等を混合しても差し支えない。pHが10未満になると均一加工性は大きく低下する問題がある。また、pHが13を越える調整はアルカリイオン水だけでは困難であり、水酸化ナトリウム等の強アルカリを使用する必要がある。強アルカリを使用することは、加工時の作業者の保護具装着が必須になったり、作業後の加工マシンの清掃が必須になったりと作業が非常に煩雑になる。
【0018】
アルカリイオン水を用いずpH10〜13に調製するため強アルカリを使用することも作業者の安全を確保する上で非常に作業が煩雑になる上、均一加工性の効果は得られにくい。
【0019】
本発明は、該処理液に繊維布帛を含浸させ、パッディング、乾燥することにより、特別なマシンを使用することなく、均一な仕上げ加工品を得ることができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、実施例中の性能評価はつぎの方法で行った。
【0021】
[加工布の品位判定]
外観を肉眼により次の3段階に判定した。
【0022】
W0:樹脂の付着ムラがなく良好
W1:樹脂の付着ムラが若干あり不良
W2:樹脂の付着ムラが多くあり極めて不良
[撥水性評価]
JIS−L 1079法(スプレー法)で評価した。
【0023】
[PH測定方法]
処理液のPHは、次の測定器で下記の手順で測定した。
【0024】
測定器:コンパクトPHメーターTwin((株)堀場製作所製)
手 順:(1)フタル酸塩PH標準液PH6.89,PH4.01(25℃)を用い、PHメーターの校正を行った。
【0025】
(2)処理液を25℃に調整し、PHメーターを処理液に浸漬し、1分後のPHを読みとった。
【0026】
実施例1
75デニール24fフィラメントのポリエステル系繊維を用いたタフタ(目付け110g/m2)を常法により精練を行い次いで紺色に染色した。
【0027】
乾燥した後、アサヒガードAG−930(旭ガラス(株)製)50g/リットル、スミテックスレジンM−3(住友化学工業(株)製)3g/リットル、スミテックスアクセレレータACX(住友化学工業(株)製)2g/リットルをアルカリイオン水を用い、調液したpH12.06の処理液に浸漬し、絞り率40%でパッディングし、130℃で乾燥後180℃でヒートセットを行った。
【0028】
得られた繊維布帛の品位検査と撥水性の評価結果を表1に示す。
【0029】
実施例2
アルカリイオン水と水道水を6:4の割合で使用して調液し、pH10.85の処理液を使用する以外は実施例1と同様の処理を行った。
【0030】
得られた繊維布帛の品位検査と撥水性の評価結果を併せて表1に示す。
【0031】
比較例1
アルカリイオン水と水道水を1:9の割合で使用して調液し、pH8.62の処理液を使用する以外は実施例1と同様の処理を行った。
【0032】
得られた繊維布帛の品位検査と撥水性の評価結果を併せて表1に示す。
【0033】
比較例2
アルカリイオン水を使用せず、水道水を用い調液し、PH5.86の処理液を使用する以外は実施例1と同様の処理を行った。
【0034】
得られた繊維布帛の品位検査と撥水性の評価結果を併せて表1に示す。
【0035】
実施例3
タテ糸:50デニール18フィラメント、ヨコ糸:75デニール36フィラメントのポリエステルを用いた羽二重(目付け115g/m2)を常法により精練、アルカリ減量し、黒色に染色した。
【0036】
乾燥した後、トーレシリコーンSH8240(OH変性シリコーン:トーレダウコーニング(株)製)20g/リットル、NKガード FG−270(フッ素系撥水剤:日華化学(株)製)20g/リットル、スミテックスレジンM−3(住友化学工業(株)製)3g/リットル、スミテックスアクセレレータACX(住友化学工業(株)製)2g/リットルをアルカリイオン水と水道水を9:1の割合で使用して調液したpH11.57の処理液に浸漬し、絞り率45%でパッディングし130℃で乾燥後170℃でヒートセットを行った。
【0037】
得られた繊維布帛の品位検査と撥水性の評価結果を併せて表1に示す。
【0038】
比較例3
アルカリイオン水と水道水を7:3の割合で使用して調液し、pH8.66の処理液を使用する以外は実施例3と同様の処理を行った。
【0039】
得られた繊維布帛の品位検査と撥水性の評価結果を併せて表1に示す。
【0040】
比較例4
水道水と水酸化ナトリウムの混合液を使用し、pH11.23の処理液を使用する以外は実施例3と同様の処理を行った。
【0041】
得られた繊維布帛の品位検査と撥水性の評価結果を併せて表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、深色効果のある仕上げ加工剤などを用いて均一加工が困難な加工についても特別な装置を使用することなく、ムラのない均一性の高い仕上げ加工品を得ることができる。
Claims (4)
- アルカリイオン水と繊維用仕上げ処理剤を含むpHが10〜13である処理液に繊維布帛を浸漬した後、パッディング、乾燥して、前記繊維用仕上げ処理剤を前記繊維布帛に付与することを特徴とする繊維布帛の仕上げ加工方法。
- アルカリイオン水が実質的に金属塩を含まず、pHが10〜13の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の繊維布帛の仕上げ加工方法。
- 繊維用仕上げ処理剤がシリコン系化合物および/またはフッ素系化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維布帛の仕上げ加工方法。
- 繊維布帛の目付けが150g/m2以下であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の繊維布帛の仕上げ加工方法。
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JP11825197A JP3593846B2 (ja) | 1997-05-08 | 1997-05-08 | 繊維布帛の仕上げ加工方法 |
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JPH10310971A JPH10310971A (ja) | 1998-11-24 |
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JP11825197A Expired - Fee Related JP3593846B2 (ja) | 1997-05-08 | 1997-05-08 | 繊維布帛の仕上げ加工方法 |
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JP (1) | JP3593846B2 (ja) |
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1997
- 1997-05-08 JP JP11825197A patent/JP3593846B2/ja not_active Expired - Fee Related
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