JP3593404B2 - ゴム組成物とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえばゴルフボール用糸ゴム等の、強度と低エネルギーロス性と高反発性との高度なバランスが要求されるゴム製品を製造しうる、新規なゴム組成物と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴム製品を補強する場合、加硫前のゴムと、カーボンブラックやシリカ(ホワイトカーボン)等の補強材とを、たとえばインターナルミキサ等を用いて混練して、そのせん断力によって、ゴム中に補強材を練り込むのが一般的である。
かかる従来の補強方法(混練法)においては、補強材粒子の粒径が小さいほど補強効果が向上して、加硫後のゴム製品の強度が向上することが知られている。
【0003】
しかし、粒径の小さい補強材粒子ほど、ゴム中に練り込むのが困難であるため、上記混練法では、ゴム製品の補強効果に自ずと限界があった。
また上記混練法では、ゴムに対する補強材の添加量を多くするほど、加硫後のゴム製品の強度は向上するが、それにともなって損失係数tanδが大きくなって、ゴム製品の低エネルギーロス性が低下するとともに、ゴム製品の反発性が低下してしまういわゆるペイン効果が増大するという問題もあった。
【0004】
補強材としてシリカを使用する場合に、少量のシランカップリング剤を添加すると、当該シランカップリング剤を添加しない場合と比べてゴム製品の強度をさらに向上でき、かつ低エネルギーロス性を向上できることが知られているが、基本的に混練法によっている以上、その効果にも限界があった。またシランカプリング剤の添加では、ゴム製品の反発性の低下を防止できなかった。
【0005】
そこで近時、従来の混練法に代わるゴム製品の補強方法として、アルコキシシラン化合物からの、ゾル−ゲル法によるシリカの生成反応を利用した方法が提案された。
すなわち、ゴム製品を製造するいずれかの段階で、ゴム中にアルコキシシラン化合物を添加し、これを加水分解したのち重縮合させると、ゴム製品中に、混練法では練り込むことが困難な微小粒径のシリカ微粒子を生成、分散できるため、ゴム製品の強度を、混練法では実現困難であった高レベルまで向上できると考えられたのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、種々検討がなされているにも拘らず、ゾル−ゲル法によるシリカの生成反応を利用したゴム製品の補強方法では、現在のところ、必ずしも満足できる補強効果がえられていないのが現状である。
ゾル−ゲル法による従来のゴム製品の補強方法において、十分な補強効果がえられない原因としては、アルコキシシラン化合物や水、あるいは生成後のシリカ微粒子の、ゴムに対する親和性が必ずしも良好でないことが考えられる。
【0007】
たとえばゾル−ゲル法による従来の補強方法では、一般に、加硫後のゴム製品を、アルコキシシラン化合物および水を溶解しうる適当な溶媒で膨潤させて、当該ゴム製品中にアルコキシシラン化合物と水とを含有させることが行われている。
このため、アルコキシシラン化合物の含有量、ひいてはシリカ微粒子の含有量は、当該アルコキシシラン化合物と、ゴム製品を構成するゴムとの親和性によって大きく左右され、そのコントロールが容易でない。
【0008】
そして、とくにアルコキシシラン化合物との親和性が十分でないゴム(ほとんどのゴムがそうであるが)からなるゴム製品の場合は、アルコキシシラン化合物の含有量を、十分な補強効果がえられるほど多くできないため、当該ゴム製品に対する補強効果が十分にえられないことになる。
そこで、アルコキシシラン化合物の含有量をコントロールすべく、ゴム製品の架橋度を調整したり、溶媒を工夫したり、あるいは触媒を工夫したりする試みがなされているが、いずれも満足のゆくものではなかった。
【0009】
また、上記のようにアルコキシシラン化合物とゴムとの親和性が十分でない場合は、当該アルコキシシラン化合物をゴム中に均一かつ安定に含有させることができないため、ゴム製品に、シリカ微粒子の濃度の高いところと低いところとが生じたり、あるいは生成されるシリカ微粒子の粒径が大きくなったりするという現象も生じる。
【0010】
その結果、シリカ微粒子の濃度にばらつきが生じた場合は、濃度の低いところがゴム製品全体の強度向上の妨げとなり、またシリカ微粒子の粒径が大きくなった場合には、前述した小粒径化による補強効果が低下してしまい、いずれの場合にもゴム製品に対する補強効果が十分にえられないことになる。
さらにシリカ微粒子の、ゴムに対する親和性が十分でない場合には、衝撃によってゴムとシリカ微粒子との界面ではく離が生じやすくなる等、シリカ微粒子による補強効果が十分に発揮されないため、やはりゴム製品に対する補強効果が十分にえられないことになる。
【0011】
あるいはまた前述したように、あらかじめ加硫したゴム製品を、アルコキシシラン化合物および水を溶解しうる適当な溶媒で膨潤させて、当該ゴム中にアルコキシシラン化合物と水とを含有させる方法では、膨潤によるゴム中へのアルコキシシラン化合物と水との含有に時間がかかり、作業性に問題がある。
またとくに肉厚のゴム製品の場合は、たとえアルコキシシラン化合物や水の、ゴムに対する親和性が改善されたとしても、表層部と内部で、生成されるシリカ微粒子の濃度に差が生じてしまうという問題もある。
【0012】
このシリカ微粒子の濃度差を利用して、たとえば強度が厚み方向に傾斜したゴム製品や、表面のみが補強されたゴム製品等を製造できるという利点もあるが、逆に、シリカ微粒子の濃度が内部まで均質なゴム製品の製造は容易でない。
そこで吉海は、エマルジョン状態のジエンゴムラテックス中に、アルコキシシラン化合物と水とを添加して、ゾル−ゲル反応によりシリカ微粒子を生成することで、当該シリカ微粒子を、ジエンゴムラテックス中に分散させることを提案した〔(社)日本ゴム協会、1995年 年次大会、研究発表講演会、講演要旨 〕。
【0013】
この方法によれば、シリカ微粒子の、ゴム中へのより均質でかつ迅速な分散が可能となり、とくに補強効果の向上と作業性の改善が期待されたが、発明者らが検討したところによると、かかる方法で製造されたゴム製品は、低エネルギーロス性ならびに反発性の向上効果がいま一つ、十分でないことがわかった。
この発明の目的は、強度と低エネルギーロス性と高反発性との高度なバランスが要求されるゴム製品を製造しうる、新規なゴム組成物と、その製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための、この発明のゴム組成物は、シランカップリング剤によってゴム分子がグラフト改質されたジエンゴムラテックス中に、一般式(1) :
【0015】
【化2】
【0016】
〔式中、R1、R2、R3およびR4は、同一または異なる1価の有機基を示す。ただし、R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはアルコキシ基である。〕
で表されるアルコキシシラン化合物を添加し、ゾル−ゲル法によって、ジエンゴムラテックス中でシリカ微粒子を生成させて、当該ジエンゴムラテックス中に分散させた混合物からなることを特徴としている。
また、この発明のゴム組成物の製造方法は、シランカップリング剤によってゴム分子がグラフト改質されたジエンゴムラテックス中に、上記一般式 (1) で表されるアルコキシシラン化合物を添加し、ゾル−ゲル法によって、ジエンゴムラテックス中でシリカ微粒子を生成させて、当該ジエンゴムラテックス中に分散させることを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、シランカップリング剤によってゴム分子がグラフト改質されたジエンゴムラテックス中に、ゾル−ゲル法によってシリカ微粒子を生成して分散させているため、当該シリカ微粒子の原料であるアルコキシシラン化合物や水、あるいは生成したシリカ微粒子の、ゴム分子に対する親和性が向上し、その結果、上記シリカ微粒子のゴム中への分散性や、ゴムに対する親和性がさらに向上する。
【0018】
したがってこの発明によれば、混練法では実現できなかった高強度と低エネルギーロス性とを兼ね備えたゴム製品を製造することができる。
また発明者らが検討したところ、この発明で製造されるゴム組成物は、たとえシリカの含有量が増加しても、ゴム製品の高反発性を維持できることが明らかとなった。ペイン効果の主たる原因は、ゴム製品が衝撃を受けた際に、補強材の高次構造の崩壊が生じることにある。
【0019】
ところがこの発明で製造されるゴム組成物からなるゴム製品は、前記のようにゴム中に、微小でかつ平均した粒径のシリカ微粒子が均一に分散された特有の構造を有しており、衝撃によって崩壊する高次構造を有しないため、ペイン効果による反発性の低下が生じないのである。
したがってこの発明によれば、高強度、低エネルギーロス性で、しかも高反発性を有するゴム製品をえることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明を説明する。
この発明のゴム組成物は、ゴム分子がシランカップリング剤によってグラフト改質されたジエンゴムラテックス中に、前記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物から、ゾル−ゲル法によってシリカ微粒子を生成して分散させた後、真空乾燥等の方法でラテックスを乾燥させて固形化するこの発明の製造方法によって製造される。
【0021】
詳しくは、シランカップリング剤でゴム分子をグラフト改質したジエンゴムラテックスに、
▲1▼ アルコキシシラン化合物と水とを添加して、ゾル−ゲル法によってシリカ微粒子を生成して分散させ、次いで真空乾燥等の方法でラテックスを乾燥させて固形化した後、固形ゴム配合に用いる充てん剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、架橋剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等の各種添加剤を添加して混練するか、または、
▲2▼ 上記ラテックスに、ラテックス配合に用いる各種添加剤を添加して混合した後、アルコキシシラン化合物と水とを添加して、ゾル−ゲル法によってシリカ微粒子を生成して分散させ、次いでラテックスを乾燥させて固形化する
ことにより、この発明のゴム組成物が製造される。
【0022】
なお▲2▼の方法では、ラテックス配合用でない追加の添加剤を、ラテックスの乾燥後に添加して混練してもよい。また▲2▼の方法においては、ラテックスにアルコキシシラン化合物と水とを添加して、ゾル−ゲル法によってシリカ微粒子を生成して分散させた後、ラテックス配合に用いる各種添加剤を添加して混合してもよい。
【0023】
上記のようにして製造されたこの発明のゴム組成物を、従来同様に所定の形状に成形するとともに加硫すれば、高強度、低エネルギーロス性で、しかも高反発性を有するゴム製品が製造される。
ゴム組成物の原料であるジエンゴムラテックスとしては、天然ゴム(NR)ラテックス、解重合天然ゴム(DPNR)ラテックス、イソプレンゴム(IR)ラテックス、ブタジエンゴム(BR)ラテックス、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)ラテックス、クロロプレンゴム(CR)ラテックス等があげられる。
【0024】
上記のうちIRゴムラテックス以下の合成ゴムラテックスは、合成ゴム粒子の乳濁液であり、乳化重合により直接に製造されるものと、溶液重合でえた合成ゴムを水系に転相して製造されるもののいずれを使用してもよい。
上記ジエンゴムラテックス中のゴム分子をグラフト改質するために用いるシランカップリング剤としては、分子中に、ゴム分子とグラフト反応しうるアルコキシ基を有するとともに、その添加によってラテックスを不安定化させるおそれのないものが好適に使用される。
【0025】
より詳しくは、ジエンゴムラテックスが安定するpH値の領域が、ゴムの種類によって異なるが、およそpH3〜4程度の酸性、あるいはpH9〜10程度のアルカリ性であるため、その添加ならびにゴム分子へのグラフト化によってラテックスのpH値を上記領域外にずらすおそれのないシランカップリング剤が、好適に使用される。
【0026】
かかるシランカップリング剤としては、たとえメルカプトアルコキシシラン類、ビニルアルコキシシラン類、メタクリロキシアルコキシシラン類、アミノアルコキシシラン類、グリシドキシアルコキシシラン類等があげられる。
これらの中から、ラテックスのゴムの種類に応じて、前記の条件に適う、好適なシランカップリング剤が適宜選択される。たとえばSBRラテックスの場合は、メルカプトアルコキシシラン類が好適である。
【0027】
ジエンゴムラテックス中のゴム分子を、シランカップリング剤にてグラフト改質するには、ジエンゴムラテックスとシランカップリング剤とを、窒素等の不活性ガス雰囲気中で、水、重合触媒、界面活性剤等とともに、かく拌しつつ加熱して反応させればよい。この処理により、ジエンゴムラテックス中のゴム分子に、シランカップリング剤がグラフト結合して、上記ゴム分子がグラフト改質される。
【0028】
シランカップリング剤の添加量は、この発明ではとくに限定されないが、ジエンゴムラテックス中の固形分(すなわちゴム分子)100重量部に対して、2〜30重量部であるのが好ましい。
シランカップリング剤の添加量が上記範囲未満では、その添加効果が十分にえられず、高強度、低エネルギーロス性で、かつ高反発性のゴム製品を製造しうるゴム組成物がえられないおそれがある。また逆に、シランカップリング剤の添加量が上記範囲を超えても、それ以上の添加効果がえられず、添加したシランカップリング剤がむだになるおそれがあるだけでなく、過剰のシランカップリング剤がラテックスを不安定化させるおそれもある。
【0029】
なおシランカップリング剤の添加量は、上記範囲内でもとくに5〜20重量部であるのがさらに好ましい。
上記シランカップリング剤にて、ゴム分子がグラフト処理されたジエンゴムラテックスに添加されるアルコキシシラン化合物は、前述したように、一般式(1) :
【0030】
【化3】
【0031】
〔式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、同一または異なる1価の有機基を示す。ただし、R1 、R2 、R3 およびR4 のうち少なくとも1つはアルコキシ基である。〕
で表されるものである。
上記一般式(1) において、基R1 〜R4 に相当するアルコキシ基としては、たとえばメトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ、イソプロポキシ、ノルマルブトキシ、イソブトキシ、第2級ブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等の、炭素数1〜6のアルコキシ基があげられる。
【0032】
またアルコキシ基以外の1価の有機基としては、たとえばアルキル基、アリール基、アラルキル基等があげられる。
なお上記基R1 〜R4 は、前述したようにそのうちの少なくとも1つがアルコキシ基であれば、ゾル−ゲル反応によってシリカ微粒子を生成しうるが、生成されるシリカ微粒子の構造を、補強効果にすぐれた緻密なものとするには、基R1 〜R4 がいずれもアルコキシ基であるテトラアルコキシシラン化合物が、より好適に使用される。
【0033】
かかるテトラアルコキシシラン化合物の具体例としては、これに限定されないがたとえば、基R1 〜R4 がいずれもエトキシ基である、下記式(1−1) :
【0034】
【化4】
【0035】
で表されるテトラエトキシシラン(以下「TEOS」とする)が、製造や取り扱いの容易さ、あるいは水との反応性等の点から、好適に使用される。
アルコキシシラン化合物の添加量は、ゴム製品に要求される物性、とくに強度、エネルギーロス性、反発性等に応じて、最適な値を設定すればよい。
水は、アルコキシシラン化合物の加水分解反応を開始しうる程度の、少量の添加でよい。
【0036】
またこの発明では、アルコキシシラン化合物の加水分解、重縮合反応を促進する触媒として、アンモニア(NH3 )等を少量、添加することもできる。
アルコキシシラン化合物から、ゾル−ゲル法によって生成するシリカ微粒子の粒径は、とくに限定されないが、高強度、低エネルギーロス性でしかも高反発性のゴム製品をえるには、シリカ微粒子の粒径は120Å以下であるのが好ましい。シリカ微粒子の粒径を上記範囲内にするには、ゾル−ゲル反応を実施する際に、アルコキシシラン化合物をジエンゴムラテックス中にできるだけ均一に分散させておくことが必要である。このために、たとえばジエンゴムラテックスのかく拌速度を調整する等の方法が好ましい。
【0037】
なおシリカ微粒子の粒径は、上記範囲内でもとくに10〜100Åであるのが好ましく、20〜80Åであるのがさらに好ましい。
【0038】
【実施例】
以下にこの発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1
SBRゴムラテックス(固形分含量57重量%)と、当該ラテックス中の固形分(すなわちゴム分子)100重量部に対して122.3重量部の水と、20重量部のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔シランカップリング剤、信越化学(株)製の商品名KBC1003〕とを、5重量部の界面活性剤とともに、窒素雰囲気下でかく拌しつつ、60℃で5時間、反応させて、ラテックス中のゴム分子をグラフト改質した。
【0039】
つぎに、この改質されたSBRゴムラテックスに、171.4重量部のTEOSと、51.8重量部の水と、0.55重量部のアンモニアとを加え、かく拌しつつ、40℃で24時間、ゾル−ゲル反応させて、ラテックス中にシリカ微粒子を生成、分散させた。
そして上記SBRゴムラテックスを80℃で8時間、真空乾燥させて固形化した後、当該固形物100重量部に対して1重量部のジクミルパーオキサイド(架橋剤)を添加、混練して実施例1のゴム組成物を製造した。
比較例1
SBRゴムラテックスをシランカップリング剤でグラフト改質処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のゴム組成物を製造した。
実施例2
実施例1でえたのと同じ、シランカップリング剤でグラフト改質処理されたSBRゴムラテックスに、当該ラテックス中の固形分100重量部に対して1重量部のコロイド硫黄(加硫剤)と、1重量部の酸化亜鉛(充てん剤)と、1重量部の加硫促進剤とを添加して混合した後、さらに171.4重量部のTEOSと、51.8重量部の水と、0.55重量部のアンモニアとを加え、かく拌しつつ、40℃で24時間、ゾル−ゲル反応させて、ラテックス中にシリカ微粒子を生成、分散させた。
【0040】
そして上記SBRゴムラテックスを80℃で8時間、真空乾燥させて固形化して、実施例2のゴム組成物を製造した。
比較例2
SBRゴムラテックスをシランカップリング剤でグラフト改質処理しなかったこと以外は実施例2と同様にして、比較例2のゴム組成物を製造した。
比較例3
SBRゴムラテックスをシランカップリング剤でグラフト改質処理しなかったことと、TEOS、水およびアンモニア加えず、したがってゾル−ゲル反応によりラテックス中にシリカ微粒子を生成、分散させなかったこと以外は実施例2と同様にして、比較例3のゴム組成物を製造した。
【0041】
上記各実施例、比較例のゴム組成物から作製した厚み2mmのスラブシートを、160℃、30分の条件でプレス加硫して加硫ゴムシートを製造した後、この加硫ゴムシートについて、以下の各試験を行って、その特性を評価した。
物理特性試験
JIS K 6301「加硫ゴム物理試験方法」所載の引張試験方法に則って、引張強さTB (MPa)、伸びEB (%)、および300%伸長時の応力M300 (MPa)を測定した。
損失係数測定
実施例、比較例のゴム組成物から製造した加硫ゴムシートの損失係数tanδを、岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて測定した。測定の条件は、25℃、10Hz、せん断歪率±0.5%とした。
【0042】
以上の結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1の結果より、SBRゴムラテックスをグラフト改質処理せず、かつゾル−ゲル法によりシリカ微粒子を生成、分散させなかった比較例3のゴム組成物から製造された加硫ゴムシートは、強度が低く、低エネルギーロス性が不十分で、かつ反発性が低いことがわかった。
また、ゾル−ゲル法によりシリカ微粒子を生成、分散させたものの、SBRゴムラテックスをグラフト改質処理しなかった比較例1、2のゴム組成物から製造された加硫ゴムシートは、高強度でかつ高反発性であるが、低エネルギーロス性が十分でないことがわかった。
【0045】
これに対し実施例1、2のゴム組成物から製造された加硫ゴムシートはいずれも、高強度、低エネルギーロス性で、しかも高反発性を有することが確認された。
【0046】
【発明の効果】
以上、詳述したようにこの発明のゴム組成物は、シランカップリング剤によってゴム分子がグラフト改質されたジエンゴムラテックス中に添加したアルコキシシラン化合物から、ゾル−ゲル法によってシリカ微粒子を生成、分散させたものゆえ、高強度、低エネルギーロス性で、しかも高反発性を有している。よってこの発明のゴム組成物は、たとえばゴルフボール用糸ゴム等の、強度と低エネルギーロス性と高反発性との高度なバランスが要求されるゴム製品に広く使用できるという特有の作用効果を奏する。
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