JP3593061B2 - ピッキング防止金具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドアノブにカバーなどを外覆することによりドア錠のキー穴を閉鎖し、且つドアハンドルの回動を防止し、不正な者による開戸を防止するピッキング防止金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、巷で特殊な工具で鍵を開けるピッキングによる窃盗事件が急激に増加している。これは、日本住宅の鍵の多くが特殊な道具を使えば1分以内に開けることができてしまうディスクシリンダーを採用しているからである。そこでピッキングを防止する従来の技術として、防犯上の理由からワンドアツーロックの施錠が良いとされ、ドアのノブ自体にノブ用のカバーを用いて覆うことによってドアのノブ自体にツーロックを施すもので、カバー本体を2分割に成形し、外周部に設けられたヒンジ部である蝶番によって開閉自在に枢支し、閉じた状態にて当接対面する一対の孔を設け、ノブをカバーで覆った状態で前記孔に南京錠等で施錠するという防犯用のノブカバー、また、少なくとも使用状態においてドアノブを外覆する如く中空有底状の筒体よりなるノブカバー本体の開口部近傍に、前記ドアノブに取着した状態にて該ドアノブの握り部の奥側に位置する小径部に係合して、ノブカバー本体をノブより離脱不能と成す構造を有するドアの防犯用ノブカバー(特開平7−91117号公報参照)が存在している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術においては、ノブカバーを開閉自在にする際に使用する蝶番の軸芯が簡単にピッキングされてしまい、蝶番の部分からノブカバーを外されてしまい、ロックの意味をなさない事故が多数あるのが現状である。
【0004】
また、他の技術として記述されているノブカバーは少なくとも使用状態においてドアノブを外覆する如く中空有底状の筒体よりなるノブカバー本体の開口部近傍に、前記ドアのノブに取着した状態にて該ドアノブの握り部の奥側に位置する小径部に係合して、ノブカバー本体をノブより離脱不能と成す施錠装置を有するドアのノブカバーは、2分割されていないが、セットする上で施錠装置を押圧しなければならずワンタッチで覆うことはできない。しかもノブの中心に錠前が設けられたものには採用できるが、ノブとは別な場所に錠前があるドアでは使用することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、2分割された本体ではなく一体のものにし、しかも操作がドアノブに被せながら押し込むだけのワンタッチで行うことができ、さらにドアノブを全体的に覆っているため、破壊しない限りピッキング防止金具はノブに対して空転するので、ノブは回動されず結果的に不正な者による開戸を防止するピッキング防止金具を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題の解決を図ったもので、次のような技術手段を採用した。
請求項1記載の発明においては、ドアノブを外覆する形状を模った中空有底状の凸状筒体からなるノブカバー本体の開口部近傍に、前記ドアノブに取り付けた際、該ドアノブ握り部の奥側に位置する小径部に係合してノブカバー本体をドアノブより離脱不能になるように2ヶ以上の係止片、板バネ、案内部材、スプリングからなる係止部材を設け、ノブカバー本体をドアノブに取り付けるように押し込むだけでスプリングを押圧し、板バネを介して、前記係止部材の係止片がドアノブの小径部に突出してノブカバー本体をドアノブより離脱不能にできるという技術手段を採用した。
【0007】
請求項2記載の発明においては、一体のノブカバー本体は、ドアノブを外覆する形状を模った中空有底状の凸状筒体で、該中空有底状の凸状筒体は、小円筒部をドアノブ握り部より弱冠大きめの径にし、大円筒部には係止片、係止片を拡幅方向に付勢された板バネ、係止片の案内部材、伸縮スプリングからなる係止部材の係止片をノブカバー本体とドアノブが離脱可能になるように退避できるようにし、しかも、錠前がドアノブに設けられていない形式のドアにおける錠前部を覆うに必要な径の大きさにし、前記各係止片は板バネで円板と連結され、各係止片は、通常各係止片の案内部を介して拡幅状態に維持し、前記円板はノブカバー本体の小円筒部の内壁との間に設けた伸縮スプリングを介して押圧できるようにし、ノブカバー本体をドアノブに押し付けて覆せるようにすることで前記円板が押圧され、前記各係止片に取り付けられた各板バネを介して各係止片が各係止片の案内部をスライドして、各係止片はドアノブ握り部の奥側の小径部に入り込み離脱不能になり、この離脱不能の状態を維持するロック部材をどれか1個の係止片に設け、離脱可能にする際には、ドアノブの小径部より係止片を退避するように、前記どれか1個の係止片を離脱できるようにロック部材を解除することで行い、このロック部材と係止片との係脱にはリンク機構を介して施錠装置を設けるという技術手段を採用した。
【0008】
請求項3記載の発明においては、請求項2記載の発明に加えてピッキング防止金具をドアノブから取り外す時だけ施錠装置の鍵を用いて解錠する他は常時鍵を施錠装置から離脱しておけるように、施錠装置と係止片との連結を一部離してフリー状態を維持するという技術手段を採用した。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を添付図面で詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例であるドアノブを外覆する前の状態を示す縦断面図、図2はドアノブを外覆した状態を示す縦断面図、図3は部材の関係位置が分かるように一部を切り欠いて示す底面図である。
本発明の実施例としては、図10Aに示すようなノブ1に錠前2がついているドア、あるいは図10Bに示すようなノブ1と錠前2が別々の場所にあるドアに外覆して使用することによって不正な者による開戸を防止することができるものである。
【0010】
先ず、第一実施例について図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
第一実施例は、前述したように図10Aに示すようなノブ1に錠前2が付いているドア、及び図10Bに示すようなノブ1と錠前2が別々の場所にあるドアを対象としたピッキング防止金具である。
【0011】
ノブ1の形状を模ったノブカバー本体3は、アルミ、ステンレススチール、鉄板を塗装したもの等、金属を用いて板金、型絞り、鋳物製作したもの、または合成樹脂成形品で、ドアノブの形状に概略合わせて外覆する形状を有する中空有底状の凸状筒体4から成る。この凸状筒体4は、ノブ1の握り部1aより弱冠大きめの径の小円筒部6と、錠前2がノブ1に設けられていない形式のドアにおける錠前の部分も覆う大きさを有し、さらに係止片7がノブカバー本体3とノブ1とが離脱可能なように退避できるような大円筒部8が連続して形成された略凸字形の凸状筒体4である。
【0012】
そして、大円筒部8には小円筒部6と反対側に、ノブ1の取付板9を逃げるように開口部10をあけたリング状板11を別体、あるいは一体的に設ける。このリング状板11は、係止片7、板バネ12と案内部材13を組み立てたものをセットした後に設けることはいうまでもない。
【0013】
ここで、係止片7、板バネ12、案内部材13、スプリング14等からなる係止部材についてその構成を説明する。
先ず、案内部材13の一実施例について図8、図9に基づいて説明する。
金属板15を図8に示すように形成し、案内部材13を設ける数に合った折り曲げ片16を設ける。次に切れ目17を入れて、点線a、bで示した位置で順次折り曲げることにより断面形状略凹字形に案内部材13を形成する。この断面形状略凹字形の案内部材13は、上方が開口しているので係止片7が上方側にガタつくことがある。したがって、開口の一部をふさぐ折り曲げ片を形成すると、より良い。
【0014】
この案内部材13は2ヶ所以上設けるもので、中心から放射状に2ヶ所の場合は180度、3ヶ所の場合は120度、4ヶ所の場合は90度間隔で設けられるものである。この各個数と大円筒部8の径とで折り曲げ片16を計算して設ける。この案内部材13を折り曲げて形成した金属板15を図9に示すように、リング状に曲げて形成する。この案内部材13に角棒状(案内部材13を円筒状に折り曲げれば丸棒状でも良い)の係止片7がスライドできるように設けられ、該係止片7には板バネ12がノブ1の径と同一か少し大きめの円板18(これはノブ1で押されることができて、なおかつスプリング14が受けられる形状であれば、リング状でも良い)に2ヶ所以上設けてある。これは案内部材13を設ける数に合わせて固設され、この板バネ12は図1に示すように拡幅状態になるように付勢されている。また、円板18にスプリング14が受けられるようになっている。このスプリング14は伸長するように付勢されているので、この付勢力で板バネ12を介して係止片7が拡幅状態になっているものである。
【0015】
なお、案内部材13を断面凹字状でなく、筒状にした場合は、係止片7が案内部材13内をスライドする際、支障がないように板バネ12部分を逃がすための切り溝が設けられることはいうまでもない。
【0016】
この組立てたものを凸状筒体4の小円筒部6には、スプリング14、円板18、板バネ12の組み合わされた一部分が挿入され、大円筒部8内には、板バネ12の一部と案内部材13、係止片7の組み合わされた部分が挿入され、その後にリング状板11が凸状筒体4の大円筒部8側に形成されて開口部10に固設されてピッキング防止金具が形成されるものである。
【0017】
さらに、凸状筒体1の大円筒部8には、錠前19が各案内部材13間に取り付けられる。そして、錠前19の両側にある案内部材13のどちらか一方にスライドさせるように係止片7が設けられる。この係止片7には断面三角形状の切り欠き部20が形成される。この切り欠き部20には、図1に示すような台形状の係止部材21が入り込むように形成されている。そして、案内部材13の一部に設けた穴部25を介して前記台形状の係止部材21が入り込むようにバネ22で付勢されている。
【0018】
この台形状の係止部材21には、傾斜部24が切り欠き部20の傾斜部分と略合致するようになっているので、前記凸状筒体4からなるピッキング防止金具をノブ1にかぶせながらスプリング14に抗して押し込むと、円板18に固設された板バネ12の拡幅力に抗して収縮させようとすると、台形状の係止部材21は、傾斜部24と切り欠き部20の傾斜部分とでスライドしながらバネ22の伸長力に抗して収縮させながら、係止片7はドアノブ1握り部の奥側の小径部5に入り込み、図2に示すように台形状の係止部材21から外れ、バネ21の伸長力で突出して係止部材21の外側端部に係止される。このロック状態を解除するために、錠前19を鍵によって回転させると錠前19の回転部に固設された作動片23がバネ22に抗して押し下げ、凸状筒体4からなるピッキング防止金具を握って手前に引き出すと係止片7はフリーの状態になっているので、板バネ12とスプリング14の作用で拡幅する方向に案内部材13内をスライドして取り外すことができる。
【0019】
次に、第二実施例について図4〜図7に基づいて詳細に説明する。
第二実施例も、図10Aに示すようなノブ1に錠前2が付いているドア、あるいは図10Bに示すようなノブ1と錠前2が別々の場所にあるドアにおいてのピッキング防止金具である。
【0020】
前記第1実施例との違いは、錠前19の鍵を常時キーホルダ等に取り付けて持ち歩く場合に都合の良いもので、それは、錠前19の鍵によって回転させられる回転部に取り付けた作動片31が、直接台形状の係止部材21に固設されていない。図6、図7に示したように、図4のドアノブ1に本発明のピッキング防止金具を外覆して押し込む前の状態から、図5に示すようにドアノブ1にピッキング防止金具を外覆して押し込むと第1実施例と同様の作動をしてピッキング防止ができるようになるが、このとき、錠前19の回転部に取り付けられた第1作動片31は第2作動片32とフリー状態になっている。第2作動片32がヒンジ部33で回動して、バネ22を収縮して台形状の係止部材21を案内部材13の切り欠き部20から退避させる状態で係止片7が案内部材13をスライドして、ドアノブ1握り部の奥側に位置する小径部5に係合するように案内部材13から突出する。この際、第2作動片32が第1作動片31との連結がされていないために錠前19とは影響しない状態になっている。
【0021】
図5に示すようにピッキング防止金具がノブ1に外覆されロックされた状態から解除するには、錠前19の鍵で回転部を回転すると、回転部に固設された第1作動片31が第2作動片32をバネ22に抗して収縮させるように押し下げる。すると、台形状の係止部材21が係止片7の端部から退避した状態になるため、第1実施例と同様に凸状筒体4からなるピッキング防止金具は取り外すことができる。
【0022】
以上のようにピッキング防止金具をドアノブ1から取り外す時だけ鍵の回転で行え、その他の時には鍵は不要にできるので、鍵は常時キーホルダ等に取り付けて持ち歩くことができるものである。
【0023】
以上、本発明の実施例を説明したが、施錠の際に使用する錠前は、南京錠、番号合せのもの等、何にでも対応が可能であるが、防犯上のことを考慮すると、ピッキングがし難い空転タイプ(例えば 株式会社タキゲン製 商品番号C−298)といわれる錠を採用することが望ましい。それはシリンダーがそのキー以外の道具では空転するだけで開錠できないタイプだからである。
【0024】
また、係止片7をスライドさせるための板バネ12に換えて紐等で連絡して、係止片7を常にドアノブ1の奥側の小径部5から外れるようにスプリングで付勢しておくことも可能である。さらに、錠前2の取り付ける配置としては、各係止片7間に設けた実施例について説明したが、スペースを考慮してどれか1つの係止片7の部分に取り付けて、係止片7を1つ取り除いてしまう手段等もとることができるものである。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上の構成を採用した結果、次のような効果を得ることができる。
(1)ドアノブにかぶせるようにピッキング防止金具を押し込むだけでワンタッチで取り付けられるため、簡単にピッキングが防止できる。
(2)錠前の鍵を常に外した状態でピッキング防止金具を押し込むだけでワンタッチで取り付けられるため、取り付ける度に鍵を使用する必要がない。
(3)ノブの中心に錠前が設けられたドア、ノブと錠前が別々の場所にあるドアの両者に兼用してピッキング防止の機能を奏することができる。
(4)ピッキング防止金具を取り付けるだけならば、鍵を持っていない人でも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のピッキング防止金具における第1実施例のドアノブに外覆する前の状態を示す概略縦断面図である。
【図2】同ピッキング防止金具における第1実施例のドアノブに外覆した状態を示す概略縦断面図である。
【図3】同ピッキング防止金具における第1実施例の一部を開放して部材の関係位置を示す底面図である。
【図4】本発明のピッキング防止金具における第2実施例のドアノブに外覆する前の状態を示す概略縦断面図である。
【図5】同ピッキング防止金具における第2実施例のドアノブに外覆した状態を示す概略縦断面図である。
【図6】同ピッキング防止金具における第2実施例の一部を開放して部材の関係位置を示す底面図である。
【図7】同ピッキング防止金具における第2実施例で常時鍵を取り外した状態で操作できるように錠前と係止片との連動機構の一例を示す概略拡大説明図である。
【図8】係止片の案内部の製作例で板材を利用して型取りをするところを示す展開図である。
【図9】図8で示した板材を円筒状に曲げ、案内部を切り欠き部を介して折り曲げて形成したところを示す斜視図である。
【図10】各種ドアにおけるノブと錠前の関係を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1‥‥ノブ 2‥‥錠前
3‥‥ノブカバー本体 4‥‥凸状筒体
5‥‥小径部 6‥‥小円筒部
7‥‥係止片 8‥‥大円筒部
9‥‥取付板 10‥‥開口部
11‥‥リング状板 12‥‥板バネ
13‥‥案内部材 14‥‥スプリング
15‥‥金属板 16‥‥折り曲げ片
17‥‥切れ目 18‥‥円板
19‥‥錠前 20‥‥切り欠き部
21‥‥台形状の係止部材 22‥‥バネ
23‥‥作動片 24‥‥傾斜部
25‥‥穴部 31‥‥第1作動片
32‥‥第2作動片 33‥‥ヒンジ部

Claims (3)

  1. ドアノブを外覆する形状を模った中空有底状の凸状筒体からなるノブカバー本体の開口部近傍に、前記ドアノブに取り付けた際、該ドアノブ握り部の奥側に位置する小径部に係合してノブカバー本体をドアノブより離脱不能になるように2ヶ以上の係止片、板バネ、案内部材、スプリングからなる係止部材を設け、ノブカバー本体をドアノブに取り付けるように押し込むだけでスプリングを押圧し、板バネを介して、前記係止部材の係止片がドアノブの小径部に突出してノブカバー本体をドアノブより離脱不能にできるように構成したことを特徴とするピッキング防止金具。
  2. 一体のノブカバー本体は、ドアノブを外覆する形状を模った中空有底状の凸状筒体で、該中空有底状の凸状筒体は、小円筒部をドアノブ握り部より弱冠大きめの径にし、大円筒部には係止片、係止片を拡幅方向に付勢された板バネ、係止片の案内部材、伸縮スプリングからなる係止部材の係止片をノブカバー本体とドアノブが離脱可能になるように退避できるようにし、しかも、錠前がドアノブに設けられていない形式のドアにおける錠前部を覆うに必要な径の大きさにし、前記各係止片は板バネで円板と連結され、各係止片は、通常各係止片の案内部を介して拡幅状態に維持し、前記円板はノブカバー本体の小円筒部の内壁との間に設けた伸縮スプリングを介して押圧できるようにし、ノブカバー本体をドアノブに押し付けて覆せるようにすることで前記円板が押圧され、前記各係止片に取り付けられた各板バネを介して各係止片が各係止片の案内部をスライドして、各係止片はドアノブ握り部の奥側の小径部に入り込み離脱不能になり、この離脱不能の状態を維持するロック部材をどれか1個の係止片に設け、離脱可能にする際には、ドアノブの小径部より係止片を退避するように、前記どれか1個の係止片を離脱できるようにロック部材を解除することで行い、このロック部材と係止片との係脱にはリンク機構を介して施錠装置を設けるように構成したことを特徴とするピッキング防止金具。
  3. ピッキング防止金具をドアノブから取り外す時だけ施錠装置の鍵を用いて解錠する他は常時鍵を施錠装置から離脱しておけるように、施錠装置と係止片との連結を一部離してフリー状態を維持するように構成したことを特徴とする請求項2記載のピッキング防止金具。
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