JP3590056B1 - 鮮度保持容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストが安く、リサイクルが容易にでき、輸送中も安定して花き類を保持し、横倒し時も水が流出しにくい鮮度保持容器を提供することを課題とする。
【解決手段】鮮度保持容器1は、段ボールで形成された容器本体10と、その容器本体10に固定された袋部20とを備えている。容器本体10は、切り花などの花きを収容する収容口を兼ねる注水口11を有する蓋部12と、その蓋部12の両端に形成された一対の支持脚部13,13とを備えている。切り花41の切茎端部を袋部20内の水部分42に挿入する。切り花41の茎部分が蓋部12の注水口11部分の長舌片18,18と短舌片19,19とにより保持され、出荷箱40内において立てた状態で保持できる。
【選択図】図5

Description

本発明は、花き類の鮮度を保持する鮮度保持容器に関する。
従来、切り花、鉢植えの花き類の鮮度を保持するための容器として、段ボール、プラスチック及びそれらを組合せた種々の容器が使用されている。鮮度を保持して生産地から市場等へ輸送するには、花き類を立てた状態で輸送するのが最適である。例えば特許文献1に示すように、発泡プラスチックを用いて構成した輸送に適した容器の提案がある。
実開平7―6173号公報
しかしながら、特許文献1では発泡プラスチックを用いてコスト的にも高くなる問題があった。また、容器を受け取った側で再利用する場合を除いて、使用済みの容器を廃棄処分するときに、処理するのに適したものではなかった。さらに、水を入れたまま輸送中に容器が横倒しになることもあり、水漏れが発生するおそれもある。
本発明は上記した背景をもとになされたもので、コストが安く、リサイクルが容易にでき、輸送中も安定して花き類を保持し、横倒し時も水が流出しにくい鮮度保持容器を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するために本発明鮮度保持容器は、花き類を収容して輸送可能な外箱内に配置され、前記花き類の鮮度を保持する鮮度保持容器であって、
前記花き類の茎を収容する収容口を兼ねる注水口部分を有する蓋部と、その蓋部の両端部から下方に延びて当該容器を前記外箱内に据え置き可能とする両側の支持脚部とが、1枚の厚紙から門形状に曲げられて形成され、それら支持脚部が対向する方向と直角な方向に開放空間を有する容器本体と、
前記蓋部注水口部分に連通する注水口部分を有して前記蓋部の裏面に固定され、水を収容可能な非透水性シートで形成された可撓性を有する袋部と、を備え、
前記蓋部及び支持脚部が平面状に展開された状態の前記容器本体の前記蓋部裏面に、前記可撓性を有する袋部が扁平状に保持される非使用状態から、前記容器本体の前記蓋部の両側の支持脚部がそれぞれ内側に曲げ込まれて門形状に起立した使用状態となり、その状態で前記蓋部及び袋部の注水口部分から袋部内に水が注水されることにより袋部が前記開放空間において拡開し、かつ前記花き類の切茎端部が前記蓋部及び袋部の注水口部分を経て前記袋部内の水収容部分に挿入され、前記花き類の茎部分が前記蓋部の注水口部分で保持され、前記蓋部を前記支持脚部で支持し前記花き類を立てた状態で保持することを特徴とする。
上記本発明の鮮度保持容器は、外箱(例えば出荷箱)内に据え置かれ支持脚部で動かないようにした構造のため、輸送中などにも花き類を立てた状態で安定して保持できる。また、厚紙(例えば段ボール)と非透水性シート(例えばポリエチレン製シート)で形成された袋部とで鮮度保持容器が構成され、コスト的にも安くでき、かつ使用済みの容器を厚紙と袋とに分離すればリサイクルが容易にでき、厚紙を資源として再利用することも可能である。
具体的には、厚紙を折ることにより蓋部の両側に一対の支持脚部が形成することができ、蓋部をほぼ水平状態にして箱状の出荷箱内に容器本体を据え置き、一対の支持脚部の間に袋部が蓋部から垂下した状態に配置するようにできる。このように厚紙を折ることにより支持脚部を形成でき、製造コストを安くでき、また水が収容される袋部を一対の支持脚部で安定して支持でき、輸送中の振動などに対しても安定して支持できる。
また、蓋部は、蓋部の対向する側辺からそれぞれ中央寄りに離間した位置に区画線が形成され、その区画線に沿って開口するように蓋部側注水口部分を構成することができる。このように、蓋部に区画線(例えばミシン目又はスリット)が形成され、中央寄りに開口する蓋部側注水口部分を構成しており、容器が横倒し状態になったときに、蓋部の側辺から開口位置までの離間した部分が壁となり、袋部内の水が蓋の開口部分から外へ移動するのを阻止し、水が流出しにくい。また、区画線に沿って開口したときに、例えば蓋部に舌片が形成されるようにすることができ、この舌片で防止壁を形成すればさらに水の流出防止効果を高められる。
また、厚紙で形成し、一対の支持脚部を連結する連結部材を備えることができる。当該容器が横倒し状態のときに、連結部材は袋部の腹部に当接して袋部注水口側への水の移動を阻止する状態を呈することができる。このように、連結部材を設けることにより、支持脚部を補強するとともに、横倒し状態になったとしても連結部材が防水壁となり、前述の蓋部による防水壁と2重の壁が形成され、水が一層流出しにくい効果を奏する。
さらに、一対の支持脚部に切欠部をそれぞれ形成し、この切欠部に連結部材に形成した切欠部が係止し、支持脚部下端が相互に近づくように傾斜した状態に連結することができる。このように、支持脚部を傾斜した状態とすることにより、袋部の底部が狭められた状態となり水の無駄がなくなる効果を奏することができる。
厚紙に切込みを形成し、厚紙を折ることにより一対の支持脚部を形成する際に、蓋部の両側に突出する突出部を有する第1切起こし部を形成し、この第1切起こし部の突出部が出荷箱の両側壁に当接可能とすることができる。このように、第1切起こし部の突出部を形成することにより、出荷箱が比較的大きいタイプの場合に、厚紙を節約することができる。
また、厚紙に切込みを形成し、厚紙を折ることにより一対の支持脚部を形成する際に、第1切起こし部とは反対側の蓋部に、蓋部の両側に突出する突出部を有する第2切起こし部を形成し、この第2切起こし部を支持脚部側に折ることにより、支持脚部のそれぞれ端面に、第2切起こし部に形成された切欠部がそれぞれ係止し、一対の支持脚部を連結することができる。このように、第2切起こし部に切欠部を形成し折ることにより、支持脚部を補強することができ、比較的大きなタイプの出荷箱に適用すると好適である。
一方、袋部は、シート両端部で袋綴じし、重ね合わされた上のシート部分に区画線を形成し、その区画線に沿って開口するように袋部側注水口部分を構成し、水収容底部に溶着部分を有しないようにできる。
また、袋部は、相対向する腹部を谷折りし、袋側注水口を形成するミシン目を有した上のシート部分が蓋部に固定し、水を収容したときに谷折り部分が開き収容空間を形成するようにできる。
このように、袋部を形成することにより、水収容底部に溶着部分がないため底部からの水漏れのおそれが少ない。また、谷折りした袋形状により、折り畳まれた状態ではコンパクトでスペースをとらず、かつ開いたときに十分な水収容空間を確保できる。
蓋部側注水口部分を形成する区画線に沿って開口したときに同時に袋部側注水口部分を形成する区画線を切離し、蓋部側注水口部分に舌片を形成するようにできる。このように、蓋部側注水口部分を開くと連動して袋部側注水口部分を形成する区画線が切れ、作業性もよい。蓋部側注水口部分に形成される舌片が防水壁となるとともに、蓋部側注水口部分に挿し込まれる花きの茎部分を舌片が保持固定できる。
袋部側注水口の開口縁の縦方向及び横方向の幅は、蓋部側注水口の開口縁の縦方向及び横方向の幅よりも大であるとすることができる。
また、蓋部の下面における蓋部側注水口の開口周縁の外側に、袋部の重ね合わされた上のシートを、周状の接着面を有し固定することができる。
このように、蓋部側注水口の開口縁と袋部側注水口の開口縁とが構成され、袋部側の開口縁が大きい(蓋部側注水口の開口縁が小さい)ため、花き類の切茎端部で袋を破ったり、又は収容される花き類が例えばトゲを有した花きの場合であっても、トゲで袋を破ったりするおそれが少ない。
(実施例1)
以下、本発明の実施の形態につき、図面に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明の鮮度保持容器1の斜視図、図2は図1の鮮度保持容器の展開図、
図3は図2のA−A断面図である。鮮度保持容器1は、段ボール(厚紙)で形成された容器本体10と、その容器本体10に固定された袋部20とを備えている。
容器本体10は、切り花などの花きを収容する収容口を兼ねる注水口11を有する蓋部12と、その蓋部12の両端に形成された一対の支持脚部13,13とを備えている。袋部20は、柔軟性を有しかつ水を収容可能な非透水性シート(例えばポリエチレン製シート)で形成されている。
図2に示すように、容器本体10は、段ボールに設けられた折り目線14,14に沿って折り曲げることにより、蓋部12の両側に一対の支持脚部13,13が形成される。蓋部12には、対向する長辺15,15から中央寄りに離間した位置に、長辺15,15と平行なミシン目線16(区画線)が設けられている。このミシン目線16の両端には、それぞれ山形状(又は台形状)のミシン目線17,17(区画線)が設けられている。ミシン目線17,17は、それぞれその頂部領域においてミシン目線16とつながっている。
これらミシン目線16及び17,17部分を押し込むことにより、ミシン目線16及び17,17が切り離され開口し注水口11が形成される。ミシン目線16及び17,17が切り離されることにより、蓋部側注水口11部分に長舌片18,18(舌片)と短舌片19,19(舌片)とが形成される。なお、ミシン目線16及び17,17は、スリット(切り込み線)としてもよい。
図2及び図3で示すように、袋部20は、シート両端部が袋綴じ(綴じ部21,21)され、シート長手方向の相対向する腹部が谷折り(谷折り部22,22)され、上下にシート(上シート23,下シート24)が重ね合わされた状態に形成されている。上シート23には、長辺25,25から中央寄りに離間した位置に、長辺25,25と平行なミシン目線26(区画線)が設けられている。このミシン線26の両端には、ミシン目線26と直交するミシン目線27,27(区画線)が設けられている。これらミシン目線26及び27,27部分を押し込むことにより、ミシン目線26及び27,27が切り離され開口し袋部側注水口28が形成される。
袋部側注水口28の開口縁の縦方向及び横方向の幅は、蓋側注水口11の開口縁の縦方向及び横方向の幅よりも大になるように形成されている。すなわち袋部20のミシン目線26及び27,27の長さが、蓋部12のミシン目線16及び17,17の長さより大に形成されている。
そして、図4に示すように、蓋部12の下面における蓋部側注水口11の開口縁の外側に、袋部20の重ね合わされた上のシート23が、蓋部側注水口11と袋部側注水口28とが連通した状態で、接着部材(例えば接着のり)により固定されている。すなわち蓋部12と袋部20とが周状に接着面30を有し固定されている。
次に、袋部20の製造方法について説明する。
(1)断面が筒状(円筒状)のポリエチレン製シートの長尺のものを使用する。吹流し状態のシートの腹部両側から突き棒(又は突き板)を当てて予め谷折り部22,22を形成する。谷折り部22,22が形成されたシートは巻き取り装置に一旦巻き取られる。
(2)巻き取り装置から予め谷折り部22,22が形成された状態のシートを引出し、シート内の上のシート23の下面に所定大きさのミシン目形成用の下敷きとなる敷き板を配置する。この敷き板を下敷きにして上のシート23に刃(カッター)を当て、上のシート23のみにミシン目線16及び17,17を形成する。
(3)続いてシートを製造工程の下流方向に搬送し、シートの端部を所定幅の溶着しろをもって溶着し、その後溶着部の中心線にそって切断することにより、次の袋の端部が溶着された状態(綴じ部21が形成された状態)となる。
(4)以降、ミシン目形成、搬送、溶着、切断の工程が繰返されることにより袋部20が形成される。このように形成した袋部20は、水を収容する底部に溶着部分を有しない構造にできる。
次に、本発明の鮮度保持容器1の使用例について説明する。図5は鮮度保持容器1を出荷箱40(外箱)に配置した状態の側面断面図、図6は蓋部側注水口11を開口し袋部20が水を収容する状態にひろげられた状態を示す図である。出荷箱40は、直方体を立てた形態をなし前面に開閉する蓋を有している。出荷箱40の前面から鮮度保持容器1が納められ、支持脚部13,13により出荷箱40内に据え置かれた状態に設けられる。すなわち蓋部12をほぼ水平状態にして出荷箱40内に鮮度保持容器1を据え置き、一対の支持脚部13,13の間に袋部20が蓋部12から垂下した状態に配置される。
蓋部側注水口11部分を形成するミシン目線16及び17,17部分を押し込むことにより、ミシン目線16及び17,17が切り離され開口し注水口11が形成される。このとき同時に袋部側注水口28を形成するミシン目線26及び27,27が切り離され開口し注水口28が形成される。ミシン目線16及び17,17が切り離されることにより、蓋部側注水口11部分に長舌片18,18と短舌片19,19とが形成される。同時にミシン目線26及び27,27が切り離されることにより、袋部側注水口28部分に舌片(いずれも図示しない)が形成される。
開口した注水口11(28)から水を袋部20内に注入すると、袋部20の谷折り部22,22が開き収容空間が形成される。複数の切り花41を注水口11(28)から差込み、切り花41の切茎端部を袋部20内の水部分42に挿入する。切り花41の茎部分が蓋部12の注水口11部分の長舌片18,18と短舌片19,19とにより保持される。鮮度保持容器1により切り花41を出荷箱40内において立てた状態で保持できる。注入する水の量は出荷箱40(鮮度保持容器1)が倒れた場合にこぼれない程度が望ましい。
図6に示すように、袋部20のひろげられた状態における縦方向(袋部20の長辺25と直交する方向(図2参照))の幅db1と、蓋部側注水口11の開口縁の縦方向(蓋部12の長辺15と直交する方向(図2参照))の幅da1とは、db1>da1の関係にある。また、袋部20のひろげられた状態における横方向(袋部20の長辺25と平行方向)の幅db2と、蓋部側注水口11の開口縁の横方向(蓋部12の長辺15と平行方向)の幅da2とは、db2>da2の関係にある。これにより、切り花41を挿入したときに、花の茎の端部で袋を破ったり、又は収容される切り花が例えばトゲを有した花の場合であっても、トゲで袋を破ったりするおそれがない。
図7は輸送時等に出荷箱40が横倒しになった場合の状態を示す。鮮度保持容器1が横倒し状態になったときに、袋部20内の水が蓋部12の注水口11から外部へ流出しない。すなわち蓋部12の注水口11を、蓋部12の側辺から中央寄りに離間した位置に設けており、開口位置までの離間した部分が壁となり、袋部20内の水が蓋部12の開口部分から外へ移動するのを阻止し、袋部20内に留まり水が流出しない。なお、機械化された市場などで荷捌き機で出荷箱を選別、搬送が行われる際に出荷箱が横になる状態も有り得るが、そのような場合においても水が外部に流出することを防止できる。
このように、鮮度保持容器1は、出荷箱40内に据え置かれ支持脚部13で動かないようにした構造のため、輸送中などにも切り花41を立てた状態で安定して保持できる。常に水が供給され鮮度がよい状態を保持できる。また、段ボールからなる容器本体10と非透水性シート(ポリエチレン製シート)で形成された袋部20とで鮮度保持容器1が構成され、コスト的にも安くでき、かつ使用済みの容器を段ボールと袋とに分離すればリサイクルが容易にでき、段ボールを資源として再利用することも可能である。
また、鮮度保持容器1は、段ボールを折ることにより支持脚部13,13を形成でき、製造コストを安くでき、また水が収容される袋部20を一対の支持脚部13,13で支えられ、袋部20は縮まる方向には動かないので、輸送中の振動などに対しても安定し状態を維持できる。さらに、組立前は板状でかつ袋部20も折りたたまれた状態を呈し、嵩張らず省スペースのため、保管、輸送が効率化できる。
さらに、輸送中に出荷箱40が倒れた場合など、鮮度保持容器1が横倒し状態になったときには、蓋部12の側辺から注水口11の開口位置までの離間した部分が壁となり、袋部20内の水が外へ流出しない。また、注水口11部分の舌片18(又は19)で防止壁を形成しさらに水の流出防止効果を高められる。
また、袋部20は、シート両端部で袋綴じして形成しており、水収容底部に溶着部分がないため底部からの水漏れのおそれがない。また、谷折りした袋形状により、折り畳まれた状態ではコンパクトでスペースをとらず、かつ開いたときに十分な水収容空間を確保できる。
(実施例2)
図8は第2実施例の斜視図、図9は図8の鮮度保持容器50の展開図である。鮮度保持容器50は、段ボール(厚紙)で形成された容器本体60と、その容器本体60に固定された袋部20と、容器本体60に着脱自在に取付けられるフレーム70(連結部材)とを備えている。
図9に示すように、フレーム70は、段ボール(厚紙)で形成され全体ほぼ矩形状をなし長辺71,71の長さが蓋部12の長辺15の長さと同じに形成され、長辺の71の一方の辺に短辺72,72から離間した位置に短辺72,72に平行な一対の溝部73,73(切欠部)が形成されている。一対の溝部73,73の間には台形状の切欠部74が形成され、この切欠部74と溝部73,73がつながる部分に長辺71よりも突出する突出部75,75が形成されている。
一方、容器本体60には、折り目線14,14と直交する支持脚部13,13の辺13a,13aに折り目線14,14から離間した位置に折り目線14,14と平行な溝部13b,13b(切欠部)が形成されている。容器本体60の溝部13b,13bは、組立時にフレーム70の溝部73,73(切欠部)と係合するように構成されている。
次に、本発明鮮度保持容器50の使用例について説明する。図10は鮮度保持容器50を出荷箱40に配置した状態の側面断面図である。容器本体60の折り目線14,14に沿って折り曲げて、蓋部12の両側に支持脚部13,13を形成した後、その支持脚部13,13の溝部13b,13bにフレーム70の溝部73,73を係合・係止させ、フレーム70により支持脚部13,13の下端が相互に近づくように傾斜した状態に連結している。
組み立てられた鮮度保持容器50は、フレーム70部分が出荷箱40の奥部(後部)に位置するように配置され、支持脚部13,13とフレーム70により出荷箱40内に据え置かれた状態に設けられる。すなわち蓋部12をほぼ水平状態にして出荷箱40内に鮮度保持容器50を据え置き、一対の支持脚部13,13の傾斜した脚部間に袋部20が蓋部12から垂下した状態に配置される。フレーム70は、蓋部12と平行でほぼ水平な状態でかつ水が収容された袋部20の腹部の位置に配置される。図10において袋部20の水部分42の水位はフレーム70の位置よりも低くしている。
図11は輸送時等に出荷箱40が横倒しになった場合の状態を示す。鮮度保持容器50が横倒し状態になったときに、フレーム70(フレーム70の切欠部74)が袋部20の腹部に当接して、フレーム70が壁となり蓋部12の注水口11方向への袋部20の水の移動を阻止する。従って、第2実施例の場合、横倒し時には、フレーム70による水の流出防止と、第1実施例と同様の蓋部12の壁による水の流出防止との2段階の流出防止機能を備えている。なお、図8〜11において、実施例1(図1、2、5及び7)と同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
このように、フレーム70を設けることにより、支持脚部13,13を補強し、鮮度保持容器50を安定した形態(立てた状態)にでき、鮮度保持容器50が自立した状態となるため、水も入れ易く、出荷箱40に置くだけでよい。フレーム70の両端が出荷箱40の両側壁に当接して動かないため、鮮度保持容器50が安定する。
また、横倒し状態になったとしてもフレーム70が防水壁となり、前述の蓋部12による防水壁と2重の壁を形成し、水が一層流出しにくい効果を奏する。さらに、支持脚部13,13の傾斜した脚部間に袋部20が蓋部12から垂下した状態に配置され、柔軟性を有する袋部20の底部が狭められた状態となり水が中央寄りに集められるため(水がロスとなる角隅部にはいかないため)、少ない水で有効な水深を保つことができ、水の無駄がない。
(変形例1)
図12は鮮度保持容器の変形例を示す。図13は図12のB−B断面図である。実施例1及び2に(実施例2を代表させ図8を例とし)次のような変形を加えている。この鮮度保持容器80では、容器本体90の蓋部12の下面における蓋部側注水口11の開口周縁の外側に、段ボールからなる補強部材91を周状に接着部材により固定している。袋部20の重ね合わされた上のシート23が、この補強部材91の下面に蓋部側注水口11と袋部側注水口28とが連通した状態で、接着部材により固定されている。すなわちこの補強部材91の部分がすなわち蓋部12と袋部20との接着面となっている。なお、図12及び13において、実施例2(図8)と同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
このように、補強部材81を設けることにより、蓋部12を補強し、袋部20に水を収容した場合に、その重みによる蓋部12の撓みを抑制している。
(変形例2)
図14は鮮度保持容器の他の変形例を示す。図15は図14の鮮度保持容器の展開図である。実施例1及び2に(実施例2を代表させ図8及び9を例とし)次のような変形を加えている。この鮮度保持容器100では、蓋部12の注水口11aが大きく形成されている場合の例を示している。ミシン目線16a,17a,17aは、切り離されたときに開口が大きくなるように形成されている。容器本体110の蓋部12の一方の長辺15aに連設して長辺15と同じ長さでかつ所定幅の補強用折り返し片111を設けている。折り目線112から蓋部12下面側に折り曲げ、その折り返し片111を蓋部12下面に接着部材により固定している。この折り返し片111の部分を含み、蓋部12の下面に袋部20の上のシート23を接着部材により固定している。すなわちこの折り返し片111の部分を含んで蓋部12と袋部20との接着面が形成されている。
このように蓋部12の注水口11の開口が大きく形成された場合、蓋部12と袋部20との接着部分が弱くなるが、折り返し片111を設けることにより、蓋部12が補強され、撓みを抑えることができる。また、折り返し片111を容器本体110に一体的に形成しており、補強部材を別型で打抜きで形成するのに比べ製造コストを安くできる。なお、注水口11の開口縁に対し、蓋部12の長辺からの離間距離が短い辺側(長辺15a側)に折り返し片111を形成したが、注水口11の開口の大きさによっては、反対側の長辺15b側部分にも同様の折り返し片を形成することができる。
なお、注水口11の形状は、矩形状(実施例1及び2では長方形状)に限定されることなく、楕円形状、円形状としてもよい。
(変形例3)
図16は鮮度保持容器のさらに他の変形例を示す。出荷箱は切り花の種類、大きさに応じて箱の大きさも複数種類が設定されている。出荷箱160が中程度の大きさの場合に対応した鮮度保持容器120の例を示している。この鮮度保持容器120では、容器本体130の蓋部132がほぼ正方形状をなし、蓋部132のほぼ中央部に円形状の注水口131を設けている。蓋部132の下面における蓋部側注水口131の開口縁の外側に、袋部140の重ね合わされた上のシートが、蓋部側注水口131と袋部側注水口とが連通した状態で、接着部材により固定されている。蓋部132の両側に段ボールを折り曲げることにより一対の支持脚部133,133が形成される。その支持脚部133,133をフレーム150で連結している。支持脚部133,133とフレーム150とはそれぞれ溝部(図示しない)を有し、溝部を係合・係止させ、フレーム150により支持脚部133,133の下端が相互に近づくように傾斜した状態に連結している。
組み立てられた鮮度保持容器120は支持脚部133,133とフレーム150により出荷箱160内に据え置かれた状態に設けられる。蓋部132をほぼ水平状態にして出荷箱160内に鮮度保持容器120を据え置き、一対の支持脚部133,133の傾斜した脚部間に袋部140が蓋部132から垂下した状態に配置される。注水口131部分は複数のスリット線135が形成され、スリット線135部分を押し込むことにより舌辺136が形成される。
このように鮮度保持容器120を構成しており、支持脚部133,133とフレーム150により容器を安定した状態に保つことができる。蓋部132も大きく、かつ蓋部132の大きさに比較し注水口131の大きさが小さく、特別な補強なしに蓋部132は撓むことなく、切り花の保持が可能である。中程度の大きさの出荷箱160に適した鮮度保持容器120を提供できる。なお、フレーム150を有しない構成とすることも可能である。
(実施例3)
図17は第3実施例の斜視図、図18は図17の鮮度保持容器の展開図である。第3実施例では出荷箱240が比較的大きいタイプの場合に適した鮮度保持容器200の例を示している。鮮度保持容器200は、段ボール(厚紙)で形成された容器本体210と、その容器本体210に固定された袋部220とを備えている。
容器本体210は、切り花などの花きを収容する収容口を兼ねる注水口211を有する蓋部212と、その蓋部212の両端に形成された一対の支持脚部213,213とを備えている。袋部220は、柔軟性を有しかつ水を収容可能な非透水性シート(例えばポリエチレン製シート)で形成されている。
図18に示すように、容器本体210は、段ボールに設けられた折り目線214,214に沿って折り曲げることにより、蓋部212の両側に一対の支持脚部213,213が形成される。折り目線214,214につながってミシン目線215,215が形成されている。折り目線214,214に沿って折り曲げた際に、蓋部212の両側に一対の突出片216a,216aを有する第1切起こし部216が形成される。
また、折り目線214,214につながって、ミシン目線215,215と反対側にミシン目線217,217が形成されている。折り目線214,214に沿って折り曲げた際に、第1切起こし部216と反対側において蓋部212の両側に一対の突出片218a,218aを有する第2切起こし部218が形成される。第2切起こし部218に、折り目線214,214と直交する方向に折り目線219が形成されている。また、第2切起こし部218には、折り目線214,214に一致する線上に一対の溝部218b,218b(切欠部)が形成されている。
折り目線219に沿って第2切起こし部218を支持脚部213,213側に折り曲げることによって、溝部218b,218bが支持脚部213,213の端面213a,213aに係止して、第2切起こし部218によって支持脚部213,213を連結し補強する。
蓋部212には、折り目線214,214から中央寄りに離間した位置に、折り目線214,214と平行なミシン目線206が設けられている。このミシン目線206の両端には、それぞれ山形状(又は台形状)のミシン目線207,207が設けられている。ミシン目線207,207は、それぞれその頂部領域においてミシン目線206とつながっている。これらミシン目線206及び207,207の部分を押し込むことにより、ミシン目線206及び207,207が切り離され開口し注水口211が形成される。ミシン目線206及び207,207が切り離されることにより、蓋部側注水口211部分に舌片208,208と舌片209,209とが形成される。なお、ミシン目線206及び207,207は、スリット(切り込み線)としてもよい。
袋部220は、シート両端部が袋綴じ(綴じ部221,221)され、シート長手方向の相対向する腹部が谷折りされ、上下にシートが重ね合わされた状態に形成されている。上シートには、長辺225,225から中央寄りに離間した位置に、長辺225,225と平行なミシン目線226が設けられている。このミシン線226の両端には、ミシン目線226と直交するミシン目線227,227が設けられている。これらミシン目線226及び227,227部分を押し込むことにより、ミシン目線226及び227,227が切り離され開口し袋部側注水口が形成される。
そして、蓋部212の下面における蓋部側注水口211の開口縁の外側に、袋部220の重ね合わされた上のシートが、蓋部側注水口11と袋部側注水口とが連通した状態で、接着部材により固定されている。
このように構成された鮮度保持容器200を、第1切起こし部216が出荷箱240の奥部壁(後部壁)に当接し、突出片216a,216aが出荷箱240の両側壁に当接するように配置できる。このように、第1切起こし部216の突出片216a,216aを形成することにより、段ボールの使用量を節約することができる。また、第2切起こし部218を折り曲げることにより、支持脚部213,213を補強することができ、鮮度保持容器200を安定した状態に立てることができる。
さらに、出荷箱240が横倒しになった場合に、鮮度保持容器200が横倒し状態になっても蓋部212の中央寄りに注水口211を設けており、蓋部212の辺から開口位置までの離間した部分が壁となり、袋部220内の水は外部に流出しない。蓋部212も大きく、かつ蓋部212の大きさに比較し注水口211の大きさが小さく、特別な補強なしに蓋部212は撓むことなく、切り花の保持が可能である。このような鮮度保持容器200は、比較的大きな出荷箱240に使用すると好適である。
本発明の鮮度保持容器の斜視図。 図1の鮮度保持容器の展開図。 図2のA−A断面図。 鮮度保持容器の上面図。 鮮度保持容器の使用例の一例を示す側面断面図。 袋部のひろげられた状態を示す側面断面図。 鮮度保持容器を配置した出荷箱の横倒し状態を示す側面断面図。 第2実施例の鮮度保持容器の斜視図。 図8の鮮度保持容器の展開図。 図8の鮮度保持容器の使用例の一例を示す側面断面図。 図8の鮮度保持容器を配置した出荷箱の横倒し状態を示す側面断面図。 鮮度保持容器の変形例を示す斜視図。 図12のB−B断面図。 鮮度保持容器の他の変形例を示す斜視図。 図14の鮮度保持容器の展開図。 鮮度保持容器のさらに他の変形例を示す斜視図。 第3実施例の鮮度保持容器の斜視図。 図17の鮮度保持容器の展開図。
符号の説明
1,50,80,100,120,200 鮮度保持容器
10,60,90,110,130,210 容器本体
11,131,211 蓋部側注水口
12,132,212 蓋部
13,133,213 支持脚部
13b 溝部(切欠部)
14 折り目線
16,17 ミシン目線(区画線)
18,19 舌片
20,140,220 袋部
21 綴じ部
22 谷折り部
23 上シート
26,27 ミシン目線(区画線)
28 袋部側注水口
30 接着面
40,160,240 出荷箱(外箱)
42 水部分
70,150 フレーム(連結部材)
73 溝部(切欠部)
214 折り目線
215 ミシン目線
216 第1切起こし部
216a 突出片(突出部)
217 ミシン目線
218 第2切起こし部
218a 突出片(突出部)
218b 溝部(切欠部)
219 折り目線

Claims (13)

  1. 花き類を収容して輸送可能な外箱内に配置され、前記花き類の鮮度を保持する鮮度保持容器であって、
    前記花き類の茎を収容する収容口を兼ねる注水口部分を有する蓋部と、その蓋部の両端部から下方に延びて当該容器を前記外箱内に据え置き可能とする両側の支持脚部とが、1枚の厚紙から門形状に曲げられて形成され、それら支持脚部が対向する方向と直角な方向に開放空間を有する容器本体と、
    前記蓋部注水口部分に連通する注水口部分を有して前記蓋部の裏面に固定され、水を収容可能な非透水性シートで形成された可撓性を有する袋部と、を備え、
    前記蓋部及び支持脚部が平面状に展開された状態の前記容器本体の前記蓋部裏面に、前記可撓性を有する袋部が扁平状に保持される非使用状態から、前記容器本体の前記蓋部の両側の支持脚部がそれぞれ内側に曲げ込まれて門形状に起立した使用状態となり、その状態で前記蓋部及び袋部の注水口部分から袋部内に水が注水されることにより袋部が前記開放空間において拡開し、かつ前記花き類の切茎端部が前記蓋部及び袋部の注水口部分を経て前記袋部内の水収容部分に挿入され、前記花き類の茎部分が前記蓋部の注水口部分で保持され、前記蓋部を前記支持脚部で支持し前記花き類を立てた状態で保持することを特徴とする鮮度保持容器。
  2. 厚紙を折ることにより前記蓋部の両側に一対の前記支持脚部が形成され、前記蓋部をほぼ水平状態にして箱状の出荷箱内に前記容器本体が据え置きされ、一対の前記支持脚部の間に前記袋部が前記蓋部から垂下した状態に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の鮮度保持容器。
  3. 前記蓋部は、蓋部の対向する側辺からそれぞれ中央寄りに離間した位置に区画線が形成され、その区画線に沿って開口されるように蓋部側注水口部分を構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の鮮度保持容器。
  4. 厚紙で形成され、一対の前記支持脚部を連結する連結部材を備え、
    当該容器が横倒し状態のときに、前記連結部材が前記袋部の腹部に当接して袋部注水口側への水の移動を阻止する状態を呈することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の鮮度保持容器。
  5. 一対の前記支持脚部に切欠部がそれぞれ形成され、この切欠部に前記連結部材に形成された切欠部が係止し、前記支持脚部下端が相互に近づくように傾斜した状態に連結したことを特徴とする請求項4に記載の鮮度保持容器。
  6. 厚紙に切込みを形成し、厚紙を折ることにより一対の前記支持脚部が形成される際に、前記蓋部の両側に突出する突出部を有する第1切起こし部が形成され、この第1切起こし部の突出部が出荷箱の両側壁に当接可能とすることを特徴とする請求項2又は3に記載の鮮度保持容器。
  7. 厚紙に切込みを形成し、厚紙を折ることにより一対の前記支持脚部が形成される際に、前記第1切起こし部とは反対側の前記蓋部に、蓋部の両側に突出する突出部を有する第2切起こし部が形成され、この第2切起こし部を前記支持脚部側に折ることにより、前記支持脚部のそれぞれ端面に、前記第2切起こし部に形成された切欠部がそれぞれ係止し、一対の前記支持脚部を連結することを特徴とする請求項6に記載の鮮度保持容器。
  8. 前記袋部は、シート両端部で袋綴じされ、重ね合わされた上のシート部分に区画線が形成され、その区画線に沿って開口されるように袋部側注水口部分を構成し、水収容底部に溶着部分を有しないことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の鮮度保持容器。
  9. 前記袋部は、相対向する腹部が谷折りされ、前記袋側注水口を形成する区画線を有した上のシート部分が前記蓋部に固定され、水を収容したときに前記谷折り部分が開き収容空間が形成されることを特徴とする請求項8に記載の鮮度保持容器。
  10. 前記蓋部側注水口部分を形成する区画線に沿って開口したときに同時に前記袋部側注水口部分を形成する区画線が切離され、前記蓋部側注水口部分に舌片が形成されることを特徴とする請求項8又は9に記載の鮮度保持容器。
  11. 前記袋部側注水口の開口縁の縦方向及び横方向の幅は、前記蓋部側注水口の開口縁の縦方向及び横方向の幅よりも大であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の鮮度保持容器。
  12. 前記蓋部の下面における前記蓋部側注水口の開口周縁の外側に、前記袋部の重ね合わされた上のシートが、周状の接着面を有し固定されたことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の鮮度保持容器。
  13. 前記蓋部に対して前記両側の支持脚部が互いに内向きにそれぞれ直角を超えて折り曲げられて、一対の支持脚部が下側ほど間隔が狭くなるテーパ状に形成され、かつそれらテーパ状の支持脚部を連結する両者の間隔及び角度を固定する厚紙製の連結部材が設けられ、かつその連結部材の両端部は各支持脚部より外側にかつ前記蓋部の両端の下方延長線上まで突き出ており、その連結部材の両端が前記蓋部の両端と協働して、前記外箱内での当該鮮度保持容器の位置決めの作用をなす請求項1に記載の鮮度保持容器。
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