JP3589753B2 - ガス供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガス供給装置に係り、特に被充填タンクへのガス充填時間を短縮すると共にガス充填精度を向上させるよう構成したガス供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、天然ガスを圧縮した圧縮天然ガス(CNG)等を別のタンクに供給するガス供給装置としては、実開平4−64699号公報にみられるような装置がある。当該公報の装置は、圧縮されたガスを急速充填する方式が採用されており、圧縮機により所定圧力以上に昇圧されたガスをガス供給タンクに一旦貯めておき、そしてガス供給タンクに貯められたガスを自動車の燃料タンク(被充填タンク)に注入して燃料タンク内が所定圧力に達するまで充填されるようになっている。
【0003】
上記装置では、圧力上昇率が一定になるように制御弁の弁開度を制御する一定圧力上昇制御、あるいはガス供給量が一定になるように制御弁の弁開度を制御する一定流量制御により燃料タンクへのガス充填を行っていた。
一定圧力上昇制御でガス充填を行う場合、燃料タンクに供給される供給圧力が一定の割合で上昇することになり、ガス充填により燃料タンクの圧力が上昇するとともに制御弁によりガス供給圧力を上昇させて燃料タンクの充填圧力が目標充填圧力になるようにしていた。そのため、一定圧力上昇制御では、燃料タンクの充填前の残量又は残留圧力に関係なく、ガス供給タンクからのガスを制御弁により目標充填圧力となるまで圧力を一定に上昇させて充填していた。
【0004】
また、一定流量でガス充填を行う一定流量制御により燃料タンクへのガス充填制御を行う場合、燃料タンクの容量に関係なく、ガス供給タンクからのガス供給流量を一定にしたまま目標充填圧力となるまで充填していた。
ところが、このような従来の装置では、乗用車の燃料タンクにガスを一定圧力上昇制御を行う場合と同じ制御則で乗用車のおよそ10倍の容量を有するバスの燃料タンクにガスを充填していた。そのため、従来は、ガス供給系路の流量制限による圧力損失が生じて、燃料タンクに充填された充填圧力がガス供給装置側に設けられた圧力センサにより検出された圧力よりも小となり、その分燃料タンクに充填された充填圧力が目標圧力よりも小さくなってしまうことがあった。
【0005】
そこで、ガス充填開始時に受け側となる燃料タンクの容量(充填可能量)を演算して推定し、この演算結果に基づいて燃料タンクに供給される圧力及び流量を制御することが考えられている。このタンク残量推定方法では、ガス充填開始時の圧力の上昇率を検出して燃料タンクの容量を演算し、且つ、被充填タンクの容量に応じて被充填タンクの圧力が所定圧力に上昇するまで制御弁の弁開度を一定圧力上昇となるように制御を行い、所定圧力に達した時点で流量計により計測された流量が一定流量となるように制御弁の弁開度を一定流量制御に切り換えて被充填タンクに目標圧力を充填するため、目標圧力を正確に充填することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにガス充填開始時にタンク容量を推定する場合、例えば乗用車の燃料タンクの容量を演算するのに約10秒程度の時間がかかり、バスのような大型の燃料タンク(容量500リットル)の場合には、燃料タンクの容量を演算するのに約40秒程度の時間がかかるといった問題がある。
【0007】
さらに、タンク容量を演算する場合、ガス供給系路で圧力損失があるため、演算時には燃料タンクに供給されるガスの流量を減らす必要があるので、ガス充填時間が長くなるといった問題がある。
また、タンク容量を演算する際、ある程度圧力を上げないと演算することができないので、圧力上昇率が小さい場合には演算精度が低下し、例えば大型の燃料タンクにガスを充填するのに±10%程度の精度しか得られなかった。そのため、ガス充填終了時に制御弁の弁開度を絞って流量を減少させる際は、燃料タンクへの残り充填量ではなく、容量演算値に応じた圧力値となるようにしており、ガス充填終了時の流量絞り時間は容量によって変化していた。
【0008】
そこで、本発明は上記問題を解決したガス供給装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような構成としたことを特徴とする。
上記請求項1の発明は、被充填タンクに接続され、圧縮されたガスを該被充填タンクに供給するガス供給管路と、
該ガス供給管路に設けられガスの流れを制御する制御弁と、
前記ガス供給管路に設けられ、前記被充填タンクに充填される圧力を検出する圧力検出手段と、
前記ガス供給管路に設けられ、前記被充填タンクに充填される流量を測定する流量計と、
前記被充填タンクへのガス充填と共に、前記流量計によって計測されたガスの積算流量と当該積算流量を前記被充填タンクに供給したときの上昇圧力と前記被充填タンクの充填目標圧力とから前記被充填タンクの残り充填量を演算し、前記被充填タンクの残り充填量が所定値以上であるときは高速充填を行い、前記被充填タンクの残り充填量が所定値以下であるときは低速充填を行うように前記制御弁の弁開度を制御する制御手段と、
よりなることを特徴とするものである。
【0010】
従って、請求項1によれば、被充填タンクへのガス充填と共に、流量計によって計測されたガスの積算流量と当該積算流量を前記被充填タンクに供給したときの上昇圧力と前記被充填タンクの充填目標圧力とから被充填タンクの残り充填量を演算し、被充填タンクの残り充填量が所定値以上であるときは高速充填を行い、被充填タンクの残り充填量が所定値以下であるときは低速充填を行うように制御弁の弁開度を制御するため、残り充填量の演算処理がガス充填中に行われることになり、充填開始時に演算するよりもガス充填時間を短縮できると共にガス充填精度を高めることができる。
【0011】
また、請求項2の発明は、被充填タンクに接続され、圧縮されたガスを該被充填タンクに供給するガス供給管路と、
該ガス供給管路に設けられガスの流れを制御する制御弁と、
前記ガス供給管路に設けられ、前記被充填タンクに充填される圧力を検出する圧力検出手段と、
前記ガス供給管路に設けられ、前記被充填タンクに充填される流量を測定する流量計と、
前記被充填タンクの圧力が満タン直前の所定圧力に達したとき、前記流量計によって計測されたガスの積算流量と当該積算流量を前記被充填タンクに供給したときの上昇圧力と前記被充填タンクの充填目標圧力とから前記被充填タンクの残り充填量を演算し、前記被充填タンクの残り充填量が所定量以下になったとき流量を減少させるように前記制御弁の弁開度を制御する制御手段と、
よりなることを特徴とするものである。
【0012】
従って、請求項2によれば、被充填タンクの圧力が満タン直前の所定圧力に達したとき、前記流量計によって計測されたガスの積算流量と当該積算流量を前記被充填タンクに供給したときの上昇圧力と前記被充填タンクの充填目標圧力とから被充填タンクの残り充填量を演算し、被充填タンクの残り充填量が所定量以下になったとき流量を減少させるように制御弁の弁開度を制御するため、残り充填量の演算処理が満タン直前に行われることになり、充填開始時に演算するよりもガス充填時間を短縮できる共にガス充填精度を高めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に本発明になるガス供給装置の一実施例を示す。尚、図1はガス供給装置の概略構成を示す構成図である。
ガス供給装置1は、例えば自動車2の燃料タンク(被充填タンク)3に都市ガスを所定圧力に圧縮した圧縮天然ガス(CNG)を供給するガス供給ステーションなどに設置されている。
【0014】
ガス供給装置1は、大略、都市ガスを所定圧力に圧縮し加圧されたガスを生成する圧力発生ユニット4と、圧力発生ユニット4により圧縮されたガスを燃料タンク3に供給するためのディスペンサユニット5と、これら圧力発生ユニット4,ディスペンサユニット5の各機器を制御する制御装置6とよりなる。
【0015】
圧力発生ユニット4は、都市ガス等が家庭に分岐される前の中圧管路(図示せず)に接続された分岐管路11に多段式のコンプレッサ12が配設されている。このコンプレッサ12は、例えばガスを圧縮するためのシリンダが複数(3個または4個)設けられ、前段のシリンダで圧縮されたガスを次段のシリンダでさらに高い圧力に加圧するようになっており、中圧管路から供給されたガスを段階的に圧縮する。
【0016】
さらに、コンプレッサ12には可変圧管路13と高圧管路14とが並列に接続され、可変圧管路13,高圧管路14は、夫々可変圧ガス蓄圧器15,高圧ガス蓄圧器16が接続されている。尚、可変圧ガス蓄圧器15,高圧ガス蓄圧器16は、一般に文献等では「蓄ガス器」とも呼ばれている。
【0017】
本実施例においては、上記燃料タンク3の最高圧力が200kgf/cm2 とした場合、可変圧ガス蓄圧器15及び高圧ガス蓄圧器16の最高圧力は250kgf/cm2 に設定される。従って、コンプレッサ12は中圧管路から供給された都市ガス(約5〜8kgf/cm2 )を圧縮して可変圧ガス蓄圧器15及び高圧ガス蓄圧器16の圧力を上記設定圧力に加圧する。
【0018】
また、上記可変圧管路13,高圧管路14には、電磁弁よりなる上流側開閉弁19,20が配設され、上記可変圧ガス蓄圧器15,高圧ガス蓄圧器16からのガスを吐出するための吐出管路17,18には、電磁弁よりなる下流側開閉弁21,22と、供給側圧力伝送器23,24と、が配設されている。
【0019】
上記供給側圧力伝送器23,24は、内部にガスの圧力を検出する圧力センサが設けられており、ガスの圧力に応じた検出信号を制御装置6に送信する。また、制御装置6からの指令により上流側開閉弁19が開弁されると、コンプレッサ12により圧縮されたガスが可変圧ガス蓄圧器15に供給され、上流側開閉弁20が開弁されると、コンプレッサ12により圧縮されたガスが高圧ガス蓄圧器16に供給される。
【0020】
そして、可変圧ガス蓄圧器15,高圧ガス蓄圧器16の圧力が所定圧(本実施例では、250kgf/cm2 )に達すると、各上流側開閉弁19,20が閉弁されると共にコンプレッサ12を停止して、圧力発生ユニット4は充填作業可能な待機状態となる。
【0021】
燃料タンク3へのガス充填を行う際は、当初、下流側開閉弁21を開弁させて可変圧ガス蓄圧器15のガスを燃料タンク3に充填した後、下流側開閉弁22を開弁させて高圧ガス蓄圧器16のガスを燃料タンク3に充填開始した後下流側開閉弁21を閉弁させて燃料タンク3への供給圧力を段階的に上昇させる。
【0022】
また、吐出管路17,18の下流側端部は、ガス供給管路28に連通しており、圧力発生ユニット4の可変圧ガス蓄圧器15,高圧ガス蓄圧器16はガス供給管路28を介して上記燃料タンク3に接続される。
そして、ディスペンサユニット5内に延在するガス供給管路28には、電磁弁よりなるガス供給開閉弁29と、圧力発生ユニット4から供給された1次圧力を検出する1次圧力伝送器30と、ガス供給管路28を流れるガス流量を計測するコリオリ式の質量流量計31と、下流側へ給送されるガスの流量を所定流量に制御する制御弁32と、制御弁32により設定されたガスの2次圧力を検出する2次圧力伝送器33と、所定以上の力で引っ張られたとき分離する緊急離脱カプラ34と、が配設されている。
【0023】
ガス供給開閉弁29は、燃料タンク3にガスを充填開始するときに開弁され、ガス充填完了と共に閉弁される。
質量流量計31は、ガスが通過するセンサチューブを振動させてコリオリ力による流入側と流出側との位相差に応じた計測信号を出力する振動式質量流量計である。また、質量流量計31は、比較的高圧のガスの流量を正確に計測するよう構成されており、その流量計測信号(流量パルス)を制御装置6に送信する。
【0024】
制御弁32は、制御装置6からの指令によりその弁開度が制御されており、本実施例においてはガス充填中に行われる燃料タンク3の残り充填量が推定演算されて容量が所定値以上であるときは高速充填を行い、燃料タンク3の残り充填量が所定値以上であるときは低速充填を行うように弁開度が制御される。
【0025】
本実施例では、このように制御弁32の弁開度を制御することにより燃料タンク3への供給圧力及び供給流量を制御するため、ガス充填時間が短縮されている。
1次圧力伝送器30及び2次圧力伝送器33は、それぞれの取り付け位置で検出した圧力に応じた検出信号を制御装置6に送信する。
【0026】
また、緊急離脱カプラ34には、高圧ガスに耐えうるガス充填ホース37の一端が接続され、ガス充填ホース37の他端は三方弁38の流入ポートaに接続されている。さらに、三方弁38の充填ポートbには、ガス供給管路39が接続され、ガス供給管路39の先端には着脱カプラ40が設けられている。
【0027】
着脱カプラ40は、ガス充填前に燃料タンク3側の着脱カプラ42に接続され、燃料タンク3へのガス充填完了後に着脱カプラ42から離間される。
三方弁38の排気ポートcは、ガス充填完了後、着脱カプラ40の離脱操作を可能にするため、着脱カプラ40内の残留ガスを外部に逃がすための低圧管路41に接続されている。そして、三方弁38は、ガス充填時に流入ポートaと充填ポートbとが連通されるとともに排気ポートcが遮断されるように切換操作される。そして、三方弁38は、ガス充填後作業者の手動操作により、充填ポートbと排気ポートcとが連通されるとともに、流入ポートaが遮断されるように切り換わる。
【0028】
また、緊急離脱カプラ34は、万が一着脱カプラ40が燃料タンク3側の着脱カプラ42に接続されたまま自動車2が発車した場合に連結を解除するとともに、緊急離脱カプラ34内部に設けられた逆止弁(図示せず)が閉弁してガス漏れを防止する。
【0029】
上記着脱カプラ40と着脱カプラ42とは、それぞれ内部に逆止弁(図示せず)が設けられており、互いに連結されていないときは逆止弁が閉弁し、着脱カプラ40と着脱カプラ42とが連結されると各逆止弁が開弁位置に変位して相互に連通状態となる。
【0030】
43は表示器で、燃料タンク3に充填されたガスの流量及び供給圧力を表示する。
制御装置6のメモリ44には、燃料タンク3へのガス充填と共に2次圧力伝送器33により検出された圧力値に基づいて燃料タンク3の容量(残り充填量)の演算処理を行う制御プログラムと、演算された燃料タンク3の容量(残り充填量)が所定以上であるときは高速充填を行うように制御弁32の弁開度を制御し、且つ燃料タンク3の容量(残り充填量)が所定以下になった時点で流量を絞り低速充填制御に切り換える制御プログラムと、が格納されている。
【0031】
制御装置6は、上記制御プログラムに基づいて制御弁32の各弁開度を制御し、且つ、1次圧力伝送器30,2次圧力伝送器33により検出された圧力値を読み込むと共に、質量流量計31から出力された流量パルスを積算して流量を算出する。
【0032】
また、自動車2において、高圧ガスが充填される燃料タンク3に接続された管路45には、上流側より上記ディスペンサユニット5の着脱カプラ40が結合される着脱カプラ42と、ガスを充填する際手動操作により開弁される手動開閉弁46と、燃料タンク3に充填されたガスが逆流することを防止する逆止弁47とが配設されている。
【0033】
次に、制御装置6が実行する処理を説明する前に、上記構成になるガス供給装置1におけるガス充填作業について説明する。
上記自動車2の燃料タンク3にガスを充填する際、作業者は、先ず、ディスペンサユニット5の着脱カプラ40を自動車2の着脱カプラ42に結合させる。そして、作業者は、自動車2の手動開閉弁46を開弁させるとともに、三方弁38の流入ポートaと充填ポートbとが連通するように切換操作する。
【0034】
次に充填開始のスタート釦(図示せず)がオンに操作されると、制御装置6は可変圧ガス蓄圧器15の開閉弁21を開弁させるとともに、ガス供給開閉弁29を開弁させる。これにより、可変圧ガス蓄圧器15に蓄圧された高圧ガスは、ガス供給管路28,ガス充填ホース37,着脱カプラ40,42,管路45を介して燃料タンク3に充填される。
【0035】
そして、燃料タンク3に充填された圧力が上昇すると共に可変圧ガス蓄圧器15の圧力が低下して1次圧力と2次圧力との差が小さくなると、高圧ガス蓄圧器16の開閉弁22が開弁された後、可変圧ガス蓄圧器15の開閉弁21が閉弁されてさらにガス充填が行われる。
【0036】
燃料タンク3が満タンになった時点で、高圧ガス蓄圧器16の開閉弁22が閉弁されるとともに、ガス供給開閉弁29が閉弁される。ガス供給管路28を通過したガス充填流量は、質量流量計31により計測され、ガス充填流量に応じた流量パルスが制御装置6に出力される。
【0037】
これにより、制御装置6は、2次圧力伝送器33により検出された供給圧力と、質量流量計31からの流量パルス数に基づいて、燃料タンク3に充填されたガス充填量を算出して表示器43に表示する。
燃料タンク3へのガス充填が完了すると、作業者は自動車2側の手動開閉弁46を閉弁させた後、三方弁38を充填ポートbと排気ポートcとが連通するとともに流入ポートaが遮断するように切換操作する。即ち、三方弁38は、低圧管路41を介して着脱カプラ40,42内及び充填ホース39内に残留するガスを外部に逃がして減圧し、着脱カプラ40の離脱操作を可能にする。
【0038】
その後、作業者はディスペンサユニット5の着脱カプラ40を自動車2の着脱カプラ42から分離させる。これで、一連のガス充填作業が完了する。
ここで、上記構成になるガス供給装置1の制御装置6が実行する処理につき説明する。
【0039】
図2はガス充填作業時に制御装置6が実行するメインフローチャートであり、図3はメインフローチャートの充填制御のサブルーチンである。
作業者は、前述したようにガス供給管路28の先端に設けられた着脱カプラ40を燃料タンク3の着脱カプラ42に接続し、その後三方弁38の流入ポートaと充填ポートbとを連通させると共に、手動式の開閉弁46を開弁操作する。そして、作業者は、スタート釦をオンに操作する。
【0040】
先ず図2に示すメインフローチャートで実行される処理につき説明する。
制御装置6は、ステップS1(以下「ステップ」を省略する)でスタート釦がオンに操作されると、S2に進み、燃料タンク3が満タンか否かを判定する。すなわち、2次圧力伝送器33により検出された圧力が充填目標圧力以上であるかどうかをチェックしており、本実施例では燃料タンク3の圧力が200kgf/cm2 に達していれば「満タン」と判断する。
【0041】
従って、S2において、2次圧力伝送器33により検出された圧力が目標圧力(200kgf/cm2 )であるときは、燃料タンク3が満タンであるので、S12に移行して、全ての弁を閉弁させ、燃料タンク3に対するガス充填制御を終了させる。
【0042】
しかし、S2で2次圧力伝送器33により検出された圧力が目標圧力未満であるときは、燃料タンク3が満タンでないためガス充填可能と判断して、S3に進む。S3では、可変圧ガス蓄圧器15の開閉弁21を開弁させると共にディスペンサユニット5のガス供給開閉弁29を開弁させる。これにより、燃料タンク3へのガス充填が開始される。
【0043】
その後、S4に進み、可変圧ガス蓄圧器15によるガス充填制御を行う。すなわち、S4では燃料タンク3の容量に応じた最適流量でガスを充填するように制御弁32の弁開度を制御する。
次のS5では、再度燃料タンク3が満タンか否かを判定する。従って、可変圧ガス蓄圧器15によるガス充填制御開始後に2次圧力伝送器33により検出された圧力が目標圧力(200kgf/cm2 )であるときは、燃料タンク3が満タンであるので、これ以降の処理を実行せずにガス充填制御を終了させる。すなわち、燃料タンク3が満タンになると、S12に移行して可変圧ガス蓄圧器15の開閉弁21を閉弁させると共に、ガス供給開閉弁29を閉弁させる。これで、燃料タンク3に対するガス充填制御が終了する。
【0044】
しかし、S5において、2次圧力伝送器33により検出された圧力が目標圧力未満であるときは、燃料タンク3がまだ満タンになっていないため、S6に進む。S6では、供給側圧力伝送器23により検出された可変圧ガス蓄圧器15からの供給圧力と2次圧力伝送器33により検出された燃料タンク3に充填された充填圧力とを比較し、燃料タンク3の充填圧力が可変圧ガス蓄圧器15の供給圧力よりも十分に小さい場合には、S3に戻りガス充填制御を継続する。
【0045】
しかしながら、S6において、燃料タンク3の充填圧力と可変圧ガス蓄圧器15の供給圧力が略均衡した場合、S7に進み、まず高圧ガス蓄圧器16の開閉弁22が開弁する。尚、S6のガス蓄圧器切換は、上記圧力差に限らず質量流量計31により計測された流量や制御弁32の弁開度等から判断しても良いし、あるいはこれらのデータの複合により判断しても良い。
【0046】
次のS8では、所定時間(本実施例では、1秒とする)が経過したか否かを判定する。そして、所定時間が経過すると、高圧ガス蓄圧器16の圧力がガス供給管路28を介して燃料タンク3に充填開始されたものと判断してS9に進む。
そのため、次のS9では、高圧ガス蓄圧器16の圧力が燃料タンク3に充填開始された時点で可変圧ガス蓄圧器15の開閉弁21を閉弁させる。その後、高圧ガス蓄圧器16によるガス充填制御が行われる(S10)。
【0047】
尚、可変圧ガス蓄圧器15によるガス充填が終了した場合、可変圧ガス蓄圧器15からのガス供給を停止させた後、高圧ガス蓄圧器16からのガス供給を開始させると、蓄圧器切換時の圧力変動が発生するが、本実施例のように、高圧ガス蓄圧器16によるガス供給を開始した後に可変圧ガス蓄圧器15によるガス供給を停止させることにより、蓄圧器切換時の圧力変動を抑制することができる。
【0048】
そして、S11では、燃料タンク3が満タンか否かを判定しており、2次圧力伝送器33により検出された圧力が充填目標圧力に達するまで、燃料タンク3へのガス充填制御が行われる。また、S11では、このように高圧ガス蓄圧器16からのガス供給により燃料タンク3に充填された圧力が充填目標圧力に達したとき、燃料タンク3が満タンであると判断する。そのため、燃料タンク3が満タンになると、S12に進み、高圧ガス蓄圧器16の開閉弁22を閉弁させると共に、ガス供給開閉弁29を閉弁させる。これで、燃料タンク3に対するガス充填制御が終了する。
【0049】
次に、本発明の第1実施例として図3に示すサブルーチンの処理につき説明する。尚、図3は上記S3及びS10で実行されるガス充填処理のサブルーチンを説明するためのフローチャートである。
S21では、開閉弁21及びガス供給開閉弁29の開弁により可変圧ガス蓄圧器15からのガスが燃料タンク3へ充填される際の2次圧力の変化から燃料タンク3の充填可能容量、すなわち残り充填量(流量または重量)を演算する。尚、燃料タンク3の容量は、ガス充填時の圧力の上昇率から求まるため、「係数×積算流量÷上昇圧力」により算出でき、燃料タンク3の残り充填量は質量流量計31によって計測されたガスの積算流量と当該積算流量を燃料タンク3に供給したときの上昇圧力と燃料タンク3の充填目標圧力(満タン圧力)とから算出できる。そのため、S21では質量流量計31から出力された流量パルスを積算して燃料タンク3へ充填されるガスの積算流量を求めると共に、2次圧力伝送器33により検出された2次圧力の圧力上昇率から燃料タンク3の容量(残り充填量)を演算する。
【0050】
次のS22では、燃料タンク3の残り充填量が予め設定された所定値(本実施例では、1kgとする)以下かどうかを判定しており、燃料タンク3の残り充填量が1kg以上であるときは、S23に進む。このS23では、上記S21で演算された燃料タンク3の残り充填量(容量)に比例した最適流量で高速充填を行うように制御弁32の弁開度を制御する。
【0051】
従って、燃料タンク3の残り充填量が大であるときは、圧力上昇率が一定になるように制御弁32が制御され、ガス充填が進むにつれて燃料タンク3の圧力が上昇すると共に、制御弁32の弁開度が徐々に絞られる。このように、燃料タンク3の残り充填量に対する最大流量でガス充填が行われるように制御弁32の弁開度が制御されるため、燃料タンク3の残り充填量に応じた流量で高速充填することができ、より短時間で燃料タンク3へのガス充填処理が行える。
【0052】
その後、上記図2のS4又はS11で燃料タンク3が満タンになったか否かを判定し、満タンでないときは、再びS21以降の処理を実行する。
従って、制御装置6は、ガス充填処理を行いながらS21で燃料タンク3の残り充填量を演算するため、従来のようにガス充填処理を行う前に燃料タンク3の残り充填量を推定するため演算が終了するまでガス充填開始が遅れるといった問題がなく、その分ガス充填時間を短縮することができる。
【0053】
しかも、従来は燃料タンク3への充填開始前に燃料タンク3の容量を演算していたが、この場合圧力損失があるため容量演算時の流量を減少させていた。これに対し、本実施例ではガス充填中に燃料タンク3の容量を演算するため、圧力損失の影響を受けずに高速充填することができるので、容量演算による充填遅れが生じない。
【0054】
また、上記S22において、燃料タンク3の残り充填量が1kg以下であるときは、S24に進む。このS24では、燃料タンク3へのガス充填流量を減少させ、微小流量で低速充填するように制御弁32の弁開度を絞る。本実施例では、燃料タンク3へのガス充填流量が2kg/minとなるように制御弁32の弁開度を制御する。
【0055】
この低速充填制御は、燃料タンク3が満タンになるまで行われる。このように、燃料タンク3が目標圧力(200kgf/cm2 )に達する直前に制御弁32の弁開度を絞り、燃料タンク3が満タンになるまで低速充填制御が継続されるため、目標圧力(200kgf/cm2 )を正確に充填することができ、燃料タンク3へのガス充填精度が高められている。
【0056】
次に、本発明の第2実施例について図4、図5を参照して説明する。尚、図4は第2実施例のサブルーチンの処理を説明するためのフローチャート、図5はガス充填時の充填流量・2次圧力変化を示すグラフである。また、第2実施例では、メインルーチンが上記図2のフローチャートと同じなので、ここでは省略する。
【0057】
図4において、S31では、開閉弁21及びガス供給開閉弁29の開弁により可変圧ガス蓄圧器15からのガスが燃料タンク3へ充填される際の2次圧力を監視する。すなわち、2次圧力伝送器33により検出された圧力が充填目標圧力(200kgf/cm2 )の直前圧力(本実施例では、195kgf/cm2 )以下に達したか否かを判定する。この2次圧力伝送器33により検出された圧力が195kgf/cm2 以下であるときは、S32に進み、燃料タンク3へ供給される2次圧力の上昇率が一定(本実施例では、3kgf/cm2 /秒とする)となるように制御弁32の弁開度を制御する。
【0058】
また、S31において、2次圧力伝送器33により検出された圧力が195kgf/cm2 以上であるときは、S33に進み、燃料タンク3の充填可能容量、すなわち残り充填量を演算する。尚、燃料タンク3の残り充填量は、前述したように質量流量計31によって計測されたガスの積算流量と当該積算流量を燃料タンク3に供給したときの上昇圧力と燃料タンク3の充填目標圧力(満タン圧力)とから算出できるため、S33では質量流量計31から出力された流量パルスを積算して燃料タンク3へ充填されるガスの積算流量を求めると共に、2次圧力伝送器33により検出された2次圧力の圧力上昇率から燃料タンク3の残り充填量を演算する。
【0059】
次のS34では、燃料タンク3の残り充填量が予め設定された所定値(本実施例では、1kgとする)以下かどうかを判定しており、燃料タンク3の残り充填量が1kg以上であるときは、S32に進む。このS32では、上記のように一定圧力上昇制御を行うように制御弁32の弁開度を制御する。
【0060】
また、燃料タンク3の残り充填量が予め設定された所定値以下(1kg以下)であるときは、S35に進む。このS35では、燃料タンク3へのガス充填流量を減少させ、微小流量で低速充填するように制御弁32の弁開度を絞る。本実施例では、燃料タンク3へのガス充填流量が2kg/minとなるように制御弁32の弁開度を制御する。この低速充填制御は、燃料タンク3が満タンになるまで行われる。
【0061】
このように充填制御された場合のガス充填流量及び2次圧力の変化は、図5に示すグラフのようになる。すなわち、充填開始当初は、制御弁32の弁開度が一定圧力上昇制御となるように制御されるため、ガス充填流量が急速に増大して高速充填が行われ、2次圧力が充填目標圧力(200kgf/cm2 )の直前圧力195kgf/cm2 に達した時点で充填量を演算し、残り充填量が1kg以下になったならば、制御弁32の弁開度を絞る。しかし、流量を下げると2次圧力伝送器33から燃料タンク3までの圧力損失が少なくなり、計算上の残り充填量は1kg以上となる。
【0062】
従って、計算上の残り充填量が1kgになるように高速充填、低速充填を交互に繰り返して燃料タンク3にガスを充填する。そして、燃料タンク3の残り充填量が実際に1kg以下になった時点でガス充填流量を2kg/minに保ち、低速充填制御を行う。
【0063】
この低速充填制御では、ガス充填流量を2kg/minに減少させるため、低流量による充填が約30秒間維持される。そして、低速充填により2次圧力が200kgf/cm2 に上昇する。このように、燃料タンク3が目標圧力に達する直前に制御弁32の弁開度を絞り、燃料タンク3が満タンになるまで低速充填制御が継続されるため、目標圧力(200kgf/cm2 )を正確に充填することができ、燃料タンク3へのガス充填精度が高められている。
【0064】
その後、上記図2のS4又はS11で燃料タンク3が満タンになったか否かを判定し、満タンでないときは、再びS31以降の処理を実行する。
従って、制御装置6は、ガス充填処理により2次圧力が充填目標圧力の直前圧力195kgf/cm2 になった時点で燃料タンク3の残り充填量を演算するため、従来のようにガス充填処理を行う前に燃料タンク3の残り充填量を推定するため演算が終了するまでガス充填開始が遅れるといった問題がなく、その分ガス充填時間を短縮することができる。
【0065】
しかも、本実施例では、ガス充填の終了前に燃料タンク3の容量を演算するため、容量演算の精度による影響を受けずに高速充填することができるので、容量演算による充填遅れが生じない。
尚、上記実施例では、都市ガスを圧縮した圧縮天然ガス(CNG)を供給する場合を一例として挙げたが、これに限らず、例えばブタン、プロパン等のガスを供給するのにも適用できるのは勿論である。
【0066】
また、上記実施例では、自動車2の燃料タンク3に圧縮されたガスを充填する場合を一例として挙げたが、これに限らず、他の容器等に圧縮されたガスを供給する装置にも適用でき、あるいは単に圧縮されたガスを他の場所に給送するための管路途中に設置する構成の装置にも適用できるのは勿論である。
【0067】
また、上記実施例では、都市ガス等が家庭に分岐される前の中圧管路からの都市ガスを圧縮する構成としたが、これに限らず、例えば中圧管路から分岐された家庭の管路からガスを取り出すようにしても良い。
【0068】
【発明の効果】
上述の如く、上記請求項1によれば、被充填タンクへのガス充填と共に、流量計によって計測されたガスの積算流量と当該積算流量を前記被充填タンクに供給したときの上昇圧力と前記被充填タンクの充填目標圧力とから被充填タンクの残り充填量を演算し、被充填タンクの残り充填量が所定値以上であるときは高速充填を行い、被充填タンクの残り充填量が所定値以下であるときは低速充填を行うように制御弁の弁開度を制御するため、残り充填量の演算処理がガス充填中に行われることになり、充填開始時に演算するよりもガス充填時間を短縮できると共にガス充填精度を高めることができる。しかも、ガス充填中に燃料タンクの残り充填量を演算するため、残り充填量演算による充填遅れが生じない。
【0069】
また、請求項2によれば、被充填タンクの圧力が満タン直前の所定圧力に達したとき、流量計によって計測されたガスの積算流量と当該積算流量を前記被充填タンクに供給したときの上昇圧力と前記被充填タンクの充填目標圧力とから被充填タンクの残り充填量を演算し、被充填タンクの残り充填量が所定量以下になったとき流量を減少させるように制御弁の弁開度を制御するため、残り充填量の演算処理が満タン直前に行われることになり、充填開始時に演算するよりもガス充填時間を短縮できる共にガス充填精度を高めることができる。しかも、ガス充填終了前に燃料タンクの残り充填量を演算するため、残り充填量演算精度の影響を受けずに高速充填することができるので、残り充填量演算による充填遅れが生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になるガス供給装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】制御装置が実行する処理のメインフローチャートである。
【図3】ガス充填処理の第1実施例のサブルーチンのフローチャートである。
【図4】ガス充填処理の第2実施例のサブルーチンのフローチャートである。
【図5】図4のガス充填処理による充填流量・2次圧力変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ガス供給装置
3 燃料タンク
4 圧力発生ユニット
5 ディスペンサユニット
6 制御装置
15 可変圧ガス蓄圧器
16 高圧ガス蓄圧器
28 ガス供給管路
29 ガス供給開閉弁
30 1次圧力伝送器
31 質量流量計
32 制御弁
33 2次圧力伝送器
Claims (2)
- 被充填タンクに接続され、圧縮されたガスを該被充填タンクに供給するガス供給管路と、
該ガス供給管路に設けられガスの流れを制御する制御弁と、
前記ガス供給管路に設けられ、前記被充填タンクに充填される圧力を検出する圧力検出手段と、
前記ガス供給管路に設けられ、前記被充填タンクに充填される流量を測定する流量計と、
前記被充填タンクへのガス充填と共に、前記流量計によって計測されたガスの積算流量と当該積算流量を前記被充填タンクに供給したときの上昇圧力と前記被充填タンクの充填目標圧力とから前記被充填タンクの残り充填量を演算し、前記被充填タンクの残り充填量が所定値以上であるときは高速充填を行い、前記被充填タンクの残り充填量が所定値以下であるときは低速充填を行うように前記制御弁の弁開度を制御する制御手段と、
よりなることを特徴とするガス供給装置。 - 被充填タンクに接続され、圧縮されたガスを該被充填タンクに供給するガス供給管路と、
該ガス供給管路に設けられガスの流れを制御する制御弁と、
前記ガス供給管路に設けられ、前記被充填タンクに充填される圧力を検出する圧力検出手段と、
前記ガス供給管路に設けられ、前記被充填タンクに充填される流量を測定する流量計と、
前記被充填タンクの圧力が満タン直前の所定圧力に達したとき、前記流量計によって計測されたガスの積算流量と当該積算流量を前記被充填タンクに供給したときの上昇圧力と前記被充填タンクの充填目標圧力とから前記被充填タンクの残り充填量を演算し、前記被充填タンクの残り充填量が所定量以下になったとき流量を減少させるように前記制御弁の弁開度を制御する制御手段と、
よりなることを特徴とするガス供給装置。
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