JP3589551B2 - イチゴの育苗容器、イチゴの育苗装置及びイチゴの育苗方法 - Google Patents
イチゴの育苗容器、イチゴの育苗装置及びイチゴの育苗方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はイチゴの育苗容器、イチゴの育苗装置及びイチゴの育苗方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
嘗てイチゴの育苗は地床で行われていた。地床育苗とは本圃に移植する苗を作土において育苗することであり、現在イチゴの育苗において主に行われているポット育苗に比べ、水分や肥料分が均一に行き渡るため苗の生育が均一であり、更に根周辺の乾湿変動が少ないため根の老化が起きにくいなどの優れた特徴を有している。しかしながら、(1)花芽分化を促進するための窒素の制御が困難である、(2)本圃への定植作業が繁雑である、(3)移植の際に根の切断が起こりやすく定植後の活着が悪い、(4)健苗の育成には温度などの環境条件の微調節が必要であるが、地床育苗では広い面積が必要なため環境条件の制御が困難などの理由から、現在ではポット育苗がイチゴの育苗方法の主流を占めている。
【0003】
一方、地床育苗やポット育苗などの従来の育苗は通常地表面において行われており、植え付けや苗の下葉摘みなどの育苗作業を、膝、腰を曲げた非常に辛い姿勢で長時間行わなければならなかった。この作業の困難さが就農人口の減少、作付け面積の伸び悩みの大きな要因となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生育が均一で根の老化が少ない健苗を、狭いスペースでも大量に育苗できるイチゴの育苗容器、この育苗容器の特徴を生かしつつ育苗の作業性を改善したイチゴの育苗装置、及びこれらを用いたイチゴの育苗方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前述した従来技術の現状に鑑み、地床育苗とポット育苗の長所を併せ持つイチゴの育苗容器を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、底が透水面であり、且つ内部空間が仕切板によって3〜15cm角の格子状に区切られ、深さが3〜10cmであり、底面積が600〜5000cm2のバット状の容器であって、該仕切板が隣り合う区切られた空間相互に水分の通過が可能な程度の間隙を有する育苗容器に、苗の生育が均一で根の老化が起きにくい地床育苗の長所と、狭いスペースでも大量の育苗が可能で、本圃への定植作業が容易、更に定植後の活着が良好であると云った育苗ポットの長所を併せ持つ優れた特性があることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成した。更に、本発明のイチゴの育苗容器に架台を取り付けた育苗装置であれば、膝、腰を曲げた辛い姿勢での作業が不要となり、作業の効率化を図ることができる。
本発明は下記の構成を有する。
(1)底が透水面であり、且つ内部空間が仕切板によって3〜15cm角の格子状に区切られ、深さが3〜10cmであり、底面積が600〜5000cm2のバット状の容器であって、該仕切板が隣り合う区切られた空間相互に水分の通過が可能な程度の間隙を有し、仕切板によって形成される一つの格子で一株ずつ育苗することを特徴とするイチゴの育苗容器。
(2)仕切板の下端と底面の間に間隙を有することを特徴とする前記(1)に記載のイチゴの育苗容器。
(3)仕切板が穿孔されていることを特徴とする前記(1)に記載のイチゴの育苗容器。
(4)仕切板の厚さが2〜50mmであることを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか1項に記載のイチゴの育苗容器。
(5)仕切板の下端と底面との間の間隙が1〜20mmであることを特徴とする前記(2)〜(4)の何れか1項に記載のイチゴの育苗容器。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項記載のイチゴの育苗容器と該育苗容器をその上に設置する架台とからなることを特徴とするイチゴの育苗装置。
(7)架台がガラス繊維含有強化樹脂を主成分とする材質で構成されていることを特徴とする前記(6)に記載のイチゴの育苗装置。
(8)前記(1)〜(5)のいずれか1項記載のイチゴの育苗容器または前記(6)もしくは(7)に記載のイチゴの育苗装置を用いることを特徴とするイチゴの育苗方法。 以上
【0006】
本発明について以下に詳述する。
本発明で云うところの透水面とはバット状育苗容器の底であり、過剰に灌水された水分を垂れ落とす機能を有するものであれば、その材質や形状は特に限定されるものではない。底板を穿孔したものでもよく、底がネット状、織物状のものであっても良い。但し、水分を含んだ床土を充填しても底の形状が変形しない強度を有するものである方が望ましい。具体的にはパンチングメタル、孔空きプラスチック板、ネット、織物または不織布を挙げることができる。
【0007】
本発明の育苗容器の形は栽培面積の効率化や、取り扱い易さの面から四角形であるが、イチゴの栽培形態や、取扱者の事情に合わせて丸、楕円、三角、五角以上の多角形、更に不定形の中から適宜選択してもよい。また、本発明の育苗容器の材質は、特に限定されるものではなく、金属製であっても、木製であっても、樹脂製であっても、またガラス製であっても良い。
【0008】
更に、大きさはイチゴの種類、育苗場所作業性の点から適宜選択すれば良く特に限定されるものではないが、植え付けや苗の下葉摘みなどの育苗作業に支障をきたさないような大きさであることが望ましい。大きすぎる場合には作業者の手の届かない部分ができ作業が著しく困難となるため、その幅は最大でも150cm以下であることが好ましく、より好ましくは120cm以下である。
【0009】
一方、イチゴは、育苗期間中にガラス若しくはビニールハウスへの出し入れが必要であったり、冷蔵室への出し入れが必要である場合があり、イチゴの育苗容器には移動ないし移設の容易性が求められる場合が多い。例えば、イチゴは通常自然界においては4から6月にかけて結実するものを、経済性の観点から、早取りを行うためにハウスで栽培し、さらに果実の早取りを行うため育苗期に冷蔵庫に苗を出し入れするいわゆる暗黒低温処理を行う。この処理はイチゴの成長段階を人為的に栄養成長から生殖成長段階に移行させるための手段であり、早取り栽培には不可欠な作業である。育苗容器には床土を充填し更に灌水するため、育苗中の育苗容器の重量は相当な重さとなる。育苗容器は通常の作業者が持ち運び出来、またハウスや冷蔵庫の入り口から出し入れできる大きさであることが望ましい。この点から本発明の育苗容器の大きさは、その底面が600〜5000cm2、好ましくは600〜3000cm2である。育苗容器の底面がこの範囲より小さすぎる場合には、一つの容器で育苗できる苗の数が少なくなることから育苗効率が極端に低くなり、また苗の均一性と老化の軽減といった本発明の効果が損なわれる傾向にある。
【0010】
本発明の育苗容器の内部空間を格子状に区切る仕切板は、該仕切板によって形成される区切られた空間相互に水分の通過が可能な程度の間隙を有するものであれば、その形状並びにその材質は限定されるものではない。
間隙の位置、形態、大きさなどは特に限定されるものではないが、その位置については、例えば仕切板の下端と底面との間であってもよく、仕切板の側面に穿孔し間隙を形成したものであっても良い。
【0011】
仕切板の下端の底面との間に間隙を形成する場合には、仕切板底部から任意の高さまで切り欠いてもよく、または容器側面で仕切板を支持し、仕切板全体が浮いた状態にしたものであってもよい。この際仕切板の下端と底面との間の間隙及び仕切板底部からの切り欠きの深さは1〜20mmであることが好ましく、より好ましくは2〜10mmである。この範囲を大きく下回る場合には、苗の均一性と根の老化の軽減といった本発明の効果が損なわれる傾向があり、一方、大きく上回る場合にはその間隙を通して隣の苗どうしが絡み合い、移植の際に根切れするため好ましくない。但し、仕切板の下端と底面との間隙及び仕切板底部からの切り欠きの深さは、育苗容器の深さに合わせて決定することか望ましい。育苗容器の深さが深い場合には間隙は比較的大きくても良いが、育苗容器の深さが浅い場合にはやはり間隙は小さく設定することが望ましい。
【0012】
仕切板の側面に穿孔する場合の大きさや形状は任意に選択すれば良く、特に限定されるものではない。但し苗の根が容易に隣の空間に侵入できる程度の大きさであれば、やはりその間隙を通して隣の根どうしが絡み合い、移植の際に根切れするため好ましくない。穿孔する場合の孔の大きさとしては、水分は通過させるが、苗の根は通過させない程度の大きさが最も好ましい。
【0013】
また、その他の間隙形成形態としては、仕切板にその下端からスリット状の切り込みを入れる方法も挙げられる。この場合にもまたその間隙を通して隣の苗の根どうしが絡み合わない程度の切り込みにすることが好ましい。
【0014】
バット状育苗容器内に入れ、若しくは取り付ける本発明の仕切板は、予め格子状に成形されたものでもよく、菓子箱風に仕切板によって形成される格子の間隔毎にスリットを入れ、このスリットをはめ合わせることで格子状にしたものであってもよい。このスリットにはめ合わせ格子状にした仕切板であれば、仕切板に入れるスリット幅に余裕を持たせておくことで水分の通過が可能な間隙を形成することができる。
【0015】
仕切板の高さは床面の高さと同じであってもよく、また、床面よりも高い場合であっても低い場合であってもよく、その高さはイチゴの種類や育苗方法に合わせて選択すればよい。但し、床面よりも低すぎる場合には隣の苗の根どうしが絡み合うことがあり注意を要する。
【0016】
本発明の育苗容器はバット状の育苗容器を仕切で格子状に区切り、仕切板に区切られた空間に床土を詰めて育苗を行うため、育苗ポットによる育苗や地床育苗を用いる場合に比べ、狭いスペースでも大量の育苗が可能である。格子の大きさ並びに育苗容器の深さは、イチゴの種類や育苗方法に合わせて選択されるべきであるが、具体的に格子の大きさは3〜15cm角、好ましくは5〜9cm角であり、具体的に育苗容器の深さは3〜10cm、好ましくは5〜8cmである。格子が小さくまた深さが浅過ぎる場合には床土の使用量が少なくなり、生育不良を招く恐れがあり、格子が大きく深さが深すぎる場合には一株の育苗に用いる床土の量が多くなり、経済性の点で不利である。
【0017】
しかしながら、狭いスペースで大量の苗を同時に育苗しようとすると、その分隣接する苗との間隔が狭くなってくる。小さい苗を本圃に移植するイチゴの場合には問題はないが、移植苗の草丈や葉の大きいイチゴの場合には、密植となり徒長を引き起こす場合がある。このような場合には格子を大きくし苗どうしの間隔をあければよいが、その場合には苗一株あたりに用いる床土の量が増え経済的ではない。床土の量を増やすことなく苗一株あたりに用いる床土の量を減らす方法としては、厚い仕切板を用いることが有効である。本発明の仕切板の厚さは特に限定されるものではないが、この場合有効な仕切板の厚さとしては2〜50mmの範囲であることが好ましい。仕切板の厚さが厚すぎる場合には作業面積が広がり、狭いスペースで大量の育苗を達成する本発明の効果を損ない、薄すぎる場合には材質にもよるが仕切板としての強度が充分に得られないことがある。
【0018】
仕切板の材質については特に限定されるものではなく、金属製であっても、木製であっても、樹脂製であっても、ガラス製であっても良い。これらのうち発砲プラスチック板は軽量且つ充分な剛性を有することから好ましい材質である。
【0019】
本発明の育苗容器は以上述べた構成を有することにより、本発明の効果である狭いスペースでの大量育苗と、本圃への容易な定植作業、更に定植後の良好な活着を可能とした。
一方、育苗ポットに比べ苗の生育が均一である理由及び根の老化が起きにくい理由としては、推測の域を出ないものの本発明者らは以下のように考えている。この仕切板が隣り合う区切られた空間相互に水分の通過が可能な程度の間隙を有することから、灌水された水や肥料成分が育苗容器内に均一に行き渡るため均一な育苗が達成されており、更にポット育苗に比べ容器内の乾湿変動が少ないことから根の老化が抑えられていると考えられる。
【0020】
育苗作業における作業姿勢は、床面を高くすることにより改善される。具体的には育苗容器に架台を取り付けた育苗装置とするか、若しくは架台の上に育苗容器を載せることにより改善される。これによって植え付けや苗の下葉摘みなどの膝、腰を曲げた辛い姿勢での作業が不要となり、作業の効率化が計れる。この際の育苗容器はどのような育苗容器であっても上記のような効果が得られるが、本発明の育苗容器であれは、作業スペースの面からも効率的であり、苗の品質の点からも非常に好ましい。この際の床面の高さはイチゴの種類や育苗方法に合わせて選択すれば良く、特に限定されるものではないが、通常は0.7〜1.2mの高さであることが好ましい。
【0021】
架台の形状及びその材質は床土の重量を支え得るものであれば特に限定されるものではないが、その材質としては鉄、ステンレス等の金属、若しくは樹脂を用いることができ、樹脂被覆鉄管、ガラス繊維含有強化樹脂管を用いることが好ましい。特にガラス繊維含有ペレットを成型した強化樹脂製品は、剛性、クリープ耐久性、耐加重変形性の点で、また軽量である点で優れ本発明の架台に用いるには好ましい材質である。ガラス含有量は20〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは30〜50重量%である。形状も丸管、角管、丸、角、アングル形状、チャンネル形状、H型形状等任意に選ぶことができる。サイズは、10〜100mmの管、アングルなどで2〜10mm肉厚などを必要に応じ選ぶことができる。
【0022】
本発明の育苗方法は前述の本発明の育苗容器、ないし育苗装置に床土を充填して行う育苗方法、更に架台上に設置した本発明の育苗容器に床土を充填して行う育苗方法であればよく、イチゴの種類及び育苗方法、育苗時期については特に限定されるものではない。
【0023】
床土は特に限定されるものではなく、バーミキュライト、パーライト、ピートモス、ヤシガラ、モミガラ、自然土壌などのイチゴの育苗に適したものを単独若しくは混合して使用することができる。このうちピートモス、ヤシガラモミガラなどのように軽量で水はけの良いものが好ましく、更にはこれらを混合したものの方がより好ましい。
【0024】
本発明の育苗容器、育苗装置及び育苗方法はイチゴ以外にも用いることができる。イチゴ以外の作物としては、メロン、スイカ、トマト、キュウリ、なす、白菜、キャベツなど育苗が必要な作物を挙げることができる。しかし、イチゴのように親株からでたランナーを育苗容器の床土に植え付ける特殊な植え付けを行い、また苗の下葉かきが不可欠で、更に花芽分化時期の制御のために苗を冷蔵室に出し入れする暗黒低温処理を行うような煩雑な育苗作業が必要な作物に、本発明の育苗容器、育苗装置及び育苗方法は特に有効である。
【0025】
狭いスペ−スで大量の苗を同時に栽培しようとする場合には、本発明の育苗容器のうち比較的小型の育苗容器を用い、育苗容器内に任意の間隔をあけた状態で育苗すると、苗に光が回りやすくなり徒長などの密植の害を避けることができ好ましい。また、小型の育苗容器であれば移動が容易であるから、ガラス若しくはビニールハウス内において設置場所を変えることも容易で、均一な育苗を期すことができる。また小型の育苗容器は、イチゴの育苗における暗黒低温処理のように、冷蔵室に頻繁に出し入れする場合に特に有効である。
【0026】
【実施例】
以下実施例をもって本発明の構成と効果について詳述する。但し、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
1.育苗容器、育苗装置
実施例1
縦120cm、横200cm、深さ5cmのポリプロピレン樹脂製の枠の底に、透水面として目開き2.5mmのポリエチレンネット(三井石化産資(株)ネトロンシートZ−28)を張り、このバット状育苗容器内の空間を8cm角の区分けになるように高さ5cmの格子状の仕切板で区分した。仕切板は厚さ2mmの3倍発泡ポリプロピレンシートに入れた8cm間隔のスリットを交互に組み合わせることで格子状にしたものである。本実施例における仕切板と透水面との隙間は3mmとした。
【0027】
実施例2
縦40cm、横64cm、深さ5cmのポリプロピレン樹脂製の枠の底に、透水面として目開き2.5mmのポリエチレンネット(三井石化産資(株)ネトロンシートZ−28)を張り、このバット状育苗容器内の空間を8cm角の区分けになるように高さ5cmの格子状の仕切板で区分した。仕切板は厚さ2mmの3倍発泡ポリプロピレンシートに入れた8cm間隔のスリットを交互に組み合わせることで格子状にしたものである。本実施例における仕切板と透水面との隙間は3mmとした。
【0028】
実施例3
縦120cm、横200cm、深さ5cmであって、その枠内が厚さ1mmの仕切板によって8cm角に予め区分されたポリプロピレン樹脂製の枠の底に、透水面として目開き2.5mmのポリエチレンネット(三井石化産資(株)ネトロンシートZ−28)を張った。尚、このバット状育苗容器内の仕切板には水を通過させるため、0.5mm径の孔が30孔/cm2の密度で穿孔した。
【0029】
実施例4
縦107cm、横228cm、深さ5cmのポリプロピレン樹脂製の枠の底に、透水面として目開き2.5mmのポリエチレンネット(三井石化産資(株)ネトロンシートZ−28)を張り、このバット状育苗容器内の空間を8cm角の区分けになるように高さ5cmの格子状の仕切板で区分した。仕切板は厚さ30mmのポリスチレンボードに入れた8cm間隔のスリットを交互に組み合わせることで格子状にしたものである。本実施例における仕切板と透水面との隙間は3mmとした。
【0030】
実施例5
40重量%ガラス長繊維含有プラスチック(チッソ(株)製ファンクスター)からなる5mm厚み、28mm角パイプをジョイントで組み立てた高さ80cm、長さ200cm、幅1200cmの架台を作成し、その上に間隔50mmで3.2mm径の金網を置き、更にその上に目開き2.5mmのポリエチレンネット(三井石化産資(株)ネトロンシートZ−28)の透水面を置き、透水面の周囲を4×60×60mmアングルで覆い、8cm角の区分になるように高さ5cm格子状の仕切板で区分した。仕切板は厚さ2mmの3倍発泡ポリプロピレンシートに入れた8cm間隔の切り欠き分を交互に組み合わせることで格子状にしたものである。本実施例における仕切板と透水面との隙間は3mmとした。
【0031】
比較例
比較例には800ccのビニールポット(4号ポット)を用いた。
【0032】
2.育苗試験(イチゴの育苗試験)
床土にはピートモス、バーミキュライト、パーライト(混合比率1:1:1)からなる混合物3重量部と、黒ぼく土壌3重量部を混合したものを用いた。肥料は基肥として窒素成分を60mg/株となるように予め混合した。
この床土を実施例1から5及び比較例の育苗容器に、各容積あたり9割程度充填した。これに親株(品種:とよのか)から本葉が2〜3枚で根が2〜3本発生したランナーを採苗し、この苗を格子若しくはポットに一株ずつ挿し植えた。採苗後、灌水は午前中に行い、夜間は床土が乾くように行った。実施例1から5の育苗容器においては採苗を6月21日に行った。追肥は7月5日から8月15日まで5回行い、8月15日を最後に肥効切断を行い灌水は自動灌水で行った。比較例の育苗容器においては採苗を5月30日に行い、追肥を7月5日から8月15日までの間に5回行い、実施例同様8月15日を最後に肥効切断を行い灌水は自動灌水で行った。追肥は何れの試験区においても5回の合計がN:160mg/株、P2O5:160mg/株、K2O:160mg/株となるよう行った。それ以外の栽培管理は慣行法に準じて行った。
尚、実施例1から3の育苗容器は高さ80cmの架台上において育苗を行った。この際の架台は40重量%ガラス長繊維含有プラスチック(チッソ(株)製ファンクスター)からなる5mm厚み、28mm角パイプをジョイントで組み立てた高さ80cm、長さ2400cm、幅1200cmの架台であって、その上に間隔50mmで3.2mm径の金網を置いたものである。更に実施例2の育苗容器のみは、該架台上に6個、育苗容器の間隔を20cmとって設置した。実施例4並びに比較例に育苗容器は、従来通り路地面に置いて育苗を行った。
【0033】
育苗試験の生育調査を9月18日の本圃への定植の直前に行った。結果を表1に示す。
表中の育苗作業量とは、本圃10a分に必要な苗の育成にかかわる育苗ポット準備、鉢上げ、灌水、防除、下葉かきの各作業時間の合計であり、定植作業量とは、本圃10aの定植作業(施肥、耕耘・畦立、定植、マルチ張り)に要した時間の合計である。
本発明の育苗容器ないし育苗装置である実施例1から5の育苗容器を用いた試験区においては、苗のクラウン径は比較例に比べ僅かに小さいものの、最大径と最小径の差は非常に小さく、ばらつきの少ない均一な育苗が達成されていたことが解る。
また、本発明の育苗容器ないし育苗装置であれば、用いる床土の量も少量ですみ、栽植密度は高くなり、狭いスペースで大量の苗を育苗するのに好適であるとともに、床土量が少量ですむため経済的でもある。
【0034】
3.栽培試験(本圃でのイチゴ栽培試験)
本圃への定植は9月18日に行った。栽培は熊本県菊池郡合志町の圃場(厚層多植質黒ぼく土)で行った。その際の畦幅は110cm、株間は25cmであった。基肥としてN:15kg/10a、P2O5:60kg/10a、K2O:19kg/10aとなるよう作土に対し全層施肥を行った。以後11月21日、12月1日、12月31日に生育調査を行った。結果を表1に示す。
従来のポット育苗方式に比べ植え穴を掘る必要はなく、軽い土寄せでよく、定植作業を容易且つスムーズに行うことができた。
11月21日の生育調査の時点で、本発明の育苗容器を用いた試験区における苗の生育は、浅く植えたにもかかわらず土中に食い込むように生育し、良好な活着と発根を示した。
更に、本発明の育苗容器を用いた試験区においては、育苗期間が1月程度短くやや小苗であったにもかかわらず、比較例の育苗容器を用いた試験区に比べ、一果重、上物率ともに高いと云う良好な結果が得られた。このことは、本発明の育苗容器若しくは育苗装置を用いて育苗された苗であれば、育苗期間が短く、やや小苗であっても生育、収量には何ら影響がないことを示している。
【0035】
【本発明の効果】
底が透水面であり、且つ内部空間が仕切板によって格子状に区切られたバット状の容器であって、該仕切板が隣り合う区切られた空間相互に水分の通過が可能な程度の間隙を有する本発明の育苗容器をイチゴの育苗に用いれば、苗の生育が均一で且つ老化の起きにくい育苗が可能であり、このように育苗された苗であれば、本圃への定植作業が容易で、更に定植後の活着が良好であると云った極めて顕著な効果を示す。更に、本発明の育苗容器に架台を取り付けた育苗装置であれば、膝、腰を曲げた辛い姿勢での作業が不要となり、作業の効率化を図ることができる。
以上
【0036】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明育苗容器の斜視概念図
【図2、3】本発明育苗容器の断面図
【図4〜6】本発明育苗容器の仕切板の概念図
【図7】本発明の育苗装置の斜視概念図
【符号の説明】
1−バット状容器
2−仕切板
3−透水面
4−架台
5−苗
Claims (8)
- 底が透水面であり、且つ内部空間が仕切板によって3〜15cm角の格子状に区切られ、深さが3〜10cmであり、底面積が600〜5000cm2のバット状の容器であって、該仕切板が隣り合う区切られた空間相互に水分の通過が可能な程度の間隙を有し、仕切板によって形成される一つの格子で一株ずつ育苗することを特徴とするイチゴの育苗容器。
- 仕切板の下端と底面の間に間隙を有することを特徴とする請求項1に記載のイチゴの育苗容器。
- 仕切板が穿孔されていることを特徴とする請求項1に記載のイチゴの育苗容器。
- 仕切板の厚さが2〜50mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のイチゴの育苗容器。
- 仕切板の下端と底面との間の間隙が1〜20mmであることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のイチゴの育苗容器。
- 請求項1〜5の何れか1項記載のイチゴの育苗容器と該育苗容器をその上に設置する架台とからなることを特徴とするイチゴの育苗装置。
- 架台がガラス繊維含有強化樹脂を主成分とする材質で構成されていることを特徴とする請求項6記載のイチゴの育苗装置。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の育苗容器または請求項6もしくは7記載のイチゴの育苗装置を用いることを特徴とするイチゴの育苗方法。
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1997
- 1997-05-13 JP JP13746797A patent/JP3589551B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2008109873A (ja) * | 2006-10-30 | 2008-05-15 | Nangoku Kosan Kk | 果菜類の多段階根域制限栽培方法とその装置 |
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JPH1042710A (ja) | 1998-02-17 |
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