JP3589303B2 - ヒトactおよびセリンプロテアーゼからなる複合体に対するモノクローナル抗体 - Google Patents
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Description
本発明は、α1−アンチキモトリプシン(ACT)およびセリンプロテアーゼ、特に前立腺に特異的な抗原(PSA)からなる複合体に特異的に結合し、複合体を形成していない(以下「非複合」)ACTおよび非複合セリンプロテアーゼとは本質的に交差反応を起こさない、モノクローナル抗体(MAK)に関する。これらのモノクローナル抗体は、ACT−セリンプロテアーゼ複合体を検出するため、特にPSA−ACTを検出するために使用することができる。
前立腺に特異的な抗原は、分子量33kDaを有する糖タンパク質である。これは、前立腺の上皮細胞内で形成される、精液の成分である。PSAは、中性セリンプロテアーゼの酵素活性を有する。
PSAの主な機能は、セミノゲリン(seminogelin)IおよびIIならびにフィブロネクチン(これらのタンパク質はゲル状タンパク質であり、射出精液の主成分として精子の運動を妨げる)を切断することである。PSAは、これらのタンパク質を加水分解して精液の凝塊を液化することにより、精子の運動を可能にする。
酵素活性なPSAは、血清内ではいわゆるセルピン(セリンプロテアーゼインヒビター)と呼ばれる様々なインヒビターにより、共有結合による複合体が形成されて不活性化される。免疫学的に検出可能なPSAの多くは、血清中ではα1−アンチキモトリプシン(60−95%)に結合する。さらに、α2−マクログリブリン、α1−アンチトリプシン、インター−α−トリプシンインヒビターおよびプロテインCインヒビターと、複合体が形成される。さらに、セルピンとはもはや複合体を形成しない酵素不活性なPSAも発生する。
α1−アンチキモトリプシンは、分子量約69kDaと炭水化物部分を有する糖タンパク質である。ACTは、急性期の炎症を調節する際の主なインヒビターとして重要な役割を担っている。また、ACTはキモトリプシン、カテプシンGおよび腺性カリクレインhK2とも複合体を形成する。ACTは、ヒト血清中に(モルベースで)PSAの10,000倍の濃度で存在する。
遊離型PSAのほかに、PSA−ACT複合体が、血清中における免疫学的に検出可能な総PSAの主な形態である。多くの場合、前立腺ガンは血清中のPSAレベルの上昇を引き起こす。しかし、良性の前立腺過形成でもPSA血清値のわずかな上昇が見られるため、PSAは特に低濃度の範囲内においてはガンに特有のマーカーではない。患者に前立腺癌がある可能性を調べるためにこれまで使用されていたスクリーニングテストは常に、総PSAを検出するテストであった。PSAは通常、男性の血清中に非常に低濃度で発生するため、このようなテストではいわゆるカットオフ(cut−off)を決めなければならなかった。このカットオフを超えるPSA値は、前立腺癌の存在を示すものと評価される。PSA濃度は患者の年齢が高くなるにつれ上昇するため、総PSA検出テストでは4〜6ng/mlのカットオフ値がこれまで使用されてきた。この結果、初期段階の前立腺癌を有する一部の患者はこれらのスクリーニングテストでは検出されなかった。
未審査の日本特許出願公開第62−46263号公報ではすでに、悪性の前立腺腫瘍を有する患者におけるPSA複合体の値は、良性の前立腺過形成の患者に比べて高いことが分かっている。この未審査の公開特許出願において、γ−セミノプロテイン(seminoprotein)(γ−セミノプロテインはPSAと全く同じものである;SchallerらのEur.J.Biochem.170,1987,111−120およびナカムラのCancer 74,1994,1655−1659を参照のこと)に対する抗体とα1−アンチチプシン(antitypsin)に対する抗体とを組み合わせて検出を行うイムノアッセイが記載された。
複合体形成されていない(非複合)PSAに結合し且つACTとの複合体中のPSAと結合する抗体2E9およびACTに対する抗体の組み合わせを使用するPSA−ACTの検出方法は、WO92−01936に記載されている。
さらに、遊離型PSA、非複合PSAおよび総PSA(すなわち遊離型PSAと複合体形成された(複合体)PSAの合計)を検出するための診断テストがある。これらのテストは全て、遊離型PSAを検出する場合には複合体形成されていない形のPSAのみを、または総PSAを検出する場合は複合体形成された形状および遊離型のPSAのみを認識する抗体を含む。
セリンプロテイナーゼと複合体形成したACTの検出、特にPSA−ACTの検出は、上述のように、従来は2つの抗体(うち一方はPSAに対する抗体であり、他方はACTに対する抗体)を使用するサンドイッチテストを使用してのみ可能であった。ヒト血清中にACTはPSAに比べて約10,000倍多く発生してPSAとACTとの複合体も生じるため、この大過剰なACTによる負のテスト干渉を避けることは不可能である。とくに、これら従来公知のPSA−ACT検出テストは、このテスト方法においてACT−特異的抗体を加える前に過剰なACTを除去するための少なくとも1つの洗浄ステップを含むことが不可欠である。したがって、多くの自動診断テストで望ましい1ステップ−テスト法は不可能である。
サンドイッチテストにより遊離型PSAおよび全量PSA(総PSA)を検出するPSAの検出方法が、WO95/18381に記載されているが、遊離型PSAに特異的な抗体のみまたは遊離型PSAおよびPSA−ACT複合体の双方と反応する抗体のみを使用するため、PSA−ACTの特異的検出は不可能である。
したがって本発明の目的は、PSA−セリンプロテアーゼ、特にPSA−ACTを検出するための改良されたテストを提供することであり、この場合PSA−ACTは、可能であれば、血清中に高濃度で存在するACTにより干渉を受けず、かつ前立腺癌を検出するのに可能な限り高感度なスクリーニングを可能とするものでなければならない。
この目的は、遊離型非複合体ヒトACTおよび遊離型非複合体セリンプロテアーゼと本質的に交差反応を起こさない。ヒトACTとセリンプロテアーゼとの複合体に対するモノクローナル抗体により、達成される。
特にこの目的は、遊離型ヒトACTや遊離型セリンプロテアーゼと本質的に交差反応を起こさず且つ他のセリンプロテアーゼ−ACT複合体、とくにキモトリプシン−ACTおよびカテプシン−G−ACTに対してよりもPSA−ACTに対して実質的により高い親和性および特異性を有する、ACTとセリンプロテアーゼとの複合体に対するMAKにより達成される。
当業者に公知である全てのタンパク質検出テストにおいて、このモノクローナル抗体を使用することができる。2つの抗体を用いた好適なテスト方法(サンドイッチテスト)において、テストは1ステップで、すなわち過剰なACTを除去するための追加の洗浄ステップを行うことなく、行うことができる。これは、従来可能であったテスト(これらはすべて、特にできるだけ素早く多くのサンプルをテストしなければならないスクリーニングテストで、過剰なACTを除去するための洗浄ステップを含んでいた)に比べて決定的に改善された点である。
ヒトACTとセリンプロテアーゼとの複合体に対する本発明のモノクローナル抗体は、遊離型ヒトACTおよび遊離型セリンプロテアーゼと本質的に交差反応を起こさない。「本質的に交差反応を起こさない」とは、ACT−セリンプロテアーゼ複合体の検出テストが遊離型ACTまたは遊離型セリンプロテアーゼにより影響を受けない程度の交差反応と解釈される。なお許容できる個々の成分との交差反応レベルは、これらの成分がヒト血清中に生じ得る濃度に依存する。ACTはかなり過剰に生じるため、交差反応性は微小(この場合即ち実質的に1%未満)でなければならない。使用可能な方法を使用して本発明のモノクローナル抗体の交差反応性を検出することは不可能であった。BIAcore▲R▼システム(Pharmacia社)を使用して交差反応を検出した。テストした物質に対して105l/mol未満の親和性定数を有する抗体は大きな結合を示さず、従ってこのシステムでは検出可能な交差反応は見られなかった。
本発明のモノクローナル抗体は、BIAcore▲R▼において非複合PSA、キモトリプシンおよびカテプシンGに対して交差反応を示さなかった。ヒト血清中に発生する全ての潜在的干渉物質との交差反応を調べるために、このケースではヒト血清をスクリーニングテストに加えた。ACT−PSA複合体が存在しないように、ヒトの女性の血清を使用した。本発明のモノクローナル抗体は、この血清中に発生する他の成分と検出可能な交差反応を示さなかった。
PSA−ACTは、最も臨床的に関連の深いセリンプロテアーゼ−ACT複合体を表すので、本発明のモノクローナル抗体は、他のセリンプロテアーゼ−ACT複合体に対してよりもPSA−ACTに対して、特に高い親和性および特異性を有する。PSA−ACTに対する親和性の高さは、好ましくは少なくとも10倍以上、特に好ましくは50倍以上である。PSA−ACTに対するこれらの特異的モノクローナル抗体により、非複合PSAおよびACTにより臨床面での干渉を大きくまたは全く受けない1ステップのPSA−ACT検出テストを設計することが可能となる。
本発明のモノクローナル抗体は、PSA−ACTに対して少なくとも107l/mol、特に好ましくは少なくとも109l/molの親和性を有する。本発明のモノクローナル抗体の1つは、1010l/molもの親和性を有することさえ分かった。これは、モノクローナル抗体では異常に高い親和性である。PSA−ACTに対するこのような高新和性モノクローナル抗体は、通常比較的短い間モノクローナル抗体と一緒にサンプルをインキュベートする1ステップテストに優れて適している。この高親和性モノクローナル抗体のPSA−ACTへの結合は、非常に素早く行われる。
本発明のモノクローナル抗体は、全ての可能なIgクラスに属することができる。このモノクローナル抗体は、好ましくはIgG1クラスに属する。不均一イムノアッセイにおいて抗体を固相に結合させるための結合相手や例えば酵素などのラベルなどの他の成分を、IgG1抗体に好ましく結合させることができる。抗体フラグメントの切断も、問題無くIgG1クラスである。
「本発明のモノクローナル抗体」という用語は、免疫学的テストや他の用途に一般的に使用される完全な抗体、ならびにその全ての断片、たとえばF(ab')2およびFabフラグメントなどであると理解される。またこの用語は、モノクローナル抗体を改変することにより生成された抗体も含む(ただし、抗原結合特性は大きな影響を受けなかったものとする)。例えば一般にマウスで産生されるモノクローナル抗体の一部を、これと対応するヒト抗体配列で遺伝子操作により置換して、イムノアッセイにおける非特異的結合を最小にすることができる。このようなキメラモノクローナル抗体の産生方法は、当業者に公知である(例えばJ.McCafferty,H.R.HoogenboomおよびD.J.Chiswell、The Practical Approach Series,Series Editor:B.D.Hames,Oxford University Press(1996)よりAntibody Engineeringを参照)。
本発明のモノクローナル抗体は、例えば1996年9月19日にDSM(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig)に寄託された細胞系MAK<PSA−ACT>M 4.6.374、MAK<PSA−ACT>M4.3.2およびMAK<PSA−ACT>M6.13.64から産生することができる。(MAK<PSA−ACT>M4.6.474=DSM ACC 2281;MAK<PSA−ACT>M6.13.64=DSM ACC 2282;MAK<PSA−ACT>M4.3.2=DSM ACC 2283)。
また、本発明は、モノクローナル抗体4.6.374、4.3.2および6.13.64と同等にセリンプロテアーゼ−ACT複合体に結合する抗体、好ましくはモノクローナル抗体に関する。「同等に結合する」とは、これらの抗体が、寄託されたモノクローナル抗体と同じエピトープを認識することを意味すると理解される。これは例えばBIAcore▲R▼でのマルチ結合実験によって決定することができる。
本発明のモノクローナル抗体は、好適な実験動物をヒト由来PSA−ACTで免疫したあと、この免疫した動物の脾臓細胞を骨髄腫細胞に融合することにより、公知方法で産生することができる。しかし、セリンプロテアーゼ−ACT−特異的モノクローナル抗体の産生率は非常に低い。雌の実験動物だけを用いることによってPSA−セリン−プロテアーゼ−特異的抗体の収量を増加させることが可能であった。この場合でも、約70%のモノクローナル抗体はなお、ACTとの高い交差反応性を有し、約30%はPSAとの高い交差反応性を有していた。得られた全抗体の1%よりはるかに少ないものだけが、セリンプロテアーゼインヒビター複合体またはPSA−ACT複合体に対する必要な特異性を有していた。
リンパ球源としての脾臓以外に、免疫した動物(好ましくはマウスおよびラット)のPBL(末梢血リンパ球)またはリンパ節の細胞を使用することも可能である。
あるいは、PSA−ACTに対する抗体または自己抗体を発生させたヒトドナー(例えば前立腺腫瘍患者、授乳中の女性、PSA−分泌細胞/組織を有する患者)由来のリンパ球(PBL、脾臓細胞、リンパ節細胞)を不死化することも可能である。このような抗PSA−ACT産生リンパ球は、ヒト骨髄系との融合またはEBV(Epstein Barr Virus)形質転換により不死化させて、抗体産生ハイブリドーマ細胞を形成することができる(Monoclonal Antibody and Immunosensor Technology,A.M.Campbell,Elsevier Publisher 1991;
J.H.Peters,H.Baumgarten,Springer Verlag 1990;Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,ed.Lawrence B.Schook,Marcel Dekker Publisher 1987)。
本発明の更なる主題は、サンプル、好ましくはヒトのサンプル(例えば血漿、血清、血液、精液、前立腺液、精嚢液、唾液、髄液、ヒトの母乳、嚢胞、組織ホモジェネート、組織切片、生検材料など)において、セリンプロテアーゼ−ACT複合体、特にPSA−ACTを検出するための、本発明のモノクローナル抗体の使用である。
本発明のモノクローナル抗体は、セリンプロテアーゼとヒトACTの複合体を特異的に認識することにより、本発明の全てのMAKは、この複合体中にのみ生じるエピトープを認識するが、遊離型セリンプロテアーゼおよび遊離型ヒトACT中のエピトープは認識しないため、タンパク質を検出するのに適した全ての一般的なテスト構成を使用することが可能である。したがって当業者は、もう以前のように2ステップ式のサイドイッチアッセイ(これはヒトACT−特異的抗体のインキュベーションの前にさらに洗浄ステップを含まなければならなかった)にもっぱら縛られることはない。
したがって、本発明はさらに、サンプルを本発明の少なくとも1つのモノクローナル抗体と共にインキュベートすることにより、ヒトACTとセリンプロテアーゼとの複合体を測定するための方法に関する。IEMA原則に基づいた競合テストやサンドイッチなどの直接テストなどの、当業者に公知である全ての一般的なタンパク質検出方法が適している。アッセイの成分を固相に結合させて固相および液相を分離させる不均一テストのほかに、タンパク質を検出するのに適した均一テストを使用することも可能である。この例としては、ラテックス凝集反応テストやTINIA(turbidimetric inhibition immunoassays)などの比濁分析または濁度分析テストなどが挙げられる。テスト試薬が液相中に存在するいわゆる湿式テストのほかに、タンパク質を検出するのに適した全ての一般的な乾式テスト方式を使用することも可能である。これらの乾式テストまたはテストストリップでは、テスト成分は担体に塗布される。このような乾式テストは例えばEP−A 0 186799に記載されている。
本発明の更なる主題は、他のセリンプロテアーゼ−ACT複合体に対するよりPSA−ACTに対する親和性が高い本発明のモノクローナル抗体と共にサンプルをインキュベートすることによる、PSA−ACT検出テストである。このMBAは好適には少なくとも10倍、特に好ましくは少なくとも50倍高いPSA−ACTへの親和性を有する。
幾つかの抗体(このうち1つは本発明のモノクローナル抗体である)の組み合わせをテストで使用する場合、全てのセリンプロテアーゼ−ACT複合体を均等に良く認識するモノクローナル抗体を使用する場合であっても、PSA−ACT−特異的テストを設計することが可能である。したがって、本発明の主題は、本発明の少なくとも1つのモノクローナル抗体およびPSAに対する1つの抗体と共にサンプルをインキュベートすることによってPSA−ACTを測定するための方法である。このようなPSA−特異的抗体は公知であり、PSAまたはγ−セミノプロテインを検出するための診断テストで1985年以来すでに使用されている。これら2つの抗体を組み合わせることにより、PSA−ACTを特異的に検出することが可能になる。この従来のサンドイッチテストにおいて、2つのうちどちらの抗体がラベルされた形で存在するか、あるいは固相に結合するか、は重要ではない。
ACTとセリンプロテアーゼの複合体、とくにACT−PSA複合体に特異的なモノクローナル抗体の代わりに、PSA−ACTに対するレセプターをPSAに対する抗体とともに使用することも可能である。PSAは、相互の相同性が高いプロテアーゼグループであるカリクレインファミリーのメンバーである。これはセルピン(セリンプロテアーゼインヒビター)と呼ばれるインヒビター(ACTを含む)によって結合される。これらのPSA−セルピン複合体は、新生エピトープと呼ばれるエピトープを有し、これはプロテアーゼに結合しなかった遊離型インヒビターには存在しない。これらのPSA−ACT複合体、または一般にカリクレイン−セルピン複合体は、この新生エピトープを認識するレセプターにより血液循環から排除される。この新生エピトープについては例えばPerlmutterらのJ.Biol.Chem.265,No.28,16713−16716,1990;PelmutterらのProc.Natl.Acad.Sci.USA,87,3753−3757,1990およびJoslinらのJ.Biol.Chem.268,No.3,1886−1893,1993に記載されている。PSA−ACTおよびカリクレイン−セルピンのためのレセプターがHepG2細胞中で検出されたが、このレセプターはこれらから単離することができる(Joslinら、1993)。したがって、本発明のさらなる主題は、上記により詳しく説明した新生エピトープに結合するPSA−ACTのためのレセプター、および好ましくはPSAに対するモノクローナル抗体である抗体と共にサンプルをインキュベートすることにより、PSA−ACTを測定するための方法である。この場合、レセプターまたは抗体がラベルされた形で存在するかあるいは固相に結合するかは問題ではない。
セルピン−プロテアーゼレセプターを産生するために、所望のレセプターを発現する細胞をまず初めに培養した。このレセプターは、例えばHashemiらのJ.Lab.Clin.Med.109−(1987),434−440に記載されているような細胞ELISAを用いて検出される。このため、HepG2細胞を平底培養皿(Costar)中に2×104の細胞/ml濃度で接種する。10%ウシ胎児血清(FCS)を含むDMEMを培地として使用する。HepG2細胞を総量70%にまで増殖させ、続いて固定させないで放置した。ACT−PSA(Scripps laboratories)をDMEM/1%BSA中で最終濃度が10μg/mlになるまで添加し、4℃で10分間放置して、レセプターと複合体形成させた。DMEM/1%BSAで2回洗浄したあと、ペルオキシダーゼ(1U/ml)でラベルした抗−PSAモノクローナル抗体で細胞を4℃で30分間インキュベートする。つづいてこの細胞をDMEM/1%BSAで2回洗浄する。この細胞を、検出用の基質(TMB)と共にインキュベートした。
レセプターを単離するために、高いレセプター発現率を示すHep G2細胞をT150培養フラスコ中で培養し、細胞を注意深く引っかき出して、形成された細胞層を採取する。数個の培養皿から取り出した細胞をプールして総量109個の細胞を得る。次に細胞をPBS中のTritonX100と共にインキュベートすることにより溶解する。10,000×gで10分間遠心分離にかけたあと、細胞培養物の上清を分離し、核および細胞膜のフラクションを含む沈殿物を1M塩化ナトリウムのPBS溶液中に再懸濁する。10,000×gで10分間遠心分離にかけたあと、細胞の上清を回収し、−20℃で保存する。ELISA法においてレセプターを特徴付けるために、このレセプター調製法を用いることができる。この粗製レセプター抽出物20μgを、1時間室温で平底マイクロタイタープレート上に被覆した。PBS/0.1%Tween▲R▼20で洗浄してPBS/1%BSAを入れたあと、PSA−ACT複合体を加えて該混合物を室温で1時間インキュベートする。プレートを洗浄したあとペルオキシダーゼでラベルした抗−PSA抗体と共にインキュベートする。つぎに、結合したペルオキシダーゼの活性を、ABTS▲R▼などの好適なペルオキシダーゼ色素で検出する。
疎水性クロマトグラフィーを行い、さらに粗製レセプター抽出物を精製する。ELISAを用いて上記のように個々のフラクションの活性を検出し、レセプター活性を有するフラクションをプールする。つぎに、レセプター分子のNH2末端を公知方法により配列決定し、遺伝子バンクからcDNAを取り出す。このため、精製したレセプター調製物を最初にSDS−PAGEにより分離する。タンパク質のバンドを切り出して溶出する。個々のバンドのレセプター活性を、細胞ELISAを用いた競合法により決定する。つぎに、公知方法と用いて活性バンドのNH2末端を配列決定する。このアミノ酸配列から核酸配列を導き出して、それに対応するオリゴプライマーを合成する。また、ポリA領域の前の非翻訳領域に由来の第二の縮重プライマーも、Hep G2 DNAをテンプレートとして用いたPCR増幅で使用される。陽性クローンは増幅配列(約45個のヌクレオチド)の補助を得て識別され、精製される。DNAは、制限分析およびサザンブロットにより特徴付けられる。EcoR I−Xba IフラグメントをBluescript SKにサブクローン化する。このクローンの配列決定およびアミノ酸配列の誘導(derivation)により、レセプター特異性が分かる。レセプター配列に相関するDNAを、cDNAバンクの中のこのオリゴヌクレオチド(例えばλDR2(Clontech cat.No.HL1151x)の中のウシ胎児肝臓など)の補助を得て識別する。同定したクローンを精製し、λDR2の中のBAMH I−Xba I領域の近傍のプライマーを用いたPCRで分析する。ファージ懸濁液をテンプレートとして使用する。プラスミドpDR2を単離し、BAMH IおよびXba Iを用いて制限分析にかける。2本鎖DNAインサートを、色標識したジデキシヌクレオシド三リン酸ターミネーターおよび“ウォーキングプライマー(walking primer)”用の標準的な方法を使用した自動配列決定装置(ABI373)で配列決定する。(Sangerら、PNAS(1997)74,5463−5467)。
つぎに、レセプターDNAを単離して発現システムを構築する。このため、該レセプターのためのオープンリーディングフレームを含むcDNAを、pSV15.JD.LL中の制限部位Cla IとSal Iとの間にクローン化する。ベクターpSV15.JF.LL.SERCを得る。
a)大腸菌中での発現
プラスミドは、レセプター遺伝子の上流に短いリーダー配列を含む。このリーダー配列は、高い翻訳速度および迅速精製を可能にする。トリプトファンプロモーターの導入後、多量の細胞内産生が開始する。発現プラスミドを使用して、例えばマンデルらのJ.Mol Biol.53(1970),159−162)によるCaCl2熱ショック法の補助を得て大腸菌44C6を形質転換する。この方法により形質転換された細胞を、50μg/mlのカルベニシリンを含むLB培地中37℃で、約600nmにおける光学密度が2〜3になるまで増殖させる。0.49%カザミノ酸および50μg/mlのカルベニシリンを含むM9培地で懸濁液を20倍に希釈する。これらをさらに1時間30℃で通気して培養し、インドリル−3−アクリル酸を最終濃度50μg/mlになるまで加える。さらに15時間培養したあと細胞を採取する。
b)CHOまたは他の哺乳動物の細胞における発現
Not Iを用いてプラスミドを線状にし、エレクトロポレーションによりCHO細胞をトランスフェクトする(Anderson,J.Tissue Culture Meth.15(1993),56)。細胞をDHFR選択培地に移す。2週間後に個々のクローンを96−ウェルのマイクロタイタープレートに移す。競合ELISAにより発現を測定する。
c)公知方法によるバキュロウイルスシステムにおいても発現は起こり得る。
レセプターが発現したあと、これを単離し、精製し、特徴付けて、イムノアッセイにおける結合相手としてのその使用を評価する。このため、トランスフェクトされたCHO細胞の培養上清を回収し、シバクロムブルー−セファロースカラム(細胞上清の容量100部、カラム物質の容量1部)に加える。このカラムを、尿素を含まない容量で5部のアプリケーション緩衝液で洗浄したあと、2Mの尿素(容量で5部)を含むpH7.4の10mMリン酸緩衝液で洗浄する。組換えレセプターをpH7.4の10mMリン酸緩衝液、2M尿素および1MのNaClで溶出する。レセプターを含むフラクションを小麦麦芽レクチンカラムに加える。容量5部のアプリケーション緩衝液で洗浄したあと、10mMのpH7.4のリン酸緩衝液、2M尿素および0.5N−アセチルDグルコサミンでレセプターを溶出する。
レセプターを含む混合フラクションを0.04%C12E8および0.1%TFAに調節する。2つの連続的なアセトニトリル直線勾配(0.04%C12E8および0.1%TFA中に0〜30%および30〜60%)を用いてC4逆相カラムでタンパク質を分離する。SDS−PAGEによりフラクションを分析する。レセプターを含むフラクションを2容の10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4および150mMのNaClで希釈し、限界濾過チャンバで6容の希釈緩衝液に対して透析し(排除サイズ30,000)、濃縮する。
濃縮物を0.01%のTween▲R▼80に調節し、ゲルクロマトグラフィーにより同じ緩衝液中で精製して凝集物およびフラグメントを除去する。レセプターを含むフラクション(SDS−PAGEで検出)を滅菌濾過し(孔径0.22μmのフィルター)、4℃で保存する。
大腸菌中で発現したレセプターを以下のように単離する。大腸菌細胞を10容の緩衝液(10mM Tris−HCl,5mM EDTA,pH8)中で均質化し、5000×gで30分間遠心分離にかける。10容の緩衝液(10mM Tris−HCl,5mM EDTA,pH8)中に細胞を取り入れ、例えばミクロフリューダイザー(microfluidizer)に通して遠心分離にかける。細胞ペレットを−70℃で凍結させるか、またはこれを直接使用する。
細胞ペレットを20mM Tris−HCl、8Mグアニジニウム(gianidinium)塩酸塩および25mM DTT(pH8)中に再懸濁し、4℃で12時間攪拌してレセプター分子を可溶化する。可溶化したあとにこの溶液を30,000×gで30分間遠心分離にかける。透明な細胞上清を単離し、G200 Sephadexカラム(ゲルクロマトグラフィーカラム)で10mMのDTTを含む20mMのNaリン酸緩衝液pH6中でこの溶液を精製する。レセプターを含むフラクションを1つに合わせる(SDS−PAGEによるタンパク質検出)。これらのフラクションを上記のようにC4逆相カラムで分離する。レセプターを含むフラクションを再び1つに合わせ、レセプターを復元する。このため、溶液を9容の復元緩衝液(5mM EDTA,2%CHAPS界面活性剤、25%グリセロール、5mM酸化グルタチオンおよび1mM還元グルタチオン、pH8.3)で希釈し、4℃で4日間透析する。復元したあと、溶液を0.2%TFAに調節し、0.45μフィルターで濾過して10%のアセトニトリルに調節する。このあと、上記のようにC4逆相カラムで処理する。レセプターを含むフラクションを等張緩衝液(10mM Naリン酸緩衝液、150mM NaClおよび0.01%Tween▲R▼80,pH7.4)に対して透析し、4℃で保存する。
こうして得た組換えレセプターは、上記のようにイムノアッセイにおいてPSA−セルピン複合体を測定するために、その壁に結合されたまたはラベルされた結合相手として使用することができる。
PSA−ACTを検出するための本発明のテスト(検査、試験)、とくに1ステップからなるテストは、前立腺癌が存在するという証拠を得るために多数のサンプルをスクリーニングするのに極めて適している。本発明のテストを使用すると、総PSA検出のためのテストにおける従来の一般的なカットオフに比べてカットオフを低くすることができることが分かった。従来一般的であったカットオフ値未満の範囲であっても、本発明のテストは、通常の患者と危険性のある患者とを見分けるための比較的信頼性の高い分別が可能である。しかし同時にまた、従来の一般的なテストでは検出されなかった初期段階の前立腺癌を有する患者までより高い率で検出されるようになる。本発明のテストのカットオフ値は、これに対応する総PSAのカットオフ値よりもかなり低い。PSA−ACTのカットオフ値はPSAのカットオフ値の70%以下、好ましくは60%以下である(単位ng/ml)。同じ特異性(BPHに対して95%)では、総PSAのカットオフ値は例えば10.05ng/mlおよびPSA−ACTのカットオフ値は5.70ng/mlである。
本発明のテストのカットオフより高い値を有する患者では、良性疾患と前立腺癌とを見分けるために、遊離型PSAを検出するための第二テストが行われる。このようなテストは1985年以来すでに利用されてきている。PSA−ACTに対する遊離型PSAの比率を決定する。この比率が0.1〜0.17より上であれば、癌が存在する可能性が高い。
以下の実施例によって、本発明の主題を説明する。
実施例1
PSA−ACTに対するモノクローナル抗体の調製
a)マウスの免疫化
12週齢の雌のBalb/cマウスを、アジュバントCFA(フロイントの完全アジュバント)とともに100μgのPSA−ACT(Centro CO.,サンディエゴ、製品コードCB3074−01、batch 50 10 70)で腹腔内初回免疫を行う。続いて6週間後以降1ヶ月おきにさらに3回腹腔内免疫を行う。この場合、各マウスにIFA(フロイントの不完全アジュバント)とともにPSA−ACT100μgを投与する。つぎに、PBS緩衝液中のPSA−ACT(100μg)を用いて、融合前の3日目および2日目および前日に静脈内に最後の免疫化を行う。
b)融合およびクローニング
a)に従って免疫したマウスの脾臓細胞を、
法(Enzymology 73,1981,3)に従って、骨髄腫細胞と融合させる。免疫したマウスの約1×108個の脾臓細胞を2×107個の骨髄腫細胞(P3X63−Ag8−653,ATCC CRL 1580)と混合し、遠心分離にかける(300g、4℃で10分間)。つぎにウシ胎児血清(FCS)を含まないRPMI 1640培地で細胞を1回洗浄し、50mlの円錐形チューブの中で400gで再び遠心分離にかける。つづいて、1mlのPEG(ポリエチレングリコール)(分子量4000,Merck,Darmstadt)を加え、ピペッティングにより混合する。37℃の水浴中で1分後、FCSを含まない5mlのRPMIを滴下により加え、混合し、培地(RPMI 1640+10%FCS)で50mlにし、つぎに遠心分離にかける。沈殿した細胞を、10%FCSを含むRPMI 1640培地中に取り入れ、ヒポキサンチン−アザセリン選択培地(100mmol/lヒポキサンチン、RPMI 1640+10%FCS中の1μg/mlアザセリン)の中に接種する。インターロイキン6(100U/ml)を成長因子として培地に加える。
約10日後、一次培養物について特異的抗体合成のテストを行う(実施例2参照)。PSA−ACTと陽性の反応を示し且つ非複合PSAもしくは非複合ACTまたは他の全ての血清成分との交差反応を示さない一次培養物を、蛍光活性化細胞選別機を使って96−ウェルの細胞培養プレート中でクローン化する。インターロイキン6(100U/ml)を成長因子として培地に添加する。
このようにして、表1に挙げる寄託された細胞系/クローンが得られた。
c)細胞培養上清からのイムノグロブリン単離
得られたハイブリドーマ細胞を、10%FCSを含むRPMI 1640培地中に1mlあたり1×105個の密度で接種し、発酵槽(Thermodux Co.,Wertheim/Main,model MCS−104XL,オーダーNo.144−050)の中で7日間増殖させる。培養上清中のモノクローナル抗体の平均濃度は100μg/mlに達した。この抗体を、タンパク質化学において一般的な方法により(たとえばEnzymology 121(1986),587−695に記載された方法に従って)培養上清から精製する。
実施例2
抗PSA−ACT抗体のスクリーニングテスト
ストレプトアビジンを被覆したMTPを、PSAおよびPSA−ACTを結合する“捕獲(capture)抗体”で被覆する。つぎに、これらを被分析物[a)の場合PSA−ACTまたは(b)の場合PSA]と共にインキュベートする。つぎに、テストする抗PSA−ACT抗体と共にインキュベーションを行う。最後に、抗マウスIgG−PODを用いて基質を変換することにより、通常の方法で、結合した抗体を検出する。
a) PSA−ACTとの特異性の決定
ハイブリドーマ細胞の培養上清中の抗体の特異性を決定するために、組換えストレプトアビジン(MicroCoat Co.Penznerg,オーダーNo.12−K 96N,batch MC289)をコーティングしたMTPに、PBS+0.5%クロテイン(crotein)C(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で10分間インキュベーション)中のモノクローナル抗体1またはモノクローナル抗体2(両抗体とも非複合PSAおよび複合体中のPSAを認識する)のビオチニル化Fabフラグメント10μg/ml)で被覆したあと、0.9%NaCl/0.05%Tween20で3回洗浄する。
次にこれらを、PBS+0.5%クロテインC中に溶解した100ng/ml PSA−ACT(Scripps Co.,San Diego,cat No.P0624,batch 66 15 64またはCentro Co.,San Diego,cat.No.CB 30 75 01,batch 50 10 70)と共にインキュベートする(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で1時間)。つぎに、これらを0.9%NaCl/0.05%Tween20で2回洗浄する。
次のステップでは、検査する100μlの抗体溶液(培養上清中)を被覆したウェルに添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートする。0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween20で3回洗浄したあと、マウスFcγ(Boehringer Mannheim GmbH、25mU/mlに対応するオーダーNo.1431323)に対する羊由来ポリクローナル抗体のPODでラベルしたFabフラグメント(100μl)を各ウェルに添加し、サンプルから結合抗体を検出し、振盪しながら室温で1時間インキュベートしたあと、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
最後に、100μl/ウェルのABTS▲R▼溶液(Boehringer Mannheim GmbH,cat.No.1204521およびNo.1204530)を加え、MR700マイクロプレートリーダー(Dynatech Companyより)中で室温で30分間放置したあと、405/492nmでの吸光度を測定する。
b) PSAとの反応性/交差反応の決定
PSAとの反応性/交差反応を決定するために、a)で記載したインキュベーションでPSA−ACTではなく非複合PSAを使用する。
このため、組換えストレプトアビジン(MicroCoat Co.Penzberg,オーダーNo.12−K 96N,batch MC289)で被覆したMTPを、PBS+0.5%クロテインC(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で1時間インキュベーション)中のモノクローナル抗体1またはモノクローナル抗体2(両抗体とも非複合PSAおよび複合体中のPSAを認識する)のビオンチニル化した(biotinylated)Fabフラグメント10μg/mlで被覆したあと、0.9%NaCl/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
次にこれらを、PBS+0.5%クロテインC中に溶解した50ng/ml PSA(Scripps Co.,San Diego,cat No.P0714,batch 98 43 64)と共にインキュベートする(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で1時間)。つぎに、これらを0.9%NaCl/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
次のステップでは、検査する抗体溶液100μl(培養上清中)を被覆したウェルに添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートする。0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄したあと、マウスFcγ(Boehringer Mannheim GmbH、25mU/mlに相当するオーダーNo.1431323)に対する羊由来ポリクローナル抗体のPODでラベルしたFabフラグメント(100μl)を各ウェルに添加し、結合した抗体をサンプルから検出し、振盪しながら室温で1時間インキュベートしたあと、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
最後に、100μl/ウェルのABTS▲R▼溶液(Boehringer Mannheim GmbH,cat.No.1204521およびNo.1204530)を加え、MR700マイクロプレートリーダー(Dynatech Companyより)中で室温で30分後、405/492nmでの吸光度を測定する。
c) ACTとの反応性の決定
ACTとの反応性を決定するために、a)で記載したテストで過剰となったACTと共に、検査する抗体を予めインキュベートしておく。測定信号のレベルが変化しないままであれば交差反応はなく、測定信号が低下した場合は交差反応がある。
このため、組換えストレプトアビジン(MicroCoat Co.Penzberg,オーダーNo.12−K 96N,batch MC289)で被覆したMTPを、PBS+0.5%クロテインC(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で10分間インキュベーション)中のモノクローナル抗体1またはモノクローナル抗体2(両抗体とも非複合PSAおよび複合体中のPSAを認識する)のビオンチニル化したFabフラグメント10μg/mlで被覆したあと、0.9%NaCl/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
次にこれらを、PBS+0.5%クロテインC中に溶解したPSA−ACT(Scripps Co.,San DiegoまたはCentro Co.)100ng/mlと共にインキュベートする(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で1時間)。つぎに、これらを0.9%NaCl/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
交差反応をテストする抗体を、それぞれ濃度0、10μg、50μg、100μg/mlの一連のACT(Athens Co.,Athens、オーダーNo.16−16−012400,batch AX9501)と共に予めインキュベートしておく。このプレインキュベーションは、未被覆の96−ウェルMTPウェル中で振盪しながら室温で1時間行われる。
次のステップは、被覆したウェルにこの溶液100μl(抗体+過剰ACT)を添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートする。0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄したあと、マウスFcγ(Boehringer Mannheim GmbH、25mU/mlに対応するオーダーNo.1431323)に対する羊由来ポリクローナル抗体のPODでラベルしたFabフラグメント(100μl)を各ウェルに添加し、サンプルから結合抗体を検出し、振盪しながら室温で1時間インキュベートしたあと、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
最後に、100μl/ウェルのABTS▲R▼溶液(Boehringer Mannheim GmbH,cat.No.1204521およびNo.1204530)を加え、MR700マイクロプレートリーダー(Dynatech Companyより)中で室温で30分後、405/492nmでの吸光度を測定する。
d) 他の血清成分との反応性の決定
他の血清成分との反応性を決定するために、a)で記載したテストにおいてヒトの女性の血清で、検査する抗体を予めインキュベートしておく。測定信号のレベルが変化しないままであれば交差反応はなく、測定信号が低下した場合は交差反応がある。
このため、組換えストレプトアビジン(MicroCoat Co.Penzberg,オーダーNo.12−K 96N,batch MC289)で被覆したMTPを、PBS+0.5%クロテインC(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で10分間インキュベーション中のモノクローナル抗体1またはモノクローナル抗体2(両抗体とも非複合PSAおよび複合体中のPSAを確認する)のビオチニル化Fabフラグメント10μg/mlで被覆したあと、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
次にこれらを、PBS+0.5%クロテインC中に溶解した100ng/ml PSA−ACT(Scripps Co.,San DiegoまたはCentro Co.)と共にインキュベートする(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で1時間)。つぎに、これらを0.9%NaCl/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
交差反応をテストする抗体を、一連の濃度(1:1〜1:10)のヒトの女性の血清(4人のPSA−陰性女性ドナーの血清を混合したもの)で予めインキュベート(プレインキュベート)しておく。このプレインキュベーションは、未被覆の96−ウェルMTPウェル中で振盪しながら室温で1時間行う。
次のステップでは、被覆したウェルにこの溶液100μl(抗体+女性ヒト血清)を添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートする。0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄したあと、マウスFcγ(Boehringer Mannheim GmbH、25mU/mlに対応するオーダーNo.1431323)に対する羊由来ポリクローナル抗体のPODでラベルしたFabフラグメント(100μl)を各ウェルに添加し、サンプルから結合抗体を検出し、振盪しながら室温で1時間インキュベートしたあと、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
最後に、100μl/ウェルのABTS▲R▼溶液(Boehringer Mannheim GmbH,cat.No.1204521およびNo.1204530)を加え、MR700マイクロプレートリーダー(Dynatech Companyより)中で室温で30分後、405/492nmでの吸光度を測定する。
全ての寄託したモノクローナル抗体は、PSA−ACTと強い反応性を示した。PSA、ACTおよび他の血清成分との臨床的に関連のある反応性は、寄託したモノクローナル抗体のいずれを用いても、これらのテスト方法では検出不可能であった。数千ものモノクローナル抗体のスクリーニングにおいて、寄託されたモノクローナル抗体を見出したが、該数千ものモノクローナル抗体のうち約70%がACTと強く交差反応し、約30%がPSAと強く交差反応するものであった。
実施例3
産生された抗体の親和性定数ならびにその会合および解 離の速度定数の決定
産生された抗体の親和性定数ならびにその会合および解離の速度定数は、BIAcore▲R▼(Pharmacia Biosensor Companyより、BIAとはbiospecific inter−action analysisの略である)を用いて決定した。測定原理は、表面プラスモン共鳴に基づく。測定は、センサーチップと呼ばれるバイオセンサーで行う。この方法では、マウスIgGのFcγ部分に対するポリクローナルウサギ抗体が、そのアミノ基を介して、カルボキシメチル化デキストランで被覆したセンサーチップ(CM5,Parmacia Biosensor)の表面に共有結合する。測定する抗体の溶液をこのセンサーチップに通すと、この間に非共有結合的相互作用力で固定化捕獲抗体に抗体が結合する。つぎに、検査する抗原をセンサーチップに通すと、抗原もまた、非共有結合的相互作用力によって、捕獲抗体により固定化された抗体に結合する。
個々の成分の結合により、センサーチップの表面の質量密度が増加し、これは、該装置により比例測定信号に変換される。時間に対する信号の変化(センサーグラフ)により、会合および解離の速度定数を計算することができ、またこれらの定数から親和性定数を計算することができる。
抗原−抗体複合体は、捕獲抗体を該表面に結合された捕獲抗体を損傷することなく単純な手段で再び脱着することができる。こうすることにより、同じ境界条件において同じセンサーチップで更に結合実験を行うことができる。
捕獲抗体をセンサーチップ(CM5、Pharmacia Biosensor)に結合させるために、10mM酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0中の濃度60μg/mlの抗体(BIAで認証されたウサギ抗マウスFcγ、Pharmacia Biosensor)の溶液を、予めNHS/EDCで活性化させたセンサーチップ上に流速5μl/分で通過させた。
つぎに、少なくとも600の共鳴ユニットの表面へ結合する質量の増加が生じるように、抗体を加える。流速10μl/分で抗体への抗原の結合をモニターし、その製造業社のソフトウェア(BIAevaluation 2.1,Pharmacia Biosensor)を使ってセンサーグラフから抗体の結合の会合および解離の速度定数を計算する。Ka=kon/koffから親和性定数を計算する。PSA−ACT、キモトリプシン−ACTおよびカテプシンG−ACTを抗原として用いてこのようにして決定した本発明の抗体の値を、以下の表2にまとめている。非複合PSA、キモトリプシン、カテプシンG、および遊離型ヒトACTを抗原とした場合、結合を検出することができない。すなわち、これらの化合物の親和性定数は105l/mol未満である。
実施例4
前立腺癌の疑いを検出するためのスクリーニング
a)スクリーニングテスト
276人の健康な男性、456人の良性前立腺過形成患者(BPH)、および348人の前立腺癌と判明した患者(PCa)のグループを検査した。EnzymunテストPSAを用いて血清中の総PSAを決定した。さらに、Enzymunテスト▲R▼PSAの検出抗体の代わりにPSA−ACTに特異的な(PODで標識したあとの)抗体4.6.374を用いてPSA−ACTを測定した。あるいは、パッケージインサートの指示に従って処理を行った。
b)結果
これら3つのグループのPSA値の分布を表3に表す。健康な人のうち90%、BPH患者のうち38%、および癌患者のうち16%が通常のカットオフ値4ng PSA/ml未満であった。PSA値がカットオフより高かった被験者をさらに検査したが、PSA濃度が決定値未満であった被験者は、健康な前立腺を有するものとみなした。
4ng/ml PSAのかわりに3ng/ml PSA−ACTを制限値とすると、健康な人のうち90%が再びこの値未満となるが、この場合3人の前立腺癌患者がさらに正確に識別される(表4を参照のこと)。
したがって、スクリーニングのパラメーターを置きかえることにより、正常のグループに関して同じ特異性を有する癌グループで、より感度が高くなった。
実施例5
PSA−ACTを決定するためのイムノアッセイ
a)ES300(Boehringer Manheim GmbH)でのイムノアッセイ方法
50μlの血清サンプルまたはPSA−ACT標準を、700μlの試薬(1)(40mmol/lのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4/0.2%(w/v)のウシ血清アルブミン/1.2μg/mlのビオチニル化モノクローナル抗PSA抗体M10、Fab断片)と共に、ストレプトアビジンで被覆したEnzymun▲R▼万能チューブ中で1時間インキュベートしたあと、洗浄した。
その後、700μlの試薬(2)(40mmol/lのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4/0.2%(w/v)のウシ血清アルブミン/0.1%ウシIgG/モノクローナル抗PSA−ACT抗体,クローン4.6.374、(Fab)2'−PODコンジュゲート、95mU/ml)を加え、30分間インキュベートしたあと洗浄した。
700μlの基質溶液(1mg/ml ABTS▲R▼/0.5mg/ml過ホウ酸塩ナトリウム/クエン酸/リン酸緩衝液)を用いて30分間発色させたあと、光度計で422nmで色を測定した。
図1は典型的な較正曲線を表す。
b)テスト中の関連する交差反応
a)で記載したテストシステムにおいて内因性PSAが測定されない雌の血清をサンプルとして使用した。精製したACT(Serva Co.)またはキモトリプシン−ACT複合体(各ケースで50μg/ml)を加えてこの血清のアリコートを分離した。内因性PSA含量が上昇したヒト血清にも同じように加えた。さらに、血清のかわりにこのテストではリン酸緩衝液中の22ng/ml遊離型PSAを使用した。
これらのサンプルにおいて測定されたPSA−ACT含量が表5に示されている。このテストで測定されたPSAおよびACTの交差反応は、全てのケースで0.003%未満であり、加えた材料はどれもPSA−ACTの生成にはつながらず、サンプルの評価が正確に行えなかった。
c)健康な女性および様々な炎症を起こしている女性からの血清の測定
a)で記載したテストを使用して40人の健康な女性の血清および様々な炎症を起こしている18人の女性患者からの血清中の、PSA−ACT濃度を測定した。第一グループでは、PSA−ACTレベルは平均0.01ng/ml(標準偏差±0.03ng/ml)であったのに対し、炎症を起こしているグループでは平均0.03(±0.04)ng PSA−ACT/mlであった。
これは、他のACT複合体(例えばカテプシンG−ACT)が炎症サンプル中において増加したこと、または他の天然に生じるACT−プロテアーゼ複合体がテストの干渉につながらないことを示す。
実施例6
前立腺癌の同定の感度および特異性
良性前立腺過形成(BPH)患者48人の血清のグループおよび前立腺癌患者45人の血清のグループにおいて、それぞれEnzymun▲R▼テストを用いてtPSAおよびfPSAを決定し、実施例5に従ってPSA−ACTを決定した。両グループとも、PSA含量は29ng/ml未満であった。前立腺癌とBPHとを見分けるための情報を得るために、ROC評価を行い(Zweig,M.H.,Clin.Chem.39(1993)561−577:“Receiver−Operating Characteristic(ROC)Plots:A Fundamental Tool in Clinical Medicine")、感度および特異性に対応する値を、それぞれの曲線から読み取った。さらに、対応する腫瘍グループと良性の病気のグループとを見分けるためのパラメーターの能力の尺度であるROC曲線下面積を計算した。この面積が大きいほど、未知のサンプルを正確にクラス分けできる可能性が高い。
良性前立腺過形成に比べた前立腺癌の検出感度は、同じ特異性95%においてtPSAの29%に比べてPSA−ACTを測定した場合、40%であった。また、tPSAではなくPSA−ACTを考慮した場合、曲線下面積も0.709から0.748に増大した。
唯一のパラメータとして遊離型PSAを測定することは、感度が低いため、不適切と思われる。また、fPSA曲線下面積は、他の2つのパラメーターのそれよりも非常に低かった。
実施例7
PSA−ACTの計算値と測定値の相関関係
免疫学的に測定可能な総PSAが2つの主な成分つまりfPSAおよびPSA−ACTで構成されると仮定すると、最初の2つのパラメーターを測定したあとに第3のパラメーターを算出することができ、この結果を第3のパラメーターの測定値と比較する。適切なEnzymun▲R▼テストを使用してtPSAおよびfPSAを決定したあと、これらの差を計算し、実施例5に従って測定したPSA−ACTとの相関関係を決定した。
PSA−ACT含量の測定値および計算値は、264個の値全てにおいてr=0.974と非常に良く相関しており、個々のグループにおける0.946より常に高かった。これは、新しいモノクローナル抗体を用いたPSA−ACTテストが非常に説得力のある結果を出すことを示す。
前立腺に特異的な抗原は、分子量33kDaを有する糖タンパク質である。これは、前立腺の上皮細胞内で形成される、精液の成分である。PSAは、中性セリンプロテアーゼの酵素活性を有する。
PSAの主な機能は、セミノゲリン(seminogelin)IおよびIIならびにフィブロネクチン(これらのタンパク質はゲル状タンパク質であり、射出精液の主成分として精子の運動を妨げる)を切断することである。PSAは、これらのタンパク質を加水分解して精液の凝塊を液化することにより、精子の運動を可能にする。
酵素活性なPSAは、血清内ではいわゆるセルピン(セリンプロテアーゼインヒビター)と呼ばれる様々なインヒビターにより、共有結合による複合体が形成されて不活性化される。免疫学的に検出可能なPSAの多くは、血清中ではα1−アンチキモトリプシン(60−95%)に結合する。さらに、α2−マクログリブリン、α1−アンチトリプシン、インター−α−トリプシンインヒビターおよびプロテインCインヒビターと、複合体が形成される。さらに、セルピンとはもはや複合体を形成しない酵素不活性なPSAも発生する。
α1−アンチキモトリプシンは、分子量約69kDaと炭水化物部分を有する糖タンパク質である。ACTは、急性期の炎症を調節する際の主なインヒビターとして重要な役割を担っている。また、ACTはキモトリプシン、カテプシンGおよび腺性カリクレインhK2とも複合体を形成する。ACTは、ヒト血清中に(モルベースで)PSAの10,000倍の濃度で存在する。
遊離型PSAのほかに、PSA−ACT複合体が、血清中における免疫学的に検出可能な総PSAの主な形態である。多くの場合、前立腺ガンは血清中のPSAレベルの上昇を引き起こす。しかし、良性の前立腺過形成でもPSA血清値のわずかな上昇が見られるため、PSAは特に低濃度の範囲内においてはガンに特有のマーカーではない。患者に前立腺癌がある可能性を調べるためにこれまで使用されていたスクリーニングテストは常に、総PSAを検出するテストであった。PSAは通常、男性の血清中に非常に低濃度で発生するため、このようなテストではいわゆるカットオフ(cut−off)を決めなければならなかった。このカットオフを超えるPSA値は、前立腺癌の存在を示すものと評価される。PSA濃度は患者の年齢が高くなるにつれ上昇するため、総PSA検出テストでは4〜6ng/mlのカットオフ値がこれまで使用されてきた。この結果、初期段階の前立腺癌を有する一部の患者はこれらのスクリーニングテストでは検出されなかった。
未審査の日本特許出願公開第62−46263号公報ではすでに、悪性の前立腺腫瘍を有する患者におけるPSA複合体の値は、良性の前立腺過形成の患者に比べて高いことが分かっている。この未審査の公開特許出願において、γ−セミノプロテイン(seminoprotein)(γ−セミノプロテインはPSAと全く同じものである;SchallerらのEur.J.Biochem.170,1987,111−120およびナカムラのCancer 74,1994,1655−1659を参照のこと)に対する抗体とα1−アンチチプシン(antitypsin)に対する抗体とを組み合わせて検出を行うイムノアッセイが記載された。
複合体形成されていない(非複合)PSAに結合し且つACTとの複合体中のPSAと結合する抗体2E9およびACTに対する抗体の組み合わせを使用するPSA−ACTの検出方法は、WO92−01936に記載されている。
さらに、遊離型PSA、非複合PSAおよび総PSA(すなわち遊離型PSAと複合体形成された(複合体)PSAの合計)を検出するための診断テストがある。これらのテストは全て、遊離型PSAを検出する場合には複合体形成されていない形のPSAのみを、または総PSAを検出する場合は複合体形成された形状および遊離型のPSAのみを認識する抗体を含む。
セリンプロテイナーゼと複合体形成したACTの検出、特にPSA−ACTの検出は、上述のように、従来は2つの抗体(うち一方はPSAに対する抗体であり、他方はACTに対する抗体)を使用するサンドイッチテストを使用してのみ可能であった。ヒト血清中にACTはPSAに比べて約10,000倍多く発生してPSAとACTとの複合体も生じるため、この大過剰なACTによる負のテスト干渉を避けることは不可能である。とくに、これら従来公知のPSA−ACT検出テストは、このテスト方法においてACT−特異的抗体を加える前に過剰なACTを除去するための少なくとも1つの洗浄ステップを含むことが不可欠である。したがって、多くの自動診断テストで望ましい1ステップ−テスト法は不可能である。
サンドイッチテストにより遊離型PSAおよび全量PSA(総PSA)を検出するPSAの検出方法が、WO95/18381に記載されているが、遊離型PSAに特異的な抗体のみまたは遊離型PSAおよびPSA−ACT複合体の双方と反応する抗体のみを使用するため、PSA−ACTの特異的検出は不可能である。
したがって本発明の目的は、PSA−セリンプロテアーゼ、特にPSA−ACTを検出するための改良されたテストを提供することであり、この場合PSA−ACTは、可能であれば、血清中に高濃度で存在するACTにより干渉を受けず、かつ前立腺癌を検出するのに可能な限り高感度なスクリーニングを可能とするものでなければならない。
この目的は、遊離型非複合体ヒトACTおよび遊離型非複合体セリンプロテアーゼと本質的に交差反応を起こさない。ヒトACTとセリンプロテアーゼとの複合体に対するモノクローナル抗体により、達成される。
特にこの目的は、遊離型ヒトACTや遊離型セリンプロテアーゼと本質的に交差反応を起こさず且つ他のセリンプロテアーゼ−ACT複合体、とくにキモトリプシン−ACTおよびカテプシン−G−ACTに対してよりもPSA−ACTに対して実質的により高い親和性および特異性を有する、ACTとセリンプロテアーゼとの複合体に対するMAKにより達成される。
当業者に公知である全てのタンパク質検出テストにおいて、このモノクローナル抗体を使用することができる。2つの抗体を用いた好適なテスト方法(サンドイッチテスト)において、テストは1ステップで、すなわち過剰なACTを除去するための追加の洗浄ステップを行うことなく、行うことができる。これは、従来可能であったテスト(これらはすべて、特にできるだけ素早く多くのサンプルをテストしなければならないスクリーニングテストで、過剰なACTを除去するための洗浄ステップを含んでいた)に比べて決定的に改善された点である。
ヒトACTとセリンプロテアーゼとの複合体に対する本発明のモノクローナル抗体は、遊離型ヒトACTおよび遊離型セリンプロテアーゼと本質的に交差反応を起こさない。「本質的に交差反応を起こさない」とは、ACT−セリンプロテアーゼ複合体の検出テストが遊離型ACTまたは遊離型セリンプロテアーゼにより影響を受けない程度の交差反応と解釈される。なお許容できる個々の成分との交差反応レベルは、これらの成分がヒト血清中に生じ得る濃度に依存する。ACTはかなり過剰に生じるため、交差反応性は微小(この場合即ち実質的に1%未満)でなければならない。使用可能な方法を使用して本発明のモノクローナル抗体の交差反応性を検出することは不可能であった。BIAcore▲R▼システム(Pharmacia社)を使用して交差反応を検出した。テストした物質に対して105l/mol未満の親和性定数を有する抗体は大きな結合を示さず、従ってこのシステムでは検出可能な交差反応は見られなかった。
本発明のモノクローナル抗体は、BIAcore▲R▼において非複合PSA、キモトリプシンおよびカテプシンGに対して交差反応を示さなかった。ヒト血清中に発生する全ての潜在的干渉物質との交差反応を調べるために、このケースではヒト血清をスクリーニングテストに加えた。ACT−PSA複合体が存在しないように、ヒトの女性の血清を使用した。本発明のモノクローナル抗体は、この血清中に発生する他の成分と検出可能な交差反応を示さなかった。
PSA−ACTは、最も臨床的に関連の深いセリンプロテアーゼ−ACT複合体を表すので、本発明のモノクローナル抗体は、他のセリンプロテアーゼ−ACT複合体に対してよりもPSA−ACTに対して、特に高い親和性および特異性を有する。PSA−ACTに対する親和性の高さは、好ましくは少なくとも10倍以上、特に好ましくは50倍以上である。PSA−ACTに対するこれらの特異的モノクローナル抗体により、非複合PSAおよびACTにより臨床面での干渉を大きくまたは全く受けない1ステップのPSA−ACT検出テストを設計することが可能となる。
本発明のモノクローナル抗体は、PSA−ACTに対して少なくとも107l/mol、特に好ましくは少なくとも109l/molの親和性を有する。本発明のモノクローナル抗体の1つは、1010l/molもの親和性を有することさえ分かった。これは、モノクローナル抗体では異常に高い親和性である。PSA−ACTに対するこのような高新和性モノクローナル抗体は、通常比較的短い間モノクローナル抗体と一緒にサンプルをインキュベートする1ステップテストに優れて適している。この高親和性モノクローナル抗体のPSA−ACTへの結合は、非常に素早く行われる。
本発明のモノクローナル抗体は、全ての可能なIgクラスに属することができる。このモノクローナル抗体は、好ましくはIgG1クラスに属する。不均一イムノアッセイにおいて抗体を固相に結合させるための結合相手や例えば酵素などのラベルなどの他の成分を、IgG1抗体に好ましく結合させることができる。抗体フラグメントの切断も、問題無くIgG1クラスである。
「本発明のモノクローナル抗体」という用語は、免疫学的テストや他の用途に一般的に使用される完全な抗体、ならびにその全ての断片、たとえばF(ab')2およびFabフラグメントなどであると理解される。またこの用語は、モノクローナル抗体を改変することにより生成された抗体も含む(ただし、抗原結合特性は大きな影響を受けなかったものとする)。例えば一般にマウスで産生されるモノクローナル抗体の一部を、これと対応するヒト抗体配列で遺伝子操作により置換して、イムノアッセイにおける非特異的結合を最小にすることができる。このようなキメラモノクローナル抗体の産生方法は、当業者に公知である(例えばJ.McCafferty,H.R.HoogenboomおよびD.J.Chiswell、The Practical Approach Series,Series Editor:B.D.Hames,Oxford University Press(1996)よりAntibody Engineeringを参照)。
本発明のモノクローナル抗体は、例えば1996年9月19日にDSM(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig)に寄託された細胞系MAK<PSA−ACT>M 4.6.374、MAK<PSA−ACT>M4.3.2およびMAK<PSA−ACT>M6.13.64から産生することができる。(MAK<PSA−ACT>M4.6.474=DSM ACC 2281;MAK<PSA−ACT>M6.13.64=DSM ACC 2282;MAK<PSA−ACT>M4.3.2=DSM ACC 2283)。
また、本発明は、モノクローナル抗体4.6.374、4.3.2および6.13.64と同等にセリンプロテアーゼ−ACT複合体に結合する抗体、好ましくはモノクローナル抗体に関する。「同等に結合する」とは、これらの抗体が、寄託されたモノクローナル抗体と同じエピトープを認識することを意味すると理解される。これは例えばBIAcore▲R▼でのマルチ結合実験によって決定することができる。
本発明のモノクローナル抗体は、好適な実験動物をヒト由来PSA−ACTで免疫したあと、この免疫した動物の脾臓細胞を骨髄腫細胞に融合することにより、公知方法で産生することができる。しかし、セリンプロテアーゼ−ACT−特異的モノクローナル抗体の産生率は非常に低い。雌の実験動物だけを用いることによってPSA−セリン−プロテアーゼ−特異的抗体の収量を増加させることが可能であった。この場合でも、約70%のモノクローナル抗体はなお、ACTとの高い交差反応性を有し、約30%はPSAとの高い交差反応性を有していた。得られた全抗体の1%よりはるかに少ないものだけが、セリンプロテアーゼインヒビター複合体またはPSA−ACT複合体に対する必要な特異性を有していた。
リンパ球源としての脾臓以外に、免疫した動物(好ましくはマウスおよびラット)のPBL(末梢血リンパ球)またはリンパ節の細胞を使用することも可能である。
あるいは、PSA−ACTに対する抗体または自己抗体を発生させたヒトドナー(例えば前立腺腫瘍患者、授乳中の女性、PSA−分泌細胞/組織を有する患者)由来のリンパ球(PBL、脾臓細胞、リンパ節細胞)を不死化することも可能である。このような抗PSA−ACT産生リンパ球は、ヒト骨髄系との融合またはEBV(Epstein Barr Virus)形質転換により不死化させて、抗体産生ハイブリドーマ細胞を形成することができる(Monoclonal Antibody and Immunosensor Technology,A.M.Campbell,Elsevier Publisher 1991;
J.H.Peters,H.Baumgarten,Springer Verlag 1990;Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,ed.Lawrence B.Schook,Marcel Dekker Publisher 1987)。
本発明の更なる主題は、サンプル、好ましくはヒトのサンプル(例えば血漿、血清、血液、精液、前立腺液、精嚢液、唾液、髄液、ヒトの母乳、嚢胞、組織ホモジェネート、組織切片、生検材料など)において、セリンプロテアーゼ−ACT複合体、特にPSA−ACTを検出するための、本発明のモノクローナル抗体の使用である。
本発明のモノクローナル抗体は、セリンプロテアーゼとヒトACTの複合体を特異的に認識することにより、本発明の全てのMAKは、この複合体中にのみ生じるエピトープを認識するが、遊離型セリンプロテアーゼおよび遊離型ヒトACT中のエピトープは認識しないため、タンパク質を検出するのに適した全ての一般的なテスト構成を使用することが可能である。したがって当業者は、もう以前のように2ステップ式のサイドイッチアッセイ(これはヒトACT−特異的抗体のインキュベーションの前にさらに洗浄ステップを含まなければならなかった)にもっぱら縛られることはない。
したがって、本発明はさらに、サンプルを本発明の少なくとも1つのモノクローナル抗体と共にインキュベートすることにより、ヒトACTとセリンプロテアーゼとの複合体を測定するための方法に関する。IEMA原則に基づいた競合テストやサンドイッチなどの直接テストなどの、当業者に公知である全ての一般的なタンパク質検出方法が適している。アッセイの成分を固相に結合させて固相および液相を分離させる不均一テストのほかに、タンパク質を検出するのに適した均一テストを使用することも可能である。この例としては、ラテックス凝集反応テストやTINIA(turbidimetric inhibition immunoassays)などの比濁分析または濁度分析テストなどが挙げられる。テスト試薬が液相中に存在するいわゆる湿式テストのほかに、タンパク質を検出するのに適した全ての一般的な乾式テスト方式を使用することも可能である。これらの乾式テストまたはテストストリップでは、テスト成分は担体に塗布される。このような乾式テストは例えばEP−A 0 186799に記載されている。
本発明の更なる主題は、他のセリンプロテアーゼ−ACT複合体に対するよりPSA−ACTに対する親和性が高い本発明のモノクローナル抗体と共にサンプルをインキュベートすることによる、PSA−ACT検出テストである。このMBAは好適には少なくとも10倍、特に好ましくは少なくとも50倍高いPSA−ACTへの親和性を有する。
幾つかの抗体(このうち1つは本発明のモノクローナル抗体である)の組み合わせをテストで使用する場合、全てのセリンプロテアーゼ−ACT複合体を均等に良く認識するモノクローナル抗体を使用する場合であっても、PSA−ACT−特異的テストを設計することが可能である。したがって、本発明の主題は、本発明の少なくとも1つのモノクローナル抗体およびPSAに対する1つの抗体と共にサンプルをインキュベートすることによってPSA−ACTを測定するための方法である。このようなPSA−特異的抗体は公知であり、PSAまたはγ−セミノプロテインを検出するための診断テストで1985年以来すでに使用されている。これら2つの抗体を組み合わせることにより、PSA−ACTを特異的に検出することが可能になる。この従来のサンドイッチテストにおいて、2つのうちどちらの抗体がラベルされた形で存在するか、あるいは固相に結合するか、は重要ではない。
ACTとセリンプロテアーゼの複合体、とくにACT−PSA複合体に特異的なモノクローナル抗体の代わりに、PSA−ACTに対するレセプターをPSAに対する抗体とともに使用することも可能である。PSAは、相互の相同性が高いプロテアーゼグループであるカリクレインファミリーのメンバーである。これはセルピン(セリンプロテアーゼインヒビター)と呼ばれるインヒビター(ACTを含む)によって結合される。これらのPSA−セルピン複合体は、新生エピトープと呼ばれるエピトープを有し、これはプロテアーゼに結合しなかった遊離型インヒビターには存在しない。これらのPSA−ACT複合体、または一般にカリクレイン−セルピン複合体は、この新生エピトープを認識するレセプターにより血液循環から排除される。この新生エピトープについては例えばPerlmutterらのJ.Biol.Chem.265,No.28,16713−16716,1990;PelmutterらのProc.Natl.Acad.Sci.USA,87,3753−3757,1990およびJoslinらのJ.Biol.Chem.268,No.3,1886−1893,1993に記載されている。PSA−ACTおよびカリクレイン−セルピンのためのレセプターがHepG2細胞中で検出されたが、このレセプターはこれらから単離することができる(Joslinら、1993)。したがって、本発明のさらなる主題は、上記により詳しく説明した新生エピトープに結合するPSA−ACTのためのレセプター、および好ましくはPSAに対するモノクローナル抗体である抗体と共にサンプルをインキュベートすることにより、PSA−ACTを測定するための方法である。この場合、レセプターまたは抗体がラベルされた形で存在するかあるいは固相に結合するかは問題ではない。
セルピン−プロテアーゼレセプターを産生するために、所望のレセプターを発現する細胞をまず初めに培養した。このレセプターは、例えばHashemiらのJ.Lab.Clin.Med.109−(1987),434−440に記載されているような細胞ELISAを用いて検出される。このため、HepG2細胞を平底培養皿(Costar)中に2×104の細胞/ml濃度で接種する。10%ウシ胎児血清(FCS)を含むDMEMを培地として使用する。HepG2細胞を総量70%にまで増殖させ、続いて固定させないで放置した。ACT−PSA(Scripps laboratories)をDMEM/1%BSA中で最終濃度が10μg/mlになるまで添加し、4℃で10分間放置して、レセプターと複合体形成させた。DMEM/1%BSAで2回洗浄したあと、ペルオキシダーゼ(1U/ml)でラベルした抗−PSAモノクローナル抗体で細胞を4℃で30分間インキュベートする。つづいてこの細胞をDMEM/1%BSAで2回洗浄する。この細胞を、検出用の基質(TMB)と共にインキュベートした。
レセプターを単離するために、高いレセプター発現率を示すHep G2細胞をT150培養フラスコ中で培養し、細胞を注意深く引っかき出して、形成された細胞層を採取する。数個の培養皿から取り出した細胞をプールして総量109個の細胞を得る。次に細胞をPBS中のTritonX100と共にインキュベートすることにより溶解する。10,000×gで10分間遠心分離にかけたあと、細胞培養物の上清を分離し、核および細胞膜のフラクションを含む沈殿物を1M塩化ナトリウムのPBS溶液中に再懸濁する。10,000×gで10分間遠心分離にかけたあと、細胞の上清を回収し、−20℃で保存する。ELISA法においてレセプターを特徴付けるために、このレセプター調製法を用いることができる。この粗製レセプター抽出物20μgを、1時間室温で平底マイクロタイタープレート上に被覆した。PBS/0.1%Tween▲R▼20で洗浄してPBS/1%BSAを入れたあと、PSA−ACT複合体を加えて該混合物を室温で1時間インキュベートする。プレートを洗浄したあとペルオキシダーゼでラベルした抗−PSA抗体と共にインキュベートする。つぎに、結合したペルオキシダーゼの活性を、ABTS▲R▼などの好適なペルオキシダーゼ色素で検出する。
疎水性クロマトグラフィーを行い、さらに粗製レセプター抽出物を精製する。ELISAを用いて上記のように個々のフラクションの活性を検出し、レセプター活性を有するフラクションをプールする。つぎに、レセプター分子のNH2末端を公知方法により配列決定し、遺伝子バンクからcDNAを取り出す。このため、精製したレセプター調製物を最初にSDS−PAGEにより分離する。タンパク質のバンドを切り出して溶出する。個々のバンドのレセプター活性を、細胞ELISAを用いた競合法により決定する。つぎに、公知方法と用いて活性バンドのNH2末端を配列決定する。このアミノ酸配列から核酸配列を導き出して、それに対応するオリゴプライマーを合成する。また、ポリA領域の前の非翻訳領域に由来の第二の縮重プライマーも、Hep G2 DNAをテンプレートとして用いたPCR増幅で使用される。陽性クローンは増幅配列(約45個のヌクレオチド)の補助を得て識別され、精製される。DNAは、制限分析およびサザンブロットにより特徴付けられる。EcoR I−Xba IフラグメントをBluescript SKにサブクローン化する。このクローンの配列決定およびアミノ酸配列の誘導(derivation)により、レセプター特異性が分かる。レセプター配列に相関するDNAを、cDNAバンクの中のこのオリゴヌクレオチド(例えばλDR2(Clontech cat.No.HL1151x)の中のウシ胎児肝臓など)の補助を得て識別する。同定したクローンを精製し、λDR2の中のBAMH I−Xba I領域の近傍のプライマーを用いたPCRで分析する。ファージ懸濁液をテンプレートとして使用する。プラスミドpDR2を単離し、BAMH IおよびXba Iを用いて制限分析にかける。2本鎖DNAインサートを、色標識したジデキシヌクレオシド三リン酸ターミネーターおよび“ウォーキングプライマー(walking primer)”用の標準的な方法を使用した自動配列決定装置(ABI373)で配列決定する。(Sangerら、PNAS(1997)74,5463−5467)。
つぎに、レセプターDNAを単離して発現システムを構築する。このため、該レセプターのためのオープンリーディングフレームを含むcDNAを、pSV15.JD.LL中の制限部位Cla IとSal Iとの間にクローン化する。ベクターpSV15.JF.LL.SERCを得る。
a)大腸菌中での発現
プラスミドは、レセプター遺伝子の上流に短いリーダー配列を含む。このリーダー配列は、高い翻訳速度および迅速精製を可能にする。トリプトファンプロモーターの導入後、多量の細胞内産生が開始する。発現プラスミドを使用して、例えばマンデルらのJ.Mol Biol.53(1970),159−162)によるCaCl2熱ショック法の補助を得て大腸菌44C6を形質転換する。この方法により形質転換された細胞を、50μg/mlのカルベニシリンを含むLB培地中37℃で、約600nmにおける光学密度が2〜3になるまで増殖させる。0.49%カザミノ酸および50μg/mlのカルベニシリンを含むM9培地で懸濁液を20倍に希釈する。これらをさらに1時間30℃で通気して培養し、インドリル−3−アクリル酸を最終濃度50μg/mlになるまで加える。さらに15時間培養したあと細胞を採取する。
b)CHOまたは他の哺乳動物の細胞における発現
Not Iを用いてプラスミドを線状にし、エレクトロポレーションによりCHO細胞をトランスフェクトする(Anderson,J.Tissue Culture Meth.15(1993),56)。細胞をDHFR選択培地に移す。2週間後に個々のクローンを96−ウェルのマイクロタイタープレートに移す。競合ELISAにより発現を測定する。
c)公知方法によるバキュロウイルスシステムにおいても発現は起こり得る。
レセプターが発現したあと、これを単離し、精製し、特徴付けて、イムノアッセイにおける結合相手としてのその使用を評価する。このため、トランスフェクトされたCHO細胞の培養上清を回収し、シバクロムブルー−セファロースカラム(細胞上清の容量100部、カラム物質の容量1部)に加える。このカラムを、尿素を含まない容量で5部のアプリケーション緩衝液で洗浄したあと、2Mの尿素(容量で5部)を含むpH7.4の10mMリン酸緩衝液で洗浄する。組換えレセプターをpH7.4の10mMリン酸緩衝液、2M尿素および1MのNaClで溶出する。レセプターを含むフラクションを小麦麦芽レクチンカラムに加える。容量5部のアプリケーション緩衝液で洗浄したあと、10mMのpH7.4のリン酸緩衝液、2M尿素および0.5N−アセチルDグルコサミンでレセプターを溶出する。
レセプターを含む混合フラクションを0.04%C12E8および0.1%TFAに調節する。2つの連続的なアセトニトリル直線勾配(0.04%C12E8および0.1%TFA中に0〜30%および30〜60%)を用いてC4逆相カラムでタンパク質を分離する。SDS−PAGEによりフラクションを分析する。レセプターを含むフラクションを2容の10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4および150mMのNaClで希釈し、限界濾過チャンバで6容の希釈緩衝液に対して透析し(排除サイズ30,000)、濃縮する。
濃縮物を0.01%のTween▲R▼80に調節し、ゲルクロマトグラフィーにより同じ緩衝液中で精製して凝集物およびフラグメントを除去する。レセプターを含むフラクション(SDS−PAGEで検出)を滅菌濾過し(孔径0.22μmのフィルター)、4℃で保存する。
大腸菌中で発現したレセプターを以下のように単離する。大腸菌細胞を10容の緩衝液(10mM Tris−HCl,5mM EDTA,pH8)中で均質化し、5000×gで30分間遠心分離にかける。10容の緩衝液(10mM Tris−HCl,5mM EDTA,pH8)中に細胞を取り入れ、例えばミクロフリューダイザー(microfluidizer)に通して遠心分離にかける。細胞ペレットを−70℃で凍結させるか、またはこれを直接使用する。
細胞ペレットを20mM Tris−HCl、8Mグアニジニウム(gianidinium)塩酸塩および25mM DTT(pH8)中に再懸濁し、4℃で12時間攪拌してレセプター分子を可溶化する。可溶化したあとにこの溶液を30,000×gで30分間遠心分離にかける。透明な細胞上清を単離し、G200 Sephadexカラム(ゲルクロマトグラフィーカラム)で10mMのDTTを含む20mMのNaリン酸緩衝液pH6中でこの溶液を精製する。レセプターを含むフラクションを1つに合わせる(SDS−PAGEによるタンパク質検出)。これらのフラクションを上記のようにC4逆相カラムで分離する。レセプターを含むフラクションを再び1つに合わせ、レセプターを復元する。このため、溶液を9容の復元緩衝液(5mM EDTA,2%CHAPS界面活性剤、25%グリセロール、5mM酸化グルタチオンおよび1mM還元グルタチオン、pH8.3)で希釈し、4℃で4日間透析する。復元したあと、溶液を0.2%TFAに調節し、0.45μフィルターで濾過して10%のアセトニトリルに調節する。このあと、上記のようにC4逆相カラムで処理する。レセプターを含むフラクションを等張緩衝液(10mM Naリン酸緩衝液、150mM NaClおよび0.01%Tween▲R▼80,pH7.4)に対して透析し、4℃で保存する。
こうして得た組換えレセプターは、上記のようにイムノアッセイにおいてPSA−セルピン複合体を測定するために、その壁に結合されたまたはラベルされた結合相手として使用することができる。
PSA−ACTを検出するための本発明のテスト(検査、試験)、とくに1ステップからなるテストは、前立腺癌が存在するという証拠を得るために多数のサンプルをスクリーニングするのに極めて適している。本発明のテストを使用すると、総PSA検出のためのテストにおける従来の一般的なカットオフに比べてカットオフを低くすることができることが分かった。従来一般的であったカットオフ値未満の範囲であっても、本発明のテストは、通常の患者と危険性のある患者とを見分けるための比較的信頼性の高い分別が可能である。しかし同時にまた、従来の一般的なテストでは検出されなかった初期段階の前立腺癌を有する患者までより高い率で検出されるようになる。本発明のテストのカットオフ値は、これに対応する総PSAのカットオフ値よりもかなり低い。PSA−ACTのカットオフ値はPSAのカットオフ値の70%以下、好ましくは60%以下である(単位ng/ml)。同じ特異性(BPHに対して95%)では、総PSAのカットオフ値は例えば10.05ng/mlおよびPSA−ACTのカットオフ値は5.70ng/mlである。
本発明のテストのカットオフより高い値を有する患者では、良性疾患と前立腺癌とを見分けるために、遊離型PSAを検出するための第二テストが行われる。このようなテストは1985年以来すでに利用されてきている。PSA−ACTに対する遊離型PSAの比率を決定する。この比率が0.1〜0.17より上であれば、癌が存在する可能性が高い。
以下の実施例によって、本発明の主題を説明する。
実施例1
PSA−ACTに対するモノクローナル抗体の調製
a)マウスの免疫化
12週齢の雌のBalb/cマウスを、アジュバントCFA(フロイントの完全アジュバント)とともに100μgのPSA−ACT(Centro CO.,サンディエゴ、製品コードCB3074−01、batch 50 10 70)で腹腔内初回免疫を行う。続いて6週間後以降1ヶ月おきにさらに3回腹腔内免疫を行う。この場合、各マウスにIFA(フロイントの不完全アジュバント)とともにPSA−ACT100μgを投与する。つぎに、PBS緩衝液中のPSA−ACT(100μg)を用いて、融合前の3日目および2日目および前日に静脈内に最後の免疫化を行う。
b)融合およびクローニング
a)に従って免疫したマウスの脾臓細胞を、
法(Enzymology 73,1981,3)に従って、骨髄腫細胞と融合させる。免疫したマウスの約1×108個の脾臓細胞を2×107個の骨髄腫細胞(P3X63−Ag8−653,ATCC CRL 1580)と混合し、遠心分離にかける(300g、4℃で10分間)。つぎにウシ胎児血清(FCS)を含まないRPMI 1640培地で細胞を1回洗浄し、50mlの円錐形チューブの中で400gで再び遠心分離にかける。つづいて、1mlのPEG(ポリエチレングリコール)(分子量4000,Merck,Darmstadt)を加え、ピペッティングにより混合する。37℃の水浴中で1分後、FCSを含まない5mlのRPMIを滴下により加え、混合し、培地(RPMI 1640+10%FCS)で50mlにし、つぎに遠心分離にかける。沈殿した細胞を、10%FCSを含むRPMI 1640培地中に取り入れ、ヒポキサンチン−アザセリン選択培地(100mmol/lヒポキサンチン、RPMI 1640+10%FCS中の1μg/mlアザセリン)の中に接種する。インターロイキン6(100U/ml)を成長因子として培地に加える。
約10日後、一次培養物について特異的抗体合成のテストを行う(実施例2参照)。PSA−ACTと陽性の反応を示し且つ非複合PSAもしくは非複合ACTまたは他の全ての血清成分との交差反応を示さない一次培養物を、蛍光活性化細胞選別機を使って96−ウェルの細胞培養プレート中でクローン化する。インターロイキン6(100U/ml)を成長因子として培地に添加する。
このようにして、表1に挙げる寄託された細胞系/クローンが得られた。
c)細胞培養上清からのイムノグロブリン単離
得られたハイブリドーマ細胞を、10%FCSを含むRPMI 1640培地中に1mlあたり1×105個の密度で接種し、発酵槽(Thermodux Co.,Wertheim/Main,model MCS−104XL,オーダーNo.144−050)の中で7日間増殖させる。培養上清中のモノクローナル抗体の平均濃度は100μg/mlに達した。この抗体を、タンパク質化学において一般的な方法により(たとえばEnzymology 121(1986),587−695に記載された方法に従って)培養上清から精製する。
実施例2
抗PSA−ACT抗体のスクリーニングテスト
ストレプトアビジンを被覆したMTPを、PSAおよびPSA−ACTを結合する“捕獲(capture)抗体”で被覆する。つぎに、これらを被分析物[a)の場合PSA−ACTまたは(b)の場合PSA]と共にインキュベートする。つぎに、テストする抗PSA−ACT抗体と共にインキュベーションを行う。最後に、抗マウスIgG−PODを用いて基質を変換することにより、通常の方法で、結合した抗体を検出する。
a) PSA−ACTとの特異性の決定
ハイブリドーマ細胞の培養上清中の抗体の特異性を決定するために、組換えストレプトアビジン(MicroCoat Co.Penznerg,オーダーNo.12−K 96N,batch MC289)をコーティングしたMTPに、PBS+0.5%クロテイン(crotein)C(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で10分間インキュベーション)中のモノクローナル抗体1またはモノクローナル抗体2(両抗体とも非複合PSAおよび複合体中のPSAを認識する)のビオチニル化Fabフラグメント10μg/ml)で被覆したあと、0.9%NaCl/0.05%Tween20で3回洗浄する。
次にこれらを、PBS+0.5%クロテインC中に溶解した100ng/ml PSA−ACT(Scripps Co.,San Diego,cat No.P0624,batch 66 15 64またはCentro Co.,San Diego,cat.No.CB 30 75 01,batch 50 10 70)と共にインキュベートする(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で1時間)。つぎに、これらを0.9%NaCl/0.05%Tween20で2回洗浄する。
次のステップでは、検査する100μlの抗体溶液(培養上清中)を被覆したウェルに添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートする。0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween20で3回洗浄したあと、マウスFcγ(Boehringer Mannheim GmbH、25mU/mlに対応するオーダーNo.1431323)に対する羊由来ポリクローナル抗体のPODでラベルしたFabフラグメント(100μl)を各ウェルに添加し、サンプルから結合抗体を検出し、振盪しながら室温で1時間インキュベートしたあと、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
最後に、100μl/ウェルのABTS▲R▼溶液(Boehringer Mannheim GmbH,cat.No.1204521およびNo.1204530)を加え、MR700マイクロプレートリーダー(Dynatech Companyより)中で室温で30分間放置したあと、405/492nmでの吸光度を測定する。
b) PSAとの反応性/交差反応の決定
PSAとの反応性/交差反応を決定するために、a)で記載したインキュベーションでPSA−ACTではなく非複合PSAを使用する。
このため、組換えストレプトアビジン(MicroCoat Co.Penzberg,オーダーNo.12−K 96N,batch MC289)で被覆したMTPを、PBS+0.5%クロテインC(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で1時間インキュベーション)中のモノクローナル抗体1またはモノクローナル抗体2(両抗体とも非複合PSAおよび複合体中のPSAを認識する)のビオンチニル化した(biotinylated)Fabフラグメント10μg/mlで被覆したあと、0.9%NaCl/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
次にこれらを、PBS+0.5%クロテインC中に溶解した50ng/ml PSA(Scripps Co.,San Diego,cat No.P0714,batch 98 43 64)と共にインキュベートする(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で1時間)。つぎに、これらを0.9%NaCl/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
次のステップでは、検査する抗体溶液100μl(培養上清中)を被覆したウェルに添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートする。0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄したあと、マウスFcγ(Boehringer Mannheim GmbH、25mU/mlに相当するオーダーNo.1431323)に対する羊由来ポリクローナル抗体のPODでラベルしたFabフラグメント(100μl)を各ウェルに添加し、結合した抗体をサンプルから検出し、振盪しながら室温で1時間インキュベートしたあと、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
最後に、100μl/ウェルのABTS▲R▼溶液(Boehringer Mannheim GmbH,cat.No.1204521およびNo.1204530)を加え、MR700マイクロプレートリーダー(Dynatech Companyより)中で室温で30分後、405/492nmでの吸光度を測定する。
c) ACTとの反応性の決定
ACTとの反応性を決定するために、a)で記載したテストで過剰となったACTと共に、検査する抗体を予めインキュベートしておく。測定信号のレベルが変化しないままであれば交差反応はなく、測定信号が低下した場合は交差反応がある。
このため、組換えストレプトアビジン(MicroCoat Co.Penzberg,オーダーNo.12−K 96N,batch MC289)で被覆したMTPを、PBS+0.5%クロテインC(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で10分間インキュベーション)中のモノクローナル抗体1またはモノクローナル抗体2(両抗体とも非複合PSAおよび複合体中のPSAを認識する)のビオンチニル化したFabフラグメント10μg/mlで被覆したあと、0.9%NaCl/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
次にこれらを、PBS+0.5%クロテインC中に溶解したPSA−ACT(Scripps Co.,San DiegoまたはCentro Co.)100ng/mlと共にインキュベートする(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で1時間)。つぎに、これらを0.9%NaCl/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
交差反応をテストする抗体を、それぞれ濃度0、10μg、50μg、100μg/mlの一連のACT(Athens Co.,Athens、オーダーNo.16−16−012400,batch AX9501)と共に予めインキュベートしておく。このプレインキュベーションは、未被覆の96−ウェルMTPウェル中で振盪しながら室温で1時間行われる。
次のステップは、被覆したウェルにこの溶液100μl(抗体+過剰ACT)を添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートする。0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄したあと、マウスFcγ(Boehringer Mannheim GmbH、25mU/mlに対応するオーダーNo.1431323)に対する羊由来ポリクローナル抗体のPODでラベルしたFabフラグメント(100μl)を各ウェルに添加し、サンプルから結合抗体を検出し、振盪しながら室温で1時間インキュベートしたあと、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
最後に、100μl/ウェルのABTS▲R▼溶液(Boehringer Mannheim GmbH,cat.No.1204521およびNo.1204530)を加え、MR700マイクロプレートリーダー(Dynatech Companyより)中で室温で30分後、405/492nmでの吸光度を測定する。
d) 他の血清成分との反応性の決定
他の血清成分との反応性を決定するために、a)で記載したテストにおいてヒトの女性の血清で、検査する抗体を予めインキュベートしておく。測定信号のレベルが変化しないままであれば交差反応はなく、測定信号が低下した場合は交差反応がある。
このため、組換えストレプトアビジン(MicroCoat Co.Penzberg,オーダーNo.12−K 96N,batch MC289)で被覆したMTPを、PBS+0.5%クロテインC(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で10分間インキュベーション中のモノクローナル抗体1またはモノクローナル抗体2(両抗体とも非複合PSAおよび複合体中のPSAを確認する)のビオチニル化Fabフラグメント10μg/mlで被覆したあと、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
次にこれらを、PBS+0.5%クロテインC中に溶解した100ng/ml PSA−ACT(Scripps Co.,San DiegoまたはCentro Co.)と共にインキュベートする(ウェルあたり100μl、振盪しながら室温で1時間)。つぎに、これらを0.9%NaCl/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
交差反応をテストする抗体を、一連の濃度(1:1〜1:10)のヒトの女性の血清(4人のPSA−陰性女性ドナーの血清を混合したもの)で予めインキュベート(プレインキュベート)しておく。このプレインキュベーションは、未被覆の96−ウェルMTPウェル中で振盪しながら室温で1時間行う。
次のステップでは、被覆したウェルにこの溶液100μl(抗体+女性ヒト血清)を添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートする。0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄したあと、マウスFcγ(Boehringer Mannheim GmbH、25mU/mlに対応するオーダーNo.1431323)に対する羊由来ポリクローナル抗体のPODでラベルしたFabフラグメント(100μl)を各ウェルに添加し、サンプルから結合抗体を検出し、振盪しながら室温で1時間インキュベートしたあと、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween▲R▼20で3回洗浄する。
最後に、100μl/ウェルのABTS▲R▼溶液(Boehringer Mannheim GmbH,cat.No.1204521およびNo.1204530)を加え、MR700マイクロプレートリーダー(Dynatech Companyより)中で室温で30分後、405/492nmでの吸光度を測定する。
全ての寄託したモノクローナル抗体は、PSA−ACTと強い反応性を示した。PSA、ACTおよび他の血清成分との臨床的に関連のある反応性は、寄託したモノクローナル抗体のいずれを用いても、これらのテスト方法では検出不可能であった。数千ものモノクローナル抗体のスクリーニングにおいて、寄託されたモノクローナル抗体を見出したが、該数千ものモノクローナル抗体のうち約70%がACTと強く交差反応し、約30%がPSAと強く交差反応するものであった。
実施例3
産生された抗体の親和性定数ならびにその会合および解 離の速度定数の決定
産生された抗体の親和性定数ならびにその会合および解離の速度定数は、BIAcore▲R▼(Pharmacia Biosensor Companyより、BIAとはbiospecific inter−action analysisの略である)を用いて決定した。測定原理は、表面プラスモン共鳴に基づく。測定は、センサーチップと呼ばれるバイオセンサーで行う。この方法では、マウスIgGのFcγ部分に対するポリクローナルウサギ抗体が、そのアミノ基を介して、カルボキシメチル化デキストランで被覆したセンサーチップ(CM5,Parmacia Biosensor)の表面に共有結合する。測定する抗体の溶液をこのセンサーチップに通すと、この間に非共有結合的相互作用力で固定化捕獲抗体に抗体が結合する。つぎに、検査する抗原をセンサーチップに通すと、抗原もまた、非共有結合的相互作用力によって、捕獲抗体により固定化された抗体に結合する。
個々の成分の結合により、センサーチップの表面の質量密度が増加し、これは、該装置により比例測定信号に変換される。時間に対する信号の変化(センサーグラフ)により、会合および解離の速度定数を計算することができ、またこれらの定数から親和性定数を計算することができる。
抗原−抗体複合体は、捕獲抗体を該表面に結合された捕獲抗体を損傷することなく単純な手段で再び脱着することができる。こうすることにより、同じ境界条件において同じセンサーチップで更に結合実験を行うことができる。
捕獲抗体をセンサーチップ(CM5、Pharmacia Biosensor)に結合させるために、10mM酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0中の濃度60μg/mlの抗体(BIAで認証されたウサギ抗マウスFcγ、Pharmacia Biosensor)の溶液を、予めNHS/EDCで活性化させたセンサーチップ上に流速5μl/分で通過させた。
つぎに、少なくとも600の共鳴ユニットの表面へ結合する質量の増加が生じるように、抗体を加える。流速10μl/分で抗体への抗原の結合をモニターし、その製造業社のソフトウェア(BIAevaluation 2.1,Pharmacia Biosensor)を使ってセンサーグラフから抗体の結合の会合および解離の速度定数を計算する。Ka=kon/koffから親和性定数を計算する。PSA−ACT、キモトリプシン−ACTおよびカテプシンG−ACTを抗原として用いてこのようにして決定した本発明の抗体の値を、以下の表2にまとめている。非複合PSA、キモトリプシン、カテプシンG、および遊離型ヒトACTを抗原とした場合、結合を検出することができない。すなわち、これらの化合物の親和性定数は105l/mol未満である。
実施例4
前立腺癌の疑いを検出するためのスクリーニング
a)スクリーニングテスト
276人の健康な男性、456人の良性前立腺過形成患者(BPH)、および348人の前立腺癌と判明した患者(PCa)のグループを検査した。EnzymunテストPSAを用いて血清中の総PSAを決定した。さらに、Enzymunテスト▲R▼PSAの検出抗体の代わりにPSA−ACTに特異的な(PODで標識したあとの)抗体4.6.374を用いてPSA−ACTを測定した。あるいは、パッケージインサートの指示に従って処理を行った。
b)結果
これら3つのグループのPSA値の分布を表3に表す。健康な人のうち90%、BPH患者のうち38%、および癌患者のうち16%が通常のカットオフ値4ng PSA/ml未満であった。PSA値がカットオフより高かった被験者をさらに検査したが、PSA濃度が決定値未満であった被験者は、健康な前立腺を有するものとみなした。
4ng/ml PSAのかわりに3ng/ml PSA−ACTを制限値とすると、健康な人のうち90%が再びこの値未満となるが、この場合3人の前立腺癌患者がさらに正確に識別される(表4を参照のこと)。
したがって、スクリーニングのパラメーターを置きかえることにより、正常のグループに関して同じ特異性を有する癌グループで、より感度が高くなった。
実施例5
PSA−ACTを決定するためのイムノアッセイ
a)ES300(Boehringer Manheim GmbH)でのイムノアッセイ方法
50μlの血清サンプルまたはPSA−ACT標準を、700μlの試薬(1)(40mmol/lのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4/0.2%(w/v)のウシ血清アルブミン/1.2μg/mlのビオチニル化モノクローナル抗PSA抗体M10、Fab断片)と共に、ストレプトアビジンで被覆したEnzymun▲R▼万能チューブ中で1時間インキュベートしたあと、洗浄した。
その後、700μlの試薬(2)(40mmol/lのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4/0.2%(w/v)のウシ血清アルブミン/0.1%ウシIgG/モノクローナル抗PSA−ACT抗体,クローン4.6.374、(Fab)2'−PODコンジュゲート、95mU/ml)を加え、30分間インキュベートしたあと洗浄した。
700μlの基質溶液(1mg/ml ABTS▲R▼/0.5mg/ml過ホウ酸塩ナトリウム/クエン酸/リン酸緩衝液)を用いて30分間発色させたあと、光度計で422nmで色を測定した。
図1は典型的な較正曲線を表す。
b)テスト中の関連する交差反応
a)で記載したテストシステムにおいて内因性PSAが測定されない雌の血清をサンプルとして使用した。精製したACT(Serva Co.)またはキモトリプシン−ACT複合体(各ケースで50μg/ml)を加えてこの血清のアリコートを分離した。内因性PSA含量が上昇したヒト血清にも同じように加えた。さらに、血清のかわりにこのテストではリン酸緩衝液中の22ng/ml遊離型PSAを使用した。
これらのサンプルにおいて測定されたPSA−ACT含量が表5に示されている。このテストで測定されたPSAおよびACTの交差反応は、全てのケースで0.003%未満であり、加えた材料はどれもPSA−ACTの生成にはつながらず、サンプルの評価が正確に行えなかった。
c)健康な女性および様々な炎症を起こしている女性からの血清の測定
a)で記載したテストを使用して40人の健康な女性の血清および様々な炎症を起こしている18人の女性患者からの血清中の、PSA−ACT濃度を測定した。第一グループでは、PSA−ACTレベルは平均0.01ng/ml(標準偏差±0.03ng/ml)であったのに対し、炎症を起こしているグループでは平均0.03(±0.04)ng PSA−ACT/mlであった。
これは、他のACT複合体(例えばカテプシンG−ACT)が炎症サンプル中において増加したこと、または他の天然に生じるACT−プロテアーゼ複合体がテストの干渉につながらないことを示す。
実施例6
前立腺癌の同定の感度および特異性
良性前立腺過形成(BPH)患者48人の血清のグループおよび前立腺癌患者45人の血清のグループにおいて、それぞれEnzymun▲R▼テストを用いてtPSAおよびfPSAを決定し、実施例5に従ってPSA−ACTを決定した。両グループとも、PSA含量は29ng/ml未満であった。前立腺癌とBPHとを見分けるための情報を得るために、ROC評価を行い(Zweig,M.H.,Clin.Chem.39(1993)561−577:“Receiver−Operating Characteristic(ROC)Plots:A Fundamental Tool in Clinical Medicine")、感度および特異性に対応する値を、それぞれの曲線から読み取った。さらに、対応する腫瘍グループと良性の病気のグループとを見分けるためのパラメーターの能力の尺度であるROC曲線下面積を計算した。この面積が大きいほど、未知のサンプルを正確にクラス分けできる可能性が高い。
良性前立腺過形成に比べた前立腺癌の検出感度は、同じ特異性95%においてtPSAの29%に比べてPSA−ACTを測定した場合、40%であった。また、tPSAではなくPSA−ACTを考慮した場合、曲線下面積も0.709から0.748に増大した。
唯一のパラメータとして遊離型PSAを測定することは、感度が低いため、不適切と思われる。また、fPSA曲線下面積は、他の2つのパラメーターのそれよりも非常に低かった。
実施例7
PSA−ACTの計算値と測定値の相関関係
免疫学的に測定可能な総PSAが2つの主な成分つまりfPSAおよびPSA−ACTで構成されると仮定すると、最初の2つのパラメーターを測定したあとに第3のパラメーターを算出することができ、この結果を第3のパラメーターの測定値と比較する。適切なEnzymun▲R▼テストを使用してtPSAおよびfPSAを決定したあと、これらの差を計算し、実施例5に従って測定したPSA−ACTとの相関関係を決定した。
PSA−ACT含量の測定値および計算値は、264個の値全てにおいてr=0.974と非常に良く相関しており、個々のグループにおける0.946より常に高かった。これは、新しいモノクローナル抗体を用いたPSA−ACTテストが非常に説得力のある結果を出すことを示す。
Claims (7)
- 非複合ヒトACTおよび遊離型セリンプロテアーゼとは検出可能な交差反応を本質的に起こさない、ヒトACTとセリンプロテアーゼの複合体に対するモノクローナル抗体。
- PSA−ACTに対して107l/molを超える親和性を有する、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
- PSA−ACTに対して109l/molを超える親和性を有する、請求項1または請求項2に記載のモノクローナル抗体。
- 寄託番号DSM ACC2281、DSM ACC2283およびDSM ACC2282を有する細胞系MAK<PSA−ACT>M4.6.374、MAK<PSA−ACT>M4.3.2またはMAK<PSA−ACT>M6.13.64のいずれか1つにより産生される、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
- 寄託番号DSM ACC2281、DSM ACC2283およびDSM ACC2282を有する細胞系MAK<PSA−ACT>M4.6.374、MAK<PSA−ACT>M4.3.2およびMAK<PSA−ACT>M6.13.64により産生されるモノクローナル抗体と同等に結合する、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載された少なくとも1つのモノクローナル抗体と共にサンプルをインキュベートすることによる、ACTとセリンプロテアーゼとの複合体の測定方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載された少なくとも1つのモノクローナル抗体と共にインキュベートすることによりサンプル中のヒトACTとPSAとの複合体を検出し、その際、該検出を、過剰ACTを除去するための洗浄ステップを行うことなく実施し、かつ、非悪性サンプルを除外するためのカットオフを2.2〜3.2ng PSA−ACT/mlに設定する、前立腺癌の存在を検出するためのスクリーニング検査。
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