JP3587778B2 - 脱脂ゴマを発酵することによりsod様活性画分および抗酸化活性画分を得る方法、並びにそれにより得られるsod様活性画分および抗酸化活性画分 - Google Patents

脱脂ゴマを発酵することによりsod様活性画分および抗酸化活性画分を得る方法、並びにそれにより得られるsod様活性画分および抗酸化活性画分 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
微生物を用いて発酵することにより、脱脂ゴマからSOD様活性画分および抗酸化活性画分を得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴマは、大豆等の油脂原料穀物に比べて原料単価が高価である。それにも関わらず、搾油処理後の脱脂ゴマは、一般的に、肥料または飼料として安価な脱脂大豆と同等に利用されているに過ぎない。
【0003】
一方、ゴマは抗酸化性作用を有していることで知られている。しかしながら、その活性は脂溶性のリグナン類に限られており、脱脂ゴマに含まれるその量は極僅かであることも、また、分かっている。したがって、従来の方法により、脱脂ゴマからリグナン類を抽出回収しても、採算が合わず実用的ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、脱脂ゴマの有効利用法を提供することを目的とする。具体的には、脱脂ゴマから、優れたSOD様活性画分および抗酸化活性画分を得る方法を提供することを目的とし、更に、それにより得られたSOD様活性画分および抗酸化活性画分を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、一般的に肥料または飼料として処理されている脱脂ゴマを、微生物で発酵することにより、優れたSOD様活性画分および/または抗酸化活性画分が得られるという驚くべき発見をした。本発明は、この発見を基に成されたものである。
【0006】
従って、上記課題を解決し、目的を達成する手段は以下に示す通りである。即ち、
(1) 脱脂ゴマを微生物により発酵することにより、SOD様活性画分および/または抗酸化活性画分を得る方法;
(2) (1)に記載の微生物がアスペルギルス属の微生物である方法。
【0007】
(3) (1)または2の何れか1項に記載のSOD様活性画分および/または抗酸化活性画分を得る方法であって、
前記微生物を脱脂ゴマを含む培地中で培養することと、および
得られた培養物を80%メタノールで抽出することと、
を具備する方法;
(4) 脱脂ゴマを微生物により発酵することにより得られるSOD様活性画分および/または抗酸化活性画分;並びに
(5)微生物を使用して脱脂ゴマからセサミノールを産生する方法であって、
微生物を脱脂ゴマを含む培地中で培養することと、
得られた培養物を80%メタノールで抽出することと、および
得られた抽出液をXAD−7カラムに供し、100%酢酸エチルを用いて溶出することと、
を具備するセサミノール産生方法;
である。
【0008】
【発明の実施の形態】
[活性物質の製造方法]
本発明は、脱脂ゴマを微生物により発酵することにより、SOD様活性画分および/または抗酸化活性画分を得る方法である。
【0009】
この方法は、一般的に安価な肥料または飼料として処理されている脱脂ゴマを、微生物で発酵することにより、優れたSOD様活性画分および/または抗酸化活性画分が得られるという本発明者らによる驚くべき発見に基づく。
【0010】
具体的には、本発明の方法は、一般的に使用される食品微生物を脱脂ゴマを含有する培養液に添加し、微生物により発酵させる過程を具備する。得られた前記発酵物からは、優れたSOD様活性画分および抗酸化活性画分が得られる。詳しくは、この発酵物を、水メタノール混液により振盪抽出し、更に遠心分離して、その上清を得ることにより、活性画分を得ることが可能である。前記上清を更に、蒸発による溶媒除去、凍結乾燥等のそれ自身公知の方法により、乾燥物とすることも可能である。
【0011】
この分画に好ましい溶媒は、水メタノール混液であり、その濃度はメタノールが40%から100%でよく、好ましくは約80%メタノールである。
【0012】
また、ここで使用する「活性画分」の語は、特に断りのない場合は、前記発酵物を水メタノール混液で抽出した画分をいう。この活性画分は、前記水メタノール混液により抽出しただけの画分であってもよく、これを濃縮した濃縮画分であってもよく、また、濃縮乾燥したものであってもよい。
【0013】
本発明の方法に使用可能な微生物は、種々の微生物でよく、例えば、一般的に使用される食品微生物等を含むである。ここで用いる「食品微生物」とは、味噌、醤油、パン、および酒等の発酵食品を製造するために使用される微生物をいう。例えば、アスペルギルス・ソヤ(Aspergillus sojae;一般的にショウユコウジカビともいう)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae;一般的にキコウジカビともいう)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori;一般的にアワモリのコウジカビともいう) 等の糸状菌および酵母等である。最も効率よく、且つ多量に活性物質を生成することから、アスペルギルス・ソヤ(Aspergillus sojae)を用いることが好ましい。更に、アスペルギルス・ソヤ、アスペルギルス・アワモリおよびアスペルギルス・オリゼー、特に、アスペルギルス・ソヤ・IAM2664株、IAM2673株、IAM2674株、IAM2677株、IAM2703株、IAM12176株およびIAM13902株、アスペルギルス・オリゼー・IAM2609株およびIAM2649株、並びにアスペルギルス・アワモリIAM2112株を用いることがより好ましい。更に、アスペルギルス・ソヤ・IAM2674株は、後述する通り、安定した本発明のSOD様活性画分を得ることが可能であることから特に好ましい。
【0014】
本発明の方法において使用可能な発酵用培地は、蒸留水に脱脂ゴマを添加することにで調製することが可能である。このとき、添加する脱脂ゴマの量は、50g/lから500g/lでよく、200g/lから300g/lが好ましい。このように調製した発酵用培地に、使用する微生物を白金耳により接種するればよい。
【0015】
本発明の発酵は、用いる微生物の要求性に応じて、好気性条件下で振盪培養を行っても、好気性条件下で静置培養を行っても、または暗所で嫌気性条件下で行なう。
【0016】
また、本発明における発酵は、pH6から8で行なうことができ、より好ましくはpH6.5から7.2で行なう。pHの調整は、例えば、リン酸緩衝液を用いることにより行い得る
本方法における発酵は、20℃から45℃で行なうことが可能であり、30℃から45℃が好ましく、36℃がより好ましい。
【0017】
後述の実施例において詳述するが、アスペルギルス・ソヤにより発酵した後に、水メタノール混液により抽出して得た本発明のは活性画分は、未発酵脱脂ゴマを水メタノール液で同様に抽出した画分よりも、約2倍のSOD様活性および抗酸化活性がある。
【0018】
また、本発明の更なる側面は、セサミノールの製造方法である。セサミノール画分は、アスペルギルス・ソヤ等の微生物により脱脂ゴマを発酵した後、水メタノール混液で抽出して得た活性画分を、更にXAD7カラムに供し、100%の酢酸エチルにより溶出することで得られる。
【0019】
[活性画分]
本発明の更なる側面は、脱脂ゴマを微生物により発酵することにより得られるSOD様活性画分である。具体的には、脱脂ゴマを微生物により発酵した後に得られる水メタノール混液による抽出画分である。本発明の画分は、優れたSOD様活性を有する。このようなSOD様活性画分は、前述した方法により製造することが可能である。
【0020】
本発明のSOD様活性画分は、これを、更に、XAD7を用いたカラムクロマトグラフィに供し、各溶出液により得られた溶出画分、即ち、100%水溶出画分、20%、40%、60%、80%および100%メタノール溶出画分、並びに100%酢酸エチル溶出画分の全てに分布している。また、後述するように、セサミノールにSOD様活性がないことは確認されているので、本発明の活性画分に含まれる活性成分は、セサミノール以外の成分であることが示唆される。また、後述する用途に、前記夫々の溶出画分を単独で使用してもよく、それらを組み合わせて使用してもよい。
【0021】
本発明のもう1つの側面は、脱脂ゴマを微生物により発酵することにより得られる抗酸化活性画分である。具体的には、脱脂ゴマを微生物により発酵した後に得られる水メタノール混液抽出画分である。本発明の活性画分は、優れた抗酸化活性を有する。このような抗酸化活性画分は、前述した方法により製造することが可能である。
【0022】
本発明の抗酸化活性画分は、これを、更に、XAD7を用いたカラムクロマトグラフィに供し、各溶出液により得られる夫々の溶出画分、即ち、100%水溶出画分、20%、40%、60%、80%および100%メタノール溶出画分、並びに100%酢酸エチル溶出画分の全てに分布している。一方、セサミノール画分は、100%酢酸エチル溶出画分である。従って、本発明の活性画分に含まれる活性成分は、セサミノールと、それ以外の成分とからなることが示唆される。また、後述する用途に、前記夫々の溶出画分を単独で使用してもよく、それらを組み合わせて使用してもよい。
【0023】
[活性画分の利用分野]
本発明のSOD様活性画分および抗酸化活性画分、または夫々の溶出画分を、医薬品、化粧品、医薬部外品および飲食料品等に含有することが可能である。その場合、一般的に使用される担体、賦形剤、保存剤等の添加物と混合することが可能である。
【0024】
本発明の画分を活性成分として含有する医薬組成物は、様々な活性酸素の関与する疾患(例えば、虚血性疾患、動脈硬化、糖尿病、腎炎、老化、癌等)の予防および治療に効果的である。また、本発明の活性画分を添加した食品は、栄養強化食品または特定保健用食品として用いることが可能である。更に、抗酸化剤として食品、その他に用いることも可能である。
【0025】
本発明の医薬組成物は、上述した方法により得られたSOD様活性画分および抗酸化活性画分、またはそれらを上記の通りにXAD7カラムに供した後で得られた溶出画分の少なくとも1を活性成分として含有する。また、本画分を含有する医薬組成物は、その上更に、他の様々な薬効を有する薬剤を共に含有することも可能である。この場合、配合による各薬剤の有効性、安全性等に問題がないことを確認することは当業者に周知である。
【0026】
本発明の医薬組成物は、SOD様活性画分および/または抗酸化活性画分は、乾燥重量で、投与量約10mg/体重kg/日から約100mg/体重kg/日の範囲内での有効量を、1回または数回に分割する方法で投与すればよい。或いは、前記用量の範囲に相当する本発明の何れかの画分の有効量を、1回または数回に分割する方法で投与すればよい。厳密な用量は、投与様式、投与薬の剤形、治療する対象の症状および体重等により広範に変化し得るので、責任のある医師または獣医師の経験と選択によって決定されるべきものである。
【0027】
投与経路は、活性成分が適切且つ希望する作用部位に効果的に輸送される限り、経口または非経口投与、例えば経直腸、経皮膚、皮下、静脈内、尿道内、筋肉内、鼻腔内、眼科的経路等の如何なる経路による投与も可能であるが、経口が好ましい。
【0028】
本発明を化粧品として利用する場合の例は、所望に応じて、種々の担体および添加剤等と混合することが可能であり、洗浄料、クリーム、化粧水、メーキャップ用品、毛髪用製品、日焼け止め製品等の特殊香粧品等に含有することが可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本発明の食品として利用できるものの例には、米類、豆類、小麦粉、澱粉、砂糖、澱粉糖、パン類、麺類、菓子類、食用油、乳製品(バター、チーズ、アイスクリーム、乳酸菌製品等)、豆製品、園芸加工品(缶詰、ジャム、乾燥果実、果実飲料等)、清涼飲料、発酵食品類(酒類、食酢、醤油、ソース、味噌、納豆、漬物等)、肉製品類(ハム、ベーコン、ソーセージ、缶詰類)、卵製品、水酸食品類、各種冷凍食品類、乾燥食品類、インスタント食品類、およびレトルト食品類等が挙げられる。また、調味料類、酵素製品類等に添加することも可能である。しかし、これらに限定されるものではない。
【0030】
【実施例】
1.菌の選別
種々の菌を、脱脂ゴマ培地中に生育させた。その発酵産物中に得られたSOD様活性を比較した。その結果から、SOD様活性画分産生能の高い菌を選別した。
【0031】
[サンプルの調製方法]
以下に列記した菌を、以下の適切な培地の斜面培養した。その後、各菌を、三角フラスコ中の下記のゴマ脱脂粕培地、10mlに接種し、恒温振盪培養器(AT12R、THOMAS社製)を用いて、室温にて、155rpmで振盪培養を6日間行なった。
【0032】
振盪培養後、夫々に40mlのメタノールを添加し、約1日間、振盪抽出(154から155rmp)した後、その抽出液を微量遠心分離器(MX−160、TOMY社製)を用いて、15℃、9000rpm、15分間の低温遠心分離を行ない、その上清をサンプルとした。
【0033】
[対象微生物]
試験に供した食品微生物は、3種10株の糸状菌である。これらの菌株は、財団法人応用微生物研究奨励会(東京都文京区)より入手した。以下に、使用した菌名を表1に纏めた。
【0034】
【表1】
Figure 0003587778
【0035】
[培地]
脱脂ゴマ培地は、脱脂ゴマ(かどや製油社製)2gに蒸留水10mlを添加し、リン酸緩衝液にてpH7.0に調整することにより得た。
【0036】
[試験方法]
SOD様活性測定法(NBT法)
上記で得たサンプルについて、体外診断用医薬品として販売されている「SODテストワコー」(和光社製)を用いたNBT法によりSOD様活性測定を行なった。
【0037】
[測定原理]
NBT法は、キサンチン(XA)−キサンチンオキシダーゼ(XOD)系により生成する・O がSODによりHとOに不均一化される割合を、ジホルマザンの生成阻害率、即ち、SOD無添加時のジホルマザン生成により得られる吸光度に対する、その減少率から測定する方法である。
【0038】
[測定方法]
任意に希釈したサンプルを0.1mlずつ試験管に添加し、そこに、0.40mMのキサンチンおよび0.24mMのニトロブルーテトラゾリウム(NO−TB)を含有するリン酸緩衝液(0.1M,pH8.0)である発色試液の1.0mlと、0.049ユニット/mlのキサンチンオキシダーゼを含有する酵素液の1.0mlと加え、温浴中(37℃)で20分間、反応した。20分後、69mMのドデシル硫酸ナトリム溶液を2ml添加して反応停止し、吸光度を測定した。
【0039】
得られた吸光度から、この反応系で生ずるスーパーオキサイドアニオンによるニトロブルーテトラゾリウム還元に伴なう吸光度(560nm)の増加に対する、各サンプルの増加阻害率(消去活性能)を求めた。具体的には、以下の式より阻害率I(%)を求めた。
【0040】
【数1】
Figure 0003587778
【0041】
その結果、以下の表6に示す。この結果から、アスペルギルス・ソヤが特に優れていることが明らかとなった。詳しくは、アスペルギルス・ソヤおよびアスペルギルス・オリゼー、特に、アスペルギルス・ソヤ・IAM2664株、IAM2673株、IAM2674株、IAM2677株、IAM2703株、IAM12176株およびIAM13902株、アスペルギルス・オリゼー・IAM2609株およびIAM2649株、並びにアスペルギルス・アワモリIAM2112株は、優れた活性物質産生能を有していることが明らかとなった。また、アスペルギルス・ソヤ・IAM2674株は、本発明のSOD様活性画分を安定して産生することも既に明らかになっている。従って、以後の試験は、アスペルギルス・ソヤ・IAM2674株を用いて行なった。
【0042】
【表2】
Figure 0003587778
【0043】
ここで、表中の略称は、以下の通りである;A.Sはアスペルギルス・ソヤ、A.O.はアスペルギルス・オリゼー、A.A.はアスペルギルス・アワモリである。
【0044】
2.SOD様活性画分についての検討
脱脂ゴマをアスペルギルス・ソヤ、即ち、コウジカビで発酵することにより得られるSOD様活性画分について更に検討を進めた。
【0045】
[脱脂ゴマ抽出物との比較]
まず、本発明のためにアスペルギルス・ソヤで発酵した脱脂ゴマと、発酵工程を経ていない未発酵脱脂ゴマの抽出画分について、SOD様活性を比較した。
【0046】
SOD様活性画分は、次のように調製した。アスペルギルス・ソヤを上記の脱脂ゴマ培地中に白金耳により接種し、恒温振盪培養器(AT12R、THOMAS社製)中で、36℃、155rpmで、6日間培養した。培養後、40mlの100%メタノールにより36℃、155rpmで、1日間振盪抽出を行なった。その後、遠心分離を微量遠心分離器(MX−160、TOMY社製)で行なって上清を得た。上清を濃縮乾燥した。更に、この濃縮乾燥品を50mlの80%メタノールに溶解し、または、上清から0.1ml分取し、上記方法と同様にSODを測定した。
【0047】
このとき、比較対照物として、未発酵脱脂ゴマ水メタノール抽出液を用いた。脱脂ゴマ水メタノール抽出液は、2gの脱脂ゴマ(かどや製油社製)を50mlの80%メタノール液を用いて、36℃、155rpmで、1日間振盪抽出を行ない調製し、前記の方法によりSOD活性を測定した。
【0048】
その結果、本発明のSOD活性画分は、未発酵脱脂ゴマよりも高いSOD様活性を有していた(図1)。
【0049】
[溶出画分の比較]
次に、未発酵脱脂ゴマと、アスペルギルス・ソヤによる発酵により得た本発明のSOD様活性画分とを、更にカラムクロマトグラフィーに供し、各溶出液により得た溶出画分について、SOD活性を測定した。
【0050】
本発明のSOD様活性画分は、次のように得た。上記の脱脂ゴマ培地中にアスペルギルス・ソヤを白金耳で接種し、恒温振盪培養器(AT12R、THOMAS社製)中で、36℃、155rpmで、6日間培養した。培養後、40mlの100%メタノールにより36℃、155rpmで、1日間振盪抽出を行なった。その後、遠心分離を微量遠心分離器(MX−160、TOMY社製)で行なって上清を得た。更に、この上清をエバポレーターにより5mlまで濃縮した。この濃縮液をXAD−7カラム(オルガノ社製)による逆相カラムクロマトグラフィーに供した。その後、溶出液として、100%水、20%メタノール、40%メタノール、60%メタノール、80%メタノール、100%メタノールおよび100%酢酸エチルを順次用いて溶出し、各溶出画分を得た。各溶出は、カラムの3倍量の溶出液を用いたので、得られた溶出液は約50mlに濃縮してからサンプルとした。得られたサンプルについてのSOD様活性を測定した。
【0051】
その結果を図2に示す。未発酵脱脂ゴマ抽出液の100%水、20%メタノール、40%メタノール、および60%メタノールによる各溶出画分は、夫々に対応するアスペルギルス・ソヤの発酵物から得た溶出画分に対して、約半分程度の活性しかなかった。一方、未発酵脱脂ゴマの80%メタノール、100%メタノールおよび100%酢酸エチルによる溶出画分の活性については、検出できなかった。この結果から、アスペルギルス・ソヤの発酵により、未発酵脱脂ゴマからでは得られなかった、新規活性画分を得ることが可能であることが分かった。
【0052】
3.1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)還元活性
次に、脱脂ゴマをアスペルギルス・ソヤで発酵することにより得られる画分について、抗酸化活性能を評価した。抗酸化活性能の評価は、1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(以下、DPPHと略す)還元活性を測定することにより行なった。
【0053】
[DPPH還元活性の測定方法]
DPPH還元活性の測定は、ブロイス(M.S.Brois,Nature,181,1199−1200(1958))の方法に従い行なった。この方法は、DPPHの吸光度が、抗酸化性物質により減少することを指標とする。
【0054】
具体的には、エタノール中の0.1mMのDPPH溶液2mlに、測定すべきサンプルを25μl添加し、20分後に516nmにおける吸光度を測定する方法である。
【0055】
[サンプルの調製]
サンプルは、次のように調製した。上記の脱脂ゴマ培地中に、アスペルギルス・ソヤを白金耳により接種し、恒温振盪培養器(AT12R、THOMAS社製)中で、36℃、155rpmで、6日間培養した。培養後、40mlの100%メタノールにより36℃、155rpmで、1日間振盪抽出を行なった。その後、遠心分離を微量遠心分離器(MX−160、TOMY社製)で行なって上清を得た。上清を濃縮乾燥した。この濃縮乾固品を、80%メタノールの50mlに溶解してサンプルとした。
【0056】
また、陽性対照として用いたセサミノールおよびα−トコフェロールは、ジメチルスルホキシド中で、50μM、100μM、500μM、1mM、5mMおよび10mMに調製した。
【0057】
更に、比較対照物として、発酵過程を経ていない未発酵脱脂ゴマ抽出物を用いた。未発酵脱脂ゴマ抽出物は、2gの脱脂ゴマ(かどや製油社製)を50mlの80%メタノール液を用いて、36℃、155rpmで、1日間振盪抽出を行ない調製した。
【0058】
前述の通りに調製したサンプルについて、DPPH還元活性を測定した。その結果、本発明のアスペルギルス・ソヤ発酵抽出物は、未発酵脱脂ゴマ抽出物よりも高い活性を有していることが分かった(図3)。
【0059】
[溶出画分の比較]
次に、未発酵脱脂ゴマ抽出物と、アスペルギルス・ソヤの発酵により得た本発明の抽出画分を、カラムクロマトグラフィーにより分画し、得られた各溶出画分について抗酸化活性を測定した。
【0060】
本発明の活性画分は、次のように得た。上記の脱脂ゴマ培地中にアスペルギルス・ソヤを白金耳により接種し、恒温振盪培養器(AT12R、THOMAS社製)中で、36℃、155rpmで、6日間培養した。培養後、80%メタノールにより36℃、155rpmで、1日間振盪抽出を行なった。その後、遠心分離を微量遠心分離器(MX−160、TOMY社製)で行なって上清を活性画分として得た。
【0061】
得られた活性画分を、エバポレーターにより約5mlまで濃縮した。更に、これをXAD−7カラム(オルガノ社製)による逆相カラムクロマトグラフィーに供した。その後、溶出液として、100%水、20%メタノール、40%メタノール、60%メタノール、80%メタノール、100%メタノールおよび100%酢酸エチルを順次用いて溶出し、各溶出画分を得た。各溶出は、カラムの3倍量の溶出液により行なったので、各分画溶液を約50mlに濃縮してからサンプルとした。得られたサンプルについてのDPPH還元活性を測定した。
【0062】
その結果を図4に示す。何れの溶出画分に関しても、アスペルギルス・ソヤ発酵活性画分由来の方が、未発酵脱脂ゴマ抽出物由来のものに比較し、高い活性を有していることが明らかとなった。
【0063】
[培養物に含まれるセサミノールの抗酸化活性]
アスペルギルス・ソヤ発酵活性画分の100%酢酸エチル画分をHPLCで精製した結果、セサミノールを得た。セサミノールは、0.5μMから10mMまで段階毎にジメチルスルホキシドに溶解してサンプルとした。得られたサンプルについてのDPPH還元活性を上述と同様な方法で測定した。
【0064】
その結果を図5に示す。本発明の培養物に含まれるセサミノールは、代表的な抗酸化剤α−トコフェロールと同等の高い活性を有していることが示された。
【0065】
【発明の効果】
本発明の方法により、脱脂ゴマを、微生物、特にアスペルギルス・ソヤを用いて発酵することにより、SOD様活性画分および抗酸化活性画分を得ることが可能である。
【0066】
脱脂ゴマを微生物により発酵することにより得られるSOD様活性画分は、未発酵脱脂ゴマを抽出しただけの画分とは異なる成分を含み、その活性は非常に高い。
【0067】
また、本発明のセサミノール製造方法を行なうことにより、脱脂ゴマを有効に利用でき、それにより多量のセサミノールを得ることも可能である。また、本セサミノール製造方法は、微生物による発酵を利用した方法であるため、単離した酵素を利用する方法とは異なり、製造方法がシンプルである。また、本方法に使用する微生物は、何度も繰り返して使用することが可能であるため、経費を節減することにも繋がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アスペルギルス・ソヤ発酵物と未発酵脱脂ゴマとの80%メタノール抽出液のSOD様活性を示すグラフ。
【図2】アスペルギルス・ソヤ発酵物と未発酵脱脂ゴマとを夫々XAD7カラムクロマトグラフィーに供することにより得られた各画分のSOD様活性を示すグラフ。
【図3】アスペルギルス・ソヤ発酵物と未発酵脱脂ゴマとのメタノール抽出液のDPPH還元活性を示すグラフ。
【図4】アスペルギルス・ソヤ発酵物と未発酵脱脂ゴマとを夫々XAD7カラムクロマトグラフィーに供することにより得られた各分画のDPPH還元活性を示すグラフ。
【図5】アスペルギルス・ソヤ発酵物からの酢酸エチル100%画分からHPLCを用いて単離したセサミノールと、α−トコフェロールのDPPH還元活性を示すグラフ。

Claims (3)

  1. SOD様活性による活性酸素抑制効果を有する活性酸素抑制剤であって、
    アスペルギルス属の微生物を、脱脂ゴマを含む培地中で培養する工程と、
    得られた培養物をメタノール水溶液で抽出する工程と、
    を具備する、脱脂ゴマを微生物により発酵してSOD様活性画分を得る方法によって得られた画分を含むことを特徴とする活性酸素抑制剤。
  2. 前記メタノール水溶液は、40%〜100%メタノールである、請求項1に記載の活性酸素抑制剤。
  3. 前記メタノール水溶液は、80%メタノールである、請求項2に記載の活性酸素抑制剤。
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