JP2001136959A - 枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養物、これに由来する水溶性ビタミンk誘導体、これらを含む医薬、食品および飼料ならびにこれらの製造方法 - Google Patents

枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養物、これに由来する水溶性ビタミンk誘導体、これらを含む医薬、食品および飼料ならびにこれらの製造方法

Info

Publication number
JP2001136959A
JP2001136959A JP32746099A JP32746099A JP2001136959A JP 2001136959 A JP2001136959 A JP 2001136959A JP 32746099 A JP32746099 A JP 32746099A JP 32746099 A JP32746099 A JP 32746099A JP 2001136959 A JP2001136959 A JP 2001136959A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
bacillus subtilis
vitamin
culture
derivative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32746099A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Sumi
洋行 須見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Trading Corp
Original Assignee
Honda Trading Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Trading Corp filed Critical Honda Trading Corp
Priority to JP32746099A priority Critical patent/JP2001136959A/ja
Publication of JP2001136959A publication Critical patent/JP2001136959A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Fodder In General (AREA)
  • Confectionery (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビタミンK誘導体を最も多量に菌体内に貯蔵
した枯草菌(Bacillus subtilis)菌体および/または
菌体外に放出したこのような産生物を含む培養物を提供
する。 【解決手段】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミンKおよび/
またはその誘導体が該菌体外に放出される前に該菌体お
よび/またはその産生物を回収することにより得られ
る、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養
物、およびそれに由来する水溶性ビタミンK誘導体、そ
れらを含む医薬、食品および飼料、ならびにそれらの製
造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、枯草菌(Bacillus
subtilis)の菌体および/またはその産生物を含む培
養物、これに由来する水溶性ビタミンK誘導体、これら
を含む医薬、食品および飼料ならびにこれらの製造方法
に関するものである。より詳しくは、本発明は、ビタミ
ンK誘導体、特にメナキノン−7(ビタミンK2 )誘導
体を最も多量に菌体内に貯蔵した枯草菌菌体および/ま
たは菌体外に放出したこのような産生物を含む培養物、
該培養物由来の水溶性ビタミンK誘導体、特にメナキノ
ン−7(ビタミンK2 )誘導体、該培養物または該水溶
性ビタミンK誘導体、特にメナキノン−7(ビタミンK
2 )誘導体を含む医薬、食品および飼料ならびに該培養
物および該水溶性ビタミンK誘導体、特にメナキノン−
7(ビタミンK2 )誘導体の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ビタミンKは、従来、血液が凝固する際
に必要な因子として知られており、このビタミンの欠乏
は血液凝固能の低下をもたらすので抗出血性ビタミンと
も呼ばれる脂溶性ビタミンの一種である。このビタミン
Kの欠乏が血液凝固能の低下をもたらす原因としては、
近年、プロトロンビンを含む数種の血液凝固因子の生合
成にビタミンKが不可欠であることが示唆された。しか
しながら、血液凝固能の低下を防止するために必要とさ
れるビタミンKの量はμgオーダーと極めて微量であ
り、一般的には、成人では腸内細菌から供給されるの
で、ビタミンK欠乏症になることはまれであり、また、
ビタミンK欠乏性出血症の治療には合成ビタミンK1
2 が医薬品として用いられ、これまではこの予防を目
的として天然ビタミンK1濃縮物が食品として利用され
ているため、ビタミンKはこれまであまり注目されるこ
とはなかった。
【0003】しかしながら、近年、ビタミンKには骨形
成促進作用及び骨吸収抑制作用があり、ビタミンKの投
与で骨密度が増加することが明らかにされた。一方、骨
粗鬆症は、老化や疾病などの原因によって起こる、骨が
もろくなる病態で、骨折したり、激しい痛みなどを伴
い、老人医療の面から大きな社会問題となりつつある病
気であり、骨粗鬆症患者におけるビタミンKの血中濃度
を調べてみると健常人に比べて約1/2と少ないことが
報告された。このため、合成ビタミンKが骨粗鬆症用治
療薬として臨床試験が行われているが、出血症の治療・
予防の場合と異なり、骨粗鬆症の治療・予防では、一日
に45mg以上という多量のビタミンKの投与で骨量を
増す改善効果があることが臨床試験により証明されてい
る。また、骨粗鬆症は発病してからの治療より予防が重
要であり、このためには食品から日常的にビタミンKを
摂取することが望まれるが、健常者の場合、一日にどの
くらいのビタミンKを摂取すれば骨量が増し、骨粗鬆症
の予防に役立つかは明らかではない上、既存の食品で上
記したような量を摂取することは難しいと思われる。
【0004】上述したように、ビタミンKの摂取は日常
の食品を通じて行われるのが望ましく、実際、ビタミン
1 は緑黄色野菜や海草類などから、ビタミンK2 は納
豆などの発酵食品から摂取することができる。しかしな
がら、市販の食品から骨粗鬆症の改善に有効な量である
との報告のある45mgのビタミンKを摂取しようとす
る場合、例えば、ビタミンKを1ppm含有する食品で
は、一日に45kgという多量の食品を食する必要があ
るが、このようなことは実際には非常に困難である。ま
た、食品のうちでビタミンKの含量が十数ppmと最も
多いのは納豆であるが、たとえ、このような納豆を食し
ても一日に数百gから数kgの量を食さなくてはなら
ず、嗜好上、これだけの量を毎日食することは困難であ
る上、摂取されたビタミンKの半減期は短く、単発で経
口摂取したのでは効果が不十分であったり、また逆に一
時に大量摂取すると副作用の問題も残されていた。この
ため、ビタミンKが濃縮されたものを摂取することが望
ましいが、出血症予防のために調製粉乳に添加している
市販の天然ビタミンK濃縮物は高価であり、医薬品の合
成ビタミンKは食品に使用できないという問題があっ
た。
【0005】ところで、ビタミンK類の中で、自然界に
存在するのはビタミンK1およびビタミンK2 群のみで
ある。ビタミンK1 は、食品中では、特に緑色野菜、植
物油、海藻等に多く含まれており、例えば、海藻・海苔
・茶葉などに数十ppm、大豆油、ほうれん草やブロッ
コリーなどに数ppm含まれており、また2−メチル−
1,4−ナフトキノンとフィチルアセテートを縮合する
ことよって合成される。また、ビタミンK2 群は、側鎖
長の違いによりメナキノン−1〜14(MK−1〜1
4)の同族体が知られている。これらのうち、特にメナ
キノン−7(本明細書では、単に「MK−7」ともい
う)は、ビタミンK2 の代表的な物質であり、主に納豆
菌によって合成されるが、自然界では納豆でも数〜十数
ppmと比較的微量にしか存在しない上半減期が短いた
め、単離が非常に困難であり、これまで、MK−7高含
量の脂質を調製した例は、特開平8−73396号公報
一例くらいしか知られていない。
【0006】このため、ビタミンK2 を納豆菌等の微生
物を用いて大量に生産することが試みられ、天然ビタミ
ンK2 を得る方法としては多くの研究が知られており、
例えば、フラボバクテリウム属に属する微生物の培養液
からビタミンK2 を採取する方法(特公平7−2874
8号及び特公平7−51070号公報)、大豆煮汁や豆
腐粕等に納豆菌を接種して発酵させることによりビタミ
ンKを生産する方法(特開平10−295393号、特
開平8−19378号、特開平8−9916号及び特開
平8−173078号公報)が挙げられる。これらの方
法に加えて、納豆菌の発酵物をアルコール、エーテル、
エステルやケトン等の有機溶媒による溶媒抽出などを行
うことによって天然ビタミンK2 、特に天然MK−7を
多量に含む濃縮脂質を得る方法(特開平8−73396
号公報)が提案されている。しかしながら、フラボバク
テリウムなどのビタミンK生産菌を使用する方法は、フ
ラボバクテリウムが食品としての安全性が証明されてい
ないので、直ちに食品に供することはできないという問
題がある。また、納豆菌を用いてビタミンKを調製する
方法では、確かに最大約40mg/リットル培養液とい
う比較的ビタミンK含有量の高い培養物が得られたもの
の、ここで産生するのは水溶性ではなく脂溶性のビタミ
ンKであるため、その使用できる用途は非常に限定され
たものとなる。さらに、納豆菌の発酵物を有機溶媒で抽
出することによって調製される天然メナキノン−7高含
量脂質は、大豆等の食用に供することができるものを原
料として調製されてはいるものの、有機溶媒を使用する
ため食品に使用する際にはこの有機溶媒を完全に除去し
なければならずこのための設備や時間がさらに必要とな
る上、上記と同様、得られるMK−7高含量脂質はその
名称からも明らかなように脂溶性であるためその使用で
きる用途が限定される。
【0007】上述したように、納豆、納豆の製造過程で
発生する粕、煮汁等の副産物の発酵物から納豆菌等の微
生物を用いてビタミンKやMK−7を生産する(即ち、
菌体外からビタミンKやMK−7を取り出す)方法は多
数報告されてきたが、納豆菌をはじめとする枯草菌の菌
体内に貯蔵されたビタミンKやMK−7に関する報告は
従来ほとんどなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、通常の食品からは充分な量の摂取ができないま
たは摂取困難な天然ビタミンK、特に天然MK−7を簡
単に日常的に摂取することを可能ならしめるべく、ビタ
ミンK誘導体、特にメナキノン−7(ビタミンK 2 )誘
導体を最も多量に菌体内に貯蔵した枯草菌菌体および/
または菌体外に放出したこのような産生物を含む培養
物、該培養物由来の水溶性ビタミンK誘導体、特にメナ
キノン−7(ビタミンK2 )誘導体、該培養物または該
水溶性ビタミンK誘導体、特にメナキノン−7(ビタミ
ンK2 )誘導体を含む医薬、食品および飼料ならびに該
培養物および該水溶性ビタミンK誘導体、特にメナキノ
ン−7(ビタミンK2 )誘導体の製造方法を提供するも
のである。
【0009】本発明の他の目的は、長時間血中濃度を必
要な濃度に高めたままそれを維持する効果を有しかつ安
全性にも優れたビタミンK誘導体、特にメナキノン−7
(ビタミンK2 )誘導体を最も多量に菌体内に貯蔵した
枯草菌菌体および/または菌体外に放出したこのような
産生物を含む培養物、該培養物由来の水溶性ビタミンK
誘導体、特にメナキノン−7(ビタミンK2 )誘導体、
該培養物または該水溶性ビタミンK誘導体、特にメナキ
ノン−7(ビタミンK2 )誘導体を含む医薬、食品およ
び飼料ならびに該培養物および該水溶性ビタミンK誘導
体、特にメナキノン−7(ビタミンK2 )誘導体の製造
方法を提供するものである。
【0010】本発明のさらなる他の目的は、保存安定性
に優れ、取り扱いの容易なビタミンK誘導体、特にメナ
キノン−7(ビタミンK2 )誘導体を最も多量に菌体内
に貯蔵した枯草菌菌体および/または菌体外に放出した
このような産生物を含む培養物、該培養物由来の水溶性
ビタミンK誘導体、特にメナキノン−7(ビタミン
2 )誘導体、該培養物または該水溶性ビタミンK誘導
体、特にメナキノン−7(ビタミンK2 )誘導体を含む
医薬、食品および飼料ならびに該培養物および該水溶性
ビタミンK誘導体、特にメナキノン−7(ビタミン
2 )誘導体の製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記事情に
鑑みて、納豆の成分(Experientia, 43:1110, 1987;Ac
ta Haematol., 84: 139, 1990;Fibrinolysis, 6: 86,
1992;日本薬剤師会誌、30: 73, 1994;バイオインダス
トリー、14: 47, 1996)、ならびに納豆菌中及び血中ビ
タミンKの分析(日本血栓止血誌、8: 287, 1997;Fibr
inolysis & Proteolysis, Vol.12, Supplement 1, 205,
p.75, 1998)について鋭意研究を行ってきた結果、
(1)納豆等の納豆菌の発酵物やそれに含まれるビタミ
ンKの摂取ではなく、生きた枯草菌そのものの摂取によ
って高い血漿中のビタミンK、特にMK−7濃度の亢進
効果が認められること、及び特に納豆菌の場合は他に比
べて極めて高い血漿中濃度の持続効果を発揮すること、
(2)特定の成長段階まで培養した納豆菌は菌体内に多
量のMK−7を蓄積しており、この段階で回収された納
豆菌またはその培養物そのものを摂取することによって
高い血漿中のビタミンK、特にMK−7濃度が認めら
れ、かつこのようにして摂取された際の血漿中のビタミ
ンK濃度は長持間持続すること (3)上記段階で回収された納豆菌の菌体内に蓄積され
たビタミンK、特にMK−7は水溶性であること、等を
見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至
った。
【0012】すなわち、本発明は、枯草菌(Bacillus s
ubtilis)を培養し、該枯草菌の菌体内で産生されたビ
タミンKおよび/またはその誘導体が該菌体外に放出さ
れる前に該菌体および/またはその産生物を回収するこ
とにより得られる、枯草菌菌体および/またはその産生
物を含む培養物である。
【0013】本発明はまた、枯草菌(Bacillus subtili
s)を培養し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に
入る時期に該菌体および/またはその産生物を回収する
ことにより得られる、枯草菌菌体および/またはその産
生物を含む培養物である。
【0014】本発明はさらに、該枯草菌は納豆菌(Baci
llus subtilis natto)である前記培養物である。
【0015】本発明はまた、該菌体数が対数期から定常
期に入る時期でかつナットウキナーゼが産生される前に
回収することにより得られる前記培養物である。
【0016】また、本発明は、前記培養物に由来する水
溶性ビタミンK誘導体である。
【0017】本発明はまた、ビタミンK2 誘導体である
前記ビタミンK誘導体である。
【0018】本発明はさらに、メナキノン−7誘導体で
ある前記ビタミンK誘導体である。
【0019】さらに、本発明は、枯草菌(Bacillus sub
tilis)を培養し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタ
ミンKおよび/またはその誘導体が該菌体外に放出され
る前に該菌体および/またはその産生物を回収すること
により得られる、枯草菌菌体および/またはその産生物
を含む培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK
誘導体を含む医薬である。
【0020】本発明はまた、枯草菌(Bacillus subtili
s)を培養し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に
入る時期に該菌体および/またはその産生物を回収する
ことにより得られる、枯草菌菌体および/またはその産
生物を含む培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミ
ンK誘導体を含む医薬である。
【0021】本発明はさらに、該枯草菌は納豆菌(Baci
llus subtilis natto)である前記医薬である。
【0022】本発明はまた、該培養物は、該菌体数が対
数期から定常期に入る時期でかつナットウキナーゼが産
生される前に回収することにより得られるものである前
記医薬である。
【0023】本発明はさらに、骨粗鬆症予防および治療
剤である前記医薬である。
【0024】また、本発明は、枯草菌(Bacillus subti
lis)を培養し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミ
ンKおよび/またはその誘導体が該菌体外に放出される
前に該菌体および/またはその産生物を回収することに
より得られる、枯草菌菌体および/またはその産生物を
含む培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘
導体の医薬としての使用である。
【0025】本発明はまた、枯草菌(Bacillus subtili
s)を培養し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に
入る時期に該菌体および/またはその産生物を回収する
ことにより得られる、枯草菌菌体および/またはその産
生物を含む培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミ
ンK誘導体の医薬としての使用である。
【0026】本発明はさらに、該枯草菌は納豆菌(Baci
llus subtilis natto)である前記使用である。
【0027】本発明はまた、該培養物は、該菌体数が対
数期から定常期に入る時期でかつナットウキナーゼが産
生される前に回収することにより得られるものである前
記使用である。
【0028】本発明はさらに、該医薬は骨粗鬆症予防お
よび治療剤である前記使用である。
【0029】さらに、本発明は、枯草菌(Bacillus sub
tilis)を培養し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタ
ミンKおよび/またはその誘導体が該菌体外に放出され
る前に該菌体および/またはその産生物を回収すること
により得られる、枯草菌菌体および/またはその産生物
を含む培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK
誘導体の有効量を患者に投与することからなるヒトの疾
病の予防および/または治療方法である。
【0030】本発明はまた、枯草菌(Bacillus subtili
s)を培養し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に
入る時期に該菌体および/またはその産生物を回収する
ことにより得られる、枯草菌菌体および/またはその産
生物を含む培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミ
ンK誘導体の有効量を患者に投与することからなるヒト
の病気の予防および/または治療方法である。
【0031】本発明はさらに、該枯草菌は納豆菌(Baci
llus subtilis natto)である前記方法である。
【0032】本発明はまた、該培養物は、該菌体数が対
数期から定常期に入る時期でかつナットウキナーゼが産
生される前に回収することにより得られるものである前
記方法である。
【0033】本発明はさらに、該疾病は骨粗鬆症である
前記方法である。
【0034】また、本発明は、枯草菌(Bacillus subti
lis)を培養し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミ
ンKおよび/またはその誘導体が該菌体外に放出される
前に該菌体および/またはその産生物を回収することに
より得られる、枯草菌菌体および/またはその産生物を
含む培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘
導体を含む食品である。
【0035】本発明はまた、枯草菌(Bacillus subtili
s)を培養し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に
入る時期に該菌体および/またはその産生物を回収する
ことにより得られる、枯草菌菌体および/またはその産
生物を含む培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミ
ンK誘導体を含む食品である。
【0036】本発明はさらに、該枯草菌は納豆菌(Baci
llus subtilis natto)である前記食品である。
【0037】本発明はまた、該培養物は、該菌体数が対
数期から定常期に入る時期でかつナットウキナーゼが産
生される前に回収することにより得られるものである前
記食品である。
【0038】さらに、本発明は、枯草菌(Bacillus sub
tilis)を培養し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタ
ミンKおよび/またはその誘導体が該菌体外に放出され
る前に該菌体および/またはその産生物を回収すること
により得られる、枯草菌菌体および/またはその産生物
を含む培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK
誘導体を含む飼料である。
【0039】本発明はまた、枯草菌(Bacillus subtili
s)を培養し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に
入る時期に該菌体および/またはその産生物を回収する
ことにより得られる、枯草菌菌体および/またはその産
生物を含む培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミ
ンK誘導体を含む飼料である。
【0040】本発明はさらに、該枯草菌は納豆菌(Baci
llus subtilis natto)である前記飼料である。
【0041】本発明はまた、該培養物は、該菌体数が対
数期から定常期に入る時期でかつナットウキナーゼが産
生される前に回収することにより得られるものである前
記飼料である。
【0042】また、本発明は、枯草菌(Bacillus subti
lis)を培養し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミ
ンKおよび/またはその誘導体が該菌体外に放出される
前に該菌体および/またはその産生物を回収することを
特徴とする、枯草菌菌体および/またはその産生物を含
む培養物の製造方法である。
【0043】本発明はまた、枯草菌(Bacillus subtili
s)を培養し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に
入る時期に該菌体および/またはその産生物を回収する
ことを特徴とする、枯草菌菌体および/またはその産生
物を含む培養物の製造方法である。
【0044】本発明はさらに、該枯草菌は納豆菌(Baci
llus subtilis natto)である前記製造方法である。
【0045】本発明はまた、該菌体数が対数期から定常
期に入る時期でかつナットウキナーゼが産生される前に
回収することを特徴とする前記製造方法である。
【0046】さらに、本発明は、枯草菌(Bacillus sub
tilis)を培養して得られた枯草菌菌体および/または
その産生物を含む培養液を酸性化し、沈殿物を得ること
からなる水溶性ビタミンK誘導体の分取方法である。
【0047】また、本発明は、枯草菌(Bacillus subti
lis)を培養して得られた枯草菌菌体および/またはそ
の産生物を含む培養物をソックスレー抽出することを特
徴とするビタミンKの抽出方法である。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明を以下に詳細に説明する。
【0049】本発明の第一の概念によると、枯草菌を培
養し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミンKおよび
/またはその誘導体が該菌体外に放出される前に該菌体
および/またはその産生物を回収することを特徴とす
る、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養物
の製造方法が提供される。
【0050】本発明に使用される枯草菌(Bacillus sub
tilis)は、枯草菌に属しかつビタミンKを産生するも
のであれば特に制限されず、公知の枯草菌が使用でき
る。特に、安全性及びビタミンKの産生量などを考慮す
ると、納豆菌(Bacillus subtilis natto)が本発明に
おいて好ましく使用される。本発明において特に好まし
く使用される納豆菌としては、特に制限されず、高橋菌
(高橋祐蔵研究所製、山形)、成瀬菌(株式会社成瀬醗
酵化学研究所製、東京)、宮城野菌(有限会社宮城野納
豆製造所製、仙台)、朝日菌(株式会社朝日工業製、東
京)、日東菌(株式会社日東薬品工業製、京都)、目黒
菌(株式会社目黒研究所製、大阪)等の市販の納豆菌;
及び雲南SL-001菌が挙げられる。なお、雲南SL-001菌
は、平成11年5月7日付で通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所に、受託番号FERM BP−67
13号で国際寄託された。
【0051】本発明において、枯草菌を菌体内で産生さ
れたビタミンKが菌体外に放出される前に培養を終了し
て回収することを必須とし、枯草菌の培養(例えば、培
地や培養条件)などについては、枯草菌を一般的に培養
するのと同様の培地及び培養条件が使用できる。これに
より、ビタミンKは、菌体外にはほとんど放出されずに
微生物菌体中に選択的にかつ多量に蓄積されるため、こ
のような特定の状態の菌体を回収するという簡単な操作
によって、ビタミンKを多量に含む菌体が得られ、この
ようにして回収された菌体は、特に納豆菌など安全性が
確認されている菌である場合には、菌体からビタミンK
を抽出するという操作を介さずとも、そのまま菌体を食
するあるいはこのような菌体の培養物を一般的な食品に
含ませることも可能である。
【0052】本発明において、枯草菌菌体の回収時期
は、上述したように、菌体内で産生されたビタミンKが
菌体外に放出される前でなければならないが、好ましく
は前記微生物の菌体数が対数期から定常期に入る時期で
ある。また、特に枯草菌が納豆菌である際には、対数期
から定常期に入る時期でかつナットウキナーゼが産生さ
れる前に菌体を回収することが好ましい。より具体的に
は、培養時間は培養温度及びpHや菌体の初期濃度等の
培養条件および培養方法によって異なるものの、例え
ば、500ml容量の三角フラスコを用いて300ml
の培養液(組成:1.5%ポリペプトン−S、1%グル
コース、0.1%酵母エキス、pH7.2)中に雲南SL
-001株を、5×106個/mlの初期濃度で接種して3
7℃で振盪培養(100rpm)を行った場合、0.5
〜4日間、好ましくは660nmでの吸光度で最大値を
示した直後(1〜2日間)である。
【0053】本発明において、枯草菌の培養では、枯草
菌を一般的に培養するのと同様の培地及び培養条件が使
用され、例えば、本発明による培養に使用される培地
は、当業者には公知の成分からなる培地が使用でき特に
制限されず、各種培養成分を適宜混合することにより調
製してもあるいは市販の培地をそのまま使用してもある
いは市販の培地に上記公知の成分を補助成分として添加
した培地を使用してもよい。この際、培地は、固体また
は液体培地のいずれを使用してもよく使用目的によって
適宜選択され、また、使用する微生物が資化しうる炭素
源、適量の窒素源、無機塩及びその他の栄養素を含有す
る培地であれば、合成培地または天然培地のいずれであ
ってもよい。
【0054】本発明による枯草菌の培養において使用で
きる炭素源は、使用する種によって異なり、使用する菌
株が良好に生育し、ビタミンKを効率よく産生できるも
のであれば特に制限されない。具体的には、デンプンま
たはその組成画分、焙焼デキストリン、加工デンプン、
デンプン誘導体、物理処理デンプン、α−デンプン、可
溶性デンプン、アミロース、アミロペクチン、マルトオ
リゴ糖、シクロデキストリン、プルラン、トウモロコシ
デンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン及びデキスト
リン、グリセリン、ソルビトール、麦芽汁、グルコース
等の炭水化物が挙げられる。これらの炭素源のうち、ビ
タミンKの産生の観点から、グルコース及びデンプンが
好ましく使用される。これらの炭素源は、単独あるいは
2種以上の混合物の形態で使用できる。
【0055】本発明による枯草菌の培養において使用で
きる窒素源もまた、使用する種によって異なり、使用す
る菌株が良好に生育し、ビタミンKを効率よく産生でき
るものであれば特に制限されない。具体的には、肉エキ
ス、麦芽エキス、ペプトン、大豆由来のポリペプトン
(例えば、ポリペプトン−S)、酵母エキス、味液(大
豆タンパク酸加水分解物)、大豆粉末、ミルクカゼイ
ン、カザミノ酸、各種アミノ酸及びコーンスティープリ
カー等の有機窒素化合物、およびアンモニア、硝酸アン
モニウム、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムなど
のアンモニウム塩、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩、尿素
等の無機窒素化合物等が挙げられる。これらの窒素源の
うち、ビタミンKの産生の観点から、大豆由来のポリペ
プトン(例えば、ポリペプトン−S)及び大豆粉末が好
ましく使用される。これらの窒素源も、単独あるいは2
種以上の混合物の形態で使用できる。
【0056】本発明による培養に使用できる無機塩もま
た、使用する種によって異なり、使用する菌株が良好に
生育し、ビタミンKを良好に産生できうるものであれば
特に制限されないが、具体的には、マグネシウム、マン
ガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、銅、鉄及び
亜鉛などのリン酸塩、塩酸塩、硫酸塩及び酢酸塩等から
選ばれた1種または2種以上を使用することができる。
【0057】また、本発明による培養に市販の培地を使
用する場合の市販の培地としては、例えば、栄養ブイヨ
ン(nutrient broth)(乾燥ブイヨン)(日水製薬株式
会社または日本製薬株式会社製)、ポリペプトン−S
(和光純薬製)などが挙げられる。
【0058】または、本発明において、枯草菌の培養に
使用する培地として、オカラ、大豆、味噌や納豆製造時
に副生する大豆煮汁、豆腐や油揚げ製造時に副生する豆
腐粕、大豆を原料とした製油時に副生する大豆粕、味噌
製造時の副産物である大豆の種皮など、納豆菌によって
発酵できる材料を使用してもよい。この際、必要であれ
ば、この材料に上記したような炭素源、窒素源及び無機
塩を適宜添加してもよい。
【0059】本発明において、枯草菌の培養は、従来公
知の方法と同様にして行われ、その際の培養条件は、使
用する菌株、培地の組成及び培養法によって適宜選択さ
れ、使用する菌株が増殖しビタミンKを効率よく産生で
きる条件であれば特に制限されない。培養温度は、通
常、20〜45℃、好ましくは37〜42℃であり、ま
た、培養に適当な培地のpHは、通常、6.0〜9.
5、好ましくは7.0〜8.5である。
【0060】本発明の第二の概念によると、上記方法に
よって培養された枯草菌の菌体および/またはその産生
物を含む培養物が提供される。
【0061】本発明において、「枯草菌の培養物」とい
うことばは、上記方法によって培養された枯草菌菌体お
よび枯草菌菌体外に産生された産物の双方を含む。後者
の場合では、雲南SL-001菌が、より高い菌体外での収率
を示すため、好ましい。
【0062】また、本発明の第三の概念によると、本発
明の第二の概念の培養物由来の水溶性ビタミンK誘導体
が提供される。
【0063】上述したように、本発明の方法によって培
養された枯草菌の培養物は、多量のビタミンK、特にビ
タミンK2 、さらに特にメナキノン−7(MK−7)を
その菌体内に蓄積している。具体的には、本発明の方法
によって培養された枯草菌の培養物中に蓄積されるビタ
ミンK、ビタミンK2 およびMK−7の量は、使用する
菌体や培地の種類や培養条件などによって変化するが、
それぞれ、通常、10〜200mg/100g真空熱乾
燥菌体である。より具体的には、目黒菌を3%大豆ペプ
トン培地中で37℃で2日間振盪培養(100rpm)
した場合、菌体中のMK−7量は最大約70mg/10
0g乾燥菌体であり、これは科学技術庁の食品分析表に
よる納豆における量(870μg/100g)の約80
倍量に相当する。なお、本明細書において、菌体内に蓄
積されるMK−7、MK−4及びビタミンK1の量は、
下記実施例の項で記載される方法によって測定された値
である。
【0064】本発明の方法によって培養された枯草菌の
培養物を濾過や遠心分離等の既知の方法により集菌した
後、これを凍結乾燥、風乾、真空熱乾燥等の公知の方法
により乾燥し、この乾燥菌体を水に溶解したところ、ビ
タミンKが水に溶け出してくる。即ち、この菌体中には
多量のビタミンK(特にMK−7)が含まれる点を合わ
せて考慮すると、菌体内に蓄積されたビタミンK(特に
MK−7)は菌体内では何らかの変化を受けて水溶性と
なっていると考えられ、このような水溶性が付与された
形態のビタミンK、ビタミンK2 及びメナキノン−7
(MK−7)を、本願明細書において、それぞれ、「水
溶性ビタミンK誘導体」(または、単に「ビタミンK誘
導体」と称する)、「水溶性ビタミンK2 誘導体」(ま
たは、単に「ビタミンK2 誘導体」と称する)及び「水
溶性メナキノン−7誘導体(水溶性MK−7誘導体)」
と称する。この際、水溶性メナキノン−7誘導体は、S
DS−ポリアクリルアミド電気泳動で測定される際に約
10万の分子量の単一のバンドを示す点、ゲル瀘過で測
定される際には10万以上の分子量を示す点、およびメ
ナキノン−7の分子量が約649である点を考慮するこ
とにより、MK−7に何らかの物質(例えば、糖タンパ
ク質)が結合して安定化されて水に可溶性のビタミンK
誘導体(ビタミンK2 誘導体及びメナキノン−7誘導体
を含む;以下、省略)が菌体内で形成されるのではない
かと推定される。しかしながら、上記仮説によって本発
明の概念が限定されるものではないことはいうまでもな
い。
【0065】本発明において、水に対するビタミンK誘
導体、ビタミンK2 誘導体及びメナキノン−7誘導体の
溶解度は、使用する菌体や培地の種類、培養条件及び培
養物の処理(抽出)方法などによって変化する。例え
ば、ビタミンK誘導体の溶解度は、培養菌体の水抽出操
作による場合、約105μg/100ml水(20℃)
であり、液体培養上清の場合、約300μg/100m
l水(20℃)であり、さらに、納豆の水抽出操作によ
る場合、約1,500μg/100ml水(20℃)で
ある。
【0066】本発明の第四の概念によると、上記第二の
概念による培養物または上記第三の概念による水溶性ビ
タミンK誘導体を含む医薬、該培養物または水溶性ビタ
ミンK誘導体の医薬としての使用、および該培養物また
は水溶性ビタミンK誘導体の有効量を患者に投与するこ
とからなるヒトの疾病の予防および/または治療方法が
提供される。
【0067】本発明の薬剤は、特に骨粗鬆症予防および
治療剤として利用した場合、極めて有効である。
【0068】本発明の薬剤は、前記培養物または水溶性
ビタミンK誘導体を単体で、または錠剤、丸剤、散剤、
粉剤、顆粒剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳剤、カプ
セル剤等として患者に経口投与できる。また、注射剤と
して静脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内、動脈内、脊
髄腔内等に投与できる。さらに、座薬として直腸内に投
与しても良いし、ペレットによる埋め込みも可能であ
る。点眼剤、点鼻剤、噴霧剤、吸入剤等として直接患部
およびその周辺部位に局所的に投与することもできる
し、軟膏、クリーム、粉状もしくは液状塗布剤、貼付剤
等の外用剤として経皮的に投与しても良い。上述したう
ち、好ましい製剤形態や投与形態等は、患者の年齢、性
別、体質、症状、処置時期等に応じて、医師によって適
宜選択される。本剤を骨粗鬆症予防および治療剤として
投与する場合、経口的にまたは注射剤として非経口的に
投与するのが好ましい。
【0069】本剤を錠剤、丸剤、散剤、粉剤、顆粒剤等
の固形製剤とする場合には、前記培養物または水溶性ビ
タミンK誘導体を、常法に従って適当な添加剤、例え
ば、乳糖、ショ糖、マンニット、トウモロコシデンプ
ン、合成もしくは天然ガム、結晶セルロース等の賦形
剤、デンプン、セルロース誘導体、アラビアゴム、ゼラ
チン、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボシキメ
チルセルーロースカルシウム、カルボシキメチルセルー
ロースナトリウム、デンプン、コーンスターチ、アルギ
ン酸ナトリウム等の崩壊剤、タルク、ステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリン酸ナトリウム等の滑沢剤、炭酸カ
ルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸
ナトリウム等の充填剤または希釈剤等と適宜混合して製
造することができる。錠剤等は、必要に応じて適当な被
覆用基剤を用いて、糖衣、ゼラチン、腸溶被覆、フイル
ムコーティング等を施しても良い。
【0070】本剤を注射剤、点眼剤、点鼻剤、吸入剤、
噴霧剤、ローション剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳
剤等の液状製剤とする場合には、前記培養物または水溶
性ビタミンK誘導体を、精製水、リン酸緩衝液等の適当
な緩衝液、生理的食塩水、リンゲル溶液、ロック溶液等
の生理的塩類溶液、カカオバター、ゴマ油、オリーブ油
等の植物油、鉱油、高級アルコール、高級脂肪酸、エタ
ノール等の有機溶媒等に溶解して、必要に応じてコレス
テロール等の乳化剤、アラビアゴム等の懸濁剤、分散助
剤、浸潤剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油系、ポリ
エチレングリコール系等の界面活性剤、リン酸ナトリウ
ム等の溶解補助剤、糖、糖アルコール、アルブミン等の
安定化剤、パラベン等の保存剤、塩化ナトリウム、ブド
ウ糖、グリセリン等の等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、吸
着防止剤、保湿剤、酸化防止剤、着色剤、甘味料、フレ
ーバー、芳香物質等を適宜添加することにより、滅菌さ
れた水溶液、非水溶液、懸濁液、リポソームまたはエマ
ルジョン等として調整できる。この際、注射剤は、生理
学的なpH、好ましくは6〜8の範囲内のpHを有する
ことが好ましい。
【0071】本剤を、ローション剤、クリーム剤、軟膏
等の半固形製剤とするには、前記培養物または水溶性ビ
タミンK誘導体を脂肪、脂肪油、ラノリン、ワセリン、
パラフィン、蝋、硬膏剤、樹脂、プラスチック、グリコ
ール類、高級アルコール、グリセリン、水、乳化剤、縣
濁化剤等と適宜混和することにより製造することができ
る。
【0072】本発明の薬剤に含まれる前記培養物または
水溶性ビタミンK誘導体の含有量は、投与形態、重篤度
や目的とする投与量などによって様々であるが、本剤を
骨粗鬆症予防および治療剤として投与する場合、一般的
には、製剤の全重量に対して0.01〜50重量%、好
ましくは0.02〜10重量%である。
【0073】また、本発明の薬剤の投与量は、対象疾
患、対象部位、患者の年齢、体重及び症状、目的とする
投与形態や方法、治療効果、および処置期間等によって
異なり、正確な量は医師により決定されるものである
が、本剤を骨粗鬆症予防および治療剤として投与する場
合、通常、本剤が経口投与される場合には、前記培養物
または水溶性ビタミンK誘導体の投与量換算で、成人に
対し1日当り1〜50mgを1回または数回に分けて投
与する。また、本剤を静脈内投与する場合には、前記培
養物または水溶性ビタミンK誘導体の投与量換算で、成
人に対し1日当り0.01〜10mgを1回または数回
に分けて投与する。
【0074】本発明の第五の概念によると、上記第二の
概念による培養物および/または上記第三の概念による
水溶性ビタミンK誘導体を含む食品、飲料または飼料が
提供される。
【0075】本発明に係る食品、飲料または飼料は、特
に納豆菌などの安全性が確認されている菌を使用する場
合には、上記第二の概念による培養物および/または上
記第三の概念による水溶性ビタミンK誘導体のみから構
成されてもよい。
【0076】あるいは、本発明に係る食品、飲料または
飼料は、上記第二の概念による培養物および/または上
記第三の概念による水溶性ビタミンK誘導体を通常食す
ることのできる食品、飲料または飼料に含ませたもので
あってもよい。この際、通常食することのできる食品、
飲料または飼料としては、例えば、オカラ、オカラ納
豆、納豆、大豆、味噌や納豆製造時に副生する大豆煮
汁、豆腐や油揚げ製造時に副生する豆腐粕、大豆を原料
とした製油時に副生する大豆粕、味噌製造時の副産物で
ある大豆の種皮、ヨーグルト、チーズ等の乳製品、かま
ぼこ、ちくわ、はんぺん、さつま揚げ、なると、つみれ
等の水産練り製品、でんぶ等の魚介類加工品、ソーセー
ジ、フランクフルト、レバーペースト等の食肉加工品、
豆腐、焼き豆腐、生揚げ、油揚げ、がんもどき、おか
ら、凍り豆腐、湯葉等の豆製品、ピューレ等の野菜加工
品、マッシュポテト、くず、はるさめ、こんにゃく、し
らたき等の芋加工品、もち、白玉、白飯、麩、ビーフ
ン、マカロニ、スパゲッティ、そうめん、そば、うど
ん、中華めん、即席麺、食パン、乾パン、アンパン等の
穀物の加工品、冷凍食品、栄養補助食品、ジャム等の甘
味類、バター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング
等の油脂類、あめ、らくがん、せんべい、あられ、カス
テラ、ようかん、もなか、まんじゅう、大福もち、だん
ご、ういろう、チョコレート、ビスケット、クッキー、
ドーナツ、ケーキ、パイ、アイスクリーム、プリン、バ
バロア、ガム等の菓子類、豆腐、ゼリー、コンニャク、
寒天またはトコロテン等のゲル状食品、コンブ、ワカ
メ、ノリ、テングサ等の海草類など、すべての食品;各
種果汁ジュース(オレンジ、パイナップル、リンゴ、ブ
ドウ、メロン及びイチゴジュース等を含む)、各種炭酸
飲料、お茶(煎茶、ウーロン茶等を含む)、飲むヨーグ
ルト、牛乳、豆乳、調製乳、ミネラルウォーター、清涼
飲料、コーヒー、紅茶、ココアなど、すべての飲料;な
らびにブタ、ウシ、ウマ、ヒツジやヤギ等の家畜、イ
ヌ、ネコ、ウサギやハムスター等のペット、家禽及び魚
など、通常、飼育される動物用のエサ(飼料)が挙げら
れる。
【0077】また、本発明において、食品、飲料または
飼料が本発明による培養物を含む場合の食品における培
養物の添加量は、使用する菌体や培地の種類や培養条件
さらには水溶性ビタミンK誘導体の含量などによって変
化するが、食品では、通常、0.001〜20重量%の
菌体乾燥物、好ましくは0.1〜5重量%の菌体乾燥物
を含む量であり、飲料では、通常、0.0001〜5
(w/v)%の菌体乾燥物、好ましくは0.01〜5
(w/v)%の菌体乾燥物を含む量であり、さらに、飼
料では、通常、0.0001〜5重量%の菌体乾燥物、
好ましくは0.001〜1重量%の菌体乾燥物を含む量
である。また、食品、飲料または飼料が本発明による水
溶性ビタミンK誘導体を含む場合の食品における水溶性
ビタミンK誘導体の量は、上記と同様使用する菌体や培
地の種類や培養条件などによって変化するが、食品で
は、通常、0.00001〜10重量%の水溶性ビタミ
ンK誘導体、好ましくは0.0001〜0.1重量%の
水溶性ビタミンK誘導体を含む量であり、飲料では、通
常、0.00001〜0.1(w/v)%の水溶性ビタ
ミンK誘導体、好ましくは0.0001〜0.01(w
/v)%の水溶性ビタミンK誘導体を含む量であり、さ
らに、飼料では、通常、0.00001〜10重量%の
水溶性ビタミンK誘導体、好ましくは0.0001〜1
重量%の水溶性ビタミンK誘導体を含む量である。
【0078】したがって、本発明の水溶性ビタミンK
(特にMK−7)誘導体を多量に含む菌体培養物および
/またはこのような培養物由来の水溶性ビタミンK(特
にMK−7)誘導体を含む食品を摂取することにより、
従来に比べてビタミンK、特にMK−7を無理なく(不
快感を過度に伴うことなく)、効率よくかつ一回に多量
に摂取することができ、また、特に納豆菌の場合には、
安全性も確保でき好ましい。
【0079】本発明の第六の概念によると、枯草菌の培
養菌体をソックスレー抽出することからなるビタミンK
の抽出方法が提供される。
【0080】上記概念の一実施態様を以下に記載する。
まず、培養された微生物菌体をソックスレー抽出器を用
いてヘキサン、ジエチルエーテル、アセトン、エタノー
ル及びイソプロパノール等の有機溶媒で使用する有機溶
媒の沸点でソックスレー抽出し、脂溶性画分を得る。次
に、この画分をヘキサン、ジエチルエーテル、アセト
ン、エタノール及びイソプロパノール等の有機溶媒で3
0〜100℃で0.1〜20時間、抽出する。得られた
抽出物を上記と同様の有機溶媒で所定の総容量にまで希
釈する。希釈された抽出物の一部を水及びイソプロパノ
ールと混和し、さらにタッチミキサーを使用するなどに
より上記と同様の有機溶媒とさらに混和する。得られた
液体混合物を遠心し、上清を乾固した後、残渣をエタノ
ールに溶解することにより、ビタミンK2 (MK−7、
MK−4)及びビタミンK1 等のより純度の高い脂溶性
のビタミンKが調製される。
【0081】上記方法によって、脂溶性のビタミンKが
公知の方法に比してより効率的に抽出され、これにより
ビタミンK2 (MK−7、MK−4)及びビタミンK1
等の脂溶性のビタミンKがより高い収率で培養菌体から
回収できる。
【0082】本発明の第七の概念によると、枯草菌の培
養液を酸性化し、沈殿物を得ることからなる水溶性ビタ
ミンK誘導体の分取方法が提供される。
【0083】上記概念の一実施態様を以下に記載する。
枯草菌を公知の方法または上記方法によって培養し、培
養液を得る。次に、この培養液のpHを下げる、好まし
くはpHを1〜3に調整することによって沈殿物が得ら
れ、この沈殿物には菌体内に蓄積された及び菌体外に放
出された水溶性ビタミンK誘導体が含まれる。したがっ
て、この沈殿物を遠心分離などによって分離することに
よって、水溶性ビタミンK誘導体が分取できる。
【0084】または、枯草菌を公知の方法または上記方
法によって培養し、得られた培養液を遠心分離などによ
って、菌体を除去した培養上清を得る。次に、この培養
上清のpHを下げる、好ましくはpHを1〜3に調整す
ることによって沈殿物が得られ、この沈殿物には菌体外
に放出された水溶性ビタミンK誘導体が含まれる。した
がって、この沈殿物を遠心分離などによって分離するこ
とによって、水溶性ビタミンK誘導体が分取できる。
【0085】
【実施例】以下、実施例を参照しながら、本発明をより
具体的に説明する。
【0086】なお、下記実施例において、MK−7、M
K−4及びビタミンK1の量は、以下の方法に従って測
定した。
【0087】各種ビタミンK量の測定方法 まず、脂溶性のMK−7、MK−4及びビタミンK1
場合の菌体試料の調製方法を以下に説明する:培養され
た微生物菌体1g(乾燥重量)を試料として、ソックス
レー抽出器(SIBATA SPC 34, WATER BATH SIBATA WB-6
C, 濾紙:ADVANTEC 84 24×100mm)で脂溶性画分を抽出
する。これを100mlヘキサンで80℃で6時間抽出
した後、全液量をヘキサンにより100mlに調節す
る。この抽出物100μlを1.0mlの蒸留水及び
1.5mlのイソプロパノールと混和し、さらに4.9
mlのヘキサンをタッチミキサーで約10秒間混和す
る。この混合液を遠心分離(3,000rpm×10
分、20℃)する。得られた上清部分(有機層:水層=
5.8:1.7)4.0mlをエバポレーターで濃縮・
乾固した後、これを100μlのエタノールに溶解す
る。このようにして、菌体内に蓄積された脂溶性のMK
−7、MK−4及びビタミンK1の量を測定するための
HPLC試料(以下、「ソックスレー−HPLC試料」
と称する)が調製される。なお、このソックスレー−H
PLC試料を用いて下記HPLCによってMK−7量を
測定する方法を「ソックスレー−HPLC法」と称す
る。
【0088】次に、水溶性ビタミンK誘導体(MK−7
を含む)の場合の試料の調製方法を以下に説明する:培
養物をスパーテルでよく練った後に得られた5g量に対
して、蒸留水45mlを加える。この混合液を、20℃
で、3,000rpmで10分間、遠心分離し、得られ
た上清0.5mlを抽出試料とする。この抽出試料に、
蒸留水0.5ml、イソプロパノール1.5mlを混和
し、さらにヘキサン5.0mlを加え撹拌した後、20
℃で3,000rpmで10分間、遠心分離する。得ら
れた上清4.0mlをエバポレーターで濃縮・乾固し、
100μlのエタノールで溶解する。このようにして、
水溶性MK−7誘導体の量を測定するためのHPLC試
料(以下、「HPLC試料」と称する)が調製される。
なお、このHPLC試料を用いて下記HPLCによって
MK−7量を測定する方法を「HPLC法」と称する。
【0089】また、培養液中のMK−7、MK−4及び
ビタミンK1の量を測定するためのHPLC試料として
は、培養液がそのまま使用される。
【0090】さらに、高速液体クロマトグラフィー(H
PLC)によるMK−7、MK−4及びビタミンK1
の測定は、ビタミンKが白金−アルミナ触媒でハイドロ
キノン体に還元され、蛍光物質になることを利用するも
のである。具体的には、以下の条件で測定する。
【0091】 装置 ポンプ :PU−980(日本分光製) インジェクタ :7125(日本分光製) カラムオーブン:CO−965(日本分光製) 検出器 :蛍光検出器 821−FP(日本分光製) データ処理装置:C−R5A(島津製作所製) 条件 カラム :ODS−IIカラム(4.6×250mm) (島津製作所製) 還元カラム :白金−アルミナ触媒カラム(和光純薬製、一級白金 −アルミナ、Pt=5%を約0.2g充填する; 4.0φ×10mm) 移動相 :97%エタノール(流速;0.7ml/分) 分離・還元温度:40℃ 測定波長 :励起 320nm 蛍光 430nm 注入量 :10μl このような測定方法によって、MK−7、メナキノン−
4及びビタミンK1について検量線を作成したところ、
MK−7の量は、0.05〜50ngの範囲で式[−
0.89661+1.6993×10-6×(ビタミンK
に相当するHPLCの面積(μV,sec))]によっ
て、ならびにメナキノン−4及びビタミンK1の量は、
0.01〜10ngの範囲で、それぞれ、式[−0.5
8657+4.8030×10-9×(ビタミンKに相当
するHPLCの面積(μV,sec))]及び式[−
0.44381+4.0626×10-7×(ビタミンK
に相当するHPLCの面積(μV,sec))]によっ
て、測定が可能であった。
【0092】また、検量線を作成する際のMK−7の標
準品は、以下によって調製した。すなわち、600gの
納豆に、75%イソプロパノール1リットル及びn−ヘ
キサン1リットルを加え、1時間、ゆっくりと撹拌、静
置した。分離した2層のうち上層を取り、無水硫酸ナト
リウムで乾燥、蒸発乾固することにより、抽出物約20
gを得た。これを10mlのn−ヘキサンと混合し、4
00mlのクロマトグラフィー用シリカゲルに通して吸
着させ、2リットルのn−ヘキサン/トルエン(1:
1)で溶出・分画した。MK−7を含む画分を減圧下で
蒸発乾固し、得られたシリカゲル濃縮物を5mlのn−
ヘキサンで溶解し、上記と同様にして、再度シリカゲル
カラムで分画し、減圧下で蒸発乾固して約350mgを
得た。このうち50mgを少量のアセトンに溶解し、ア
セトニトリル/メタノール(1:1)で充填した60m
lのクロマトグラフィー用ODS−シリカゲルに通液
し、アセトニトリル/メタノール(1:1)で展開し
た。溶出液をHPLCでモニタリングしながら、MK−
7と考えられる物質が単独で溶出している画分を分取
し、減圧乾固した。得られた物質について、赤外吸収ス
ペクトラム及びマススペクトラムを得て、MK−7であ
ることを確認した。なお、この物質の純度を検定したと
ころ、99.8%であった。また、フィロキノン(ビタ
ミンK1)及びメナキノン−4(MK−4)の標準品と
しては、それぞれ、シグマ社(Sigma)製の特級品を用
いた。測定は、3回抽出して分析した平均値により求め
た。
【0093】[実施例1]500ml容の三角コルベン
内に入れた乾燥ブイヨン(日水製薬株式会社製)を3%
の濃度で0.3%の麦芽汁に溶かしたもの200mlを
計10本(総量:2リットル)を130℃で約30分間
加圧釜で蒸煮(オートクレーブ滅菌)した。冷却後、こ
の培養液に、約5×108個の宮城野菌(有限会社宮城
野納豆製造所、仙台)を加え、40℃で36時間、振盪
培養(100rpm)した後、集菌、洗浄し、それにほ
ぼ等量のコーンスターチを混ぜて4℃で3日間かけて風
乾した。この乾燥物は、生きた納豆菌(胞子及び栄養細
胞)を大量に含むものであり、これについてメナキノン
−7(MK−7)蓄積量をHPLC法で測定したとこ
ろ、乾燥菌体1g当たり約31.7μgであった。
【0094】次に、この乾燥菌体を5人の健常成人に1
gずつ毎朝10時に経口摂取させ、摂取させてから所定
の時間経過後に健常成人から採血し、血漿中のMK−7
濃度を測定した。血漿中のMK−7濃度の経時変化を調
べた結果を図1に示す。図1に示されるように、明らか
な血漿中濃度の亢進が認められ、かつこの亢進は24時
間以上持続して起こること(p<0.05)が分かっ
た。
【0095】[実施例2]2%ソイペプトン−Sを培地
として日東菌(株式会社日東薬品工業、京都)を接種
し、40℃、2日間培養して得られた菌体の凍結乾燥物
1g(1.8×10 10個の生細胞を含む)を5人の健常
成人に毎朝10時に経口摂取させた後、経時的に採血し
た。採血された血液から血漿を採り、この血漿中のMK
−7濃度を、実施例1と同様にして測定した。結果を表
1及び図2に示す。なお、本実施例で使用した納豆菌の
MK−7含量をHPLC法で測定したところ、約51.
0μg/g乾燥菌体であった。
【0096】また、対照実験として、上記納豆菌と同量
の純化したMK−7を同様にして5人の健常成人に経口
摂取させ、血漿中のMK−7濃度を測定した結果を下記
表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】表1及び図2に示されるように、いずれの
群においても摂取してから4時間目をピークに有意な血
中MK−7濃度の亢進が確認され(p<0.005)、
また納豆菌摂取群の血中濃度亢進効果の方がはるかに長
期間持続し、特に32時間以降の効果は純化したMK−
7摂取群に比べて有意な差(p<0.005)のあるこ
とが分かった。
【0099】なお、この摂取量ではどの群もトロンボエ
ラストグラフィー、活性部分トロンボプラスチン時間、
あるいは血漿プロトロンビン、プロテインC含量などで
調べた血液凝固−線溶系の活性に有意な変化は認められ
なかった。なお、血液のトロンボエラストグラフィー
(TEG)パターンは、Hellige社、また、プロトロン
ビン時間(PT)及び活性化トロンボプラスチン時間
(APTT)はErma社のClot Digitim TE20装置を用い
て常法通りに行った。
【0100】[実施例3]下記6種の納豆菌を、それぞ
れ、500ml容の三角フラスコ内で300mlの3%
栄養ブイヨン(nutrient broth)(乾燥ブイヨン)(日
本製薬株式会社製)培地中で30℃で振盪培養(100
rpm)した。この際の菌の成長を660nmでの吸光
度として測定し、また、培養液中及び菌体内のMK−7
量を経時的に測定した。
【0101】培養時間に対する、各種納豆菌の成長、培
養液中のMK−7量(μg/ml)および各種納豆菌の
菌体1g当たりのMK−7量(μg/g)を、それぞ
れ、図3、図4及び図5に示す。
【0102】使用した納豆菌 雲南SL-001菌(または、「雲南菌」とも称する) 宮城野菌(有限会社宮城野納豆製造所製、仙台) 目黒菌(株式会社目黒研究所製、大阪) 日東菌(株式会社日東薬品工業製、京都) 高橋菌(高橋祐蔵研究所製、山形) 成瀬菌(株式会社成瀬醗酵化学研究所製、東京) 以下、上記納豆菌は菌名のみを記載する。
【0103】図3から示されるように、菌の成長は、す
べての納豆菌で類似の挙動を示し、660nmでの平均
吸光度(n=6)として表すと、0.5日目で0.58
3、1日目で1.011、2日目で0.948、3日目
で0.854、5日目で0.592、および7日目で
0.552であり、これから菌の成長は培養開始後1〜
2日で定常状態となることが分かった。また、培養液中
に放出されるMK−7量は、図4から示されるように、
やはりすべての納豆菌で類似の挙動を示し、6種の納豆
菌による平均値換算で、0.5日目で0.563μg/
ml、1日目で1.592μg/ml、3日目で3.8
67μg/ml、5日目で4.317μg/ml、7日
目で4.784μg/mlであり、これから、培地中に
放出されるMK−7量は、菌の成長が定常状態になる1
〜2日目よりもむしろそれ以降に急激に増加し、特に4
日目以降に多量のMK−7が培地中に放出された。この
結果に比例するように、菌体1g当たりのMK−7量に
換算した場合のMK−7量(やはりすべての納豆菌で類
似の挙動を示した)は、図5から示されるように、2日
目で最大(平均で約300μg/g乾燥菌)となり、培
地中に多量の放出し始める4日目以降ではむしろ減って
いくことが分かった。
【0104】[実施例4]オカラ(旭松食品株式会社、
飯田市)を−25℃で凍結保存し、必要時に解凍して使
用した。解凍したオカラを、120℃で30分間、オー
トクレーブで滅菌した後、約120ml容のポリスチレ
ンペーパー(PSP)容器に入れ、これを納豆菌の培地
とした。
【0105】別途、市販の納豆に使用されている4種の
納豆菌株(高橋菌、成瀬菌、宮城野菌及び朝日菌)、薬
剤として使用されている2種の納豆菌株(日東菌及び目
黒菌)、ならびに中国雲南の納豆から分離された納豆菌
株(雲南菌 SL-001)の合計7種の納豆菌を、それぞ
れ、500ml容の三角フラスコ内で150mlの3%
栄養ブイヨン(nutrient broth)(乾燥ブイヨン)(日
水製薬株式会社製)培地中で37℃で3日間、振盪培養
(100rpm)することによって、上記7種の納豆菌
の前培養液を調製した。
【0106】上記で調製されたオカラ(湿重量50g)
に、これら計7種の納豆菌の前培養液(生菌数:2×1
8個/ml)0.5mlを、それぞれ、添加し、37
℃で8日間、静置して発酵し続けた。
【0107】発酵し始めてから所定の日数(1、2、
4、6、8日目)経過後、納豆菌を水中に懸濁し、これ
を金属製の茶漉しで濾過した後、遠心分離(3,000
rpm×10分)することによって、各菌体の培養物を
調製し、これをMK−7測定用のソックスレー−HPL
C試料とした。このようにして調製されたソックスレー
−HPLC試料について、MK−7量及び線溶(血栓溶
解)活性を測定し、その結果を図6に示す。
【0108】図6から明らかなように、菌体数1010
当たりの菌体内のMK−7濃度は1〜2日目で高く、そ
れ以降は減少し、これに比例するようにMK−7が培地
中に放出され、培地中に放出されるMK−7の量は、発
酵後2日をピークとするナットウキナーゼ(NK)によ
る血栓溶解活性が高まる時点(標準フィブリン平板法で
も、合成基質分解法でも発酵開始後2日以内に最高値に
達する)より遅れた4日目をピークとすることが分かっ
た。
【0109】また、いずれの納豆菌についても、オカラ
湿重量1g当たり1.9μg以上という高いMK−7生
産性(水に溶け出した量が、平均で、雲南菌 36.6
μg/gオカラ湿重量;宮城野菌 1.9μg/gオカ
ラ湿重量;成瀬菌 14.2μg/gオカラ湿重量;高
橋菌 6.8μg/gオカラ湿重量;朝日菌 11.9
μg/gオカラ湿重量;目黒菌 1.9μg/gオカラ
湿重量;および日東菌5.2μg/gオカラ湿重量)が
確認された。特に、雲南菌(SL-001)は、36.6μg
/gオカラ湿重量という高いMK−7生産量を示し、こ
の値は、計算上、他の納豆菌の生産量に比べて2〜20
倍という高い値であり、また、従来報告(山口迪夫監
修、日本食品成分表、医歯薬出版、東京、1997年、
pp.52-53;坂野俊行ら、ビタミン、62、393-398(198
8);H. Ikeda and Y. Doi, Eur.J. Biochem., 192, 21
9-223 (1990);および池田ひろ、家政誌、43、643-
648(1992))されている納豆の分析値(6.2〜8.
7μg/gオカラ湿重量)の4倍以上という高いもので
あった。
【0110】[実施例5]日東菌を、500ml三角フ
ラスコ内で0.5、2及び3%ポリペプトンS(和光純
薬製)を含む液体培地300ml中に生菌数が2×10
6個/mlとなるように添加し、これを37℃で2日
間、振盪培養(100rpm)した。この培養液を遠心
分離(3,000rpm×10分)し、上清と菌体に分
けた。菌体はさらに水洗し、凍結乾燥した。
【0111】このように調製された培養上清中のMK−
7量をHPLC法を用いて測定し、および菌体内のMK
−7量をソックスレー−HPLC法を用いて測定し、そ
の結果を下記表2に示す。なお、ポリペプトンS濃度が
0.5及び3%での菌体の収率は、培地600ml(2
本分)当たり、それぞれ、0.24g(乾燥菌体重量)
及び1.18g(乾燥菌体重量)であった。
【0112】
【表2】
【0113】[実施例6]目黒菌を41℃で2日間、振
盪培養し、この培養液を遠心分離し、上清と菌体に分け
た。
【0114】つぎに、このように調製された菌体1.0
11g(乾燥重量)(菌数:5×1011個)を試料とし
て、ソックスレー抽出器(SIBATA SPC 34, WATER BATH
SIBATA WB-6C, 濾紙:ADVANTEC 84 24×100mm)で脂溶
性画分を6時間抽出した。これを100mlヘキサンで
80℃で6時間抽出した後、全液量をヘキサンにより1
00mlに調節する。この抽出物100μlを1.0m
lの蒸留水及び1.5mlのイソプロパノールと混和
し、さらに4.9mlのヘキサンをタッチミキサーで約
10秒間混和する。この混合液を遠心分離(3,000
rpm×10分、20℃)する。得られた上清(有機
層:水層=5.8:1.7)14mlを乾固した後、こ
れを100μlのエタノールに溶解する。このようにし
て得られたサンプルについて、MK−7量をソックスレ
ー−HPLC法を用いて測定したところ、672.6μ
g/g乾燥菌体であった。
【0115】[実施例7]目黒菌を、37℃で、菌体内
に最大量のビタミンK誘導体を蓄積する2日間、培養し
た。このようにして得られた培養物を蒸留水で洗浄した
後、凍結乾燥した。この凍結乾燥物1g(5×1011
胞/g乾燥重量)を腸溶カプセルに充填したものを5人
の健常成人(A〜E)に摂取させた。なお、この凍結乾
燥物中のMK−7含量をソックスレー−HPLC法によ
って測定したところ、凍結乾燥物1g当たり、708.
0μgのMK−7が含まれていた。所定期間経過後、健
常成人から採血し、血漿中のMK−7濃度を、実施例1
と同様にして測定した。結果を表3に示す。
【0116】
【表3】
【0117】表3の結果から、本願発明の菌体培養物を
投与することによって、有意な血漿中のMK−7濃度の
亢進が認められ、かつこの亢進効果は極めて長期間にわ
たり、摂取後少なくとも1週間は血漿中のMK−7濃度
を正常血中濃度範囲(0.88±0.19ng/ml)
の約2倍に持続できることが分かった。
【0118】[実施例8]実施例6と同様にして調製さ
れた目黒菌由来の水溶性MK−7誘導体を乾燥し、白色
粉末状の水溶性MK−7誘導体乾燥物を調製した。この
水溶性MK−7誘導体乾燥物に室温で蛍光灯を5時間照
射した。この際、MK−7量を実施例6と同様にして経
時的に測定し、この結果を図7(白抜きの丸)に示し
た。図7に示されるように、MK−7量は、蛍光灯を照
射してもほとんど変化しなかったことから、本発明によ
り得られた水溶性MK−7誘導体は光に対して非常に高
い安定性を有することが分かる。
【0119】また、このようにして調製された水溶性M
K−7誘導体乾燥物を、同条件で蛍光灯照射下で1週間
保存した後、同様にして、MK−7量を測定したが、ほ
とんど変化が認められなかった。
【0120】[比較例1]菌体を実施例6と同様にして
調製した。この菌体2gを乳鉢にとり、海砂3、水3m
lを乳鉢に加えた。次に、この乳鉢に、アセトンで磨砕
抽出(20ml×4)し、ガラスフィルターで吸引濾過
した。濾液全量を分液ロートに移し、ジエチルエーテル
100ml及び水50mlを添加して抽出して、エーテ
ル層を分離した。水層にさらにジエチルエーテル100
mlを添加して、エーテル層を分離した。これらのエー
テル層を合わせて、溶媒を留去し、さらにこれをシリカ
ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン10ml、シリカゲ
ル5g)にかけて、ヘキサン/ジエチルエーテル(85
/15(v/v))30mlで溶出した。さらに、溶出
液から溶媒を留去した後、2−プロパノールに溶解し、
脂溶性MK−7を調製した。
【0121】このようにして調製された脂溶性MK−7
を乾燥し、脂溶性MK−7乾燥物を調製した。この脂溶
性MK−7乾燥物に室温で蛍光灯を5時間照射した後、
実施例6と同様にしてMK−7量を測定し、その結果を
図7(黒塗りの四角)に示した。図7から明らかなよう
に、MK−7量は、蛍光灯を約3時間照射すると、測定
不可能になることから、このようにして調製された脂溶
性MK−7は光に対して非常に不安定であることが示さ
れる。
【0122】[実施例9]日東菌を振盪培養し、この培
養液を遠心分離して、上清と菌体に分けた。このように
して調製された微生物菌体の培養物のMK−7の量をソ
ックスレー−HPLC法によって測定したところ、MK
−7量換算で、564.0μg/g乾燥菌体であった。
【0123】この菌体0.1gに蒸留水5mlを加え、
超音波処理を行った。次に、処理液を遠心分離し、この
上清について水溶性MK−7誘導体量をHPLC法によ
って測定したところ、52.6μg/g乾燥菌体であっ
た。
【0124】次に、水溶性MK−7誘導体を水に溶かし
た溶液について、Sephadex G50カラム(予め、0.15
M NaClを含む0.05M リン酸緩衝液、pH
7.5で平衡化したもの:2.5×50cm)によるゲ
ル濾過を行い、各フラクションについてMK−7含量を
HPLC法によって測定した。この結果を図8に示す。
図8から示されるように、MK−7を多く含む部分(フ
ラクション番号17〜25)は、アミノ酸部分(フラク
ション番号46〜49)よりかなり高分子量域に溶出さ
れることが分かる。
【0125】[実施例10]オカラは、旭松食品株式会
社(飯田市)より提供されたものを、−25℃で凍結保
存し、必要時に解凍して使用した。
【0126】別途、中国雲南の納豆から分離した納豆菌
株(雲南菌 SL-001)を、500ml容の三角フラスコ
内で150mlの3%栄養ブイヨン(nutrient broth)
(乾燥ブイヨン)(日水製薬株式会社製)培地中で37
℃で3日間、振盪培養(100rpm)することによっ
て、納豆菌の前培養液を調製した。
【0127】解凍したオカラ1kg(湿重量)を、12
0℃で30分間、オートクレーブで滅菌した後、約12
0ml容量のポリスチレンペーパー(PSP)容器に入
れた。この容器に、上記で調製された納豆菌の前培養液
を添加し、37℃で4日間、発酵させた。このようにし
て発酵させたオカラ納豆1kg(湿重量)に対して、5
リットルの水を加え、室温で1時間撹拌し、遠心分離
(3,000rpm、10分間)した。得られた上清に
対して、620gのイオン交換樹脂(DEAE-Sepharose C
L-613)を加え、撹拌した後、室温で30分間、静置し
た。次に、これをガラスカラム(7.5cmφ×100
cm)に充填し、蒸留水及び0.05Mリン酸緩衝液
(pH7.0)で洗浄した後、0.1〜0.8M Na
Clを含む0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)でグ
ラジエント溶出した。各画分について、HPLCによっ
てビタミンK量を測定し、ビタミンKを含む画分をメン
ブランフィルター(Millipore製、分子量10,00
0)で濃縮し、蒸留水で透析した後、凍結乾燥し、薄黄
色粉末として水溶性ビタミンK誘導体を得た。
【0128】このようにして得られた水溶性ビタミンK
誘導体及び上記と同じオカラをイソプロパノールで抽出
したものを、HPLCによって分析し、その結果を図9
に示す。なお、図9において、MK−4、ビタミンK1
及びMK−7の保持時間は、それぞれ、約8.2分、約
11.3分及び約17.5分であり、矢印はMK−7の
保持時間を示す。図9から、オカラのイソプロパノール
抽出物の60%以上が水溶性分画に抽出され、また、ビ
タミンKとしては、ビタミンK1、MK−4の量は少な
く、常に95%以上がMK−7で占められることが分か
った。
【0129】また、この水溶性ビタミンK誘導体につい
て、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分
析を行ったところ、分子量約10万の位置に幅広いなが
ら単一のバンドを示した。この結果から、水溶性ビタミ
ンK誘導体は他の糖タンパク質と分子量約10万の複合
体を形成しているのではないかと考察される。また、こ
の際の納豆1kgからの水溶性ビタミンK誘導体の収率
は、3回の操作による平均で、約5.3g(830μg
水溶性MK−7誘導体/gを含む)であった。
【0130】[実施例11]500ml容の三角フラス
コ5本に、それぞれ、300mlの3%乾燥ブイヨン
(日水製薬株式会社製)培地を入れ、120℃で15分
間オートクレーブ滅菌した。これらの培地に、雲南SL-0
01菌を一白金耳ずつ接種し、37℃で振盪培養(100
rpm)した。4日後、培養液を合わせたものを遠心分
離(5,000rpm×10分)し、得られた上清を4
00mlずつ3つに分けて、各上清のpHを希塩酸で
1.02、2.07及び3.01に調節した。室温で3
時間放置した後、上清を遠心分離(5,000rpm×
10分、10℃)し、白色の沈殿を分離した。この白色
沈殿物を少量の蒸留水に溶かして、重炭酸アンモニウム
粉末でpHを7.0に調節した後、凍結乾燥した。この
結果、凍結乾燥物の重量は、1.02、2.07及び
3.01のpHの場合、それぞれ、0.52g、0.2
8g及び0.31gであった。次に、この凍結乾燥物に
ついて、MK−7含量(μg/g乾燥物)をソックスレ
ー−HPLC法で調べたところ、1.02、2.07及
び3.01のpHの場合、それぞれ、2,800μg/
g乾燥物、2,200μg/g乾燥物及び2,000μ
g/g乾燥物であった。さらに、各凍結乾燥物15mg
を蒸留水5mlに添加した溶液を遠心分離(10,00
0rpm×10分)した。得られた上清(水溶性分画)
について、同様にしてMK−7含量を調べたところ、
1.02、2.07及び3.01のpHの場合、それぞ
れ、1,500μg/g乾燥物、1,800μg/g乾
燥物及び1,800μg/g乾燥物であったから、各水
溶性分画の可溶化率は、約54%、約82%及び約90
%であることことが分かった。
【0131】[実施例12]大豆を水道水に一晩浸漬し
たもの3.9kgを105℃で30分間オートクレーブ
滅菌した後、1m四方のステンレス製トレイ2枚に広げ
た。これに、普通寒天培地のスラントに培養された枯草
菌(Bacillus subtilis Warburgt)(東京大学応用微生
物研究所、IAM12118株)10白金耳を100m
lの滅菌水に添加したものを接種し、ウレタン製の蓋を
した後、37℃で4日間静置培養した。4日後の発酵大
豆の全重量(2枚分)は約4.5kgであった。次に、
発酵大豆に10リットルの蒸留水を加え、よく撹拌した
後、ガーゼ付金網(メッシュ100mm)で濾過した。
得られた上清中の水溶性MK−7含量をHPLC法で測
定したところ、総量(即ち、4.5kg発酵大豆当た
り)29.8mgが回収できた。
【0132】[実施例13]500ml三角フラスコに
2%ポリペプトン−S(和光純薬製)300mlを入
れ、120℃で15分間オートクレーブ滅菌した。これ
に、枯草菌(Bacillussubtilis Warburgt)(東京大学
応用微生物研究所、IAM12118株)1白金耳接種
し、37℃で4日間、振盪培養(100rpm)した。
この培養液を遠心分離(6,000rpm×10分)
し、上清と菌体に分けた。菌体はさらに水洗して、凍結
乾燥した。
【0133】上清について、MK−7含量をHPLC法
で測定したところ、140μg/100ml上清であっ
た。また、菌体についても、MK−7含量をソックスレ
ー−HPLC法で測定したところ、22mg/100g
凍結乾燥菌体であった。
【0134】[実施例14]朝食のみ絶食させた健常成
人(21〜63歳、男性)5人に、実施例9で調製され
た1000μgの水溶性MK−7誘導体を含む水溶性ビ
タミンK誘導体を、午前10時に経口摂取させた後、経
時的に採血し、水溶性MK−7誘導体の血中濃度を測定
した。なお、比較対照として、1000μgの精製MK
−7を経口摂取させて同様の実験を行った。また、本実
施例に参加した健常成人には、既往症及び血液検査によ
る異常は認められなかった。
【0135】この結果、血漿中の主要なビタミンKはM
K−7であり、水溶性MK−7誘導体投与後の血漿中の
MK−7濃度は、投与前が1.3±0.8ng/ml
(血漿)であったのに対して、投与後4時間目にはその
約40倍の49.9±29.1ng/ml(血漿)(p
<0.05)にまで増加し、さらにその亢進効果は等量
の純MK−7を経口投与した場合に比べて、はるかに長
持間(24時間目において、純MK−7群では3.2±
2.3ng/mlであるのに対して、水溶性MK−7誘
導体群では21.0±12.1ng/ml、p<0.0
5)持続することが分かった。
【0136】[実施例15]鍋の中に、牛乳400g、
砂糖80g及びコーンスターチ8gを入れて、撹拌・混
合しながら加熱した。この混合液を沸騰直前で火を弱め
て冷却した後、これに実施例3と同様にして培養された
宮城野菌の培養物を凍結乾燥した物(730μg ビタ
ミンK/g乾燥菌体)10gを加え、さらに約2分間よ
く撹拌した。これとは別にボールに卵黄40gをとっ
て、泡立てた。この泡立てた卵黄に、上記の撹拌混合物
全部を徐々に添加し、混合した。次に、これを水冷した
後、冷蔵庫で10℃以下まで冷却した。最後に、この冷
却した混合物に、さらに泡立てた生クリーム150g及
びバニラエッセンス5gを加えて、アイスクリームフリ
ーザーに入れて冷やして固めることによって、ビタミン
K入りアイスクリームを製造した。
【0137】[実施例16]日東菌を、2リットルのジ
ャーファーメンター中で、培養液(グルコース10g、
ポリペプトン5g及び酵母エキス5gを水で1リットル
に溶かしたもの)0.8リットル中に接種し、40℃
で、通気拡散培養(500rpmの撹拌速度;0.5リ
ットル/分の通気量)により、1.5日間発酵した。
【0138】このようにして得られた日東菌の培養物の
MK−7量を従来の方法(坂野ら、ビタミン、62:3
93〜398、1988年)に準じて抽出・測定した。
簡潔にいうと、上記で得られた日東菌の培養物を凍結乾
燥し、その凍結乾燥粉末0.1gにイソプロパノール1
0mlを加え、タッチミキサーで撹拌抽出した後、遠心
分離(3,000rpm×10分)した。上清100μ
lを1.0mlの水及び1.5mlのイソプロパノール
と混和し、さらに4.9mlのヘキサンをタッチミキサ
ーで約10秒間混和した。この混合液を遠心分離(3,
000rpm×10分、20℃)した。得られた上清部
分(有機層:水層=5.8:1.7)4.0mlをエバ
ポレーターで濃縮・乾固した後、これを100μlのエ
タノールに溶解した。このようにして、調製された試料
について、上記各種ビタミンK量の測定方法の項に記載
されたHPLC条件と同様の条件を用いて、培養物のM
K−7量を測定したことろ、15.1μg/gであっ
た。また、上記操作において、イソプロパノールの代わ
りにクロロホルム/メタノール(1:1)混合液及びエ
ーテルを用いて、上記操作を繰り返したところ、MK−
7量は、それぞれ、15.0μg/g及び13.6μg
/gであり、イソプロパノールを用いた場合とほぼ同等
のMK−7量を示した。
【0139】これに対して、上記と同様にして得られた
日東菌の培養物について、MK−7量をソックスレー−
HPLC法で測定した結果、日東菌の培養物のMK−7
量は、564.0μg/gであった。
【0140】これらの結果から、従来の方法では、納豆
菌を効率よく抽出することが困難であり、培養物のMK
−7量が良好に測定できなかったのに対して、本願発明
で使用されるソックスレー−HPLC法は、従来の方法
に比べて、MK−7の抽出効率が向上し、培養物のMK
−7量をより良好に測定することができることが示され
た。
【0141】[実施例17]水溶性MK−7誘導体の骨
粗鬆症に対する薬理効果について、卵巣摘出ラットによ
る骨粗鬆症モデルを用いて評価した。
【0142】実験方法 ラット(5週齢、雌性)は1ゲージ4匹の群飼いとし、
飼育室は12時間明暗循環、温度23±2℃、湿度55
±10%で維持した。半数のラットにエーテル麻酔下で
卵巣摘出手術を行い、あとの半数は偽手術を行った。エ
サは手術24時間後から与えた。
【0143】ペントバルビタール麻酔下に腹部大動脈か
らヘパリン採血を行い、大腿骨(右大腿骨を使用)を摘
出した。血液は、4℃、3,000prmで10分間遠
心分離して、血漿を分離し、カルシウムをOCPC法
(カルシウムC−testWAKO、和光純薬)で測定
した。大腿骨は、筋肉および結合組織を取り除き、エタ
ノールとアセトンで各3回洗浄後、110℃、16時間
乾燥させ、乾燥骨重量を測定した。体積は、アルキメデ
スの原理、即ち、水を入れたビーカーの中に骨をつぶ
し、その時増加した水の重量を体積として測定した。乾
燥骨重量を体積で割った値を骨密度とした。骨カルシウ
ム含量は赤外吸収(Yamaguchi,M.et a
l.,Exp.Med.,189:9−14,198
9)で測定し、骨乾燥重量当たりのmg数で表示した。
【0144】水溶性MK−7誘導体の調製 須見洋行,日本農化誌,73:599−604,199
9に記載の方法に準じて、オカラに雲南菌(SL−00
1)を接種し、37℃、2日間発酵させた(蒸煮物1g
当たりに約1,000個の胞子を使用)。このオカラ納
豆1kg(湿重量)に対して5lの水を加え、室温で1
時間攪拌し、遠心分離(3,000rpm、10分間)
して得られた上清に630gのイオン交換樹脂(DEA
E−SepharoseCL−613)を加え攪拌、室
温30分間静置した後、これをガラスカラム(7.5c
mφ×100cm)に充填、蒸留水および0.05Mリ
ン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄後、0.1〜0.8M
NaClを含む同緩衝液でグラジェント溶出した。HP
LCで確認されるビタミンK画分をメンブランフィルタ
ー(Millipore、分子量1万)で濃縮、蒸留水
で透析した後、凍結乾燥し、水溶性MK−7誘導体を約
5.8g(MK−7として832μg/gを含む)得
た。
【0145】MK−7の調製 須見洋行,日本家政誌,50:309−312,199
9に記載の方法で、市販納豆(株式会社タカノフーズ、
茨城)よりMK−7を分離、精製した。即ち、納豆60
0gに対して75%イソプロピルアルコール1l及びn
−ヘキサン1lを加え1時間ゆっくりと攪拌、静置後2
層に分離した上層を取り、無水硫酸ナトリウムで乾燥、
蒸発乾固して抽出物約20gを得た。これを10mlの
n−ヘキサン+トルエン(1+1)で溶出、分画した。
MK−7を含む分画を減圧下で蒸発乾固し得られたシリ
カゲル濃縮物を5mlのn−ヘキサンで溶解し、上記と
同様に再度シリカゲルカラムで分画し、減圧下で蒸発乾
固して約350mgを得た。このうち50mgを少量の
アセトンに溶解し、アセトニトリル+メタノール(1+
1)で充填した60mlのクロマト用ODS−シリカゲ
ルに通夜、アセトニトリル+メタノール(1+1)で展
開した。溶出液をHPLCでモニタリングしながら、M
K−7と考えられる物質が単独で溶出している画分を分
取、減圧乾固した。得られた物質について赤外線吸収ス
ペクトラムおよびマススペクトラムを得てMK−7であ
ることを確認した。藤井らの方法(ビタミン,62:5
05−513,1988)で調べた本物質の純度は9
9.8%であった。
【0146】試験1 「カルシウム欠乏食」(カルシウム1.0%、リン1.
0%)を基本食として、卵巣摘出ラットに毎日まず0.
1gの水溶性MK−7誘導体(ヒトに換算して1日約2
0mgMK−7に相当)を添加したものを摂取させた
後、水および基本食を自由摂取させて、水溶性MK−7
誘導体投与群とした。他の卵巣摘出ラットおよび偽手術
ラットには、全て水および基本食を自由摂取させて、そ
れぞれ対照群および正常群とした。
【0147】35日後の骨カルシウムおよび骨重量の測
定結果を表4に示す。正常群に比べて対照群(骨粗鬆症
モデル)の骨カルシウムおよび骨重量はいずれも減少す
ること、そしてそれらのいずれも水溶性MK−7誘導体
投与群で有意に回復していることが確認された(p<
0.01)。
【0148】
【表4】
【0149】試験2 「カルシウム欠乏食」(カルシウム0.01%、リン
0.3%)を基本食として、卵巣摘出ラットに4日に1
度の割合で、一匹当たり83μgのMK−7または0.
1gの水溶性MK−7誘導体(MK−7として83μ
g)を添加したものを摂取させた後、水および基本食を
自由摂取させて、それぞれMK−7投与群および水溶性
MK−7誘導体投与群とした。他の卵巣摘出ラットおよ
び偽手術ラットには、全て水および基本食を自由摂取さ
せて、それぞれ対照群および正常群とした。
【0150】24日後の骨重量および骨密度の測定結果
を表5に示す。骨重量および骨密度は、正常群と比較し
て対照群ではいずれも減少したが、水溶性MK−7誘導
体投与群では有意に高まり、経口投与で骨形成に効果の
あることが示された。なお、MK−7投与群ではこのよ
うな強い効果は見られなかった(p>0.3)。また、
体重および血漿カルシウム濃度においても、各群間で有
意差は見られなかった(p>0.3)。
【0151】
【表5】
【0152】
【発明の効果】上述したように、本発明の枯草菌の培養
方法は、枯草菌を培養し、該微生物の菌体内で産生され
たビタミンKが菌体外に放出される前に該微生物菌体を
回収することからなることを特徴とするものである。し
たがって、本発明の方法により、枯草菌をビタミンK誘
導体、特にメナキノン−7誘導体を最も多量に菌体内に
貯蔵した状態で回収できる。このため、従来に比べてよ
り多量の水溶性ビタミンK誘導体、特にメナキノン−7
誘導体が培養物から回収できる。さらに、特に納豆菌を
使用した場合には、その安全性は確保されているため、
上記方法によって培養された培養物またはこのような培
養物由来の水溶性ビタミンK誘導体を含む医薬、食品ま
たは飼料は、従来に比べて多量の水溶性ビタミンK誘導
体、特にメナキノン−7誘導体を含みかつ高い安全性を
有するため、このような医薬、食品または飼料を食する
ことによって、ビタミンKを効率的にかつ簡単に日常的
に摂取することができ、これにより骨粗鬆症の改善がよ
り一層期待できる。
【0153】また、本発明の培養方法によって培養され
る培養物由来の水溶性ビタミンK誘導体は、従来脂溶性
であったビタミンKを水溶性にその性質を変えることが
可能であるという画期的な発明を包含するものである。
さらに、本発明による水溶性ビタミンK誘導体は優れた
光安定性を有するので、長期に亘って貯蔵が可能である
と共に、遮光等の特別の保存条件を要せず取扱いにも優
れるものである。この発明により、従来に比べてビタミ
ンKの用途がかなり拡大できることはいうまでもなく、
ゆえに本発明は産業上の観点から非常に高い価値を有す
ることが期待できる。
【0154】さらに、本発明による培養物または水溶性
ビタミンK誘導体を含む医薬を患者に投与し、または食
品として摂取することにより、効率よく血中ビタミンK
濃度を高めることができ、また、従来の薬品や食品で摂
取されるビタミンKそのものに比べて血中濃度の高まり
をはるかに長持間持続できることから、骨粗鬆症予防の
より高い効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1における調製された納豆菌乾燥物1
gを各々5人の健常成人に経口摂取させた時の、経時的
な血漿中のビタミンK(メナキノン−7)濃度の変化を
示すグラフである。
【図2】 実施例2における納豆菌乾燥物1.8×10
10細胞を各々5人の健常成人に経口摂取させた時の、経
時的な血漿中のビタミンK(メナキノン−7)濃度の変
化を示すグラフである。
【図3】 実施例3における培養時間に対する各種納豆
菌の成長を示すグラフである。
【図4】 実施例3における培養時間に対する各種納豆
菌の培養液中のMK−7量を示すグラフである。
【図5】 実施例3における培養時間に対する各種納豆
菌の菌体内に蓄積されたMK−7量を示すグラフであ
る。
【図6】 実施例4における菌体内に蓄積されるMK−
7量、線溶活性及び菌体外に放出されたMK−7量を示
すグラフである。
【図7】 実施例7及び比較例1において、蛍光灯によ
る照射時間に対するMK−7量を示すグラフである。
【図8】 実施例10において、ゲル濾過を行った際の
パターンおよび各フラクションにおけるMK−7量を示
すグラフである。
【図9】 実施例9において、水溶性ビタミンK誘導体
及びオカラのイソプロパノール抽出物のHPLC分析結
果示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 1/302 A23L 1/302 4C087 A61K 31/122 A61K 31/122 4C206 35/74 35/74 A G A61P 3/02 109 A61P 3/02 109 19/10 19/10 C12P 7/66 C12P 7/66 Z //(C12P 7/66 (C12P 7/66 Z C12R 1:125) C12R 1:125) Fターム(参考) 2B150 AA01 AA02 AA03 AA05 AA06 AA08 AA10 AA20 AB10 AC02 AC03 AC04 DD12 DD26 DE16 4B014 GB18 GK12 GL03 4B018 LB01 MD23 MD88 ME04 ME05 MF01 MF06 MF13 4B064 AD94 BA07 CA02 CC01 CC15 CE08 DA01 DA10 DA11 4B065 AA19X BB27 BC50 BD11 BD16 CA08 CA41 CA43 CA44 4C087 AA01 AA02 AA04 BC65 CA09 CA10 NA03 NA14 ZA97 ZC29 4C206 AA01 AA02 AA03 AA04 CB24 CB25 ZA97 ZC29

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミンKおよび/
    またはその誘導体が該菌体外に放出される前に該菌体お
    よび/またはその産生物を回収することにより得られ
    る、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養
    物。
  2. 【請求項2】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に入る時期に
    該菌体および/またはその産生物を回収することにより
    得られる、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む
    培養物。
  3. 【請求項3】 該枯草菌は納豆菌(Bacillus subtilis
    natto)である請求項1または2に記載の培養物。
  4. 【請求項4】 該菌体数が対数期から定常期に入る時期
    でかつナットウキナーゼが産生される前に回収すること
    により得られる請求項3に記載の培養物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一つに記載の培
    養物に由来する水溶性ビタミンK誘導体。
  6. 【請求項6】 ビタミンK2 誘導体である請求項5に記
    載のビタミンK誘導体。
  7. 【請求項7】 メナキノン−7誘導体である請求項6に
    記載のビタミンK誘導体。
  8. 【請求項8】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミンKおよび/
    またはその誘導体が該菌体外に放出される前に該菌体お
    よび/またはその産生物を回収することにより得られ
    る、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養
    物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘導体を含
    む医薬。
  9. 【請求項9】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に入る時期に
    該菌体および/またはその産生物を回収することにより
    得られる、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む
    培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘導体
    を含む医薬。
  10. 【請求項10】 該枯草菌は納豆菌(Bacillus subtili
    s natto)である請求項8または9に記載の医薬。
  11. 【請求項11】 該培養物は、該菌体数が対数期から定
    常期に入る時期でかつナットウキナーゼが産生される前
    に回収することにより得られるものである請求項10に
    記載の医薬。
  12. 【請求項12】 骨粗鬆症予防および治療剤である請求
    項8〜11のいずれか一つに記載の医薬。
  13. 【請求項13】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミンKおよび/
    またはその誘導体が該菌体外に放出される前に該菌体お
    よび/またはその産生物を回収することにより得られ
    る、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養
    物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘導体の医
    薬としての使用。
  14. 【請求項14】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に入る時期に
    該菌体および/またはその産生物を回収することにより
    得られる、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む
    培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘導体
    の医薬としての使用。
  15. 【請求項15】 該枯草菌は納豆菌(Bacillus subtili
    s natto)である請求項13または14に記載の使用。
  16. 【請求項16】 該培養物は、該菌体数が対数期から定
    常期に入る時期でかつナットウキナーゼが産生される前
    に回収することにより得られるものである請求項15に
    記載の使用。
  17. 【請求項17】 該医薬は骨粗鬆症予防および治療剤で
    ある請求項13〜16のいずれか一つに記載の使用。
  18. 【請求項18】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミンKおよび/
    またはその誘導体が該菌体外に放出される前に該菌体お
    よび/またはその産生物を回収することにより得られ
    る、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養
    物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘導体の有
    効量を患者に投与することからなるヒトの疾病の予防お
    よび/または治療方法。
  19. 【請求項19】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に入る時期に
    該菌体および/またはその産生物を回収することにより
    得られる、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む
    培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘導体
    の有効量を患者に投与することからなるヒトの病気の予
    防および/または治療方法。
  20. 【請求項20】 該枯草菌は納豆菌(Bacillus subtili
    s natto)である請求項18または19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 該培養物は、該菌体数が対数期から定
    常期に入る時期でかつナットウキナーゼが産生される前
    に回収することにより得られるものである請求項20に
    記載の方法。
  22. 【請求項22】 該疾病は骨粗鬆症である請求項18〜
    21のいずれか一つに記載の方法。
  23. 【請求項23】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミンKおよび/
    またはその誘導体が該菌体外に放出される前に該菌体お
    よび/またはその産生物を回収することにより得られ
    る、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養
    物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘導体を含
    む食品。
  24. 【請求項24】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に入る時期に
    該菌体および/またはその産生物を回収することにより
    得られる、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む
    培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘導体
    を含む食品。
  25. 【請求項25】 該枯草菌は納豆菌(Bacillus subtili
    s natto)である請求項23または24に記載の食品。
  26. 【請求項26】 該培養物は、該菌体数が対数期から定
    常期に入る時期でかつナットウキナーゼが産生される前
    に回収することにより得られるものである請求項25に
    記載の食品。
  27. 【請求項27】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミンKおよび/
    またはその誘導体が該菌体外に放出される前に該菌体お
    よび/またはその産生物を回収することにより得られ
    る、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養
    物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘導体を含
    む飼料。
  28. 【請求項28】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に入る時期に
    該菌体および/またはその産生物を回収することにより
    得られる、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む
    培養物、またはそれに由来する水溶性ビタミンK誘導体
    を含む飼料。
  29. 【請求項29】 該枯草菌は納豆菌(Bacillus subtili
    s natto)である請求項27または28に記載の飼料。
  30. 【請求項30】 該培養物は、該菌体数が対数期から定
    常期に入る時期でかつナットウキナーゼが産生される前
    に回収することにより得られるものである請求項29に
    記載の飼料。
  31. 【請求項31】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体内で産生されたビタミンKおよび/
    またはその誘導体が該菌体外に放出される前に該菌体お
    よび/またはその産生物を回収することを特徴とする、
    枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養物の製
    造方法。
  32. 【請求項32】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    し、該枯草菌の菌体数が対数期から定常期に入る時期に
    該菌体および/またはその産生物を回収することを特徴
    とする、枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培
    養物の製造方法。
  33. 【請求項33】 該枯草菌は納豆菌(Bacillus subtili
    s natto)である請求項31または32に記載の製造方
    法。
  34. 【請求項34】 該菌体数が対数期から定常期に入る時
    期でかつナットウキナーゼが産生される前に回収するこ
    とを特徴とする請求項33に記載の製造方法。
  35. 【請求項35】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    して得られた枯草菌菌体および/またはその産生物を含
    む培養液を酸性化し、沈殿物を得ることからなる水溶性
    ビタミンK誘導体の分取方法。
  36. 【請求項36】 枯草菌(Bacillus subtilis)を培養
    して得られた枯草菌菌体および/またはその産生物を含
    む培養物をソックスレー抽出することを特徴とするビタ
    ミンKの抽出方法。
JP32746099A 1999-11-17 1999-11-17 枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養物、これに由来する水溶性ビタミンk誘導体、これらを含む医薬、食品および飼料ならびにこれらの製造方法 Pending JP2001136959A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32746099A JP2001136959A (ja) 1999-11-17 1999-11-17 枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養物、これに由来する水溶性ビタミンk誘導体、これらを含む医薬、食品および飼料ならびにこれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32746099A JP2001136959A (ja) 1999-11-17 1999-11-17 枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養物、これに由来する水溶性ビタミンk誘導体、これらを含む医薬、食品および飼料ならびにこれらの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001136959A true JP2001136959A (ja) 2001-05-22

Family

ID=18199421

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32746099A Pending JP2001136959A (ja) 1999-11-17 1999-11-17 枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養物、これに由来する水溶性ビタミンk誘導体、これらを含む医薬、食品および飼料ならびにこれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001136959A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007148494A1 (ja) 2006-06-23 2007-12-27 J-Oil Mills, Inc. テストステロン増加剤
WO2008126367A1 (ja) 2007-04-05 2008-10-23 J-Oil Mills, Inc. 精神安定剤および機能性食品
WO2010034999A1 (en) * 2008-09-24 2010-04-01 Kappa Bioscience As Crystalline menoquinone-7 (vitamin k2)
WO2010139690A1 (en) * 2009-06-03 2010-12-09 Chr. Hansen A/S Bacteria thya(-) mutants with increased vitamin k
US8114642B2 (en) 2004-12-28 2012-02-14 Japan Bio Science Laboratory Co., Ltd. Method for producing vitamin K2 from culture of Bacillus natto
CN102488071A (zh) * 2011-12-01 2012-06-13 河北联合大学 纳豆激酶冰激凌及其制作方法
WO2014017145A1 (ja) 2012-07-24 2014-01-30 株式会社J-オイルミルズ 組成物
JP2020080856A (ja) * 2018-11-14 2020-06-04 池田食研株式会社 老化抑制剤
CN112175856A (zh) * 2019-07-05 2021-01-05 中粮生物化学(安徽)股份有限公司 用于枯草芽孢杆菌发酵的固体培养基以及枯草芽孢杆菌固体菌剂及其制备方法和应用
JPWO2020090045A1 (ja) * 2018-10-31 2021-10-14 株式会社村田製作所 抗グラム陰性菌化合物

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8114642B2 (en) 2004-12-28 2012-02-14 Japan Bio Science Laboratory Co., Ltd. Method for producing vitamin K2 from culture of Bacillus natto
US8603552B2 (en) 2004-12-28 2013-12-10 Japan Bio Science Laboratory Co., Ltd. Method for producing foods from culture of Bacillus natto
WO2007148494A1 (ja) 2006-06-23 2007-12-27 J-Oil Mills, Inc. テストステロン増加剤
WO2008126367A1 (ja) 2007-04-05 2008-10-23 J-Oil Mills, Inc. 精神安定剤および機能性食品
WO2010034999A1 (en) * 2008-09-24 2010-04-01 Kappa Bioscience As Crystalline menoquinone-7 (vitamin k2)
US8871195B2 (en) 2009-06-03 2014-10-28 Chr. Hansen A/S Bacteria thyA(−) mutants with increased vitamin K
WO2010139690A1 (en) * 2009-06-03 2010-12-09 Chr. Hansen A/S Bacteria thya(-) mutants with increased vitamin k
JP2012528826A (ja) * 2009-06-03 2012-11-15 セーホーエル.ハンセン アクティーゼルスカブ ビタミンK強化thyA(−)突然変異細菌
CN102488071A (zh) * 2011-12-01 2012-06-13 河北联合大学 纳豆激酶冰激凌及其制作方法
WO2014017145A1 (ja) 2012-07-24 2014-01-30 株式会社J-オイルミルズ 組成物
US9486398B2 (en) 2012-07-24 2016-11-08 J-Oil Mills, Inc. Composition
US10039704B2 (en) 2012-07-24 2018-08-07 J-Oil Mills, Inc. Composition
JPWO2020090045A1 (ja) * 2018-10-31 2021-10-14 株式会社村田製作所 抗グラム陰性菌化合物
JP2020080856A (ja) * 2018-11-14 2020-06-04 池田食研株式会社 老化抑制剤
JP7376023B2 (ja) 2018-11-14 2023-11-08 池田食研株式会社 老化抑制剤
CN112175856A (zh) * 2019-07-05 2021-01-05 中粮生物化学(安徽)股份有限公司 用于枯草芽孢杆菌发酵的固体培养基以及枯草芽孢杆菌固体菌剂及其制备方法和应用
CN112175856B (zh) * 2019-07-05 2022-10-21 中粮生物科技股份有限公司 用于枯草芽孢杆菌发酵的固体培养基以及枯草芽孢杆菌固体菌剂及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2474237B1 (en) Equol-containing fermentation product of soybean embryonic axis, and method for production thereof
KR101054631B1 (ko) 에쿠올 생산 유산균 함유 조성물
JP6684966B2 (ja) 新規なラクトバチルス・サケイ及びそれを含む組成物
JP2006320257A (ja) 海藻発酵エキス、その製造方法およびその用途
JP5282932B2 (ja) ポリフェノール抽出物の製造方法、骨粗鬆症予防剤、糖質消化酵素阻害剤、これらを用いた機能性組成物、およびこの機能性組成物を含む、食品組成物、特定保健用食品組成物、医薬部外品組成物、医薬組成物
US6677143B2 (en) Method for culturing Bacillus subtilis natto to produce water-soluble vitamin K and food product, beverage, or feed containing the cultured microorganism or the vitamin K derivative
JP2001136959A (ja) 枯草菌菌体および/またはその産生物を含む培養物、これに由来する水溶性ビタミンk誘導体、これらを含む医薬、食品および飼料ならびにこれらの製造方法
JP6005453B2 (ja) オルニチンとエクオールを含む組成物
JP2009155293A (ja) 発酵甘草抽出物及びその製造方法、並びに、発酵甘草抽出物を含有する皮膚外用剤及び美容用飲食品
JP4809785B2 (ja) 醤油に含まれる高分子物質の用途
JP2024010170A (ja) エクオール含有組成物の製造方法
JP2001000175A (ja) 枯草菌(Bacillussubtilis)の培養方法、該方法によって培養される微生物の培養物、該培養物由来の水溶性ビタミンK誘導体ならびに該微生物の培養物またはビタミンK誘導体を含む食品、飲料または飼料
JP4068103B2 (ja) 雲南sl−001菌の培養によるビタミンkの生産方法
JP2006199641A (ja) 鉄吸着性高分子物質及び鉄含有高分子物質ならびにこれらの製造方法
JP4011938B2 (ja) 脂質代謝改善剤及びそれを含有する食品
JPH067115A (ja) 免疫増強用飲食品添加剤および飲食品の免疫増強効果付与方法
JP2001120222A (ja) 過酸化脂質抑制用組成物およびその製造法
JP2006335709A (ja) 組織因子阻害組成物、及びそれを含有する飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品
JP2005237300A (ja) 食品素材及びその製造方法
GB2233666A (en) Microbacterium 851R, and a process for producing 851 nutrient solution
JP2005179315A (ja) 免疫強化剤及びその製造方法
JPH08196268A (ja) 乳酸菌増殖促進物質
JP2005089385A (ja) リポキシゲナーゼ阻害剤
JP2007112750A (ja) 一酸化窒素産生抑制剤
JP2001352975A (ja) 納豆菌由来の生理活性物質

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050105

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050302

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050328