JP2007112750A - 一酸化窒素産生抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全で優れた作用を発揮する一酸化窒素産生抑制剤を提供する。
【解決手段】ハナビラタケ子実体及び/又は菌糸体の乾燥粉末を、エタノールに懸濁し、一昼夜室温に静置し、抽出液をガーゼで濾過することによって残渣を回収する操作を3回繰り返し、得られた残渣に対し10倍量の純水を加え、121℃の温度下で2時間抽出し、この抽出液を遠心分離することによって上清と残渣に分離し、上清について凍結乾燥して得た抽出物、あるいは一方の残渣については10倍量の10%水酸化ナトリウム水溶液と5%尿素の混合液を加え、4℃下で2日間抽出し、得られた抽出液を酢酸で中和した後、純水に対して透析を行い、凍結乾燥させることによって得た抽出物を有効成分として含有した一酸化窒素産生抑制剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、キノコから得られる一酸化窒素産生抑制剤に関する。
一酸化窒素(NO:nitric oxide)(以下、NOという。)は血管弛緩作用、血小板凝集抑制作用、殺菌作用、抗腫瘍作用など、多彩な役割が注目されているフリーラジカルである。NOはNO合成酵素(NOS:NO synthase)(以下、NOSという。)によってL−アルギニンから産生される。NOSのアイソフォームである誘導型NOS(iNOS:inducible NOS)(以下、iNOSという。)はグラム陰性菌の細胞壁構成成分の一つであるエンドトキシン(リポポリサッカリド、LPS、細胞内毒素)(以下、LPSという。)などの炎症惹起物質によって誘導され、多量のNOを産生させる。多量に産生されたNOは上記のような作用の他、炎症性腸疾患、アレルギー性気道炎、肺炎、血管炎、歯肉炎、膵β細胞の自己破壊、臓器移植時の同種移植片急性拒絶反応など数々の炎症性疾患、偏頭痛、発がん性の増大、血管新生、さらにはエンドトキシンショックの発現にも関わっており、NOは重要な病因物質となっている。
これまで、アルギニン誘導体、イソチオ尿素誘導体、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物(特許文献1)などについてはNO産生を抑制する作用が知られており、エンドトキシンショック時の低血圧症治療剤として検討されている。また、天然物由来成分としては、ケルセチン(非特許文献1)、ピペリン(非特許文献2)、リナリン(非特許文献3)、ヒメサナギタケ抽出物(非特許文献4)などがNO産生を抑制するという報告がなされている。
一方、キノコ類は古くから食用として利用されているが、最近その成分の生理活性が明らかにされ、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン(いずれも商品名)などは、医薬品として抗悪性腫瘍剤としての有用性が認められており、アガリクス、メシマコブ、霊芝などは免疫腑活作用や抗腫瘍作用を期待して、子実体や菌糸体の乾燥物や抽出物を健康食品素材として利用することが試みられている(例えば、特許文献2、3及び4参照)。
このようなキノコ類に属するハナビラタケは、カラマツ等の針葉樹に生えるキノコであって、非常に希少なキノコである。歯ごたえがよく、その純白の色合いと葉牡丹のような形態が特徴である食用キノコである。これまで、このハナビラタケは成長が遅く人工栽培は非常に困難であるとされてきたが、最近になって、比較的短期間で栽培可能な新しい栽培法が確立され、商業規模での供給が可能となっている。
このハナビラタケの子実体について溶媒でβ−グルカンを抽出する方法が提案され、その抽出物について医薬品分野での用途が提案されており(例えば、特許文献5及び6参照)、例えば、この抽出物を担癌マウスに投与した場合、抗腫瘍作用を発揮することが示されている(非特許文献5)。しかし、ハナビラタケ抽出物がNO産生抑制作用を有することはこれまで知られていなかった。
特開平10−194978号公報 International Journal of Immunopharmacology、21、pp.434−443、(1999) Immunopharmacology and Immunotoxicology、24(3)、pp.337−346、(2003) Archives of Pharmacal Research、25(2)、pp.170−177、(2002) Toxicology and Applied Pharmacology、190、pp.1−8、(2003) 特開2001−10970号公報 特開2001−131083号公報 特開2003−183176号公報 特開2000−217543号公報 特許第3509736号公報 Biological and Pharmaceutical Bulletin、23(7)、pp.866−872、(2000)
NO産生を抑制する作用が知られている上記の化合物は、上記した種々の疾患の予防・治療に有効であると考えられる。しかしながら、いずれの化合物も、継続的に、例えば食品として長期間摂取し続けた際の安全性については保証されているものではないという問題があった。
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、長期間摂取し続けても安全で、かつNO産生抑制作用の高いNO産生抑制剤を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため新規な素材の開発を求めて鋭意検討した結果、ハナビラタケの熱水抽出物及びアルカリ抽出物にNO産生抑制活性を見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ハナビラタケの子実体及び/又は菌糸体、もしくはそれらから水系溶媒、好ましくは熱水もしくはアルカリ水溶液を用いて抽出される画分を有効成分として含有することを特徴とするNO産生抑制剤を要旨とするものであり、経口投与剤もしくは経皮投与剤であるものである。また、別の本発明は前記のNO産生抑制剤を含有することを特徴とする飲食品を要旨とするものである。
本発明によれば、優れた活性を示すNO産生抑制剤を提供できる。また、食用キノコであるハナビラタケを原料としているため、極めて安全性が高いことから、飲食品に含ませて用いることができる他、経口投与剤もしくは経皮投与剤に含ませて用いることもできる。従って、炎症性疾患などの多量のNOの産生に伴う疾患を患った患者ごとに適した投与方法を選択することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
ハナビラタケは、標高1千メートル以上のカラマツ等の針葉樹に特異的に発生するキノコで、発見することが難しいために「幻のキノコ」と言われてきた。これまで、その栽培は難しく、一般にはあまり知られていなかったが、近年、人工栽培方法が確立され、量産されるに至った。
本発明で用いられるハナビラタケの子実体は、天然のものでも人工栽培されたものでもよい。人工栽培の方法としては、従来から知られている人工栽培用の菌床を作成することにより行うことができる(詳細は、例えば、特開平11−56098号公報、特開2002−369621号公報、特開2002−125460号公報参照)。
また、本発明においては、ハナビラタケの菌糸体も用いることができる。菌糸体は液体培養法によって得ることができる。培地に使用する炭素源としては、グルコースなどの単糖の他、デキストリン、グリセロールなど通常用いられる炭素源が使用できる。また、窒素源としては無機又は有機窒素源が使用できるが、生育速度の観点からは有機窒素源を用いるほうが好ましい。また、必要に応じて微量元素やビタミン等の生育因子を添加することは通常の培養と何ら変わりはない。培養温度は15℃〜30℃、好ましくは18℃〜28℃、20℃〜25℃が最も好ましい。pHは2.5〜8.0、好ましくは3.0〜7.0、3.5〜5.0が最も好ましい。培地成分には不溶成分を添加することが均一に生育させることができることから好ましい。培養期間は培地組成や菌株により、数日から数週間程度に設定されうる。
このようにして得られたハナビラタケの子実体あるいは菌糸体は、生のままで次の抽出工程に移してもよいし、乾燥し、必要により粉末化などの加工をしてから抽出工程に移してもよい。
本発明における有効成分はハナビラタケに含まれており、高い効果を得るためには、有効成分を抽出、濃縮することが望ましい。その際、有機溶剤又は水溶液による抽出操作によって活性物質を得ることができる。有機溶剤としてはアルコール、アセトニトリル、酢酸エステル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、グリコール、エーテル、THF、アセトン、塩化メチレン、クロロホルム、ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。また、水溶液は純水、酸水溶液、アルカリ水溶液、塩溶液などを用いることができる。抽出にはこれら溶剤を単独で又は2種類以上を混合して用いることができるが、これらの中で特に純水、アルカリ水溶液が好ましい。
抽出に用いる溶剤の量に特に制限はないが、ハナビラタケ重量に対して2〜100倍量を用いることが好ましく、5〜50倍量がさらに好ましい。2倍量以下では操作性が、100倍量以上では作業効率が悪い。
また、抽出は1種又は複数種の溶剤を用いて、複数回行うこともできる。複数回行う場合は、ハナビラタケからの抽出でもよいし、ハナビラタケから得られた抽出画分あるいは抽出後のハナビラタケ残渣をさらに抽出してもよい。また、それらを組み合わせて行うことができる。
抽出操作の際の温度は、特に制限はないが2〜200℃が好ましく、10〜150℃がさらに好ましく、25〜121℃が最も好ましい。2℃以下では抽出効率が悪く、200℃以上では抽出物が熱分解し活性が失われたりなどする。抽出時間にも特に制限はないが、10分〜3日間程度が好ましく、30分〜2.5日間がさらに好ましく、1時間〜2日間が最も好ましい。10分以下では抽出量が少なく、3日間以上では作業効率が低い。また、抽出は静置のまま行うこともできるが、撹拌又は振盪などすることによって抽出効率を高めることができる。
本発明の一酸化窒素産生抑制剤は、以上のように、ハナビラタケの子実体及び/又は菌糸体の乾燥粉末または以上のようにして得られた抽出画分を有効成分として含有するものである。本発明においては、以上のようにして得られた抽出画分をさらに分画、濃縮して含ませることも可能である。分画、濃縮の方法としては、溶媒抽出、アルコール沈殿、乾燥などの周知の分離手段が用いられる。
本発明の一酸化窒素産生抑制剤は、通常、ハナビラタケの子実体または菌糸体もしくはそれらの抽出画分を0.1〜100質量%配合するのが好ましい。さらに好ましくは、20〜90質量%配合するのが好ましい。この範囲であれば製剤化が容易であり、かつ十分な効果を期待できる。
本発明の一酸化窒素産生抑制剤の形態は、適用の仕方に応じて種々の形態にすることができる。経口投与する場合には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができ、経皮投与する場合には、ローション、乳剤、クリーム、軟膏等とすることができる。
製剤には薬剤的に許容できる種々の担体を加えることができる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、コーティング剤を含むことができるが、これらに限定されない。本発明の一酸化窒素産生抑制剤を持続性、徐放性のものとしてもよい。
本発明の一酸化窒素産生抑制剤の有効成分は、ハナビラタケの子実体または菌糸体に由来するものであり、ハナビラタケ子実体は食経験があり極めて安全なキノコである。この点から、本発明の一酸化窒素産生抑制剤の使用量は厳しく制限されるものではないと考えられるが、概ね、下限は予防又は治療という目的に応じた効果を発揮しうる量を、上限は使用のしやすさ、経済性等の観点から実際的な量を基準とし、通常、ハナビラタケ乾燥物に換算して成人1日あたり約5mg〜約500g、好ましくは約50mg〜約50gを使用すればよい。もちろん、使用する者の年齢、体重、症状、使用期間、治療経過等に応じて変化させることもできる。1日あたりの量を数回に分けて投与することもできる。また、他の一酸化窒素産生抑制剤と組み合わせて使用することもできる。
本発明の飲食品は、上記した本発明の一酸化窒素産生抑制剤を含有するものである。ハナビラタケ子実体は食経験があり極めて安全なキノコである。この点から、本発明の一酸化窒素産生抑制剤の含有量は厳しく制限されるものではないと考えられるが、概ね、下限は予防又は治療という目的に応じた効果を発揮しうる量を、上限は摂取のしやすさ、経済性等の観点から実際的な量を基準とし、通常、ハナビラタケ乾燥物に換算して成人1日あたり約5mg〜約500g、好ましくは約50mg〜約50gを摂取すればよい。もちろん、摂取する者の年齢、体重、症状、投与期間、治療経過等に応じて変化させることもできる。1日あたりの量を数回に分けて摂取することもできる。
本発明の飲食品は、加工飲食品、医薬部外品、医薬品に用いられる水性成分、油性成分、植物抽出液、動物抽出液、粉末、界面活性剤、油剤、アルコール、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、色素、香料等を本発明の一酸化窒素産生抑制剤とともに原材料に配合することにより調製される。形態としては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤などの健康飲食品類;麺類;パン類;無果汁飲料、果汁入り飲料、乳酸菌飲料、茶類飲料、コーヒー飲料、豆乳飲料、スープ類等の飲料類;スナック、クッキー、ガム、キャンディー等の菓子類;アイスクリーム、シャーベット、みぞれなど冷菓類;プリン、ババロア、ゼリー、ヨーグルトなどのデザート食品類及びその他のインスタント食品とすることができる。
本発明の飲食品は、本発明の一酸化窒素産生抑制剤及び上記した成分などのほかに、さらに、鉄、カルシウム等の無機成分、種々のビタミン類、オリゴ糖、キトサン等の食物繊維、大豆抽出物等のタンパク質、レシチンなどの脂質、ショ糖、乳糖等の糖類、乳酸菌を含んでいてもよい。
また本発明の飲食品は、既存の健康食品類、飲料類、菓子類、冷菓類、デザート類及びその他インスタント食品類に、上記した本発明の一酸化窒素産生抑制剤を含ませることによっても得ることができる。
さらに本発明の飲食品は、上記した本発明の一酸化窒素産生抑制剤のほかに、他の一酸化窒素産生抑制成分や、抗サイトカイン剤、抗アレルギー成分、抗炎症成分、乳酸菌、他の有効成分を含ませるものであってもよく、そうした場合、腫瘍壊死因子(TNF−α)、インターロイキン(IL)−1β、IL−6などNO以外の炎症関連因子の産生も抑制することができることから、より高い効果を持つ飲食品とすることができる。
以下、本発明の実施例を挙げるが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
製造例1〔ハナビラタケ子実体の製造〕
ハナビラタケ子実体を以下のようにして製造した。
カラマツの大鋸屑、小麦粉、栄養分(バナナ、蜂蜜、エビオス、ペプトン、塩化カルシウム、ハイポネックス)及び水を、大鋸屑:小麦粉:栄養分:水=100:11.5:1.9:51の重量比で含む菌床基材を準備した。この菌床基材(520g)を、850ccのポリプロピレン製の培養瓶に入れ、常法に従って培養瓶を滅菌した後に、ハナビラタケの種菌(16g)を接種した。その後、この培養瓶を、23℃の温度下で、56日間放置することによりハナビラタケ子実体を収穫した。子実体の重量は培養瓶1本当たり140gであった。
製造例2〔ハナビラタケ菌糸体の製造〕
ハナビラタケ菌糸体を以下のようにして製造した。
イーストエキス0.4質量%、グルコース2質量%、リン酸2水素カリウム0.1質量%、リン酸水素2ナトリウム0.1質量%となるように水に溶解し、1Nの塩化水素でpH5.0に調製し、500ml容三角フラスコにそれぞれ200ml入れ、常法に従って滅菌した。この液体培地にハナビラタケの種菌を生育させた平板培地から径6mmの寒天片を打ち抜き、その一片を接種し、24℃の暗黒下で、21日間振とう培養(100rpm)することによりハナビラタケ菌糸体を収穫した。菌糸体の乾燥重量は三角フラスコ1本当たり2gであった。
製造例3〔NO産生抑制成分の抽出〕
ハナビラタケ子実体からNO産生抑制成分を以下のようにして調製した。
ハナビラタケ子実体乾燥粉末25gをエタノール200mlに懸濁し、一昼夜室温に静置し、抽出液をガーゼで濾過することによって残渣を回収した。これを3回繰り返した。得られた残渣に対し10倍量の純水を加え、121℃の熱水で2時間抽出した。この抽出液を遠心分離することによって上清と残渣に分離し、上清については凍結乾燥を行って、抽出物A(6.3g)とした。一方の残渣については10倍量の10%水酸化ナトリウム水溶液と5%尿素の混合液を加え、4℃下で2日間抽出した。得られた抽出液を酢酸で中和した後、純水に対して透析を行い、凍結乾燥させることによって抽出物B(7.2g)を得た。なお、ハナビラタケ菌糸体(25g)からも同様に抽出を行い、抽出物Aに対応する画分である抽出物C(6.7g)、抽出物Bに対応する画分である抽出物D(5.2g)を得た。
実施例1〔NO産生抑制作用〕
FBS(Fetal Bovine Serum)を10%添加したMinimum Essential Mediumを用いて5×10個/mlの濃度に調製したマウスマクロファージ様細胞株RAW264(理研バイオリソースセンターより分譲された株)にLPS(エシェリシア・コリ O111:B4型由来、SIGMA製)を100ng/mlの濃度になるように添加し、NOの産生を誘導した。この時、製造例3の抽出物A、抽出物B、抽出物C、抽出物Dを100μg/mlの濃度になるようにそれぞれをLPSと同時に添加して、37℃、5%CO条件の暗黒下で培養した。24時間後に培養上清を回収し、NO濃度をGriess Reagent system(プロメガ製)を用いて測定することによって抽出物A、B,C,DのNO産生抑制作用を検討した。結果を表1に示す。
以上の結果から、抽出物A、B、C、DにはNO産生抑制作用があることが明らかになった。
実施例2〔iNOS mRNAの発現抑制作用〕
FBS(Fetal Bovine Serum)を10%添加したMinimum Essential Mediumを用いて5×10個/mlの濃度に調製したマウスマクロファージ様細胞株RAW264(理研バイオリソースセンターより分譲された株)にLPS(エシェリシア・コリ O111:B4型由来、SIGMA製)を100ng/mlの濃度になるように添加した。この時、製造例3の抽出物A、Bを100μg/mlの濃度になるようにそれぞれをLPSと同時に添加して、37℃、5%CO条件の暗黒下で培養した。培養開始6時間後にTRIzol Reagent(インビトロジェン製)を用いてtotalRNAを抽出し、続いてtwo−step RT−PCR−&GO kit(Qbiogene製)を用いてRT−PCRを行った。iNOS遺伝子断片の増幅には、miNOS−F(5‘−tcgcagctccctatcttgaa−3’)とmiNOS−R(5’−gcacctggaacagcactctc−3’)のプライマー対を用いた。内部対照のglyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase(GAPDH)遺伝子断片の増幅には、GAPDH−F(5‘−cggagtcaacggatttggtcgtat−3’)とGAPDH−R(5‘−agccttctccatggtggtgaagac−3’)のプライマー対を用いた。PCR反応は、95℃で5分の熱変性に続き、95℃で30秒、60℃で30秒、72℃で30秒の3ステップを25サイクル繰り返し、最後に72℃で7分反応させた。PCR反応終了後の反応液3μlをローディングバッファーと混合し、1.5%TAEアガロースゲル中で約30分間電気泳動した。その後、エチジウムブロマイド染色を行い、UVトランスイルミネーターで各遺伝子断片のバンドを確認し、写真撮影した。結果を図1に示す。
以上の結果から、抽出物A、BはiNOS遺伝子の発現レベルを抑制することによって、NO産生を抑制することが明らかとなった。
実施例3〔LPS誘発炎症モデルマウスにおける炎症反応の抑制効果〕
7週齢の雌性BALB/cマウスを7日間予備飼育した後、1群10匹として3群に分けた。生理食塩水、製造例1で得られたハナビラタケ子実体乾燥粉末(100mg/kg・日)、製造例2で得られたハナビラタケ菌糸体乾燥粉末(100mg/kg・日)を各群に対して7日間経口投与した。翌日に各群の半数のマウスには生理食塩水を、残りの半数にはLPS(2mg/kg)を腹腔内投与した。12時間後にヘパリン採血管を用いて心臓より全血を採血し、遠心分離によって血清を分離した。血清中NO量をGriess Reagent system(プロメガ製)を用いて測定した。結果を表2に示す。
以上の結果から、炎症モデル動物においてもNO産生が抑制されることが明らかとなった。
実施例4〔血管新生阻害作用〕
ニワトリの有精卵を3.5日間37℃のインキュベーターにインキュベートした後、22Gの針を用いて卵の鋭端から穴を空けて卵白を約2ml吸い出した。次に卵内部の気室を覆っている部分の卵殻を打ち抜いて、さらに卵殻膜をはぎ取った。上記製造例3の抽出物A、B、C、Dを乗せたスライドガラスを絨毛尿膜に静置し、この卵をインキュベーター内でさらに2日間インキュベートした。10%の脂肪エマルジョンを33Gの針を用いて漿尿膜内に注入し、顕微鏡で観察することによって毛細血管の伸長阻害率を測定した。結果を表3に示す。
以上より、抽出物A、B、C、Dは血管新生抑制作用を示すことが明らかとなった。これは、血管新生に関与しているNOの産生を抽出物A、B、C、Dが抑制することに起因するものと考えられた。
本発明によるiNOSのmRNA発現抑制作用を示す電気泳動写真である。

Claims (7)

  1. ハナビラタケの子実体及び/又は菌糸体を有効成分として含有することを特徴とする一酸化窒素産生抑制剤。
  2. ハナビラタケの子実体及び/又は菌糸体から水系溶媒を用いて抽出される画分を有効成分として含有することを特徴とする一酸化窒素産生抑制剤。
  3. ハナビラタケの子実体及び/又は菌糸体から熱水を用いて抽出される画分を有効成分として含有することを特徴とする一酸化窒素産生抑制剤。
  4. ハナビラタケの子実体及び/又は菌糸体からアルカリ水溶液を用いて抽出される画分を有効成分として含有することを特徴とする一酸化窒素産生抑制剤。
  5. 経口投与剤である請求項1乃至4のいずれかに記載の一酸化窒素産生抑制剤。
  6. 経皮投与剤である請求項1乃至4のいずれかに記載の一酸化窒素産生抑制剤。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の一酸化窒素産生抑制剤を含有することを特徴とした飲食品。
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