JP4839231B2 - セサミノール配糖体のグルコシド結合分解酵素および前記酵素を産生する微生物 - Google Patents
セサミノール配糖体のグルコシド結合分解酵素および前記酵素を産生する微生物Info
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Description
セサミノールはゴマ油製造の際に排出されるゴマ搾りかす(sesame oil cake;SOC)に多量に含まれる。SOCは多くの場合廃棄処分されているため、セサミノールはこのSOCを安価な原料として生産することが可能である。原理的には、SOCからエタノールによりセサミノール配糖体を含むリグナン配糖体を抽出し、β−グルコシダーゼ処理によりそれらのアグリコン型を製造する方法が有効であると考えられる。しかしながら、セサミノール配糖体はその構造中に難分解性のβ−1,2−結合を含む分岐オリゴ糖構造をもち、また、セサミノールの芳香環がβ−グルコシダーゼの作用に対する立体障害となるため、既往のβ−グルコシダーゼでは分解が非常に困難であった。したがって、セサミノールの産業的製造を実現させるためには、配糖体の糖部分を効率よく除去する方法を見いだすことが重要な課題となっていた。
本発明の第2は、(4)FERM P-21057として寄託したPaenibacillus sp. KB0549と称する前記(1)又は(2)に記載の酵素を産生する微生物である。
本発明の第3は、(5)配列番号1に記載の前記(2)又は(3)に記載の酵素をコードするデオキシリボ核酸である。
本発明の第4は、(6)前記(5)に記載のデオキシリボ核酸を含むベクターであり、本発明の第5は、(7)前記(6)に記載のベクターを導入した形質転換体、好ましくは、(8)形質転換体が大腸菌であることを特徴とする前記(7)記載の形質転換体である。
本発明の第6は、(9)前記(7)に記載の形質転換体によって産生されるセサミノール配糖体のβ−1、2−およびβ−1、6−グルコシド結合およびセサミノール−グルコース間β−1グルコシド結合を切断する前記(2)に又は(3)記載の組換え型酵素である。
本発明の第7は、(10)受託番号FERM P-21057として寄託した微生物を5〜70質量%のゴマ油滓またはリグナン配糖体0.01〜0.5%(w/v)を基質として培養することを特徴とする、セサミノール配糖体のβ−1、2−およびβ−1、6−グルコシド結合およびセサミノール−グルコース間β−1グルコシド結合を切断する前記(2)酵素を製造する方法である。また、本発明の8は、(11)前記(7)又は(8)に記載の形質転換体用いることを特徴とする、セサミノール配糖体のβ−1、2−およびβ−1、6−グルコシド結合およびセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断する前記(2)又は(3)に記載の酵素を製造する方法であり、本発明の9は、(12)又はセサミノールトリグルコシド、セサミノールジグルコシド、セサミノールモノグルコシドからなる群より選ばれる少なくとも1つのリグナンまたは前記リグナンを含む基質材料に前記(10)または(11)に記載の酵素を製造する方法を用いて生成した酵素を用いたセサミノールの製造方法である。
Domain:Bacteria
Phylum:Firmicutes
Class: Bacilli
Order: Bacillales
Family:Paenibacillaceae
Genus: Paenibacillus
また16S rDNA配列に基づく系統解析(CLUSTAL W ver 1.83)により,本菌株のPaenibacillus 属における位置づけを推定した結果は図1のとおりである。
Paenibacillus sp. KB0549から以下のようにして細胞内β‐グルコシダーゼを精製し、酵素の部分アミノ酸配列を決定した。
Paenibacillus sp.KB0549菌体を、0.5%(w/v)バクトペプトン(bactopeptone)、0.25%酵母エキス、及び0.025%のセサミノールトリグルコシド粉末を含むpH6.5の培養液にて37℃で一昼夜培養した。以下の酵素精製操作は4℃で行った。
(A)粗酵素液の調製
培養物(8リットル)を遠心分離(12000×g、20分間;Beckman社製 JLA8,1000 ローターを使用)に供し、KB0549株の細胞を沈殿として回収した。回収した細胞を10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5、緩衝液A;30ml)中に懸濁し、細胞破砕器(Branson Sonifer)を用いて一定の周波数の超音波を1分間あたり10サイクル照射することにより破砕した。破砕液を遠心分離(10,000×g,30分 (Beckman社製 JLA 12ローターを使用)に供し、上清(可溶性画分)を回収し、緩衝液Aに対して透析した。
(B)イオン交換クロマトグラフィー(1)
あらかじめ緩衝液Aで平衡化したANX-セファロースカラム(Amersham社製;直径1.6 cm,高さ10cm)に透析内液を負荷した。カラムに吸着したβ‐グルコシダーゼ活性を、塩化ナトリウムの直線濃度勾配(0〜1M;カラム容積の8倍量)により溶出した。活性画分を集め、アミコン遠心濃縮装置により適当な容積にまで濃縮し、緩衝液Aに対して透析した。
(C)イオン交換クロマトグラフィー(2)
あらかじめ緩衝液Aにて平衡化したQ−セファロースカラム(Amersham社製;直径1.6 cm,高さ10 cm)に透析内液を負荷した。カラムに吸着した酵素活性は前記Bに記載と同様な方法で溶出させた。活性画分を集め、アミコン遠心濃縮装置により適当な容積にまで濃縮し、緩衝液Aに対して透析した。
(D)ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー
あらかじめ緩衝液Aにて平衡化したハイドロキシアパタイトカラム(Bio-Rad社製;直径1.0 cm,高さ6.4 cm)に負荷した.カラムに吸着した酵素活性を,リン酸カリウム(pH6.5)の直線濃度勾配(10mM〜500mM;カラム容積の12倍量)により溶出した。活性画分を集め、アミコン遠心濃縮装置により適当な容積にまで濃縮し、緩衝液Aに対して透析した。
(E)イオン交換クロマトグラフィー(3)
透析試料を、緩衝液Aにて平衡化したMono Q カラム(Amersham社製;直径1.0cm、高さ10cm)に負荷した.カラムに吸着した酵素活性を,リン酸カリウム(pH6.5)の直線濃度勾配(10mM〜250mM;カラム容積の10倍量)により溶出した。活性画分を集め、アミコン遠心濃縮装置により適当な容積にまで濃縮した。
(F)疎水性相互作用クロマトグラフィー
20%(v/v)エチレングリコールを含む緩衝液Aにてあらかじめ平衡化したPhenyl Sepharose High Performance カラム(Amersham社製;直径1.6cm、高さ2.5cm、5mlカラム)に濃縮試料を負荷した.カラムに吸着した酵素活性を,エチレングリコールの直線濃度勾配(20%〜50%;カラム容積の10倍量)により溶出した。活性画分を最終精製標品として集めた。純度はSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(銀染色)により検定した.以上の操作により,酵素活性の本体である分子質量85kDaのタンパク質が均一状態に精製された。精製酵素タンパク質のN末端アミノ酸配列および内部アミノ酸部分配列を常法により決定した。
N末端アミノ酸配列:SERRDLKALISQMTLEEKAS
内部アミノ酸配列2−1:VNGEYAAENERL(配列番号2のアミノ酸204番〜215番の相当)
内部アミノ酸配列2−2:PTRLDDIVFE(配列番号2のアミノ酸357番〜366番の相当)
内部アミノ酸配列2−3:LAETFPVQLSDN(配列番号2のアミノ酸497番〜508番の相当)
内部アミノ酸配列2−4:LRGMIPFGET(配列番号2のアミノ酸701番〜710番の相当)
Paenibacillus sp. KB0549株を培養することによりセサミノールトリグルコシドからセサミノールを製造する方法を以下に記載する。
KB0549株を、0.5%(w/v)バクトペプトン、0.25%酵母エキス、及び0.025%のセサミノールトリグルコシド粉末を含むpH6.5の培養液にて37℃で一昼夜培養した。培養菌体を4℃、7000 rpmで20分間遠心分離することにより除去した。上清を凍結乾燥後、クロロホルムにてセサミノールを、また、75%エタノールでセサミノール配糖体を抽出した。抽出物を逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(Hitachi Lachromシステム)に供し、セサミノール関連化合物を分析した。
HPLC条件は次の通りである:
カラム、Wakosil II 5C18HG(4.6φ×250mm、和光純薬製);
流速、0.8ml/min;
展開溶媒:A,10%アセトニトリル、0.1% トリフルオロ酢酸;
B:80% アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸カラムを0〜100%Bの直線濃度勾配(40分間)により展開した。クロマトグラムは280nmにて検出することにより得られ、標準試料の保持時間と比較することによりリグナン類を同定した.生成物がセサミノールであることは、LC−WSスペクトル測定により、溶出位置ならびに分子量(分子量370)などの点から確認した。
以上のようにして、KB0549株を培養することによりセサミノールトリグルコシドからセサミノールを製造することができた。
次に未焙煎ゴマ(黒ゴマ,白ゴマ,金ゴマ),焙煎ゴマ,ゴマ脱脂粕を出発原料として、それら中に含まれるセサミノールトリグルコシドやセサミノールジグルコシドをセサミノールに微生物変換する方法についても検討した。
粉末化した各ゴマ試料3gを50ml容試験管に入れ、3mlの水と混合し、加圧蒸気滅菌した。これにKB0549株の培養物(2.1ml、1×107cfu/ml)を接種し、ふらん器中で37℃で72時間インキュベートした。一定量の反応液を24時間ごとにサンプリングし、クロロホルムにてセサミノールを、また、75%エタノールでセサミノール配糖体を抽出した。抽出物中のセサミノール関連物質をHPLCで分析した。
Paenibacillus sp. KB0549株のβ‐グルコシダーゼ遺伝子のクローニング。
Paenibacillus sp.KB0549細胞からゲノムDNAを以下のようにして調製した:
KB0549細胞をデンプン培地(1%可溶性デンプン、0.5%ペプトン、及び0.5%酵母エキス;1リットル)を用いて培養した。培養菌体を集め、15mlのTE緩衝液(10mM Tris-Cl、1mM EDTA;pH8.0)中に懸濁した。これに、1 mlの10% SDSおよび100μlのプロテイナーゼKを加えた。混合物を37℃で1時間インキュベート後、5M塩化ナトリウムを3.6ml及びCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)/NaCl混液を3.0ml加えた。混合物を65℃で30分間インキュベートした。次いで、等容量のクロロホルム・イソアミルアルコール混液を加えて激しくかくはん後、混合物を遠心分離器にかけた(4000×g、10分間;室温)。広口ピペットを用いて上層を新しい試験管に移し、それと等容量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを加えた.混合後,混合液を遠心分離(4000×g、5分間;室温)に供した.上層を新しい試験管に移し、液体中に含まれるデオキシリボ核酸(DNA)を2−プロパノールの添加により沈殿させた。沈殿を70%エタノールで洗浄し、ペレットを4mlのTE緩衝液に溶解させ、3.64mgのKB0549株ゲノムDNAを得た。
前述のようにして決定した精製酵素のN末端アミノ酸配列及び内部アミノ酸配列にもとづいて縮重プライマーを設計し、KB0549株ゲノムDNAを鋳型としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。まず、プライマーとしてSi80BGF1(TCACAAATGACRTTAGAAGAAAAGGC)及びSi80BGR2(ATCGCTTAAYTGNACCGGGAANGTYTC)を用いたPCRにより1.5kbの増幅DNAフラグメントを得た。このPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供して分離精製後、TOPO−PCRクローニングベクターにクローニングした。得られたプラスミドを用いて大腸菌 DH5α細胞を形質転換した。
カナマイシンを含有するLB寒天培地に生育した形質転換細胞からプラスミドを単離し、Beckman CEQ 2000 DNA sequencerにより挿入断片の塩基配列を決定した。N末端アミノ酸配列及び内部アミノ酸配列に基づいて他のプライマーも設計し、それらを用いたPCRにより2.1kbのDNA断片が増幅され、同様にしてその塩基配列が決定された。決定された塩基配列から推定される本β‐グルコシダーゼのアミノ酸配列は,他のβ‐グルコシダーゼ(セレブロシダーゼなど)と弱い相同性を示し,本酵素はグルコシルヒドロラーゼファミリー3に属する酵素であることが確認された。
以上のようにしてクローン化された遺伝子を適当なベクターに組込むことにより,他の原核生物または真核生物の宿主細胞を形質転換させることができる。さらに、これらのベクターに適当なプロモーターおよび形質発現にかかわる配列を導入することにより、それぞれの宿主細胞において目的遺伝子を発現させることが可能である。
原核細胞の宿主としては、例えば大腸菌(Escherichia coli)や枯草菌(Bacillus subtilis)等を挙げることができる。目的の遺伝子をこれらの宿主細胞内で形質発現させるには、宿主と適合し得る種由来のレプリコン、すなわち複製起点および調節配列を含んでいるプラスミドベクターで宿主細胞を形質転換させればよい。またベクターは形質転換細胞に表現形質の選択性を付与することができる配列を持つものが望ましい。上記宿主細胞は、特に限定されるものではなく、従来公知の各種細胞を用いることができる。具体的には、例えば、大腸菌等の細菌、酵母、植物細胞等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。上記発現ベクターを宿主細胞に導入する方法、すなわち形質転換方法も特に限定されるものではなく、アグロバクテリウム感染法、電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、リン酸カルシウム法、プロトプラスト法、酢酸リチウム法等の従来公知の方法を好適に用いることができる。
可能な宿主としては、例えば大腸菌ではE. coli K12株等がよく用いられ、ベクターとしては一般にpBR322、Puc、pET系のプラスミドがよく用いられるが、これに限定されず、公知の各種の菌株およびベクターがいずれも利用できる。プロモーターとしては、大腸菌においてはトリプトファン(trp)プロモーター、ラクトース(lac)プロモーター、トリプトファン・ラクトース(tac)プロモーター、リポプロテイン(lpp)プロモーター、バクテリオファージ由来のラムダ(λ)PLプロモーター、ポリペプチド鎖伸長因子Tu(tufB)プロモーター等を挙げることができる。枯草菌としては,例えば207-25株が好ましく,ベクターとしてはpTUB228(Ohmura, K. et al. (1984) J.Biochem. 95、87−93)等が用いられるが、これに限定されるものではない。プロモーターとしては,枯草菌のα−アミラーゼ遺伝子の調節配列がよく用いられ、さらに必要によりα−アミラーゼのシグナルペプチド配列をコードするDNA配列を連結することにより、菌体外での分泌発現も可能となる。 真核生物の宿主細胞には、脊椎動物、昆虫、植物、酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物細胞としては、例えばCOS細胞(Gluzman, Y. (1981) Cell 23, 175-182)やチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株(Urlaub, G. and Chasin, L.A. (1980) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77, 4216-4220)等がよく用いられているが、これらに限定されるわけではない。植物としてはシロイヌナズナ Arabidopsis thalianaやその培養細胞が一般によく用いられているが、タバコNicotiana tabacum、他の園芸植物、あるいはそれらの培養細胞を用いてもよい。発現のためのプロモーターとしてはカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターを、ターミネータとしてはノパリン合成酵素のNOS等を好ましく利用できるが、これに限定されない。真核微生物宿主として酵母細胞もよく用いられており、その中でもサッカロミセス属酵母、例えばSaccharomyces cerevisiaeが好ましい。該酵母等の真核微生物の発現ベクターとしては、例えば、アルコール脱水素酵素遺伝子のプロモーター(Bennetzen, J.L. and Hall, B.D.(1982) J. Biol. Chem. 257, 3018-3025) や酸性ホスファターゼ遺伝子のプロモーター(Miyanohara, A.et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80、1-5)等を好ましく利用できる。
得られた形質転換体を常法に従い培養することができ、該培養により細胞内または細胞外に本発明の酵素が産生される。該培養に用いられる培地としては、採用した宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択することができる。たとえば、大腸菌の場合には、LB培地、YT培地、M9培地等を使用することができる。
上記により、形質転換体の細胞内または細胞外に産生される本発明の酵素は、その物理的性質や化学的性質等を利用した各種の公知の分離操作法により、分離・精製することができる。該方法としては、たとえば通常のタンパク質沈殿剤による処理、限外濾過、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換体クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の各種液体クロマトグラフィー、透析法、これらの組合せ等を例示することができる。上記方法により、容易に高収率、高純度で所望の本発明の酵素を工業的規模で製造できる。
本発明に係るPaenibacillus KB0549株のβ−グルコシダーゼ遺伝子を
プライマーSi80F (ATGAGTGAACGACGGGATTTGAAAGCACTG) および
Si80R5 (TCAGCCGTTCAAATATTCAAGCAGCTTGC) または
Si80R6 (GGATATGACGTTGTAACATGATCAGCCG)を用いてPCRで増幅した。増幅したDNA断片をアガロースゲル電気泳動によって精製・抽出し、エントリーベクターpENTER/TEV/D-TOPOに連結した。連結した遺伝子が目的酵素遺伝子であることを塩基配列解析にて確認した。
これをディスティネーションベクターpDEST15, pDEST17にクローニングし、得られた組換え型プラスミドを用いて大腸菌BL21(DE3)細胞を形質転換した。酵素遺伝子の発現は以下のようにして行なった。100ppmのアンピシリンを添加したLB培地を用い37℃で形質転換細胞を培養した。次いで培養液を新鮮なLB培地で50倍に希釈し、23℃で培養を続けた。培養液の光学濁度が0.5−0.6となった時点でイソプロピルチオガラクトシドを1mMの終濃度となるように加え、20℃でさらに一晩培養を続けた。培養後、遠心分離(5000 ×g、15分間)により菌体を回収し、1mg/mlリゾチーム、0.5mM、PWSF、0.05% CHASPを含有する0.01Mリン酸カリウム緩衝液に懸濁した。細胞懸濁液を氷上で1時間静置した後、氷上で超音波処理(Branson sonicator、 10秒間一定周波数での超音波照射を5回)することにより菌体を破砕した。
菌体破砕液を遠心分離し、上清画分と沈殿画分に分離した。沈殿画分は上清画分と同容量の0.01Mリン酸カリウム緩衝液(0.5mM PWSF、0.05% CHAPSを含有する)に懸濁した。両方の画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。
上清画分または沈殿画分(それぞれ200μl)に50μlのセサミノール3G保存溶液(5mg/ml)を添加し、37℃で少なくとも6時間インキュベートした。反応液から50μlをサンプリングし、98℃で3分間加熱することにより酵素反応を停止させた。反応液を遠心分離することにより不溶物を除去し、上清をHPLC分析(上述)に供した。その結果、上清画分の反応液にセサミノールの生成が認められた。
Claims (11)
- セサミノール配糖体のβ−1、2−およびβ−1、6−グルコシド結合およびセサミノール−グルコース間β−1グルコシド結合を切断する活性を有する、Paenibacillus(パエニバチルス)属の微生物から産生される配列番号2のアミノ酸配列を持つ酵素。
- 請求項1に記載の配列番号2のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を持ち、且つセサミノール配糖体のβ−1、2−およびβ−1、6−グルコシド結合およびセサミノール−グルコース間β−1グルコシド結合を切断する活性を有する酵素。
- 受託番号FERM P-21057として寄託したPaenibacillus sp. KB0549と称する請求項1に記載の酵素を産生する微生物。
- 配列番号1に記載の請求項1又2に記載の酵素をコードするデオキシリボ核酸。
- 請求項4に記載のデオキシリボ核酸を含むベクター。
- 請求項5に記載のベクターを導入した形質転換体。
- 形質転換体が大腸菌であることを特徴とする請求項6記載の形質転換体。
- 請求項6に記載の形質転換体によって産生される、セサミノール配糖体のβ−1、2−およびβ−1、6−グルコシド結合およびセサミノール−グルコース間β-グルコシド結合を切断する組換え型酵素。
- 受託番号FERM P-21057として寄託した微生物を5〜70質量%のゴマ油滓またはリグナン配糖体0.01%〜0.5%(w/v)を基質として培養することを特徴とする、セサミノール配糖体のβ−1、2−およびβ−1、6−グルコシド結合およびセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断する請求項1に記載の酵素を製造する方法。
- 請求項6又は7に記載の形質転換体を用いることを特徴とする、セサミノール配糖体のβ−1、2−およびβ−1、6−グルコシド結合およびセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断する請求項1又は2に記載の酵素を製造する方法。
- セサミノールトリグルコシド、セサミノールジグルコシド、セサミノールモノグルコシドからなる群より選ばれる少なくとも1つのリグナンまたは前記リグナンを含む基質材料に請求項9又は10に記載の酵素を製造する方法を用いて生成した酵素を用いたセサミノールの製造方法。
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WO2015119219A1 (ja) * | 2014-02-06 | 2015-08-13 | 国立大学法人東北大学 | 新規β-グルコシダーゼおよび同酵素を用いる易分解性セサミノール配糖体の製造方法 |
JPWO2015119219A1 (ja) * | 2014-02-06 | 2017-03-30 | 国立大学法人東北大学 | 新規β−グルコシダーゼおよび同酵素を用いる易分解性セサミノール配糖体の製造方法 |
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