JPWO2015119219A1 - 新規β−グルコシダーゼおよび同酵素を用いる易分解性セサミノール配糖体の製造方法 - Google Patents

新規β−グルコシダーゼおよび同酵素を用いる易分解性セサミノール配糖体の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明が解決すべき課題は、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素活性を有し、かつ6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性が抑制されたβ−グルコシダーゼを提供することである。本発明は、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するか;又は配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加してなるアミノ酸配列を有し、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素活性を有し、かつ6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性が抑制されている、ペプチドを提供する。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2014年2月6日に出願された、日本国特許出願第2014−021669号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
本発明は、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素、および同酵素を用いる易分解性セサミノール配糖体の製造方法に関する。
セサミノール(SML)はゴマ油に含まれる抗酸化成分であり、動脈硬化予防作用などヒトの健康に有益な様々な効果をもつことが知られており、健康補助食品、化粧品素材等として有望視されている。SMLは著しく水溶性が低く、健康補助食品や化粧品中で沈殿を生成するなど実用上の難点があり、SMLを水に溶けやすい形に修飾する技術の確立が強く望まれていた。
SMLはゴマ種子中では3つのグルコース規基が分岐状に結合した配糖体であるセサミノールトリグルコシド(STG)として存在する。STGの水溶性は高いが、分岐糖鎖部分が生体内で分解できないため、生理活性体(SML)に変換できない。
本発明者らは以前、STGを効率よく分解してSMLを生成する酵素PSTG1を見出している(特許文献1)。STGからセサミノールが産生する反応スキームを図1に示す。PSTG1による反応の際には、図1中、c、f及びgの反応が主に生じていると考えられる。この酵素反応の過程で生成する6−セサミノールジグルコシド(6−SDG)及びセサミノールモノグルコシド(SMG)は水溶性が高く、かつ生体内でも分解されやすいため(易分解性)産業的利用価値が高い。従来の酵素では、STGのβ−1,2−グルコシド結合を切断することができなかったが、PSTG1は当該結合を切断することができる。しかしながら、PSTG1による反応ではSTGから6−SDGへの変換活性及び6−SDGからSMGへの変換活性だけでなくSMGからSMLへの変換活性が高いため、STGはSMLにまで変換されてしまい、6−SDG及びSMGはわずかしか得られない。
特許第4839231号
セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素活性を有し、かつ6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性が抑制されたβ−グルコシダーゼを提供することを課題とする。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意研究した結果、Paenibacillus sp. KB0549中からPSTG1とは異なる全く新規のβ−グルコシダーゼを単離することに成功し、かかるβ−グルコシダーゼにより、上記課題を解決できることを見出した。
従って、本発明は以下の項を提供する:
項1.配列番号2に示すアミノ酸配列を有するか;又は
配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加してなるアミノ酸配列を有し、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素活性を有し、かつ6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性が抑制されている、
ペプチド。
項2.項1に記載のペプチドをコードする核酸分子。
項3.項2に記載の核酸分子を含むベクター。
項4.項3に記載のベクターを導入した形質転換体。
項5.大腸菌である、項4に記載の形質転換体。
項6.項4又は5に記載の形質転換体により生産される、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素。
項7.項2に記載の核酸分子を用いる、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素の製造方法。
項8.項4又は5に記載の形質転換体を培養する工程を含む、項7に記載の方法。
項9.項2に記載の核酸分子に、RNAを合成する因子及び/又はペプチドを合成する因子等を作用させる工程を含む、項7に記載の方法。
項10.セサミノールトリグルコシドを含む基質材料に、項1に記載のペプチド又は項6に記載の酵素を作用させる工程を含む、セサミノールモノグルコシド及び/又は6−セサミノールジグルコシドの製造方法。
項11.セサミノールトリグルコシドを含む基質材料に、項1に記載のペプチド又は項6に記載の酵素を作用させて6−セサミノールジグルコシドを得る工程、及び
上記工程で得られた6−セサミノールジグルコシドに、β−1,6−グルコシド結合を切断する酵素を作用させる工程、
を含むセサミノールモノグルコシドの製造方法。
項12.β−1,6−グルコシド結合を切断する酵素がセルラーゼである、項11に記載の方法。
本発明によれば、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素活性を有し、かつセサミノールモノグルコシドのセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性が抑制されたβ−グルコシダーゼを提供することができる。
STGからセサミノールが産生する反応スキームを示す。 配列番号1で示す塩基配列(PSTG2をコードする核酸分子の塩基配列)を示す。 配列番号2で示すアミノ酸配列(PSTG2のアミノ酸配列)を示す。 配列番号3で示すアミノ酸配列(PSTG1のアミノ酸配列)を示す。 本願実施例中「3.1 PSTG2のSTG分解」の結果を示す。 本願実施例中「3.3. PSTG1とPSTG2の反応性評価」の結果を示す。 本願実施例中「4. PSTG2とセルラーゼによるSTGからのSMG産生」の結果を示す。 本願実施例中「5. セルラーゼのSTGに対する反応性(参考例)」の結果を示す。 本願実施例中「6. 各種セルラーゼの6-SDGに対する反応性(参考例)」の結果を示す。
本発明において「ペプチド」とは、オリゴペプチド及びポリペプチドを含む意味で用いられる。また、本明細書中において、「核酸」は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドと同義であって、DNAおよびRNAの両方を含むものとする。また、これらは2本鎖であっても1本鎖であってもよく、ある配列を有する核酸分子といった場合、特に言及しない限り、これに相補的な配列を有する核酸分子(またはヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド)も包括的に意味するものとする。さらに、核酸分子(またはヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド)がRNAである場合、配列表に示される塩基記号「T」は「U」と読み替えられるものとする。
ペプチド
本発明は、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するペプチドを提供する。配列番号2に示すアミノ酸配列を図3に示す。ここで、配列番号2に示すアミノ酸配列は、本願実施例において製造した酵素PSTG2のアミノ酸配列である。
本発明にかかるペプチドは、セサミノールの生成が有意に抑えられる限りにおいて、配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加してなるアミノ酸配列を有するものであってもよい。従って、本発明において、「6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性が抑制されている、ペプチド」には、6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合を切断してセサミノールモノグルコシドを生成する酵素活性及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性の両方が抑制されているペプチドだけでなく、6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合を切断してセサミノールモノグルコシドを生成する酵素活性は高いもののセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性が抑制されており、その結果セサミノールの生成が抑制されるようなペプチドも含まれる。
本発明にかかるペプチドとしては、配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加してなるアミノ酸配列を有するものであって、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素活性を有し、かつ6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性が、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素活性よりも低い、ペプチド等が挙げられる。
本発明において、「6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性が、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素活性よりも低い」とは、例えば、本願実施例「3.1 PSTG2のSTG分解」に記載の方法に従い測定した180分後のセサミノールの濃度が6−SDGの濃度よりも低いことを示す。例えば、本願実施例「3.1 PSTG2のSTG分解」に記載の方法に従い測定した180分後のセサミノールの濃度が6−SDGの濃度よりも少ないペプチド、セサミノールの濃度が6−SDGの濃度の1/2以下となるようなペプチド、1/3以下となるようなペプチド等が挙げられる。
また、本発明にかかるペプチドとしては、配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加してなるアミノ酸配列を有し、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素活性を有し、かつ6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性がPSTG1よりも低い、ペプチド等も挙げられる。
本発明において、「6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性」は本願実施例「3.1 PSTG2のSTG分解」に記載の方法に従い測定した180分後のセサミノールの濃度により評価できる。本発明において、「6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性がPSTG1よりも低い」とは、上記方法によりえられた測定開始後180分後のセサミノールの濃度がPSTG1を用いた場合のセサミノール濃度より低いことを意味する。本発明において、6−セサミノールジグルコシドとは、図1に6−SDGとしてしめされたβ−1,6−グルコシド結合を有するセサミノールジグルコシドを意味する。また、PSTG1とは、特許文献1に配列番号2として記載されたアミノ酸配列を有する酵素を意味する。PSTG1のアミノ酸配列を本明細書では、図4に、配列番号3として示す。
本発明のペプチドは酵素である。そして、本発明のペプチドは、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素活性を有し、かつ6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性が抑制されている。
核酸分子
本発明は、上記本発明のペプチドをコードする核酸分子を提供する。かかる核酸分子としては、例えば、配列番号1に示す塩基配列を有する核酸分子、配列番号1に示す塩基配列において、1又は数個の塩基が変異してなるもの等が挙げられる。例えば、配列番号1に示す塩基配列に対し、非コード部位の変異、もしくはエキソンにおける最終的なアミノ酸配列には関与しない範囲での変異であるサイレント変異を生じさせたもの等が挙げられる。
配列番号1に示す塩基配列を、図2に示す。ここで、配列番号1に示す塩基配列とは、本願実施例で製造した酵素PSTG2をコードする塩基配列である。
また、本発明の核酸分子としては、これらの塩基配列に相補的な塩基配列の核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするものも含まれる。
「ある核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子」は、例えばMolecular Cloning : A Laboratory Manual ( Sambrook, ら編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、1989年)等に記載の方法によって得ることができる。
本発明において、「ストリンジェントな条件」としては、例えば、6×SSC、0.5%SDS及び50%ホルムアミドの溶液中で42℃で加温した後、0.1×SSC、0.5%SDSの溶液中で68℃で洗浄した場合に、陽性のハイブリタイズのシグナルが観察される条件が挙げられる。
ベクター
本発明は、上記本発明のペプチドをコードする核酸分子を含むベクターを提供する。本発明においては、プラスミドベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター等いずれのベクターであっても利用できる。
当該ベクターに本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む塩基配列をクローニングする方法としては、自体公知の方法を用いて行うことができ、例えば、発現制御シグナル(転写開始及び翻訳開始シグナル)等をコード領域の上流に配置する等して、宿主微生物に応じて該遺伝子が微生物菌体中で自発現可能となるよう設計することができる。
形質転換体
本発明は、上記ベクターを導入した形質転換体を提供する。宿主となる微生物としては、例えば、大腸菌、枯草菌、放線菌などの細菌、酵母、糸状菌、植物細胞、動物細胞、昆虫細胞等を使用することができ、大腸菌等が好ましい。
微生物を形質転換する方法はすでに多くの方法が報告されており、宿主として使用する微生物に応じて適宜選択すればよい。従って、かかる変異株の作製方法としては、自体公知の方法を適宜用いて、例えば、本発明のペプチドをコードする核酸分子を含む遺伝子カセットの構築及びゲノム遺伝子への当該カセットの導入等により行うことができる。また、本発明の形質転換体は、例えば、本願実施例に記載の方法により製造することができる。
酵素の製造方法
本発明はまた、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素の製造方法を提供する。本発明の方法においては、前述の本発明の核酸分子が用いられる。
かかる酵素の製造方法としては、前述した形質転換体を培養する工程を含む方法、本発明の核酸分子を鋳型として用いる無細胞タンパク質合成により酵素を製造する方法等が挙げられる。
一つの実施形態において、本発明は、上記形質転換体を培養する工程を含む、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素の製造方法を提供する。当該実施形態においては、本発明の核酸分子はベクターを介してレシピエント細胞に導入され形質転換体を製造するかたちで用いられる。従って、当該実施形態も、「本発明の核酸分子を用いる、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素の製造方法」に含まれる。
本発明の方法は、上記形質転換体を培養して、当該形質転換体にセサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素を生成させる工程を含む。当該工程で用いる培地としては、特に限定されず、自体公知のものを広く使用することができる。例えば、LB培地、CD最小培地、YPD培地、TSB培地、普通寒天培地,Murashige-Skoog培地,ダルベッコMEM培地,各種昆虫細胞用基礎培地等が挙げられる。培養温度は特に限定されず、10〜45℃、より好ましくは15〜37℃の範囲で適宜設定できる。培養時間も特に限定されないが、例えば、18〜336時間、より好ましくは24〜48時間の範囲で適宜設定できる。本発明において、上記培養工程は、形質転換体の増殖のための工程と、形質転換体から酵素を発現させる条件での培養とを分けて行うような実施形態も含まれる。
別の実施形態において、本発明の方法にはまた、無細胞タンパク質合成系を用いて,セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素を生成させる方法を含む方法も含まれる。かかる方法は、核酸分子を鋳型とし、当該核酸分子に、RNAを合成する因子、ペプチドを合成する因子等を作用させることにより行われる。RNAを合成する因子としては、公知のRNAポリメラーゼ等を適宜使用することができる。ペプチドを合成する因子としては、例えば、リボソーム等が挙げられる。本発明においては、これらの因子を含む細胞溶解物等、またはこれらを含むキット等を用いることができる。具体的には、例えば、本発明の核酸分子を鋳型にして,フナコシ社の「RTS無細胞系タンパク質合成キット」や島津製作所社の「無細胞タンパク質合成キット Transdirect insect cell」を用いて試験管内で酵素を生成させる方法等が挙げられる。
本発明にかかる酵素の製造方法は、培養培地や無細胞系タンパク質合成反応液からの酵素の回収工程を含んでいてもよい。培養培地や無細胞系タンパク質合成反応液からの酵素の回収方法としては、特に限定されず、自体公知の方法(遠心分離、クロマトグラフィー、ゲルろ過等)を適宜用いることができる。
セサミノールモノ又はジグルコシドの製造方法
本発明は、セサミノールトリグルコシドを含む基質材料に、前述した本発明のペプチドを作用させる工程を含む、セサミノールモノグルコシド及び/又は6−セサミノールジグルコシドの製造方法を提供する。
セサミノールトリグルコシドに本発明のペプチドを作用させると、β−1,2−グルコシド結合が切断され、6−セサミノールジグルコシドが生成される。
基質材料に本発明のペプチドを作用させる反応液中の基質濃度は特に限定されないが、例えば、0.1〜230 mM、より好ましくは1〜115 mMの範囲で適宜設定できる。
ペプチド及び基質材料を添加する反応液としては、本発明が属する技術分野において用いられている緩衝液等を広く採用することができる。
本発明において、上記ペプチドは、前記酵素の製造方法で得られたペプチドを含む培地から形質転換体を遠心分離などで取り除いたものを用いても、ペプチドを単離精製したものを用いてもよく、また当該ペプチドを産生する形質転換体を培地に添加するかたちで用いてもよい。
本発明においては、セサミノールトリグルコシドに本発明のペプチドを作用させる工程の後に、又は当該工程と同時に、6−セサミノールジグルコシドに、β−1,6−グルコシド結合を切断する酵素を作用させる工程を加えてもよい。当該工程により、6−セサミノールジグルコシドがセサミノールモノグルコシドに変換される。
β−1,6−グルコシド結合を切断する酵素としては、自体公知の酵素を用いることができる。例えば、より具体的には、下記商品名で市販されているもの等のセルラーゼを用いることができる:エンチロンCM(洛東化成工業社製)、エンチロンS−KTL(洛東化成工業社製)、GODO−TCF(合同酒精社製)、スクラーゼC(三菱化学フーズ社製)、マルチフェクト(登録商標)GCエクストラ(ダニスコジャパン社製)、セルラーゼオノズカ3S(ヤクルト薬品工業社製)、パンセラーゼ(登録商標)BR(ヤクルト薬品工業社製)、セルラーゼXL−531(ナガセケムテックス社製)、セルラーゼSS(ナガセケムテックス社製)、スミチーム(登録商標)C(新日本化学工業社製)、スミチーム(登録商標)BGA(新日本化学工業社製)、セルロシン(登録商標)AC40(エイチビィアイ社製)、アマノ4(天野エンザイム株式会社社製)等。
また、本発明にかかるセサミノールモノ又はジグルコシドの製造方法は、培養培地からのセサミノールモノ又はジグルコシドの回収工程を含んでいてもよい。培養培地からのセサミノールモノ又はジグルコシドの回収方法としては、特に限定されず、自体公知の方法(遠心分離、再結晶、蒸留法、溶媒抽出法、クロマトグラフィー等)を適宜用いることができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明がこれに限定されないことは明らかである。
1. KB0549株のゲノム上に存在するPSTG遺伝子の周辺塩基配列の決定
1.1 KB0549株のゲノム抽出
KB0549株(受託番号FERM P-21057として寄託されたPaenibacillus sp.)のゲノムを次のようにして抽出した。KB0549株をグリセロールストックからKB通常培地(1% Tripton, 0.5% Yeast Extract) 100 mlに植菌し、37℃で二日間振盪培養した。培養液10 ml分を遠心して集菌し、TEバッファー(10 mM Tris-HCl (pH 8.0), 1 mM EDTA)で洗浄した。567μlのTEバッファーに再懸濁し、10% SDSを30 μl、10 mg/ml Proteinase Kを6 μl添加し、37℃で1時間インキュベートすることで溶菌および内在タンパク質の分解を行った。その後5 M NaClを100 μl添加して十分に懸濁し、10% CTAB-0.7 M NaClを100 μl添加した。65℃で10分間インキュベートしてタンパク質および多糖類等とCTAB間に不溶性の複合体を形成させ、等量のCIA溶液(chloroform : isoamyl alocohol = 24 : 1) を添加して5分間遠心し上層を回収した。さらに回収した上層に対してフェノール・クロロホルム抽出を行い、回収した上層に0.6倍量のイソプロパノールを添加してゆっくりと転倒混和した。析出したゲノムを回収して70%エタノールで3回洗浄し、遠心エバポレーターを用いて溶媒を揮発させた後400 μlのTEバッファーに溶解させた。ここに10 mg/ml RNaseAを0.4 μl添加し37℃で30分間インキュベートすることで、抽出したゲノム中に含まれるRNAを分解した。さらに10 mg/ml ProteinaseKを4 μl添加して37℃で1時間インキュベートした後、フェノール・クロロホルム抽出を行った。回収した上層に1/10倍量の3 M 酢酸ナトリウム、2.2倍量のイソプロパノールを添加してゆっくりと転倒混和し、析出したゲノムを回収した。これを70%エタノールで3回洗浄した後遠心エバポレーターを用いて溶媒を揮発させ、適量のTEバッファーに溶解させた。このDNA溶液をKB0549株のゲノム溶液とした。
1.2 inverse PCR法によるPSTG遺伝子周辺領域の決定
PSTG遺伝子の周辺に存在する遺伝子を探索するため、inverse PCR法を用いて既知配列の伸長を試みた。
制限酵素の選択にあたり、5'側の伸長にはBsiWI (New England Biolabs) 、3'の伸長にはHpaI (New England Biolabs) を使用することとした。制限酵素によるゲノム消化の反応条件はHpaIの場合は37℃、1時間、BsiWIの場合は55℃で一時間インキュベートした。その後フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行った。TEバッファー5 μlに溶解させ、ligation high ver. 2 (TOYOBO) 5 μlを添加して16℃で30 分間反応させた。再びフェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、10 μlのTEバッファーに溶解させた。このDNAを鋳型として1st PCRを行った。反応条件と用いたプライマーを下に示す。なおDNAポリメラーゼはKOD FX (TOYOBO) を用いた。鋳型量は5 ng/20 μlとし、反応液組成は製造業者の推奨する条件に従った。反応終了後、1st PCRの反応液を用いて2nd PCRを行った。反応液組成および反応条件は1st PCRと同様に行い、1st PCRの反応液の10倍希釈液1 μlを鋳型として反応系に添加した。
Figure 2015119219
反応終了後2nd PCRの反応液を0.6%アガロースゲルに供して電気泳動を行って最もサイズが大きいバンドを切り出し、そのゲル中に含まれるDNA断片をHigh pure PCR product purification kit (Roche) を用いて回収し、DNAシーケンス解析を行った。
決定したPCTG遺伝子の周辺塩基配列についてOpen Reading Frame (ORF) を探索した。ORFの探索には遺伝情報処理ソフトウェア GENETYXのORF検索機能およびORF Finder (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/gorf/) を使用し、ヒットしたORF候補の内5'側の上流領域にシャイン-ダルガノ配列が存在するものをORFとした。
2. PSTG遺伝子周辺に存在する遺伝子のクローニング
各ORFのアミノ酸配列をBLAST検索したところ、PSTG遺伝子の上流領域にGlycoside Hydrolase family 3 (GH3) 、下流領域にエステラーゼ、Glycoside Hydrolase family 20 (GH20) に属すると考えられる遺伝子が順次存在していた。そこでKB0549株のゲノムからこれらの遺伝子のクローニングを試みた。
2.1 遺伝子増幅
取得したKB0549株のゲノムを鋳型として制限酵素サイトを付加したプライマーを用いてPCRを行い、上述の3つの遺伝子を増幅した。DNAポリメラーゼはKOD-plus neo-を用い、反応液組成は製造業者の推奨する条件に従った。用いプライマーセットとサイクル条件を以下に示す。
Figure 2015119219
2.2 PSTG遺伝子周辺遺伝子のサブクローニング
得られたDNA断片に対して10x A-attachment mix (TOYOBO)を用いて60℃、30 minの条件でdA付加を行った。反応液組成は製造業者の推奨する条件に従った。dA付加後のDNA断片を0.8%アガロースゲルに供して電気泳動を行って分離し、目的の断片と同じ大きさのバンドを切り出した。そのゲル中の断片をHihg pure PCR product purification kit (Roche) を用いて回収した。回収したDNA断片をpGEM-T Easy Vector Systems (Promega) を用いてpGEM-T-easy vectorへと挿入した。作成したプラスミドで大腸菌株DH5αを形質転換し、50 μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地上において37℃で一晩培養した。生育したコロニーの内、白色のものについてコロニーPCRを行い目的のDNA断片を持つものをさらに選抜した。選抜したコロニーをアンピシリンを含むLB液体培地 (50 μg/ml) で一晩培養し、FastGene Plasmid Mini Kit (FastGene) を用いてプラスミドを回収した。回収したプラスミドの目的DNA断片中のPCRエラーの有無を、DNAシークエンシング解析を行い確認した (コンストラクト名;pGEM T Easy esterase, GH20, or GH3)。
2.3. 大腸菌異種発現用コンストラクトの作製
エステラーゼ、GH20、GH3を大腸菌で異種発現するためのコンストラクトの作成を行った。2.2で作成したプラスミドに対して、挿入した目的DNA断片を制限酵素を用いて切り出した(esterase; XhoI/PstI, GH20, GH3; SacI/XhoI)。切り出したDNA断片を0.8%アガロースゲルに供して電気泳動を行って分離し、目的DNA断片のバンドを切り出した後、ゲル中のDNA断片を前述の方法で回収した。発現ベクターpColdI (Takara)も同様の制限酵素で処理した後、pColdIと目的DNA断片をLigation high Ver.2 (TOYOBO) を用いてpColdIへと挿入した(コンストラクト名;pColdI esterase, GH20, or GH3)。
2.4. 発現誘導
2.3.で作成したコンストラクト(pColdI esterase, GH20, or GH3)で大腸菌株BL21を形質転換し、50 μg/ml アンピシリンを含むLB培地寒天培地上において37℃で一晩培養した。生育したコロニーに対してコロニーPCRを行い、目的のDNA断片を持つコロニーを選抜した。選抜したコロニーを50 μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地1 mlに植菌し、37℃で一晩培養した。この培養液をLB液体培地100 mlに1 ml植菌し37℃で振盪培養した。600 nmにおける光学濃度が0.4-0.5に達した際に氷水で急冷後、15℃で30分間振盪してコールドショックプロモーターを活性化させた。その後IPTGを終濃度が1 mMとなるように培養液に添加し、15℃で24時間振盪培養した。
2.5. 異種発現酵素の精製
以下の精製作業はすべて4℃で行った。3.1.5で発現誘導した菌体を4℃、7000 x gで5分間遠心して回収し、binding buffer (20 mM リン酸ナトリウム buffer(pH 7.4), 500 mM NaCl, 20 mM Imidazole) で洗浄した。ペレットを破砕用バッファー (20 mM リン酸ナトリウムbuffer(pH 7.4), 500 mM NaCl, 20 mM Imidazole, 1 mM フッ化フェニルメチルスルホニル (PFMS), 1 mg/ml lysozyme) 10 mlに懸濁し、超音波破砕機 (Branson sonifier 250)を用いて破砕した(Output Control 2 , Duty cycle 40%, 1 min on, 2 min off x 3)。破砕後4℃、15000 x gで30分間間遠心して膜画分などの残滓を除去し、上清を0.45 μm シリンジフィルター (Millipore) に通すことで残滓を完全に取り除いたものを粗酵素液とした。
異種発現タンパク質にはそのN末端にHis-tagが付与されている.そこで目的タンパク質の精製をNi2+アフィニティークロマトグラフィーカラムHis Trap HP 1ml (GE Healthcare) を用いて行うこととした。精製を行う前に超純粋10 mlをカラムに通して洗浄した後、binding buffer 5 mlをカラムに通してカラムの平衡化を行った。その後粗酵素液をカラムに供しHis tag融合タンパク質をカラム内のNi2+と吸着させた後、binding buffer 5mlをカラムに通し、カラムとの結合が弱い夾雑タンパク質を流出させた。その後elution buffer 5mlによりHis tag融合タンパク質を溶出させた画分を回収し、さらにelution buffer中のイミダゾール濃度を段階的に高くして繰り返し溶出を行った。回収したそれぞれの画分に含まれるタンパク質をSDS-PAGEにより分離し、CBB染色を行うことで夾雑タンパク質の少ない最適な溶出条件の検討を行った。その後夾雑タンパク質が見られない画分中の目的タンパク質の濃縮、バッファー交換を、限外濾過膜であるAmicon Ultra 50 K (Milipore) を用いて行った。溶出画分を限外濾過膜に供して 3000 x gで遠心して溶液を落とした後、10 mlの10 mM KPB (pH 7.0) を供して前述と同様の条件で遠心した。この操作を再び行うことで目的タンパク質の濃縮とバッファーの置換を行った。このタンパク質溶液の濃度をブラッドフォード法により求めた。
3.GH3(PSTG2)の機能解析
PSTG1遺伝子周辺に存在する遺伝子の中で、PSTG1と同じ酵素ファミリーに属すると考えられるGH3について機能解析を行った。以下、GH3をPSTG2と示す。
3.1 PSTG2のSTG分解
PSTG2のSTGに対する反応性を評価した。反応液組成を以下に示す。
Figure 2015119219
精製酵素を添加していない反応液を調整し、37℃で10分間予熱した。その後精製酵素を添加することで酵素反応を開始させ、0、10、30、60、120、180分間37℃でインキュベートした。98℃で3分間熱処理することで酵素を失活させた後氷水で急冷し、4℃で遠心後反応液の逆相HPLC分析を行った。HPLC条件は、Mightysil GP RP-18GP (ODS) 150 x 4.6 mm (関東化学) カラムを室温で用い、移動相A (20% (v/v) acetnitrile, 0.1% (v/v) TFA) と移動相B (80% (v/v) acetnitrile, 0.1% (v/v) TFA) を用いた。展開条件は,5分間B10%で平衡化したカラムにサンプルを注入後、B10%で3分間定組成溶離し、次いでBを10%から100%の直線勾配で24分間展開した。その後B100%で三分間洗浄し、B100%からB10%へ直線勾配で1分間展開後、同組成で5分間カラムを平衡化した。流束は0.7 ml/minとした。セサミノールとその配糖体の検出をダイオードアレイ検出器SPD-M20A (島津) を用いて行った。検出波長は290 nmとした。
結果を図5に示す。図5から明らかなように、STGにPSTG2を作用させることにより、STGのβ−1,2−グルコシド結合が切断されて、6-SDGが生成されていることが分かる。また、セサミノールの生成は非常に抑えられている。
3.2. PSTG1のSTG分解
PSTG1のSTGに対する反応性を評価した。反応液組成を以下に示す。
Figure 2015119219
精製酵素を添加していない反応液を調整し、37℃で10分間予熱した。その後精製酵素を添加することで反応を開始させ、0、10、30、60、120、180分間37℃でインキュベートした。反応終了後98℃で3分間加熱して酵素を失活させ、反応液を逆相HPLCにより分析した。HPLC条件はPSTG2の反応性評価に用いたものと同様に行った。
3.3. PSTG1とPSTG2の反応性評価
PSTG1とPSTG2をともに反応系に添加し、STG分解のタイムコースを評価した。反応液組成を以下に示す。
Figure 2015119219
精製酵素を添加していない反応液を調整し、37℃で10分間予熱した。その後精製酵素を添加し、添加した時点から0、10、30、60、120、180分間37℃でインキュベートすることで酵素反応を進行させた。98℃で3分間加熱して酵素を失活させた後氷上で急冷し、4℃で遠心後逆相HPLC分析を行った。HPLC条件はPSTG2の反応性評価に用いたものと同様に行った。
結果を図6に示す。図6に示されるように、STGにPSTG1を作用させた場合、STGの濃度は経時的に減少し、SMGの濃度は低く抑えられているが、セサミノールの濃度が経時的に上昇している。これらのことから明らかなように、PSTG1によりSTGのβ−1,2−グルコシド結合が切断されているだけでなく、β−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合も切断されていることが分かる。
4. PSTG2とセルラーゼによるSTGからのSMG産生
精製したPSTG2および市販のセルラーゼであるエンチロン S-KTL (洛東化成工業) を用いて、STGを基質としたSMG産生を試みた。
第一反応としてPSTG2、第二反応としてエンチロンS-KTLの反応を行った。第一反応の反応液組成を示す。
Figure 2015119219
精製酵素を添加していない反応液を調整し、37℃で10分間予熱した。精製酵素を添加することで反応を開始させ、37℃で30分間インキュベートした後98℃で3分間熱処理することで酵素を失活させた。
第二反応として、第一反応液にエンチロンS-KTLを7.71 μlとKPB (pH 7.0) を添加して総量を60 μlとし、37℃で30分間インキュベートした。反応終了後98℃で3分間熱処理することで酵素を失活させ、4℃で遠心後反応液を逆相HLPCにより分析した。
結果を図7に示す。図7において、「0-0」とは第一反応(PSTG2との反応)及び第二反応(エンチロンS-KTLの反応)のいずれも行う前の状態を示す。「30-0」は第一反応(PSTG2との反応)のみ30分行った後の各種セサミノール配糖体の濃度を示す。「30-15」は第一反応(PSTG2との反応)を30分行った後、さらに第二反応を15分行った後の各種セサミノール配糖体の濃度を示す。「30-30」は第一反応(PSTG2との反応)を30分行った後、さらに第二反応を30分行った後の各種セサミノール配糖体の濃度を示す。図7から明らかなように、PSTG2のみ作用させた場合には、STGが6-SDGに変換され、その後さらにセルラーゼを作用させることにより、6-SDGがSMGに変換されている。
5. セルラーゼのSTGに対する反応性(参考例)
上記4.で使用したエンチロンS-KTLのSTGの分解活性を評価した。反応液組成を以下に示す。
Figure 2015119219
精製酵素を添加していない反応液を調整し、37℃で10分間予熱した。その後精製酵素を添加し、添加した時点から0、10、30、60、120、180分間37℃でインキュベートすることで酵素反応を進行させた。98℃で3分間加熱して酵素を失活させた後氷上で急冷し、4℃で遠心後逆相HPLC分析を行った。HPLC条件はPSTG2の反応性評価に用いたものと同様に行った。
結果を図8に示す。図8に示すように、STGにセルラーゼを作用させた場合、β−1,2−グルコシド結合ではなくβ−1,6−グルコシド結合が切断されてしまい、2−セサミノールジグルコシド(2-SDG)が生成されてしまった。2-SDGは生体で分解し難いため、生体内で活性体であるセサミノールが産生されない。
6. 各種セルラーゼの6-SDGに対する反応性(参考例)
p-ニトロフェニルβグルコシドの加水分解活性で酵素量(10ユニット)を揃えた各セルラーゼ標品の6-SDG分解活性を比較した。すなわち、0.8mM 6-SDGを含有する0.01 Mリン酸カリウム緩衝液700μlにセルラーゼ10ユニットを添加し、37℃で5 minインキュベートした。98℃で2 min反応液を処理して反応を停止し、遠心分離して得られた上清を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、反応液中に残存する6-SDG、および生成したセサミノールモノグルコシド(SMG)とセサミノールの量を求めた。
結果を図9に示す。図9中、SDGとは、6-SDGを示す。図9に示すように、いずれのセルラーゼも6-SDGをSMGに変換しており、かつセサミノールの生成は抑えられている。従って、エンチロンS-KTLに代えて、これらのセルラーゼを用いる以外、上記「4. PSTG2とセルラーゼによるSTGからのSMG産生」と同様の操作を行うことにより、STGからSMGを生成することができ、かつセルラーゼの生成を抑えることができるものと考えられる。
配列番号4はプライマーである。
配列番号5はプライマーである。
配列番号6はプライマーである。
配列番号7はプライマーである。
配列番号8はプライマーである。
配列番号9はプライマーである。
配列番号10はプライマーである。
配列番号11はプライマーである。
配列番号12はプライマーである。
配列番号13はプライマーである。

Claims (8)

  1. 配列番号2に示すアミノ酸配列を有するか;又は
    配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加してなるアミノ酸配列を有し、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素活性を有し、かつ6−セサミノールジグルコシドのβ−1,6−グルコシド結合及びセサミノール−グルコース間のβ−グルコシド結合を切断してセサミノールを生成する酵素活性が抑制されている、
    ペプチド。
  2. 請求項1に記載のペプチドをコードする核酸分子。
  3. 請求項2に記載の核酸分子を含むベクター。
  4. 請求項3に記載のベクターを導入した形質転換体。
  5. 大腸菌である、請求項4に記載の形質転換体。
  6. 請求項4又は5に記載の形質転換体により生産される、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素。
  7. 請求項4又は5に記載の形質転換体を培養する工程を含む、セサミノール配糖体のβ−1,2−グルコシド結合を切断する酵素の製造方法。
  8. セサミノールトリグルコシドを含む基質材料に、請求項1に記載のペプチド又は請求項6に記載の酵素を作用させる工程を含む、セサミノールモノグルコシド及び/又は6−セサミノールジグルコシドの製造方法。
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