JP2011067157A - 藻類由来のマンニトール合成関連遺伝子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 形質転換体内で効率的なマンニトール合成を可能とするM1PDH遺伝子およびM1Pase遺伝子を単離すること、並びに、それら遺伝子を利用してストレス耐性が向上された植物や微生物などを開発すること。
【解決手段】アヤギヌから精製した酵素の部分アミノ酸配列の決定と、その配列情報を基に設計したプライマーを利用したPCRなどにより、アヤギヌからM1PDH遺伝子およびM1Pase遺伝子を取得することに成功した。これら遺伝子の導入により、植物内や微生物内におけるマンニトール合成を効率的に行うことが可能となり、引いては、これら生物のストレス耐性を向上させることが可能である。
【選択図】なし

Description

本発明は、藻類のマンニトール合成に関連するマンニトール-1-リン酸デヒドロゲナーゼ(M1PDH)遺伝子およびマンニトール-1-リン酸ホスファターゼ(M1Pase)遺伝子、並びにそれらの利用に関し、特にストレス耐性が向上された植物や微生物の開発などへの利用に関する。
マンニトールは生物界で最も広く存在する糖アルコールであり、細菌や菌類、藻類、植物、原生生物など多くの生物でマンニトールの合成能力が確認されている。本物質は、適合溶質として優れた特性を有し、細胞内での高濃度の蓄積が可能であることから、炭素鎖や還元力蓄積の貯蔵物質として利用される他、浸透圧調整物質として生体内で機能している。特に、マンニトールは活性酸素を消去する能力を有していることから、乾燥や高塩濃度など、環境の水ポテンシャル低下ストレスの対応物質として重要視されている。そのため、マンニトールの合成経路導入による有用植物への耐塩性付与に関するする研究が多数行われている。
しかし現在まで、いずれの形質転換体においてもマンニトールの蓄積濃度は低く、その局在も、本来の局在場所である細胞質ではなく、葉緑体に蓄積される場合もあり、耐塩性のレベルは、実用レベルに至っていないのが現状である(非特許文献1)。その原因として、マンニトール合成経路の内、フルクトース-6-リン酸(F6P)からマンニトール-1-リン酸(M1P)を触媒するM1PDHのみを遺伝子導入し、合成の最終段階を触媒するM1Pase遺伝子を導入していないことが挙げられる。このようにM1Pase遺伝子が利用されてこなかったのは、現在までに、バクテリアや菌類、藻類、植物においてM1Paseの遺伝子配列が明らかにされていないことに起因すると考えられる(非特許文献1)。また、従来技術が実用レベルに至っていない他の原因としては、導入されてきたM1PDH遺伝子が、マンニトール分解を触媒する大腸菌由来の遺伝子であり、マンニトールの効率的な合成に不向きであったことが挙げられる。
このため、形質転換体内で効率的なマンニトール合成を可能とするM1PDH遺伝子およびM1Pase遺伝子の双方の単離が望まれていた。
Iwamoto K and Shiraiwa Y. Marine Biotechnology. 7: 407-15,2005. Iwamoto K, Kawanobe H, Ikawa T, Shiraiwa Y. Plant Physiology. 133: 893-900,2003. Iwamoto K, Kawanobe H, Shiraiwa Y, Ikawa T. Marine Biotechnology. 3: 493-500,2001.
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、形質転換体内で効率的なマンニトール合成を可能とするM1PDH遺伝子およびM1Pase遺伝子を単離することにある。さらなる本発明の目的は、取得した遺伝子を利用して、ストレス耐性が向上された植物や微生物などの生物を開発することにある。
本発明者らは、広塩性紅藻アヤギヌ(Caloglossa continua)のM1PDHが、タンパク質レベルでイオン強度に対応した活性制御が行われることから、その遺伝子を用いれば、細胞内の糖代謝を乱すことなく外界の塩環境に対応したマンニトール合成を実現することができるのではないかと考えた。また、光合成生物では、藻類、植物ともに、F6Pを基質として、最終的にM1Paseによりマンニトールが合成される点で共通するが、藻類では、M1PがM1PDHによってF6Pから直接合成されるのに対し、植物では、マンノース-6-リン酸イソメラーゼとマンノース-6-リン酸還元酵素によりマンノース-6-リン酸を経由して合成されるという相違がある。このため、本発明者らは、光合生成物由来のマンニトール合成関連遺伝子を利用する場合、藻類の経路(従って、藻類の遺伝子)を採用した方が、効率的にマンニトールを合成しうると考えた。このような発想から、本発明者らは、アヤギヌのマンニトール合成関連遺伝子であるM1PDH遺伝子およびM1Pase遺伝子の取得を試みることとした。
しかしながら、M1PDH遺伝子については、細菌や菌類で報告されているのみであり、一方、M1Pase遺伝子については、アピコンプレクサ(Eimeria tenella)で報告されているのみである。従って、公知の遺伝子配列情報を基に、アヤギヌの遺伝子を取得することは困難であると考えられた。
このため、本発明者らは、アヤギヌから精製した酵素における部分アミノ酸配列の決定、決定したアミノ酸配列情報を基に設計したプライマーを利用したPCR(polymerase chain reaction)による遺伝子増幅、およびRACE(rapid amplification of cDNA ends)による全長遺伝子の塩基配列決定というアプローチにて、アヤギヌの遺伝子の取得を試みることとした。
しかしながら、アヤギヌは、大量の色素タンパク質と多糖類を細胞内に蓄積しており、これら細胞内夾雑物の存在のために、遺伝子取得のための材料となる純度の高いRNAの取得が困難であった。そこで、本発明者らは、アヤギヌから純度の高いRNAを取得する手法について鋭意検討を行った。
その結果、AptバッファーによるRNAの抽出、クロロフォルム処理の繰り返しによる細胞内夾雑物の除去、およびリチウム沈殿を順に行い、その後に市販のRNA精製キットを利用したRNA精製を行うことで、遂に、アヤギヌから純度の高いRNAを取得することに成功した。
そして、このRNAを基に合成したcDNAをテンプレートとしたPCRと、3'RACEおよび5'RACEの実施により、アヤギヌからM1PDH遺伝子およびM1Pase遺伝子を取得するに至った。
本発明者らにより、藻類においてM1PDH遺伝子およびM1Pase遺伝子が単離されたことから、その導入により、植物内や微生物内におけるマンニトール合成を効率的に行うことが可能となり、引いては、これら生物のストレス耐性を向上させることが可能となる。
本発明は、藻類のマンニトール合成に関連するM1PDH遺伝子およびM1Pase遺伝子、並びにそれらの利用に関し、より具体的には、以下を提供するものである。
<1> 藻類由来のマンニトール-1-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNA。
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域からなるDNA
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
<2> 藻類由来のマンニトール-1-リン酸ホスファターゼをコードする下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNA。
(a)配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:3に記載の塩基配列のコード領域からなるDNA
(c)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(d)配列番号:3に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
<3> <1>に記載のDNAおよび/もしくは<2>に記載のDNAを含むベクター。
<4> <1>に記載のDNAおよび/もしくは<2>に記載のDNA、または<3>に記載のベクターが導入された形質転換体。
<5> 植物または微生物である、<4>に記載の形質転換体。
<6> ストレス耐性が向上している、<5>に記載の形質転換体。
本発明において、藻類からM1PDH遺伝子およびM1Pase遺伝子が単離され、植物や微生物などにおいて、他の代謝系を乱すことなく、かつ、効率的に、マンニトールの合成を行うことが可能となった。これにより、植物や微生物などの生物において、マンニトールの物性に基づき、耐塩性その他のストレス耐性を向上させることが可能となった。
本発明は、藻類由来のM1PDHおよびM1PaseをコードするDNAを提供する。本発明において「藻類」とは、酸素を発生する光合成をおこなう生物の中からコケ植物、シダ植物、および種子植物を除いたものを意味する(裳華房、バイオディバーシティ・シリーズ3、藻類の多様性と系統、千原光雄 編)。本発明のDNAの由来する藻類としては特に制限はないが、例えば、アヤギヌ、単細胞性紅藻のディクソニエラ、細胞内に多量のマンニトールを蓄積することが知られているコンブなどが挙げられる。
後述する実施例に示す通り、本発明者らは、アヤギヌ由来のM1PDH遺伝子およびM1Pase遺伝子を同定することに成功した。本発明者らにより同定された、アヤギヌ由来のM1PDHをコードするcDNAの塩基配列を配列番号:1に、該DNAがコードする蛋白質のアミノ酸配列を配列番号:2に示す。また、アヤギヌ由来のM1PaseをコードするcDNAの塩基配列を配列番号:3に、該DNAがコードする蛋白質のアミノ酸配列を配列番号:4に示す。本発明のDNAとしては、藻類の中でも、特にアヤギヌ由来のDNAが好ましい。
こうして、一旦、アヤギヌ由来の遺伝子が同定されれば、当業者であれば、これら遺伝子の配列情報を基に、機能的に同等なタンパク質をコードする、藻類由来の他のDNAを取得することが可能である。従って、本発明は、また、配列番号:2に記載のアヤギヌ由来のM1PDHと機能的に同等なタンパク質をコードする藻類由来のDNA、および配列番号:4に記載のアヤギヌ由来のM1Paseと機能的に同等なタンパク質をコードする藻類由来のDNAをも提供する。ここで「機能的に同等」とは、対象となるタンパク質が、それぞれM1PDH活性およびM1Pase活性を有することを指す。このようなDNAには、例えば、配列番号:2または4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする変異体、誘導体、アレル、バリアントおよびホモログが含まれる。
アミノ酸配列が改変されたタンパク質をコードするDNAは、例えば、部位特異的変異法によって調製することが可能である。また、塩基配列の変異によりコードするタンパク質のアミノ酸配列が変異することは、自然界においても生じ得る。本発明には、人為的な改変であるか、自然界における変異であるかを問わず、配列番号:2または4に記載のアミノ酸配列において、1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAが含まれる。また、たとえ、塩基配列が変異した場合でも、それがタンパク質中のアミノ酸の変異を伴わない場合(縮重変異)もある。本発明は、このような縮重変異体をも含むものである。
変異するアミノ酸数は、通常、50アミノ酸以内であり、好ましくは30アミノ酸以内であり、さらに好ましくは10アミノ酸以内(例えば、5アミノ酸以内、3アミノ酸以内)であると考えられる。変異するアミノ酸残基においては、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されることが、その活性維持などの観点から望ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ酸(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字表記を表す)。あるDNAがコードする蛋白質が、M1PDH活性またはM1Pase活性を有するか否かは、例えば、文献に記載の方法で評価することができる(非特許文献2、3)。
配列番号:2に記載のM1PDHと機能的に同等なタンパク質をコードするDNAまたは配列番号:4に記載のM1Paseと機能的に同等なタンパク質をコードするDNAを調製するために、当業者によく知られた他の方法としては、ハイブリダイゼーション技術やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を利用する方法が挙げられる。即ち、当業者にとって、M1PDH遺伝子またはM1Pase遺伝子の塩基配列(配列番号:1、3)もしくはその一部をプローブとして、またこれら遺伝子に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとして、他の藻類から、それと高い相同性を有するDNAを単離することは通常行いうることである。このようにハイブリダイズ技術やPCR技術により単離しうる、配列番号:2に記載のM1PDHと機能的に同等なタンパク質をコードするDNAまたは配列番号:4に記載のM1Paseと機能的に同等なタンパク質をコードするDNAもまた本発明のDNAに含まれる。
このようなDNAを単離するためには、好ましくはストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーション反応を行う。本発明においてストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、6M尿素、0.4%SDS、0.5xSSCの条件またはこれと同等のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を指す。よりストリンジェンシーの高い条件、例えば、6M尿素、0.4%SDS、0.1xSSCの条件を用いることにより、より相同性の高いDNAの単離を期待することができる。これにより単離されたDNAは、アミノ酸レベルにおいて、アヤギヌ由来のM1PDHまたはM1Paseのアミノ酸配列(配列番号:2、4)と高い相同性を有すると考えられる。高い相同性とは、アミノ酸配列全体で、少なくとも50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列の同一性を指す。アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カーリンおよびアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268,1990.、Proc Natl Acad Sci USA 90: 5873,1993.)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(J Mol Biol 215: 403,1990.)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。
本発明のDNAは、ゲノムDNA、cDNA、または化学合成DNAの形態でありうる。ゲノムDNAおよびcDNAの調製は、当業者に公知の方法を利用して行うことが可能である。ゲノムDNAは、例えば、藻類からゲノムDNAを抽出し、ゲノミックライブラリー(ベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、BAC、PACなどが利用できる)を作製し、これを展開して、本発明のM1PDHおよびM1PaseをコードするDNA(例えば、配列番号:1、3)を基に調製したプローブを用いてコロニーハイブリダイゼーションあるいはプラークハイブリダイゼーションを行うことにより調製することが可能である。また、本発明のM1PDHおよびM1PaseをコードするDNA(例えば、配列番号:1、3)に特異的なプライマーを作製し、これを利用したPCRをおこなうことによって調製することも可能である。また、cDNAは、例えば、藻類から抽出したmRNAを基にcDNAを合成し、これをλZAPなどのベクターに挿入してcDNAライブラリーを作製し、これを展開して、上記と同様にコロニーハイブリダイゼーションあるいはプラークハイブリダイゼーションを行うことにより、また、PCRを行うことにより調製することが可能である。
本発明のDNAは、例えば、組換えタンパク質の調製やストレス耐性が向上された植物や微生物の開発に有用である。
組換えタンパク質を調製する場合には、通常、本発明のタンパク質をコードするDNAを適当な発現ベクターに挿入し、該ベクターを適当な細胞に導入し、形質転換細胞を培養して発現させたタンパク質を精製する。組換えタンパク質は、精製を容易にするなどの目的で、他のタンパク質との融合タンパク質として発現させることも可能である。例えば、大腸菌を宿主としてマルトース結合タンパク質との融合タンパク質として調製する方法(米国New England BioLabs社発売のベクターpMALシリーズ)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として調製する方法(Amersham Pharmacia Biotech社発売のベクターpGEXシリーズ)、ヒスチジンタグを付加して調製する方法(Novagen社のpETシリーズ)などを利用することが可能である。宿主細胞としては、組換えタンパク質の発現に適した細胞であれば特に制限はなく、上記の大腸菌の他、例えば、酵母、種々の動植物細胞、昆虫細胞などを用いることが可能である。宿主細胞へのベクターの導入には、当業者に公知の種々の方法を用いることができるが、例えば、大腸菌への導入には、カルシウムイオンを利用した導入方法が用いられる。宿主細胞内で発現させた組換えタンパク質は、該宿主細胞またはその培養上清から、当業者に公知の方法により精製し、回収することが可能である。組換えタンパク質を上記のマルトース結合タンパク質などとの融合タンパク質として発現させた場合には、融合タンパク質を容易にアフィニティー精製しうる。
本発明のDNAを利用して、形質転換植物体を作製する場合には、例えば、本発明のDNAを適当なベクターに挿入して、これを植物細胞に導入し、これにより得られた形質転換植物細胞を再生させる。ベクターとしては、植物細胞で転写可能なプロモーター配列と転写産物の安定化に必要なポリアデニレーション部位を含むターミネーター配列を含んでいれば特に制限されず、例えば、プラスミド「pBI121」、「pBI221」、「pBI101」(いずれもClontech社製)などが挙げられる。植物細胞の形質転換に用いられるベクターとしては、該細胞内で本発明のDNAを発現させることが可能なものであれば特に制限はない。例えば、植物細胞内での恒常的な遺伝子発現を行うためのプロモーターを有するベクターや外的な刺激により誘導的に活性化されるプロモーターを有するベクターを用いることが可能である。また、植物体全体で活性化するプロモーターのみならず、必要に応じて、植物の特定の組織に特異的に活性化するプロモーターを用いることも可能である。ここでいう「植物細胞」には、種々の形態の植物細胞、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片、カルスなどが含まれる。植物の種類に応じて、植物体作出のために、遺伝子導入を行うのに適した植物細胞の形態を選択し、利用すればよい。
本発明のDNAを発現させるためのプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター、SV40プロモーター、GDPプロモーター、イネのアクチンプロモーター、トウモロコシのユビキチンプロモーターなどが挙げられる。また、誘導的に発現させるためのプロモーターとしては、例えば糸状菌・細菌・ウイルスの感染や侵入、低温、高温、乾燥、紫外線の照射、特定の化合物の散布などの外因によって発現することが知られているプロモーターなどが挙げられる。具体的には、例えば、糸状菌・細菌・ウイルスの感染や侵入によって発現するイネキチナーゼ遺伝子のプロモーターやタバコのPRタンパク質遺伝子のプロモーター、低温によって誘導されるイネのlip19遺伝子のプロモーター、高温によって誘導されるイネのhsp80遺伝子とhsp72遺伝子のプロモーター、乾燥によって誘導されるシロイヌナズナのrab16遺伝子のプロモーター、紫外線の照射によって誘導されるパセリのカルコン合成酵素遺伝子のプロモーター、嫌気的条件で誘導されるトウモロコシのアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーターなどが挙げられる。また、イネキチナーゼ遺伝子のプロモーターとタバコのPRタンパク質遺伝子のプロモーターはサリチル酸などの特定の化合物によって、rab16は植物ホルモンのアブシジン酸の散布によっても誘導することが可能である。
本発明のベクターが導入される植物細胞としては特に制限はなく、例えば、イネ、トウモロコシ、ジャガイモ、タバコ、シロイヌナズナ、ユーカリなどの細胞が挙げられる。植物細胞の形態は、培養細胞の他、植物体中の細胞でありうる。また、本発明の植物細胞の形態には、プロトプラスト、苗条原基、多芽体、毛状根も含まれる。植物細胞へのベクターの導入方法としては、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法など当業者に公知の種々の方法を用いることができる。形質転換された植物細胞は、再分化させることにより植物体が再生される。形質転換植物の作製技術としては、イネであればFujimuraら(Plant Tissue Culture Lett. 2:74,1995.)の方法が、トウモロコシであればShillitoら(Bio/Technology 7:581,1989.)の方法やGorden-Kammら(Plant Cell 2:603,1990.)の方法が、ジャガイモであればVisserら(Theor.Appl.Genet 78:594,1989.)の方法が、タバコであればNagataとTakebe(Planta 99:12,1971.)の方法が、シロイヌナズナであればAkamaら(Plant Cell Reports 12:7-11,1992.)の方法が、ユーカリであれば土肥ら(特開平8-89113号公報)の方法が、それぞれ挙げられる。
一旦、ゲノム内に本発明のDNAが導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖または無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラストなど)を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。本発明には、本発明のDNAが導入された植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の子孫およびクローン、並びに該植物体、その子孫、およびクローンの繁殖材料が含まれる。
本発明のDNAを利用して、形質転換された微生物を作成する場合、微生物への本発明のDNAの導入には、エレクトロポレーション法やコンピテント細胞を用いる方法など公知の種々の方法を利用することができる。また、市販の試薬を用いることもできる。
本発明のDNAを導入するための微生物としては、例えば、アガリスク、枯草菌、酵母が挙げられる。例えば、アガリスクにおいては、文献(Mol. Gen. Genet.
250: 252-258,1996.)に記載の方法で形質転換が可能である。プロモーターとして、例えば、GDPプロモーターを用い、目的遺伝子とプロモーターを組み込んだプラスミドをエレクトロポレーション法により、アガリスクに導入することができる。枯草菌においては、例えば、B. subtilisの形質転換技術が確立されている。pHY300PLK(タカラバイオ)などの市販ベクターに本発明のDNAを挿入して、エレクトロポレーション法によりB. subtilisに導入することができる。また、酵母においては、市販の試薬キット(酵母形質転換用試薬:和光純薬工業)を用いて簡便に本発明のDNAが挿入されたプラスミドを形質転換することが可能である。
本発明の形質転換体は、天然型生物に比して、マンニトールの合成が増加しうる。これにより形質転換体の耐塩性、耐乾燥性、耐低温性などのストレス耐性を向上させることが可能である。本発明の形質転換体は、本発明のM1PDHをコードするDNAとM1PaseをコードするDNAのいずれか一方が導入された形質転換体でも、双方が導入された形質転換体でもありうるが、マンニトールの合成効率の観点からは、双方のDNAが導入された形質転換体であることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に制限されるものではない。
なお、本実施例に用いた藻体と培養条件は次の通りである。アヤギヌC.continua(1991年12月19日に千葉県横芝光町栗山川河口にて採取、株番号MK639)の雌株を用い、培養は全て8psuと32psuの2通りの塩濃度のProvasori Enrichied Seawater(PES、Star and Zeikus 1993、表1-3)培地で行い、温度20℃、光強度3〜4μmol・m-2・s-1、明暗条件は明期14時間、暗期10時間で行った。
また、全RNAの抽出と精製の手法は次の通りである。RNAを抽出するにあたって、バクテリアのコンタミを防ぐ為、抗生物質混液(DW 1ml当たり、ペニシリンGカリウム10000ユニット、硫酸ストレプトマイシン 25mg、クロラムフェニコール 0.1mg、硫酸ポリミキシンB 2500ユニット)500μlを加えた8psuのPES培地200mlに培養株を入れ、5日間振盪培養した。その後、藻体の状態を良くするため、抗生物質を除いた8psuのPES培地200mlに藻体を移し、1日培養した(20℃、光強度8μmol・m-2・s-1)。マンニトール合成酵素の発現を誘導する為に、藻体を8psuの培地から32psuのPES培地に移し、20時間振盪培養した(20℃、光強度7-8μmol・m-2・s-1)。
RNA抽出における、全ての操作はRNaseフリーで行い、使用した器具および試薬もRNaseフリーの処理を行った。藻体3gを液体窒素下で破砕し、45mLのAptバッファー(100mM Tris-HCl pH=8.0、1.5 M NaCl、20mM EDTA、20mM DTT、2% CTAB、Apt et al 1995)を添加し、110rpm x 15分振とうした後、等量のクロロフォルムを添加し、voltexミキサーで撹拌した。遠心後(5000g x 30分、4℃)、上層を回収し1/3溶の95%エタノールを加え、遠心(5000g x 30分、4℃)した。得られた試料に等量のクロロフォルムを加え、激しく撹拌後、遠心により2相に分離させ、上層を回収した。この操作を上層から紅色がなくなるまで4度繰り返した。得られた試料に0.5溶の9M LiClおよび0.01溶の2-MEを加え撹拌し、-20℃で一晩保管した後、遠心し(20000g x 30分)沈殿を得た。その後試料はRNA抽出キット(RNAgents Total RNA Isolation System、Promega)およびmRNA精製キット(PolyATtract mRNA Isolation Systems、Promega)を用い、添付のマニュアルに従いにより純化・精製した。
また、cDNAの合成の手法は次の通りである。GeneRacer Kit(Invitrogen、California、USA)を用いて行い、添付のプロトコールを一部改良した。1本鎖cDNAから2本鎖cDNAの合成を行うために、1μlの逆転写産物、GeneRacer 5’ Primer(5’-CGACTGGAGCGCGAGGACACTGA-3’/配列番号:5)、10×Buffer、dNTP、MgSO4、KOD-Plus ver.2を加え、サーマルサイクラーで94℃にて1分、68℃にて3分でインキュベートした。2本鎖cDNAは−30℃で保存した。2本鎖にしたcDNAをテンプレートとして、2本鎖cDNAの増幅を行った。MQ、10×Buffer、dNTP、GeneRacer 5’ Primer、GeneRacer 3’ primer(5’-GCTGTCAACGATACGCTACGCTACGTAACG-3’/配列番号:6)、ExTaq、テンプレートDNAを加え、PCR反応液25μl中で行った。94℃にて1分の変性後、94℃にて30秒、60℃にて30秒、72℃にて1分で30サイクル行い、さらに72℃にて5分間伸長反応を行った。
[実施例1] M1PDH遺伝子のクローニング
アヤギヌM1PDHの部分配列(MTKQDYLYTLLEQSTSNTNAVIVGQ/配列番号:7およびAQYVIEDKFTMGRPFLEKVGVQFVDDVAPFERMKMRILNGAHATLCFP/配列番号:8)を同定し、この配列を基に設計した縮重プライマーLEP1-1s(5’-ATGACNAARCARGAYTAYYTNTAYAC-3’/配列番号:9)、LEP12-3a(5’-CYTTNAYHATNCMCATRTTCA-3’/配列番号:10)を用いて、増幅したcDNAをテンプレートとしてPCRを行った。PCR条件は先述と同様で、アニーリング温度のみ48℃に変更した。1.5%アガロースゲルを用いた電気泳動により結果を確認した。精製したPCR産物の塩基配列を決定するために、TAクローニングを行った。本操作は、pGEM-T Easy Vector Systems(Promega)を使い、添付のプロトコールに従って行った。インサートチェックをするために、マスタープレートの数コロニーを対象にコロニーPCRを行った。PCR反応液にDNA液を入れる代わりにコロニーを直接加えた。プライマーはSeq-F(5’-GGCCCGACGTCGCATGCTC-3’/配列番号:11)、Seq-R2(5’-GAGTTCGATACGTAGGTTGCG-3’/配列番号:12)、Sigma Taqポリメラーゼを使用した。目的のインサートを持ったコロニーをマスタープレートから3mlのLB培地に移して37℃のインキュベーターで振盪しながら18時間培養した。アルカリSDS法によりプラスミドの精製を行った。精製したプラスミドDNAをテンプレートとして、Big Dye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems、California、USA)を用い、プロトコールに従ってサイクルシーケンスを行った。1μlの精製したテンプレートDNA、片側のプライマー(SeqFもしくはSeqR2)を1μl、BigDyeを0.5μl、MQ水を13.5μlの計20μlを加えてサーマルサイクラーでサイクルシーケンスを行った。シーケンス結果を基に遺伝子特異的プライマー、MPDH-11F(5’-ACGTTTGCAGAGTCCGGAATATTCGC-3’/配列番号:13)、MPDH-11R(5’-CATACCGAGAAGCCCTGCAGCGTA-3’/配列番号:14)を設計した。
全長配列を決定するために、MPDH-11FとGeneRacer 3’Primerによる3’RACE、およびGeneRacer 5’PrimerとMPDH-11Rによる5'RACEを行い、1.5%アガロースゲルを用いた電気泳動によりそれぞれのバンドを確認した。前述と同様に、PCR反応液を50μlにスケールアップしゲルの切出し、精製、ベクターへのライゲーション、形質転換、インサートチェック、LB培地での培養、アルカリミニプレップ、サイクルシーケンス、プラスミド精製、シーケンスまで前述と同様の手順で行った。3’RACE、5'RACEのシーケンス結果を合わせて全長を決定した。その配列情報を基に、全長を増幅できる遺伝子特異的プライマー、MPDH-12F(5’-AGTGCGCTTTCAATTTGTCA-3’/配列番号:15)とMPDH-12R(5’-GTAAGATAAATCTGTTTACTGTAAATTCAA-3’/配列番号:16)を設計した。塩基配列の精度とイントロンの有無を確認するために、ゲノムDNAとcDNAをテンプレートとして、MPDH-12FとMPDH-12Rのプライマーを用いてPCRを行い、シーケンスした。
その結果、1707bpの全長cDNA配列から1518bpのORFを特定し、506アミノ酸残基のタンパク質をコードしていることが明らかになった。また、本遺伝子のアミノ酸配列にはM1PDHの部分アミノ酸配列が確認された。ゲノムDNAをテンプレートに本遺伝子の全長を増幅し、配列を決定したところ、cDNAと完全に一致し、イントロンが介在しないことが分かった。
BLAST検索を行った結果、バクテリアや菌類のM1PDHとの相同性は低く、その中で最も高かったのはファーミキューテス綱のバクテリアのClostridium asetobutylicum(Identity=27% Similarity=47%)、次いで菌類のAspergillus fumigatus(Identity=24%、Similarity=40%)であった。アヤギヌのMtDHとM1PDHのNAD(H)結合サイトのモチーフGxxxxGxGは37番目から44番目の位置に確認された。
[実施例2] M1Pase遺伝子のクローニング
アヤギヌM1Paseの部分アミノ酸配列(LSIVWDMDGVLLDSEPIHVIVENELVGAYGKD/配列番号:17およびAAAAIDADPKDCVAFEDAPSGVRAADAAGMXR/配列番号:18)を同定し、この配列を基に設計した縮重プライマーLEP6-s(5’-ATHGTNTGGGAYATGGAYGG-3’/配列番号:19)とLEP8-a(5’-YTTNGGRTCNGCRTCDAT-3’/配列番号:20)を用いて、増幅したcDNAをテンプレートとしてPCRを行った。PCR条件は先述と同様で、アニーリング温度のみ55℃に変更した。1.5%アガロースゲルを用いた電気泳動により、バンドを確認した。先述と同様の方法で、PCR産物を精製し、クローニングし、シーケンスまで行った。得られた配列から、遺伝子特異的プライマーM1Pase-1F(5’-GGTACTGTTGGATTCGGAACC-3’/配列番号:21)およびM1Pase-1R(5’-AGCTGCAGCCTTGAGGAACA-3'/配列番号:22)を設計した。さらにその内側にM1Pase-2F(5’-TTCACGTGATAGTTGAGAACGAA-3'/配列番号:23)とM1Pase-2R(5’-GGTTTCCCGTTCGTCACGTC-3’/配列番号:24)を設計した。全長配列を得るために、LEP6-sとGeneRacer3’Primerを用いた3’RACE、およびGeneRacer5’PrimerとLEP8-asを用いた5’RACEを行い、さらにそれぞれのPCR産物をテンプレートとして、nested PCRを行った。nested PCRは、3’RACEはM1Pase-1FとGeneRacer 3’nested Primer(5’-GCTGTCAACGATACGCTACGTAACG-3’/配列番号:25)で、5’RACEはGeneRacer 5’nested PrimerとM1Pase-1R(5’-GGACACTGACATGGACTGAAGGAGTA-3’/配列番号:26)で行った。3’RACEに関しては、nested PCRの産物をテンプレートとしてさらに、M1Pase-2FとGeneRacer 3’nested Primerを用いたnested PCRを行った。得られた産物から、目的のバンドを切出してクローニングし、先述と同様の手順でシーケンスまで行った。3’RACEおよび5’RACEの結果を合わせ、全長配列を得た。全長を増幅するプライマー、M1Pase-4F(5’-AACTTTTCATCAACATCTATCAGCAG-3’/配列番号:27)とM1Pase-4R(5’-GAAAGTCATTTACTGGTCAAATCAA-3'/配列番号:28)を設計し、ゲノムDNAとcDNAをテンプレートとしてPCRを行い、シーケンスすることにより、塩基配列の精度とイントロンの有無を確認した。
その結果、1188bpの全長cDNA配列から、得られた塩基配列から、705bpのORFを特定し、234アミノ酸残基のタンパク質をコードしていることが明らかになった。ゲノムDNAをテンプレートに本遺伝子の全長を増幅し、配列を決定したところ、cDNAと完全に一致し、イントロンが介在しないことが分かった。
バクテリア、菌類、アピコンプレクサでもM1Paseの酵素活性があることが知られているが、アミノ酸配列の情報はほとんど皆無である。唯一調べられているアピコンプレクサ(のEimeria tenellaのM1PaseとアヤギヌのM1Paseとを比較したところ、全く配列が異なっていた。その一方、BLAST検索を行った結果、様々な生物群のHAD(Halo Acid Dehalogenase:ハロ脂肪酸脱ハロゲン化酵素)のスーパーファミリーに属する加水分解酵素との相同性が示された。
本発明における藻類由来のM1PDH遺伝子およびM1Pase遺伝子は、耐塩性を含む実用レベルのストレスに強い有用生物の作成に有用である。従って、例えば、植物に本発明の遺伝子を導入することにより、有用農作物の収穫量の向上を図ることができる。また、例えば、他の淡水産藻類や発酵微生物に本発明の遺伝子を導入することで、それら生物における有用物質の生産の向上(例えば、醸造のための発酵持続性の向上)や、それら生物の環境浄化能の向上(例えば、廃液処理のための物質分解の向上)を図ることができる。

Claims (6)

  1. 藻類由来のマンニトール-1-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNA。
    (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域からなるDNA
    (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
  2. 藻類由来のマンニトール-1-リン酸ホスファターゼをコードする下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNA。
    (a)配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (b)配列番号:3に記載の塩基配列のコード領域からなるDNA
    (c)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (d)配列番号:3に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
  3. 請求項1に記載のDNAおよび/もしくは請求項2に記載のDNAを含むベクター。
  4. 請求項1に記載のDNAおよび/もしくは請求項2に記載のDNA、または請求項3に記載のベクターが導入された形質転換体。
  5. 植物または微生物である、請求項4に記載の形質転換体。
  6. ストレス耐性が向上している、請求項5に記載の形質転換体。
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