JP5164093B2 - イネの病原菌に対する抵抗性を高める方法及び病原菌耐性イネ形質転換体 - Google Patents

イネの病原菌に対する抵抗性を高める方法及び病原菌耐性イネ形質転換体 Download PDF

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本発明は、イネの病原菌に対する抵抗性を高める方法及び病原菌耐性イネ形質転換体に関し、更に詳細には、生体防御関連遺伝子の発現レベルを高めることにより、病原菌に対する抵抗性を高める方法、及び生体防御関連遺伝子を導入した病原菌耐性イネ形質転換体に関する。
従来より、農作物の病害防除方法として、植物病原菌に直接作用して病害を防除する農薬の使用がある。病原菌に対して殺菌効果を示すタイプの農薬は、継続的使用により薬剤に対して耐性変異株が出現するという大きな問題を抱えている。また、残留農薬の人体への影響や環境中での難分解性等も大きな問題となっている。
他の病害防除方法として、植物自体が有する病害抵抗性を高めることで作物の病害を防除する農薬(抵抗性誘導型農薬)の使用がある。抵抗性誘導型農薬は、植物の自然免疫機構、即ち病原菌を認識して抵抗性を活性化することが知られている。抵抗性誘導型農薬としては、プロペナゾール(商品名:オリザメート)、アシベンゾラル-S-メチル等が実用化されているが、いずれも化学合成農薬であり、前記殺菌剤タイプの農薬と同様、人体、環境等への影響を考慮すると、過度の依存は避ける必要がある。
そこで、化学合成農薬を含まない病害防除効果のある植物活力剤が開発されている(特許文献1、2)。これらの植物活力剤は、食酢、トレハロース及び植物抽出成分の組み合わせである。
トレハロースは、植物のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、ペルオキシダーゼ、ジャスモン酸などの活性を高め、植物の生体防御反応を誘導する物質、いわゆるシグナル分子(エリシター)であることが知られている。このエリシターを用いて植物の病害を防除する方法がある。例えば、小麦の葉にトレハロースの溶液をスプレーするとウドンコ病感染を減少することができる(非特許文献1)。また、小麦及びブドウの苗をトレハロースで処理し、更に亜リン酸、フォセチルアルミニウム等の相乗剤で処理すると、小麦ウドンコ病、ブドウべと病に対して相乗効果がある(特許文献3)。しかしながら、トレハロースのみを小麦ウドンコ病、ブドウべと病に適用した場合、直接的な効果はない(特許文献3)。
近年、遺伝子組換えにより病害に強い農作物が作出されている。例えば、イネいもち病菌由来cerebroside型エリシターにより発現が誘導されるタンパク質をコードする遺伝子を導入した、イネいもち病に対する抵抗性を有するイネ形質転換体がある(特許文献4)。
しかし、前述のエリシターであるトレハロースを用いて、発現が誘導されるイネのタンパク質や遺伝子についての網羅的な研究はなく、また、そのようなイネの遺伝子を利用して病原菌に対する抵抗性を高めることは未だ行われていない。
特開2001-61344号公報 特開2001-64112号公報 特表2002-511495号公報 特開2002-272291号公報 PH. Reignault et al., (2001) Trehalose induces resistance to powdery meldew in wheat. New Phytologist, Vol.149, pp.519-529
本発明の目的は、トレハロースにより誘導されるイネの生体防御関連遺伝子を明らかにし、その遺伝子の発現レベルを高めることにより、イネの病原菌に対する抵抗性を高める方法を提供することである。
本発明の別の目的は、生体防御関連遺伝子をイネに導入し、病原菌に対する抵抗性を有するイネ形質転換体を提供することである。
本発明者らは、トレハロースのシグナル分子機能を解明するため、イネのマイクロアレイを用いてトレハロース処理により誘導される遺伝子を同定したところ、多数のイネの生体防御関連遺伝子がトレハロースにより誘導されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、要約すると、以下の特徴を有する。
本発明は、第一の態様において、イネにおいて、配列番号41、43、45、47、49、51、53、55、57、59または61のいずれかの塩基配列を有する生体防御関連遺伝子またはその変異遺伝子の少なくとも1種の遺伝子の発現レベルを高めることを含む、イネの病原菌に対する抵抗性を高める方法を提供する。
別の実施形態において、前記遺伝子の発現レベルが、イネ又は種子をトレハロース又はその誘導体で処理することによって高められる。
別の実施形態において、前記遺伝子の発現レベルが、イネに該遺伝子を外来的にかつ発現可能に導入することによって高められる。
別の実施形態において、前記遺伝子の発現レベルが対照のイネに対して2倍以上高まる。
別の実施形態において、前記病原菌がいもち病菌又は苗立枯細菌病菌である。
第二の態様において、配列番号41、43、45、47、49、51、53、55、57、59または61のいずれかの塩基配列を有する生体防御関連遺伝子またはその変異遺伝子の少なくとも1種の遺伝子が外来的にかつ発現可能に導入されたことを特徴とする、病原菌耐性イネ形質転換体を提供する。
別の実施形態において、前記病原菌がいもち病菌又は苗立枯細菌病菌である。
第三の態様において、イネの病原菌に対する抵抗性を高めるための、配列番号41、43、45、47、49、51、53、55、57、59または61のいずれかの塩基配列を有する生体防御関連遺伝子の少なくとも1種の遺伝子の使用方法を提供する。
本発明のイネの病原菌に対する抵抗性を高める方法は、イネが本来持つ生体防御関連遺伝子を利用するものであり、人体や環境に悪影響を与えず、農薬のような残留性のない天然糖類のトレハロースにより安全に安価にイネの生体防御反応を誘導することができる。また、生体防御関連遺伝子をイネに導入して、病原菌耐性の高いイネ形質転換体を作製することができる。本発明により合成化学農薬の使用量を減らすことができるので、経済的かつ品質的にイネ(コメ)の商品価値を上げることができる。
トレハロースは、カビ、酵母、紅藻、地衣、多くの昆虫に広く分布し、またシイタケ、発酵食品等に多量に含まれる天然糖質であり、安価に製造される。2分子のD-グルコースが1,1-結合した形の非還元性二糖であり、分子式C122211、分子量342.30である。結合様式がα,α-、α,β-、β,β-の3種類の異性体があり、天然にはα,α-体が存在する。本発明に用いるトレハロースは、どの結合様式のものでもよい。また、トレハロースの誘導体でもよく、トレハロース誘導体とは、トレハロースをエステル化、ジエステル化、モノエステル化、エーテル化、アシル化、カチオン化、またはその他縮合したものであり、例えばトレハロース脂肪酸エステル、α,α-トレハローストリミコール酸エステル、α,α-トレハロース脂肪酸テトラエステル、トレハロース脂肪酸モノエステル、α,α-トレハロースエーテル誘導体、2-O-(9,10-エポキシステアロイル)-α,α-トレハロース誘導体、4,4-ジ-O-アルキルα,α-トレハロース誘導体、2,3,2-テトラアルキルα,α-トレハロース誘導体、α,α-トレハロース脂肪酸ジアミド誘導体、ネオトレハロース(澱粉質にα-アミラーゼを作用させた生産物)、ラクトネオトレハロース(乳糖と澱粉を含有する水溶液に糖転移酵素を作用させた生産物)等を挙げることができる。トレハロースは例えば含水結晶トレハロースの形で市販(株式会社林原商事)されている。
トレハロースは、本発明において、イネの生体防御反応を誘導する物質(シグナル分子)であるが、これまでイネにおいてトレハロースによるシグナルと生体防御関連遺伝子の関係は明らかになっていなかった。そこでトレハロースのシグナル分子機能を解明するため、イネをトレハロースで処理し、誘導される遺伝子を同定した。同定は、例えば以下の方法で行うことができる。
イネの種子を発芽させてイネ幼苗に栽培し、幼苗の根をトレハロース溶液(例えば濃度5mM)で処理し、根組織を液体窒素で処理して粉末にし、全RNAを調製する。RNA調製法には、例えばCTAB法、グアニジン法、SDS/フェノール法などがあるが、特に限定されない。市販のRNA抽出試薬(例えばInvitorogen社のTRIzol試薬)を使用してもよい。
次に、一色蛍光法又は二色蛍光法により標識RNAを合成する。例えば調製したRNAから逆転写して一本鎖cDNAを合成し、Cyanine3 CTP又はCyanine5 CTPを加えて転写して標識RNAを合成する。この合成には市販のキット(例えばAgilent社のLow RNA input liner ampキット)を使用することができる。また、合成した標識RNAを市販のRNA抽出キット(例えばQIAGEN社のRNeasy miniキット)などで精製してもよい。あるいは合成したcDNAを標識してもよい。
次に、精製した標識RNA又は標識cDNAでハイブリダイゼーション液を調製し、例えばAgilent社の22Kイネマイクロアレイでハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーションは、例えば約60℃で数時間〜20時間程度行う。ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイを洗浄し、水分を取り除いた後、マイクロアレイスキャナー(例えばAgilent社製)で遺伝子の発現レベル情報を読み込み、解析ソフトウェアー(例えばAgilent社、Feature Extraction Software)で、トレハロース処理と対照の根組織の各遺伝子の発現レベルの差を解析する。
5mMトレハロース処理により、対照(トレハロース未処理のイネ)と比較して2倍以上誘導されたイネの遺伝子を表1に示す。
Figure 0005164093
Figure 0005164093
Figure 0005164093
表中の遺伝子番号は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)ホームページからアクセス可能なGenBankのアクセッションナンバーであり、遺伝子は、遺伝子番号に対応するイネの遺伝子名、又はホモログの遺伝子名である。また、foldは、トレハロース処理により、対照と比較して何倍遺伝子が誘導されたかを示す。即ちトレハロース処理した発現レベルの数値(Tre)/対照の発現レベルの数値(mock)である。
表1に示したように、トレハロースによって多数の生体防御関連遺伝子が誘導されることが分かった。植物の場合、一般に、生体防御関連遺伝子の多くはサリチル酸(SA)、エチレン、ジャスモン酸(JA)のいずれかにより発現が誘導される。上記マイクロアレイの実験結果から、トレハロースは、エチレン応答転写因子遺伝子(表1の遺伝子番号:AK109390)、SA生合成遺伝子(AK067801)、JA応答転写因子遺伝子(AK069082)などを誘導しており、これら3つのホルモンが関与するシグナル伝達系を何れも活性化していると考えられる。したがって、トレハロースを認識する機構が、3つのホルモンシグナル伝達の上流に位置すると考えられ、そのため下流に位置する多様な経路を活性化すると考えられる。
これまでの研究から、病害応答に関与する転写因子あるいはレセプターキナーゼの発現量を高めることにより、病害耐性が強化されることが知られている(文献:Berrocal-Loboら、 Plant J. 29:23-32(2002)、Hu, Hら、Planta 222: 107-117(2005))。そこで、表1のトレハロースにより誘導される生体防御関連遺伝子のなかから、任意に9つの遺伝子を選択し(表2)、実際にトレハロースによって遺伝子の発現が誘導されることを確認した。
Figure 0005164093
トレハロースによる発現の誘導の確認は、例えばノーザン解析により行う。
まず、ノーザンブロットプローブ用の合成ヌクレオチドを作製するために各遺伝子のプローブ断片を合成し、また各遺伝子を増幅するためにPCR用プライマーを合成し、トレハロース処理したイネの根組織からのcDNAライブラリーを用いてPCRで部分長cDNAを増幅する。増幅に際して、市販のPCRキット(例えば宝酒造のEx TaqPCRキット)を用いてもよい。PCR条件は、例えばDNA変性を約95℃で15秒〜5分、プライマーのアニーリングを約50〜58℃で30秒〜1分、伸長反応を約65℃〜72℃で30秒〜10分間行い、これを1サイクルとして20〜40サイクル行い、最後に約65℃〜72℃の伸長反応を1〜5分行うことを含む。
さらに、増幅したcDNAを適切なベクター(例えばpGEM-Teasy、Promega社)を用いてクローニングし、得られたDNAの塩基配列を決定する。例えばシークエンサーABI1310(Applied Biosystem社)を用いて決定することができる。
次に、イネの種子を発芽させてイネ幼苗に栽培し、トレハロース溶液(例えば濃度5mM)を根に接触させ、数時間おきに根組織を採取する。トレハロース溶液を接触させる前に採取した根組織を対照とする。根組織から前述の方法で全RNAを調製し、RNAサンプルとする。RNAサンプルをアガロースゲル電気泳動にかけてサイズ分離し、ナイロン又はニトロセルロースメンブレンにRNAを転写する。上記のように合成したノーザンブロット用合成プローブを32Pなどの放射性同位元素、フルオレサミン、ローダミン、ダンシル、これらの誘導体などの蛍光分子などのラベル化剤で標識し、これをプローブとして用いてハイブリダイゼーションを行い、目的の遺伝子を検出する(分子生物学実験プロトコルI(1997)、西野・佐野共訳、丸善株式会社)。図1に、表2の生体防御関連遺伝子がトレハロースによって発現誘導されたことを示す。
次に、上記のようなマイクロアレイ解析(表1)及び遺伝子発現の確認を通して、トレハロースにより誘導される病原応答に関与する転写因子遺伝子、レセプターキナーゼ遺伝子のうち、誘導性が高い遺伝子を選択した(表3)。
Figure 0005164093
表3に記載した遺伝子を単離するために、まず、GenBankに登録されているイネゲノム配列情報を参考にして、各遺伝子のプライマーを設計し、RT-PCR法により全長遺伝子を増幅する。トレハロースで前述のように処理したイネの根組織から全RNAを調製し、RNAから逆転写反応で一本鎖cDNAを合成する。これを鋳型とし、各遺伝子の断片をPCRで増幅する。増幅した遺伝子断片を前述した適切なクローニングベクターに組み込み、塩基配列決定を行う。
特定された各遺伝子の塩基配列を配列番号41、43、45、47、49、51、53、55、57、59及び61に示す。また、これらの各遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号42、44、46、48、50、52、54、56、58、60及び62に示す。
本明細書中、本発明の生体防御関連遺伝子は、イネにおいてトレハロースによって誘導される病害応答に関与する遺伝子であり、ゲノムDNA、RNA、cDNA、その変異体、又はそれらの機能性断片を含む。
本明細書中、機能性断片とは、病原菌に対して生体防御能をもつ任意の断片である。
本明細書中、変異遺伝子とは、本発明の生体防御関連遺伝子のいずれかの塩基配列(配列番号41、43、45、47、49、51、53、55、57、59又は61)において1以上、好ましくは1もしくは数個の塩基の置換、欠失又は付加を有するもの、あるいは塩基配列と80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、もしくは99%以上の相同性を有するものである。また、数個とは、2〜約10個、好ましくは2〜5個である。イネには種々の種類や品種が存在するため、上記の各遺伝子においては、イネの種類や品種間で多型や変異が生じているものもあり、本発明では、それらを変異遺伝子として含有する。
上記のようにして同定された生体防御関連遺伝子をイネにおいて高発現させることによって、イネの病原菌に対する抵抗性を高めることができる。ここで、高発現とは、トレハロース未処理時のイネ(すなわち、対照のイネ)における該遺伝子の発現レベルに対して2倍以上、例えば2〜7倍、高い発現をいう。また、本発明において高発現される生体関連遺伝子は、少なくとも1種、すなわち1又は2種類以上、好ましくは3種類以上、さらに好ましくは5種類以上である。
イネにおいて、生体防御関連遺伝子を高発現させるための方法としては、以下のものに限定されないが、例えば、イネに該遺伝子を外来的にかつ発現可能に導入する方法、イネ又はその種子をトレハロース又はその誘導体で処理する方法、などを挙げることができる。
本明細書中で使用されるイネは、コメを産生する植物であり、コメとしてジャポニカ米、インディカ米などが含まれるが、これらに限定されないものとする。またイネは、すべての品種を包含するものとする。
イネに生体防御関連遺伝子を外来的にかつ発現可能に導入する方法において、生体防御関連遺伝子は、遺伝子組換え技術によりイネに該遺伝子を外来的にかつ発現可能に導入することによって発現を高めることができる。したがって、本発明においては、該遺伝子の発現が外因的に高められることによって病原菌耐性が付与されたイネ形質転換体も提供される。
本明細書中、外来的とは、外来遺伝子が人為的に植物細胞又は組織に導入されることをいう。また、同明細書中、発現可能とは、導入された外来遺伝子が、制御配列の調節下で植物体内で自律的に複製・発現されるか又は染色体上に組み込まれて誘導的にもしくは非誘導的に発現されうる状態を指す。
上記の方法として、例えば、外来遺伝子を適切なベクターに組み込んで、イネ細胞に導入することができる。ベクターには該遺伝子の発現が可能なようにプロモーター、プロモーター/エンハンサーなどの制御配列を挿入することができる。
プロモーターの例として、以下のものに限定されないが、イネアクチン遺伝子(Act1)プロモーター、カリフラワーモザイクウイルス由来の35Sプロモーター、アグロバクテリウムTiプラスミド由来ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター、トウモロコシ由来のユビキチンプロモーター等が挙げられる。更なるプロモーターの例には、低温により誘導されるイネのlip19遺伝子プロモーター、高温により誘導されるイネのhsp80遺伝子又はhsp72遺伝子のプロモーター、乾燥により誘導されるシロイヌナズナのrab16遺伝子のプロモーター、嫌気的条件で誘導されるトウモロコシのアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーター、紫外線照射によって誘導されるパセリのカルコン合成酵素遺伝子のプロモーター、病原菌の感染により発現するイネキチナーゼ遺伝子のプロモーターなども含めることができる。
ベクターの例として、以下のものに限定されないが、pGV3850、pLGV23Neo、pNCAT、pMON200などの中間ベクター、pBI121、pBI101、pBI2113Not、pBI2113、pGA482、pGAH、pBIG、実施例6で用いたpActZH2などのバイナリーベクター、などが挙げられる。
中間ベクターは、T-DNAを含むクローニングベクターであって、目的遺伝子が選択マーカーなどとともに挿入されたベクターである。このベクターで形質転換された大腸菌等の細菌細胞とT-DNA含有Tiプラスミドを保有するアグロバクテリウムとの接合により、T-DNAの相同組換えによってTiプラスミドの中に目的遺伝子が組み込まれた組換えアグロバクテリウムが産生するので、これを植物細胞に感染させて、植物の形質転換を行うことができる。
バイナリーベクターは、T-DNAを欠失しているがその領域の右側ボーダー(RB)と左側ボーダー(LB)を有しており、ここで目的遺伝子はLBとRBの間に挿入され、植物又は細菌での選択のためのマーカー、プロモーターなどをさらに含む。このベクターを含む大腸菌とTiプラスミドを含むアグロバクテリウムとの接合によって産生する形質転換アグロバクテリウムは、2つのベクターを保有し、Tiプラスミドにはvir遺伝子が含まれる。vir遺伝子は形質転換効率を高める作用を有しているが、単子葉植物の形質転換では、該vir遺伝子を誘導するために、培地中にアセトシリンゴン(acetosyringone)を添加することが好ましい。
本発明の導入する配列番号41、43、45、47、49、51、53、55、57、59及び61の生体防御関連遺伝子は少なくとも1種、すなわち1又は2種類以上でよく、特に限定されないが、好ましくは3種類以上、さらに好ましくは5種類以上全種類までである。これらの遺伝子は、同一のベクターに、それぞれプロモーターなどの制御配列を介して連続的に、或いは異なるベクターに別々に導入されうる。
アグロバクテリウムの例は、以下のものに限定されないが、例えばアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、例えばEHA105、EHA101、ASE1、Gv3101、C58、LBA4404、C58C1RifR株などである。
以下に、遺伝子組換えにより生体防御関連遺伝子の発現のレベルを高めた、病原菌耐性イネ形質転換体の作出方法の例を挙げる。
まず、目的の生体防御関連遺伝子を適当な発現ベクターに挿入する。発現ベクターは植物の形質転換体作出に通常用いられているものでよく、前記ベクター等を使用でき、好ましくは市販ベクター(Clontech社など)である。ベクターには、目的の生体防御関連遺伝子の他に、生体防御関連遺伝子の発現を制御する前述の制御配列、形質転換体の選抜を容易にするための、ハイグロマイシン耐性遺伝子、カルベニシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ホフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼなどの薬剤耐性遺伝子、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NPTII)、ジヒドロ葉酸レダクターゼなどの選択マーカー、カリフラワーモザイクウイルス由来又はノパリン合成酵素遺伝子由来のターミネーター、複製開始点、リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位などを挿入することができる。
中間ベクター又はバイナリーベクターへの目的遺伝子の挿入は、該ベクター上に存在するクローニング部位に行われる。特に、バイナリーベクターの場合には、T-DNA領域のLBとRBの間に目的遺伝子が挿入される。
一連の遺伝子操作は、慣用の遺伝子組換え技術によって行うことができる。このような技術は、例えばSambrookら、Molecular Cloning A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989、Ausbelら、Short Protocols in Molecular Biology、A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Third Edition、WILEY、1995などに記載されている。
目的の遺伝子を含有する組換えDNAをイネに導入する方法として、上記のアグロバクテリウムによる方法に加えて、パーティクルガンを用いる方法、プロトプラストを用いる方法(PEG法、エレクトロポレーション法)、凍結融解法などが挙げられ、特に限定されないが、イネの形質転換体作出の日常的な手法であるアグロバクテリウムによる方法を説明する。
イネの完熟種子の籾を取り除き、70%エタノール、20〜30%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素5%)などで滅菌する。洗浄後、種子をカルス誘導培地(N6D、N6Cl培地など)に置床し、例えば60μmol/m2s、16時間明期/8時間暗期の条件(以下明所とする)で、25〜30℃、数日間〜3週間培養する。誘導後の種子の胚乳とシュート部分を切り取り、胚盤由来カルスのみを新しいカルス培養培地に移植し、3日間、25℃、明所で培養してもよい。それとは別に、形質転換アグロバクテリウムをAB培地に塗布し、2〜3日間、28℃、暗黒下で培養する。AB培地で増殖した形質転換アグロバクテリウムを、アセトシリンゴンの入ったアグロバクテリウム懸濁培地(AAM、AA培地など)に懸濁する。前培養したカルスを懸濁液に浸漬し、その後、カルスの余分な水分を除去し、共存培養培地(2N6AS、N6CO培地など)にカルスを置床し、28℃、暗黒下で3日間培養する。次に、滅菌精製水またはカルベニシリンを入れた滅菌水洗浄液などでカルスを洗浄し、アグロバクテリウムを除去する。カルスから余分な水分を除去し、例えばハイグロマイシン、カルベニシリンを含む選抜培地(N6D、N6SE培地など)に置床し、25〜28℃、明所で2〜3週間培養する。培養後、新しい選抜培地に移植し、選抜を継続し、カルスを再分化培地(RE-III、MSRE培地など)に移植し、25〜28℃、明所で再分化してくるまで培養する。再分化固体をHF培地に移植し、根の再生を行う。また、検定培地(MSHF)に置床し、例えば薬剤耐性を検定してもよい。耐性であれば発根し、野生型と同様の生育を示す。非形質転換体は、新しい根が伸長せず1週間ほどで枯死する。植物体が生育したら、馴化させ、閉鎖系温室のポットに移植する(参考文献:細胞工学別冊植物細胞工学シリーズ15、新版モデル植物の実験プロトコール(2001)、島本、岡田監修、秀潤社、S. Toki, N. Hara, K. Ono, H. Onodera, A. Tagiri, S. Oka, H. Tanaka, 2006. Plant Journal 47: 969-976)。
イネ形質転換体が病原菌耐性を有しているかどうかは、例えば、Methods for Isolation, Cultivation, Inoculation of Plant Pathogens, Japan Plant Protection Associationに記載されている試験方法により容易に確認できる。例えば、イネいもち病の場合は、イネにそのイネ品種に罹病性のイネいもち病菌のレースを接種した場合の病斑形成や病斑面積率の程度を、原品種と組換え体とを比較することによって検定することが可能であるが、これに限定されることはない。例えば、イネいもち病の抵抗性検定については、イネの葉に接種用パンチで穴を開け、その上にいもち病菌胞子のペーストをのせて感染させるパンチ接種法、針の先にいもち病菌胞子ペーストを付けて葉を突き刺す針接種法、いもち病菌胞子の懸濁液をイネに噴霧する噴霧接種法が挙げられる。これらの接種法では、病斑は葉の傷口から広がるように発病するので、病斑の伸展長を測定することによって、抵抗性強度の検定を行う。
本発明において、生体防御関連遺伝子の高発現のための別の方法として、本発明の生体防御関連遺伝子は、トレハロース又はその誘導体で処理することにより高発現が誘導される。そのためには、イネ又は種子を、トレハロース含有水溶液で処理することができる。トレハロース濃度は、該生体防御関連遺伝子を誘導する濃度であり、以下の範囲に限定されないが、例えば0.5〜50mMが好ましく、1〜5mMがより好ましい。処理時間は特に限定されないが、1〜48時間が好ましく、2〜6時間がより好ましい。トレハロース処理は、イネの生育ステージを問わず何度でも実施できるが、出穂前に実施することが好ましい。処理方法は特に限定されず、例えば苗全体をトレハロース水溶液に浸漬したり、灌注してもよい。種子(種籾、玄米などを問わない)の場合は、例えば6時間〜2日間、該水溶液に浸漬する。
本発明のイネの病原菌に対する抵抗性を高める方法及び病原菌耐性イネ形質転換体の対象となる病原菌は、以下のものに限定されないが、例えばいもち病菌(Magnaporthe grisea)、苗立枯細菌病菌(Burkholderia plantarii)、紋枯れ病菌(Rhizoctonia solani, AG-1)、白葉枯病菌(Xanthomonas oryzae pv.oryzae)、もみ枯細菌病菌(Burkholderia glumae)などが挙げられる。本発明の方法及びイネ形質転換体は、特にいもち病菌及び苗立枯細菌病菌に対して優れた抵抗性を有している。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
トレハロース誘導性イネ遺伝子のマイクロアレイ発現解析
イネ(品種:ゆきひかり)種子を70%アルコール5分間、次に次亜塩素酸(和光純薬)の2倍希釈液で30分間滅菌を行った後、3日間暗所25℃に静置して吸水させ、発芽誘導した。その後、プラスチック製メッシュ上に発芽種子を播種し、水を張ったプラスチック製容器をメッシュの下に置き、25℃連続明所下で2週間水耕栽培した。処理開始直前のイネ幼苗から根組織を採取し「C0」とし、5mMトレハロース処理2時間後のイネ幼苗から根組織を採取し「T2」とした。試料は採取と同時に液体窒素中で瞬間凍結し、RNA抽出時まで-80℃で保存した。トレハロース処理は、事前に25℃に保温しておいた5mMトレハロース溶液を根に直接接触させることにより行った。試料C0及びT2を液体窒素中で粉末にした後、-80℃で保存した。
凍結組織より、TRIzol試薬(Invitrogen)を用いて全RNAを調製した。試料1gに対しTRIzol 10mlを加え、よく撹拌した後室温で5分静置した。次にクロロホルムを2ml加え30秒充分に撹拌し、室温で3分静置し12000 x gの遠心を室温で10分間行った。水相をとり、これに2-プロパノール5ml加え室温で10分間静置した。12000 x gの遠心を10分間行い、RNAを沈殿させた。この沈殿を5mlの70%エタノールで洗浄後、500μlの滅菌水に溶解し、これに500μlのPCI液(フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール、25:24:1)を加え撹拌した。15000 x gの遠心を10分間室温で行い、水相をとり、これにPCI液を500μl加えて撹拌し、更に15000 x gの遠心を10分間行った。水相をとり、これに3M酢酸ナトリウム(pH5.2)を50μl、100%エタノールを1ml加え、-80℃で2時間保温した後、15000 x gの遠心を4℃で行い、RNAを沈殿させた。沈殿を約300μlの滅菌水に溶解した後、濃度を測定した。
Agilent社Bioanalyzer 2100により純度を検定した後、同社Low RNA input liner ampキットを用いて以下に示す通り一本鎖cDNAを合成した。RNA 0.4μgにT7 promoter primerを1.2μl加え、滅菌水を更に加えて5.75μlとした。これを65℃10分間処理した後、氷中に入れ急冷した。これにcDNA合成ミックス(組成は下記参照)を4.25μl加え、40℃2時間保温し、cDNAを合成した。65℃15分間処理することにより反応を停止し、氷中に5分間静置した。これに10 mM Cyanine3 CTPまたはCyanine5 CTPを1.2μl加え、更に転写ミックス(組成は下記参照)を28.8μl加え、40℃2時間保温し、標識RNAを合成した。以降RNeasy mini kitを使用し精製した。精製の手順は以下の通りである。保温後のRNA液に60μlの滅菌水を加え、更にRLT-バッファーを350μl加えた後、250μlのエタノールを加えコレクションチューブをつけたRNeasy mini カラムに移した。これを11000 x g 30秒間遠心し、濾液は捨ててカラムに新しいRPE-バッファーを500μl加えて同様に遠心した。この操作を繰り返した後、カラムに25μlの滅菌水を注ぎ、11000 x gで30秒間遠心した。この操作を繰り返し、得られた2回分の濾液を新しいチューブに集め、濃度、色素の取り込み率を測定した。
ハイブリダイゼーション溶液の調製は以下の通り行った。蛍光標識RNAをそれぞれ1μg、10 x コントロールターゲット50μlに滅菌水を加え、最終液量250μlとし、更に10μl 25 xフラグメンテーション緩衝液を加えて60℃で30分間処理した。これに250μlの2 x ハイブリダイゼーション緩衝液を加え、ハイブリダイゼーション液とした。それぞれ1μg用いて同社Hybridization kit Plus の説明書に従いハイブリダイゼーション液を調製し、Agilent社製22Kイネマイクロアレイを用いて60℃で17時間ハイブリダイゼーションを行った。マイクロアレイを2 x SSC (SSC; 150mM NaCl、15mM Tri-sodium Citrate、pH7.0)、0.05% Triton X-102で10分間室温にて洗浄し、次に0.2 x SSC、0.05% Triton X-102で5分間4℃にて洗浄した。マイクロアレイ上に残っている水分を窒素ガスで取り除き、Agilent社製マイクロアレイスキャナーで遺伝子の発現レベル情報を読み込み、同社製解析ソフトウェアーFeature Extraction Softwareにより、C0及びT2における各遺伝子の発現レベルの差を解析した。発現レベルの差を指標にして、トレハロース処理により誘導される遺伝子を上位より並べ、表1に示した。
[cDNA合成ミックスの組成]
5 x First strandバッファー 2.0 μl
0.1 M DTT 1.0 μl
10mM dNTP ミックス 0.5 μl
MMLV-RT 0.5 μl
RNaseOUT 0.25μl
合計 4.25μl
[転写ミックスの組成]
水 7.65μl
4 x 転写バッファー 10.0 μl
0.1 M DTT 3.0 μl
NTP ミックス 4.0 μl
50%PEG 3.2 μl
RNaseOUT 0.25μl
無機ピロホスファターゼ 0.3 μl
T7 RNA ポリメラーゼ 0.4 μl
合計 28.8 μl
トレハロースにより誘導される遺伝子のノーザン解析
前記マイクロアレイ実験で同定されたトレハロース誘導性遺伝子のうち病害応答に関与すると考えられるいくつかの遺伝子を表2の通り選択した。これらの遺伝子のトレハロースに応答した発現をノーザン解析により調べることを目的とし、まず、各遺伝子のプローブ断片を合成した。当該遺伝子の部分配列を特異的に増幅する下記のヌクレオチドを合成し、Ex TaqPCRキット(宝酒造)を用いて前述と同様にして部分長cDNAを増幅、クローニングした後、塩基配列を決定した。PCR条件及びノーザンブロットプローブ増幅用に使用した合成ヌクレオチドは配列番号1〜18に示した。
[PCR反応液]
Takara Ex Taq (5u/μl) 0.1 μl
10 x Ex Taq バッファー 2.5 μl
dNTPミックス(各2.5mM) 2.0 μl
鋳型cDNA 0.2 μl
20μM Fwプライマー 0.5 μl
20μM Rvプライマー 0.5 μl
滅菌水 19.2 μl
合計 25.0 μl
[PCR条件]
ステップ1 95℃ 3分
ステップ2 95℃ 30秒
ステップ3 52℃ 30秒
ステップ4 68℃ 30秒
ステップ5 68℃ 3分
ステップ2からステップ4を30回繰り返した。
前記のように水耕したイネ発芽種子の根に5mMのトレハロースを処理し、処理開始前、処理後1、2、4、6時間後の幼苗より根組織を採取した。採取した組織より、前述の方法に従い全RNAを調製後、10μgずつ計り取り、遠心エバポレーターにより乾固させた。乾燥したRNAに泳動用緩衝液(42%ホルマリン、14%ホルムアルデヒドを含むMOPSバッファー(20mM MOPS、5mM酢酸ナトリウム、1mM EDTA、pH7.0))を20μl加え、完全に溶解した後、95℃で5分間熱変性させ、急冷した。変性RNAを0.8%アガロースゲル中で電気泳動を行った後、Hybond-N+ナイロン膜(Amersham)に一晩かけて転写した。転写後の膜を2時間風乾して、3分間紫外線に曝し、RNAを膜上に固定化した。
プローブとなるDNA断片(100ng)を[α-32P]dCTP及びBcaBEST DNA labeling kit (宝酒造)を用いてプロトコールに従い、放射線ラベルした。未反応のdCTPをMicrospin S-300 HR (Amersham)を用いて製造業者の使用説明書に従い、除去した。65℃に保温したRapid hybri buffer (Amersham)中でプレハイブリダイゼーションを行い、その後、放射線標識プローブをハイブリダイゼーション液に加え65℃一晩保温することにより、ハイブリダイゼーションを行った。ナイロン膜の洗浄は、65℃に保温した2 x SSC、0.1%SDS溶液中で15分間振とうする操作を2回繰り返し、次に0.2xSSC、0.1%SDS溶液中で15分間65℃で振とうすることにより行った。洗浄後、ナイロン膜X線フィルムに適切な時間接触させて露光し、現像した。
図1に示されるように、どの遺伝子もトレハロース処理により発現の誘導が確認された。
トレハロースで誘導される生体防御関連遺伝子のcDNAクローニング
トレハロース誘導性遺伝子のうち、トレハロースシグナル伝達に関わると考えられる転写因子及びレセプターキナーゼ遺伝子として、表3の遺伝子を特定した。
これらの遺伝子を単離するため、Genbankに登録されているイネゲノム配列情報を参考にしてプライマー(配列番号19〜40)を設計し、RT-PCR法により全長遺伝子を増幅した。5mMトレハロース処理2時間後のイネ(品種:日本晴)根組織より調製した全RNA約0.1μgより、Applied Biosystem社GeneAmp RNA PCR core kitを用いて、製造業者の使用説明書に従い一本鎖cDNAを合成した(一本鎖cDNA合成液の組成は後記参照)。遺伝子発現の制御に重要である転写因子及び受容体タンパク質リン酸化酵素の翻訳領域を特異的に増幅可能なヌクレオチドを合成した。一本鎖cDNAを鋳型とし、各遺伝子に特異的な合成ヌクレオチドのセット及びKOD-Plus-DNA polymeraseキット(東洋紡)を使用して、製造業者の使用説明書に従い反応液を調製し、以下に示した条件により目的遺伝子の断片をApplied Biosystem Cirmal cycler 9700で増幅した。増幅した遺伝子断片を含む反応液を95℃で20分間処理した後、20 mM dATPを1.5μl加え、60℃で20分保温することで遺伝子断片にA付加をした。この断片をpGEM-Teasyクローニングベクター(Promega)に組込み、塩基配列決定用試薬BigDye sequencing kit ver 1.1及びシークエンサーABI310(Applied Biosystem)により塩基配列を確認した。これらの遺伝子の塩基配列を配列番号41、43、45、47、49、51、53、55、57、59及び61に示した。各遺伝子の増幅に使用した反応条件は以下のとおりである。
[一本鎖cDNA合成液の組成]
25mM MgCl2 2 μl
10 x PCRバッファーII 1 μl
水 1 μl
dNTPミックス 4 μl
RNaseインヒビター 0.5 μl
MuLV逆転写酵素 0.5 μl
オリゴd(T)16プライマー 0.5 μl
RNA溶液 0.5 μl
合計 10.0 μl
[一本鎖cDNA合成反応]
ステップ1 25℃ 10分
ステップ2 42℃ 30分
ステップ3 99℃ 5分
ステップ4 4℃ 5分
[PCR反応液]
KOD-Plus用10 x PCRバッファー 2.5 μl
2mM dNTPs 2.5 μl
25mM MgSO4 1.0 μl
プライマーミックス(各10μM) 0.8 μl
鋳型cDNA 0.5 μl
KOD-Plus-DNAポリメラーゼ 0.5 μl
滅菌水 17.2 μl
合計 25.0 μl
[PCR条件]
ステップ1 94℃ 3分
ステップ2 94℃ 30秒
ステップ3 58℃ 30秒
ステップ4 68℃ 1分(ただし配列番号53のみ2分)
ステップ5 68℃ 3分
ステップ2からステップ4を30回繰り返した。
イネいもち病菌抵抗性に及ぼすトレハロース処理の効果
[栽培]
品種「日本晴れ」を使用し、イネいもち病が十分に発病するように調節した温室内で栽培した。栽培に使用したポットは内径28mmx高さ115mmのものを使用し、5本/potのイネを生育させた。
[薬剤の処理]
発病しやすいイネの第4葉が1-3cm程度まで生長した個体に対して、1mM及び5mMのトレハロースを灌注処理した。なお、比較例として、イネいもち病に使用される農薬BIT(プロベナゾール、化学名:1,2-ベンズイソチアゾール-1,1-ジオキシド)を0.5mMで同様に処理したイネを用意した。薬剤処理5日後にいもち病菌の接種を行った。
[いもち病菌(Magnaporthe grisea)胞子液の調製]
オートミール培地プレートでいもち病菌が一面に生えるように生育させ(28℃)、気中菌糸を除去した後、BLBランプ照射下で生育を続けて胞子形成を行う。生育した胞子を滅菌水に懸濁して調製した胞子液を、感染試験に用いた。
[感染実験]
イネを接種箱(60x60x60cm)内に静置し、いもち病菌胞子液を噴霧接種した。イネは接種箱内で暗黒下、湿度100%の条件で24時間静置した後、接種箱から出し温室内で栽培を継続した。接種5日後に第4葉に出現した病斑の数を計測して発病の度合いを評価し、対照区に対して発病が抑制された割合((対照区の病斑数-トレハロース処理区の病斑数)÷対照区の病斑数×100)を防除価(%)として求めた。
[結果]
図2に示すように、1mM及び5mMトレハロース処理により、BITと同様なレベルの抵抗性が誘導された。
イネ苗立枯細菌病菌抵抗性に及ぼすトレハロース処理の効果
イネユキヒカリ種子を70%エタノールで3分間滅菌し、その後滅菌水で充分に洗浄した。滅菌種子を90mm滅菌シャーレに移し、滅菌した5mMトレハロース溶液を20ml加え、暗所25℃で24時間静置した。対照として滅菌後トレハロース溶液の代わりに滅菌水に浸した種子を用意した。24時間後トレハロース溶液を捨て、種子を滅菌水で充分にすすいだ。PY(Bacto Yeast extract 2g、 Bacto Pepton 5g/L)培地で30℃で一晩生育し、106 CFU/mlに調整したイネ苗立枯細菌病菌(Burkholderia plantarii)培養液を20mlシャーレに加え、更に暗所25℃で48時間静置した。90mm滅菌シャーレにバーミキュライト敷き詰め、滅菌水を全体に湿らす程度加え、そこにイネ種子を20粒ずつ植え、明期16時間(25℃)暗期8時間(25℃)に設定した人工気象室において発芽させ、約一週間後苗の生育状況を観察した。
[結果]
図3に示すように、5mMトレハロース処理したイネの枯死率は25.3±3.3%、対照は60.1±3%であり、トレハロースにより明確な抵抗性が誘導されていた。
病原菌体制イネ形質転換体の作出
表3に示したトレハロースによる誘導性が高い遺伝子のうち、遺伝子番号AK112056(配列番号59)及びAK108522(配列番号49)の遺伝子について、実際に発現を高めた形質転換体を下記の方法によって作出した。
[クローニング]
形質転換体植物を作出する目的で、新たに制限酵素Xba I及びKpn I部位を変異導入するプライマーセット(AK112056用プライマーセット1:配列番号63及び64、AK108522用プライマーセット2:配列番号65及び66)を作製した。実施例3と同様の方法を用いて合成した一本鎖cDNAを鋳型とし、KOD-Plus-DNA polymerase キット(東洋紡)を用い、製造業者の使用説明書に従いPCR反応を行なって、AK112056とAK108522の遺伝子の断片を増幅した。増幅したcDNA断片をpGEM-Teasyベクターに組み込み塩基配列を確認した。
AK112056に相当するcDNA断片(塩基配列:配列番号67、アミノ酸配列:配列番号68)及びAK108522に相当するcDNA断片(塩基配列:配列番号69、アミノ酸配列:配列番号70)を制限酵素Xba I及びKpn Iを用いて切り出し、バイナリーベクターpActZH2の当該部位に挿入した。バイナリーベクターpActZH2は、pPZP202 (P. Hajdukiewicz, Z. Svab, P. Maliga, 1994. Plant Molecular Biology 25: 989-994)のT-DNA部分にカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターとノパリンシンターゼターミネーターとの間にハイグロマイシン耐性遺伝子を導入したカセットと、イネAct1遺伝子プロモーター(Sentoku et al. Developmental Biology Volume 220, 2000, Pages 358-364)とノパリンシンターゼターミネーター間にマルチクローニングサイトを持つ遺伝子発現用カセットを組み込んだものである。このベクターを凍結融解法によりアグロバクテリウムEHA101に導入した。
[イネ形質転換]
形質転換体植物の作出は、Tokiらの方法(S. Toki, N. Hara, K. Ono, H. Onodera, A. Tagiri, S. Oka, H. Tanaka, 2006. Plant Journal 47: 969-976)に従った。具体的な操作方法を以下に示す。
イネ(品種:ゆきひかり)の種子のモミを取り除き70%エタノールで2分間滅菌した後、滅菌精製水で十分に洗浄した。次に2倍希釈した次亜塩素酸(塩素濃度2.5%)で30分間滅菌し、滅菌精製水で十分に洗浄した。滅菌した種子をN6D培地上に静置し、30℃明所の条件下5日間でカルスを誘導した。このカルスを2日間AB培地上で生育させた形質転換アグロバクテリウムとともに30ml AAM液体培地(10mg/lアセトシリンゴンを含む)で2分間共存させた。余剰な水分を滅菌したペーパータオルで取り除き、3日間2N6AS固形培地にカルスを静置し暗所28℃にて共存培養を行なった。その後カルスを滅菌精製水で十分に洗浄し、50mg/lハイグロマイシン及び250mg/lカルベニシリンを含むN6D培地に静置し、明所下28℃にて形質転換体の選抜を行なった。2週間の培養後、カルスを新しい同培地に移植し、選抜を継続した。更に2週間の培養後、増殖の認められたカルスをRE-III培地に置床し再分化させた。地上部の再分化が認められた植物体をHF培地に移植し、根の再生を行なった。十分に再分化した植物体を土壌に移植した。当代植物体の葉組織よりRNAを抽出し、上述のプライマーセット1あるいは2を用いてRT-PCR法により導入遺伝子の高発現を確認した。次世代種子を得て抵抗性検定に用いた。
上記培地の組成を以下に示す。
[N6D固形培地(1リットル当たり)]
KNO3 2,830mg, (NH4)2SO4463mg, MgSO4・7H2O 185mg, CaCl2・2H2O 166mg, KH2PO4 400mg, Na2EDTA 37.3mg, FeSO4・7H2O 27.8mg, MnSO4・4H2O 4.4mg, ZnSO4・7H2O 1.5mg, KI 0.8mg, H3BO3 1.6mg, Casamino acid 300mg, Glycine 2mg, L-Proline 2,878mg, myo-Inositol 100mg, Nicotinic acid 0.5mg, Pyridoxine-HCl 0.5mg, Thiamine-HCl 1mg, 2,4-D 2mg, Sucrose 30g, Gellan Gum 3g (pH 5.8)
[2N6AS固形培地(1リットル当たり)]
KNO3 2,830mg, (NH4)2SO4463mg, MgSO4・7H2O 185mg, CaCl2・2H2O 166mg, KH2PO4 400mg, Na2EDTA 37.3mg, FeSO4・7H2O 27.8mg, MnSO4・4H2O 4.4mg, ZnSO4・7H2O 1.5mg, KI 0.8mg, H3BO3 1.6mg, Casamino acid 300mg, Glycine 2mg, myo-Inositol 100mg, Nicotinic acid 0.5mg, Pyridoxine-HCl 0.5mg, Thiamine-HCl 1mg, 2,4-D 2mg, Sucrose 30g, Glucose 10g, Gellan Gum 3g, Acetosyringone 10mg (pH 5.2)
[AAM液体培地(1リットル当たり)]
MgSO4・7H2O 250mg, CaCl2・2H2O 150mg, NaH2PO4・2H2O 150mg, KCl 3g, Fe-EDTA 40mg, MnSO4・4H2O 10mg, ZnSO4・7H2O 2mg, CuSO4・5H2O 0.025mg, CoCl2・6H2O 0.025mg, KI 0.75mg, H3BO3 3mg, Na2MoO4・2H2O 0.25mg, Casamino acid 500mg, Glycine 7.5mg, L-Arginine 176.7mg, L-Glutamine 900mg, L-Aspartic acid 300mg, myo-Inositol 100mg, Nicotinic acid 1mg, Pyridoxine-HCl 1mg, Thiamine-HCl 10mg, Sucrose 68.5g, Glucose 36g, Acetosyringone 10mg (pH 5.2)
[RE-III固形培地(1リットル当たり)]
KNO3 1,900mg, NH4NO3 1,650mg, MgSO4・7H2O 370mg, CaCl2・2H2O 440mg, KH2PO4170mg, Na2EDTA 37.3mg, FeSO4・7H2O 27.8mg, MnSO4・4H2O 22.3mg, ZnSO4・7H2O 8.6mg, CuSO4・5H2O 0.025mg, CoCl2・6H2O 0.025mg, KI 0.83mg, H3BO36.2mg, Na2MoO4・2H2O 0.25mg, Casamino acid 2g, Glycine 2mg, myo-Inositol 100mg, Nicotinic acid 0.5mg, Pyridoxine-HCl 0.5mg, Thiamine-HCl 0.1mg, NAA 0.02mg, Kinetin 2mg, Sucrose 30g, Sorbitol 30g, Gellan Gum 3g (pH 5.8)
[HF固形培地(1リットル当たり)]
KNO3 1,900mg, NH4NO3 1,650mg, MgSO4・7H2O 370mg, CaCl2・2H2O 440mg, KH2PO4170mg, Na2EDTA 37.3mg, FeSO4・7H2O 27.8mg, MnSO4・4H2O 22.3mg, ZnSO4・7H2O 8.6mg, CuSO4・5H2O 0.025mg, CoCl2・6H2O 0.025mg, KI 0.83mg, H3BO36.2mg, Na2MoO4・2H2O 0.25mg, Glycine 2mg, myo-Inositol 100mg, Nicotinic acid 0.5mg, Pyridoxine-HCl 0.5mg, Thiamine-HCl 0.1mg, Sucrose 30g, Gellan Gum 3g (pH 5.8)
[AB培地(1リットル当たり)]
NH4Cl 1g, MgSO4・7H2O 296mg, CaCl2・2H2O 10mg, NaH2PO4・2H2O 1.3g, K2HPO43g, KCl 150mg, FeSO4・7H2O 2.5mg, Glucose 5g, Agar 15g (pH7.2)
[抵抗性検定]
上記方法により作出したイネ形質転換体について、イネいもち病の抵抗性をパンチ接種法により検定した。
ハイグロマイシン(50mg/l)耐性を示す幼苗を、4葉期まで生育させた。フタ付きプラスチックケースに蒸留水でしめらせた濾紙を敷き、その上に切り取ったイネの第4葉を並べた。オートミール培地上に形成させたいもち病の胞子を滅菌蒸留水(+0.2% Tween 20を含む)で平筆を使って掻き取り、105 spore/mlに調製した。10μlのピペットチップの先端を葉に押しつけて軽く傷をつけた上に3μlの胞子懸濁液を滴下した。ふたをしてプラスチック内の湿度を100%に保った状態で25℃の温室内で約1週間静置し、形成されたいもち病の病斑の縦方向の長さを測定し、いもち病進展度合を算出した(導入遺伝子高発現株の病斑の長さ÷野生株の病斑の長さ×100)。結果を表4に示す。また、野生株及び導入遺伝子高発現株の病斑(パンチ接種法処理後6日目)を図4に示す。
Figure 0005164093
イネ形質転換体のいもち病に対する抵抗性は、野生株よりも高まっていることが明らかであった。このことから、トレハロースにより誘導される遺伝子が、その発現レベルを高めることにより、病原菌に対する抵抗性を強化させる機能を持つことが示された。
本発明の病原菌に対する抵抗性を高める方法及び病原菌耐性イネ形質転換体は、冷害、長雨などの病原菌感染しやすい環境でも栽培、収穫するのに有用である。
トレハロース処理による生体防御関連遺伝子の誘導を示す。 イネいもち病菌に対するトレハロースの効果を示す。 イネ苗立枯細菌病菌に対するトレハロースの効果を示す。 イネ野生株及び形質転換体でのパンチ接種法によるイネいもち病の抵抗性を示す。

Claims (8)

  1. イネにおいて、配列番号59の塩基配列を有する生体防御関連遺伝子の発現レベルを高めることを含む、イネの病原菌に対する抵抗性を高める方法。
  2. 前記遺伝子の発現レベルが、イネ又はその種子をトレハロース又はその誘導体で処理することによって高められる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記遺伝子の発現レベルが、イネに該遺伝子を外来的にかつ発現可能に導入することによって高められる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記遺伝子の発現レベルが、対照のイネに対して2倍以上高まる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記病原菌が、いもち病菌又は苗立枯細菌病菌である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 配列番号59の塩基配列を有する生体防御関連遺伝子が外来的にかつ発現可能に導入されたことを特徴とする、病原菌耐性イネ形質転換体。
  7. 前記病原菌が、いもち病菌又は苗立枯細菌病菌である、請求項6に記載の形質転換体。
  8. イネの病原菌に対する抵抗性を高めるための、配列番号59の塩基配列を有する生体防御関連遺伝子の使用方法。
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