JP3582859B2 - 蓋材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は蓋材に係り、特に合成樹脂製容器に用いる蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種部品、固形あるいは液状の食品等を合成樹脂製容器に収容し、開口部を蓋材により密封して流通、保管することが行われている。
【0003】
例えば、多数のエンボスが形成されたキャリアテープの各エンボス部に電子部品を収納し、蓋材(カバーテープ)をエンボス部を覆うようにキャリアテープ上に熱融着して密封したエンボスキャリア型テーピングが使用されている。このようなエンボスキャリア型テーピングに使用されるキャリアテープは、通常、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート等のシート成形が容易な材料を用いて形成されている。また、蓋材は、二軸延伸樹脂フィルムと、このフィルムの一方の面に形成されたヒートシーラント層を備えている。そして、収納されている電子部品がキャリアテープのエンボス部あるいは蓋材と接触して発生する静電気、およびカバーテープをキャリアテープから剥離する際に発生する静電気により、電子部品の劣化、破壊が生じる危険性があるため、これを防止する手段がキャリアテープ、蓋材に要求される。
【0004】
キャリアテープにおける静電気発生の防止手段として、キャリアテープ中に導電性カーボン微粒子、金属微粒子を練り込んだり塗布することが行われている。また、蓋材における静電気発生の防止手段としては、電子部品と直接接触するヒートシーラント層に界面活性剤等の帯電防止剤、導電性カーボン微粒子、金属微粒子を練り込んだり塗布することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来のエンボスキャリア型テーピングでは、キャリアテープおよび蓋材は含有されている帯電防止剤としての導電性カーボン微粒子により透明性が極めて低く、エンボスキャリア型テーピングに収納されている電子部品を外部から確認しずらいという問題があった。
【0006】
また、界面活性剤を塗布した場合は、カバーテープのヒートシーラント層の表面状態を変化させ、シール性が不安定となり、シール不良の原因となったり、また、保管中の温度、湿度による静電気拡散効果の依存性が大きいため、安定した帯電防止効果が得られないという問題があった。
【0007】
さらに、キャリアテープへの蓋材の熱融着は、エンボスキャリア型テーピングの輸送、保管中に蓋材が剥離して電子部品の脱落が生じることがないように、所定の強度が要求される。しかし、この熱融着強度が大きすぎると、電子部品の実装工程における蓋材の剥離の際に、キャリアテープが振動して電子部品がキャリアテープのエンボス部から飛び出す事故が発生するという問題があった。したがって、蓋材はキャリアテープに十分な強度で接着され、かつ電子部品使用時の剥離性が良好であることが要求され、このため、ヒートシールの温度、時間等の条件設定が厳しいという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、優れた静電気特性と透明性を有し、かつ合成樹脂製容器への高い接着性と良好な剥離性を兼ね備えた蓋材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は電子部品を収納した合成樹脂製の容器に用いる蓋材において、二軸延伸樹脂層と、ヒートシーラント層と、該ヒートシーラント層に隣接し前記二軸延伸樹脂層と前記ヒートシーラント層との間に位置する中間層とを備え、前記ヒートシーラント層は熱可塑性樹脂に硫酸バリウムを主剤とする導電性微粉末が分散された層であり、前記中間層は密度0.915〜0.940g/cm3のエチレン−α・オレフィン共重合体30〜70重量%と、スチレン50〜90重量%とブタジエン50〜10重量%とのスチレン−ブタジエンブロック共重合体70〜30重量%からなる樹脂組成物により形成されるような構成とした。
【0010】
【作用】
蓋材は、二軸延伸樹脂層と、熱可塑性樹脂に硫酸バリウムを主剤とする導電性微粉末が分散されたヒートシーラント層と、このヒートシーラント層に隣接し二軸延伸樹脂層とヒートシーラント層との間に位置し、密度0.915〜0.940g/cm3 のエチレン−α・オレフィン共重合体30〜70重量%と、スチレン50〜90重量%とブタジエン50〜10重量%とのスチレン−ブタジエンブロック共重合体70〜30重量%からなる樹脂組成物により形成された中間層とを備え、ヒートシーラント層に含有された硫酸バリウムを主剤とする導電性微粉末はヒートシーラント層の透明性を失うことなく蓋材に帯電防止特性を付与し、また中間層とヒートシーラント層との層間における剥離、あるいは、ヒートシーラント層内部での凝集破壊による剥離が可能であるため、ヒートシーラント層とキャリアテープの熱融着強度に関係なく蓋材の剥離が安定かつ確実に行える。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明の蓋材の概略断面図である。図1において、蓋材1は二軸延伸樹脂層2と、接着剤層3、接着層4を介して二軸延伸樹脂層2に順に積層された中間層5とヒートシーラント層6とを備えている。
【0013】
二軸延伸樹脂層2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂等の二軸延伸フィルムで形成することができる。このように二軸延伸樹脂層2を設けることにより、蓋材1に耐熱性を付与することができる。二軸延伸樹脂層2の厚さは、蓋材の使用目的に応じて適宜設定することができ、例えば6〜100μm程度とすることができる。
【0014】
この二軸延伸樹脂層2と中間層5との間に形成された接着層4により、ヒートシールを行う際に熱および圧力が均一にかかるようにすることができる。接着層4としては、ポリエチレン、ポリエチレンビニルアセテート共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、あるいはこれらの変性物のいずれかのポリオレフィンにより形成することができ、厚さは10〜60μm程度が好ましい。接着層4の厚さが10μm未満であるとクッション機能が悪く、また60μmを超えるとヒートシール性が低下する。接着剤層3は二軸延伸樹脂層2と接着層4とのラミネート強度を向上させるためのものであり、イソシアネート系、イミン系等の接着剤を使用することができる。また、二軸延伸樹脂層2の接着剤層3が形成される面に、必要に応じて予めコロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理等の表面処理を施して、接着剤層3との接着性を高めてもよい。
【0015】
接着層4は、接着剤層3を介して二軸延伸樹脂フィルム上に塗布あるいは押出し成形することができ、この接着層4上に中間層5をドライラミネーションあるいは押し出しラミネーションすることができる。
【0016】
尚、接着層4を形成せずに、二軸延伸樹脂層2と中間層5とを直接、接着剤層3により接着して積層することもできる。この場合も、接着剤層3としてイソシアネート系、イミン系等の接着剤を使用することができる。また、二軸延伸樹脂層2の接着剤層3が形成される面に、必要に応じて予めコロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理等の表面処理を施すことができる。
【0017】
中間層5は、密度0.915〜0.940g/cm3 のエチレン−α・オレフィン共重合体30〜70重量%と、スチレン50〜90重量%とブタジエン50〜10重量%とのスチレン−ブタジエンブロック共重合体70〜30重量%からなる樹脂組成物により形成される。
中間層5の形成に使用するエチレン−α・オレフィン共重合体は、エチレンと、例えば、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、4−メチルペンテン・1等との共重合体等である。このようなエチレン−α・オレフィン共重合体の密度が0.915g/cm3 未満、あるいは0.940g/cm3 を超える場合、スチレン−ブタジエンブロック共重合体との組み合わせによる中間層4の成膜性が低下してしまい好ましくない。
【0018】
また、中間層5の形成に使用するスチレン−ブタジエンブロック共重合体を構成するスチレン量が50重量%未満であるとフィルムの粘着性が増して取り扱いが難しくなり、また90重量%を超えると低温でのヒートシーラント層6との密着性が悪くなり好ましくない。
【0019】
そして、中間層5におけるエチレン−α・オレフィン共重合体とスチレン−ブタジエンブロック共重合体との混合比は、合成樹脂製容器に蓋材1を熱融着した後に剥離する際の剥離強度と、蓋材1の透明性とに大きく影響する。エチレン−α・オレフィン共重合体量が30重量%未満、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が70重量%を超える場合、中間層5の成膜性が低くなり蓋材の透明性も低下し好ましくない。一方、エチレン−α・オレフィン共重合体量が70重量%を超え、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が30重量%未満である場合、中間層5とヒートシーラント層6との密着力が小さすぎ、蓋材の剥離強度が適性な強度を下回り好ましくない。
【0020】
中間層5の厚さは、通常10〜60μm程度が好ましい。中間層の厚さが10μm未満の場合、成膜性が悪く、また60μmを超えると蓋材1の熱融着性が悪くなる。
【0021】
また、本発明の蓋材1は、中間層5の成膜精度を向上させるために、中間層5を多層構造とすることができ、この場合、ヒートシーラント層6に接する層は、密度0.915〜0.940g/cm3 のエチレン−α・オレフィン共重合体30〜70重量%と、スチレン50〜90重量%とブタジエン50〜10重量%とのスチレン−ブタジエンブロック共重合体70〜30重量%からなる樹脂組成物から形成される必要がある。
【0022】
図2は、中間層を2層構造とした本発明の蓋材の例を示す概略断面図であり、中間層5は第1樹脂層5aと第2樹脂層5bとから構成されている。この場合、第1樹脂層5aは、密度0.915〜0.940g/cm3 のエチレン−α・オレフィン共重合体で形成される。そして、ヒートシーラント層6に接する第2樹脂層5bは、密度0.915〜0.940g/cm3 のエチレン−α・オレフィン共重合体30〜70重量%と、スチレン50〜90重量%とブタジエン50〜10重量%とのスチレン−ブタジエンブロック共重合体70〜30重量%からなる樹脂組成物により形成される。このような第1樹脂層5aおよび第2樹脂層5bの厚さは、それぞれ5〜30μm程度とすることができる。
【0023】
図3は、中間層を3層構造とした本発明の蓋材の例を示す概略断面図であり、中間層5は第1樹脂層5a、第2樹脂層5bおよび第1樹脂層5aと第2樹脂層5bとの間に設けられた第3樹脂層5cとから構成されている。この場合、第1樹脂層5aは、密度0.915〜0.940g/cm3 のエチレン−α・オレフィン共重合体で形成される。また、ヒートシーラント層6に接する第2樹脂層5bは、密度0.915〜0.940g/cm3 のエチレン−α・オレフィン共重合体30〜70重量%と、スチレン50〜90重量%とブタジエン50〜10重量%とのスチレン−ブタジエンブロック共重合体70〜30重量%からなる樹脂組成物により形成される。そして、第3樹脂層5cは、第2樹脂層5bよりもエチレン−α・オレフィン共重合体の混合比率が大きい層である。このような第1樹脂層5a、第2樹脂層5bおよび第3樹脂層5cの厚さは、それぞれ3〜20μm程度とすることができる。
【0024】
上述のような中間層5は、ドライラミネーション法あるいは押し出しラミネーション法により形成することができる。また、中間層5はインフレーション法、Tダイ法等の通常のフィルム成膜法により形成することができる。
【0025】
本発明の蓋材1が上記のような中間層5を具備することにより、合成樹脂製容器に熱融着された蓋材1を剥離する際、中間層5とヒートシーラント層6との層間における剥離、あるいは、ヒートシーラント層6内部での凝集破壊による剥離が生じる。この場合の剥離強度は、後述するヒートシーラント層6と合成樹脂製容器との熱融着強度よりも弱いものであり、100〜1200g/15mmの範囲であることが好ましい。剥離強度が100g/15mm未満になると、蓋材を熱融着した後の容器を移送する際に、中間層5とヒートシーラント層6との層間における剥離、あるいは、ヒートシーラント層5内部での凝集破壊による剥離が生じ、内容物が脱落する危険性がある。また、剥離強度が1200g/15mmを超えると、蓋材の剥離の際に合成樹脂製容器が振動して内容物が飛び出すおそれがあり好ましくない。尚、上記の剥離強度は、23℃、40%RH雰囲気下における180°剥離(剥離速度=300 mm/分)の値である。
【0026】
したがって、蓋材1は、ヒートシーラント層6による合成樹脂製容器への熱融着強度を充分高くして熱融着したうえで、合成樹脂製容器から確実に剥離することができる。
【0027】
ここで、上記のような中間層5とヒートシーラント層6との層間における剥離(層間剥離)を生じさせるか、または、ヒートシーラント層6内における凝集破壊による剥離を生じさせるかは、ヒートシール条件を制御することにより適宜選択することができる。すなわち、ヒートシール時の条件を厳しくする(加熱温度を高く、加熱時間を長く、加圧を強くする)ことにより中間層5とヒートシーラント層6との層間剥離を生じさせることができ、ヒートシール時の条件を緩くすることによりヒートシーラント層6内における凝集破壊による剥離を生じさせることができる。上記のヒートシール条件の具体例としては、層間剥離の場合、加熱温度=140〜200℃、加熱時間=0.5〜2.0秒、加圧=1.0〜5.0 kgf/cm2 程度であり、凝集破壊の場合、加熱温度=100〜150℃、加熱時間=0.1〜1.0秒、加圧=0.5〜3.0 kgf/cm2 程度である。
【0028】
ヒートシーラント層6は、熱可塑性樹脂に硫酸バリウムを主剤とする導電性微粉末が分散された層である。
【0029】
ヒートシーラント層6に用いる熱可塑性樹脂は、ポリウレタン樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂との混合樹脂が好ましく、混合比率は9:1〜4:6の範囲とすることが好ましい。ポリウレタン樹脂の量が上記の混合比率よりも少ない場合、混合樹脂組成物の粘度が増大してヒートシーラント層の塗布形成が困難になる。また、ポリウレタン樹脂の量が上記の混合比率よりも多い場合、剥離強度が上記の適性剥離強度(100〜1200g/15mm)を下回ることになり好ましくない。上記のポリウレタン樹脂としては、日本ポリウレタン工業(株)製 ニッポラン5120、荒川化学(株)製 KL494等が挙げられる。また、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂としては、ユニオンカーバイド社製 ビニライトVAGH、ビニライトVACH、ビニライトVACA等が挙げられる。
【0030】
このような導電性微粉末は、平均粒径が一次粒子として0.01〜0.5μm程度のものが好ましい。
【0031】
ヒートシーラント層6における上記のような導電性微粉末と熱可塑性樹脂との重量比は、1:10〜5:2の範囲内であることが好ましい。導電性微粉末の量が上記の範囲よりも多くなると、透明性、ヒートシール強度が不十分となる。また、逆に導電性微粉末の量が上記の範囲よりも少ないと、剥離強度が上記の適性剥離強度(100〜1200g/15mm)を満足しなくなり、後述する表面抵抗率および電荷減衰時間が得られないことになる。
【0032】
尚、ヒートシーラント層6の厚さは0.5〜5μm、特に0.8〜2μmの範囲が好ましい。
【0033】
このようなヒートシーラント層6は、その表面抵抗率が22℃、40%RH下において105 〜1012Ωの範囲内であり、また、23±5℃、12±3%RH下において、5000Vから99%減衰するまでに要する電荷減衰時間が2秒以下であり、優れた静電気特性を有する。上記の表面低効率が1012Ωを超えると、静電気拡散効果が極端に悪くなり、電子部品を静電気破壊から保護することが困難になり、また、105 Ω未満になると、外部から蓋材を介して電子部品に電気が通電する可能性があり、電子部品が電気的に破壊される危険性がある。一方、静電気により発生する電荷の拡散速度の目安である電荷減衰時間が2秒を超える場合、静電気拡散効果が極端に悪くなり、電子部品を静電気破壊から保護することが困難になる。尚、上記の表面抵抗率および電荷減衰時間は、米国の軍規格であるMIL−B−81705Cに準拠して測定することができる。
【0034】
ヒートシーラント層6には、必要に応じて分散安定剤、界面活性剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を含有させることができる。
【0035】
このようなヒートシーラント層6は、中間層5上にエアドクターコート法、ブレードコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、ダイレクトロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、スライドコート法、スロットオリフィルコート法等のコーティング方法により塗布形成することができる。
【0036】
上述のような本発明の蓋材は、全光線透過率が50%以上、ヘーズ値が80%以下となるような透明性を有している。したがって、合成樹脂製容器に内容物を充填し、蓋材1を熱融着して密封した後、目視により内容物の有無、充填状態を検査、確認することができる。
【0037】
そして、本発明の蓋材1は中間層5とヒートシーラント層6との層間における剥離、あるいは、ヒートシーラント層6内部での凝集破壊による剥離が生じるので、合成樹脂製容器への熱融着条件に左右されることなく安定した剥離性能を有する。このような層間剥離を図4乃至図7を参照して説明する。先ず、図4および図5に示されるように、例えば、エンボス部12を備えたキャリアテープ11に、図1に示されるような蓋材1が熱融着される。この熱融着は、エンボス部12の両端部に所定の幅でライン状に行われる。図示例では、ライン状の熱融着部分Hを斜線部で示してある。この状態で、蓋材1の中間層5とヒートシーラント層6との密着強度またはヒートシーラント層6の破壊強度は100〜1200g/15mmの範囲であり、ヒートシーラント層6とキャリアテープ11との熱融着強度よりも小さいものとなっている。次に、蓋材1をキャリアテープ11から剥離する際、上記の中間層4とヒートシーラント層5との層間剥離が生じる場合は、図6に示されるようにライン状の熱融着部分Hにおいてヒートシーラント層5はキャリアテープ11に熱融着されたままであり、中間層4とヒートシーラント層5との層間で剥離が生じる。したがって、蓋材1はヒートシーラント層5のうちライン状の熱融着部分Hをキャリアテープ上に残した状態で剥離される。一方、蓋材1をキャリアテープ11から剥離する際、上記のヒートシーラント層5内部の凝集破壊による剥離が生じる場合は、図7に示されるようにライン状の熱融着部分Hにおいてヒートシーラント層5の一部がキャリアテープ11に熱融着されたままで、一部が蓋材1とともに取り除かれるようにしてヒートシーラント層5内部での剥離が生じる。したがって、ヒートシーラント層5とキャリアテープ11の熱融着強度に関係なくヒートシーラント層5の破壊強度に応じて蓋材1は剥離される。
【0038】
すなわち、本発明の蓋材1は、キャリアテープ11に対する高い熱融着性と、剥離時の容易な剥離性という、相反する特性を兼ね備えている。
【0039】
上記のような本発明の蓋材の使用対象となる合成樹脂製容器としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリエステル(A−PET、PEN、PET−G、PCTA)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等の樹脂製容器、または、これらに静電気対策として導電性カーボン微粒子、金属微粒子、酸化錫や酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物に導電製を付与した導電製微粉末、Si系有機化合物、界面活性剤を練り込んだり塗布したもの等を挙げることができる。また、PS系樹脂シートまたはABS系樹脂シートの片面あるいは両面にカーボンブラックを含有したPS系またはABS系樹脂フィルムまたはシートを共押出しにより一体的に積層してなる複合プラスチックシートを形成したものも挙げられる。
【0040】
次に、実験例を示して本発明の蓋材を更に詳細に説明する。
(実験例)
二軸延伸樹脂層として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)製 エスペット6140、厚さ12μm、コロナ処理品)を準備した。
【0041】
また、接着剤層用として、ポリエチレンイミン溶液(日本触媒化学(株)製P−100)を準備した。
【0042】
さらに、接着層用として、低密度ポリエチレン(LDPE)(三井石油化学(株)製 ミラソン16−P)を準備した。
【0043】
次に、中間層を形成するために、エチレン−α・オレフィン共重合体として下記の線状低密度ポリエチレン(L・LDPE)、およびスチレン50〜90重量%とブタジエン50〜10重量%とのスチレン−ブタジエンブロック(S・B)共重合体として下記のS・B共重合体を準備し、インフレーション法により単層フィルムを得た。
【0044】
L・LDPE:三井石油化学工業(株)製ウルトゼックス3550A
密度=0.925g/cm3
S・B共重合体:旭化成工業(株)製アサフレックス810
また、ヒートシーラント層を形成するために、下記のポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、および導電性微粉末を準備した。
【0045】
ポリウレタン樹脂:日本ポリウレタン工業(株)製 ニッポラン5120
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂:ユニオンカーバイド(株)製
ビニライトVAGH
導電性微粉末:三井金属鉱業(株)製 パストランIV、
平均粒径=0.1μm
次に、このような各材料を用いて、先ず、PETフィルムに形成した接着剤層上に押し出しラミネーション法によってLDPE層(厚さ20μm)を介して下記の表1に示されるL・LDPEとS・B共重合体の混合条件で中間層(厚さ30μm)を熱接着させ、PET/接着剤層/接着層/中間層のフィルムを得た。その後、中間層上に下記の表1に示される組成のヒートシーラント層(厚さ2μm)をグラビアリバース法にて形成し、蓋材(試料1〜12)を作成した。
【0046】
【表1】
また、導電性微粉末として下記の導電性カーボン微粒子を使用した他は、上記表1の試料1と同様にして比較試料1を作成した。
【0047】
導電性カーボン微粒子:大泰化工(株)製 プリンテックスXE2
平均粒径=0.4μm
次に、上記の各蓋材(試料1〜12、比較試料1)について、ヘーズ度、全光線透過率、表面抵抗率、電荷減衰時間を下記の条件で測定した。また、導電性ポリ塩化ビニル樹脂基材(太平化学(株)製 XEG47)に上記の各蓋材をヒートシールバーを用いて下記の2種の条件で熱融着し、その後、下記の条件で剥離強度を測定した。
(ヘーズ度および全光線透過率の測定条件)
スガ試験機(株)製カラーコンピューターSM−5SCにて測定した。
(表面抵抗率の測定条件)
22℃、40%RH下において、三菱油化(株)製ハイレスタIPにて測定した。
(電荷減衰時間の測定条件)
23±5℃、12±3%RH下において、5000Vから99%減衰するまでに要する時間を、MIL−B−81705Cに準拠して、ETS社(Electro−Tech Systems,Inc)製のSTATIC DECAY METER−406C にて測定した。
(熱融着条件)
▲1▼:150℃、0.5秒、3.0 kgf/cm2
▲2▼:140℃、0.4秒、1.0 kgf/cm2
(剥離強度の測定条件)
23℃、40%RH下において、東洋ボールドウィン(株)製テンシロン万能試験機HTH−100 にて測定した。 (剥離速度=300 mm/分、180°剥離)
各蓋材に関する上記項目の測定結果と剥離形態を下記の表2に示した。
【0048】
【表2】
表2に示されるように、試料1〜6は良好な透明性と静電気特性を備え、かつ適度の剥離強度で中間層とヒートシーラント層との層間での剥離、あるいは、ヒートシーラント層内部での凝集破壊による剥離が生じた。
【0049】
一方、試料7はヒートシーラント層の導電性微粉末の含有量がやや多く、逆に試料8は導電性微粉末の含有量がやや少ないため、試料7はヘーズ度が80%以上と透明性が不十分であり、また、試料8は剥離強度が適正強度を下回り、さらに、表面抵抗率が1013Ω以上、電荷減衰時間が2秒以上と、電気特性も低下していた。また、試料9はヒートシーラント層のポリウレタン樹脂量がやや多く、逆に試料10はポリウレタン樹脂量がやや少ないため、試料9は適正剥離強度を下回り、試料10はシーラントインキの粘度が高く、コーティング操作性が悪かった。さらに、試料11は中間層のL・LDPEがやや多く、逆に試料12はL・LDPEがやや少ないため、試料11は適正剥離強度を下回り、試料12はヘーズ度が80%以上で透明性が悪くなっていた。
【0050】
また、比較試料1はヘーズ度、全光線透過率ともに不十分であり、透明性の低いものであった。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば蓋材を構成するヒートシーラント層は、熱可塑性樹脂に硫酸バリウムを主剤とする導電性微粉末が分散された層であり、このヒートシーラント層により蓋材は透明性を保持しながら良好な帯電防止特性を有し、また、ヒートシーラント層に隣接し二軸延伸樹脂層とヒートシーラント層との間に位置する中間層は、密度0.915〜0.940g/cm3 のエチレン−α・オレフィン共重合体30〜70重量%と、スチレン50〜90重量%とブタジエン50〜10重量%とのスチレン−ブタジエンブロック共重合体70〜30重量%からなる樹脂組成物により形成されているため、蓋材を剥離する際に中間層とヒートシーラント層の層間において剥離、あるいは、ヒートシーラント層内部での凝集破壊による剥離が生じ、これにより、ヒートシーラント層の高い接着性を維持したまま、良好な剥離性を得ることができ、蓋材の合成樹脂製容器への熱融着条件の設定が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蓋材の概略断面図である。
【図2】本発明の蓋材の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の蓋材の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の蓋材をキャリアテープ上に熱融着した状態を示す斜視図である。
【図5】図5のV−V線における断面図である。
【図6】キャリアテープから蓋材を剥離した状態を示す図5相当図である。
【図7】キャリアテープから蓋材を剥離した状態を示す図5相当図である。
【符号の説明】
1…蓋材
2…二軸延伸樹脂層
3…接着剤層
4…接着層
5…中間層
5a…第1樹脂層
5b…第2樹脂層
5c…第3樹脂層
6…ヒートシーラント層
11…キャリアテープ
12…エンボス部
Claims (5)
- 電子部品を収納した合成樹脂製の容器に用いる蓋材において、
二軸延伸樹脂層と、ヒートシーラント層と、該ヒートシーラント層に隣接し前記二軸延伸樹脂層と前記ヒートシーラント層との間に位置する中間層とを備え、前記ヒートシーラント層は熱可塑性樹脂に硫酸バリウムを主剤とする導電性微粉末が分散された層であり、前記中間層は密度0.915〜0.940g/cm3のエチレン−α・オレフィン共重合体30〜70重量%と、スチレン50〜90重量%とブタジエン50〜10重量%とのスチレン−ブタジエンブロック共重合体70〜30重量%からなる樹脂組成物により形成され、容器に熱融着された状態で剥離する際に、前記ヒートシーラント層と前記中間層との層間での剥離、前記ヒートシーラント層内における凝集破壊による剥離のいずれかの剥離が行われることを特徴とする蓋材。 - 前記ヒートシーラント層を構成する前記導電性微粉末と前記熱可塑性樹脂との重量比は、1:10〜5:2の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の蓋材。
- 前記ヒートシーラント層は、表面抵抗率が105〜1012Ωの範囲内であり、電荷減衰時間が2秒以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓋材。
- 前記ヒートシーラント層を形成する前記熱可塑性樹脂は、ポリウレタン樹脂と塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体樹脂との混合樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の蓋材。
- 前記ヒートシーラント層を形成するポリウレタン樹脂と塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体樹脂との混合比率は9:1〜4:6の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の蓋材。
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-
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