JP3582272B2 - 苗移植機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、苗を一株づつ収容するポットを縦横に多数配列した苗箱の各ポットから苗を取り出して圃場に植付ける苗移植機に関する。
【0002】
【従来の技術】
苗を一株づつ収容するポットを縦横に多数配列した可撓性を有する苗箱で育成した苗を苗箱ごと植付部に装填し、該苗箱を所定の搬送経路に沿って搬送しつつ、その搬送途中で、苗箱の底部に形成した孔から苗押出しピンを苗箱のポット内に挿入して苗箱から横一列分の苗を押し出し、その押し出された苗を受け取った苗ホルダーが弧状の軌跡を描いて下方に移動し、苗ホルダーの移動方向がほぼ水平になった移動軌跡の下端部で、苗取出具が苗ホルダーの苗ホールド部内に挿入されて苗ホルダーから横一列分の苗を取り出して苗送りベルトの上に落とし、該苗送りベルトがその苗を横方向に搬送して苗植付装置の苗取り位置に一株づつ供給する構成の苗移植機がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記苗送りベルトの外周面には苗の位置ずれ防止のための突起が設けられているが、従来のものは、苗送りベルトが一定速度で作動しているところに苗が落ちてくるようになっていたので、前記突起が高すぎると落ちてくる苗がその突起に当たって苗の向きが変わってしまう等の障害が生じる虞があり、突起の身丈を余り高くすることができなかった。このため、苗送りベルトによる苗搬送中に苗の位置が安定せず、苗植付装置の苗取り位置への苗供給のタイミングに狂いが生じ、苗の植付精度に影響が出るという問題を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成とした。すなわち、本発明にかかる苗移植機は、苗を一株づつ収容するポットを縦横に多数配列した苗箱の各ポットから取り出した横一列分の苗を受け取り、その苗を保持したまま下方へ移動する苗ホルダーと、該苗ホルダーが所定の苗取出位置へ移動してきた時に苗ホルダーから横一列分の苗を取り出す苗取出具と、該苗取出具によって苗ホルダーから取り出される横一列分の苗を下側で受け、その苗を載せて苗植付装置の苗取り位置まで苗の並び方向に搬送する苗送りベルトとを備える苗移植機において、前記苗ホルダーは植付伝動軸から植付伝動ケース内の伝動機構を介して伝動され、前記苗送りベルトは前記植付伝動軸から楕円ギヤ又は偏心ギヤを介して回転速度を変化させながら伝動されて、前記苗ホルダーが前記苗取出位置付近にある時は前記苗送りベルトの作動速度が遅くなるように構成したことを特徴としている。
【0005】
【発明の実施の形態】
図面に表されている苗移植機1は、乗用型の走行車体2の後側にリンク装置3を介して6条植えの植付部4が昇降可能に装着され、また、走行車体2の後部には、側条施肥装置5の肥料ホッパ5aと、各条ごとに肥料を繰り出す肥料繰出装置5b…が配設されている。この苗移植機1は水田で水稲の苗を植付けるものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、畑地において野菜の苗を植付ける苗移植機にも適用できる。
【0006】
走行車体2は、駆動回転する左右一対の操向用の前輪6・6と駆動回転する左右一対の後輪7・7を備え、フレーム8上の前側にミッションケース9、その後側にエンジンEが搭載され、エンジンEの回転動力はベルト伝動装置10によりミッションケース9の上部に取り付けた油圧ポンプに一旦伝動され、そこから、無段変速操作可能なベルト伝動装置11によりミッションケース9内に伝動される。そして、ミッションケース9内のトランスミッションで変速された動力が、前輪6・6及び後輪7・7に伝動されるとともに、伝動軸9a、中間ギヤケース9b、伝動軸9cを介して植付部4に伝動される。なお、図中の12は前輪6・6を操向操作するためのハンドル、13は操縦者が座る座席、14は操縦者が走行車体上を移動するためのステップフロアである。
【0007】
リンク装置3は、走行車体2のフレーム8の後端部に固着のリンクベース8aに上リンク15a・15a及び下リンク15b・15bが回動自在に取り付けられ、これら上下リンクの後端部に縦リンク15cが連結されている。そして、その縦リンク15cの下端部から後方に突出する連結軸受部15c’に、植付部4の中央の植付伝動ケース16に一体の連結軸16’が回動自在に連結し、植付部4が進行方向に対して左右に回動自在に装着される。また、リンク装置3を駆動するための油圧シリンダ17が、基部側をフレーム8に取り付けて設けられていて、そのピストンロッド側が上リンク15a・15aの基部から下向きに一体的に固着されたアーム15a’の先端部にスプリングを介して連結されている。この油圧シリンダ17が伸縮作動すると、上下のリンク15a・15a・15b・15bがリンクベース8a側の支軸回りに回動し、植付部4が昇降動するようになっている。なお、油圧シリンダ17は植付部4に設けた油圧バルブ18によって作動制御される。
【0008】
走行車体2の前部左右両側には補給用の苗箱を載せておく予備苗載台20,20が設けられている。また、走行車体2の前部左右両側には、次行程における走行車体2の進路を圃場面に線引きする線引きマーカー21・21が起倒切替可能に設けられている。
【0009】
植付部4は6条植え構成で、2条で1組づつ設けた苗箱搬送装置30・30・30、第一苗取出装置31・31・31、第一苗搬送装置32・32・32、第二苗取出装置33・33・33、及び第二苗搬送装置34・34・34、各条ごとに設けた苗植付装置35…等を備えている。
【0010】
この苗移植機1で使用される苗箱Cは、プラスチック製の可撓性を有する苗箱であり、図9及び図10で示すような形状となっている。すなわち、小さいポットC’…が左右前後に所定の間隔で並び、開口部C’a…が互いに連結し、底部C’b…側が独立した形状に成形されている。また、苗箱Cの長手方向に沿う左右の端縁部Ca・Caには、ポットC’…の長手方向の間隔に合わせて苗箱送り用の角孔Cb…が設けられている。各ポットC’…の底部C’bには、後記苗押出しピン31aが底部側から侵入できる切れ目C’cが設けられている。Ccは左右(短手方向)中央で長手方向に向けて設けられた広間隔部である。各ポットC’…内に床土を詰めて播種、覆土し、育苗される。
【0011】
上記苗箱Cが苗箱搬送装置30…に複数枚装填される。苗箱搬送装置30…によって苗押出し位置Pに搬送されてきた苗箱の横一列のポットから第一苗取出装置31…により苗が一斉に押し出される。押し出された苗は、第一苗搬送装置32…の苗ホルダー32a…に保持されて下側前方に弧を描くような軌跡で搬送され、第二苗取出装置33…によって第二苗搬送装置34…の苗送りベルト34a・34a…の上に落とされる。そして、その苗が苗送りベルト34a・34a…によって左右両側にある苗植付装置35・35…の苗取り位置へ左右半分づつに分けて横送りされ、その苗取り位置で苗植付装置35・35…が苗を一株づつ取って圃場に植え付ける。
【0012】
植付部4の下部にはセンターフロート36と左右一対のサイドフロート37・37が設けられており、植付作業時は、これらフロートが圃場面を整地しながら滑走してゆく。これら各フロート36・37・37には、各条の苗植付位置の近傍の圃場面に施肥用の溝を形成する作溝器38…が取り付けられ、その後側に平面視断面が後方開口のU字状の施肥ガイド5c…が取り付けられ、そこに肥料繰出装置5b…から繰り出された肥料を移送する施肥ホース5d…が各条ごとに連結されている。また、センターフロート36は圃場面の凹凸を検出するセンサでもあり、このセンターフロート36の上下動に応じて油圧バルブ18のスプールが作動するようになっている。すなわち、センターフロート36が上動すると、油圧シリンダ17を伸ばす方向に油圧バルブ18が作動され、逆にセンターフロート36が下動すると油圧シリンダ17を縮める方向に油圧バルブ18が作動されるのである。これにより、植付部4は圃場面に対し一定の高さを維持するように制御される。
【0013】
次に、植付部4の各部の構成について説明する。
苗箱搬送装置30は中央と左右に計3体設けられている。各苗箱搬送装置30は、後下がりに傾斜した状態で設けられる上下2段の苗箱供給部30a・30aと、その2段の苗箱供給部からの苗箱搬送路を合流して下方に延び、更に前側上方へ側面視U字状に湾曲する苗箱搬送部30bと、それに続いて前記苗箱供給部30a・30aの真下まで上方に向かって延びる空箱搬送部30cと、該空箱搬送部の出口から排出される空の苗箱を複数枚上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容枠30dとを備えている。
【0014】
上下2段の苗箱供給部30a・30aに載せられた苗箱は、自重で滑り落ちて一枚づつ苗箱搬送部30bに供給される。苗箱搬送部30bの苗押出し位置P付近には、苗押出し位置Pで苗箱を係止すると共に適宜タイミングで苗箱をポット横一列分づつ送る苗箱送り装置40が設けられている。この苗箱送り装置40は、苗箱搬送路に沿って往復移動する左右一対の送り爪40a・40aと、それに連動して係脱する係止爪40b・40bとを備え、送り爪40a・40aの爪部が左右搬送ガイド30b’・30b’に形成された開口部に入り込んで、その開口部内に位置する苗箱の角孔Cb・Cbに係合した状態から、送り爪が上動して次の角孔に乗り越して係合して再び下動することで、苗箱をポット横一列分づつ送る構成となっている。
【0015】
苗箱送り装置40の作動機構は、植付伝動ケース16の左側部に突出する苗箱送り駆動軸40cに一体回転するように取り付けた駆動プレート40dと、送り爪40a・40aに連動するクランクアーム40eとをロッド40fで連結し、植付作動ケース16内に設けた苗箱送りカム45c(図8参照)の作用で送り爪40a・40aが上向きに作動するよう苗箱送り駆動軸40cを回動させると共に、スプリング40hの作用で送り爪40a・40aが下向きに作動するよう苗箱送り駆動軸40cを回動させるようになっている。なお、左右のクランクアーム40e・40e’は、苗箱搬送部30bのU字状部分の内側を左右に貫通して支持される回動軸40gに一体回転するよう取り付けられている。また、駆動プレート40dには苗箱送り手動レバー41が一体的に取り付けられていて、送り駆動軸40cの駆動回転だけではなく、苗箱送り手動レバー41の揺動操作によっても苗箱送り装置40を送り作動させられるようになっている。
【0016】
第一苗取出装置31は、前記苗箱搬送装置30で搬送されている苗箱から、苗押出し位置Pにある横一列のポット内の苗をスライド作動する苗押出しピン31a…で押し出す装置である。植付伝動ケース16に設けた第一苗取出装置31と第一苗搬送装置32と第二苗取出装置32の共通駆動軸31bの左突出部に取り付けた押出し駆動アーム32cが、伸縮ロッド31dを介して、押出し作動ケース31eの押出し作動軸31fに一体回動するよう取り付けられている作動アーム31gと連結し、また、押出し作動軸31fと押出し作動ケース31e内で一体回転するように設けられている扇形状のピニオンギヤ31hが苗押出しピン31a…と一体に連結する押出し軸31iのラックに噛み合っている。よって、共通駆動軸31bの回転により、押出し軸31iがスライド作動する。苗押出しピン31a…は、苗箱Cの横方向のポットC’…に対して同数同ピッチで設けられていて、押出しピンガイド31jの押出し孔31k…を突き抜けて突出作動し、更に苗箱Cの横一列分のポットC’…の底部C’b…に形成された切れ目C’c…を突き抜けて苗の床部を押し出す。この苗押出しピン31a…のスライド作動は、前記苗箱送り装置40の送り作動が終了して苗箱係止状態にあるときに突出し、且つ、苗箱送り装置による次の苗箱移動が開始される以前に引込みが完了する。
【0017】
第一苗搬送装置32は、苗押出しピン31a…の突出作動(苗押出し作動)が開始する前に苗ホルダー32a…が苗受取り位置(苗押出し位置)Pに停止し、前記第一苗取出装置31により苗箱から押し出される横一列分の苗を苗ホルダー32a…が受け取り、苗押出しピン31a…の引っ込み作動が完了すると苗ホルダー32a…が下動し始めて苗取出位置Qへ苗を搬送し、そして、第二苗搬送装置34が前回受けた苗を左右の苗取り位置にちょうど搬送し終えたときに、苗ホルダー32a…が保持する苗が第二苗取出装置33により第二苗搬送装置34の苗送りベルト34a・34aの上に受け渡されるように作動する。その後、再び苗ホルダー32a…が上動して苗受取り位置Pに戻る。
【0018】
この第一苗搬送装置32は、前記共通駆動軸31bの右突出部に一体回転するように取り付けたスイング駆動アーム32cが、苗箱搬送装置30の左右両側部に設けられた上下2本づつのスイングアーム32d…のうちの下側のスイングアームに一体回転するスイング作動アーム32d’に、伸縮ロッド32eを介して連動連結している。スイングアーム32d…の先端は苗ホルダー32aの左右側端に固着した支持プレート32f・32fに枢着し、スイング軸32h・32hを回動軸としてスイング作動するスイングアーム32d…と支持プレート32f・32fとにより平行リンクを構成する。スイング駆動アーム32cが駆動回転すると、苗ホルダー32aは、苗受取り位置P(図3において鎖線で示す)と苗取出位置Q(図3において実線で示す)の間を弧を描くような軌跡で往復移動する。
【0019】
スイング駆動アーム32cの駆動回転によりスイングアーム32d…が上動し、苗ホルダー32aが移動軌跡上端に至ると、下側のスイングアームがストッパー体32g・32gに当たって止まる。スイング駆動アーム32cはなおも回転してスイングアーム32d…を上動させようとするが、伸縮ロッド32eが伸長して(伸縮ロッド32eのスプリングケース32e’内のスプリング32e”が縮んで)スイングアームがストッパー体32g・32gによって停止されたままとなる。よって、下側のスイングアームがストッパー体32g・32gに当たって停止された状態にある間は、苗ホルダー32aは移動軌跡上端に位置し、第一苗取出装置31により押し出された苗を受け取る。また、苗ホルダー32が上動する時には、スイング軸32hに一体のアーム32h′がその先端に取り付けられたスプリング32h″を引き伸ばすように作動するので、スイングアーム上動時の勢いが殺され、ストッパー体32g・32gに下側のスイングアームが当たって止まる時の衝撃が緩和される。
【0020】
苗ホルダー32aには、第一苗取出装置31により押し出された苗を受け取る凹状の苗ホールド部32i…が、苗箱搬送装置30により搬送される苗箱のポットの左右方向の位置に合わせて形成してある。そして、この苗ホールド部32i…の底部に、苗抜止め爪32j…がそれぞれ設けられている。この苗抜止め爪32j…は苗ホルダー32aの基部を横方向に貫通する回動軸32kに一体的に取り付けてあり、該爪が苗ホールド部32i…の底部から上方に突出するように、回動軸32kはその左右両外端部に取り付けたスプリング32l・32lによって付勢されている。これにより、第一苗取出装置31の苗押出し方向及び第二苗取出装置33の苗抜取り方向に苗が苗ホールド部内を移動するときは苗抜止め爪32j…が苗ホールド部32i…から引っ込み、且つ逆方向に苗が移動するときは苗抜止め爪32j…が苗ホールド部32i…内に突出し、その先端が苗床にくい込む。なお、苗ホルダー32aの左右中央部で2本の回動軸32k・32kを突き合わせて設けている。
【0021】
更に、回動軸32k・32kの左右中央側には、両回動軸と一体回転する爪回動アーム32mを取り付け、その爪回動アームのボス部に操作アーム32nが回転自在に外嵌し、その操作アームに形成された一対のストッパー32n′・32n′で前記爪回動アーム32mの回動が規制されるようになっている。操作アーム32nの先端部にはローラー32n″を回動自在に取り付け、下端部には苗抜止め爪32j…が上方に突出する方向に爪回動アーム32mを回動させるように付勢するスプリング32oを取り付けている。スプリング32oは、その他端部を左右の支持パイプ32f・32fを連結する連結するパイプ32f′に引っ掛け、連結パイプ32f′の左右中央部と苗ホルダー32aの左右中央部とを連結する中央連結部材32f″の下側に配している。このスプリング32oが回動軸32k・32kを付勢する力は、前記スプリング32l…が回動軸32k・32kを付勢する力よりも強く設定されている。
【0022】
苗ホルダー32aが移動軌跡上端に位置するときは、苗箱搬送部30bの左右中央後側に取り付けた上部カムプレート32pにローラー32n″が当たって操作アーム32nが押し倒され、爪回動アーム32mが強制的に回動されて苗抜止め爪32j…が苗ホールド部32i…の底部から引っ込む方向に回動する。苗抜止め爪32j…は一対のストッパー32n′・32n′の範囲内でスプリング32l…に抗して回動可能な状態となり、この状態で苗が苗ホルダー32aに押し込まれる。よって、弱いスプリング32l…で付勢された状態の苗抜止め爪32j…により若干の抵抗を与えながら苗が苗ホルダー32aに押し込まれるので、苗が飛び抜けたりせずに確実に苗ホールド部32i…内に保持される。
【0023】
苗ホルダー32aが下動すると、上部カムプレート32pからローラ32n″が外れることにより操作アーム32nがフリーとなり、強いスプリング32oによる付勢も苗抜止め爪32j…に作用するようなる。よって、苗ホルダー32aによって苗を搬送中は、苗抜止め爪32j…の先端が苗ホールド部32i…内に保持された苗の苗床に大きくくい込み、確実な苗の抜け止めが行われる。
【0024】
苗ホルダー32aが移動軌跡下端へ移動すると、下部カムプレート32qにローラー32n″が当たって操作アーム32nが押し倒され、爪回動アーム32mが強制的に回動されて苗抜止め爪32j…が苗ホールド部32i…の底部から引っ込み、第二苗取出装置33による苗抜き出し作用に対して苗抜止め爪32j…が抵抗にならないようになっている。
【0025】
苗ホールド部32i…から苗が抜き出され、苗ホルダー32aが移動軌跡上端へ復帰作動を開始すると、苗抜止め爪32j…が苗ホールド部32i…内に突出する状態に戻る。そのタイミングは、苗抜止め爪32j…が苗送りベルト34a・34aの前端部の上方を通過するまでに戻り、図6において鎖線で示す如く苗ホールド部32i…の底部から引っ込んだ状態において苗ホルダー32aの底面よりも少し(3mm程度)下側に出ている苗抜止め爪32j…の下部が後記第二苗搬送装置34の苗送りベルト34a・34a上の苗を引っ掛けないようにしている。
【0026】
第二苗取出装置33は、苗ホルダー32aが苗取出位置Qに移動してきたとき、苗ホルダー32aの各苗ホールド部32i…に保持される苗を苗取出具33aで抜き出して、第二苗搬送装置33の苗送りベルト34a・34a上に落とす装置である。苗取出具33aは櫛状に形成されていて、苗取出位置Qに移動してきた苗ホルダー32aの各苗ホールド部32i…内に保持される苗を受け止め苗ホルダー32aのみを通過させて苗を抜き出すように設けられている。また、苗取出具33aは、前記共通駆動軸31bの左突出部に一体回転するように取り付けたカムディスク33bにより上下動するように設けられている。すなわち、苗取出具33aの基部は連結部材を介して回動アーム33cに一体的に取り付け、その回動アームは回動軸33dに回動自在に取り付けている。回動アーム33cにピン33eを固着し、更にピン33eが前記カムディスク33bのカム面に接当するよう付勢するスプリング33fを回動アーム33cに取り付けている。これにより苗取出具33aは、苗ホルダー32a…から苗を抜き出すと直ちに、上記カム機構により下動して苗を苗送りベルト34a・34a上に強制的に落とすよう作動する。
【0027】
第二苗搬送装置34は、第二苗取出装置33により抜き落とされた横一列分の苗を苗送りベルト34a・34aの上に受けて左右半分づつ左右の苗植付装置35・35の苗取り位置S・Sに搬送する装置である。この第二苗搬送装置34は、植付伝動ケース16の後側に突出し互いに逆方向に回転する駆動ローラ軸34b・34bに駆動ローラ34c・34cを一体回転するよう連結し、該駆動ローラとその左右内側に回転自在に支持された従動ローラ34d・34dとに苗送りベルト34a・34aを巻き掛けて、左右の苗送りベルト34a・34aの上面がそれぞれ左右両外側に移動するようになっている。また、苗送りベルト34aの外周面には、移動方向に沿って並ぶ複数列の突起34a’…が設けられ、苗N…の床部がこの突起34a’…の左右間に挟まれた状態で搬送される。
【0028】
苗送りベルト34a・34aの作動は、苗植付装置35・35が苗取り位置S・Sから苗を一株づつ取っていくタイミングに合わせて苗を苗取り位置に搬送する。また、苗ホルダー32aが苗取出位置Q付近にある時に苗送りベルト34a・34aの作動速度が遅くなるようにしてある。その機構については後述する。このため、苗ホルダー32aから落とされる横一列分の苗が苗送りベルト34a・34aの適正位置に確実に載せられる。よって、苗ホルダー32aから落とされる苗が突起34a’…に当って向きがずれる虞がないので、突起34a’…の身丈を高くすることができる。これにより、搬送中の苗の位置が安定し、苗を苗取り位置S・Sへの適正なタイミングで供給することが可能となっている。
【0029】
苗植付装置35は、第二苗搬送装置34により苗取り位置S・Sに搬送された苗を一株づつ取って圃場に植付ける装置である。この苗植付装置35は、植付伝動ケース16の側面に固着の左右伝動フレーム16aから後方に延びる植付伝動フレーム16b・16bの後側左右側部に取り付けられ、内側に回転不能に固定したカム体を装備しケース側が植付駆動軸35aと一体回転する回転ケース35bに2体の苗植込杆35c・35cを備えた構成となっている。2体の苗植込杆35c・35cの先端は閉ループ軌跡Tを描いて移動し交互に苗を圃場に植え込む。
【0030】
なお、第二苗搬送装置34の苗送りベルト34a・34aの苗N…はベルト終端で苗取り位置S・Sに設けた苗受け部35d・35dに落とし込まれる。苗受け部35d・35dは、左右に配した板状の植付ガイド35e・35e・35e・35eの上部に形成されていて、植付ガイドのガイド板間隔を左右に広げて苗N…を受け止めるようになっている。苗受け部35d・35dに受けられた苗は、上方から移動してくる苗植込杆35b・35bの先端部に受け取られて植付ガイド35e・35e間を移動し、苗が圃場に植付けられてゆく。
【0031】
次いで、植付部4の伝動機構について説明する。
走行車体2のミッションケース9から伝動軸9c等を介して左右伝動ケース42の入力部に設けられた入力軸42’に動力が入力される。入力軸42’からベベルギヤ42’a・42’aを介して植付伝動軸42aに伝動し、各条の植付伝動ケース16…及び植付伝動フレーム43…内の伝動機構に伝動する。植付伝動ケース16…内では、植付伝動軸42aからギヤ42b、ギヤ44a、クラッチ45bを介して共通駆動軸31bに伝動する。共通駆動軸31bの左側軸端部には前記押出し駆動アーム31cと前記カムディスク33bが取り付けられ、右側軸端部には前記スイング駆動アーム32cが取り付けられている。また、共通駆動軸31bには一体回転するよう苗箱送りカム45cが組み付けられ、そのカムに苗箱送り駆動軸40cに一体回転するよう組まれたアーム46のローラ46aが接当し、苗箱送り駆動軸40cを回動作動する。45b’…は、前記クラッチ45bを入り切り操作するクラッチ作動ピンである。
【0032】
また、植付伝動軸42aからギヤ42c・47aを介して苗送りベルト駆動軸47に伝動し、その苗送りベルト駆動軸47からベベルギヤ47b…・48…を介して第二苗搬送装置34…の駆動ローラ軸34b・34b…に伝動する。前記一組のギヤ42c・47aは楕円ギヤにして苗送りベルト駆動軸47の回転速度を変化させ、苗ホルダー32aが移動軌跡の下端部付近に位置する時に苗送りベルト34a・34aの作動速度が遅くなるようにしている。ギヤ42c・47aは偏心ギヤにしてもよい。さらに、植付伝動軸42aからスプロケット42d…、チエン42e…、及び植付装置側のスプロケットを介して植付駆動軸35a…に伝動し、苗植付装置35…を駆動する。
【0033】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明にかかる苗移植機は、苗ホルダーが苗取出位置付近にある時は苗送りベルトの作動速度が遅くなるように構成されているので、苗ホルダーから落とされる横一列分の苗が苗送りベルトの適正位置に確実に載せられると共に、苗送りベルト上の苗の位置を決めるための突起等の身丈を高くすることができることにより、搬送中の苗の位置が安定し、苗を苗植付装置の苗取り位置へ適正なタイミングで供給することが可能となり、苗の植付け精度が向上するようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】苗移植機の全体側面図である。
【図2】植付部の一部を示す左側面図である。
【図3】植付部の一部を示す右側面図である。
【図4】植付部の一部を示す背面図である。
【図5】苗ホルダーの一部断面正面図である。
【図6】図5のS1−S1断面図である。
【図7】図5のS2−S2断面図である。
【図8】植付部の伝動機構の断面図である。
【図9】苗箱の平面図である。
【図10】苗箱の(a)側面図、及び正面図である。
【符号の説明】
C 苗箱
1 苗移植機
2 走行車体
3 リンク装置
4 植付部
30 苗箱搬送装置
31 第一苗取出装置
32 第一苗搬送装置
32a 苗ホルダー
33 第二苗取出装置
33a 苗取出具
34 第二苗搬送装置
34a 苗送りベルト
35 苗植付装置
Claims (1)
- 苗を一株づつ収容するポットを縦横に多数配列した苗箱の各ポットから取り出した横一列分の苗を受け取り、その苗を保持したまま下方へ移動する苗ホルダーと、該苗ホルダーが所定の苗取出位置へ移動してきた時に苗ホルダーから横一列分の苗を取り出す苗取出具と、該苗取出具によって苗ホルダーから取り出される横一列分の苗を下側で受け、その苗を載せて苗植付装置の苗取り位置まで苗の並び方向に搬送する苗送りベルトとを備える苗移植機において、前記苗ホルダーは植付伝動軸から植付伝動ケース内の伝動機構を介して伝動され、前記苗送りベルトは前記植付伝動軸から楕円ギヤ又は偏心ギヤを介して回転速度を変化させながら伝動されて、前記苗ホルダーが前記苗取出位置付近にある時は前記苗送りベルトの作動速度が遅くなるように構成したことを特徴とする苗移植機。
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JP35457696A JP3582272B2 (ja) | 1996-12-18 | 1996-12-18 | 苗移植機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP35457696A JP3582272B2 (ja) | 1996-12-18 | 1996-12-18 | 苗移植機 |
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JPH10178827A JPH10178827A (ja) | 1998-07-07 |
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ID=18438490
Family Applications (1)
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JP35457696A Expired - Fee Related JP3582272B2 (ja) | 1996-12-18 | 1996-12-18 | 苗移植機 |
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JP (1) | JP3582272B2 (ja) |
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JP2013116079A (ja) * | 2011-12-03 | 2013-06-13 | Minoru Industrial Co Ltd | ポット苗用移植機の苗受け |
-
1996
- 1996-12-18 JP JP35457696A patent/JP3582272B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10178827A (ja) | 1998-07-07 |
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