JPH08256529A

JPH08256529A - 苗移植機

Info

Publication number: JPH08256529A
Application number: JP8638295A
Authority: JP
Inventors: Masabumi Saeki; 正文佐伯; Hiroyuki Niiyama; 裕之新山; Hideo Izeki; 秀夫井関; Manabu Namoto; 学名本; Satoru Kato; 哲加藤; Sumi Fukushima; 寿美福島; Tatsuyuki Toritsu; 龍之鳥津; Michinori Seike; 清家　　理伯; Isao Ishida; 石田　　伊佐男
Original assignee: Iseki and Co Ltd; Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
Current assignee: Iseki and Co Ltd; Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
Priority date: 1995-03-17
Filing date: 1995-03-17
Publication date: 1996-10-08

Abstract

(57)【要約】【目的】苗ポットを多数縦横に配列した苗箱から苗を
抜き取って植え付けてゆく苗移植機において、苗の搬送
装置受け渡しを正確にし、苗の植込み精度を向上させ
る。【構成】苗を一株づつ収容するポットを縦横に多数配
列した苗箱の各ポットから苗を取り出し、その取り出し
た苗ｎ…を苗縦搬送装置３２により機体の進行方向と平
行かつ地面に垂直な面内で下方へ搬送し、さらに、その
苗ｎ…を苗横搬送装置３４により横方向へ搬送し、苗植
込装置３５の苗取り位置へ苗を供給する苗移植機におい
て、前記苗縦搬送装置３２による苗の搬送軌跡Ｌが、苗
を受け取ってから苗横搬送装置の搬送始点の上下近傍ま
で下向きに移動する上下移動行程（Ａ１−Ａ２）と、該
上下移動行程の下端から苗横搬送装置３４の搬送始点ま
で前後方向に移動する前後移動行程（Ａ２−Ａ３）との
組み合わせからなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、苗を一株づつ収容する
ポットを縦横に多数配列した苗箱で育成した苗を苗箱ご
と植付部に装填し、その苗箱の各ポットから苗を取り出
して圃場に植付ける苗移植機に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の苗移植機として、苗箱を側面視
略Ｕ字状の搬送路を通って搬送しつつ、その搬送路の直
線から曲線への変わり目部分で苗箱の横１列分の苗を一
斉に取り出し、その取り出した横１列分の苗を苗縦搬送
装置により機体の進行方向と平行かつ地面に垂直な面内
で下方へ搬送し、さらに、その苗を苗横搬送装置により
横方向へ搬送し、苗植込装置の苗取り位置へ苗を１株づ
つ供給する構成のものが公知である。

【０００３】上記従来の苗移植機は、苗箱の各ポットか
ら取り出した苗を苗縦搬送装置の苗ホルダーが受け取
り、その苗ホルダーが前記苗箱搬送路の曲線部分に沿っ
て弧状軌跡を描いて下方へ移動し、苗ホルダーの移動方
向がほぼ水平になった苗抜出し位置で、苗ホルダーの移
動により苗抜出し具が相対的に苗ホルダーの苗ホールド
部内に挿入され、苗ホルダーから苗を抜き出して苗横搬
送装置の苗送りベルトの上に落とすようになっていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】苗ホルダーの苗ホール
ド部から苗を抜き出すには苗ホルダーが一定距離以上
（少なくとも苗ホールド部の長さ以上）ほぼ水平に移動
する必要があるが、そのためには苗ホルダーの弧状軌跡
の半径を大きくしなければならず、苗ホルダーが苗を受
け取ってから苗送りベルトの上に苗を落とすまでの搬送
距離が長くなっていた。よって、苗の搬送速度が必然的
に速くなり、苗抜出し位置で苗抜出し具により苗ホルダ
ーから苗が抜き取られる際に苗に加わる衝撃が大きく、
苗ホルダーから抜き取られた苗が苗送りベルトの上に整
列状態に並んで落下せず、苗植込装置による苗の植込み
精度に悪影響が出ていた。本発明はこれを解決すること
を課題としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のような構成とした。すなわち、本発明
にかかる苗移植機は、苗を一株づつ収容するポットを縦
横に多数配列した苗箱の各ポットから苗を取り出し、そ
の取り出した苗を苗縦搬送装置により機体の進行方向と
平行かつ地面に垂直な面内で下方へ搬送し、さらに、そ
の苗を苗横搬送装置により横方向へ搬送し、苗植込装置
の苗取り位置へ苗を供給する苗移植機において、前記苗
縦搬送装置による苗の搬送軌跡が、苗を受け取ってから
苗横搬送装置の搬送始点のレベルまで下向きに移動する
上下移動行程と、該上下移動行程の下端から苗横搬送装
置の搬送始点まで前後方向に移動する前後移動行程との
組み合わせからなることを特徴としている。

【０００６】

【作用】苗縦搬送装置による苗の搬送軌跡が、前記従来
の苗移植機のように一連の円弧状軌跡ではなく、苗を受
け取ってから苗横搬送装置の搬送始点のレベルまで下向
きに移動する上下移動行程と、該上下移動行程の下端か
ら苗横搬送装置の搬送始点まで前後方向に移動する前後
移動行程との組み合わせからなるので、前後移動行程を
苗抜出しに必要な距離だけ確保することが容易であると
ともに、上下移動行程を短くすることも容易であり、全
体の苗搬送距離を短くすることができる。これにより、
特に苗抜出し位置での苗の搬送速度を遅くすることがで
き、苗ホルダーから抜き出した苗を苗横搬送装置の苗送
りベルトの上に整列状態に並べられるので、苗植込装置
による苗の植込み精度を向上する。

【０００７】

【実施例】図１乃至図７は本発明の１実施例を表してい
る。この苗移植機１は、乗用型の走行車体２の後側にリ
ンク装置３を介して６条植えの植付部４が昇降可能に装
着され、また、走行車体２の後部には、側条施肥装置５
の肥料ホッパ５ａと、各条ごとに肥料を繰り出す肥料繰
出装置５ｂ…が配設されている。この苗移植機１は水田
で水稲の苗を植付けるものであるが、本発明はこれに限
定されるものではなく、畑地において野菜の苗を植付け
る苗移植機にも適用できるものである。

【０００８】以下に、この苗移植機１の各部の構成つい
て説明する。走行車体２は、駆動回転する左右一対の操
向用の前輪６・６と駆動回転する左右一対の後輪７・７
を備え、フレーム８上の前側にミッションケース９、そ
の後側にエンジンＥが搭載され、エンジンＥの回転動力
はベルト伝動装置１０によりミッションケース９の上部
に取り付けた油圧ポンプに一旦伝動され、そこから、無
段変速操作可能なベルト伝動装置１１によりミッション
ケース９内に伝動される。そして、ミッションケース９
内の動力は前輪６・６と後輪７・７に伝動されるととも
に、伝動軸９ａ、中間ギヤケース９ｂ、伝動軸９ｃを介
して植付部４に伝動される。尚、図中の１２は前輪６・
６を操向操作するためのハンドル、１３は操縦者が座る
座席、１４は操縦者が走行車体２上を移動する際のステ
ップフロアである。

【０００９】リンク装置３は、走行車体２のフレーム８
の後端部に固着のリンクベース８ａに上リンク１５ａ・
１５ａおよび下リンク１５ｂ・１５ｂが回動自在に取り
付けられ、これら上下リンクの後端部に縦リンク１５ｃ
が連結されている。そして、その縦リンク１５ｃの下端
部から後方に突出する連結軸受部１５ｃ’に、植付部４
の中央の植付伝動ケース１６に一体の連結軸１６’が回
動自在に連結して、植付部４が進行方向に対して左右に
回動自在に装着される。また、リンク装置３を駆動する
ための油圧シリンダ１７が、基部側をフレーム８に取り
付けて設けられていて、そのピストンロッド側が上リン
ク１５ａ・１５ａの基部から下向きに一体的に固着され
たアーム１５ａ’の先端部にスプリングを介して連結さ
れている。この油圧シリンダ１７が伸縮作動すると、上
下のリンク１５ａ・１５・１５ｂ・１５ｂがリンクベー
ス８ａ側の支軸回りに回動し、植付部４が昇降動するよ
うになっている。尚、油圧シリンダ１７は油圧バルブ１
８によって作動制御される。

【００１０】走行車体２の前部左右両側には予備苗載台
２０，２０が設けられている。また、走行車体２の前部
左右両側には、次行程における走行車体２の進路を圃場
面に線引きする線引きマーカー２１・２１が起倒切替可
能に設けられている。

【００１１】ところで、この苗移植機１で使用される苗
箱Ｃは、プラスチック製の可撓性を有する苗箱であり、
図１４及び図１５で示すような形状となっている。すな
わち、小さいポットＣ’…が左右前後に所定の間隔で並
び、開口部Ｃ’ａ…が互いに連結し、底部Ｃ’ｂ…側が
独立した形状に成形されている。また、苗箱Ｃの長手方
向に沿う左右の端縁部Ｃａ・Ｃａには、ポットＣ’…の
長手方向の間隔に合わせて苗箱送り用の角孔Ｃｂ…が設
けられている。各ポットＣ’…の底部Ｃ’ｂには、後記
苗押出しピン３１ａが底部側から侵入できる切れ目Ｃ’
ｃが設けられている。Ｃｃは左右（短手方向）中央で長
手方向に向けて設けられた広間隔部である。各ポット
Ｃ’…内に床土を詰めて播種、覆土し、育苗される。こ
うして各ポットＣ’…ごとに１株づつ育苗された苗箱Ｃ
は、植付部４に苗箱ごと装填され、底部側から後記苗押
出しピン３１ａで押し出されて苗が取り出される。

【００１２】植付部４は６条植え構成で、２条ごとに１
組づつ設けられている苗箱搬送装置３０・３０・３０、
苗取出装置３１・３１・３１、苗縦搬送装置３２・３２
・３２、及び苗横搬送装置３４・３４・３４と、各条ご
とに設けられている苗植込装置３５…等を備えている。

【００１３】各苗箱搬送装置３０…に複数枚の苗箱Ｃ…
が装填され、苗押出し位置Ｐ…に搬送されてきた苗箱Ｃ
の横１列のポットＣ’…から苗ｎ…が苗取出装置３１…
により一斉に押し出される。押し出された苗ｎ…は、苗
縦搬送装置３２…の苗ホルダー３２ａ…に保持されて機
体の進行方向と平行かつ地面に垂直な面内で下方へ搬送
され、苗横搬送装置３４…上に抜き落とされる。抜き落
とされた苗ｎ…は、苗横搬送装置３４…によりその左右
両側の苗取り部に左右半分づつに分かれて横送りされ、
苗取り部まで搬送された苗ｎ…は一株づつ苗植込装置３
５・３５…が取って圃場に植付けてゆく構成になってい
る。

【００１４】植付部４の下部にはセンターフロート３６
と左右一対のサイドフロート３７・３７が設けられてお
り、植付作業時は、これらフロートが圃場面を整地しな
がら滑走してゆく。これら各フロート３６・３７・３７
には、各条の苗植付位置の近傍の圃場面に施肥用の溝を
形成する作溝器３８…が取り付けられ、その後側に平面
視断面が後方開口のＵ字状の施肥ガイド５ｃ…が取り付
けられ、そこに肥料繰出装置５ｂ…から繰り出された肥
料を移送する施肥ホース５ｄ…が各条ごとに連結されて
いる。

【００１５】また、センターフロート３６は圃場面の凹
凸を検出するセンサでもあり、このセンターフロート３
６の上下動に応じて油圧バルブ１８のスプールが作動す
るようになっている。すなわち、センターフロート３６
が上動すると、油圧シリンダ１７を伸ばす方向に油圧バ
ルブ１８が作動され、逆にセンターフロート３６が下動
すると油圧シリンダ１７を縮める方向に油圧バルブ１８
が作動されるのである。これにより、植付部４は圃場面
に対し一定の高さを維持するように制御される。

【００１６】苗箱搬送装置３０は、上部に後下がりに傾
斜した状態で設けられる上下２段の苗箱供給部３０ａ・
３０ａと、その２段の苗箱供給部からの苗箱搬送路を合
流して下方に搬送し、更に続いて前側上方へＵ字状に湾
曲する主苗箱搬送部３０ｂと、それに続いて前記苗箱供
給部３０ａ・３０ａの真下まで上方に延びる空箱搬送部
３０ｃとを備え、空箱搬送部３０ｃの出口に、そこから
排出される空の苗箱Ｃ…を複数枚上下に重ねた状態で収
容する空箱収容枠３０ｄが設けられている。これら苗箱
搬送装置３０…は、主苗箱搬送部３０ｂ…が各植付伝動
ケース１６…でその上側に支持され、更に主苗箱搬送部
３０ｂ…のＵ字状内に基部が固着された苗箱供給部支持
フレーム３０ｅ…で苗箱供給部３０ａ・３０ａ…、空箱
搬送部３０ｃ…、及び空箱収容枠３０ｄ…が支持されて
いる。

【００１７】上下２段の苗箱供給部３０ａ・３０ａに
は、苗箱がその長手方向を前後に向けた状態で２枚づつ
直列に載せられる。苗箱供給部３０ａ・３０ａの底部に
は滑りローラー５０・５０…が設けられていて、苗箱供
給部に載せられた苗箱Ｃがその滑りローラーにポット
Ｃ’…の下面を支持された状態で後方へ滑り落ちるよう
になっている。また、苗箱供給部３０ａ・３０ａの後部
には、主苗箱搬送部３０ｂへ苗箱を通す状態と通さない
状態に切り替わる苗箱供給シャッター５２・５２がそれ
ぞれ設けられていて、上段のシャッターが通す状態の時
は下段のシャッターが通さない状態となり、上段のシャ
ッターが通さない状態の時は下段のシャッターが通す状
態となるよう交互に切り替わるようになっている。

【００１８】上記各苗箱搬送装置３０には、苗押出し位
置Ｐで苗箱Ｃを係止するとともに、適宜タイミングで苗
箱をポット横一列分づつ送る苗箱送り装置４０が設けら
れている。この苗箱送り装置４０は、主苗箱搬送部３０
ｂの苗押出し位置Ｐ付近の搬送ガイド部３０ｂ’に設け
られ、苗箱搬送路に沿って往復移動する左右の送り爪４
０ａ・４０ａと、それに連動して係脱する係止爪４０ｂ
・４０ｂとを備える。その送り爪４０ａ・４０ａの爪部
が搬送ガイド部３０ｂ’に設けた開口部に入り込んで、
その溝内に位置する苗箱Ｃの端縁部Ｃａ・Ｃａに設けら
れた苗箱送り用の角孔Ｃｂ・Ｃｂに係合した状態から、
送り爪が上動して次の角孔Ｃｂ・Ｃｂに乗り越して係合
して再び下動することで、ポットＣ’…を横一列分づつ
搬送する構成になっている。

【００１９】この苗箱送り装置４０の作動は、植付伝動
ケース１６の各左側部に突出する苗箱送り駆動軸４０ｃ
と連動連結して、苗取出装置３１が苗を押し出して押出
しピン３１ａがポットＣ’…の底部から抜け出た後から
次の苗押出し作動が始まるまでの間に送り作動する。ま
た、送り爪４０ａ・４０ａの送り作動は、植付伝動ケー
ス１６の前記苗箱送り駆動軸４０ｃに一体回転するよう
に取り付けられた駆動プレート４０ｄと送り爪４０ａ・
４０ａに連動するクランクアーム４０ｅにロッド４０ｆ
で連結する。各苗箱搬送装置３０のそれぞれ左右に設け
られるクランクアーム４０ｅ・４０ｅ’は、各主苗箱搬
送部３０ｂのＵ字状内側を貫通して支持される１本づつ
の回動軸４０ｇに一体回転するよう取り付けられてい
る。送り爪４０ａ・４０ａの上動、すなわち苗箱送り方
向と逆方向の作動は、植付作動ケース１６内の苗箱送り
カムにより駆動され、送り爪４０ａ・４０ａの下動、す
なわち苗箱送り方向の作動は、スプリング４０ｈにより
駆動されるように設けている。また、各駆動プレート４
０ｄには、それぞれ苗箱送り手動レバー４がを一体的に
取り付けられていて、送り駆動軸４０ｃの駆動回転だけ
ではなく、苗箱送り手動レバーの揺動操作によっても苗
箱送り装置４０を送り作動させられる。

【００２０】苗取出装置３１は、前記苗箱搬送装置３０
に装填されて苗押出し位置Ｐに順次送られる苗箱Ｃか
ら、その苗押出し位置ＰにあるポットＣ’…の横一列分
づつのポット内の苗ｎ…をスライド作動する苗押出しピ
ン３１ａ…で押し出す装置である。この苗取出装置３１
は、植付伝動ケース１６の各左側部に突出する押出し駆
動軸３１ｂが、伸縮ロッド３１ｄを介して、押出し作動
ケース３１ｅの押出し作動軸３１ｆに一体回動するよう
取り付けられている作動アーム３１ｇと連結し、押出し
作動軸３１ｆと押出し作動ケース３１ｅ内で一体回転す
るように設けられている扇形状のピニオンギヤ３１ｈが
苗押出しピン３１ａ…と一体に連結する押出し作動軸３
１ｉのラックに噛み合っている。よって、押出し駆動軸
３１ｂの回転により押出し作動軸３１ｉがスライド作動
するようになっている。

【００２１】苗押出しピン３１ａ…は、苗箱Ｃの横方向
のポットＣ’…に対して同数同ピッチで設けられてい
て、押出しピンガイド３１ｊの押出し孔３１ｋ…を突き
抜けて突出作動し、更に苗箱Ｃの横一列分のポットＣ’
…の底部Ｃ’ｂ…の切れ目Ｃ’ｃ…を突き抜けて苗ｎ…
の床部を押し出す。この苗押出しピン３１ａ…の突出・
引退作動は、前記苗箱送り装置４０の送り作動が終了し
て苗箱係止状態にあり第一苗搬送装置３２の苗ホルダー
３２ａが苗押出し位置Ｐに停止状態で位置するときに突
出作動し、且つ、苗箱送り装置による次の苗箱移動が開
始される前に引込み完了する。３１ｄ’は、スプリング
３１ｄ”を内装するスプリングケースである。

【００２２】苗縦搬送装置３２は、前記苗取出装置３１
により押し出された横一列分の苗ｎ…を苗ホルダー３２
ａが受け取り、その苗ホルダー３２ａが苗を機体の進行
方向と平行かつ地面に垂直な面内で下方へ搬送し、そこ
で保持している苗を抜き出して苗横搬送装置３４の苗送
りベルト３４ａ・３４ａの上に並べる装置である。

【００２３】苗ホルダー３２ａは苗箱搬送装置３０の左
右両側部に揺動自在に設けられたスイングアーム３２ｂ
・３２ｂに支持されていて、植付伝動ケース１６の各右
側部に突出する苗縦搬送駆動軸３２ｃに一体回転する駆
動アーム３２ｄが、前記スイングアーム３２ｂ・３２ｂ
に伸縮ロッド３２ｅを介して連動連結されている。駆動
アーム３２ｄが駆動回転すると、苗ホルダー３２ａが苗
受取り位置Ａ１と苗抜出し位置Ａ２との間をほぼ上下方
向の直線状の軌跡で往復移動する。駆動アーム３２ｄの
駆動回転によりスイングアーム３２ｂ・３２ｂが上動
し、苗ホルダー３２ａが苗受取り位置Ａ１に至ると、ス
イングアーム３２ｂ・３２ｂがストッパー体３２ｆ・３
２ｆに当たって止まる。駆動アーム３２ｄはなおも回転
してスイングアーム３２ｂ・３２ｂを上動させようとす
るが、伸縮ロッド３２ｅが縮んで（伸縮ロッド３２ｅの
スプリングケース３２ｅ’の内のスプリング３２ｅ”が
縮んで）スイングアーム３２ｂ・３２ｂがストッパー体
３２ｆ・３２ｆによって停止されたままとなる。よっ
て、スイングアーム３２ｂ・３２ｂがストッパー体３２
ｆ・３２ｆに当たって停止された状態にある間は、苗ホ
ルダー３２ａは苗受取り位置Ａ１に位置し、苗取出装置
３１により押し出された苗ｎ…を受け取る。

【００２４】苗ホルダー３２ａには、苗取出装置３１に
より押し出された苗ｎ…をそれぞれ受け取る苗ホールド
部３２ｇ…が、苗箱搬送装置３０により搬送される苗箱
ＣのポットＣ’…の左右方向の位置に合わせて形成され
ている。この苗ホールド部３２ｇ…は、前後に開口し、
かつ上側が切り欠かれた凹状をしており、その底部に苗
を適正姿勢に保持するホールド爪３２ｈ…が設けられて
いる。ホールド爪３２ｈ…は、爪軸３２ｉ・３２ｉに一
体に取り付けてあり、該爪軸の両端部に設けたスプリン
グ３２ｊ…の作用で爪の先端が苗ホールド部内に突出す
るように付勢されている。よって、苗ホールド部３２ｇ
…に苗床が押し込まれる時には、スプリング３２ｊ…の
力に抗してホールド爪３２ｈ…が引っ込み、苗ホールド
部３２ｇ…に苗床が完全に押し込まれると、ホールド爪
３２ｈ…が苗ホールド部内に突出し、苗床の底部側が上
位となるように浮き上がらせ、苗を適正姿勢に保持す
る。これにより、苗受取り位置Ａ１では苗は若干葉が下
向きの姿勢となり、苗抜出し位置では苗はほぼ水平な姿
勢となる。

【００２５】また、苗抜出し位置Ａ２で苗ホルダー３２
ａから苗を抜き出す苗抜出し具３３が設けられている。
この苗抜出し具３３は、苗床の底部を押す苗抜出し体３
３ａ…を櫛状に設け、その各苗抜出し体３３ａ…には苗
床を上から押える突起３３ｂ…が形成してある。苗抜出
し体３３ａ…は支点３３ｃ回りに回動自在な苗抜出しア
ーム３３ｄに一体に取り付けられており、該苗抜出しア
ームを苗抜出しカム３３ｅにより前後回動させるように
なっている。すなわち、苗抜出しアーム３３ｄにローラ
３３ｆを設け、そのローラ３３ｆが前記苗抜出しカム３
３ｅに接当するようスプリング３３ｇで付勢している。
これにより、苗ホルダー３２ａが苗抜出し位置Ａ２まで
下動すると、苗抜出し体３３ａ…が前方に移動して苗ホ
ールド部３２ｂ…内に挿入され、苗床の底部を押して苗
を苗落とし位置Ａ３まで前方に抜き出す。

【００２６】更に、苗抜出しアーム３３ａ…の支点３３
ｃは支点３３ｈ回りに回動自在な苗叩きアーム３３ｉに
取り付けられており、該苗叩きアームを苗叩きカム３３
ｊで上下回動させるようになっている。すなわち、苗叩
きアーム３３ｉにローラ３３ｋを設け、そのローラ３３
ｋを前記苗叩きカム３３ｊに接当するようスプリング３
３ｌで付勢している。これにより、苗抜出し体３３ａ…
が苗を苗落とし位置Ａ３まで抜き出すと、苗抜出し体３
３ａを下動させ、抜き出された苗の苗床を上側から押え
て、苗を苗横搬送装置３４の苗送りベルト３４ａ・３４
ａの上に叩き落とす。

【００２７】苗縦搬送装置３２は、苗押出しピン３１ａ
…の突出作動（苗押出し作動）が開始する前に苗ホルダ
ー３２ａが苗受取り位置Ａ１に停止し、苗押出しピン３
１ａ…の引っ込み作動が完了すると下動し始める。そし
て、苗横搬送装置３４が前回受けた苗ｎ…を左右の苗取
り位置にちょうど搬送し終えたときに苗縦搬送装置３２
が搬送する苗ｎ…が苗抜出し具３３により苗横搬送装置
３４に受け渡されるように作動する。その後、再び苗ホ
ルダー３２ａが上動して苗受取り位置Ａ１に戻る。

【００２８】この苗縦搬送装置３２による苗搬送の軌跡
Ｌは、苗ホルダー３２ａの上下運動によってもたらされ
る上下移動行程（Ａ１−Ａ２）と、苗抜出し体３３ａの
作動によってもたらされる前後移動行程（Ａ２−Ａ３）
との組み合わせからなり、上下移動行程で苗が苗横搬送
装置の方向における搬送始点の近傍（すなわち、苗横搬
送始点のレベル付近）まで下向きに搬送され、前後移動
行程で苗ホルダー３２ａから苗が抜き出される。

【００２９】苗横搬送装置３４は、苗ホルダー３２ａか
ら抜き落とされた横一列分の苗ｎ…を苗送りベルト３４
ａ・３４ａ上に受けて左右半分づつ左右の苗植込装置３
５・３５の苗取り位置Ｓ・Ｓに搬送する装置である。こ
の苗横搬送装置３４は、左右伝動フレーム４２の後側に
突出し互いに逆方向に回転する駆動軸３４ｂ・３４ｂに
駆動ローラー３４ｃ・３４ｃを一体回転するよう連結
し、該駆動ローラーとその左右内側に回転自在に支持さ
れた従動ローラ３４ｄ・３４ｄとに苗送りベルト３４ａ
・３４ａを巻き掛けて、左右の苗送りベルト３４ａ・３
４ａの上面がそれぞれ左右両外側に移動するように作動
するようになっている。また、苗送りベルト３４ａの外
周面には、回動軸方向に沿って並ぶ複数の突起３４ａ’
…が設けられ、苗ｎ…がこの突起３４ａ’…の左右間に
挟まれた状態で苗抜出し体３３により苗ホルダー３２ａ
から抜き落とされ搬送される。苗送りベルト３４ａ・３
４ａの回動作動は、苗植込装置３５・３５が苗取り位置
Ｓ・Ｓから苗を一株づつ取っていくタイミングに合わせ
て苗ｎ…を苗取り位置に搬送する。

【００３０】苗植込装置３５は、苗横搬送装置３４によ
り苗取り位置Ｓ・Ｓに搬送された苗ｎ…を一株づつ取っ
て圃場に植付けてゆく装置である。この苗植込装置３５
は、左右伝動フレーム４２から後方に延びる植付伝動フ
レーム４３・４３の後側左右側部に取り付け、内側に回
転不能に固定したカム体を装備しケース側が植付駆動軸
３５ａと一体回転する回転ケース３５ｂに２体の苗植込
杆３５ｃ・３５ｃを備えた構成となっている。２体の苗
植込杆３５ｃ・３５ｃの先端は閉ループ軌跡Ｔを描いて
移動し交互に苗を圃場に植え込んでゆく。なお、３５ｄ
は苗送りベルト３４ａの終端で苗が落とし込まれる苗受
け部、３５ｅは苗受け部から圃場面へ苗を案内する植付
ガイドである。

【００３１】図８は上記苗縦搬送装置３２（１）と異な
る苗縦搬送装置を示す。この苗縦搬送装置３２（２）
は、苗ホルダー３２ａの支持プレート４５を支点４６を
中心に上下に揺動させるとともに、支持プレート自体を
支点４７を中心に前後動させるようになっていて、苗ホ
ルダーの軌跡Ｌは、支点４６回りの運動である上下移動
行程（Ａ１−Ａ２）と支点４７回りの運動である前後移
動行程（Ａ２−Ａ３）を組み合わせたものとなってい
る。支点４６回りの上下運動は、前述のストッパー体等
の機構により、行程の上下端で若干時間停止する。ま
た、支点４７回りの前後運動は、カム機構等により、前
記上下運動が行程の下端で停止している時に前方に移動
し、上下運動が上動を開始すると後方へ移動する。これ
により、苗ホルダーの軌跡Ｌは上下逆向きの略Ｐ字形に
なる。

【００３２】また、苗ホルダー３２ａが前後移動行程に
ある時に苗ホールド部３２ｇ…から苗を抜き出す苗抜出
し具３３′が設けられている。苗抜出し具３３′は櫛状
に形成されていて、下方に突出する各苗抜き体３３ａ′
…が前後移動行程を移動中の苗ホルダー３２ａの各苗ホ
ールド部３２ｇ…内に保持される苗ｎ…を受け止め苗ホ
ルダー３２ａのみを通過させて苗ｎ…を抜き出すように
設けられている。更に、苗抜き体３３ａ′…には苗床を
上から押える段部が形成されていて、苗ホールド部３２
ｇ…から苗が抜き出されると、カム機構により苗抜き体
３３ａ′…が下向きに回動して、苗を苗横搬送装置３４
の苗送りベルト３４ａ・３４ａ上に落とすようになって
いる。

【００３３】これまで説明した苗移植機の苗縦搬送装置
３２（１）・３２（２）は、苗搬送時と戻り時とで苗ホ
ルダーが同じ上下移動行程を往復動する構成である。こ
のため、上下移動行程の上下端で運動が中断され、振動
が生じやすいという難点がある。その点、苗ホルダーを
ロータリ運動させると、運動が中断せず振動が少ないと
いう利点がある。以下に、図９乃至図１２に示すロータ
リ式苗縦搬送装置３２（３）について説明する。

【００３４】植付伝動ケース１６に軸受５０，５０によ
って回転ケース取付軸５１が回転自在に支承され、その
軸の突出部に回転ケース５２が一体に取り付けられてい
る。回転ケース５２の先端部には軸受５５，５６によっ
て苗ホルダー支持ケース取付軸５７が回転自在に支承さ
れており、該取付軸の角軸部５７ａに苗ホルダー支持ケ
ース５８がピン５９によって一体に装着されている。苗
ホルダー支持ケース５８には苗ホルダー支持ロッド６１
が突出・引込み可能に設けられ、その先端部に苗ホルダ
ー３２ａが一体に取り付けられている。

【００３５】回転ケース５２の内部には、回転ケース取
付軸５１に嵌合させた太陽ギヤ６３と、該太陽ギヤに噛
合している遊星ギヤ６４と、該遊星ギヤに噛合している
苗搬送ギヤ６５とが内蔵されている。太陽ギヤ６３は、
軸受６６によって回転ケース５２に支持されている。遊
星ギヤ６４は、遊星ギヤ軸６４ａに取り付けられ、回転
ケース５２に対して遊転するようになっている。また、
苗搬送ギヤ６５は、前記苗ホルダー支持ケース取付軸５
７にキー６８によって回転不能に取り付けられている。

【００３６】回転ケース５２が回転すると、太陽ギヤ６
３の回りを苗搬送ギヤ６５が公転するとともに、その１
公転の間に公転方向とは逆向きに苗搬送ギヤ６５が１自
転する。それによって、苗搬送ギヤ６５と一体に設けら
れた苗ホルダー支持ケース５８は、ほぼ一定姿勢を維持
したまま、楕円軌跡を描いて回転ケース５２とともに移
動する。前記ギヤ６３，６４，６５がくの字形に配置さ
れているので、軌跡が小さくすることができ、苗の搬送
距離を短くなっている。また、ギヤ６３，６４，６５は
偏心ギヤで、前記苗ホルダー支持ケース５８の運動速度
が楕円の長径部付近では速く短径部付近では遅くなるよ
うにしてある。偏心ギヤの代わりに楕円ギヤ等の非円形
ギヤを用いて、運動速度を調節するようにしてもよい。

【００３７】苗ホルダー支持ケース５８の内部には、苗
ホルダー支持ロッド６１を作動させる揺動アーム７３が
軸７４の回りに上下揺動自在に支持されている。苗ホル
ダー支持ケース取付軸５７の外周部に嵌合し回転ケース
５２と一体の押出カム７５によってこの揺動アーム７３
が駆動され、前記楕円軌跡の短径部付近で苗ホルダー支
持ロッド６１が突出し、前記楕円軌跡の長径部付近で苗
ホルダー支持ロッド６１が引っ込むようになっている。

【００３８】よって、苗ホルダー３２ａの軌跡Ｌは、楕
円軌跡を描くロータリ運動と苗ホルダー支持ロッド６１
の突出・引込み運動を合成したものとなる。そして、軌
跡の上部（Ａ１付近）で苗箱から押し出された苗を受け
取り、軌跡の下部（Ａ２−Ａ３）で保持している苗が苗
抜出し具３３′によって抜き出される。この軌跡Ｌにお
けるＡ１−Ａ２間が上下移動行程、Ａ２−Ａ３間が前後
移動行程である。

【００３９】また、図１３に示す苗縦搬送装置３２
（４）のように、苗抜出し装置８０によって苗ホルダー
３２ａから苗を強制的に抜き出すようにしてもよい。苗
抜出し装置８０は、前記苗取出装置３１と同様の機構と
すればよい。

【００４０】

【発明の効果】以上に説明した如く、本発明にかかる苗
移植機は、苗縦搬送装置による苗の搬送軌跡を、苗を受
け取ってから苗横搬送装置の搬送始点の上下方向におけ
る近傍まで下向きに移動する上下移動行程と、該上下移
動行程の下端から苗横搬送装置の搬送始点まで前後方向
に移動する前後移動行程との組み合わせとすることによ
り、苗縦搬送装置による苗搬送距離を短くすることがで
き、それにより、特に苗抜出し時の苗の搬送速度を遅く
し、苗を苗横搬送装置に正確に受け渡しできるので、苗
植込装置による苗の植込み精度を向上するようになっ
た。

【図面の簡単な説明】

【図１】苗移植機の全体側面図である。

【図２】植付部の背面図である。

【図３】植付部の一部を示す左側面図である。

【図４】植付部の一部を示す右側面図である。

【図５】苗縦搬送装置の要部の側面図である。

【図６】苗ホルダーと苗抜出し具の正面図である。

【図７】苗ホルダーの側面断面図である。

【図８】植付部の第二例の一部を示す右側面図である。

【図９】第三例の一部を示す右側面図である。

【図１０】苗縦搬送装置の断面図である。

【図１１】図１０におけるＳ１−Ｓ１断面図である。

【図１２】図１０におけるＳ２−Ｓ２断面図である。

【図１３】苗縦搬送装置の第四例の作動構成を示す側面
図である。

【図１４】苗箱の平面図である。

【図１５】苗箱の（ａ）側面図、及び（ｂ）正面図であ
る。

【符号の説明】

Ｌ苗搬送軌跡Ｎ苗１苗移植機２走行車体３リンク装置４植付部３０苗箱搬送装置３１苗取出装置３２苗縦搬送装置３２ａ苗ホルダー３３苗抜出し具３４苗横搬送装置３５苗植込装置

フロントページの続き (72)発明者名本学愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地井関農機株式会社技術部内 (72)発明者加藤哲愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地井関農機株式会社技術部内 (72)発明者福島寿美愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地井関農機株式会社技術部内 (72)発明者鳥津龍之愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地井関農機株式会社技術部内 (72)発明者清家理伯愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地井関農機株式会社技術部内 (72)発明者石田伊佐男愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地井関農機株式会社技術部内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】苗を一株づつ収容するポットを縦横に多
数配列した苗箱の各ポットから苗を取り出し、その取り
出した苗を苗縦搬送装置により機体の進行方向と平行か
つ地面に垂直な面内で下方へ搬送し、さらに、その苗を
苗横搬送装置により横方向へ搬送し、苗植込装置の苗取
り位置へ苗を供給する苗移植機において、前記苗縦搬送
装置による苗の搬送軌跡が、苗を受け取ってから苗横搬
送装置の搬送始点のレベルまで下向きに移動する上下移
動行程と、該上下移動行程の下端から苗横搬送装置の搬
送始点まで前後方向に移動する前後移動行程との組み合
わせからなることを特徴とする苗移植機。