JP3435860B2 - 苗移植機 - Google Patents

苗移植機

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、苗箱ごと植付部に装填
する苗移植機に関する。 【0002】 【従来の技術】苗を一株づつ収容するポットを縦横に多
数配列した可撓性を有する苗箱で育成した苗を苗箱ごと
植付部に装填し、該苗箱を所定の搬送路に沿って搬送し
つつ、その搬送途中で、苗箱の底部に形成した孔から苗
押出しピン(第一苗取出手段)を苗箱のポット内に挿入
して苗箱から苗を押し出し(第一苗取出手段)、その押
し出された苗を受け取った苗ホルダーが下方へ移動して
苗を所定の苗取出位置まで搬送し、該苗取出位置で苗ホ
ルダーから苗を抜き取って苗送りベルトの上に取り出し
(第二苗取出手段)、その苗を苗送りベルトが横方向に
搬送して苗植込杆の苗取り位置に1株づつ供給し、該苗
取り位置に供給された苗を苗植込杆により圃場に植え込
んでゆく苗移植機がある。 【0003】この種の苗移植機は、従来、苗ホルダーが
次のように動作した(図17参照)。すなわち、上端部
では接線がほぼ垂直で、且つ下端部では接線がほぼ水平
となる弧状軌跡を描いて苗ホルダー32aが一定姿勢の
まま上下に往復動し、その軌跡の上端部に位置する時に
苗箱Cから押し出された苗n…を凹状の苗ホールド部3
2i…で保持し、その軌跡の下端部に移動した時に苗抜
取り具33aが相対的に苗ホールド部32i…内に挿入
されて苗ホルダー32aの苗ホールド部32i…から苗
が後方に抜き取られ、苗送りベルト34aの上に載せら
れる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】苗ホルダー32aから
抜き取られてから苗送りベルト34aの上に載るまでの
苗の落差Hは、苗ホルダー32aと苗送りベルト34a
との距離に苗ホールド部32i…の底部の厚みを加算し
た値であり、その落差が比較的大きかった。このため、
特に苗ホルダーが高速作動している時には、苗ホルダー
32aから抜き取られた苗が後方に大きく飛び出し、苗
送りベルト34aの適正な苗載せ位置からずれたり、苗
の向きが乱れたりすることがあった。 【0005】これを防止するためには、苗ホルダー32
aを下方へ移動中に上下反転させ、苗が抜き取られる時
には苗ホールド部32i…の開口部が下側を向くように
し、苗の落差を小さくすればよい。実際にそのように構
成した苗移植機も開発されている。上記構成であると、
苗ホルダーが苗を受け取る時と苗を抜き取られる時とで
苗が前後逆向きとなるので、葉が後向きの状態で苗取り
位置に供給される苗を圃場に植付ける通常の苗植込装置
を装備する場合、苗箱から苗を取り出す際に苗を機体の
進行方向側に押し出さなければならない。すると、配置
スペースや重量バランス等の関係上、植付部を機体の後
側に設けることができず(植付部を機体の後側に設ける
と全長が長くなり重心が後方に偏り過ぎる)、この構成
をした従来の苗移植機は、植付部を機体の前後中央部、
つまり前輪と後輪の間に設けていた。 【0006】しかしながら、植付部を前輪と後輪の間に
設けると、苗植付け後の圃場面を後輪が通過することと
なり、後輪で苗を踏んだり、後輪に押された水によって
植付けた苗が倒されるおそれがあるという問題や、植付
部の昇降が適正に行えないという問題が生じる。 【0007】そこで本発明は、苗ホルダーから抜き取ら
れた苗を苗送りベルトの適正位置に整列状態で供給でき
るようにし、しかも植付部を機体の後側に設けることを
課題としている。 【0008】 【課題が解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のような構成とした。すなわち、本発明
にかかる苗移植機は、苗箱のポットから苗を取り出す第
一苗取出手段と、該第一苗取出手段により取り出された
苗の床土部を断面凹状の苗ホールド部で保持して苗を下
方へ搬送する苗ホルダーと、該苗ホルダーによって搬送
された苗を苗ホルダーの苗ホールド部から取り出す第二
苗取出手段と、該第二苗取出手段によって苗ホルダーの
苗ホールド部から取り出された苗を載せて所定の苗取り
位置へ搬送する苗搬送ベルトと、前記苗取り位置で苗を
把持しそれを圃場に植付ける苗植込杆とを備えた苗移植
機において、前記苗ホルダーは、前記第一苗取出手段に
より苗箱から取り出された苗を受け取る時には苗ホール
ド部の開口部が上側を向き、前記第二苗取出手段により
苗が取り出される時には苗ホールド部の開口部が下側を
向くように移動中に上下反転するととともに、前記苗植
込杆は、機体の進行方向と直交する軸回りに360度回
転しながら上下作動し、上方に変位する時に前記苗取り
位置で苗を把持して、苗を上側へ移動させた後、下側へ
移動させながら土壌内に突入して植え付けるように構成
し、さらに、苗植込杆により苗の葉が苗植込杆の回転中
心側に向いた姿勢で苗が移送されるように案内する植付
ガイドを設けたことを特徴としている。 【0009】 【作用】第一苗取出手段により苗箱から取り出された苗
を受け取る時には苗ホールド部の開口部が上側を向き、
第二苗取出手段により苗が取り出される時には苗ホール
ド部の開口部が下側を向くように、苗ホルダーを移動中
に上下反転させることにより、苗ホルダーから抜き取ら
れてから苗送りベルトの上に載るまでの苗の落差が小さ
くなり、苗を苗送りベルトの適正位置に整列状態で供給
できる。 【0010】苗ホルダーが苗を受け取る時と苗を抜き取
られる時とで苗が前後逆向きとなるが、苗植込杆を機体
の進行方向と直交する軸回りに360度回転しながら上
下作動させ、上方に変位する時に苗取り位置で苗を把持
させるように構成することにより、前後逆向きになった
苗を正常に圃場に植付けることができる。これにより、
植付部を機体の後側に設けることが可能となる。また、
苗植込杆は苗を上側に移動させた後、下側へ移動させな
がら土壌内に突入して苗を植付け、植付ガイドは苗の葉
を苗植込杆の回転中心側に向いた姿勢となるように案内
するので、苗の位置が安定する。 【0011】 【実施例】図1乃至図4は本発明の1実施例を表してい
る。この苗移植機1は、乗用型の走行車体2の後側にリ
ンク装置3を介して6条植えの植付部4が昇降可能に装
着され、また、走行車体2の後部には、側条施肥装置5
の肥料ホッパ5aと、各条ごとに肥料を繰り出す肥料繰
出装置5b…が配設されている。この苗移植機1は水田
で水稲の苗を植付けるものであるが、本発明はこれに限
定されるものではなく、畑地において野菜の苗を植付け
る苗移植機にも適用できるものである。 【0012】以下にこの苗移植機1の各部の構成つい
て説明する。 【0013】走行車体2は、駆動回転する左右一対の操
向用の前輪6・6と駆動回転する左右一対の後輪7・7
を備え、フレーム8上の前側にミッションケース9、そ
の後側にエンジンEが搭載され、エンジンEの回転動力
はベルト伝動装置10によりミッションケース9の上部
に取り付けた油圧ポンプに一旦伝動され、そこから、無
段変速操作可能なベルト伝動装置11によりミッション
ケース9内に伝動される。そして、ミッションケース9
内の動力は前輪6・6、後輪7・7に伝動されるととも
に、伝動軸9a、中間ギヤケース9b、伝動軸9cを介
して植付部4に伝動される。尚、図中の12は前輪6・
6を操向操作するためのハンドル、13は操縦者が座る
座席、14は操縦者が走行車体2上を移動する際のステ
ップフロアである。 【0014】リンク装置3は、走行車体2のフレーム8
の後端部に固着のリンクベース8aに上リンク15a・
15aおよび下リンク15b・15bが回動自在に取り
付けられ、これら上下リンクの後端部に縦リンク15c
が連結されている。そして、その縦リンク15cの下端
部から後方に突出する連結軸受部15c’に、植付部フ
レーム16の中央の伝動ケース16aに一体の連結軸1
6’が回動自在に連結して、植付部4が進行方向に対し
て左右に回動自在に装着される。また、リンク装置3を
駆動するための油圧シリンダ17が、基部側をフレーム
8に取り付けて設けられていて、そのピストンロッド側
が上リンク15a・15aの基部から下向きに一体的に
固着されたアーム15a’の先端部にスプリングを介し
て連結されている。この油圧シリンダ17が伸縮作動す
ると、上下のリンク15a・15・15b・15bがリ
ンクベース8a側の支軸回りに回動し、植付部4が昇降
動するようになっている。尚、油圧シリンダ17は油圧
バルブ18によって作動制御される。 【0015】走行車体2の前部左右両側には予備苗載台
20,20が設けられている。また、走行車体2の前部
左右両側には、次行程における走行車体2の進路を圃場
面に線引きする線引きマーカー21・21が起倒切替可
能に設けられている。 【0016】植付部4は6条植え構成で、苗箱搬送装置
30・30・30、第一苗取出装置31・31・31、
第一苗搬送装置32・32・32、第二苗取出装置33
・33・33、第二苗搬送装置34・34・34、6組
の苗植込装置35…等を備えている。植付部フレーム1
6は、左右並列に設けた3体の伝動ケース16a…と、
該伝動ケースの後部同士を連結する状態で左右水平に設
けた左右伝動フレーム16bと、該左右伝動フレームか
ら後方に延びる植付伝動フレーム16c…と、該植付伝
動フレーム16c…の後端部から上方に突設した突設フ
レーム16d…とで構成され、この植付部フレーム16
に上記各装置が組み付けられている。 【0017】この苗移植機1で使用される苗箱Cは、プ
ラスチック製の可撓性を有する苗箱であり、図5及び図
6で示すような形状となっている。すなわち、小さいポ
ットC’…が左右前後に所定の間隔で並び、開口部C’
a…が互いに連結し、底部C’b…側が独立した形状に
成形されている。また、苗箱Cの長手方向に沿う左右の
端縁部Ca・Caには、ポットC’…の長手方向の間隔
に合わせて苗箱送り用の角孔Cb…が設けられている。
各ポットC’…の底部C’bには、後記苗押出しピン3
1aが底部側から侵入できる切れ目C’cが設けられて
いる。Ccは左右(短手方向)中央で長手方向に向けて
設けられた広間隔部である。各ポットC’…内に床土を
詰めて播種、覆土し、育苗される。 【0018】苗箱搬送装置30は中央と左右に計3体設
けられている。各苗箱搬送装置30は、後下がりに傾斜
した状態で設けられる上下2段の苗箱供給部30a・3
0aと、その2段の苗箱供給部からの苗箱搬送路を合流
して下方に搬送し、更に続いて前側上方へU字状に湾曲
する主苗箱搬送部30bと、それに続いて前記苗箱供給
部30a・30aの真下まで上方に延びる空箱搬送部3
0cとを備え、空箱搬送部30cの出口に、そこから排
出される空の苗箱C…を複数枚上下に重ねた状態で収容
する空箱収容枠30dが設けられている。これら苗箱搬
送装置30…は、主苗箱搬送部30b…が各伝動ケース
16…でその上側に支持され、更に主苗箱搬送部30b
…のU字状内に基部が固着された苗箱供給部支持フレー
ム30e…で苗箱供給部30a・30a…、空箱搬送部
30c…、及び空箱収容枠30d…が支持されている。 【0019】上記各苗箱搬送装置30には、苗押出し位
置Pで苗箱Cを係止するとともに、適宜タイミングで苗
箱をポット横一列分づつ送る苗箱送り装置40・40が
設けられている。この苗箱送り装置40・40は、主苗
箱搬送部30bの苗押出し位置P付近の左右搬送ガイド
部30b’に設けられ、苗箱搬送路に沿って往復移動す
る送り爪40a・40aと、それに連動して係脱する係
止爪40b・40bとを備えている。その送り爪40a
・40aの爪部が左右搬送ガイド部30b’に設けた開
口部40c・40cに入り込んで、その溝内に位置する
苗箱Cの端縁部Ca・Caに設けられた苗箱送り用の角
孔Cb…に係合した状態から、送り爪が上動して次の角
孔Cb…に乗り越して係合して再び下動することで、ポ
ットC’…を横一列分づつ搬送する構成になっている。 【0020】第一苗取出装置31は、前記苗箱搬送装置
30に装填されて苗押出し位置Pに順次送られる苗箱C
から、その苗押出し位置PにあるポットC’…の横一列
分づつのポット内の苗n…を苗押出しピン31a…で苗
箱搬送装置30の後側に押し出す装置である。第一苗取
出手段である苗押出しピン31a…は、苗箱Cの横方向
のポットC’…に対して同数同ピッチで設けられてい
て、押出しピンガイド31jの押出し孔31k…を突き
抜けて突出作動し、更に苗箱Cの横一列分のポットC’
…の底部C’b…の切れ目C’c…を突き抜けて苗n…
の床部を押し出す。この苗押出しピン31a…の突出・
引退作動は、前記苗箱送り装置40・40の送り作動が
終了して苗箱係止状態にあり第一苗搬送装置32の苗ホ
ルダー32aが苗押出し位置Pに停止状態で位置すると
きに突出作動し、且つ、苗箱送り装置40・40による
次の苗箱移動が開始される前に引込み完了する。 【0021】第一苗搬送装置32は、前記第一苗取出装
置31により押し出された横一列分の苗n…を苗ホルダ
ー32a…が苗受取位置(図3において鎖線で示す)で
受け取って、第二苗取出装置33の苗取出位置(図3に
おいて実線で示す)へ搬送する装置である。突設フレー
ム16c・16cの上部に上下2本づつのスイングアー
ム32b・32c・32b・32cが前向きに設けら
れ、それらスイングアームの先端部に苗ホルダー32a
が取り付けられている。苗ホルダー32aには、第一苗
取出装置31により押し出された苗n…をそれぞれ受け
取る断面凹状の苗ホールド部32i…が、苗箱搬送装置
30により搬送される苗箱CのポットC’…の左右方向
の位置に合わせて形成されている。スイングアーム32
b・32c・32b・32cが上下に揺動することによ
り苗ホルダー32aが上下に反転しながら苗受取位置と
苗取出位置の間を上下動する。よって、苗受取位置では
苗ホールド部32i…の開口部が上側を向き、苗取出位
置では苗ホールド部32i…の開口部が下側を向くよう
になっている。 【0022】第二苗取出装置33は第一苗搬送装置33
の苗ホルダー32aが苗取出位置に移動してきたとき、
該苗ホルダーの各苗ホールド部32i…に保持される苗
n…を苗抜取り具33a…で抜き取して、第二苗搬送装
置33の苗送りベルト34a・34a上に落とす装置で
ある。第二苗取出手段である苗抜取り具33aは櫛状に
形成されていて、下方に突出する各苗抜き部33a’…
が苗取出位置に移動してきた苗ホルダー32aの各苗ホ
ールド部32i…内に保持される苗n…を受け止め苗ホ
ルダー32a…のみを通過させて苗n…を抜き出すよう
に設けられている。 【0023】第二苗搬送装置34は、第二苗取出装置3
3により抜き落とされた横一列分の苗n…を苗送りベル
ト34a・34a上に受けて左右半分づつ左右の苗植込
装置35・35の苗取り位置S・Sに搬送する装置であ
る。この第二苗搬送装置34は、左右伝動フレーム16
bの後側に突出し互いに逆方向に回転する駆動軸34b
・34bに駆動ローラー34c・34cを一体回転する
よう連結し、該駆動ローラーとその左右内側に回転自在
に支持された従動ローラ34d・34dとに苗送りベル
ト34a・34aを巻き掛けて、左右の苗送りベルト3
4a・34aの上面がそれぞれ左右両外側に移動するよ
うに作動するようになっている。また、苗送りベルト3
4aの外周面には、回動軸方向に沿って並ぶ複数の突起
34a’…が設けられ、苗n…がこの突起34a’…の
左右間に挟まれた状態で第二苗取出装置33により抜き
落とされ搬送される。苗送りベルト34a・34aの回
動作動は、苗植込装置35・35が苗取り位置S・Sか
ら苗を一株づつ取っていくタイミングに合わせて苗n…
を苗取り位置に搬送する。 【0024】苗植込装置35は、第二苗搬送装置34に
より苗取り位置S・Sに搬送された苗n…を一株づつ取
って圃場に植付けてゆく装置である。この苗植込装置3
5は、植付伝動フレーム16cの前後中央部に支承され
た植付駆動軸35aと一体回転する回転ケース35b
と、該回転ケースに対して回動自在に取り付けた2体の
苗植込杆35c・35cとを備え、苗植込杆35c・3
5cが機体の進行方向と直交する軸である植付駆動軸3
5aの回りに機体前進時における車輪の回転方向に36
0度回転するとともに、回転ケース35bの内部に植付
伝動フレーム16cに対して回転不能に装備したカム体
の作用により上記1回転する間に1揺動する周期で苗植
込杆35c・35cが回転ケース35bに対して向きを
変える構成となっている。 【0025】2体の苗植込杆35c・35cの先端は図
3に示す閉ループ軌跡T1を描いて移動する。そして、
上方へ変位する行程中に苗取り位置Sで苗を受け取り、
苗を保持した状態で約270度回転し、軌跡T1のほぼ
最下部にある植付位置Uで保持している苗を泥土中へ押
し出して圃場に植え込む。苗植込み後、苗植込杆35c
・35cはその先端軌跡が若干上側にくぼむようにして
上昇しながら苗取り位置Sへ移動する。これにより、苗
植込杆35c・35cが植付位置Uから苗取り位置Sへ
移動する際に、植付けた苗を引っ掛けない。 【0026】尚、第二苗搬送装置34の苗送りベルト3
4a・34aの苗n…は、ベルト終端で苗取り位置S・
Sに設けた苗受け部35d・35dに落とし込まれる。
苗受け部35d・35dは、左右に配した板状の植付ガ
イド35e・35e・35e・35eの間に形成されて
いて、植付ガイドの内面に形成された突起35f・35
f・35f・35fによって苗n…を受け止めるように
なっている。苗送りベルト34a・34a側の植付ガイ
ド35e・35eには、苗送りベルト34a・34aか
ら苗受け部35d・35dへ苗を落し込むための切欠き
35g・35gが形成されている。植付ガイド35e・
35e・35e・35eは、苗植込杆35c・35cに
よる苗移送中に苗が苗植込杆から逸脱するのを防止する
ためのもので、苗取り位置S・Sから圃場面近傍へ至る
苗移送路の左右両側に設けられている。苗受け部35d
・35dに落とし込まれた苗n…は、下方から移動して
くる苗植込杆35b・35bの先端部に受け取られ、植
付ガイド35e・35e・35e・35eの間を通って
植付位置Uへ移送される。 【0027】植付部4の下部にはセンターフロート36
と左右一対のサイドフロート37・37が設けられてお
り、植付作業時は、これらフロートが圃場面を整地しな
がら滑走してゆく。これら各フロート36・37・37
には、各条の苗植付位置の近傍の圃場面に施肥用の溝を
形成する作溝器38…が取り付けられ、その後側に平面
視断面が後方開口のU字状の施肥ガイド5c…が取り付
けられ、そこに肥料繰出装置5b…から繰り出された肥
料を移送する施肥ホース5d…が各条ごとに連結されて
いる。また、センターフロート36は圃場面の凹凸を検
出するセンサでもあり、このセンターフロート36の上
下動に応じて油圧バルブ18のスプールが作動するよう
になっている。すなわち、センターフロート36が上動
すると、油圧シリンダ17を伸ばす方向に油圧バルブ1
8が作動され、逆にセンターフロート36が下動すると
油圧シリンダ17を縮める方向に油圧バルブ18が作動
されるのである。これにより、植付部4は圃場面に対し
一定の高さを維持するように制御される。 【0028】植付部4は以上のように構成されていて、
植付作業に際しては、苗搬送装置30…の上下の苗供給
部30a・30a…に苗箱C…をその長手方向が前後を
向くように2枚づつ直列に並べて装填し、植付部4の各
部を作動させて機体を進行させる。植付作業時、植付部
4の各部は次に記すように動作する。 【0029】苗供給部30a・30aに装填した苗箱は
順次苗箱搬送部30bに搬送される。そして、苗ホルダ
ー32aが苗受取位置に位置して停止している時に前記
苗押出しピン31a…が突出作動し、苗押出し位置Pに
あるポットC’から横一列分の苗nが後方に押し出され
る。全ての苗が押し出されたのちの空箱は、空箱搬送部
30cを通って空箱収容枠30dに収容される。 【0030】苗箱から押し出された苗n…は、その床土
部が苗ホルダー32aの苗ホールド部32i…に嵌合し
て保持される。この時、苗n…は葉が後向きの状態とな
っている。苗押出しピン31a…の引っ込み作動が完了
すると、苗ホルダー32aが下動し、苗n…が苗取出位
置へ搬送される。苗ホルダー32aが下動中に上下反転
するため、苗取出位置では苗n…は葉が前向きの状態と
なる。苗ホルダー32aが苗取出位置へ下動すると、第
二苗取出装置33の苗抜取り具33aが苗ホールド部3
2i…内に後側から挿入され、苗ホールド部32i…に
保持されている苗が抜き取られ、第二苗搬送装置34の
苗送りベルト34a・34aの上に落される。苗取出位
置では苗ホールド部32i…の開口部が下側を向いた状
態となっているので、苗ホールド部32i…と苗送りベ
ルト34a・34aの距離を接近させることが可能で、
それにより苗ホールド部32i…から抜き取られた苗n
…を苗送りベルト34a・34aの適正位置に載せるこ
とができる。この苗の抜き取りは、第二苗搬送装置34
…が前回受けた苗n…を左右の苗取り位置にちょうど搬
送し終えた時に行われる。苗の抜取り後、再び苗ホルダ
ー32aが上動して苗受取位置に戻る。 【0031】苗送りベルト34a・34aの上に落され
た苗は、苗送りベルト34a・34aの移動により左右
両側の苗取り位置S・Sに搬送される。そして、その苗
取り位置S・Sに搬送された苗を各2体の苗植込杆35
c・35cが交互に圃場に植え込んでゆく。苗植込杆3
5c・35cを上方へ変位する行程中に苗取り位置Sで
苗を受け取るように構成することにより、葉が前向きの
状態で苗取り位置Sに供給される苗を正常姿勢で圃場に
植付けることが可能となっている。 【0032】上記実施例の苗植込装置35(1)は従来
より公知の苗植込装置と同じ構成で、その苗取りのタイ
ミングを変えることにより、葉が前向きの状態で苗取り
位置に供給される苗を圃場に植付けられるようにしたも
のである。また、苗植込杆の先端軌跡が異なる苗植込装
置を装備することによっても、葉が前向きの状態で苗取
り位置に供給される苗を圃場に植付けることができる。
以下に、その苗植込装置について説明する。 【0033】図7及び図8に示す苗植込装置35(2)
は、回転ケース35bが機体前進時における車輪の回転
方向と逆回りに回転するとともに、苗植込杆35c・3
5cは回転ケース35bに対して揺動し、苗植込杆35
c・35cの先端軌跡T2が最下部で小ループを形成す
る8の字状を描くようになっている。機体の進行を加味
した苗植込杆35c・35cの動軌跡T2’は図9のよ
うになる。そして、苗取り位置Sで苗を受け取りそれを
植付位置Uで解放して圃場に植え付ける。 【0034】軌跡の最下部で小ループを描かせることに
より、苗植込杆35c・35cが前記苗植込装置35
(1)の苗植込杆と逆回りに回転しているにもかかわら
ず、苗植込装置35(1)と同様に、苗を適正状態で圃
場に植付けることができる。苗植込杆35c・35cが
苗を進行方向前側の泥に押し付けながら土中に侵入し、
苗植付け後は苗植込杆35c・35cが後方へ移動しな
がら上方へ移動するので、苗植込杆35c・35cによ
って圃場面に形成される穴が苗の後側に形成されように
なり、車輪やフロートにより押されて前方に流れる水に
よって苗が穴の側へ倒されるのを防止できる。 【0035】この苗植込装置35(2)の具体構成は、
植付伝動フレーム16cに対して回転不能なカム体43
が回転ケース35b内に設けられ、このカム体の溝43
aに苗植込杆取付軸44と一体作動するアーム45に設
けた摺動体46が摺動自在に遊嵌しており、回転ケース
35bの回転にともない摺動体46が溝43aに沿って
移動し、苗植込杆35c・35cが回転ケース35bに
対して揺動するようになっている。回転の最下点で苗植
込杆35c・35cの揺動量が最大になるようにする
と、8の字状軌跡を描くようになる。図中のC1は左右
伝動ケース16b内の植付伝動軸42から植付駆動軸3
5aへ伝動するチエンである。 【0036】図10乃び図11に示す苗植込装置35
(3)は、回転ケース35bが前進時における車輪の回
転方向と同方向に回転するとともに、苗植込杆35cが
回転ケース35bとは逆回りに不等速に回転し、苗植込
杆35cの先端軌跡T3は巴形を描くようになってい
る。機体の進行を加味した苗植込杆35cの動軌跡T
3’は図12のようになる。そして、苗取り位置Sで苗
を受け取りそれを植付位置Uで解放して圃場に植付け
る。 【0037】この苗植込装置35(3)は、回転ケース
35bが約90度回転する間に1株の苗を植付けるの
で、回転ケース35bが約270度回転する1株の苗を
植付ける苗植込装置35(1)に比べて、苗植込杆35
c・35cによる苗の移送時間と移送距離が短く、苗植
込杆35c・35cが把持している植付け中の苗の葉と
次に植付ける苗の葉が干渉することがなく、苗の損傷や
苗植込杆35c・35cからの苗の脱落が生じない。ま
た、苗の中心付近を支点にして苗の向きが変わるので、
搬送中に床土部の根土が崩れにくい。さらに、苗を植付
けるまで軌跡の方が苗を植付けた後の軌跡よりも進行方
向前側にあり、植付けるまでの土中での苗の移動量の方
が植付けた後の苗の移動量よりも少ないので、土中で苗
を引きずる距離が少なく、土中でも床土部の根土が崩れ
にくい。 【0038】この苗植込装置35(3)の具体構成は、
前記チエンC1と平行に設けたチエンC2により植付伝
動軸42から中継軸47へ伝動し、該中継軸から植付駆
動軸35a及び植付伝動フレーム16cに回動自在な筒
軸48へ1組の不等速ギヤG1・G2(図15参照)に
よって伝動し、さらに該筒軸から苗植込杆取付軸44へ
正円ギヤG3・G4・G5によって伝動する。これによ
り、回転ケース35bの回転方向と逆方向に苗植込杆3
5cが回転することとなるが、苗植込杆35cが苗取り
位置Sにくる時に苗植込杆35cの自転の回転角度変化
が大きくなるようにすると、巴形の軌跡を描くようにな
る。 【0039】図13乃び図14に示す苗植込装置35
(4)は、回転ケース35bが前進時における車輪の回
転方向と同方向に回転するとともに、苗植込杆35c・
35cが回転ケース35bに対して大きく揺動し、苗植
込杆35c・35cの先端軌跡T4は図の形状を描くよ
うになっている。例えば、苗植込杆35c・35cは、
苗を把持している時(S−U間)には回転ケース35b
と反対方向に約270度回転し、苗を植付けた後(U−
S間)は回転ケース35bと同方向に約270度回転す
る。 【0040】このような先端軌跡T4にすると、苗植込
装置35(3)と同様に苗植込杆35c・35cによる
苗の移送時間と移送距離短くすることができ、且つ、
一つの回転ケース35bに2体の苗植込杆35c・35
cを互いに干渉させることなく装備することが可能とな
り、植付け能率を向上させることができる。 【0041】具体的には、苗植込装置35(3)の構成
において、不等速ギヤG1・G2の形状を図15のよう
にするとともに、チエンC2と不等速ギヤG1・G2チ
エンの間に逆転用の正円ギヤG6・G7を介装し、回転
ケース35bの回転方向と回転ケース35b内のギヤG
3の回転方向が同じになるようにすればよい。 【0042】 【発明の効果】本発明にかかる苗移植機は、苗ホルダー
が上下反転するとともに、苗植込杆が上下に360度回
転しながら、その回転により苗を上側に移動させた後、
下側へ移送させながら土壌内に突入して植付けるように
構成することにより、苗ホルダーから抜き取られた苗を
苗送りベルトの適正位置に整列状態で供給でき、しかも
植付部を機体の後側に設けることができるようになっ
た。また、苗が確実に植付ガイドで規制されるので、苗
の位置が安定し、良好な植付状態が得られるようになっ
た。
【図面の簡単な説明】 【図1】苗移植機の全体側面図である。 【図2】植付部の一部を示す側面図その1である。 【図3】植付部の一部を示す側面図その2である。 【図4】植付部の一部を示す背面図である。 【図5】苗箱の平面図である。 【図6】苗箱の(a)側面図、及び(b)正面図であ
る。 【図7】苗植込装置の第二例の側面図である。 【図8】苗植込装置の第二例の平面断面図である。 【図9】苗植込装置の第二例の植込杆先端の同軌跡を表
す図である。 【図10】苗植込装置の第三例の側面図である。 【図11】苗植込装置の第三例の平面断面図である。 【図12】苗植込装置の第三例の植込杆先端の同軌跡を
表す図である。 【図13】苗植込装置の第四例の側面図である。 【図14】苗植込装置の第四例の平面断面図である。 【図15】苗植込装置の第三例の不等速ギヤの形状を表
す図である。 【図16】苗植込装置の第四例の不等速ギヤの形状を表
す図である。 【図17】従来の苗移植機の植付部の一部を示す側面図
である。 【符号の説明】 C 苗箱 1 苗移植機 2 走行車体 3 リンク装置 4 植付部 30 苗箱搬送装置 31 第一苗取出装置 31a 苗押出しピン(第一苗取出手段) 32 第一苗搬送装置 32a 苗ホルダー 33 第二苗取出装置 33a 苗抜取り具(第二苗取出手段) 34 第二苗搬送装置 34a 苗送りベルト 35 苗植込装置 35a 植付駆動軸 35c 苗植込杆
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新山 裕之 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 井関 秀夫 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 加藤 哲 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 福島 寿美 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 鳥津 龍之 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (56)参考文献 実開 昭52−59615(JP,U) 特公 昭58−51722(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01C 11/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 苗箱のポットから苗を取り出す第一苗取
    出手段と、該第一苗取出手段により取り出された苗の床
    土部を断面凹状の苗ホールド部で保持して苗を下方へ搬
    送する苗ホルダーと、該苗ホルダーによって搬送された
    苗を苗ホルダーの苗ホールド部から取り出す第二苗取出
    手段と、該第二苗取出手段によって苗ホルダーの苗ホー
    ルド部から取り出された苗を載せて所定の苗取り位置へ
    搬送する苗搬送ベルトと、前記苗取り位置で苗を把持し
    それを圃場に植付ける苗植込杆とを備えた苗移植機にお
    いて、前記苗ホルダーは、前記第一苗取出手段により苗
    箱から取り出された苗を受け取る時には苗ホールド部の
    開口部が上側を向き、前記第二苗取出手段により苗が取
    り出される時には苗ホールド部の開口部が下側を向くよ
    うに移動中に上下反転するととともに、前記苗植込杆
    は、機体の進行方向と直交する軸回りに360度回転し
    ながら上下作動し、上方に変位する時に前記苗取り位置
    で苗を把持して、苗を上側へ移動させた後、下側へ移動
    させながら土壌内に突入して植え付けるように構成し、
    さらに、苗植込杆により苗の葉が苗植込杆の回転中心側
    に向いた姿勢で苗が移送されるように案内する植付ガイ
    ドを設けたことを特徴とする苗移植機。
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