JP3581305B2 - ポリプロピレン用水系付着促進剤を用いたポリプロピレン素材の塗装方法 - Google Patents

ポリプロピレン用水系付着促進剤を用いたポリプロピレン素材の塗装方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン系素材に対する塗料付着性改善のための水系付着促進剤を用いたポリプロピレン素材の塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン等のポリオレフィンは、比較的安価で成形性および耐薬品性等の物性に優れているため、自動車産業を含む産業界で広く用いられており、その使用量は、再利用が可能で価格も低いことから、増加傾向にある。ポリプロピレン素材は、たとえば、自動車外装部品として、バンパー、モール等の外装部品に用いられているが、耐候性を向上させると同時に意匠性を付与するために、その表面を塗装するのが通常である。
ポリプロピレン素材は濡れ性が悪いので、その塗装に当たっては、素材に対し、まず、水系洗浄剤による脱脂と、界面活性剤で濡れ性を高める前処理とを行った後、プライマーの塗布および焼付けを行っておき、その後、塗装を行うようにする。ここで、プライマーの塗布は、塗料の付着性を高めるため行われるが、使用したプライマー量の実に約70%が塗布中に吹き棄てられ有効に使用されないのが現状であり、塗布費用を高くする原因になっていた。しかも、プライマーの塗布後にこれの焼付けが必要であり、大きな焼付炉が必要で、設備費用が高く付くという問題もあった。
【0003】
このような事情から、プライマー塗装を行うことなく、ポリプロピレン素材の塗装を行う方法の開発が期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、プライマー塗装に代わってポリプロピレン素材への塗料付着性を高めるための水系付着促進剤を用いたポリプロピレン素材の塗装方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の検討、実験を重ねた結果、ポリプロピレン素材に対する付着性が高い変性塩素化ポリプロピレンと、耐水性の高いアミン中和水溶性樹脂と、濡れ性改善剤とを含む組成物であれば、ポリプロピレン素材に対する塗料の付着性を高めることができ、しかも、プライマー塗装を省略することができることも見出し、本発明に到達した
【0006】
すなわち、本発明のポリプロピレン素材の塗装方法は、ポリプロピレン素材を予め洗浄し、その後に、変性塩素化ポリプロピレンとアミン中和水溶性樹脂と濡れ性改善剤と水とを含むポリプロピレン用水系付着促進剤を、前記洗浄されたポリプロピレン素材に塗布し、乾燥させる前処理工程と、
前記前処理工程後に前処理されたポリプロピレン素材に塗装する塗装工程と、を含む、ポリプロピレン素材の塗装方法であって、
前記変性塩素化ポリプロピレンは、塩素化ポリプロピレン部分とこの塩素化ポリプロピレン部分に結合したマレイン酸無水物部分とを含み、塩素含有率15〜25重量%、マレイン酸無水物部分含有量1〜5重量%であり、かつ、その配合割合が変性塩素化ポリプロピレンおよびアミン中和水溶性樹脂の合計の25〜90重量%であり、
前記濡れ性改善剤は、エチレングリコールヘキシルエーテルであり、かつ、その配合割合が水系付着促進剤全体の2.5〜6.0重量%であり、
固形分量が水系付着促進剤全体の2〜6重量%である、
ことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるポリプロピレン用水系付着促進剤を構成する各成分を、以下に詳しく説明した後、ポリプロピレン用水系付着促進剤およびポリプロピレン素材の塗装方法を説明する。
変性塩素化ポリプロピレン
本発明で用いられるポリプロピレン用水系付着促進剤中の変性塩素化ポリプロピレンは、ポリプロピレン素材に対する付着性を高める成分である。変性塩素化ポリプロピレンは、塩素化ポリプロピレン部分と、この塩素化ポリプロピレン部分に結合したマレイン酸無水物部分とを含むポリプロピレン誘導体であり、通常、取扱性が高いエマルションにして用いられる。
【0009】
塩素化ポリプロピレン部分は、少なくとも1つの塩素原子で置換されたポリプロピレンからなる部分である。また、マレイン酸無水物部分は、マレイン酸無水物をグラフトして得られる部分であり、マレイン酸無水物に由来する環状の酸無水物基および/または遊離した2つのカルボキシル基を有している。
変性塩素化ポリプロピレンは、ポリプロピレンをマレイン酸無水物および塩素と反応させて内部変性したものであり、たとえば、ポリプロピレンに対して塩素およびマレイン酸無水物を反応させて製造される。ここで、塩素およびマレイン酸無水物はどちらを先に反応させてもよい。塩素との反応は、たとえば、ポリプロピレンを含む溶液に塩素ガスを導入することによって行われる。また、マレイン酸無水物との反応は、たとえば、過酸化物の存在下、ポリプロピレン(または塩素化ポリプロピレン)にマレイン酸無水物を反応させることによって行われる。
【0010】
変性塩素化ポリプロピレンの塩素含有率は、15〜25重量%であり、好ましくは18〜22重量%である。塩素含有率が15重量%未満であると、変性塩素化ポリプロピレンの融点が高まり、容易に結晶化し、乳化しにくくなって、得られる水系付着促進剤の貯蔵安定性が低下する。他方、塩素含有率が25重量%を超えると、変性塩素化ポリプロピレンが非結晶性になって付着性および耐水性が低下する。
変性塩素化ポリプロピレンのマレイン酸無水物部分含有量は、1〜5重量%であり、好ましくは3〜4.5重量%である。マレイン酸無水物部分含有量が1重量%未満であると、乳化しにくくなって、得られる水系付着促進剤の貯蔵安定性が低下する。他方、マレイン酸無水物部分含有量が、5重量%を超えると、酸無水物基が多くなりすぎて、付着性および耐水性が低下する。
【0011】
変性塩素化ポリプロピレンの重量平均分子量については、特に限定はないが、好ましくは20,000〜100,000、さらに好ましくは30,000〜80,000である。重量平均分子量が20,000未満であると、上塗塗装時の溶剤に膨潤し、付着性が低下するおそれがある。他方、重量平均分子量が100,000を超えると、得られる水系付着促進剤の粘度が高くなり、乳化しにくく、貯蔵安定性が低下するおそれがある。
アミン中和水溶性樹脂
本発明で用いられるポリプロピレン用水系付着促進剤中のアミン中和水溶性樹脂は、アミン中和することによって水溶性とした樹脂であり、耐水性の高い造膜成分である。なお、たとえば、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリドン等のアミン中和で得られたものでない水溶性樹脂の場合は、乾燥して造膜した後も残存して水溶性を保持するため、その耐水性は低い。それに対して、アミン中和水溶性樹脂は、乾燥時にアミン類が揮発し、水溶性でなくなるために耐水性が高くなる。
【0012】
アミン中和水溶性樹脂は、アミン中和された樹脂であれば、特に限定はなく、たとえば、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂等の樹脂をアミン類で中和したものを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上が使用される。
上記中和に用いるアミン類としては、たとえば、アンモニア、トリエチルアミン、モノエタノールアミン等を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上が使用される。
濡れ性改善剤
本発明で用いられるポリプロピレン用水系付着促進剤中の濡れ性改善剤は、水をよくはじく性質を有するポリプロピレン素材に対して水系付着促進剤の濡れ性を高める成分である。これを使用することによって前述の変性塩素化ポリプロピレンおよびアミン中和水溶性樹脂から得られる塗膜がポリプロピレン素材に良く付着するようになる。
【0013】
濡れ性改善剤としては、特に限定はないが、エチレングリコールヘキシルエーテル、ジメチルポリシロキサン・ポリエチレングリコールブロックポリマー(ポリフローKL−245)等を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上が使用される。これらのうちでも、エチレングリコールヘキシルエーテルは、濡れ性を改善するとともに、乾燥時に揮発して、得られる塗膜に残存しないので、耐水性を低下させることはない。それに対して、通常、濡れ性を高めるために用いられるアルキルフェニルポリエチレングリコール等では、乾燥時に揮発せず、そのまま塗膜に残存するので、耐水性が低下する。
その他の成分
本発明で用いられる水系付着促進剤は、適宜、アクリルエマルション、ウレタンエマルション、ポリ塩化ビニルエマルション等の樹脂エマルション;チタン白、カーボンブラック等の無機顔料;タルク、沈降性バリウム等の体質顔料;有機系の各種着色顔料等を配合したものでもよい。
ポリプロピレン用水系付着促進剤および塗装方法
本発明で用いられるポリプロピレン用水系付着促進剤は、上記で詳しく説明した、変性塩素化ポリプロピレンと、アミン中和水溶性樹脂と、濡れ性改善剤と、水とを必須成分として含み、必要に応じて、上記その他の成分を含むものであってもよい。これらの成分を配合する順序等については、特に限定はない。
【0014】
ポリプロピレン用水系付着促進剤に含まれる変性塩素化ポリプロピレンの配合割合は、変性塩素化ポリプロピレンおよびアミン中和水溶性樹脂の合計(固形分量合計)の25〜90重量%であり、好ましくは30〜50重量%である。変性塩素化ポリプロピレンの配合割合が25重量%未満であると、付着性および耐水性が低下する。他方、変性塩素化ポリプロピレンの配合割合が90重量%を超えると、造膜性とともに付着性および耐水性も低下する。
濡れ性改善剤の配合割合は、水系付着促進剤全体の2.5〜6.0重量%であり、好ましくは3.0〜4.0重量%である。濡れ性改善剤の配合割合が2.5重量%未満であると、ポリプロピレン素材が水系付着促進剤をはじき、均一に塗布できなくなる。他方、濡れ性改善剤の配合割合が6.0重量%を超えると、水系付着促進剤の貯蔵安定性が低下し、変性塩素化ポリプロピレンが凝集し、沈澱する。
【0015】
ポリプロピレン用水系付着促進剤の固形分量は、その加熱残分を意味し、水系付着促進剤全体の2〜重量%であり、好ましくは4〜6重量%である。固形分量が2重量%未満であると、水系付着促進剤から得られる塗膜の膜厚が薄くなりすぎ、付着性および耐水性が低下する。他方、固形分量が重量%を超えると、水系付着促進剤の塗布後に流れ跡が残り、得られた塗膜に凹凸が生じるため、外観が好ましくない。
本発明のポリプロピレン素材の塗装方法は、前処理工程と、上塗り塗料を塗装する塗装工程とを含む塗装方法である。
【0016】
前処理工程は、ポリプロピレン素材を洗浄した後、上記水系付着促進剤を塗布し、乾燥させる工程である。
洗浄されたポリプロピレン素材は、前処理工程において、たとえば、以下の(1)〜(3)の工程を経て準備される。
(1)ポリプロピレン素材を60〜80℃の温水でスプレー洗浄する工程。
(2)上記(1)の後、アルカリ性洗浄剤で脱脂を行う工程。
(3)上記(2)の後、脱イオン水でスプレー洗浄してアルカリ性洗浄剤を洗い流す工程。
【0017】
このようにして得られた洗浄されたポリプロピレン素材に、水系付着促進剤を塗布し、乾燥させることによって、ポリプロピレン素材の表面に水系付着促進剤の塗膜が形成されるようになる。上記塗布は、流し塗り法、スプレー法、浸漬法およびシャワー法のうちの少なくとも1つの方法で行うことができる。特定の部品の塗布方法は、経済性、製造性および品質を考慮して選択される。ある部品では、塗布後にポリプロピレン素材を垂直に保持し、その後に乾燥させることが好ましい。別の部品、極端には、塗布後に保管および/または吊った状態の素材では、ポリプロピレン素材を、乾燥時に垂直に対して好ましくは10°〜20°、さらに好ましくは10°〜15°の角度をもって保持されるのがよい。
【0018】
上記保持工程では、乾燥後の均一な塗装を促進させるための条件内の雰囲気を持続させることが好ましい。このような保持条件としては、たとえば、15℃〜30℃の温度および40%〜70%の相対湿度が好ましく、20℃〜25℃の温度および40%〜70%の相対湿度が最も好ましい。このような保持工程は、一般には塗膜中の溶剤を適当量揮発させるフラッシュ状態と呼ばれる。
前記フラッシュ状態後の乾燥方法についても特に限定はなく、熱風乾燥炉、遠赤外線炉、近赤外線炉等を用いて、通常、60℃〜120℃、分間〜15分間の条件で乾燥が行われる。このようにして得られる水系付着促進剤の乾燥膜厚は、0.1〜1μmが好ましい。
【0019】
塗装工程は、前記処理後の前記素材に上塗り塗料を塗装する工程であり、上塗り塗料を塗布、乾燥することによって行われる。
上塗り塗料の種類については特に限定はないが、たとえば、一液メラミン焼付塗料、二液ウレタン塗料、一液ラッカー塗料等が挙げられる。
上塗り塗料を塗布する方法については特に限定はないが、スプレー塗装が好ましい。上塗り塗料を塗布後に乾燥する方法についても特に限定はなく、熱風乾燥炉、遠赤外線炉、近赤外線炉等を用いて、通常、70〜120℃、20〜60分間の条件で乾燥が行われる。このようにして得られる上塗り塗料の乾燥膜厚については特に限定はないが、15〜60μmが好ましい。
【0020】
ポリプロピレン素材の塗装方法は、前処理工程で上記水系付着促進剤を用いることによって、プライマー塗装を省略することができるようになる。したがって、塗装工程での生産性が大幅に向上する。
【0021】
【実施例】
以下に本発明の具体的な実施例および比較例を示すが、本発明は下記実施例に限定されない。以下で、「部」は「重量部」を表す。
(実施例1)
変性塩素化ポリプロピレンエマルション(塩素含有率16重量%、マレイン酸無水物部分含有量1.5重量%、加熱後に残る固形分量30重量%)6部(6部中の固形分量1.8部)と、アミン中和水溶性樹脂としての水溶性ウレタン(三洋化成社製、ユーコートUWS−145、加熱後に残る固形分量35重量%)12部(12部中の固形分量4.2部)と、濡れ性改善剤としてのエチレングリコールヘキシルエーテル3部と、水79部とを、攪拌しながらこの順番に混合して、全量100部の水系付着促進剤(1)を調製した。なお、変性塩素化ポリプロピレン/アミン中和水溶性樹脂(固形分量比率)は30/70、エチレングリコールヘキシルエーテルの配合割合は水系付着促進剤(1)全体の3重量%、水系付着促進剤(1)の固形分量は、その加熱残分から求めて、6重量%であった。
【0022】
予め、60〜80℃の温水でポリプロピレン素材のスプレー洗浄を行った後、アルカリ性洗浄剤(サーフクリーナーPL−1000、日本ペイント社製)でスプレー洗浄脱脂を行い、次いで、室温の脱イオン水でスプレー洗浄してアルカリ性洗浄剤を洗い流して、洗浄されたポリプロピレン素材を用意した。このポリプロピレン素材を水系付着促進剤(1)に浸漬し、1分間室温で垂直に立てて放置した後、80℃で10分間乾燥した。次に、上塗り塗料としてのイソシアネート硬化型ポリエステル樹脂塗料(R−763、モートン・ニッポン・コーティングズ社製)でスプレー塗装し、80℃で40分間乾燥して塗装物(1)を得た。なお、乾燥膜厚は15〜25μmであった。
【0023】
水系付着促進剤(1)の物性評価は、以下の評価方法で行った。その結果を表1に示す。
〔評価方法〕
1.付着性
塗装物について、JIS K5400に準拠して碁盤目セロテープ剥離試験を行った。2mm角の100個の碁盤目を用意し、セロテープ剥離試験を行い、以下の評価基準で評価した。
○:剥離なし
×:剥離した碁盤目が1個以上
2.耐水性
塗装物を80℃の温水3時間浸漬した後、表面の水を拭き取った後、1時間放置してから上記付着性の評価を行った。評価基準は付着性と同じ。
【0024】
3.外観
7.5cm×10cmのポリプロピレン素材を用意し、これに水系付着促進剤で処理した後、垂直にし、80℃で30分間乾燥して、流れ跡の有無を目視で、以下の評価基準で評価した。
○:流れ跡なし
×:流れ跡あり
4.貯蔵安定性
室温下で1か月間貯蔵した水系付着促進剤にポリプロピレン素材を浸漬し、凝集物の有無を目視で、以下の評価基準で評価した。
【0025】
○:凝集物なし
×:凝集物あり
(実施例2〜および比較例1〜7)
実施例1で、変性塩素化ポリプロピレンエマルションの種類および配合量や、水溶性ウレタンおよびエチレングリコールヘキシルエーテルの配合量を、表1および2に示すものに変更する以外は、実施剤1と同様にして、それぞれ、水系付着促進剤(2)〜()および比較水系付着促進剤(1)〜(7)を調製し、物性評価を行った。変性塩素化ポリプロピレン/アミン中和水溶性樹脂(固形分量比率)、エチレングリコールヘキシルエーテルの配合割合および固形分量も、表1および2に示すとおりである。
【0026】
【表1】
Figure 0003581305
【0027】
【表2】
Figure 0003581305
【0028】
<評価結果>
実施例1〜では、いずれも、付着性、耐水性、外観、貯蔵安定性に優れており、従来のプライマー塗装工程を省くことができる。比較例1および2では、変性塩素化ポリプロピレンの配合割合が外れているため、付着性および耐水性が低下している。比較例3では、変性塩素化ポリプロピレンの塩素含有率が大きすぎるため、付着性および耐水性が低下している。比較例4では、マレイン酸部分含有量が大きすぎるため、付着性および耐水性が低下している。比較例5では、エチレングリコールヘキシルエーテルの配合割合が大きすぎるため、貯蔵安定性が低下している。比較例6では、固形分量が少なすぎるため、水系付着促進剤から得られる塗膜が薄くなって付着性および耐水性が低下している。比較例7では、固形分量が多すぎるため、水系付着促進剤から得られる塗膜が厚くなって外観がよくない。
【0029】
【発明の効果】
本発明のポリプロピレン素材の塗装方法は、前処理工程で上記水系付着促進剤を用いるため、塗料の付着性、塗膜の耐水性および外観が優れるようになるとともに、プライマー塗装を省略することができて、塗装工程の生産性を大幅に向上させることができる。さらに、この塗装方法では、ポリプロピレン素材に付着しなかった前記水系付着促進剤が、工程を通じて再生され、再利用されるため、経済的に有利である。

Claims (10)

  1. ポリプロピレン素材を予め洗浄し、その後に、変性塩素化ポリプロピレンとアミン中和水溶性樹脂と濡れ性改善剤と水とを含むポリプロピレン用水系付着促進剤を、前記洗浄されたポリプロピレン素材に塗布し、乾燥させる前処理工程と、
    前記前処理工程後に前処理されたポリプロピレン素材に塗装する塗装工程と、を含む、ポリプロピレン素材の塗装方法であって、
    前記変性塩素化ポリプロピレンは、塩素化ポリプロピレン部分とこの塩素化ポリプロピレン部分に結合したマレイン酸無水物部分とを含み、塩素含有率15〜25重量%、マレイン酸無水物部分含有量1〜5重量%であり、かつ、その配合割合が変性塩素化ポリプロピレンおよびアミン中和水溶性樹脂の合計の25〜90重量%であり、
    前記濡れ性改善剤は、エチレングリコールヘキシルエーテルであり、かつ、その配合割合が水系付着促進剤全体の2.5〜6.0重量%であり、
    固形分量が水系付着促進剤全体の2〜6重量%である、
    ことを特徴とするポリプロピレン素材の塗装方法。
  2. 前記ポリプロピレン用水系付着促進剤の塗布を、流し塗り法、スプレー法、浸漬法およびシャワー法のうちの少なくとも1つの方法で行う、請求項に記載のポリプロピレン素材の塗装方法。
  3. 前記前処理されたポリプロピレン素材を前記乾燥前に保持する保持工程をさらに含む、請求項1または2に記載のポリプロピレン素材の塗装方法。
  4. 前記保持工程を15℃〜30℃の温度および40%〜70%の相対湿度の雰囲気下で行う、請求項に記載のポリプロピレン素材の塗装方法。
  5. 前記保持工程を20℃〜25℃の温度および40%〜70%の相対湿度の雰囲気下で行う、請求項に記載のポリプロピレン素材の塗装方法。
  6. 前記前処理されたポリプロピレン素材が垂直に保持される、請求項からまでのいずれかに記載のポリプロピレン素材の塗装方法。
  7. 前記前処理されたポリプロピレン素材が垂直に対して10°〜20°の角度をもって保持される、請求項からまでのいずれかに記載のポリプロピレン素材の塗装方法。
  8. 前記ポリプロピレン素材に塗布時に付着しなかった前記水系付着促進剤が再生され、再利用される、請求項1からまでのいずれかに記載のポリプロピレン素材の塗装方法。
  9. 前記乾燥を60℃〜120℃の温度で行う、請求項1からまでのいずれかに記載のポリプロピレン素材の塗装方法。
  10. 前記乾燥を5分間〜15分間の時間で行う、請求項1からまでのいずれかに記載のポリプロピレン素材の塗装方法。
JP2000267653A 1999-02-10 2000-09-04 ポリプロピレン用水系付着促進剤を用いたポリプロピレン素材の塗装方法 Expired - Fee Related JP3581305B2 (ja)

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