JP3580919B2 - 感圧接着性記録シート - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、インクジェット記録が可能で、かつ記録された記録の定着性が良好な感圧接着性記録シートに関するものである。ここで感圧接着性記録シートとは、通常状態では粘着性、接着性ともに示さず加圧時に接着性を示し、加圧接着後に剥離可能な感圧接着層を有する記録シートのことである。
【0002】
【従来の技術】
近年、感圧接着性記録シートを用いた2つ折りはがきや3つ折りはがきの用途が拡大している。これらの感圧接着性記録シートは、支持体に通常状態では粘着性、接着性ともに示さず加圧時に接着性を示す感圧接着剤を塗布して感圧接着層を形成させ、シートを折り畳むことにより感圧接着層同士を対面させた状態で圧力により接着させるものであり、加圧時の接着は接着後に剥離可能にもできるし、剥離不能なまでに接着することも可能である。はがきの親展通信内容(暗証番号、会員番号、請求金額、預金残高など)は剥離可能な感圧接着面に印字し、圧力により貼合せた後、受取人が剥離することにより内容を確認できる。
【0003】
このような感圧接着性記録シートは、感圧接着層の上に印字して別の感圧接着層と加圧により貼合せ、かつ再度それぞれを剥離して内容を確認するため、印字した内容が対面の感圧接着層に転写するという、いわゆる裏写り、インク写りの問題があった。このような裏写りの現象を避けるために、印字した後にインク(またはトナー)を熱で定着する印字方式(電子写真、レーザープリンターなど)が採用されている。
【0004】
しかしながら、このような熱定着の方式は印字面(感圧接着面)および紙自体に過度の熱を与え、その水分を奪うため、感圧接着層が乾燥し圧着性が低下するという問題や、やはり過度の加熱により感圧接着層を構成する接着成分の一部が熱分解し、異臭を発生して作業環境を悪化させるという問題があった。
【0005】
一方、インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。さらに、多色インクジェット記録方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0006】
このように、非常に手軽でありながら、高度な記録ができるインクジェット記録方式は圧着葉書に使用するのに以下の点で有効である。
【0007】
▲1▼ 一般に圧着葉書の圧着面への印字はレーザープリンターや電子写真方式など加熱定着型の記録が用いられるが、この加熱定着工程で圧着面を構成する感圧接着剤が劣化し、圧着性が低下するという問題がある。裏面にも加熱定着方式の記録方法で印字した場合、加熱定着工程を2度通ることになり、圧着面の劣化はより激しくなる。
【0008】
▲2▼ このため、印字は非加熱定着方式の方が好ましく、その点からインクジェット記録方式は適している。しかし、一般に用いられる圧着葉書では、インクジェット記録用インクが非加熱定着方式であるため、圧着時に記録の上に重ね合わされる面に記録部の定着不足のインクが転写してしまい、剥離時、記録が大変読みとり難くなってしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、感圧接着性記録シートに印字・圧着・剥離を行った際、印字した内容が反対面の感圧接着層に転写するという問題をインクジェット記録された記録の定着性を向上させることにより発生させない感圧接着性記録シートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した問題点を解決するため鋭意研究の結果、以下の様な感圧接着性記録シートを見い出した。
【0011】
すなわち、通常状態では粘着性、接着性ともに示さず加圧時に接着性を示す感圧接着層を支持体の少なくとも片面に有し、加圧時の接着が接着後に剥離可能である感圧接着性記録シートにおいて、該感圧接着層がカチオン性コロイド粒子を該感圧接着層内の粘着剤成分に対し25〜500重量%含有することを特徴とする感圧接着性記録シートの発明である。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明に適用されるカチオン性コロイド粒子は、水中に懸濁分散してコロイド状をなしているものであり、動的光散乱法により測定されるコロイド状態における平均粒子径が300nm以下であり、該粒子表面が正に帯電した粒子を指し、例えば、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナゾルやコロイダルアルミナ、或いは特公昭47ー26959号公報に開示されているようにコロイド状シリカ粒子表面をアルミナコーティングした粒子等が挙げられる。平均粒子径が300nmを超えると、該コロイド粒子の表面積が減少するために、インクの定着性が低下し、感圧接着層の塗工量を増やす必要が生じる。
【0014】
また、粒子表面の電荷がカチオンであることにより、電気的な相互作用によってインク中の染料成分を感圧接着層に定着させることが可能となる。さらに、コロイド粒子自体には溶媒成分を吸収するだけの容量がないことから、溶媒成分は感圧接着層を透過して、支持体に浸透することになる。支持体においては、溶媒成分の面方向への拡散や深さ方向への浸透が生じても染料成分が含まれていないために色彩性や鮮鋭性に影響が無く、従って、インクの吸収と定着を同時に機能させるために必要な空隙量は不要となる。しかしながら、インク受理層における溶媒成分の浸透が遅くなると、感圧接着層においてインクが滞留してインクの拡散が生じることになるから溶媒成分の浸透は速くなければならない。
【0015】
本発明におけるカチオン性コロイド粒子の感圧接着層への含有量は感圧接着層内の粘着剤成分に対して25〜500重量%が好ましい。カチオン性コロイド粒子の含有量が25重量%より少ないとインクジェット記録用インクの重ね合わされた反対面への転写の割合が増加してしまうし、500重量%より多くともインクジェット記録用インクの転写を防ぐ効果に変化が無いばかりか感圧接着層の接着力を著しく低下させてしまう。
【0016】
また、本発明における感圧接着性記録シートの感圧接着層には、カチオン性コロイド粒子と共に公知の顔料を1種類以上用いることができる。カチオン性コロイド粒子と顔料を併用することにより、インクジェット記録用インクの溶媒成分も感圧接着層中に浸透されることになる。顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂、小麦澱粉などの有機顔料などが挙げられる。
【0017】
上記の中でも、インクジェット記録用インクの吸収性を向上させるために感圧接着層中に含有する顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナなどが挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。さらに好ましくは吸油度が20ml/100g以上の顔料である。また、接着性を制御する目的の顔料としては、シリカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、澱粉粒子などが挙げられ、特に平均粒子径の大きい小麦澱粉が接着性制御の効果が大きく好ましい。
【0018】
本発明の支持体には原紙、合成樹脂フィルムなどを用いることが可能であるが、原紙が経済的にも特性的にも適して用いられる。
【0019】
本発明に用いられる原紙は、木材パルプと顔料を主成分として構成される。木材パルプとしては、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプなどのパルプを含み、必要に応じて従来公知の顔料やバインダーおよびサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤ抄紙機などの各種装置で支持体の製造が可能であり、酸性、中性、アルカリ性で抄造できる。
【0020】
原紙は、金属ロールと合成樹脂ロールからなるカレンダー装置を用いてオンマシン処理しても良い。その際、オフマシン処理しても良く、処理後に、さらにマシンカレンダー、スーパーカレンダーなどでカレンダー処理を施して平坦性をコントロールしても良い。
【0021】
本発明でいうインクジェット記録用インクは、下記の着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。
【0022】
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素などの水溶性染料が挙げられる。
【0023】
インクの溶媒としては、水および水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、 sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6 −ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
【0024】
これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコールなどの多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。その他の添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、および防錆剤などが挙げられる。
【0025】
本発明に用いられる感圧接着層を構成する感圧接着剤は、通常状態では粘着性も接着性も示さないが、強い圧力により接着可能となるものであり、ラベルや粘着テープに用いている通常粘着性のある感圧接着剤とは異なるものである。本発明でいう感圧接着剤、感圧接着層とは、前者の通常状態では粘着性も接着性も示さないが、強い圧力により接着可能となるものに限定する。感圧接着層同士を重ね合わせて圧力を加えることで接着することが可能で、感圧接着層の接着性の制御、あるいは加える圧力の加減により、接着後に剥離可能に接着させることも、接着後に剥離不能なまでに強接着させることも可能である。一般の3つ折り葉書において、印字内容を確認するために剥離可能に接着する面と、印字内容を設けず剥離不能に強接着する面は、このような感圧接着性の違いを利用したものである。
【0026】
本発明の感圧接着層に用いられる感圧接着剤としては、天然ゴム、変性天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル酸エステル樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂などが溶液あるいはエマルジョンの形で用いられる。
【0027】
また、本発明の感圧接着層には、粘着付与剤としてロジン系樹脂およびその誘導体、テルペン系樹脂、クマロインデン系樹脂、キシレン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、石油樹脂などを接着性、耐ブロッキング性、耐熱性を損なわない範囲で併用できる。さらに、剥離性を制御する目的で離型剤を併用することも可能で、例えば、各種パラフィン、ワックス、脂肪酸またはその誘導体、高級アルコール類、金属石鹸類、シリコーン樹脂類などを接着性を損なわない範囲で用いることができる。
【0028】
本発明の感圧接着層には、さらに、その他の添加剤として、分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、帯電防止剤、老化防止剤、などを適宜配合することもできる。
【0029】
本発明の感圧接着性記録シートは、折り目にあたる部分に切れ込み部分や圧縮線を入れ、折り畳みやすくすることは何等差し支えない。また、得られた感圧接着性記録シートは、1枚の記録シートを折り畳んで一体化することも、2枚の記録シートを重ね合わせて一体化することも可能である。
【0030】
裏面にも感圧接着層(表面の感圧接着層と区別する場合には、表面の感圧接着剤により得られる接着性よりも強いということで感圧強接着層と呼ぶ)を設けた両面感圧接着性記録シートにおいては、同様に1枚の記録シートを2つに、あるいは3つに折り畳んで一体化することも、2枚以上の記録シートを重ね合わせて一体化することも可能である。感圧接着性記録シートを圧着するには重ね合った感圧接着剤が接着する程度の圧力で圧着を行うことができる。
【0031】
本発明の剥離性の感圧接着性記録シートは、本発明の感圧接着性記録シートを感圧接着層同士が重なるように2層に重ね合わせ圧着して得られるものである。両面に感圧接着層を設けた両面感圧接着性記録シートを用いれば3つ折り葉書のように、感圧接着性記録シートを3重に重ね合わせて一体化することも可能である。
【0032】
感圧接着性記録シートを用いた剥離性葉書を作製する場合も、2枚の感圧接着性記録シートを重ね合わせて圧着するか、1枚の再剥離可能な感圧接着性記録シートを”く”の字状に折り曲げてから圧着させる印字部分全面を隠ぺいする方法(2つ折りはがき)、あるいは”L”字状に折り曲げて印字情報の一部のみを隠ぺいする方法、1枚の両面感圧接着性記録シートを”Z”字状に折り曲げて圧着する方法(3つ折りはがき)などいずれの方法を用いても差し支えない。
【0033】
本発明の感圧接着性記録シートを用いた圧着体は、内部の印字情報の非公開性が完全であり、感圧接着剤の剥離可能な接着性を利用して2面の感圧接着性記録シートを剥離して内部の記録を読む事が出来、且つ一旦剥離した感圧接着性記録シートは再接着しないため、情報の秘守性が高いものである。
【0034】
感圧接着層の塗工量はその接着方法により異なるが、良好な接着性およびインクジェット記録性を確保する目的から、5〜40g/m2の範囲内であることが好ましい。接着層の塗工量がこの範囲より小さいと、接着性が不足するために貼合せが弱い。この範囲より大きくとも、紙の走行に支障を来すばかりか経済的にコストアップの要因となる。
【0035】
本発明の感圧接着層を塗工する方法としては、例えば、グラビアコーター、グラビアオフセットコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、Uコンマコーター、AKKUコーター、スムージングコーター、マイクログラビアコーター、リバースロールコーター、4本あるいは5本ロールコーター、ブレードコーター、ディップコーター、落下カーテンコーター、スライドコーター、ダイコーター、溶融押しだしダイなど如何なる塗工方法を用いてもよい。
【0036】
【作用】
本発明の感圧接着性記録シートは、カチオン性コロイド粒子を該感圧接着層内の粘着剤成分に対し25〜500重量%含有しているため、インクジェット記録用インクのシートへの定着が良好であり、圧着後に剥離してもインクジェット記録用インクが反対面に転写することがほとんどない。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は、実施例に限られるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り乾燥重量部および乾燥重量%を示す。
【0038】
上記配合(粘着剤成分に対しカチオン性コロイド粒子が350重量%加えられている)により感圧接着剤を調整後、支持体として坪量94g/m2の上質紙の片面に乾燥塗工量10g/m2でエアナイフコーターにより塗工し、乾燥して目的とする感圧接着性記録シートを得た。
【0039】
上記配合(粘着剤成分に対しカチオン性コロイド粒子が250重量%加えられている)により感圧接着剤を調整後、支持体として坪量94g/m2の上質紙の片面に乾燥塗工量10g/m2でエアナイフコーターにより塗工し、乾燥して目的とする感圧接着性記録シートを得た。
【0040】
実施例3
実施例1において、カチオン性コロイド粒子としてのカチオン性コロイダルシリカを500部にした以外は、実施例1と同様にして目的とする感圧接着性記録シートを得た。
【0041】
上記配合(粘着剤成分に対しカチオン性コロイド粒子が25重量%加えられている)により感圧接着剤を調整後、支持体として坪量94g/m2の上質紙の片面に乾燥塗工量10g/m2でエアナイフコーターにより塗工し、乾燥して目的とする感圧接着性記録シートを得た。
【0042】
実施例5
実施例4において、感圧接着剤の乾燥塗工量を5g/m2にした以外は実施例4と同様にして目的とする感圧接着性記録シートを得た。
【0043】
実施例6
実施例4において、感圧接着剤の乾燥塗工量を40g/m2にした以外は実施例4と同様にして目的とする感圧接着性記録シートを得た。
【0044】
上記配合(粘着剤成分に対しカチオン性コロイド粒子が50重量%加えられている)により感圧接着剤を調整後、実施例1と同様にして目的とする感圧接着性記録シートを得た。
【0045】
実施例8
実施例1で得た感圧接着性記録シートの非塗工面に実施例1で得た感圧接着剤を乾燥塗工量15g/m2でエアナイフコーターにより塗工し、乾燥して目的とする両面とも感圧接着性を有する感圧接着性記録シートを得た。なお、乾燥塗工量15g/m2の面が感圧強接着面である。
【0046】
比較例1
カチオン性コロイド粒子としてのカチオン性コロイダルシリカを550部にした以外は、実施例1と同様にして目的とする感圧接着性記録シートを得た。
【0047】
比較例2
カチオン性コロイド粒子としてのカチオン性コロイダルシリカを20部にした以外は、実施例4と同様にして目的とする感圧接着性記録シートを得た。
【0048】
比較例3
カチオン性コロイダルシリカを非カチオン性コロイダルシリカ(日産化学工業社製、スノーテックスYL)に変更した以外は実施例1と同様にして目的とする感圧接着性記録シートを得た。
【0049】
比較例4
カチオン性コロイダルシリカを合成非晶質シリカ(徳山曹達社製、ファインシルX37B)に変更した以外は実施例1と同様にして目的とする感圧接着性記録シートを得た。
【0050】
上記により作製した実施例1〜8および比較例1〜4の感圧接着性記録シートについて、次に記載した評価方法によって評価し、その結果を表1に示した。
【0051】
〈転写性〉カラーインクジェットプリンター(商品名:MJ−700V2C、エプソン社製)で印字を行い、ブラックインクで■を複数個印字した後、サンプルをZ字状に折り畳み、葉書大(10cm×15cm)にした後、クリアランス可変の圧着ローラー(日本エー・ディ・エム社製、SP401)を通過させて圧着一体化させる。その後、貼合せ部を静かに剥がし、■の反対面への転写の具合を目視で判定した。なお、評価基準として、Aは特性が良好、Bは実用上問題ない範囲で良好、Cは実用上問題あり、Dは特性が不良を示す。実施例8の両面感圧接着性記録シートでは感圧強接着面ではなく感圧接着面について評価した。
【0052】
〈インク受理性〉
カラーインクジェットプリンター(商品名:MJ−700V2C、エプソン社製)にてインクジェット記録を行ない、印字の鮮明さを目視で判断した。鮮明な画像、印字が得られるものをA、やや鮮明さに欠けるが画像や印字の解読に支障のないものをB、画像がぼやけて不鮮明なものをCで判定した。
【0053】
〈接着力〉
作製直後の感圧接着性記録シートをZ字状に折り畳み、葉書大(10cm×15cm)にした後、クリアランス可変の圧着ローラー(日本エー・ディ・エム社製、SP401)を通過させて圧着一体化させる。圧着後、25mmの幅で短冊状に切り取り、テンシロン万能引っ張り試験機で180゜剥離強度を測定した。接着力は50gf/25mm未満では不十分である。
【0054】
【表1】
【0055】
表1の結果から明らかなように、カチオン性コロイド粒子を含有することにより、感圧接着層へのインクジェット記録用インクの定着性が向上し、圧着・剥離後のインクの重ね合わされた反対面への転写は著しく減少する。しかし、カチオン性コロイド粒子も感圧接着層への含有量が粘着剤成分に対し25重量%より少なくなると、インク転写の抑制効果が低下することが比較例2より判る。また、500重量%よりカチオン性コロイド粒子が多くなると著しく接着力を低下させることが比較例1の結果より分かる。
【0056】
【発明の効果】
本発明の感圧接着性記録シートは、インクジェット記録においてのインクジェット記録用インクの定着性が良好なため、インクジェット記録を行った後に圧着・剥離を行ってもインクが重ね合わされた反対面へ転写することなく、内容を容易に判読することができる。
Claims (1)
- 通常状態では粘着性、接着性ともに示さず加圧時に接着性を示す感圧接着層を支持体の少なくとも片面に有し、加圧時の接着が接着後に剥離可能である感圧接着性記録シートにおいて、該感圧接着層がカチオン性コロイド粒子を該感圧接着層内の粘着剤成分に対し25〜500重量%含有することを特徴とする感圧接着性記録シート。
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