JP3580674B2 - 媒体処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は銀行等の金融機関で使用される媒体を取扱う媒体処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
媒体を取扱う媒体処理装置で、特に金融機関で使用される通帳伝票プリンタ等では挿入された媒体(通帳として説明する)を装置内に取り込み、磁気記録情報を読取りして、顧客口座を特定し種々の処理を行う。即ち、通帳には磁気情報部(磁気ストライプ、以後MSとする)が設けられており、このMSに記録された顧客の口座番号等の記録情報の読取りを磁気ストライプリーダライタ(以後、磁気R/W部とする)により行なって、その読取情報を上位装置に送信する。
また、媒体搬送手段により通帳を磁気R/W部に搬送したり、印字処理部まで搬送して所定の取引データを印字処理している。
【0003】
このような装置の搬送系について図16を用いて説明すると、1は通帳であり、2はフィードローラで、3はプレッシャローラである。このフィードローラ2とプレッシャローラ3で通帳1を挟持し、図示しない駆動手段によりフィードローラ2を回転させることにより印字処理部方向等に向かって搬送される。
図はフィードローラ2とプレッシャローラ3で通帳1を挟持した状態を示すもので、フィードローラ2はフィードローラシャフト2aに固着されており、フィードローラシャフト2aの一端には駆動源である図示しないモータが結合している。
【0004】
プレッシャローラ3はプレッシャローラアーム9にシャフト3aにより回転可能に支持されている。10はプレッシャシャフトでプレッシャローラアーム9を貫通してシャフト3aと平行な位置で図示しないフレームに回動可能に支持されている。更にプレシャローラアーム9はピン11と長穴9aとの係合で回転量が規制されている。12はスプリングで、その両端はそれぞれプレッシャローラアーム9とプレッシャシャフト10とに掛止され、動作時に圧接力を発生するものである。なお、プレッシャシャフト10の一端には図示しないアームが固着されており、このアームをフレームに取り付けたソレノイドにより吸引することでプレッシャシャフト10を回転させて前述の圧接力を発生させるものである。
【0005】
また、磁気情報の読取りについては、MSを図示しない磁気ヘッドが走査することにより行われる。この走査を行う際には通帳1と磁気ヘッドが所定の位置関係になるように通帳1を搬送すると共に、磁気ヘッドも待機位置から読取開始位置まで移動させ、MSに圧接した状態で磁気ヘッドを移動させることにより磁気情報の読取りや書込みが行なわれる。
【0006】
ここで、媒体処理装置に使用される通帳1について図17も併用して説明する。図においては外形サイズの異なる通帳1a,1bの2種類を重ねて記載してあり、図に示すように基準面(図17では左下)を揃えて考えると、通帳1a(横寸法Wa,縦寸法Ha)と通帳1b(横寸法Wb,縦寸法Hb)は右側及び上部に寸法の差異に相当するずれが生じることになる。
更に、各通帳1a,1bに設けられた磁気ストライプ(MSa,MSb)位置寸法(L1 ,L2,L3 )は同一であっても長さ(Ma,Mb )が異なっている。 また、通帳の特有の形状(2つ折り)から縦方向の中央にはセンターホールド(綴じ部)1a′,1b′が存在する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上の搬送系においては、図16(a)に示すようにフィードローラ2にプレッシャローラ3が圧接した状態に通帳1のセンタホールド1a′が突入すると、センタホールド1a′を境にした上下(図16では左右)に厚さの差があるため、段差となりプレッシャローラ3に衝突することになる。
この衝突に対してプレッシャローラ3を支持しているプレッシャローラアーム9は矢印A方向には回避し易いため、衝突により通帳1の搬送誤差が生じることは少ない。
【0008】
しかしながら、図16(b)に示すようにフィードローラ2にプレッシャローラ3が圧接した状態に通帳1のセンタホールド1a′が突入すると、矢印A方向とは逆の回転モーメントが生じて回避し難いことになり、衝突により通帳1の搬送誤差が生じる。このような事象に対しては、プレッシャローラ3の圧接力を高くすることやプレッシャシャフト10とプレッシャローラ3の位置関係を図16(a)に記載した方向に統一することなどが考えられるが、前者は使用が許容される媒体として感圧複写媒体が存在すると、圧接力による発色が発生したり、更に紙厚が薄いと皺がでることがある。後者は搬送される通帳1が一方向のみ搬送であれば問題とならないが、両方向(往復)に搬送される媒体処理装置では実現不可能となっていた。
そこで、センタホールド1a′を意識したプレッシャローラ3の圧接/解除の制御を行なってこれらの問題を解決しているが、センタホールド1a′の位置が可変になると上記、衝突により通帳1に搬送誤差が生じることを防止できなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の媒体処理装置において、媒体識別が可能な磁気情報が記録された磁気情報記録部を有する媒体を受け入れて搬送する媒体搬送路と、該媒体搬送路より突出し回転可能に軸支される駆動ローラと、該駆動ローラと圧接可能に軸支される押圧ローラと、該媒体搬送路の一部に設けられ、前記磁気情報記録部に記録されている磁気情報の読取り及び書込みが可能な磁気情報処理部と、前記媒体識別情報に対応した少なくとも1種類以上の媒体サイズ情報と媒体種別毎に最適な制御プログラムを格納した記憶部とを設け、前記媒体搬送路に受け入れた媒体に対して媒体識別情報の読取りを行い、該読取情報により前記記憶部内の媒体サイズ情報と比較して媒体のセンタホールドの位置を特定して前記駆動ローラを回転することにより前記ガイド部材に沿って媒体搬送を可能にすると共に前記押圧ローラの圧接を開放させるようにした。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図2は本発明の媒体処理装置の全体構成図で、図3は媒体処理装置の制御ブロックである。なお、従来と共通な部分には同一の符号を付す。
図において、21は媒体処理装置であり本実施の形態では通帳伝票プリンタとして説明する。22は通帳伝票プリンタ21を制御するための制御装置であり、キーボード23及び表示装置24も制御するもので、図示せぬインターフェース部を介してセンタコンピュータ25と接続している。26はセンタコンピュータ25に接続され、顧客口座情報や預貯金残高金額情報などを記憶している記憶装置である。
【0014】
記憶部22aには通帳伝票プリンタ21を制御するためのプログラムを格納したフロッピーディスクやROM(Read Only Memory)及び取引内容を一時的に記録するRAM(Random Access Memory)などで形成されている。この記憶部22aには複数種の媒体処理を行なうのに適正なプログラムが各々識別されて格納されている。
なお、記憶媒体はCD−ROMなどであっても良いことは言うまでもない。
【0015】
27は通帳1を挿入する通帳挿入排出口であり、2は搬送用のフィードローラ、3は該フィードローラ2と対向して設けられ通帳1を挟時し圧接可能な構造となっているプレッシャローラであり、これらのフィードローラ2とプレッシャローラ3により媒体搬送が行われるもので、図16で説明した構成とほぼ同様である。 4はプラテン、5はプラテン4に対向して配置した印字ヘッドである。8は磁気ヘッドであり、通帳1に設けられている磁気ストライプ(以後、MSとする)よりの情報読取りや更新を行うもので磁気情報の読取/書込兼用タイプのものである。
【0016】
6は通帳1のページマーク(図17に示す符号P)や印字済み行を検出する頁・行検出部、7は通帳1の頁を捲る改頁ローラである。28は通帳1等の処理媒体の裏面の位置を規制するロアガイドで、29が表面の位置を規制するアッパガイドであり、これらのロアガイド28又はアッパガイド29のいずれかの一部からフィードローラ2の外周面の一部が突出している。
【0017】
30は伝票挿入排出口であり、通帳1とともに並行して処理される伝票(図示しない)を挿入するためのもので、処理された伝票の排出口ともなっている。
31はブレードであり、通帳挿入排出口27から挿入される通帳1の搬送路と前記伝票挿入排出口30より形成される伝票の搬送路との合流箇所に設けて、処理媒体の搬送方向を切り替えるためのものである。
【0018】
32はフィードローラ2とプレッシャローラ3を回転させるためのステッピングモータ(以後、LFモ−タとする)で、33は磁気ヘッド8を移動させるためのステッピングモータ(以後、MSモータとする)である。またPD1〜PD3は光学検知器であり、例えばロアガイド28側に発光素子を設けアッパガイド29側に受光素子を配置し、搬送路に対して光軸が直交するよう設ける。この光軸を媒体が遮断することにより、受光素子の出力が変化して媒体を検出するものである。
なお、図2ではPD1,PD3のみを記載したが、後述(図5参照)するように光学検知器PD2を有するものである。
【0019】
34は光学検知器PD1,PD2,PD3のアンプ回路であり、35は印字ヘッド5やLFモータ32、MSモータ33等のドライバ回路であり制御回路36により全体の動作が制御される。
更に制御回路36には光学検出器PD1〜PD3の検出タイミングやLFモータ32、MSモータ33の回転ステップ数などのカウンタ(回路)36aを備えている。
【0020】
なお、印字ヘッド5やブレード31等の駆動源として別のモータやソレノイド等が必要であるが省略した。
【0021】
図4はフィードローラ2(2b〜2f)とプレッシャローラ3(3a〜3f)及びプラテン4、印字ヘッド5等で構成される媒体搬送路の概念を示す説明図であり、プレッシャシャフト10の位置をも指し示すものである。図5は図4を上方から見た平面図であり、ロアガイド28とフィードローラ2b〜2f又はプレッシャローラ3b〜3fで構成される前記媒体搬送路であり、光学検出器PD1〜PD3が図示の配置に設けられている。
【0022】
PD1は突当面28aに突き当てて矢印B方向から挿入される通帳1を検出する挿入検知用であり、挿入される通帳1の先端により光軸が遮断されると受光素子の電流が変化するので、この変化を監視することにより媒体有無を検出するものである。
【0023】
PD2はPD1よりやや内部、即ちプラテン4側に配置され、挿入される媒体長を測定するための基準位置用であり、通帳伝票プリンタ21で使用が許容されている媒体横幅に対してはすべて検出可能な位置に配置されている。
【0024】
PD3はPD2から所定量だけ離れてプラテン4近傍に設けられ、この光学検出器PD3を通帳1の先端が通過してから所定量(K)だけ搬送することにより印字位置が決められる。
なお、吸入方向の媒体搬送をLF(Line Feed)とし、排出方向の媒体搬送をBLF(Back Line Feed) として説明する。
【0025】
6は頁・行検出部であり、開かれた状態で搬送される通帳1の中紙側に設けられたページマークPや印字済み行を光学的に読み取るものであり、7は改頁ローラで通帳1に印字すべき頁が無くなったときに頁を捲るためのものであり、改頁ローラ7を含めた図示しない機構部を制御して改頁される。
8は磁気ヘッドであり、磁気R/W部14に設けられ通帳1のMSから磁気情報を読み取ったり書き込んだりするものである。
【0026】
プレッシャローラ3(3b〜3f)はプレッシャローラアーム9にシャフト3aにより回転可能に支持されている。10はプレッシャシャフトでプレッシャローラアーム9を貫通してシャフト3aと平行に位置している。更にプレシャローラアーム9はピン11と長穴9aとの係合で回転量が規制され、スプリング12によりプレッシャローラ3の動作時に圧接力となるものであり、構成,作用は従来と同様である。
【0027】
図6は磁気R/W部の構成を示す要部斜視図である。
図において、40はヘッドキャリア、41はスライドシャフトで図示しないフレームに固定されている。そして、ヘッドキャリア40はスライドシャフト41上を直線往復運動が可能となるように軸支される。ガイドシャフト42は前記スライドシャフト41と平行になるようにフレームに固定されている。そして、このガイドシャフト42によりヘッドキャリア40のスライドシャフト41を中心とした回転運動を抑えている。
【0028】
前記MSモータ33はヘッドキャリア40を駆動するためのもので、図示しないフレームに固定されている。43はMSモータ33に取り付けられたタイミングベルト用のプーリで、図示しないプーリとの間にタイミングベルト44を張設している。45はヘッドキャリア40の一部にタイミングベルト44を固定するためのベルトクランプで、タイミングベルト44の回転によりヘッドキャリア40はスライドシャフト41に沿って移動する。
【0029】
8が図示しない媒体、例えば通帳1に設けられた磁気ストライプ(MS)に対する磁気記録情報の読み取り及び書き込みを行う磁気ヘッドである。この磁気ヘッド8はヘッドキャリア40に回動可能に軸支された磁気ヘッド8の両側面まで延在したアーム46の先端のポスト46aにより軸支されている。よって、磁気ヘッド8は両側面のポスト46aを中心に回転可能になり、MSと均一に面接触できるようになっている。
【0030】
47はヘッドキャリア40の一部に設けられたガイドローラであり、図示しないスタッドを介して回転可能に軸支されている。48は磁気ヘッド8の上下方向の移動量を規制する板カムであり、図示しないフレームに固定され前述のガイドローラ47がカム面に当接し、滑動するものである。49はコイルスプリングであり、アーム46の支持軸に嵌合して取り付けられていて、コイルの一端をヘッドキャリア40に掛止させ他端をアーム46に掛止させることにより、磁気ヘッド8を矢印C方向に付勢している。よって、ガイドローラ47は板カム48に常時圧接することになっている。
【0031】
磁気ヘッド8がスライドシャフト41に沿って移動すると、この板カム48により図7に示したように位置P1から位置P2の区間においてのみ搬送路に設けた長穴28bから磁気ヘッド8の表面(上部)が突出してMSに圧接することになる。
【0032】
図8は通帳伝票プリンタ21で使用可能な媒体(通帳と帳票)のデ−タを示す一覧表であり、通帳種別A,B,C・・Nと帳票種別S,T,U,V・・Zを登録している。この媒体データは制御装置22内の記憶部22a(例えば、ROM)に記憶してある。
【0033】
通帳Aを例に各データを説明すると、縦寸法は175mm、横寸法140mmであり、各頁に付与されたページマーク(コード)は第1頁目が「1」、第2頁目が「2」・・であり通帳の中紙3枚であれば表紙見返し頁からコード「1」を付与すると最終頁がコード「7」になる。
L1は図17に示したように通帳左端よりMSの設定位置までの寸法であり、L2は通帳下端よりMSの設定位置までの寸法で、L3がMSのデータ記録幅方向の寸法である。
【0034】
なお、図では単位をmmで表示するようにしたが、これに限定されるものではなくLFモータ32やMSモータ33の分解能に合せた数値に変換しても良いことは言うまでもなく、かつ16進数(HEX)などでの表現でも可能である。
【0035】
<第1の実施の形態>
次に上記構成の本発明の装置における第1の実施の形態について、図1に示す動作フローチャートに従って説明する。
なお、Sはステップを示し、光学検出器PD1〜PD3については光軸が媒体等により遮断されている状態、即ち受光素子が光を受けられない状態を「ON]とし、受光素子が所定の光量を検出している場合を「OFF」として、更に前述したように通帳1の吸入方向の搬送をLF,排出方向の搬送をBLFとして説明する。
【0036】
印字すべき頁が開かれた通帳1が図5に示す矢印B方向から挿入され、この通帳1の先端により光学検出器PD1がONすると、アンプ回路34及び制御回路36を介して信号が制御装置22に送られる(S1)。次に制御装置22はこの信号をトリガに記憶部22aに予め格納された搬送制御プログラムを起動することになる。この時点では媒体がどの媒体種別であるか、またどのようなサイズであるか不明であるので、予め定めた搬送制御プログラムが選択される。
【0037】
まず、プレッシャローラ3bを作用させて通帳1を挟持し(S2)、この挟持が完了した時点で光学検出器PD2がONであるか否かを判定する(S3)。
ONしている場合には、光学検出器PD2よりも奥方まで通帳1が挿入されていると判断し、BLF動作を開始する(S4)、この動作により光学検出器PD2がOFFしたら(S5)、BLFを停止する(S6)。この状態はステップS3における光学検出器PD2がONしていない場合の判定と同一状態となる。
以上のステップS4からステップS6までの動作は通帳1の先端位置を把握し、以降の搬送制御を確実に行なうためのものである。
【0038】
次に制御装置22はLFモータ32に回転命令を出して、通帳1の搬送を開始する(S7)、LF動作により光学検出器PD2がONしたら(S8)、制御回路36内のカウンタ36aのカウント値をクリア(ゼロ)にする(S9)。続けて所定量のLFを続行しプレッシャローラ3cを圧接させ、更にLFを続けると(S10)、通帳1は内部に取り込まれ通帳1の下端が光学検出器PD2部を通過する、即ち、光学検出器PD2がOFFすることになる(S11)。
【0039】
光学検出器PD2がOFFしたらカウンタ36aのカウント(LFモータの総ステップ数:N)を終了し(S12)、通帳1の縦長さの計算に移行することになる。なお、この計算中はLFを停止するものではないが説明は省略する。
【0040】
媒体長の計算は、カウント値(N)にLFモータ32の1ステップ当たりの搬送量を乗算すれば容易に可能である。例えば1ステップ当たりの搬送量が0.1mmであり、カウント値(N)が1750であれば、媒体縦長さ=0.1×1750=175mmということになる(S13)。
【0041】
この計算結果を記憶部22aに格納している媒体データ(図8)と比較すると、挿入された媒体は通帳種別A又は帳票Zであると判定される(S14)。なお、図8に示す媒体各部の寸法は単位mmで記載したが、カウント値(N)に換算して記憶しておくことも可能であることは前述の通りである。
【0042】
媒体長が判定されると、その媒体長に応じて予め設定された最適の媒体搬送制御と磁気記録処理がなされることになる。まず媒体搬送制御については、通帳種別Aでは縦長さ175mmであるから、その半分、即ち通帳1の先端から87.5mmの位置にセンタホールド1a′が存在することを考慮したプレッシャローラ3b〜3fによる媒体挟持及び開放制御が行なわれる(S15)。
【0043】
ここで、図9に示す搬送手段のローラコントロールを説明する。
図においては、通帳挿入排出口27側から順にプレッシャローラ3b,3c,3dとして符号を付与し、それぞれフィードローラ2b,2c,2dとの圧接状態を「ON」,開放状態を「OFF]として記載している。
通帳1が挿入され光学検出器PD1がONするとプレッシャローラ3bがONして、媒体搬送が開始されt1(LFモータの所定ステップ数)にてプレッシャローラ3cがONする。このまま搬送すると通帳1のセンターホールド1a′とプレッシャローラ3bが衝突するため、t2にてプレッシャローラ3bをOFFして衝突を回避する。そして、フィードローラ2cとプレッシャローラ3cにより搬送され、通帳1のセンターホールド1a′がプレッシャローラ3bの位置を通過する。通過したら再びプレッシャローラ3bをt3にてONする。この動作を順次行なうことによりセンターホールド1a′とプレッシャローラ3の衝突を回避する。
【0044】
よって、通帳1の縦長さが異なり、例えば通帳Bではセンターホールド1a′とセンターホールド1b′の差寸法(h)に相当する分だけt2(所定のステップ数)の時間を早くした搬送制御となる。
また、磁気記録処理についても図17に示したようにMSの位置が特定されるため、例えば、図11(b)に示すような処理が可能になる。なお、磁気記録処理については後述する。
【0045】
このようにして最適な媒体搬送制御により、磁気ヘッド8とMSとが所定の位置関係となるようにしてから通帳1の磁気情報を読み取る(S16)。このMSの口座番号やキーボード23から入力した取引情報がセンタコンピュ−タ25に送信されると、センタコンピュータ25では口座番号に基づいた情報検索が行なわれ、該当する顧客情報と預貯金残高情報などが制御装置22に返信され、表示装置24の取引指定画面の所定の表示枠に自動的に表示される。
オペレータにより顧客から提示された伝票の記載と表示画面情報との一致が確認され、取引内容がキーボード23から続けて入力される。
【0046】
取引に必要な情報が全て入力され取引可能であると、この取引内容を通帳1に印字することになる。まず、磁気読取りがなされた通帳1を印字ヘッド5に向かって搬送する(S17)。
途中に設けた頁・行検出部6により開かれている頁情報(ページマーク)と印字済み行の検出が行なわれ、MSからの読取情報と一致していれば印字可能と判断する。ここで、両者が不一致のときには、一旦、BLFして排出し、オペレータに通帳1の頁良否を目視確認させたり、又は、読取り頁が図8に示した媒体種別毎の頁別マーク構成から前後のページであることが予想される場合には改頁ローラ7により頁捲りを行なうが詳細な説明は省略する。
【0047】
印字ヘッド5に向かって搬送され、光学検出器PD3がONしたことが検出されると、所定量搬送して停止する(S19)。この搬送量は通帳1の上端から印字行までの寸法に光学検出器PD3から印字ヘッド5までの距離(K)を加えた値となる。
印字位置まで搬送された通帳1に対して、印字を開始して(S20)、印字及び改行を行なって印字すべきデータがなくなったら印字終了となり(S21)、印字ヘッド5部から通帳1を磁気R/W部14まで搬送(BLF)する(S22)。磁気R/W部14では、MSに最終印字頁及び行情報を磁気記録する(S23)。この磁気記録処理については後述する。
【0048】
磁気記録処理が完了すると、通帳挿入排出口27に向かって搬送を開始し(S24)、光学検出器PD2が通帳1の先端によりOFFされたらBLFを終了して全てのプレッシャローラ3をOFFし(S25)、オペレータによる通帳1の抜き取り待ち状態となる。
オペレータにより通帳1が抜き取られたことは光学検出器PD1がOFFとなることで判断される(S26)。
【0049】
次に媒体判定後の磁気ストライプの処理について説明する。
図10は本発明の実施の形態の磁気情報処理の動作フローチャートであり、図11は磁気情報処理のタイムチャートである。
図11(a)において、1aは横幅140mmの通帳種別Aであり、1bは横幅130mmの通帳種別Bとして説明する。このような通帳1aに対しては同図(b)に示すようなタイムチャートにより動作する。まず、MSモータ33はホームポジション(HP)に磁気ヘッド8を停止させていて、処理命令があると所定の加速度テーブルにより加速し所定速度(図では1000PPS)まで速度を立ち上げる(R1)。
【0050】
続けて、一定速度(1000PPS)にてMS全域を走査させ(R2)、そして、所定の加速度テーブルにより減速していき停止する(RS)。このMSモータ33の回転によりタイミングベルト44を介して磁気ヘッド8が移動し、板カム48により磁気ヘッド8は図7に示すP0〜P1〜P2〜P3に移動することになる。
【0051】
立ち上がり(HP〜R1区間)の加速区間を磁気ヘッド8の移動区間(P0〜P1)とほぼ同一量になるように設定してあり、また、立ち下がり(R2〜RS区間)の減加速度区間は磁気ヘッド8の移動区間(P2〜P3)とほぼ同一量になるように設定してある。
【0052】
以上のMSモータ33の駆動制御時に制御装置22はリードゲート信号を符号G1〜G2の区間だけ有効になるように制御する。即ち、この区間以外において磁気ヘッド8から得られた信号は全て受け捨てることになる。なお、このリードゲートオープン区間は予め定められた磁気情報の記録範囲を含めていることは言うまでもない。
【0053】
同様にライトゲートについても符号G3〜G4の区間だけ記録信号を出力するように制御する。なお、この区間以外(RS〜G3,G4〜HP)においては磁気ヘッド8にはイレーズ信号を出力するように制御している。
【0054】
同図(b)からも理解できるようにMSモータ33の定速域内に磁気記録区間が存在し、その磁気記録区間内に読取区間が存在する。
同図(c)は通帳1bの場合を示すもので、特に磁気記録を行う場合の走査安定化を図ったものであり、磁気ライト時の立ち上り区間(RS〜R2´)の立ち上げ加速度を小さくしているものである。即ち、通帳1bの端部に磁気ヘッド8が衝突するが低速であるため振動量を少なくでき、かつ、その振動の静定時間も確保できるものである。
なお、通帳1bでは磁気情報の記録範囲は通帳1aとは異なるが、通帳1bとして設定されている所定の規格を逸脱するものではない。
【0055】
次に磁気情報処理の動作フローチャートを説明する。
搬送制御コントロールによりMSと磁気ヘッド8の対応が適正な位置まで搬送されると、通帳1の搬送を停止する(S31)。静止した通帳1に対して、前述した通帳種別による固有の処理プログラムを起動して磁気読取処理に入る(S32)。まず、通帳種別Aに対しては11(b)に示したようなMSモータ33の駆動制御を行い(S33)、区間G1〜G2のみリードゲートを開くと(S34)、MSに記録されている記録情報が読み取られ制御回路36を介して制御装置22に送られる(S35)。この磁気情報の読取動作により磁気ヘッド8から所定の出力レベル及びビット数が得られずにエラーとなったときにはリトライ動作が必要となり(S39)、リトライ動作として前述したステップS33〜ステップS35までを繰り返すことになる。
【0056】
読取りが正常に行われたことが判断されると磁気ヘッド8をHPに戻すようにMSモータ33を制御する(S40)。
ステップS32において、通帳種別Bの場合には低速の処理プログラムを起動して磁気読取処理に入る。まず、通帳種別Bに対しては11(c)に示したようなMSモータ33の駆動制御を行い(S36)、区間G1〜G2´のみリードゲートを開くと(S37)、MSに記録されている記録情報が制御回路36を介して制御装置22に送られる(S38)。以下は前述したステップS39と以降と同様に処理される。
【0057】
<第2の実施の形態>
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では磁気情報記録部の設定位置が通帳種別により差異があったも処理を可能にしたものだが、本実施の形態では外形寸法は異なってもMS位置が通帳の端部から同一位置に設けられている場合である。
図17において、寸法L1,L2,L3が一定であり、MS(磁気ストライプ)記録情報内に媒体種別情報が格納されている,又は、読取った顧客情報からセンタコンピュータ25による媒体種別の判定が可能であるとして説明する。なお、媒体を識別するまでの説明であり、識別後の媒体搬送及び磁気記録処理は前記の通りであるので説明を省略する。
【0058】
図12に示す媒体判定動作フローチャートに従って説明する。
印字すべき頁が開かれた通帳1が図5に示す矢印B方向から挿入され、この挿入される通帳1の先端により光学検出器PD1がONすると、アンプ回路34及び制御回路36を介して信号が制御装置22に送られる(S51)。次に制御装置22はこの信号をトリガに記憶部22aに予め格納された搬送制御プログラムを起動することになる。この時点では媒体がどの種別であるか、またどようなサイズであるか不明であるので、予め定められた搬送制御プログラムが実行される。
【0059】
まず、プレッシャローラ3bを作用させて通帳1を挟持し(S52)、この挟持が完了した時点でLFモータ32を起動して(S53)、光学検出器PD2がONしてからも更に搬送を続け、光学検出器PD2がOFFするまで続ける(S54)。ステップS51で光学検出器PD2がONしている場合は、光学検出器PD2よりも奥方まで通帳1が挿入されていると判断できるが、無視してLFを開始する。
【0060】
光学検出器PD2がOFFしたら、所定量(磁気R/W部とMS位置が一致する位置)の搬送で停止する(S55)。この状態は磁気R/W部14とMS位置が一致しているので磁気記録情報の読取りが可能である。磁気情報の読取りが図11(b)に示したタイミングにより行われる(S56)。
【0061】
この読取り動作により口座情報や印字頁/行情報とともに通帳識別情報が読取られると、その情報はセンタコンピュータ25に送信され、口座情報を基に顧客の預貯金残高情報などが検索される。検索が終了すると、顧客氏名や残高情報が制御装置22に返信されるが、この返信データの中に媒体情報(この場合には通帳)も含まれている。
【0062】
この媒体情報によって、予め設定された最適の媒体搬送制御と磁気記録処理がなされることになる。まず媒体搬送制御については、通帳種別Aでは縦長さ175mmであるから、その半分、即ち通帳1の先端から87.5mmの位置にセンタホールドが存在することを考慮したプレッシャローラ3b〜3fによる媒体挟持及び開放制御が行なわれることは前記の通りである。
なお、第2の実施の形態では、センタコンピュータ25側に媒体情報を格納しておき、口座情報とともに送信されたMSからの情報との一致検索をしているが、これに限定されるものではなく、制御装置22側の記憶部22aに格納しておいても良いことは言うまでもない。
【0063】
<第3の実施の形態>
次に本発明の第3の実施の形態について図13,図14を用いて説明する。
第3の実施の形態では磁気情報記録部の設定位置が通帳横幅により種々の位置に設けられている場合の対応実施例である。但し、同一幅の通帳のMSはすべて同位置に存在することにする。図14は媒体搬送路の説明図であり、前述した図5と異なる部分は光学検出器PD4,PD5,PD6が追加されているものである。
【0064】
光学検出器PD4は媒体の突当面28aからL4(例えば、124mm)の位置,光学検出器PD5は媒体の突当面28aからL5(例えば、134mm)の位置,同様に光学検出器PD6はL6(例えば、144mm)の位置に設けられている。
【0065】
図13に示す動作フローチャートに従って説明する。
印字すべき頁が開かれた通帳1が図14に示す矢印B方向から挿入され、この挿入される通帳1の先端により光学検出器PD1がONすると、アンプ回路34で増幅され制御回路36を介して信号が制御装置22に送られる(S61)。
プレッシャローラ3bを作用させて通帳1を挟持し(S62)、この挟持が完了した時点で光学検出器PD4〜PD6のON/OFF情報を検出する。
【0066】
光学検出器PD4がOFFの時には(S63)、寸法L4未満である(例えば、124mm未満)であるから該当する媒体は図8より通帳Cであると判断できる(S64)。光学検出器PD4がONしていれば次ステップに移行する。
次に、光学検出器PD5がOFFの時には(S65)、寸法L5未満で、寸法L4以上である(例えば、124mm以上134mm未満)から該当する媒体は通帳Bであると判断できる(S66)。光学検出器PD5がONしていれば次ステップに移行する。
【0067】
光学検出器PD6がOFFの時には(S67)、寸法L6未満で、寸法L5以上である(例えば、134mm以上144mm未満)から該当する媒体は通帳A又は帳票Zであると判断できる。ステップS67で光学検出器PD6がONしている場合には、寸法L6(例えば、144mm)以上であるから通帳ではなく帳票サイズであると判断する(S68)。
【0068】
以上のように通帳挿入排出口27の近傍に媒体横幅を検出可能な光学検出器PD4,PD5,PD6を設けたが、内部に配置しておき挿入された媒体の搬送動作中に判定しても良いこと,更に通帳種別数により光学検出器の数を増減することができることは言うまでもない。
【0069】
このように挿入時に媒体種別を特定することが可能になると、初期の搬送動作から媒体に最適な搬送制御を行なうことができる。
【0070】
<その他の実施の形態>
次に媒体判定後の磁気ストライプの処理について、その他の実施例を説明する。図15は本発明のその他の実施の形態の磁気情報処理の動作フローチャートであり、図10で説明したステップと同一内容は同一ステップ符号を付与して説明する。
【0071】
搬送制御コントロールによりMSと磁気ヘッド8の対応が適正な位置まで搬送されると、通帳1の搬送を停止する(S31)。静止した通帳1に対して、前述した通帳種別による固有の処理プログラムを起動して磁気読取処理に入る(S32)。まず、通帳種別Aに対しては図10で説明したステップS33からステップS35は同一であるので省略する。
【0072】
ステップS32で通帳種別Bと判定された場合には、MSモータ33の立ち上げ位置までの総ステップ数(移動量)は変えないが、総ステップ数の略半分のステップ数まで加速し、残りの略半分のステップ数は減速加速する。即ち、図11(b)に示す区間RS〜R2間の移動において、位置P2ではMSモータ33は停止していることになる。そして通帳1bのMSへの衝撃を緩和するとともに振動を静止する時間(ウエイト時間として、例えば200ms程度)を設ける。
以後、ステップ37からステップS40は図10で説明した内容と同一であるので説明を省略する。
【0073】
なお、図7に示すほぼ位置P2ではMSモータ33は停止しているため、磁気R/W処理においては、MSモータ33の再立ち上げとなるが磁気ヘッド8が媒体に圧接している状態からの起動であることと、リード/ライトゲートの制御は図11(c)に示すように、通帳1aより余裕があるので立ち上り時の磁気処理への影響を抑えることができる。
【0074】
【発明の効果】
以上、説明した本発明には次の効果がある。媒体識別が可能な磁気情報記録部を有する媒体を受け入れて搬送する媒体搬送路に設けた磁気情報の読取り及び書込みが可能な磁気情報処理部と、媒体識別情報に対応した媒体サイズ情報と媒体種別毎に最適な制御プログラムを格納した記憶部とを設け、媒体搬送路に受け入れた媒体に対して媒体識別情報の読取りを行い、その読取情報により媒体情報記憶部内の媒体サイズ情報と比較して媒体種別を特定して最適な媒体搬送を行い、センタホールドを意識したプレッシャローラの圧接/解除の制御を行なって衝突により発生する搬送誤差が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の動作フローチャートである。
【図2】本発明の媒体処理装置の全体構成図である。
【図3】本発明の媒体処理装置の制御ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態の媒体搬送路の概念を示す説明図である。
【図5】本発明の第1,第2の実施の形態の媒体搬送路の平面図である。
【図6】本発明の磁気ストライプリーダライタの要部斜視図である。
【図7】本発明の磁気ヘッドの移動状態を示す説明図である。
【図8】本発明の媒体データを示す一覧表である。
【図9】搬送手段としてのローラコントロールを示すタイムチャートである。
【図10】本発明の実施の形態の磁気情報処理動作フローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態の磁気情報処理動作タイムチャートである。
【図12】本発明の第2の実施の形態の動作フローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施の形態の動作フローチャートである。
【図14】本発明の第3の実施の形態の媒体搬送路の説明図である。
【図15】本発明のその他の実施の形態の磁気情報処理動作フローチャートである。
【図16】媒体搬送ローラ機構を示す説明図である。
【図17】媒体処理装置に使用される通帳を示す平面図である。
【符号の説明】
1 通帳
2 フィードローラ
3 プレッシャローラ
4 プラテン
5 印字ヘッド
8 磁気ヘッド
9 プレッシャアーム
10 プレッシャシャフト
14 磁気ストライプリーダライタ(磁気R/W部)
21 媒体処理装置(通帳伝票プリンタ)
22 制御装置
24 表示装置
25 センタコンピュータ
32 LFモータ
33 MSモータ
41 スライドシャフト
48 板カム
MS 磁気ストライプ
PD1〜PD6 光学検出器
Claims (3)
- 媒体識別が可能な磁気情報が記録された磁気情報記録部を有する媒体を受け入れて搬送する媒体搬送路と、
該媒体搬送路より突出し回転可能に軸支される駆動ローラと、
該駆動ローラと圧接可能に軸支される押圧ローラと、
該媒体搬送路の一部に設けられ、前記磁気情報記録部に記録されている磁気情報の読取り可能な磁気情報処理部と、
前記媒体識別情報に対応した少なくとも1種類以上の媒体サイズ情報と媒体種別毎に最適な制御プログラムを格納した記憶部とを設け、
前記媒体搬送路に受け入れた媒体に対して媒体識別情報の読取りを行い、該読取情報により前記記憶部内の媒体サイズ情報と比較して媒体の綴じ部の位置を特定して前記駆動ローラを回転することにより前記ガイド部材に沿って媒体搬送を可能にすると共に前記押圧ローラの圧接を開放させることを特徴とする媒体処理装置。 - 請求項1記載の媒体処理装置において、前記媒体サイズ情報は、少なくとも媒体の外形寸法である媒体処理装置。
- 請求項1記載の媒体処理装置において、前記媒体サイズ情報は、少なくとも媒体の縦寸法である媒体処理装置。
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