JP3578509B2 - 破風用化粧板材 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、建築で用いられる破風用化粧板材に係り、特にその汚れ防止機能に関する。
【０００２】
【従来の技術・発明の解決課題】
一般に建築用化粧板材として、一定断面を有する低発泡押出成形樹脂製の長尺製品が普及している。これらは、胴差や破風、鼻隠し等、種々の箇所に用いられ、その前面を凹凸形状による化粧面としている。図３は、破風用化粧板材としても用いられる従来の建築用化粧板材の断面形状の一例を示すものである。前面の化粧面には、ビス止めのための横溝３０が形成されている。横溝３０の下の化粧面３１は、上の化粧面３２よりも奥に引き込むようにステップバックさせている。この部分を拡大すると図４に示すように、横溝３０の上縁が水切りのための鋭角コーナ部３３に構成されており、略垂直な化粧面３２に対して斜め上方奥へ溝内上天面３０１が延びている。溝内奥側面３０２は、ビス締め込まれる面として略垂直な平坦面であり、溝内下底面３０３は、ビスの締め込み作業を行い易くするために、前方下方へやや傾斜した面となっているか、少なくとも水平な面にされている。
【０００３】
ところで、化粧板材では化粧面に汚れが付着するのを非常に嫌うが、建物の外装用として用いられるために風雨にさらされることは避けられない。特に、横溝には汚れの原因となるゴミや埃が溜まり易く、この横溝に雨水が入り込むと、この横溝よりも下の化粧面をゴミや埃と共に雨水が伝って流れ、その伝い流れた雨水の跡となって筋状の汚れが付着する。この雨水の伝いをできるだけ防止するため、化粧面の水切り機能を高めるように、上述した水切りや化粧面のステップバックのような形状的工夫が施されている。このように、化粧板材では、化粧面の水切り機能を如何に高めるかが一つの技術的課題となっている。
【０００４】
本発明は、上述のごとき技術的課題に鑑みて創案されたものであり、したがって本発明の目的は、化粧面の水切り機能に優れた破風用化粧板材を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る破風用化粧板材は、以下のような構成を備えている。即ち、化粧板材の前面に、前面側に開放しかつ長手方向に延びた横溝を有する破風用化粧板材において、前記前面の横溝の下側部分が奥に引き込むようにステップバックされており、上記横溝の溝内下底面が、奥から前面側へ向かって高くなっており、かつ溝内上面の上縁に鋭角の水切り部が設けられている。
【０００６】
【作用および発明の効果】
本発明に係る破風用化粧板材では、切妻屋根の破風板の外観側に用いられるので、その長手方向が斜めとなるように取り付けられる。したがって、長手方向に延びる横溝も斜め方向に延び、この溝内に入り込んだ雨水はその傾斜に沿って流れ、化粧板材の両端から排出される。すなわち、横溝内に一旦入り込んだ雨水は、その横溝よりも下の化粧面を伝って流れることがなく、雨水が伝った筋状の汚れを残さない。
【０００７】
【実施例】
以下、本発明に係る破風用化粧板材の一実施例について、図１および図２を参照して説明する。
【０００８】
図１は、本実施例の破風用化粧板材を取付状態で示す断面図である。この実施例の化粧板材１０は、その前面に上から下へ順にステップバックさせて３段の化粧面１１，１２，１３を有しており、各化粧面の間に取付ビス１４を締め込むための２本の横溝１５，１６が形成されている。各化粧面１１，１２，１３の下端縁は、水切りを構成するように鋭角のエッジ１７，１８，１９に形成されている。
【０００９】
それぞれの横溝１５，１６は、上天面１５１，１６１が、その断面において略水平に延びており、奥側面１５２，１６２は略垂直面にされている。そして、下底面１５３，１６３は、奥側面１５２，１６２から前面に向かって上り斜面に形成されている。図中、一点鎖線で示す基準線は水平線を示しており、下底面１５３，１６３の傾斜を分かり易くするために描かれている。したがって、横溝１５，１６内に入り込んだ雨水は、溝から化粧面１２，１３に流れ出ることなく化粧板材の傾斜に沿って流れ、この横溝１５，１６は、言わば樋機能を果たす。また、溝内の雨水の流れは、溝内に溜まるゴミや埃を少しずつでも流し去るので、長期的に見ると溝内に多量のゴミや埃が溜まることはない。この点からも化粧面の汚れ防止には有効である。図中２０は屋根材、２１は垂木、２２は破風板、２３は水密材、２４は水切り材である。
【００１０】
図２は、建物において化粧板が用いられる各種箇所を示す斜視図であり、Ｂが破風部位、Ｆが鼻隠し部位である。従来では、これらのいずれにも同じデザインの化粧板材が用いて均一性を守られたが、特に破風部位に本実施例の破風用化粧板材１０を用い、鼻隠し部位には従来どおりの化粧板材を用いれば、建築デザインとしては従来どおりの均一性を守ることができ、しかも化粧板材に樋機能を付加して化粧面の汚れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本実施例の破風用化粧板材を取付状態で示す断面図である。
【図２】建物において化粧板材が用いられる各種箇所を示す斜視図である。
【図３】従来技術における化粧板材を示す断面図である。
【図４】図３の要部拡大図である。
【符号の説明】
１０ 化粧板材
１１，１２，１３ 化粧面
１４ 取付ビス
１５，１６ 横溝
１５１，１６１ 溝内上天面
１５２，１６２ 溝内奥側面
１５３，１６３ 溝内下底面
１７，１８，１９ エッジ
２０ 屋根材
２１ 垂木
２２ 破風板
２３ 水密材
２４ 水切り材
Ｂ 破風部位
Ｆ 鼻隠部位
３０ 横溝
３０１ 溝内上天面
３０２ 溝内奥側面
３０３ 溝内下底面
３１ 化粧面
３２ 化粧面
３３ 鋭角コーナ部

Claims (1)

1. 化粧板材の前面（11,12,13）に、前面側に開放しかつ長手方向に延びた横溝（15,16）を有する破風用化粧板材において、前記前面の横溝の下側 (12,13) 部分が奥に引き込むようにステップバックされており、上記横溝の溝内下底面（153,163）が奥から前面側へ向かって高くなっており、かつ溝内上面の上縁に鋭角の水切り部 (17,18,19) が設けられていることを特徴とする破風用化粧板材。

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