JP3578463B2 - 車両用エアバッグ装置のためのバッグ - Google Patents

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Description

[技術分野]
この発明は車両用エアバッグ装置のためのバッグに関する。
[背景技術]
車両用エアバッグ装置のためのバッグの一種として、乗員側パネルとインフレータ側パネルとが両者の周縁において接合されて三次元形状に膨張可能なフレキシブルなバッグ構造に形成され、前記インフレータ側パネルにはインフレータ取付用の開口部を形成したものが公知である(特公昭51−31581号)。このようなバッグにインフレータを取り付ける。車両の衝突の際に、インフレータにおいて発生したガスが瞬時にバッグ内に流れ込み、バッグが膨張して乗員を衝突の衝撃から保護する。
前記の公知の車両用エバッグ装置のためのバッグにおいては、乗員側パネルとインフレータ側パネルとがテザーにより連結されている。これは、バッグが膨張する際に、インフレータ側パネルと乗員側パネルとの間隔がテザーの長さ以上に広がらないようにするためである。
このように、テザーによりバッグの展開距離、すなわち乗員側パネルの飛出し量が規制できるが(乗員側パネルの最も乗員側にある箇所のステアリングホイールの平面からの距離を「展開距離」という)、テザーのみでは、バッグの展開速度は低減できない(ステアリングホイールの平面から最も離れた乗員側パネルの箇所がステアリングホイールの平面に直交する方向すなわちステアリング軸方向に移動する速度を「展開速度」という)。展開速度が大きいと、バッグが膨張する際に、乗員の姿勢によっては、乗員側パネルが比較的大きい速度で乗員に接触する可能性がある。また、テザーのみでは、バッグがその外周に向かう方向すなわち飛び出し方向と直交する方向、例えば乗員の下腹部方向に迅速に広がることを期待できない。
そこで、展開速度を低減し、飛び出し方向と直交する方向への迅速な広がりを確保するために、公知の車両用エアバッグ装置のためのバッグの中には、インフレータから噴出するガス流が乗員側パネルに直接当たらないように、インフレータに近接してガス流を偏向させる整流体を設けたものがある(特公昭53−45574号、米国特許5172933、EP600598、DE4121659)。
しかし、整流体のみでは、展開距離を規制することはできず、また、展開速度もある程度しか低減できないことが判明している。
そこで、テザーと整流体とを併有させることにより、両者の長所を備えたエアバッグを得ることが考えられるが、その場合の問題点は、整流体からのガス流の吹出し方向にテザーが配されていると、整流体により偏向させられたガス流がテザーに衝突するため整流効果が低減するところにある。
したがって、この発明の目的は、テザーと整流体とを併有していても、整流体による整流効果が失われず、エアバッグ全体として、展開距離と展開速度とを低減させ、外周に向かう方向にも迅速に広がるエアバッグを提供するところにある。
[発明の開示]
この発明は、冒頭に記載の車両用エアバッグ装置のためのバッグにおいて、前記バッグ構造の内部においては、インフレータから噴射されるガス流を前記バッグ構造の外周に向かう方向に偏向させる整流体を配し、前記乗員側パネルと前記インフレータ側パネルとを両者の間隔が所定長以上に広がらないように規制するテザーにより連結し、前記テザーを前記整流体により偏向させられたガスの流れを阻害しない位置に配し、前記の整流体は前記インフレータ取付用の開口部を覆うシート片であって、前記シート片の中央部は前記乗員側パネルの方向に膨出した弛みを有し、前記シート片の周縁の少なくとも2箇所は前記インフレータ側パネルに接合されて接合部を構成しており、前記シート片の周縁における前記接合部以外の箇所と前記インフレータ側パネルとの間の間隔は偏向させられたガス流の吹出し開口をなしている。
このバッグは、整流体による整流効果は失われず、テザーと整流体との双方の長所を有する。
この場合、前記テザーは、前記接合部より前記バッグ構造の外周に向う方向の外側の箇所において、前記インフレータ側パネルに接合されていることがバッグの製造上有利である。また、前記テザーは、前記整流体と、前記整流体における前記接合部より前記乗員側パネルに近い箇所と前記乗員側パネルとを連結する連結部材とにより構成されていてよい。
このバッグにおいて、前記整流体の突出高さが前記乗員側パネルの突出高さの2/3以下となすことが有利である。整流体の突出高さが2/3を越えると、整流効果が顕著に落ちて、バッグの展開速度が大きくなる。
また、このバッグの整流体の幅をインフレータヘッドの直径より大きくしておくことが有利である。かりに整流体の幅がインフレータヘッドの直径よりも狭いときには、やはり整流効果は落ちてバッグの展開速度が大きくなる。
また、前記の種々のバッグにおいて、整流体をガス透過性を有しない材料により形成することもできる。これにより、ガスは整流体を通過しないので、確実に偏向される。
また、以上のいずれかの車両用エアバッグ装置のためのバッグにおいて、展開距離が200mm以上の処で展開速度が150km/h以下となるようになすことが好ましい。このようにすれば、乗員側パネルが乗員の顔面などに強く接触することを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明の一実施態様の車両用エアバッグ装置のためのバッグをその膨張状態において示す横方向の断面図、
図2は、前図のII−II断面図、
図3は、前図のIII−III断面図、
図4は、前記のバッグの斜視図である。
図5は、この発明の他の実施態様のバッグを示す図1と同様の横方向の断面図、
図6は、この発明のさらに他の実施態様のバッグを示す図1と同様の横方向の断面図、
図7は、この発明のさらに他の実施態様のバッグを示す図1と同様の横方向の断面図、
図8は、実施例1のバッグの折畳み方式であり、(a)は最初の折畳み、(b)は2番目の折畳みを示す。
図9は、実施例1と比較例1のバッグの展開速度を示すグラフ、
図10は、実施例2のバッグの折畳み方式を示す図8と同様の図であり、
図11は、逆ロール式の折畳み方式を示す概略図であり、(a)は乗員側パネルの側への反転前の状態を、(b)は反転後の状態を示す。
図12は、順ロール式の折畳み方式を示す概略図である。
図13は、比較例2のバッグの折畳み方式を示す図8と同様の図であり、
図14は、実施例2と比較例2のバッグの展開速度を示すグラフであり、
図15は、実施例2と実施例3のバッグの上下方向の広がり幅を示すグラフであり、
図16は、実施例4のバッグの展開速度を示すグラフであり、
図17は、比較例4のバッグの展開速度を示すグラフであり、
図18は、比較例5のバッグの展開速度を示すグラフである。
図19は、蛇腹式の種々の折畳み方式を示す略図である。
[発明を実施するための最良の形態]
図1〜図4は、この発明の一実施態様の車両用エアバッグ装置のためのバッグを示している。
バッグ10は、インフレータ側パネル12と乗員側パネル14とから構成されている。これらパネル12,14はともに円形であり、布帛などのフレキシブルな素材よりなる。両パネル12,14はその周縁部において縫合16されて、バッグ構造に形成されている。(簡単のため、添付図面において縫合部の図示はすべて省略している。)インフレータ側パネル12の中心には、円形口18が形成されており、これに、インフレータ20の頭部22が挿入されている。インフレータ20から噴出するガスによりエアバッグ10は図に示すように三次元状に膨張する。
24,26は布帛などのフレキシブルな素材よりなるストラップ状のテザーであって、インフレータ側パネル12と乗員側パネル14とを連結し、両パネル12,14の間隔がテザーの長さ以上に広がらないよう規制する。テザー24,26は、バッグ10の直径上において、円形口18を中心とした対称の位置に2つが配されている。これにより、バッグ10が展開し膨張完了状態では、バッグ10は図示のような均一な扁平形状を保持する。この実施例において、テザー24,26は、インフレータ側パネル12に縫着された第1のテザー形成布28と、乗員側パネル14に縫着された第2のテザー形成布30とから構成されている。第1のテザー形成布28は、円形の基部31と、その周縁の相対向する2箇所から直径方向の外方に延びるとともに前記基部31の直径より幅の狭い2本の脚部32,33からなり、基部31がインフレータ側パネル12に縫着されている。第2のテザー形成布30も、同様に、円形の基部34と、その周縁の相対向する2箇所から直径方向の外方に延びるとともに前記基部34の直径より幅の狭い2本の脚部36,36からなり、基部34が乗員側パネル14に縫着されている。そして、2対の脚部32,32;36,36同士が縫着38,38されて、前記テザー24,26が形成される。
40は布帛などのフレキシブルな素材よりなる整流体である。整流体40は、バッグ10の膨張時において、インフレータ側パネル12から少し間隔をおいて位置するように配されている。整流体40は、インフレータ取付け用の開口18の直径より広幅であり、この開口18を覆っている。整流体40は整流体形成布42の一部として構成されている。この整流体形成布42は、円形の基部44とその周縁の相対向する2箇所から直径方向外方に伸びる2つの脚部46,46からなる。この基部44は、前記のテザー形成布28の基部31の上からインフレータ側パネル12に縫着されている。2つの脚部46,46の自由端同士は縫着48されて、これにより輪奈状の整流体40が得られる。このようにして、整流体40は、その相対向する二つの側部50,50を介してインフレータ側パネル12に接合されているが、その他の相対向する側部52,52においてはインフレータ側パネル12に縫着されていない。この縫着されていない側部52,52がガス流の吹出し開口を構成している。
整流体形成布42の基部44の上には、これとほぼ同形の補強布53が配されている。この補強布53は、第1のテザー形成布28の基部31と整流体形成布42の基部44との上から乗員側パネル12と縫着されている。
インフレータ20から噴出したガスは整流体40の頂部49と前記接合部50,50に衝突して偏向させられ、吹出し開口52,52を通過して直径方向の外方に向かう。このようにして、ガス流は乗員側パネル14を直接的に乗員側に押圧しない。したがって、乗員側パネルが乗員側に向かう速度を低減することができる。
前記の説明から明らかなとおり、テザー24,26は整流体40の吹出し開口52,52を避けた位置に設けられている。すなわち、整流体40がインフレータ側パネル12に接合された箇所50,50の直径方向の外側においてテザー24,26が取り付けられている。したがって、整流体40により偏向させられ吹出し開口52,52から吹出すガス流(図2の矢線参照)はテザー24,26により邪魔されることがない。このようにして、この実施例のエアバッグは、テザーによりバッグの展開を一定距離におさえる効果と、整流体によりバッグの乗員側パネル14の展開速度を低減させる効果をともに達成することができる。前記の実施例においては、整流体とテザーとを別体に設けたが、これに代えて、図5に示すように、整流体40の両側部50,50と乗員側パネル14との間を図1に示す第2のテザー形成布30と同様の連結部材54により連結してもよい。この場合には、整流体40と連結部材54とが相俟ってテザーを構成することになる。
また、これとは逆に、図6に示すように、テザー24,26の内面に整流体40の両側部50,50を縫着し、整流体40自体はインフレター側パネルに直接縫着しないようにしてもよい。
また、図7に示すように、整流体40とテザー24,26とを一枚の布片から構成し、整流体40の両側部50,50をいったんインフレータ側パネル12に縫着したあと、その延長部であるテザー24,26を乗員側パネル14にまで延ばしてもよい。
図示を省略するが、バッグ本体にはテザーのみを取り付けておき、これとは別にインフレータに整流体を取り付けたものを用意して、このインフレータをインフレータ側パネルに取り付けることにより整流体をバッグ内に配するようにしてもよい。
インフレータ側パネルと乗員側パネルの直径はバッグが扁平な状態で500〜800mmである。そして、整流体の寸法としては、幅が50〜300mm、長さが50〜400mmがバッグの展開速度を低減させ得るので好ましい。この場合の「長さ」とは、整流体形成布の基部がインフレータ側パネルに縫合されている際の最も周縁に近い縫合部間における整流体の長さすなわち乗員側パネルの側に膨出した弛みの長さである。また、テザーは例えば150〜300mmである。
実施例1
図1〜図4のバッグにつき、その展開速度が低減することを明らかにするために実験を行った。その際、整流体の幅は250mm、長さは250mmのものを用いた。この幅はインフレータ用の開口の直径である90mmに比べて著しく大きい。また、整流体の突出高さは乗員側パネルの突出高さの1/3位である。そして、整流後のガス流が上下方向に向かうようにバッグを位置させた。すなわち、整流体40の吹出し開口52,52が上下方向に向くようにし且つテザー24,26を横方向すなわち水平方向に位置させた。ところで、バッグの展開速度を左右する要因としてバッグの折畳み方式も重要である。行った実験では、まず、図8(a)に示すように、バッグ10の上下の側部を乗員側パネル14の上に蛇腹式に折畳んだ。すなわち、バッグ10の上側部および下側部を、バッグ10の中央部から上下周縁までの間に位置する一連の箇所60a,60b,60c,60d,60e……において折畳んで、乗員側パネル14の上に順次重ねられた複数の折畳み片62a,62b,62c,62d,62e……をえた。つぎに、図8(b)に示すように、このようにして得られた折畳み体64の左右両側部65,65を乗員側パネル14の側に同様に蛇腹式に折畳んだ。このように折畳んだバッグを実施例1とする。これに対し、比較例1のエアバッグは、テザーが整流体のガス吹出し開口の外側に配されている(すなわち、テザーがガスの吹出しを邪魔している)点でのみ実施例1のバッグと異なり、その他の点では実施例1のものと同じである。
実施例1と比較例1のバッグにおいて、インフレータよりガスを発生させ、ガス流によりバッグを展開させ、展開速度を測定した。結果を図9に示す。実施例1の場合は、展開距離が110mmである時点から250mmである時点まで展開速度は減少を続け、展開距離が約250mmの箇所においては、展開速度は90km/hにまで減少している。これに対して、比較例1の場合には、展開距離250mmの時点で展開速度が160km/hである。このようにして、テザーを整流体からのガスの吹き出し方向を避けた箇所に配することにより、バッグの展開速度、特に乗員に近い箇所での展開速度を著しく低減させ得ることがわかる。
実施例2
実施例1と同様に、図1〜図4に示すバッグ(ただし、整流体の幅は170mm、長さは180mm)を用い、整流後のガス流が上下方向に向うようにバッグを位置させた。ただし、実施例1とは異なる折畳み方式を用いた。すなわち、図10(a)に示すように、まず、バッグの左右両側部66,66を乗員側パネル14の上に蛇腹式に折畳み、つぎに、このようにして得られた折畳み体68の上下両側部70,70を図10(b)に示すように逆ロール式に折畳んだ。
ここで、「逆ロール式」の折畳みとは、図11(a)に示すように、バッグの側部端末をインフレータ側パネル12の側において巻き込んで折畳んだ状態をいう。図12に示す、バッグの側部端末を乗員側パネル14の側において巻き込んで折畳んだ折畳み方式を順ロール式の折畳みというのに対して、これとは逆方向に折畳んでいるところから、「逆」ロール式の折畳みと呼ぶ。図に基づいてより具体的に言えば、図10(b)に示すようにバッグの上下両側部70,70において逆ロール式の折畳みを行う場合には、図10(a)に示す折畳み体68の上下両側部70,70を、その先端80が内部となるように巻き込んで順次折畳み、巻玉82を作る。これが図11(a)に示す状態である。そして、この状態から巻玉82をその基部84において乗員側パネル14の側へ反転させることにより、図11(b)および図10(b)に示す状態となる。図11(a)に示す場合も図11(b)に示す場合も、いずれも、逆ロール式の折畳みである。折畳んだバッグの収納の便から実際には図11(b)に示すように折畳むことが多い。逆ロール式の折畳みは、インフレータ20において発生したガス流が図11(a)の矢線に示すように乗員側パネル14を押圧しても、この押圧方向とは反対側に巻玉82が存在しこの巻玉82が抵抗となるために、乗員側パネル14は容易には前方へ移動しない。これに対して、順ロール式の折畳みの場合は、図12からわかるように、乗員側パネル14が矢線の方向に押圧されることにより巻玉81も前方に押しやられるので、結局、乗員側パネル14は容易に前方に移動する。このようにして、逆ロール式の折畳みは順ロール式の折畳みに比して広げにくい。
比較例2としては、テザーは有するが整流体を有しないバッグを用い、折畳み方法は、図13に示すように、まず、バッグの上下両側部71,71を乗員側パネル14の側へ蛇腹式に折畳み、つぎに、このようにして得られた折畳み体72の左右両側部74,74を乗員側パネル14の側へ逆ロール式に折畳んだ。
結果を図14に示す。実施例2のものでは、比較例2に比して、展開速度が全体として低減され、特に、展開距離が200〜300mm付近の時点において大幅に低減できている。これは、本来展開しにくい折畳み方式を整流体からのガスの吹き出し方向において採用しているから、結果として、ガスがバッグの外周方向全体へ比較的バランスよく流れ、乗員側パネル14の押圧力が小さいからである。また、バッグの上下方向の展開も素早くなっている。なお、実施例2と比較例2の最大飛び出し量の差異は、テザーの長さの差異によるものである。
実施例3
実施例3として、整流体からのガスの吹出し方向が水平方向であり、折畳み方式は、まず、バッグの上下の側部を蛇腹式に折畳み、ついで、この折畳み体の左右両側部を逆ロール折りした。実施例2と実施例3との比較を図15に示す。バッグの展開当初の上下方向の広がり幅は実施例2の方が大きい。このことから、実施例2のバッグの方が、上下方向への拡幅が若干迅速であることがわかる。
実施例4
実施例2のものと同じバッグであってテザーを有していないものを準備して、これを実施例2と同様に折畳んだ。その結果を図16に示す。比較例2(図14参照)のものと比べると、全体の展開速度は低減しており、テザーを有さないものでも、整流体からのガスの吹出し方向において広がりにくい折畳み方式を採用することにより、展開速度低減の効果がある程度あるが、テザーがないことにより、乗員側への突出量が相当大となる。
なお、比較例4として、実施例2のものをもとに整流体の突出高さが乗員側パネルの突出高さの2/3を越えるものを作成した。その結果を図17に示す。さらに、比較例5として、実施例2のものをもとに整流体がインフレータヘッドの直径の約90%のみを覆っているものを作成した。その結果を図18に示す。いずれも、実施例1,2の場合とは異なり、展開速度は全体に高く、また、特に展開距離が200〜250mmの位置での展開速度はこの発明のバッグに比して顕著に高かった。
実施例2,3においては、比較的展開し難い折畳み方式として逆ロール式折畳みを、また、比較的展開しやすい折畳み方式として蛇腹式折畳みを用いた。これに代えて、比較的展開し難い折畳み方式として逆ロール式折畳みを、比較的展開しやすい折畳み方式として順ロール式折畳み(図12)を用いてもよい。さらに、図19(a)には、通常の蛇腹式の折畳みを示している。これに対して、図19(b)(c)には、蛇腹式折畳みの変形例を示しており、先端90,90がそれぞれ外方または内方から蛇腹部に差し込まれて保持されている。したがって、比較的展開し難い折畳み方式として図19(b)(c)のものを、また、比較的展開しやすい折畳み方式として図19(a)のものを用いることもできる。また、実施例2,3においては、最初に展開しやすい折畳みを行い、ついで、展開し難い折畳みを行ったが、順序を逆にしてもよい。さらに、この発明において用いられる蛇腹式折畳み、逆ロール式折畳み、その他の折畳みは乗員側パネルの側に折畳むのが普通であるが、インフレータ側パネルの側に折畳んでもよい。
[産業上の利用可能性]
この発明の車両用エアバッグ装置のためのバッグにおいては、整流体からのガスの吹き出し方向を避けた個所にテザーを設けたので、整流体による整流効果がテザーにより阻害されず、ガス流を確実にバッグの外周に向う方向の外端側にもたらすことができ、これにより、バッグの乗員側への展開初期の速度を低減させることができる。
また、この発明の車両用エアバッグ装置のためのバッグにおいては、整流体からのガスの吹出し方向において広げがたい折畳み方式を採用しているので、ガス流を左右方向にバランスよくもたらすことができ、これにより、バッグの乗員側への展開速度を低減させることができる。

Claims (5)

  1. 乗員側パネルとインフレータ側パネルとが両者の周縁において接合されて三次元形状に膨張可能なフレキシブルなバッグ構造に形成され、前記インフレータ側パネルにはインフレータ取付用の開口部を形成した車両用エアバッグ装置のためのバッグにおいて、
    前記バッグ構造の内部においては、インフレータから噴射されるガス流を前記バッグ構造の外周に向う方向に偏向させる整流体を配し、
    前記乗員側パネルと前記インフレータ側パネルとを両者の間隔が所定長以上に広がらないように規制するテザーにより連結し、
    前記テザーを前記整流体により偏向させられたガスの流れを阻害しない位置に配し、
    前記の整流体は前記インフレータ取付用の開口部を覆うシート片であって、
    前記シート片の中央部は前記乗員側パネルの方向に膨出した弛みを有し、
    前記シート片の周縁の少なくとも2箇所は前記インフレター側パネルに接合されて接合部を構成しており、
    前記シート片の周縁における前記接合部以外の箇所と前記インフレータ側パネルとの間の間隔は偏向させられたガス流の吹出し開口をなしている、
    ことを特徴とする車両用エアバッグ装置のためのバッグ。
  2. 請求項1に記載の車両用エアバッグ装置のためのバッグにおいて、
    前記テザーは、前記接合部より前記バッグ構造の外周に向う方向の外側の箇所において、前記インフレータ側パネルに接合されている、
    ことを特徴とする車両用エアバッグ装置のためのバッグ。
  3. 請求項1に記載の車両用エアバッグ装置のためのバッグにおいて、
    前記テザーは、前記整流体と、前記整流体における前記接合部より前記乗員側パネルに近い箇所と前記乗員側パネルとを連結する連結部材とにより構成されている、
    ことを特徴とする車両用エアバッグ装置のためのバッグ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用エアバッグ装置のためのバッグにおいて、
    前記整流体はガス透過性を有しない材料により形成されている、
    ことを特徴とする車両用エアバッグ装置のためのバッグ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用エアバッグ装置のためのバッグにおいて、
    展開距離が200mm以上の処で展開速度が150km/h以下となる、
    ことを特徴とする車両用エアバッグ装置のためのバッグ。
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