JPH061010U - エアバッグ装置の袋体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構造により大きな強度を確保すること
ができかつ膨張時の内圧も均等になるエアバッグ装置の
袋体を得る。 【構成】 上布２２と下布２４から成る袋体２０の内部
には、ストラップ３４が縫合されている。ストラップ３
４は、インフレータ１４の直上に位置して上布２２と下
布２４とに縫合されており、袋体２０内を幅方向に沿っ
て膨張室４４、４６に区画している。各膨張室４４、４
６はインフレータ１４に直接連通すると共にストラップ
３４の凹部５２によって互いに連通している。したがっ
て、大きな強度を確保でき、さらに、インフレータ１４
から発生したガスは均等に膨張室４４、４６に流入し、
内圧は均等になる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、所定の荷重作用時に作動するエアバッグ装置に用いられエアバッグ 装置作動時には乗員の側部へ向けて膨出するエアバッグ装置の袋体に関する。

【０００２】

【従来の技術】

エアバッグ装置、例えば車両用ドア内に配設されるタイプのエアバッグ装置で は、車両用ドアに所定の荷重が外方から作用することにより袋体をシートに着座 する乗員の側部へ向けて膨出させる。これにより、乗員はこのような荷重が作用 した際の衝撃から保護される。

【０００３】 ここで、前述の如き車両用ドアに配置されるタイプのエアバッグ装置では、車 両用ドアのドアトリムと乗員の側部との間のスペースが狭いので、運転席用のエ アバッグ装置等と異なり、袋体の形状、特に厚さ寸法においては、大きな制約が あり、このため袋体の形状は薄型直方体形状に構成されている。

【０００４】 ところで、車両用ドアに所定の荷重が外方から作用して袋体が膨出した場合、 乗員はこの袋体に当接することで保護されるが、同時に、乗員が当接すると袋体 内の圧力が急激に高まることになる。したがって、袋体のクッション性能（エネ ルギー吸収性能）を確保するためには、袋体の強度を向上させる必要がある。

【０００５】 この場合、前述の如き薄型直方体形状に構成された袋体の強度を向上させるた めに、単に複数の補強布等を用いてこれらを袋体に重ねて縫製したのでは、縫製 の手間が煩雑で作業性が悪化し極めてコスト高になる。また、袋体内に単に多数 の補強布を配置したのでは、袋体内が複数に分割され、袋体が膨張し乗員が当接 することにより袋体内の圧力が急激に高まる際に、内部の圧力が分割された各室 に不均等に伝達されて一部に偏って作用する可能性もある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記事実を考慮し、簡単な構造により大きな強度を確保することがで きかつ膨張時の内圧も均等になるエアバッグ装置の袋体を得ることが目的である 。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案に係るエアバッグ装置の袋体は、所定の荷重作用時に作動するエアバッ グ装置に用いられ、前記エアバッグ装置作動時に乗員側に位置する上布と、車体 に取り付けられたガス発生用インフレータの側に位置する下布と、から成り、イ ンフレータから発生するガスによって乗員の側部へ向けて膨出するエアバッグ装 置の袋体であって、前記インフレータの直上で前記上布と下布とに縫合され、前 記袋体内を袋体幅方向に沿いかつ前記インフレータに直接連通すると共に互いに 連通し合う複数の室に区画するストラップを備えたことを特徴としている。

【０００８】

【作用】

上記構成のエアバッグ装置の袋体では、エアバッグ装置作動時には上布が乗員 側に位置する状態で膨出して乗員を保護する。

【０００９】 ここで、袋体は、単一のストラップによって上布と下布とが縫合されて連結さ れているため、大きな強度を確保することができ、また構造も簡単で低コストに なる。また、袋体は、ストラップによって区画形成された複数の室が、インフレ ータに直接連通すると共に互いに連通されているため、インフレータから発生し たガスは各室に直接流入し、さらに乗員が当接することにより袋体内の圧力が急 激に高まっても、内部の圧力は各室に均等に伝達されて一部に偏って作用するこ とが無く内圧は均等になる。したがって、袋体が高強度になることと相まって袋 体のクッション性能が低下することはない。

【００１０】

【実施例】

図５には、本考案に係る袋体２０が適用されたエアバッグ装置１０の概略全体 構成が示されている。

【００１１】 このエアバッグ装置１０は、車両の運転席側のドア１２のアウタパネルとイン ナパネルとの間に配設されており、例えば図５の矢印Ａ方向に沿って所定の荷重 が作用した場合に、そのときのアウタパネルの変形により、ドア１２に外方から の所定の荷重が作用したことを感知する図示しないセンサを備えている。また、 エアバッグ装置１０は、図１乃至図４にも示す如く、インフレータ１４を備えて いる。このインフレータ１４内には、センサがＯＮすることによって通電し熱に よってガスを発生する図示しないガス発生剤が充填されている。したがって、ド ア１２のアウタパネルに所定の荷重が作用すると、センサがこれを感知してガス 発生剤が燃焼し、インフレータ１４から大量のガスが発生されるようになってい る。

【００１２】 インフレータ１４の車両室内側となる位置には、袋体２０が折り畳まれて収容 されている。ここで、図１乃至図４には、袋体２０がシート１６に着座する乗員 １８側へ向けて膨出された状態が示されており、以下膨出後の状態を参照しなが ら、この袋体２０の構造について説明する。

【００１３】 袋体２０は、二枚の基布を所定の箇所で縫合することにより構成されている。 すなわち、袋体２０は、各々矩形状に裁断された車室内側（すなわち、乗員１８ の側）の上布２２と車室外側の下布２４を備えており、これらの上布２２と下布 ２４の外周縁部分を互いに内方へ折り返して合わせた状態で縫合糸２６によって 縫合されている。すなわち、この上布２２と下布２４の外周縁縫合部分は、袋体 ２０の内側に位置する状態となっている。

【００１４】 下布２４には前記インフレータ１４に対応する取付け孔２８が形成されており 、この取付け孔２８内にインフレータ１４が入り込んだ状態で取付け孔２８の周 縁をリングプレート３０で挟持して、下布２４がインフレータ１４に固定される 構成である。

【００１５】 上布２２の幅方向（図１矢印Ｘ方向）端部近傍には、ガス抜き孔３２が形成さ れている。

【００１６】 一方、袋体２０の内部にはストラップ３４が縫製されている。ストラップ３４ は、インフレータ１４の直上に位置しており、幅方向上端部が縫合糸３６によっ て上布２２に縫合され、幅方向下端部が縫合糸３８によって下布２４に縫合され ている。このストラップ３４によって、袋体２０の内部は幅方向に沿って二つの 膨張室４４及び膨張室４６に区画されている。

【００１７】 また、ストラップ３４には、凹部５２が形成されている。この凹部５２はイン フレータ１４に対向する位置に形成されており、このため、膨張室４４と膨張室 ４６はそれぞれ互いに連通すると共に、膨張室４４と膨張室４６はそれぞれイン フレータ１４に直接連通している。

【００１８】 次に、本実施例の作用を説明する。 上記構成の袋体２０は、通常は（エアバッグ装置１０が不作動状態では）、折 り畳まれた状態でドア１２のアウタパネルとインナパネルとの間に格納されてい る。

【００１９】 この状態から、図５の矢印Ａ方向に沿ってドア１２に所定の荷重が作用すると 、例えばアウタパネルが変形することによってセンサがＯＮする。これにより、 インフレータ１４内のガス発生剤が燃焼して大量のガスを袋体２０内へ噴出する 。

【００２０】 ここで、インフレータ１４は袋体２０の膨張室４４と膨張室４６にそれぞれ直 接連通しており、かつ膨張室４４と膨張室４６は互いに連通しているため、イン フレータ１４から噴出したガスは瞬時に膨張室４４及び膨張室４６へ均等に流入 する。これにより、袋体２０は図示しないドアトリムの一部でもあるエアバッグ ドアを開放させながら、乗員１８の側部へ向けて膨出される。これにより、この 膨出状態にある袋体２０に乗員１８の側部が当接し、乗員１８への負荷が低減さ れて乗員１８が保護される。

【００２１】 この場合、袋体２０は、単一のストラップ３４によって上布２２と下布２４と が縫合されて連結されているため、大きな強度を確保することができ、また構造 も簡単で低コストになる。また、袋体２０は、ストラップ３４によって区画形成 された二つの膨張室４４と膨張室４６は凹部５２を介して互いに連通しているた め、乗員１８が当接することにより袋体２０内の圧力が急激に高まっても、内部 の圧力は膨張室４４と膨張室４６に均等に伝達されて一部に偏って作用すること がない。したがって、ストラップ３４によって袋体２０自体が高強度になること と相まって、袋体２０のクッション性能が低下することはない。

【００２２】 なお、本実施例では、ストラップ３４を上布２２と下布２４に縫合することに より二つの膨張室４４と膨張室４６を袋体２０内に形成する構成としたが、これ に限らず、ストラップ３４の枚数を増減させることによってこれらの膨張室の数 を任意に増減することができる。

【００２３】

【考案の効果】

以上説明した如く本考案に係るエアバッグ装置の袋体は、簡単な構造により大 きな強度を確保することができかつ膨張時の内圧も均等になるという優れた効果 を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る袋体の一部破断した斜視
図である。

【図２】袋体の一部破断した平面図である。

【図３】袋体の図２の３−３線に沿った断面図である。

【図４】袋体の図２の４−４線に沿った断面図である。

【図５】袋体が適用されたエアバッグ装置の概略全体構
成図である。

【符号の説明】

１０ エアバッグ装置 １４ インフレータ ２０ 袋体 ２２ 上布 ２４ 下布 ３４ ストラップ ４４ 膨張室 ４６ 膨張室 ５２ 凹部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定の荷重作用時に作動するエアバッグ
   装置に用いられ、前記エアバッグ装置作動時に乗員側に
   位置する上布と、車体に取り付けられたガス発生用イン
   フレータの側に位置する下布と、から成り、インフレー
   タから発生するガスによって乗員の側部へ向けて膨出す
   るエアバッグ装置の袋体であって、 前記インフレータの直上で前記上布と下布とに縫合さ
   れ、前記袋体内を袋体幅方向に沿いかつ前記インフレー
   タに直接連通すると共に互いに連通し合う複数の室に区
   画するストラップを備えたことを特徴とするエアバッグ
   装置の袋体。