JP3577724B2 - 巻線型コイルの巻線方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、トランスやチョークコイル等として使用される巻線型コイルの巻線方法に関する。
【0002】
【従来の技術と課題】
巻線型コイルのコアの胴部に2本の線材を同時に巻き回してバイファイラ巻きのコイルを製造した場合、線材の終端部がコア胴部に巻き回された部分に係止する位置によって、3種類の線材終端部の引出し状態が生じる。そして、これら3種類の引き出し状態は、ランダムに発生していた。
【0003】
それぞれの引出し状態のコイルは結合度及び減衰特性等の電気特性が異なるため、製造されたコイル相互間の特性にばらつきが生じるという問題があった。また、製造上においても、線材終端部の引出し状態が一定しないのは、自動化の妨げにもなる。
そこで、本発明の課題は、線材終端部の引出し状態が一定の巻線型コイルを安定して製造することができる巻線型コイルの巻線方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段と作用】
以上の課題を解決するため、本発明に係る巻線型コイルの巻線方法は
(a)コアの胴部にそれぞれのワイヤノズルから引き出された2本の線材を同時に巻き回す工程と、
(b)前記ワイヤノズルを、前記線材の終端部が固定されるべきコアの鍔部側に移動させ、前記線材を前記胴部に巻き回した部分の異なる位置にそれぞれ係止させる工程と、
(c)前記ワイヤノズルをほぼ180度回転させ、一方の線材の終端部が係止している位置を、他方の線材の終端部が係止している位置にずらす工程と、
(d)前記2本の線材の終端部を前記鍔部に固定する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0005】
以上の方法において、2本の線材のコア胴部への巻き回しが終了すると、ワイヤノズルを鍔部側に移動させて線材の終端部をコア胴部に巻き回した部分に係止する。このとき、2本の線材の終端部は異なる位置にて、コア胴部に巻き回した部分に係止することになる。次に、ワイヤノズルをほぼ180度回転させると、一方の線材の終端部が係止している位置が、他方の線材の終端部が係止している位置にずれる。従って、2本の線材の終端部が、コア胴部に巻き回された部分の同じ位置に係止した状態となる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明に係る巻線型コイルの巻線方法の一実施例について添付図面を参照して説明する。
図1(A)及び(B)に示すように、コア1は胴部2とこの胴部2の両端に設けられた鍔部3,4とからなる。胴部2は横断面が矩形状をしている。鍔部3の上面には外部電極5a,5b、6a,6bが設けられている。コア1の材料としては、例えばフェライト等の磁性体材料や樹脂等の絶縁性材料が使用される。線材10,11はポリウレタン等の絶縁膜にて銅線を被覆したものである。
【0007】
巻線装置のワイヤノズル15,16からそれぞれ導出された線材10,11は、始端部10a,10bを圧着、溶着あるいは半田付け等の手段にて外部電極5a,6aに電気的に接続され、固定される。ワイヤノズル15,16は、胴部2の矩形状横断面の一辺の延長線18を間にした位置に配置されている。このワイヤノズル15,16の位置は、線材10,11の始端部10a,11a及び後述の終端部10b,11bを外部電極5a〜6bへ引き回すのに適している。次に、胴部2を軸にしてコア1を回転させ、線材10,11を同時に胴部2に巻き回してバイファイラ巻きを行なう。
【0008】
線材10,11の胴部2への巻き回しが終了すると、図2(A)及び(B)に示すように、ワイヤノズル15,16を、胴部2の軸方向に平行に鍔部3側に移動させる。このとき、線材10は胴部2にバイファイラ巻きされている部分の図中Xにて表示された位置に引掛かり、線材11は胴部2にバイファイラ巻きされている部分の図中Yにて表示された位置に引掛かる。
【0009】
次に、図3(A)及び(B)に示すように、ワイヤノズル15,16を図中二点鎖線にて表示した中心線20の周囲に反時計回り方向に半回転させる。すなわち、線材の終端部10b,11bを180度ねじる。これにより、線材10が引掛かっている位置を、図中Xの位置からYの位置にずらすことができる。こうして、線材10,11は常にYの位置にて胴部2にバイファイラ巻きされている部分に引掛かることになる。なお、ワイヤノズル15,16を回転させるのは、一方の線材の終端部が引掛かっている位置を他方の線材の終端部が引掛かっている位置にずらすためであり、その回転方向は時計回り方向になる場合もある。
【0010】
次に、図4(A)及び(B)に示すように、ワイヤノズル15,16を、コア1の鍔部3を廻り込んで鍔部3に対向する位置に引き上げる。これにより、図5(A)及び(B)に示すように、2本の線材10,11が胴部2にバイファイラ巻きされている部分の同じ位置に引掛かった状態で、その終端部10b,11bが鍔部3に引き出されることになる。この後、終端部10b,11bは圧着、溶着あるいは半田付け等の手段にて外部電極5b,6bに電気的に接続され、固定される。図6は巻線型コイルの巻線方法のフローチャートを示したものである。
【0011】
こうして、線材10,11の引き出し状態が一定している巻線型コイルを常に得ることができる。この結果、巻線型コイル相互間の結合度及び減衰特性等の電気特性のばらつきが小さい巻線型コイルを製造することができる。
なお、本発明に係る巻線型コイル巻線方法は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形することができる。特に、巻線型コイルの胴部横断面形状は任意である。例えば横断面の形状が円形状のものでもよい。この場合、二つのワイヤノズルの最適配置位置は、胴部外周面に接する線材の引出し点での接線を挟んだ位置とされる。
【0012】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、2本の線材のコア胴部への巻き回しが終了すると、ワイヤノズルを鍔部側に移動させた後、ワイヤノズルをほぼ180度回転させて2本の線材の終端部係止位置が一致するようにしたので、線材終端部の引出し状態が一定の、すなわち、巻線型コイル相互間の電気特性のばらつきが小さい巻線型コイルを安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る巻線型コイルの巻線方法の一実施例を示すもので、(A)は正面図、(B)は平面図。
【図2】図1に続く巻線方法の工程を説明するためのもので、(A)は正面図、(B)は平面図。
【図3】図2に続く巻線方法の工程を説明するためのもので、(A)は正面図、(B)は平面図。
【図4】図3に続く巻線方法の工程を説明するためのもので、(A)は正面図、(B)は平面図。
【図5】図4に続く巻線方法の工程を説明するためのもので、(A)は正面図、(B)は平面図。
【図6】巻線方法のフローチャート。
【符号の説明】
1…コア
2…胴部
3,4…鍔部
10,11…線材
10b,11b…終端部
X,Y…引掛かり位置(係止位置)
Claims (1)
- 胴部とこの胴部の端部に設けられた鍔部を有するコアと、前記胴部に同時に巻き回された少なくとも2本の線材とを備えた巻線型コイルの巻線方法において、
前記胴部にそれぞれのワイヤノズルから引き出された2本の線材を同時に巻き回す工程と、
前記ワイヤノズルを、前記線材の終端部が固定されるべき前記鍔部側に移動させ、前記線材を前記胴部に巻き回した部分の異なる位置にそれぞれ係止させる工程と、
前記ワイヤノズルをほぼ180度回転させ、一方の線材の終端部が係止している位置を、他方の線材の終端部が係止している位置にずらす工程と、
前記2本の線材の終端部を前記鍔部に固定する工程と、
を備えたことを特徴とする巻線型コイルの巻線方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP20596193A JP3577724B2 (ja) | 1993-08-20 | 1993-08-20 | 巻線型コイルの巻線方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP20596193A JP3577724B2 (ja) | 1993-08-20 | 1993-08-20 | 巻線型コイルの巻線方法 |
Publications (2)
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---|---|
JPH0757953A JPH0757953A (ja) | 1995-03-03 |
JP3577724B2 true JP3577724B2 (ja) | 2004-10-13 |
Family
ID=16515579
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP20596193A Expired - Lifetime JP3577724B2 (ja) | 1993-08-20 | 1993-08-20 | 巻線型コイルの巻線方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3577724B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP4615750B2 (ja) * | 2001-03-28 | 2011-01-19 | 日特エンジニアリング株式会社 | コイルの製造装置および製造方法 |
JP5239822B2 (ja) * | 2008-12-17 | 2013-07-17 | 株式会社村田製作所 | 巻線型コイル部品の製造方法 |
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1993
- 1993-08-20 JP JP20596193A patent/JP3577724B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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