JP3577183B2 - 動脈硬化症予防・治療剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は動脈硬化症予防・治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、動脈硬化症、癌転移等に関する分子レベルでの研究が進展し、これらの疾患には共通して白血球と血管内皮細胞、癌細胞と血管内皮細胞などの細胞間接着が大きく関与していることが明らかとなってきた。
【0003】
生体に種々の刺激〔化学物質、日光(紫外線)、ウイルス感染、細菌感染、外傷等〕が加わると、一連の炎症反応が誘起され、血管拡張、血管透過性の亢進に続き、好中球、マクロファージ、T細胞等の白血球が炎症巣へと浸潤していく。また、外部から生体に異物が侵入すると、生体では一連の免疫反応が誘発され、その部位に白血球が多数浸潤し、いわゆる炎症反応が起こる。ここで、白血球が血管から組織内へ浸潤する際に、白血球と血管内皮細胞はそれぞれの細胞表面に存在する特異的な細胞接着分子を介して接着することが知られている。血管内皮細胞がIL−1、TNF等のサイトカイン類、活性酸素などによって活性化されると、細胞表面にICAM−1、ELAM−1、VCAM−1、GMP−140等の接着分子が誘導される。すると白血球はその表面に発現しているLFA−1、Mac−1、Sialyl Lewis X(sLex)、Sialyl Lewis a(sLea)、VLA−4等の分子を介して内皮細胞に接着し、接着した白血球の大部分はそのまま組織内へ移行し、一連の炎症、免疫反応が進行していく。従って、白血球と血管内皮細胞との接着は、白血球の浸潤のみならず、動脈硬化、一連の炎症、免疫反応の過程において極めて重要なステップであると考えられている。
【0004】
一方、癌転移は(1)原発巣で増殖した癌細胞の離脱と血管内への遊離、(2)癌細胞の血管内での移動、(3)癌細胞の末梢血管内皮への接着、(4)癌細胞の基底膜及び結合組織内への浸潤による転移巣の成立という4つの段階を経て成立すると考えられている。このうち細胞接着分子が大きな役割を演じるのは、主に原発巣からの離脱の局面と血管内皮細胞への接着の局面の2点である。血管内皮細胞上に発現し、癌転移に関与する分子としてICAM−1、VACM−1、ELAM−1等が知られており、それぞれに対応する白血球側のリガンドはLFA−1、VLA−4、Sialyl Lewis X(sLex)及びSialyl Lewis a(sLea)であることが同定されている。悪性細胞のうち白血病細胞にはこれらの細胞接着分子とそのリガンドがしばしば発現されており、白血病細胞の血管外への浸潤に関与していると考えられている。メラノーマや神経芽細胞腫、骨肉腫ではVCAM−1/VLA−4系で血管内皮細胞に接着するものがかなり多いことが知られている。また、胃癌、大腸癌、肺癌、肝癌、膵癌等では、ELAM−1が主役を演じていると考えられている〔「接着分子の発現調節と臨床応用」(メジカルビュー社,1991年)、Nature, Vol.364, 149−155(1993)、Science, Vol.247, 456−459(1990)、Annual Review 免疫1989, 175−185、Trends in Glycoscience and Glycotechnology, Vol.4, No.19, 405−414(1992)、実験医学Vol.10, No.11, 1402−1413(1992)、実験医学Vol.11, No.16,2168−2175(1993)、Annual Review 免疫1989, 175−185、感染・炎症・免疫Vol.19(2), 129−153(1989)、感染・炎症・免疫Vol.24(3), 158−165(1994)、Molecular Medicine, Vol.32(4), 348−355(1995)、医学のあゆみVol.174(1), 41−45(1995)、臨床免疫Vol.27(11), 1302−1308(1995)、臨床免疫Vol.27(4), 388−392(1995)、実験医学Vol.10(11), 1388−1395(1992)、実験医学Vol.12(8),906−964(1994)、医学のあゆみVol.169(1), 108−111(1994)、医学のあゆみVol.169(1), 103−107(1994)、Advances in immunology, Vol.58,345−416〕。
【0005】
粥状動脈硬化発生の初期には、細胞内に大量のエステル化コレステロールを蓄積した泡沫細胞と呼ばれる単球マクロファージ由来の細胞の、血管内皮下での局所的な集簇が認められる。また、粥状動脈硬化巣にはTリンパ球の存在も知られている。このような白血球の動脈硬化部位への集簇にも、血管内皮細胞上の細胞接着分子の関与が知られており、動脈硬化発症過程における重要な初期ステップとして認識されている。
【0006】
このように、動脈硬化症や癌の転移には細胞接着分子を介した白血球や癌細胞と血管内皮細胞との細胞接着が極めて重要な役割を果していることが明らかとなっており、また、理論的にも動物実験レベルにおいても細胞接着抑制物質が動脈硬化や癌転移の抑制に有効であることが広く示され、認識されるに至っていることから、本出願人を含め多くの研究者が動脈硬化、癌移転等の抑制や制御を目的に細胞接着抑制物質の探索を行っている。
【0007】
そして、これまでにこれらの細胞接着を抑制する物質としては細胞表面接着分子に対する抗体やSialy Lewis X誘導体、N−(フルオレニル−9−メトキシカルボニル)アミノ酢酸、3−デアザアデノシン等〔Proc. Natul. Acad. Sci. USA, Vol.88, 355−359(1991)、Immunopharmacology, 23, 139−149(1992)、J. Biological Chemistry, Vol.267(13), 9376−9382(1992) 、J. Immunology, Vol.144(2), 653−661(1990)〕等が報告されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、その細胞接着抑制効果は未だ満足できるものではなかった。従って、本発明の目的は、細胞接着抑制効果を有し、動脈硬化症の予防・治療に有用な薬剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは、数多くの化合物について細胞接着抑制作用を評価した結果、一般式(1)記載のリグナン類が優れた細胞接着抑制作用を有し、動脈硬化症の予防・治療等に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、一般式(1)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なって水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はアルコキシ基を示す)
で表されるリグナン類を有効成分とする動脈硬化症予防・治療剤を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
リグナン類は植物においてはヒノキ科のアスナロ(Chem. Pharm. Bull. 20(6)1150−1155(1972))などに見出されている他、種々の合成法が報告されており(Natural Product Report, 183−205(1995)、Tetrahedron Lett. 2759−2762(1969)、Chem. Pharm. Bull. 20(6)1150−1155(1972)等)、またこれまでに抗ウイルス活性や癌細胞増殖抑制活性(Planta Med. 59, 246−249(1993))、血小板へのPAFの結合阻害(Natural Product Report, 183−205(1995))などが報告されているが、その細胞接着抑制作用についてはこれまで全く知られていなかった。
【0014】
本発明で用いられるリグナン類は、前記一般式(1)で表されるものであり、式中R1 〜R4 は同一又は異なって水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はアルコキシ基を示し、アルキル基としては炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基としては炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基が挙げられ、具体的にはヒドロキシエチル基等を挙げることができる。またアルコキシ基としては炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等を挙げることができる。
これらのうち、一般式(1)においてR1 が水素原子、ヒドロキシル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基であり、R2 、R3 及びR4 がヒドロキシル基又はメトキシ基で表されるものが特に好ましい。
【0015】
このようなリグナン類(1)は、例えばアスナロ〔主に葉部、小枝部(以下「原体」と称する)〕から抽出することができる。抽出は、アスナロ原体又はその乾燥末を水、有機溶媒(石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン等のケトン類;ピリジン等の塩基性溶媒;ブタノール、プロパノール、エタノール、メタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の一価又は多価アルコール系溶媒など)、水性アルコール等を用い、通常3〜70℃で抽出処理することにより行う。
【0016】
アスナロ原体からの好ましい具体的抽出例としては、アスナロの乾燥粉砕物100gをエタノール1リットルに浸漬し、室温で時々攪拌しながら7日間抽出を行い、得られた抽出液をろ過し、ろ液を5℃で3日間静置した後、再度ろ過して上澄みを得る方法が挙げられる。次いで得られた抽出液から溶媒を留去して得られた残渣を、適宜メタノール、エタノール、酢酸エチル等の溶媒に溶解し、更に水、メタノール、エタノール、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、アセトン、ベンゼン等を溶出溶媒として、アンバーライトXAD−2、ダイアイオンHP−20、TSKゲルHW−40等の親水性ポリマーやセファデックスLH−20等のセファデックス、逆相系シリカゲルやシリカゲル、セルロース等を担体に用いたカラムクロマトグラフィーに付し、薄層クロマトグラフィーなどで目的成分を確認しながら分画することにより目的物を得ることができる。また、場合によりベンゼン、エーテル、ヘキサン、アセトン、メタノール、エタノール、水等の適当な溶媒を用いて再結晶することにより精製しても良い。
【0017】
また、文献記載の方法(Natural Product Report, 183−205(1995)、Tetrahedron Lett. 2759−2762(1969)、Chem. Pharm. Bull. 20(6)1150−1155(1972)等)により種々の誘導体を合成することができ、その由来は特に限定されるものではない。
【0018】
本発明の細胞接着抑制剤及び動脈硬化症予防・治療剤には、リグナン類に加えて、既存の高脂血症治療剤、抗癌剤等の薬物を任意に組合わせて配合することができ、また、通常用いられる賦形剤及びその他の添加剤とともに任意の形態に製剤化される。かかる賦形剤、添加剤の例として、固形状のものとしては乳糖、カオリン、ショ糖、結晶セルロース、コーンスターチ、タルク、寒天、ペクチン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、塩化ナトリウム等が挙げられ、液状のものとしてはグリセリン、落花生油、ポリビニルピロリドン、オリーブ油、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、水等が挙げられる。
【0019】
本発明の医薬は、その剤型に応じて経口、経腸、外用、注射、点眼、点鼻、吸入、経粘膜等いずれの経路によってもヒトに投与することができる。またその投与量は、年齢、体重、性別、症状、治療効果、投与方法、処理時間等の種々の要因によって異なり、特に限定されないが、経口投与の場合は通常大人1人当たり1回に0.1〜2000mg、特に10〜400mgの範囲を1日1回〜数回に分けて投与することが好ましい。また、非経口投与の場合は、通常大人1人当たり1回に0.1〜2000mg、特に10〜400mgの範囲を1日1回〜数回投与することが好ましい。
【0020】
本発明の医薬の剤型としては特に限定されず、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、トローチ剤、シロップ剤、乳液、軟ゼラチンカプセル、クリーム、ゲル、ペースト、スプレー、注射剤等が挙げられる。
錠剤の形態にする場合は、担体としては、この分野で公知のものを広く使用できる。これには、例えば澱粉、乳糖、ショ糖、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類、尿素等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセライド、澱粉、乳糖等の崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;ラウリル硫酸ナトリウム、第4級アンモニウム塩等の吸収促進剤;グリセリン、澱粉等の保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;ステアリン酸塩、ホウ酸末、精製タルク、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が挙げられる。更に錠剤は必要に応じて通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶包錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0021】
丸剤の形態にする場合には、担体としてはこの分野で公知のものを広く使用でき、これには、例えば澱粉、乳糖、ブドウ糖、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤;ラミナランカンテン等の崩壊剤等が挙げられる。
【0022】
坐剤の形態にする場合は、担体としてはこの分野で公知のものを広く使用でき、これには例えばカカオ脂、ゼラチン、ポリエチレングリコール、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、半合成グリセリド等を挙げることができる。
【0023】
注射剤として調製する場合は、液剤及び懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であることが望ましく、これら液剤、懸濁剤及び乳剤の形態にする場合は、希釈剤として、この分野において慣用されているものを利用することができる。例えば水、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレン化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。尚、この場合、等張性の水溶液を調製するに十分な量の食塩、ブドウ糖、グリセリン等を医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤や他の医薬品を医薬製剤中に含有せしめてもよい。
【0024】
また、噴霧剤の形態にする場合には、分散剤及び噴射剤はこの分野で公知のものを広く使用でき、分散剤としては例えば大豆レシチン、卵黄レシチン類、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノオレート等のソルビタン類等を用いることができる。また噴射剤として例えばフレオン11、フレオン12、フレオン114等の通常不燃性液化ガスを用いることができる。
【0025】
軟膏の形態にする場合にもこの分野で公知のものを広く使用でき、例えば水、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ポリビニルアルコール等の多価アルコール、動物性油脂、植物性油脂、鉱物油、硬化油、ミツロウ等のワックス、液状パラフィン、パラフィンロウ等の高級炭化水素、ステアリン酸等の脂肪酸、乳化剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤といった界面活性剤、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子化合物等を使用することができる。また、色素、保存剤、香料等も必要に応じて配合してもよい。
【0026】
リグナン類(1)が製剤中に配合されるべき量としては特に限定されず、広範囲に適宜選択されるが、通常製剤中1〜70重量%、特に1〜30重量%であるのが好ましい。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
製造例1
アスナロ乾燥粉砕物(180g)をエタノール1Lに浸漬し、室温において時々攪拌しながら7日間抽出を行い、得られた抽出液を濾過し、濾液を5℃において3日間静置した後、再度濾過し、上澄みを得た。次に溶媒を留去して得られた残渣(2.4g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、CHCl3:CH3OH、H2O:CH3OH)、高速液体クロマトグラフィー(YMC−ODS S−10、YMC社製)に供し、化合物1(一般式(1)において、R1=H、R2=R3=R4=OCH3)25mgを得た。
【0029】
製造例2
製造例1と同様にして、化合物2(一般式(1)において、R1=OH、R2=R3=R4=OCH3)10mgを得た。
【0030】
製造例3
製造例1と同様にして、化合物3(一般式(1)において、R1=R2=R3=R4=OCH3)21mgを得た。
【0031】
製造例4
製造例2で得た化合物2(10mg)を常法によりエチル化し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物4(一般式(1)において、R1=OC2H5、R2=R3=R4=OCH3)10mgを得た。
【0032】
製造例5
製造例2で得た化合物2(10mg)を常法によりプロピル化し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物5(一般式(1)において、R1=OC3H7、R2=R3=R4=OCH3)10mgを得た。
【0033】
製造例6
製造例1と同様にして、化合物6(一般式(1)において、R1=H、R2=R4=OCH3、R3=OH)15mgを得た。
【0034】
試験例1 白血球−血管内皮細胞接着抑制試験:
96穴培養プレート上にコンフルエントとなったヒト血管内皮細胞に対し、最終濃度10nMとなるように被験物質を添加した。3時間後にヒトIL−1αを最終濃度2.5ng/mlとなるように添加し、6時間培養した。培養液除去後、RPMI−1640培地で2回洗浄した後、あらかじめ51Crで標識したヒト末梢白血球(106cells/ml)を200μl添加し、培養した。30分後、未接着細胞を除去し、接着細胞を0.1% SDS/50mM Tris溶液で溶解後その放射活性を測定した。
その結果、表1に示すようにリグナン類は、優れた細胞接着抑制活性を有することが判明した。
【0035】
試験例2 癌細胞−血管内皮細胞接着抑制試験:
96穴培養プレート上にコンフルエントとなったヒト血管内皮細胞に対し、最終濃度10nMとなるように被験物質を添加した。18時間後にヒトIL−1αを最終濃度2.5ng/mlとなるように添加し、6時間培養した。培養液除去後、RPMI−1640培地で2回洗浄した後、あらかじめ51Crで標識したヒト骨髄腫瘍細胞HL−60(106cells/ml)を200μl添加し、培養した。30分後、未接着細胞を除去し、接着細胞を0.1% SDS/50mM Tris溶液で溶解後その放射活性を測定した。
その結果、表1に示すようにリグナン類は、癌細胞の転移に重要な、癌細胞と血管内皮細胞の接着を強く抑制することが判明した。
【0036】
試験例3 血管内皮細胞に対する毒性試験(蛋白質合成):
蛋白質合成は常法に従い、3H−ロイシンの取り込みを指標に、被験物添加後18時間培養の最終4時間における取り込み量を液体シンチレーションカウンターを用いて評価した。なお、被験物濃度は10nMとした。
その結果、表1に示すようにリグナン類はいずれも血管内皮細胞に対し、低毒性であった。
【0037】
【表1】
【0038】
試験例4 ウサギ動脈硬化モデルにおける細胞接着抑制効果:
ニュージーランド白色ウサギを使用した。高コレステロール食(1%コレステロール,9%ココナッツオイル,1%コーンオイル;200g/day摂食)での飼育により、動脈における硬化巣形成の第一段階といわれる、動脈内皮への白血球の接着を誘導した。各種リグナン類投与群(4mg/kg/day)、対照薬物としてのプロブコール投与群(4mg/kg/day)、溶媒投与群及び通常食群を設け、各被験物質を飼育開始日より1日1回経口投与した。6週間後に大動脈弓部を採取し、光学顕微鏡下にて動脈内皮細胞への白血球の接着数(個/mm2)を算定した。
その結果、表2に示すように各種リグナン類は強い細胞接着抑制効果を有することが判明した。
【0039】
【表2】
【0040】
試験例5 ウサギ動脈効果モデルにおける線維化及び粥状変性抑制効果:
ニュージーランド白色ウサギを使用した。高コレステロール食(1%コレステロール,9%ココナッツオイル,1%コーンオイル;200g/day摂食)での飼育により、動脈硬化巣及びその前段階である粥状変性を誘導した。各種リグナン類投与群(4mg/kg/day)、対照薬物としてのプロブコール投与群(4mg/kg/day)、溶媒投与群及び通常食群を設け、各被験物質を飼育開始日より1日1回経口投与した。30週間後に大動脈弓部を採取し、パラフィン包埋切片の膠原線維染色及び大動脈内腔の脂質染色を行い、光学顕微鏡下にて膠原線維染色陽性面積(%)及び脂肪染色陽性面積(%)を算定した。
その結果、表3及び表4に示すように各種リグナン類は強い線維化及び粥状変性抑制効果を有することが判明した。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
実施例1 錠剤
下記成分を用い、常法に従って、直径9mm、重量200mgの錠剤を製造した。
【0044】
(組成) (g)
リグナン類(化合物1) 1000
ヒドロキシプロピルセルロース 800
軽質無水ケイ酸 200
乳糖 500
結晶セルロース 500
タルク 500
【0045】
実施例2 硬カプセル剤用充填薬剤
下記成分を用い、常法に従って、硬カプセル剤用充填薬剤を製造した。
【0046】
(組成) (g)
リグナン類(化合物1) 1000
結晶セルロース 1000
乳糖 1500
軽質無水ケイ酸 200
【0047】
実施例3 顆粒剤
下記成分を用い、常法に従って、顆粒剤を製造した。
【0048】
(組成) (g)
リグナン類(化合物1) 200
乳糖 200
ヒドロキシプロピルセルロース 300
タルク 15
【0049】
実施例4 クリーム
下記成分を常法に従って混合し、クリームを製造した。
【0050】
【0051】
実施例5 軟膏
下記成分を常法に従って混合し、軟膏を製造した。
【0052】
【0053】
実施例6 クリーム
下記成分を常法に従って混合し、クリームを製造した。
【0054】
【0055】
実施例7 クリーム
下記処方に従い、成分(1)〜(5)を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とした。成分(6)〜(12)を(14)に均一に分散し、75℃に保ち水相とした。油相に水相を加えて乳化分散し、成分(13)を加えてかき混ぜながら30℃まで冷却してクリームを製造した。
【0056】
【0057】
実施例8 クリーム
下記処方に従い、成分(1)〜(9)を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とした。成分(10)〜(12)を(14)に均一に分散し、75℃に保ち水相とした。油相に水相を加えて乳化分散し、成分(13)を加えてかき混ぜながら30℃まで冷却してクリームを製造した。
【0058】
【0059】
実施例9 クリーム(水中油型エマルション)
下記成分を常法に従って混合し、クリームを製造した。
【0060】
【0061】
実施例10 クリーム(水中油型エマルション)
下記成分を常法に従って混合し、クリームを製造した。
【0062】
【0063】
実施例11 錠剤
下記成分を用い、常法に従って錠剤を製造した。
【0064】
【0065】
実施例12 錠剤
下記成分を均一に混合し、打錠機にて圧縮成型して1錠200mgの錠剤を製造した。
【0066】
【0067】
実施例13 錠剤
下記処方に従い、(1)、(4)及び(2)の一部を均一に混合して圧縮成型した後粉砕し、(3)及び(2)の残量を加えて混合し、打錠機にて圧縮成型して1錠200mgの錠剤を製造した。
【0068】
【0069】
実施例14 顆粒剤
下記成分を均一に混合し、捏和し、押出し造粒機により造粒後、乾燥し、篩別して、顆粒剤を製造した。
【0070】
【0071】
実施例15 カプセル剤
下記成分を均一に混合し、200mgを2号カプセルに充填した。
【0072】
【0073】
実施例16 注射剤
下記処方に従い、(5)を(1)及び(3)溶解し、これに(2)と(4)の溶液を加えて乳化し、注射剤を製造した。
【0074】
【0075】
【発明の効果】
本発明の細胞接着抑制剤は、細胞毒性が低く、優れた細胞接着抑制作用を有し、癌転移抑制剤、動脈硬化症の予防・治療剤として有用である。
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