JP3575520B2 - フレキシブル配線体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフレキシブル配線体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フレキシブル配線体は、フレキシブルフラットケーブルやフレキシブルプリント回路を総称したものである。
図4は、一般的なフレキシブル配線体の製造工程を示す概略図である。
同図(A)に示すように、フレキシブル配線体Fは、ベースフィルム1の上に略線状の導電体2を布線することによって、導電体パターンを形成した後、この導電体パターンの上にカバーレイフィルム3を貼り合わせて形成されたものである。
【0003】
そのようなフレキシブル配線体Fの使用例として、図4(B)に示すように、フレキシブル配線体Fの一端縁から導電パターンを構成する導電体2の一部を露出させ、露出された導電体(「導電体露出部分」という)2aを、それに対応する相手側の接続部(例えば別部材の導電体露出部分2a)に接合し(この明細書で「つぎはぎ接続」という)、最終形態のフレキシブル配線体FLを得ることが行なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなフレキシブル配線体Fにおいては、導電体露出部分2aを相手側の接続部に位置決めする必要があった。しかし、ベースフィルムやカバーレイフィルム等の絶縁体素材が、寸法精度の低い材料であるため、位置ずれが生じやすかった。そのため、フレキシブル配線体Fを製造する際には、できるだけつぎはぎ接続を避ける必要があるが、既製品の絶縁体素材の形状や寸法が予め定められていることや、近年の製品においては、特殊な形状や絶縁体素材の規格寸法よりも大きい面積のフレキシブル配線体を製造する必要があること等から、一枚の絶縁体素材からフレキシブル配線体を製造することは大幅なコスト高になるという問題があり、現実的ではなかった。
【0005】
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、寸法上並びに形状上の制約の少ない廉価な製品を得ることのできるフレキシブル配線体およびその製造方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、一対の絶縁フィルムと、両絶縁フィルム間にラミネートされて、導電パターンを形成している導電体とを有するフレキシブル配線体において、上記絶縁フィルムの少なくとも一方は、一定の有効材料幅の複数の絶縁フィルムが複数枚つぎはぎして形成されることにより、一枚の絶縁フィルムの規格寸法よりも大きな面積でかつ所望形状の絶縁フィルムにされているとともに、上記導電体は、つぎはぎされた複数の絶縁フィルム間にわたって継ぎ目なく複数の折り返しを繰返されることにより布線され、つぎはぎされて幅が大きくなった絶縁フィルムの幅方向に沿って連続した導電パターンを形成していることを特徴とするフレキシブル配線体である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のフレキシブル配線体において、上記絶縁フィルムは、複数枚がつぎはぎされて予め矩形の枠状に形成されているものであるフレキシブル配線体である。
【0007】
この特定事項を含む発明では、絶縁フィルムの少なくとも一方が絶縁フィルムをつぎはぎして形成されているので、絶縁フィルムの形状や大きさを用途や仕様に応じて自由に設定し、導電パターンを形成することが可能になる。また、この導電パターンは継ぎ目のない状態で形成されているので、接続部を介してつぎはぎ接続されたものに比べて良好な導通性能を発揮することができ、回路抵抗値も安定する。
【0009】
本発明の別の態様は、予め複数の絶縁フィルムをつぎはぎして一枚の絶縁フィルムの規格寸法よりも大きな面積でかつ所望の形状のベースフィルムを形成し、つぎはぎされたベースフィルムに、各絶縁フィルムにわたって導電体を布線し、ベースフィルムの端部で布線を折り返すことによって継ぎ目のない導電パターンを形成し、その後カバーレイフィルムで導電パターンを被覆することを特徴とするフレキシブル配線体の製造方法である。 この特定事項を含む発明では、導電パターンが形成されるのに先立って絶縁フィルムがつぎはぎされ、ベースフィルムが形成されるので、形状や大きさにかかわらず、継ぎ目のない導電パターンを形成することが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳述する。
図1は本発明の実施の一形態におけるフレキシブル配線体Fの製造工程を示す概略図である。
【0011】
同図(A)を参照して、図示の実施の形態に係るフレキシブル配線体Fのベースフィルム11は、複数(図では2枚)の絶縁フィルム11a、11bをつぎはぎして、形成されたものである。ここで「つぎはぎ」は、図1(A)の▲1▼で示すように、両絶縁フィルム11a、11bを突き合わせ、テープ等で一体に止定したものであってもよく、▲2▼で示すように、一部を重ね合わせて一体化したものであってもよい。
【0012】
▲1▼に示す突き合わせの場合、後述する導電パターンがフラットな平面に形成されるという利点がある。また、寸法的には、各絶縁フィルム11a、11bが比較的厚手のもの(例えば100μm)が好適である。
他方、▲2▼に示す重ね合わせの場合、各絶縁フィルム11a、11bの接合部分を保護するテープを省略することが可能になる。寸法的には、各絶縁フィルム11a、11bが薄手のもの(例えば25μm)が好適である。
【0013】
次に、図1(B)を参照して、ベースフィルム11の上に導電体12を布線することにより、導電パターンPを形成する。この導電体12の布線は、周知の工法と同様に、図示しないXYプロッタを用いてそのヘッドに布線ユニットを取り付けることにより、容易に行うことが可能になる。
ここで、図示の実施の形態では、ベースフィルム11の製造時に予め複数の絶縁フィルム11a、11bをつぎはぎしているので、導電体12の布線時には、各絶縁フィルム11a、11bにわたって継ぎ目のない導電パターンPを形成することが可能になる。
【0014】
そして、導電パターンPが形成された後は、カバーレイフィルム13で被覆し、ベースフィルム11との間で一体的にラミネートすることにより、フレキシブル配線体Fを製造することが可能になる。
図示の実施の形態では、このカバーレイフィルム13も、複数の絶縁フィルム13a、13bを重ね合わせることにより構成されている。多くの場合、より大型のフレキシブル配線体Fを廉価なコストで製造するという要請から、いずれのフィルム11、13も、複数の絶縁フィルムをつぎはぎして製造されることになる。但し、最終形態の仕様(特に後述する図3のような仕様)によっては、カバーレイフィルム13が単体の絶縁フィルムで形成されているものであってもよい。或いは逆に、ベースフィルム11を単体のフィルムで構成し、カバーレイフィルム13のみ複数の絶縁フィルムで構成してもよい。
【0015】
以上説明した工程によるフレキシブル配線体Fの製造方法では、導電パターンPが形成されるのに先立って絶縁フィルム11a、11bがつぎはぎされ、ベースフィルム11が形成されるので、ベースフイルム11の形状や大きさにかかわらず、継ぎ目のない導電パターンを形成することが可能になる。例えば、市販の絶縁フィルムは、一般に有効材料幅が1.1mであるので、それ以上大きなフレキシブル配線体Fを製造する際には、複数のフレキシブル配線体Fを製造した後、それらをつなぎ合わせていたのであるが、図1の実施の形態では、予め絶縁フィルムだけがつなぎ合わされているので、後工程でフレキシブル配線体F、F同士を接続する必要がなくなり、導通部分の接続部がなくなる分、導通特定が向上し、回路抵抗値も安定する。
【0016】
図2は本発明の別の実施の形態を説明するためのものであり、(A)は図1で説明した製造方法を用いて製造された別のフレキシブル配線体Fの概略構成を示す斜視図、(B)は(A)の比較例(従来例)を示す斜視図である。
図2(A)(B)を参照して、中央部に矩形の空間Sを区画する枠状のフレキシブル配線体Fを製造する場合、従来は、図2(B)に示すように、特殊仕様の超大型フィルムを用いて導電体をラミネートした後、後工程で中央部分を切除していた。このため、製品の材料費が非常に高くなり、不経済であった。
【0017】
これに対して、上述した図1の製造方法では、ベースフィルムやカバーレイフィルムを製造する際に、予め矩形の枠状に絶縁フィルム11a〜11d(13a〜13d)をつぎはぎすればよいので、廉価な既製品を用いて所望の寸法および形状のフレキシブル配線体Fを得ることができる。
図3は図1で説明した製造方法を用いて製造されたさらに別のフレキシブル配線体Fの概略構成を示す斜視図である。
【0018】
同図を参照して、図の左側部分においては、廉価な絶縁フィルム11a、11b、13a、13bを用いているのに対し、各絶縁フィルム11a、13aの右側には、特殊な特性(例えば耐薬性、耐熱性、耐光性、耐座屈性、耐ノイズ性等)を有するフィルム11b、13bがつぎはぎされている。
この実施の形態において明らかなように、製造されるフレキシブル配線体Fの用途や仕様に応じて絶縁フィルム11b、13bの種類を選択することにより、安価で高付加価値のある製品を製造することが可能になるのである。
【0019】
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例に過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることは云うまでもない。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、予め複数の絶縁フィルムをつぎはぎして形成されたフィルムに継ぎ目のない導通パターンを形成することにより、寸法上並びに形状上の制約の少ない廉価な製品を得ることができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態におけるフレキシブル配線体の製造工程を示す概略図である。
【図2】本発明の別の実施の形態を説明するためのものであり、(A)は図1で説明した製造方法を用いて製造された別のフレキシブル配線体の概略構成を示す斜視図、(B)は(A)の比較例(従来例)を示す斜視図である。
【図3】図1で説明した製造方法を用いて製造されたさらに別のフレキシブル配線体の概略構成を示す斜視図である。
【図4】一般的なフレキシブル配線体の製造工程を示す概略図である。
【符号の簡単な説明】
F フレキシブル配線体
11 ベースフィルム
11a 絶縁フィルム
11b 絶縁フィルム
12 導電体
13 カバーレイフィルム
13a 絶縁フィルム
13b 絶縁フィルム

Claims (3)

  1. 一対の絶縁フィルムと、両絶縁フィルム間にラミネートされて、導電パターンを形成している導電体とを有するフレキシブル配線体において、
    上記絶縁フィルムの少なくとも一方は、一定の有効材料幅の複数の絶縁フィルムが複数枚つぎはぎして形成されることにより、一枚の絶縁フィルムの規格寸法よりも大きな面積でかつ所望形状の絶縁フィルムにされているとともに、上記導電体は、つぎはぎされた複数の絶縁フィルム間にわたって継ぎ目なく複数の折り返しを繰返されることにより布線され、つぎはぎされて幅が大きくなった絶縁フィルムの幅方向に沿って連続した導電パターンを形成していることを特徴とするフレキシブル配線体。
  2. 請求項1記載のフレキシブル配線体において、
    上記絶縁フィルムは、複数枚がつぎはぎされて予め矩形の枠状に形成されているものであるフレキシブル配線体。
  3. 請求項1または2記載のフレキシブル配線体を製造するフレキシブル配線体の製造方法において、
    予め複数の絶縁フィルムをつぎはぎして一枚の絶縁フィルムの規格寸法よりも大きな面積でかつ所望の形状のベースフィルムを形成し、
    つぎはぎされたベースフィルムに、各絶縁フィルムにわたって導電体を布線し、ベースフィルムの端部で布線を折り返すことによって継ぎ目のない導電パターンを形成し、
    その後カバーレイフィルムで導電パターンを被覆する
    ことを特徴とするフレキシブル配線体の製造方法。
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