JP4070054B2 - ワイヤーハーネスのジョイント構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のような車両内に配線されるワイヤーハーネスを接続するためのワイヤーハーネスのジョイント構造に関し、特に、薄型化を図り、任意の位置に配置することができ、しかも容易に組立てることができるようにしたワイヤーハーネスのジョイント構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のような車両における電気回路は、例えば図12に示すように、バッテリ101と、そのバッテリ101に接続された2本の幹線111と、幹線111、111間に並列に接続された枝線112とを有し、枝線112には、スイッチ103、電球104又はモータ105などの部品が設けられている。幹線111と枝線112とはジョイント106によって接続される。ジョイントの例として、スプライス端子、ジョイントコネクタそして溶接ジョイントなどがある。
【0003】
スプライス端子は、図13に示すように、幹線111のジョイントの部分の被覆部を剥離して芯線110aを露出させ、他方、枝線112の先端部も被覆部を剥離して芯線110aを露出させ、その露出した芯線110a,110a同士を束ねて端子114を圧着して設け、この端子114の周囲に絶縁性を確保するためのビニルテープやチューブ113などで被覆したものである。スプライス端子は、任意の部分にコンパクトで簡易な分岐部を設けることができるという利点を有している。
【0004】
しかし、幹線111及び枝線112の被覆部を剥離することにより芯線110a,110aを露出させ、露出した芯線110a,110a同士を束ねて端子114を圧着して設けるという作業は煩雑であり、自動化することが困難であるといった問題、さらにジョイント部分をビニルテープ113などで被覆するには、手作業で行わなければならないため絶縁性の質が安定しないといった問題等がある。
【0005】
したがって、ジョイントとしてはスプライス端子に代わって、ジョイントコネクタや溶接ジョイントが用いられている。ジョイントコネクタは図14に示すように、複数本の枝線112の芯線110aの先端部にメス端子120が取り付けられ、そのメス端子120に櫛歯状のバスバー121が挿し込まれ、その周囲がコネクタハウジング122でカバーされたものである。このようなジョイントコネクタは、部品数が多いため、コストが高くなるといった問題がある。
【0006】
一方、溶接ジョイントは図15に示すように、電線110の露出した芯線110a同士を溶接し、この部分を折返し、この折返した部分を絶縁キャップ123によって被覆するとともに、その周囲をビニルテープ113によって巻き付けたものである。芯線110a同士を溶接した部分は、構造上の制約や作業上の都合から折返す必要がある。しかし、この折返された部分は、太い電線110の束となり、任意の部分に取り付けることができないといった問題がある。
【0007】
スプライス端子、ジョイントコネクタ及び溶接ジョイントには以上のような問題点があり、また、ジョイント可能な回路数も限定されるという問題点があった。
【0008】
そこで、回路が増加した今日では、分散していたジョイントを1か所に集中するジョイントボックスを複数設けることが考えられる。ジョイントボックスは図16に示すように、上ケース131と下ケース132との間に形成される空間内に、複数の層のバスバー133がプラスチック製の絶縁板134を間に挟んで配置され、バスバー133の先端を折曲したオス端子133aを上下ケース131,132から突出させたものである。このオス端子133aはワイヤーハーネス(図示せず)の電線の先端に設けられたメス端子に接続される。バスバー133は銅及び銅系合金などからなる導体平板がプレスで打ち抜かれて形成される。なお、図16中、150は上ケースに設けられたハウジング、151は、絶縁板に形成されオス端子133aが挿入される貫通孔である。
【0009】
また、最近ではこのようなバスバー133と絶縁板134との組合せに代わって、フレキシブルプリント基板(FPC)が用いられることがある。FPCには、オス端子133aが設けられず、ワイヤーハーネスの先端に設けられた舌片が接続される。
【0010】
さらに、従来のワイヤーハーネスのジョイント構造を図17を参照しながら説明する。このワイヤーハーネスのジョイント構造の配線回路構体10は、ワイヤーハーネス30の途中又は端部における複数本の直線のFFC(フレキシブルフラットケーブル)11の片面又は両面に絶縁フィルム20を貼り合わせたものである。そして、縦方向の配線回路構体10上に3つの横方向の配線回路構体10を重ね合わせ、上下に配置されたFFC11同士で接続すべき箇所の絶縁フィルム20に接続穴23が形成されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ジョイントボックスは、重くて大きいため、自動車の中に多数設置したり、任意の位置に配置することができず、主にエンジンルームやファイヤーウォールの裏側に設置され、載置される場所が限られる。また、ジョイントボックスがエンジンルームなどに載置場所が限られることにより、ワイヤーハーネスは、長い距離を配索され、その分電線を長くしなければならない。
【0012】
また、ワイヤーハーネスの先端に設けられたオス端子133aは、バスバー133の先端を折曲して成形されるため、その成形する作業が面倒である。さらにバスバー133は、オス端子133aのタブ厚の規格に合わせて、0.65mmや0.8mmと厚くなっている。
【0013】
したがって、従来のバスバー133では、回路密度を上げることができず、ジョイントボックスが大型化してしまう。そのため、多くのジョイントボックスをエンジンルーム内に設置することができず、電気部品などを増加させることができないことから、乗車時の快適性を向上させるニーズに応えることができない。
【0014】
また、ジョイントボックスのオス端子133aに接続するワイヤーハーネスは、コネクタハウジングと収納される端子の配置を間違えることないようにするため、電線が色分けされ、先端がコネクタハウジングを用いてバスバー133のオス端子133aのピッチに合わせて並べられ、メス端子を圧着している。このように電線を色分けする作業や先端にメス端子を圧着する作業は面倒であり、またメス端子やハウジングなどの部品コストや加工コストが高くなるといった問題がある。
【0015】
また、従来のワイヤーハーネスのジョイント構造では、FFC11が平行な直線であるため、ワイヤーハーネスのジョイント構造を連続的に安価に製作することができるが、重ね合わせ加工が増え、組立て作業が煩雑になるため、ワイヤーハーネス30のFFC11が平行な直線で回路数も少ない場合でないと、製作することができないという問題があった。
【0016】
そこで、本発明は薄型化を図り、自動車の任意の位置に配置することができ、かつ容易かつ安価に組立てることができるワイヤーハーネスのジョイント構造を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のワイヤーハーネスのジョイント構造は、
複数本の第1のフレキシブルフラットケーブルが面内で交差しないように配置され、かつ、前記第1のフレキシブルフラットケーブルの少なくとも1つが面内で折り曲げられた形状に形成されてなる配線回路構体と、前記配線回路構体の片面又は両面に貼り合わされる絶縁フィルムと、複数本の第2のフレキシブルフラットケーブルを並列に配置してなる平面状のワイヤーハーネスとを有し、
前記配線回路構体を複数の層で構成し、かつそれぞれの配線回路構体の間に前記絶縁フィルムを介在させて構成し、
それぞれの前記配線回路構体の各第1のフレキシブルフラットケーブルは、前記ワイヤーハーネスの前記第2のフレキシブルフラットケーブルと接続するための接続部を有し、
それぞれの前記絶縁フィルムは、前記接続部に対応した位置に窓部が形成され、
前記窓部を介して、それぞれの前記配線回路構体の前記第1のフレキシブルフラットケーブルの接続部と前記ワイヤーハーネスの第2のフレキシブルフラットケーブルとが接続される、ことを特徴とするものである。
【0018】
前記絶縁フィルム同士を位置決めするパイロット穴が前記各々の絶縁フィルムに形成されていてもよい。
【0019】
前記絶縁フィルムと前記ワイヤーハーネスにはそれぞれパイロット切欠部が形成されており、前記それぞれのパイロット切欠部は、互いに重ね合わせたときに、前記窓部において露出された各々の前記配線回路構体の接続部と、対応する前記ワイヤーハーネスの第2のフレキシブルフラットケーブルとが接続される位置に形成されていてもよい。
【0020】
平面部と、その平面部の両側縁に設けられた複数の立ち上がり部とを備えた接続端子を有し、前記立ち上がり部の先端部は、前記絶縁フィルム及び前記配線回路構体の第1のフレキシブルフラットケーブルの内部を貫通した後、互いに接近する方向に反転することにより、前記接続端子を前記配線回路構体に電気的に接続して取り付けてもよい。
【0021】
前記配線回路構体及び絶縁フィルム、さらに接続されたワイヤーハーネスの接続部分は、接着性の絶縁フィルムでラミネートされ、その絶縁フィルムの全体又は一部が車両や機器の構造材に固定されるものであってもよい。
【0022】
前記配線回路構体及び絶縁フィルム、さらに接続されたワイヤーハーネスの接続部分は、車両や機器の取付部分の形状に合わせて成形され、その成形部分の全体又は一部が車両や機器の構造材に固定されるものであってもよい。
前記配線回路構体及び前記配線回路構体に接続されたワイヤーハーネスを、所定のラインを中心に折り畳んで、重ね合わせてもよい。
【0023】
本発明のワイヤーハーネスのジョイント構造によれは、配線回路構体と絶縁フィルムとを重ね合わせることによって構成されるため、任意の位置に取り付けることができるように薄型化でき、また容易に組み立てることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の参考の形態及び第1の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造を図1から図11を参照しながら説明する。ここでは、図2に示すような電気回路に対応する配線回路構体10について説明する。また、図3及び図6から図11中の符号ア,a,b,1,2,…はワイヤーハーネス30の電線の先端を接続する接続部12である。
【0025】
本発明の参考の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造は、図3に示すような配線回路構体10の片面又は両面に、図4に示すような絶縁フィルム20を接着剤によって貼り合わせたものである。配線回路構体10は、多数本のフレキシブルフラットケーブル(以下、「FFC」という。)11からなる回路パターン部が四角面内で交叉しないように分離してレイアウトされる。配線回路構体10は、銅、銅合金あるいはアルミニウムなどの導体で作られた厚さ0.02〜0.3mm程度の薄板を、プレスによって打ち抜いて、あるいはエッチング法やメッキ法によって形成される。
【0026】
プレスによって打ち抜くような機械的方法による方が、厚めの導体薄板を加工することができるという利点や、薬品を使用しないため、絶縁フィルム20の素材や接着剤の選択肢も増加し、さらに環境に与える悪影響もないという利点がある。プレスなどによって打ち抜かれるFFC11の片面又は両面には接着層が設けられ、絶縁フィルム20が重ね合わされる。したがって、接着層が設けられていない部分の導体薄板はプレス後に除去され、接着層が設けられたFFC11は絶縁フィルム20に接着され、所望のレイアウトを維持する。
【0027】
図2に示す電気回路において、回路1−1,ア−アはL字形状で他のいずれの回路とも交叉していない。したがって、図3に示すFFC11(1−1,ア−ア)も回路1−1,ア−アと同じようなL字形状に加工される。また、回路2−2は回路a−a−…−a,b−b−…−bと交叉している。そこで、FFC11(2−2)は直線に形成され、FFC11(a−a−…−a)は周囲を取り囲むように迂回して形成され、FFC11(b−b−…−b)は蛇行するように形成され、いずれのFFC11も他のFFC11と交叉及び接触することがないように四角面内でレイアウトされる。
【0028】
このように迂回したり蛇行したFFC11の両端部や中間部には、接続部12(ア,a,b,1,2,…)が設けられる。この接続部12は、他のFFC11に設けられた接続部12と並べて配置される。また、配線回路構体10の四隅には、位置決めするためのパイロット穴13が形成される。
【0029】
他方、絶縁フィルム20は、配線回路構体10よりも一回り大きく、図4に示すように、配線回路構体10の接続部12に対応して窓部21が形成される。窓部21は接続部12の数によって種々の大きさに形成されている。また絶縁フィルム20を配線回路構体10に正確に重ね合わせるため、絶縁フィルム20にも配線回路構体10のパイロット穴13に対応してパイロット穴22がプレス法などによって形成されている。また、絶縁フィルム20の周囲には、ワイヤーハーネス30の先端部を正確な位置で接続するためのパイロット切欠部22aが形成されている。
【0030】
絶縁フィルム20は、熱可塑性の接着剤又は熱硬化性の接着剤とプラスチックフィルムとからなるラミネートフィルムであり、プラスチックフィルムの素材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルナフタレート(PEN)などが好ましい。
【0031】
絶縁フィルム20の窓部21から露出している接続部12には、図5(a)(b)(c)に示すようなワイヤーハーネス30の先端部が接合される。ワイヤーハーネス30の先端部も、配線回路構体10のFFC11と同じ幅で、かつ接続部12のピッチと同じピッチの複数のFFC31がホルダ32によって固定されている。ホルダ32の側面には、位置決めするためのパイロット切欠部32aが形成されている。ただし、このワイヤーハーネス30のFFC31は、接続部12の数や絶縁フィルム20の窓部21の大きさに合わせて、ここでは例えば図5(a)(b)(c)に示す3種類が備えられている。
【0032】
次に、本発明の参考の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造の組立て方法について説明する。
【0033】
まず、配線回路構体10のパイロット穴13と絶縁フィルム20のパイロット穴22とを位置合わせし、プレスされた導体平板の上に絶縁フィルム20を重ね合わせ、FFC11を絶縁フィルム20に接着する。そして、絶縁フィルム20に接着されていない導体薄板は除去され、絶縁フィルム20に接着されているFFC11は、所望のレイアウトを維持し、図6に示すように絶縁フィルム20の窓部21から配線回路構体10のFFC11の接続部12が露出する。この窓部21から露出している配線回路構体10のFFC11の接続部12には、絶縁フィルム20のパイロット切欠部22aとワイヤーハーネス30のホルダ32に形成されたパイロット切欠部32aとを利用して、ワイヤーハーネス30のFFC31の先端部が接続される。
【0034】
このとき、配線回路構体10のFFC11の接続部12を例えば溶接治具の受け側(アンビル)の上に載せ、正確に位置決めすることができるため、絶縁フィルム20のパイロット切欠部22aとワイヤーハーネス30のホルダ32のパイロット切欠部32aとを合わせて添えるだけで、配線回路構体10のFFC11の接続部12にワイヤーハーネス30のFFC31を容易に接続することができる。配線回路構体10のFFC11の接続部12にワイヤーハーネス30のFFC31を接続するには、超音波接続、抵抗溶接(スポット溶接)、導電性接着剤などの手段が用いられる。
【0035】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造を図7から図11を参照しながら説明する。このワイヤーハーネスのジョイント構造は、配線回路構体10を複数の層で構成し、それぞれの配線回路構体10の間に絶縁フィルム20を介在させたものである。図7から図10には、絶縁フィルム20の上に配線回路構体10を貼り合わせた場合を図示している。ある層の配線回路構体10は図7に示すように、多数本のFFC11が交叉しない直線ないしL字形で分離して配置される。
【0036】
別の層の配線回路構体10は図8及び図9に示すように、縦方向の1本のFFC11とそのFFC11から横方向へ延びるFFC11とが一体に形成される。このような配線回路構体10には図7から図9に示すように、それぞれ同じ形状の絶縁フィルム20に貼り合わされる。どの絶縁フィルム20も、いずれも同じ位置に窓部21、パイロット穴22及びパイロット切欠部22aが形成されている。
【0037】
そして、パイロット穴13,22を利用して、これらの絶縁フィルム20を重ね合わせると、図10に示すように絶縁フィルム20の窓部21から接続部12が露出したワイヤーハーネスのジョイント構造が組み立てられる。配線回路構体10のFFC11は、平面的には交叉していても、各層の間には絶縁フィルム20が介在しているため、FFC11同士が短絡することはない。窓部21から露出している接続部12には、図5に示したワイヤーハーネス30のFFC31の先端部が接続される。
【0038】
次に、本発明の第1の実施の形態の変形例を図11を参照しながら説明する。この図11に示した変形例はアース回路として使用する場合に好適な配線回路構体10であり、上記の図9に示した配線回路構体10に代わるものであるが、図8に示した配線回路構体10に代わるものとすることもできる。いずれにしても、この配線回路構体10は、図9及び図8に示したFFC11と異なり、大きな面積のほぼ四角形状の導体平板に開口部14を形成したものである。開口部14は、他の図7及び図8に示した配線回路構体10の接続部12を露出させる位置に形成される。この図11に示した配線回路構体10は、図9に示した配線回路構体10に代わるものであるから、図9に示した配線回路構体10の接続部12(a)に対応して、開口部14内にはブリッジ状の接続部12(a)が形成される。このように、接続部12aをブリッジ状に形成すると、接続部の強度が向上して好ましい。
【0039】
また、この配線回路構体10の表面に貼り合わされる絶縁フィルム20にも、配線回路構体10の開口部14と同じ位置に窓部21が形成される。この絶縁フィルム20の窓部21は図11に示すように、ブリッジ状の接続部12(a)をカバーせず、また上下に重ねられる配線回路構体10の絶縁性を確保するため、配線回路構体10の開口部14よりも小さいものである。また、配線回路構体10にはパイロット穴13が形成され、絶縁フィルム20にはパイロット穴22とパイロット切欠部22aが形成される。
【0040】
この図11に示した配線回路構体10と、図7及び図8に示した配線回路構体10とを、パイロット穴13,22を利用して、絶縁フィルム20をその各配線回路構体10の間に介在させて重ね合わせると、開口部14,21から接続部12が露出したワイヤーハーネスのジョイント構造が完成する。そして、この配線回路構体10の接続部12には、図5に示したワイヤーハーネス30のFFC31が接続される。
【0041】
図11に示した配線回路構体10は面積が大きいため、大電流を流すことができることに加え、他の層の配線回路構体10の熱を吸収し、配線回路構体10全体の通電の容量も大きくすることができる。さらに、車両事故などが発生したときに、異物が本ワイヤーハーネスのジョイント構造を貫いて、回路が短絡した状態となっても、大きな面積のアース回路に短絡されるため、ヒューズやブレーカーなどの保護遮断機構を有効に作動させることができる。
【0042】
なお、図11に示した配線回路構体10が最下層に置かれるときは、他の配線回路構体10を重ね合わせない露出する面に絶縁フィルム20を必ずしも貼り合わせる必要はないが、他の部品との絶縁性を確保するため、この配線回路構体10の両面に絶縁性フィルムを貼り合わせる方が好ましい。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造を説明する。図18及び図19は、第2の実施の形態の製造方法を工程順に説明するための説明図、図20は、本発明の第2の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造を示す平面図、図21(A)は接続端子の構造を示す斜視図、(B)は接続端子を配線回路構体のFFCに接続した状態を示す断面図である。
【0044】
まず、図18(A)に示すように、銅、銅合金、アルミニウム等の導体で作られた厚さ0.02〜0.3mm程度の薄い導電板をプレス加工で所定の形状に打ち抜いて、配線回路構体10を形成する。配線回路構体10には位置決めのためのパイロット穴13が形成される。
【0045】
次いで、配線回路構体10に対し、変形修正のためのプレス加工を行う。
【0046】
次いで、窓部21及びパイロット穴22が形成された絶縁フィルム20を用意し、配線回路構体10のパイロット穴13と絶縁フィルム20のパイロット穴22とを位置合わせして、配線回路構体10の表面及び又は裏面に絶縁フィルム20を重ね合わせ、仮止めした後、絶縁フィルム20を熱プレスして取り付ける。
【0047】
次いで、必要に応じて配線回路構体10の回路パターン部であるFFC11の回路同士を繋げていたブリッジ部分を切断する。
【0048】
次いで、図18(C)に示すように、窓部21から露出している配線回路構体10の接続部12にハイヤーハーネス30のFFC31の先端部をスポット溶接等により接続する。
【0049】
次いで、図19(A)に示すように、溶接した部分を覆うためのパッチ部40をワイヤーハーネス30の先端部上に仮止めし、パッチ部40を熱プレスして取り付けた後、不要な外形部分を切り抜く。
【0050】
次いで、図19(B)に示すように、配線回路構体10のFFC11に接続端子50を圧着する。ここで、接続端子50は、図21(A)に示すように、導電性金属の板材からなり、短形状の平面部51と、その平面部51の長辺側の両側部に平面部51に対して略垂直に立ち上げられた複数個(図21では6個)の立ち上がり部52とを備えている。立ち上がり部52は、平面視形状が、基端部52aから先端部52bにかけて幅が狭くなる略山型に形成され、その先端部52bは切削加工又は先端部を潰すことにより面取り加工されている。面取りの角度は、15〜45度の範囲にすると、フラットケーブルに突き刺しやすくなるので、好ましい。また、立ち上がり部52と平面部51との間の折曲部53の曲率半径は、板材の厚さの0.25〜1倍に設定するのが好ましい。
【0051】
接続端子50においては、図21(B)に示すように、立ち上がり部52の先端部52bが、絶縁フィルム20及びFFC11を貫通し、互いに接近する方向に反転される。そして、先端部52bが、絶縁フィルム20の表面20aに再接触し、絶縁フィルム20の裏面20bを接続端子50の平面部51に押し付ける。このとき、立ち上がり部52の内壁54とFFC11とが電気的に接続される。図21(B)に示すように、カールされた立ち上がり部52の曲げ半径は、接続端子の板材の厚さの0.25〜1.5倍の範囲に設定することが好ましい。
【0052】
次いで、図19(C)に示すように、絶縁フィルム20で被覆された配線回路構体10、パッチ部40及びワイヤーハーネス30をラインL(図19(B)参照)を中心にして接続端子50側に折り畳んで、ワイヤーハーネス30を重ね合わせる。
【0053】
最後に、絶縁フィルム20で被覆された配線回路構体10及びワイヤーハーネス30にコーナプロテクタ60を取り付けることにより、第2の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造が完成する。
【0054】
第2の実施の形態によれば、ワイヤーハーネス30等を折り畳んで重ね合わせるので、全体として占有面積が小さくなり、装置の省スペース化を図ることができる。
【0055】
また、配線回路構体10のFFC11に、図21に示す構造の接続端子50を用いて接続するので、良好な電気的接続状態を維持することができる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。例えば、いずれのワイヤーハーネスのジョイント構造においても平板状のものを図示したが、FFC11及び絶縁フィルム20は柔軟性を有しているため、車両や機器の取付部分の形状に合わせて自由に成形し、本ワイヤーハーネスのジョイント構造の占有面積を減少させ、分散して配置することができる。
【0057】
さらに、FFC11の接続部12とワイヤーハーネス30のFFC31との接続部を絶縁フィルム20でラミネートすることにより、あるいは、樹脂のような絶縁材料で任意の形状にインサート成形することにより、ワイヤーハーネスのジョイント構造を機械的に保護し、電気的にショートしないようにするとともに、絶縁フィルムの全体もしくは一部を、あるいは、樹脂の全体又は一部を車両や機器の構造材に固定することもできる。さらに、ワイヤーハーネス30の先端部は配線回路構体10の接続部12に接続せず、ワイヤーハーネス30のFFCと配線回路構体10のFFCとを一体化したワイヤーハーネスのジョイント構造とすることもできる。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、ワイヤーハーネスのジョイント構造を、配線回路構体と絶縁フィルムとを重ね合わせて構成したことにより、薄型化を図ることができ、かつ多くの電気部品を接続することが可能となる。したがって、乗車時の快適性を向上させるというニーズに応えることができる。しかも、薄型化されたことにより、車両の軽量化を図ることができ、燃料消費率を改善することができる。
【0059】
また、本発明のワイヤーハーネスのジョイント構造は配線回路構体と絶縁フィルムとを重ね合わせるだけであるから、極めて容易に製造することができる。しかも、本発明のワイヤーハーネスのジョイント構造にワイヤーハーネスを接続する作業は自動化が可能であることと相俟って、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造を示す平面図である。
【図2】 本発明のワイヤーハーネスのジョイント構造に対応する電気回路図である。
【図3】 本発明の参考の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造を構成する配線回路構体を示す平面図である。
【図4】 本発明の参考の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造を構成する絶縁フィルムを示す平面図である。
【図5】 本発明の参考の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造に接続するワイヤーハーネスを示し、(a)(b)(c)はそれぞれ異なる種類のワイヤーハーネスを示す平面図である。
【図6】 本発明の参考の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造を示す平面図である。
【図7】 本発明の第1の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造であって、第1の配線回路構体に絶縁フィルムを貼り合わせた状態を示す平面図である。
【図8】 本発明の第1の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造であって、第2の配線回路構体に絶縁フィルムを貼り合わせた状態を示す平面図である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造であって、第3の配線回路構体に絶縁フィルムを貼り合わせた状態を示す平面図である。
【図10】 本発明の第1の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造であって、第1、第2、第3の配線回路構体に絶縁フィルムを貼り合わせたものを重ねた状態を示す平面図である。
【図11】 本発明の第1の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造の変形例を示す平面図である。
【図12】 自動車のような車両における電気回路図である。
【図13】 スプライス端子の断面正面図である。
【図14】 ジョイントコネクタの正面図である。
【図15】 溶接ジョイントの断面正面図である。
【図16】 ジョイントボックスの分解斜視図である。
【図17】 従来のワイヤーハーネスのジョイント構造を示す平面図である。
【図18】 本発明の第2の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造の製造方法を工程順に説明するための説明図である。
【図19】 本発明の第2の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造の製造方法を工程順に説明するための説明図である。
【図20】 本発明の第2の実施の形態に係るワイヤーハーネスのジョイント構造を示す平面図である。
【図21】 (A)は接続端子の構造を示す斜視図、(B)は接続端子を配線回路構体のFFCに接続した状態を示す断面図である。
Claims (7)
- 複数本の第1のフレキシブルフラットケーブルが面内で交差しないように配置され、かつ、前記第1のフレキシブルフラットケーブルの少なくとも1つが面内で折り曲げられた形状に形成されてなる配線回路構体と、前記配線回路構体の片面又は両面に貼り合わされる絶縁フィルムと、複数本の第2のフレキシブルフラットケーブルを並列に配置してなる平面状のワイヤーハーネスとを有し、
前記配線回路構体を複数の層で構成し、かつそれぞれの配線回路構体の間に前記絶縁フィルムを介在させて構成し、
それぞれの前記配線回路構体の各第1のフレキシブルフラットケーブルは、前記ワイヤーハーネスの前記第2のフレキシブルフラットケーブルと接続するための接続部を有し、
それぞれの前記絶縁フィルムは、前記接続部に対応した位置に窓部が形成され、
前記窓部を介して、それぞれの前記配線回路構体の前記第1のフレキシブルフラットケーブルの接続部と前記ワイヤーハーネスの第2のフレキシブルフラットケーブルとが接続される、
ことを特徴とするワイヤーハーネスのジョイント構造。 - 前記絶縁フィルム同士を位置決めするパイロット穴が前記各々の絶縁フィルムに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネスのジョイント構造。
- 前記絶縁フィルムと前記ワイヤーハーネスにはそれぞれパイロット切欠部が形成されており、
前記それぞれのパイロット切欠部は、互いに重ね合わせたときに、前記窓部において露出された各々の前記配線回路構体の接続部と、対応する前記ワイヤーハーネスの第2のフレキシブルフラットケーブルとが接続される位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤーハーネスのジョイント構造。 - 平面部と、その平面部の両側縁に設けられた複数の立ち上がり部とを備えた接続端子を有し、前記立ち上がり部の先端部は、前記絶縁フィルム及び前記配線回路構体の第1のフレキシブルフラットケーブルの内部を貫通した後、互いに接近する方向に反転することにより、前記接続端子を前記配線回路構体に電気的に接続して取り付ける、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの項に記載のワイヤーハーネスのジョイント構造。
- 前記配線回路構体及び絶縁フィルム、さらに接続されたワイヤーハーネスの接続部分は、接着性の絶縁フィルムでラミネートされ、その絶縁フィルムの全体又は一部が車両や機器の構造材に固定されるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つの項に記載のワイヤーハーネスのジョイント構造。
- 前記配線回路構体及び絶縁フィルム、さらに接続されたワイヤーハーネスの接続部分は、車両や機器の取付部分の形状に合わせて成形され、その成形部分の全体又は一部が車両や機器の構造材に固定されるものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つの項に記載のワイヤーハーネスのジョイント構造。
- 前記配線回路構体及び前記配線回路構体に接続されたワイヤーハーネスを、所定のラインを中心に折り畳んで、重ね合わせることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つの項に記載のワイヤーハーネスのジョイント構造。
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