JP2005135823A - フラットハーネスの分岐構造及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 部品点数を増やさずに分岐部を備える。
【解決手段】 フラットハーネス1は、本回路部30と、分岐回路部40,50とを備えて構成され、本回路部30の少なくとも一方の面には、複数の導体10を露出させる開口窓部60が形成され、更に所定の導体10を露出させる分岐開口部80が形成された絶縁フィルム70が開口窓部60を覆うように貼り付けられ、分岐回路部40,50の口出しされた導体10は、この分岐開口部80において本回路部30の導体10と直接接続され分岐部90が形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】 フラットハーネス1は、本回路部30と、分岐回路部40,50とを備えて構成され、本回路部30の少なくとも一方の面には、複数の導体10を露出させる開口窓部60が形成され、更に所定の導体10を露出させる分岐開口部80が形成された絶縁フィルム70が開口窓部60を覆うように貼り付けられ、分岐回路部40,50の口出しされた導体10は、この分岐開口部80において本回路部30の導体10と直接接続され分岐部90が形成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、複数の導体を平面状に並設してなるフラットハーネスの分岐構造及びその製造方法に関し、特に部品点数を増やさずに複数の回路に分岐する分岐部を備えることができるフラットハーネスの分岐構造及びその製造方法に関する。
従来から、複数の回路に分岐する分岐部を備えたフラットハーネスとしては、図11に示すようなものがある。図11のフラットハーネス100は、所定の長さで帯状に形成したフラットハーネス100の一方の端末部を幹部(本回路部)110とし、他方の端末部を複数に分岐した枝部(分岐回路部)120,130として、幹部110を構成する複数の導体150の2以上に導体150同士を短絡させる短絡金具210,220を備えるジョイント器200を接続して枝部120,130間を電気的に短絡させるものである(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載のフラットハーネス100では、ハーネスの厚さを抑え、ハーネスを一体もののまま分岐可能とし、ジョイント器200を接続するだけで分岐作業が行える旨が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、回路の分岐に際してハーネスとは別部材となるジョイント器200が必要となるため、フラットハーネス100を構成する部品点数が増えてしまうという問題がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、部品点数を増やさずに分岐部を備えることができるフラットハーネスの分岐構造及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る第1のフラットハーネスの分岐構造は、複数の導体を平面状に並設し絶縁被覆で帯状に覆った構造からなるフラットハーネスの分岐構造であって、前記フラットハーネスは、複数の部材間を電気的に接続する本回路部及びこの本回路部から分岐する分岐回路部を備え、前記本回路部は、少なくとも一方の面に前記絶縁被覆を除去して前記複数の導体を露出させた開口窓部が形成されると共に、この開口窓部を覆う絶縁部材を有し、前記絶縁部材は、前記開口窓部内で露出された複数の導体の前記分岐回路部と接続される部分のみを露出させる分岐開口部を備えてなり、前記分岐回路部は、前記分岐開口部から露出された導体に前記分岐回路部の導体を直接接続した分岐部を介して前記本回路部から分岐されていることを特徴とする。
本発明に係る第2のフラットハーネスの分岐構造は、複数の導体を平面状に並設し絶縁被覆で覆った構造からなるフラットハーネスの分岐構造であって、前記フラットハーネスは、複数の部材間を電気的に接続する本回路部及びこの本回路部から分岐する分岐回路部を備え、前記本回路部は、少なくとも一方の面に前記絶縁被覆を除去して前記導体を露出させた1又は複数の開口窓部を備えてなり、前記分岐回路部は、前記開口窓部から露出された導体にこの導体に沿った状態となるように前記分岐回路部の導体を直接接続した分岐部を介して前記本回路部から分岐されていることを特徴とする。
本発明に係る第3のフラットハーネスの分岐構造は、複数の導体を平面状に並設し絶縁被覆で覆った構造からなるフラットハーネスの分岐構造であって、前記フラットハーネスは、複数の部材間を電気的に接続する本回路部及びこの本回路部から分岐する分岐回路部を備え、前記本回路部は、少なくとも一方の面に前記絶縁被覆を除去して前記複数の導体を露出させた開口窓部が形成されると共に、この開口窓部を覆う絶縁部材を有し、前記絶縁部材は、前記開口窓部内で露出された複数の導体の前記分岐回路部と接続される部分のみを露出させる1又は複数の分岐開口部を備えてなり、前記分岐回路部は、前記分岐開口部から露出された導体にこの導体に沿った状態となるように前記分岐回路部の導体を直接接続した分岐部を介して前記本回路部から分岐されていることを特徴とする。
本発明に係るフラットハーネスの製造方法は、複数の導体を平面状に並設し絶縁被覆で覆った構造からなるフラットハーネスの製造方法であって、帯状に送り出された第1及び第2の絶縁被覆の両方の所定箇所に所定の大きさの開口部を形成すると共に前記第1及び第2の絶縁被覆の少なくとも一方の所定箇所に所定の大きさの開口窓部を形成する穴あけ工程と、前記第1及び第2の絶縁被覆のいずれか一方に前記複数の導体を配置する導体配置工程と、この導体配置工程を経て前記複数の導体が配置された前記第1及び第2の絶縁被覆のいずれか一方の上に、前記第1及び第2の絶縁被覆のいずれか他方を前記開口部が重なるように載置して両絶縁被覆で前記導体を覆いフラットハーネスを形成する第1ハーネス形成工程と、この第1ハーネス形成工程を経た前記フラットハーネスの前記開口窓部を覆い絶縁すると共に、所定の開口窓部形成位置においては前記開口窓部内で露出された複数の導体のうちの所定の導体のみを露出させる所定の大きさの分岐開口部が予め形成された第1絶縁部材を、前記フラットハーネスの前記開口窓部を覆うように前記第1及び第2の絶縁被覆の少なくとも一方に貼り付ける第1絶縁部材貼付工程と、この第1絶縁部材貼付工程を経た前記フラットハーネスを前記開口部形成位置で前記複数の導体が露出した口出し状態となるように前記フラットハーネスの長手方向と交差する方向に切断すると共に、前記長手方向に沿って前記第1及び第2の絶縁被覆の不要部分を除去して複数のフラットハーネスを形成するハーネス加工工程と、このハーネス加工工程を経た前記複数のフラットハーネスのうち、前記開口窓部が形成され前記第1絶縁部材が貼り付けられたフラットハーネスの前記分岐開口部における露出された導体に、他のフラットハーネスの口出しされた導体を直接接続して分岐部を備えるフラットハーネスを形成する第2ハーネス形成工程とを備えることを特徴とする。
なお、フラットハーネスに形成される分岐開口部は、1つの前記分岐部に対して1つ形成されると良い。この場合、1つの導体から2つの導体が分岐するような分岐部は1つの分岐部と考えられるため、分岐開口部は1つ形成されれば良い。
また、本発明のフラットハーネスの製造方法においては、例えば第2ハーネス形成工程の後に、分岐部を絶縁するための第2絶縁部材を分岐開口部を覆うようにフラットハーネスに貼り付ける第2絶縁部材貼付工程を更に備えていても良い。
そして、フラットハーネスの製造方法における穴あけ工程は、例えばレーザ加工又はプレス加工により行われると良く、導体配置工程は、例えば銅、銅合金及びアルミニウムのいずれか1つからなる丸型断面形状又は矩形断面形状の導体を所定の回路形態に配置して行われる。
また、第1ハーネス形成工程は、例えばラミネート加工により行われると良く、この場合ラミネート加工は、例えば熱板プレス又はロールプレスにより行われる。
更に、ハーネス加工工程は、例えば切断刃を備えるスリッタを用いたスリット加工により行われると良い。
そして、第2ハーネス形成工程における導体同士の直接接続は、例えばレーザ加工、溶接及び半田付けのいずれか1つにより行われる。
なお、フラットハーネスの分岐回路部は、例えば分岐部から導体の芯線方向の所定範囲内では導体が本回路部の導体に沿った状態で分岐され、且つ所定範囲外では導体と直交する方向に折り曲げられた状態で分岐されていると良い。
本発明によれば、フラットハーネスの本回路部における開口窓部内の露出した導体のうち、開口窓部を覆うように貼り付けられた第1絶縁部材により所定の導体を分岐開口部で露出すると共に他の導体を絶縁し、分岐回路部の導体を分岐開口部で直接接続して分岐部を形成するため、分岐のための従来のジョイント器などの別部品が不要となり、部品点数を増やさずに分岐部を備えることが可能となる。
また、第1絶縁部材の分岐開口部のパターンを適宜変更するだけで、同一形状の開口窓部において様々な分岐回路形態を実現することができるため、分岐回路部を有するフラットハーネスの汎用性を安価に向上させることが可能となる。
また、第1絶縁部材の分岐開口部のパターンを適宜変更するだけで、同一形状の開口窓部において様々な分岐回路形態を実現することができるため、分岐回路部を有するフラットハーネスの汎用性を安価に向上させることが可能となる。
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフラットハーネスの分岐構造を説明するためのフラットハーネスの概略全体図である。
図1に示すように、フラットハーネス1は、銅、銅合金又はアルミニウム等からなる丸型断面形状又は矩形断面形状の複数の導体10を平面状に並設してポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂からなる絶縁被覆20で覆った構造からなり、複数の部材(図示せず)間を電気的に接続する本回路部30と、この本回路部30から分岐する分岐回路部40,50とを備えて構成されている。
図1に示すように、フラットハーネス1は、銅、銅合金又はアルミニウム等からなる丸型断面形状又は矩形断面形状の複数の導体10を平面状に並設してポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂からなる絶縁被覆20で覆った構造からなり、複数の部材(図示せず)間を電気的に接続する本回路部30と、この本回路部30から分岐する分岐回路部40,50とを備えて構成されている。
本回路部30には、複数の導体10を覆う絶縁被覆20の少なくとも一方の面側に絶縁被覆20を除去して複数の導体10を露出させた開口窓部60が形成され、この開口窓部60の上に開口窓部60を覆うように、所定の導体10を露出させる分岐開口部80が形成された第1絶縁部材としての絶縁フィルム70が貼り付けられている。分岐回路部40,50は、端末部において導体10が露出された(口出しされた)状態で形成され、これら分岐回路部40,50の口出しされた複数の導体10のうち、所定の導体10は、本回路部30の分岐開口部80において露出された本回路部30の導体10とレーザ加工、溶接又は半田付け等により直接接続されている。この導体10同士の接続部分は、フラットハーネス1の分岐部90を構成する。
なお、絶縁フィルム70が貼り付けられ分岐開口部80が形成された本回路部30上の所定範囲(ここでは、絶縁フィルム70を覆う範囲)には、分岐開口部80を封止・絶縁するための合成樹脂などからなる第2絶縁部材としてのカバー材95が貼着されている。
このフラットハーネス1の分岐構造によれば、フラットハーネス1の本回路部30における開口窓部60内の露出した複数の導体10のうち、絶縁フィルム70の分岐開口部80により露出された所定の導体10に、分岐回路部40,50の導体10を直接接続して分岐部90を形成するため、分岐のための従来のジョイント器等の別部品が不要となり、部品点数を増やさずに分岐部90を備えることができる。開口窓部60で露出された複数の導体10のうち、分岐接続される導体10以外の導体10は、絶縁フィルム70により絶縁されているため、分岐回路部40,50の導体10と短絡することはない。また、絶縁フィルム70の分岐開口部80のパターンを適宜変更するだけで、同一形状で形成された開口窓部60において様々な分岐回路形態を実現することができるため、分岐回路部40,50を有するフラットハーネス1の汎用性を安価に向上させることができる。
なお、このフラットハーネス1では、1つの分岐部90に対して絶縁フィルム70の分岐開口部80が1つ形成されているが、図2に示すように、1つの導体10に対して複数の導体10が直接接続され分岐部90が複数形成された場合も、1つの導体10に対する電気的な分岐は1つといえるため、分岐開口部80は1つ形成されていれば良い。
図3は、同実施形態に係るフラットハーネスの製造工程を示すフローチャート、図4A及び図4Bは、この製造工程の簡易平面図、図5は、この製造工程で形成されたフラットハーネスの一部拡大平面図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する説明は省略する。
まず、図4A(1)及び(2)に示すように、図示しないテープロールから送り出された帯状の第1の絶縁被覆21及び第2の絶縁被覆22の両方について、穴あけ工程で例えばレーザ加工やプレス加工により所定箇所に所定の大きさの開口部29を形成すると共に、第1の絶縁被覆21の所定箇所に所定の大きさの開口窓部60を所定数形成する(S1)。
まず、図4A(1)及び(2)に示すように、図示しないテープロールから送り出された帯状の第1の絶縁被覆21及び第2の絶縁被覆22の両方について、穴あけ工程で例えばレーザ加工やプレス加工により所定箇所に所定の大きさの開口部29を形成すると共に、第1の絶縁被覆21の所定箇所に所定の大きさの開口窓部60を所定数形成する(S1)。
次に、図4A(3)に示すように、第2の絶縁被覆22の上に、導体配置工程で例えば銅、銅合金及びアルミニウムのいずれか1つからなる丸型断面形状又は矩形断面形状の複数の導体10を所定の回路形態に配置する(S2)。
そして、図4A(4)に示すように、第1ハーネス形成工程で例えば複数の導体10が配置された第2の絶縁被覆22の上に、第1の絶縁被覆21を互いの開口部29が同じ位置に重なるように載置して熱板プレスやロールプレスによるラミネート加工で両絶縁被覆21,22で複数の導体10を覆いフラットハーネスの原型Hを形成する(S3)。この第1ハーネス形成工程で行われるラミネート加工は、例えば第1及び第2の絶縁被覆21,22のいずれか一方に予め熱可塑性の接着剤を塗布するなどした後に行われる。
こうして第1ハーネス形成工程で形成されたフラットハーネスの原型Hの開口窓部60上に、第1絶縁部材貼付工程で、図4B(1)に示すように、開口窓部60内で露出された複数の導体10のうちの所定の導体10を露出する分岐開口部80が予め形成された絶縁フィルム70を、開口窓部60を覆うような状態で貼り付ける(S4)。この第1絶縁部材貼付工程により開口窓部60内で露出された導体10のうち、分岐開口部80で露出される導体10以外の導体10が封止・絶縁される。
この第1絶縁部材貼付工程で絶縁フィルム70が貼り付けられたフラットハーネスの原型Hを、図4B(2)に示すように、ハーネス加工工程で例えばフラットハーネスの原型Hの長手方向に沿って第1及び第2の絶縁被覆21,22の不要部分(例えば、短手方向両端部分)27,28を切断刃を備えるスリッタ(図示せず)などを用いたスリット加工により除去すると共に、図4B(3)に示すように、開口部29形成位置で複数の導体10が露出した状態(口出し状態)となるように短手方向に切断して複数のフラットハーネス(本回路部30、分岐回路部40,50など)を形成する(S5)。
そして、図5に示すように、第2ハーネス形成工程で例えばハーネス加工工程で形成された複数のフラットハーネスのうち、開口窓部60に絶縁フィルム70が貼り付けられ分岐開口部80が形成された本回路部30となるべきフラットハーネスの分岐開口部80における露出された導体10に、分岐回路部40,50(ここでは、分岐回路部50のみ図示)となるべきフラットハーネスの口出しされた導体10をレーザ加工、溶接及び半田付けなどにより直接接続して分岐部90を備えるフラットハーネス1を形成する(S6)。
このようにしてフラットハーネス1が製造されれば、一連の製造工程の流れで分岐部分までも備えたフラットハーネスを所定の製品長や回路形態などで形成することができるため、製造工数の大幅な削減に基づくコストの低減を実現することが可能となる。そして最後に、フラットハーネス1の導通検査等の完成検査を行ってフラットハーネス1が完成される(S7)。
なお、第2ハーネス形成工程と完成検査との間の工程に、例えば第2絶縁部材貼付工程としてフラットハーネス1の分岐開口部80が形成された本回路部30上の所定範囲(ここでは、絶縁フィルム70を覆う範囲)に図1に示すような分岐部90を封止・絶縁するためのカバー材95等を貼り付けたりしてフラットハーネス1の封止・絶縁を更に図るようにしても良い。また、図6に示すように、絶縁フィルム70の分岐開口部80の形成態様によっては、フラットハーネス1の本回路部30の所定の導体10を分岐回路部50の導体10で短絡接続させることも可能となるため、様々な回路形態に対応することが可能である。
図7A及び図7Bは、本発明の他の実施形態に係るフラットハーネスの製造工程の簡易平面図である。
この実施形態では、図7A(1)及び(2)に示すように、第1及び第2の絶縁被覆21,22の両方について穴あけ工程で所定箇所に所定の大きさの開口部29を形成すると共に開口窓部60を所定数形成し、図7A(3)に示すように、導体配置工程で両絶縁被覆21,22のいずれか一方に複数の導体10を配置して、図7A(4)に示すように、第1ハーネス形成工程で両絶縁被覆21,22を互いの開口部29及び開口窓部60が同じ位置に重なるように貼り合わせる。そして、図7B(1)及び(2)に示すように、第1絶縁部材貼付工程で、分岐開口部80が形成された絶縁フィルム70を両絶縁被覆21,22の所定位置の開口窓部60を覆い且つ分岐開口部80が重なるように貼り付けて、図7B(3)及び(4)に示すように、ハーネス加工工程で複数のフラットハーネス(本回路部30、分岐回路部40,50)を形成した後、例えば本回路部30の両面側から分岐開口部80の導体10に分岐回路部40,50の導体10を直接接続して分岐部90を形成することができるようにした点が、先の実施形態とは相違している。この実施形態でも、一連の製造工程の流れで分岐部分の数を更に増やしたフラットハーネスを所定の製品長などで形成することができるため、製造工数の大幅な削減によるコストの低減などを実現することができる。
この実施形態では、図7A(1)及び(2)に示すように、第1及び第2の絶縁被覆21,22の両方について穴あけ工程で所定箇所に所定の大きさの開口部29を形成すると共に開口窓部60を所定数形成し、図7A(3)に示すように、導体配置工程で両絶縁被覆21,22のいずれか一方に複数の導体10を配置して、図7A(4)に示すように、第1ハーネス形成工程で両絶縁被覆21,22を互いの開口部29及び開口窓部60が同じ位置に重なるように貼り合わせる。そして、図7B(1)及び(2)に示すように、第1絶縁部材貼付工程で、分岐開口部80が形成された絶縁フィルム70を両絶縁被覆21,22の所定位置の開口窓部60を覆い且つ分岐開口部80が重なるように貼り付けて、図7B(3)及び(4)に示すように、ハーネス加工工程で複数のフラットハーネス(本回路部30、分岐回路部40,50)を形成した後、例えば本回路部30の両面側から分岐開口部80の導体10に分岐回路部40,50の導体10を直接接続して分岐部90を形成することができるようにした点が、先の実施形態とは相違している。この実施形態でも、一連の製造工程の流れで分岐部分の数を更に増やしたフラットハーネスを所定の製品長などで形成することができるため、製造工数の大幅な削減によるコストの低減などを実現することができる。
なお、上述したフラットハーネス1は、いわゆるフレキシブルプリント回路(FPC)からなるものであるが、フレキシブルフラット回路(FFC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)からなるものでも良い。
図8は、本発明の他の実施形態に係るフラットハーネスの分岐構造を説明するためのフラットハーネスの一部拡大平面図である。
このフラットハーネス1Aは、例えば本回路部30の一方の面の絶縁被覆20を除去した開口窓部60が形成され、分岐回路部40が分岐部90から導体10の芯線方向の所定範囲内では導体10が本回路部30の導体10に沿った状態で分岐され、且つ所定範囲外では導体10と直交する方向に折り曲げられた状態で分岐され、分岐開口部80が形成された絶縁フィルム70を介さずにカバー材95が貼着されて構成されている点が、先の例のフラットハーネス1と相違している。
このフラットハーネス1Aは、例えば本回路部30の一方の面の絶縁被覆20を除去した開口窓部60が形成され、分岐回路部40が分岐部90から導体10の芯線方向の所定範囲内では導体10が本回路部30の導体10に沿った状態で分岐され、且つ所定範囲外では導体10と直交する方向に折り曲げられた状態で分岐され、分岐開口部80が形成された絶縁フィルム70を介さずにカバー材95が貼着されて構成されている点が、先の例のフラットハーネス1と相違している。
このような構成によると、開口窓部60内において、本回路部30の導体10と分岐回路部40の導体10とが交差しないため、分岐開口部80を有する絶縁フィルム70がなくても隣接導体10間での短絡等の不具合が発生しない。
図9は、本発明の更に他の実施形態に係るフラットハーネスの分岐構造を説明するためのフラットハーネスの一部拡大平面図である。
このフラットハーネス1Bは、例えば本回路部30の一方の面の絶縁被覆20を除去した開口窓部60が形成され、この開口窓部60を覆うように所定の複数の分岐開口部80が形成された絶縁フィルム70を貼着し、分岐回路部40の導体10と本回路部30の導体10とを分岐開口部80内で分岐部90を介して接続した点が、先の例のフラットハーネス1Aと相違している。
このフラットハーネス1Bは、例えば本回路部30の一方の面の絶縁被覆20を除去した開口窓部60が形成され、この開口窓部60を覆うように所定の複数の分岐開口部80が形成された絶縁フィルム70を貼着し、分岐回路部40の導体10と本回路部30の導体10とを分岐開口部80内で分岐部90を介して接続した点が、先の例のフラットハーネス1Aと相違している。
このような構成であれば、更に上記フラットハーネス1Aよりも隣接導体10間での短絡等の不具合を発生し難くすることができる。
なお、上記フラットハーネス1Bにおいても本回路部30の導体10と分岐回路部40の導体10とが、分岐回路部40が分岐部90から導体10の芯線方向の所定範囲内では導体10が本回路部30の導体10に沿った状態で分岐され、且つ所定範囲外では導体10と直交する方向に折り曲げられた状態で分岐されている。このため、例えば図10に示すフラットハーネス1Cのように、絶縁フィルム70の分岐開口部80を1つだけ形成し、その分岐開口部80内で各導体10の分岐を分岐部90を介して図り、分岐回路部40を備えるようにしても良い。
ここで、これらのフラットハーネス1A〜1Cは、一方の面の絶縁被覆20が除去されて開口窓部60が形成された構造であるため、本回路部30の導体10と分岐回路部40の導体10とは、分岐部90において例えば抵抗溶接(シリーズ溶接)により直接接続されると良い。なお、シリーズ溶接については公知技術であるためここでは説明を省略する。
本発明は、複数の導体を平面状に並設したフラットハーネスを製造し使用する各種の用途に利用することができる。
1,1A,1B,1C…フラットハーネス、10…導体、20…絶縁被覆、21…第1の絶縁被覆、22…第2の絶縁被覆、29…開口部、30…本回路部、40,50…分岐回路部、60…開口窓部、70…絶縁フィルム、80…分岐開口部、90…分岐部、95…カバー材。
Claims (14)
- 複数の導体を平面状に並設し絶縁被覆で帯状に覆った構造からなるフラットハーネスの分岐構造であって、
前記フラットハーネスは、複数の部材間を電気的に接続する本回路部及びこの本回路部から分岐する分岐回路部を備え、
前記本回路部は、少なくとも一方の面に前記絶縁被覆を除去して前記複数の導体を露出させた開口窓部が形成されると共に、この開口窓部を覆う絶縁部材を有し、前記絶縁部材は、前記開口窓部内で露出された複数の導体の前記分岐回路部と接続される部分のみを露出させる分岐開口部を備えてなり、
前記分岐回路部は、前記分岐開口部から露出された導体に前記分岐回路部の導体を直接接続した分岐部を介して前記本回路部から分岐されている
ことを特徴とするフラットハーネスの分岐構造。 - 前記分岐開口部は、1つの前記分岐部に対して1つ形成されていることを特徴とする請求項1記載のフラットハーネスの分岐構造。
- 前記絶縁部材は、絶縁樹脂からなる可撓性を有する絶縁フィルム又は硬質の絶縁スペーサであることを特徴とする請求項1又は2記載のフラットハーネスの分岐構造。
- 複数の導体を平面状に並設し絶縁被覆で覆った構造からなるフラットハーネスの製造方法であって、
帯状に送り出された第1及び第2の絶縁被覆の両方の所定箇所に所定の大きさの開口部を形成すると共に前記第1及び第2の絶縁被覆の少なくとも一方の所定箇所に所定の大きさの開口窓部を形成する穴あけ工程と、
前記第1及び第2の絶縁被覆のいずれか一方に前記複数の導体を配置する導体配置工程と、
この導体配置工程を経て前記複数の導体が配置された前記第1及び第2の絶縁被覆のいずれか一方の上に、前記第1及び第2の絶縁被覆のいずれか他方を前記開口部が重なるように載置して両絶縁被覆で前記導体を覆いフラットハーネスを形成する第1ハーネス形成工程と、
この第1ハーネス形成工程を経た前記フラットハーネスの前記開口窓部を覆い絶縁すると共に、所定の開口窓部形成位置においては前記開口窓部内で露出された複数の導体のうちの所定の導体のみを露出させる所定の大きさの分岐開口部が予め形成された第1絶縁部材を、前記フラットハーネスの前記開口窓部を覆うように前記第1及び第2の絶縁被覆の少なくとも一方に貼り付ける第1絶縁部材貼付工程と、
この第1絶縁部材貼付工程を経た前記フラットハーネスを前記開口部形成位置で前記複数の導体が露出した口出し状態となるように前記フラットハーネスの長手方向と交差する方向に切断すると共に、前記長手方向に沿って前記第1及び第2の絶縁被覆の不要部分を除去して複数のフラットハーネスを形成するハーネス加工工程と、
このハーネス加工工程を経た前記複数のフラットハーネスのうち、前記開口窓部が形成され前記第1絶縁部材が貼り付けられたフラットハーネスの前記分岐開口部における露出された導体に、他のフラットハーネスの口出しされた導体を直接接続して分岐部を備えるフラットハーネスを形成する第2ハーネス形成工程と
を備えることを特徴とするフラットハーネスの製造方法。 - 前記第2ハーネス形成工程の後に、前記分岐部を絶縁するための第2絶縁部材を前記分岐開口部を覆うように前記フラットハーネスに貼り付ける第2絶縁部材貼付工程を更に備える
ことを特徴とする請求項4記載のフラットハーネスの製造方法。 - 前記穴あけ工程は、レーザ加工又はプレス加工により行われることを特徴とする請求項4又は5記載のフラットハーネスの製造方法。
- 前記導体配置工程は、銅、銅合金及びアルミニウムのいずれか1つからなる丸型断面形状又は矩形断面形状の導体を所定の回路形態に配置して行われることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項記載のフラットハーネスの製造方法。
- 前記第1ハーネス形成工程は、ラミネート加工により行われることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項記載のフラットハーネスの製造方法。
- 前記ラミネート加工は、熱板プレス又はロールプレスにより行われることを特徴とする請求項8記載のフラットハーネスの製造方法。
- 前記ハーネス加工工程は、切断刃を備えるスリッタを用いたスリット加工により行われることを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項記載のフラットハーネスの製造方法。
- 前記第2ハーネス形成工程における導体同士の直接接続は、レーザ加工、溶接及び半田付けのいずれか1つにより行われることを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項記載のフラットハーネスの製造方法。
- 複数の導体を平面状に並設し絶縁被覆で覆った構造からなるフラットハーネスの分岐構造であって、
前記フラットハーネスは、複数の部材間を電気的に接続する本回路部及びこの本回路部から分岐する分岐回路部を備え、
前記本回路部は、少なくとも一方の面に前記絶縁被覆を除去して前記導体を露出させた1又は複数の開口窓部を備えてなり、
前記分岐回路部は、前記開口窓部から露出された導体にこの導体に沿った状態となるように前記分岐回路部の導体を直接接続した分岐部を介して前記本回路部から分岐されている
ことを特徴とするフラットハーネスの分岐構造。 - 複数の導体を平面状に並設し絶縁被覆で覆った構造からなるフラットハーネスの分岐構造であって、
前記フラットハーネスは、複数の部材間を電気的に接続する本回路部及びこの本回路部から分岐する分岐回路部を備え、
前記本回路部は、少なくとも一方の面に前記絶縁被覆を除去して前記複数の導体を露出させた開口窓部が形成されると共に、この開口窓部を覆う絶縁部材を有し、前記絶縁部材は、前記開口窓部内で露出された複数の導体の前記分岐回路部と接続される部分のみを露出させる1又は複数の分岐開口部を備えてなり、
前記分岐回路部は、前記分岐開口部から露出された導体にこの導体に沿った状態となるように前記分岐回路部の導体を直接接続した分岐部を介して前記本回路部から分岐されている
ことを特徴とするフラットハーネスの分岐構造。 - 前記分岐回路部は、前記分岐部から前記導体の芯線方向の所定範囲内では前記導体が前記本回路部の導体に沿った状態で分岐され、且つ前記所定範囲外では前記導体と直交する方向に折り曲げられた状態で分岐されている
ことを特徴とする請求項12又は13記載のフラットハーネスの分岐構造。
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